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所得連動返還型奨学金制度有識者会議(第3回) 議事録

1.日時

平成27年11月18日(水曜日)16時~18時

2.場所

東京工業大学キャンパス・イノベーションセンター 国際会議室

東京都港区芝浦3-3-6 東京工業大学(田町キャンパス) キャンパス・イノベーションセンター1階

3.議題

  1. 所得連動返還型奨学金制度について
  2. その他

4.出席者

委員

赤井委員,小林委員,阪本委員,濱中委員,樋口委員,不動委員,吉田委員

文部科学省

佐野大臣官房審議官,渡辺学生・留学生課長,八島学生・留学生課課長補佐,川村学生・留学生課課長補佐

オブザーバー

髙橋理事長代理(日本学生支援機構),甲野理事(日本学生支援機構),宗野顧問弁護士(日本学生支援機構),藤森奨学事業戦略部長(日本学生支援機構)

5.議事録

【小林主査】  それでは,定刻になりましたので,ただいまから第3回所得連動返還型奨学金制度有識者会議を開催いたします。皆様,雨の中,御多忙中にもかかわらずお集まりいただきまして,誠にありがとうございます。なお,本日の会議に赤井委員は遅れて参加するということであります。また,今回から,日本学生支援機構の奨学金制度の詳細について回答頂くために,奨学事業戦略部の藤森部長に陪席していただくことにしております。


【藤森奨学事業戦略部長】  藤森でございます。どうぞよろしくお願いいたします。


【小林主査】  さらに文部科学省事務局に異動がありまして,学生・留学生課の川村課長補佐に今回から陪席いただきます。


 【川村課長補佐】  川村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。


 【小林主査】  それでは,事務局から資料の確認をお願いいたします。


 【八島課長補佐】  それでは,資料の確認をさせていただきます。

議事次第の方をごらんいただければと思います。配付資料1,2,3,4,並びに,机上資料として,参考資料1から6を準備させていただいております。過不足ございましたら事務局の方に申し出ていただければと思います。

 併せて,前回,赤井委員から,大学院生の収入内訳はどうなっているんだということと,樋口委員から,返還者の収入状況について無業者を加味して資料を作るべきではないかという宿題を頂いておるところでございます。まず,大学院生の収入内訳についてでございますが,参考資料4をごらんいただければと思います。この資料の一番後,14ページのところに,大学院の学生の収入状況ということで,学部,修士,博士,専門職について,収入がどういうような割合になっているのかという資料を付けさせていただいておりますので,後ほどごらんいただければと思います。

 もう一つ,資料2(別紙2)になりますけれども,前回,収入状況ということで試算させていただいたところでございます。樋口先生から,無業者を入れるともっと左の方に偏るんではないかという御示唆を頂きまして,改めて無業者を入れて試算をさせていただきました。そうしますと,例えば,25~29歳,一番上の表でございますけれども,前回,10月23日,第2回のときには,ここの年収300万未満が34.1%でしたけれども,再計算しますと64.2%になっています。また,真ん中のところでございますが,30~34歳,こちらも従来計算したものは30.8%でございましたが,55.4%。同じように35~39歳のところにつきましては,28.6%が50.2%というような状況になっておるところでございます。

 以上でございます。


 【小林主査】  ありがとうございました。

 ただいまの資料及び説明について,何か御質問はございませんでしょうか。

それでは,議事に入ります。まず,議事概要の確認についてですが,資料1に第2回議事概要(案)がありますので,御確認ください。修正意見等がございましたら,11月25日水曜日までに事務局に御連絡願います。その後,私と事務局の方で修正内容を調整させていただいた上,議事概要として確定させ,文部科学省ウエブサイトに掲載させていただきたいと思います。

 それでは次の議事に入ります。前回は「検討課題への対応について(素案)」に沿って皆様から多数の御意見を頂きました。本日は,前回の御議論を踏まえましてリバイス頂いた資料2「検討課題への対応について(素案)」に沿って,所得連動返還型奨学金制度を導入する際の個別の事項ごとに引き続き議論を深めてまいりたいと思います。特に新しい所得連動返還型奨学金制度を導入した際の財政負担のシミュレーションを実施する上での条件設定についても議論したいと思います。

 それでは,資料2,3について,事務局から御説明をお願いいたします。


 【八島課長補佐】  それでは,資料2,並びに資料3をごらんいただければと思います。タイトルは,検討課題の対応について(素案)ということでございます。これは,第2回においても出させていただいたところでございますが,幾つかリバイスしたところがございますので,その部分のみ御説明させていただきたいと思います。まず,一番上,1ページ目のところですが,特に優先して検討すべき課題のところに四角で囲っているところがございまして,委員から幾つかの意見を出していただいておりまして,主な意見を記載させていただいております。例えば,所得連動型を導入する際には,モラルハザード・逆選抜を十分考慮すべきだとか,奨学金を利用することをためらうことがないような制度とすべきだといったことなどでございます。また,赤井委員等からございましたけれども,所得の再配分という観点から,成功して高収入・所得となった者から,貸与額より多くの返還をさせてもよいのではないか,ということでございます。また,互助会方式でリスクをプールするような御意見も頂いたところでございます。

 これに関連して参考情報でございますが,10月21日に財務省の財政投資分科会がございまして,日本学生支援機構の事業についても同分科会で説明をすべしということがございまして,今,所得連動型奨学金制度を設計していますというような説明をした際に,2つ,同分科会の方で意見がございました。1つは,所得連動返還奨学金制度の対象を広げるべきではないか,というものです。これは第1種,第2種にかかわらず,もちろん,今現存では,1種の中でも限られた者ということでございますけれども,両方にとって広げた方がいいのではないかという意見を頂いたところでございます。また,ちょっと単純に読ませていただきますけれども,単に低所得の人に免除する話だけではなく,将来成功して高所得となった者からは,貸与額以上に成功報酬で支払ってもらうように,うまく制度設計すればよいのではないかということで,先ほど委員からの御意見というふうなことで御紹介させていただきましたけれども,同分科会の方でも同じような意見があったということを,御参考までにお知らせしておきます。

 資料2に戻っていただきまして,1ページ目の対象範囲,学校種のところでございますけれども,また四角囲みがございます,委員からの御意見につきましては,科学技術政策,優秀な若手研究者支援の観点から大学院も含めるべきであるというところでございます。1枚めくっていただきまして,奨学金の種類のところの意見につきましては,2ページ目の上の方でございますけれども,無利子奨学金に先行して新制度を導入してはどうか,所得連動型については,収入・所得が低いと返還月額が少なくなるため,返還期間が長期化するという御意見を賜ったところでございます。

 その次,3,4,5,6と続いていくんですが,この数字のところで申し上げますと,3と6と8と10の項目を改めて今回リバイスで入れさせていただいたところでございます。先ほど主査から,シミュレーションをするに当たって必要な事項を決めていかないと,シミュレーションできないということでございまして,この4点につきましては,ここをどういうふうに持っていくのかという議論がないと,シミュレーションができないところでございます。まず,3番のところでございますが,これは奨学金申請時の家計支持者の所得要件でございます。現行のところを見ていただきますと,今は家計支持者の年収が300万以下でなければ所得要件にならないところでございますが,これにつきましても,新制度で現行のまま同じように,親が300万以下というものを適用するのか,それとも,全員に適用するのかを検討していかないといけない,言い換えるならば,申請時には特段条件を求めないということかと思います。しかし,全員に認めることについては,財政支援をしていく額が増加する傾向となるというところでございます。

 続きまして,4と5は同じでございますので,6番目でございますが,返還開始の最低所得金額,これは年収幾らから返還開始とするかということで括弧書きさせていただいております。現行は年収0円からでございまして,括弧書きで年収300万円以下の場合は,申請により願い出により返還猶予(制限なし)が可能というところでございますが,この新所得連動型につきましても,同じようにこれを現行のままとするのか,それとも,何か違う方策を取るのかが論点になってくるんではなかろうかと考えております。その論点のところでどういうものが考えられるのかということで,1つ目は,所得が発生する年収約108万円ということが案として考えられるのではないか,ということでございます。2つ目は,例えば年収200万,所得に換算すると57万円を1つの基準とし,それにより申請により返還猶予(制限なし)を可能とするというところが論点となるのではないか,ということでございます。

 ただ,後から説明しますけれども,先ほど無業者の数を加味すると非常に左側に寄ってしまうことを,宿題ということで回答させていただきましたけれども,これを見ていただければ如実なんですけれども,200万,300万,400万,このあたりがボリュームゾーンでございますので,ここを幾らに設定するかによって,これも財政支援額が大きく異なってくるところでございます。

 3ページ目をごらんいただければと思います。これは資料をリバイスしたものでございまして,7番目の返還月額の下限でございまして,返還例を足させていただきました。もし仮に月額3,000円で35年間返すと,どれだけ返還総額がなるのか。3,000円であれば126万,5,000円であれば210万,7,000円では294万になるところでございます。

 8番目,これも新しく入れさせていただきました,返還猶予の申請可能所得でございます。現行では,年収300万以下となっておりますが,これにつきましても,現行のままでいいのか,改めるのか。財政論については全く6番と同じ議論があり得るところでございます。

 9番目は変わっておりません。

 10番目のところでございますが,最長の返還期間でございます。現行は設定なし,いわゆる死亡するまででございますけれども,ただし書きのところを見ていただきますと,通常返還の場合は35年,最長返還期間20年,それに返還猶予の10年,減額返還の5年,都合35年となっているところでございます。参考のところに,イギリスでは30年,オーストラリアは特に設定していない,アメリカでは10年~25年の幅があるところでございます。新制度につきましても,現行と同じ設定なしとするのか,これを改めるか,検討いただかなければならないと考えております。例えば,一定期間返還したか,返還完了とならない場合の取り扱いを定めるということも考えられるのではないか,といったこととなります。ただ,保証制度の保証期間,保証料にはね返ってくるかと思いますけれども,こういったものにも影響してくるところでございます。

 最後の4ページ目をお開きいただければと思います。12個人主義又は家族主義ということで,前回,樋口委員からプレゼンテーションを行っていただいたところでございますけれども,委員からも意見については5点ほど頂きました。例えば,専業主婦,ニート等の被扶養者をどのように考えるのかが非常に重要である,といったことや,イギリスとオーストラリアは個人主義,米国は家族の人数を考慮している状況である,ということでございます。また、,税金の仕組みも参考にしたらいいのではないかということや,最後に,配偶者の所得証明を提出させるといったことが,控除等を受ける際にはあり得るのではないかという御意見を賜ったところでございます。

 資料3,こちらの返還シミュレーション(案)をごらんいただければと思います。上の方に新制度の特色と書かせていただきましたけれども,対象者の拡大を検討ですが,これは資料2の数字で言うと3の申請時の家計支持者の所得要件をどうしていくのかということに非常に関係してくるところでございます。また,2つ目の○でございますが,卒業後,一定の年収に達するまでは,申請により返還猶予が可能というところでございますが,これは資料2の6とか8,年収幾らから返還開始とするのかとか,8番の返還猶予申請可能所得は幾らにするのかというようなところが決まらないと,というところでございます。

また,3つ目の新所得連動型は,毎月の返還額が所得に応じて変動ということでございますから,これは5番とか9番,返還方式とか返還率などが関係してくるところでございます。それから,今日御議論いただいて,試算の条件設定をしていくわけですけれども,例えば下のところ,返還期間35年については,資料2の10番目の最長の返還期間に関係してくると思いますし,貸与終了者数約16万人ということでございますけれども,これは学校種と奨学金の種類を決めていかないと,シミュレーションができないということになります。また,貸与総額についても同じように,学校種,奨学金の種類が関係してくるところでございます。また,3,700億円という総返還見込額を算出するには,7番の返還月額の下限,12番の個人主義・家族主義,また13番の機関保証等とも密接に関係しておるところでございます。一番下の新所得連動型の返還率9%については,資料2の9番にあります返還率を決めていかないと,シミュレーションの要件として定まっていかないというようなところがございます。今日は,この申し上げました資料2,資料3に基づいて御議論いただければと思います。

 事務局からは以上でございます。


 【小林主査】  どうもありがとうございました。

 ただいまの御説明について,特に資料について,御意見,御質問はございませんでしょうか。

 それでは,議論の中で御質問等ございましたら,そのときでも結構ですが,ここからは,これまでの説明を踏まえまして,所得連動返還型奨学金制度について,この資料2の素案に沿って,特にまだ議論していない事項ごとに議論していきたいと思います。ただ,事務局から説明がありましたように,これらお互いに関連している項目でありますので,そのあたりを考えながら議論していかなければいけないわけですけれども,順番にやっていきたいと思っております。

 それから,特に資料2(別紙1)に,新しい制度と現行の制度のイメージ図が前回も出ておりましたが,今回も出ておりますので,これらも参考にしていただいて,議論をしていきたいと思っております。

 それでは,順番にやっていきたいわけでありますけれども,学校種については,大学院を含めるということで合意ができているということで問題ないかと思いますが,特にご意見はございませんでしょうか。

 それでは、これはよろしいということで進めさせていただきます。

 無利子奨学金と有利子奨学金の対象範囲をどうするかという問題ですが,先ほど財政審の方では,有利子奨学金も含めるべきだという意見が出たと事務局から説明がございましたが,これについては,前回は,無利子奨学金を先行的に導入し,有利子については,その運用状況を見つつ,将来的に導入を検討するということで,原案になっていると思いますが,先ほどの財政審等の意見も参考にして,いかがでしょうか。

 これはかなり大きな問題ですので,逆にペンディングにしておいて後から考えることもできるかと思います。特に赤井委員もいらっしゃいませんし。


 【高橋理事長代理】  すみません,ちょっと前回から疑問に思っていたところなんですけれども,無利子奨学金導入の意味は,新所得連動型だけを指すのか,定額返還型も含めて無利子だけ先行導入ということなのか,そこはどちらなんでしょうか。


 【小林主査】  まだそれについては決まった確定したことは出ていないと思います。ですから,第1種,第2種と,それから2つのタイプをどうするか,現行制度を残すのか,まだここでは確定していないと考えていただきたいと思います。

 私の考えでは,今申し上げましたように,ほかの問題が決まらないとなかなか決まらないということと,大きな問題ですので,もう少し後に回してもいいのではないかと思っています。とりあえずはイシューについて議論していただくというスタンスで考えていただければと思いますが,いかがでしょうか。

 つまり,前回説明がありましたように,有利子の方にこの議論をすると,利子の問題とか,様々複雑な問題が出てまいりますので,とりあえず,まず,所得連動型のタイプとして,無利子で設計を考えて,それであと第2種を含めるかどうかについてはまた議論したいと考えておりますが,いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 そうしましたら,次の論点にまいりたいと思いますが,これが今のことと関係するわけですけれども,所得要件について,現行では申請時の家計支持者の年収300万円以下が対象ということになっているわけですが,これについて,この現行制度のままで行くのか,それとも所得制限を外していくのか,つまり,全員にこの制度を適用可能にするのかどうかという点ですが,この点についてはいかがでしょうか。


 【濱中委員】  所得要件をどうするかというのは,この今回の制度をどういう目的で設計するというか,開始するのかということと関わっているのだと思います。現行制度において,申請時の保護者の所得が300万円以下の方に対して,所得連動型を適用するということの意味は,一般的に言われていることとして,低所得者層の方がローンを回避する傾向があるので,せっかく奨学金の制度があるにもかかわらず,ローンを回避することによって奨学金を使わない,それにより進学を諦めてしまう。そういった事態を避けるために,保護者が低所得の家庭の子弟に限って所得連動型を適用するということなのだと理解しています。

 一方,我々が今回議論しているのは,そうした側面ももちろんあるのでしょうけれども,今現在,奨学金の返還が多くの返還者にとって,特に所得の低い若いうちは大変なので,その負担を少しでも軽減するためにはどうすれば良いか,そういう趣旨で今回の制度を考えているのであれば,申請時,すなわち進学時の保護者の所得で制限する必要はもはやないのではないかと考えます。もちろん,対象者を増やせば,財政的に負担するかどうかはともかくとして,所得が低いことによって将来返ってこないであろう額も増えるという点は,確かに議論しなくてはならないのですが。制度の目的からして,今回は全員に適用ということでよろしいのではないかと私は考えます。


 【小林主査】  ありがとうございました。ほかに御意見ございませんでしょうか。

 先ほどJASSOの高橋理事長代理からも御質問がありましたように,これは現行のものをそのまま残すのかとか,そういう問題とも関わってきますけれども,とりあえずは全員に適用するということで考えていくのが,せっかく新しい所得連動型を入れるわけですから,現行のものを残すかどうかは別の問題として,議論する際には全員に適用するということで進めていきたいと思いますが,いかがでしょうか。

 では,3番についてはそのようにさせていただきたいと思います。

 4番については既に決まっているということでありますので,ただ,確認しておきたいことは,4についてはともかく,5については,今申し上げましたように2つのタイプがありまして,それを選択できる形になるということです。いわゆる新所得連動型で,所得に応じて返還月額が変動するという本来のタイプです。それに対して定額返還で,一定の所得以下については猶予するという,現行制度の拡張版という形も考えられるということでありますので,この2つのタイプになるということで,これを選択するということで,これについては幾つか議論があったわけですけれども,今のところはこの2つのタイプを残しておくと。これで更にどうするか,新しい方式、全くの現行型,低所得者対策と言われている300万円以下のものを残すという3つになるわけですけれども。一応,3つのタイプを残しておいて検討していくということでよろしいでしょうか。

 はい,ありがとうございました。

 では,以下については,議論が交錯しますので,新しい方式について主に議論したいと思います。もちろん,参考として,現行方式との比較ということはありますけれども,現行方式の拡張版をどのような形にするかということをここで議論し出すと非常に複雑な議論になってしまいますので,まず,新しい所得連動返還型について中心に議論していきたいと思います。

 まず,最低所得額ですけれども,これは,事務局から説明がありましたように,現行では年収300万ということで,そこから返還開始になるという制度でありますが,それをもう少し下げるかどうかという問題です。これは先ほどの資料2の別紙1の方を見ていただくとよりイメージがつかめるかと思いますが,現行制度が300万で明解に区分されて、ここで猶予があるかないかということになっていて,猶予がない場合には定額を返還するということになるわけであります。これに対して新型の方は青いラインで示されておりますので,こういった形で,所得に応じて返還していくということになるわけであります。ただ,この場合,このブルーのラインがどこを起点にして始まるかということで,かなり負担感,逆に言いますと回収に影響するわけであります。このラインは,一応,課税所得が発生する年収108万円からということで,仮に示させていただいておりますけれども,それ以外にもう少し年収200万円以下で始めるか,あるいは300万円以下から始めるかということであります。これは,なかなかこれだけでは決められない問題だと思います。また,ほかの問題も関わっておりますので,ほかの問題と併せて議論していただいてもいいのですけれども,今何か御意見がございますでしょうか。

 それから,もう一つの論点は,括弧の中にあります(ただし,年収300万円(課税所得114万円)を超えるまでは,申請による返還猶予(制限なし)を可能とする)についても,これは本来の所得連動型ですと,こういうことは考えませんので,これも論点の1つに入ると思います。これは,先ほど事務局からありましたように,8番の返還猶予を申請できるかどうかということ,その場合,年収をどのくらいにするかということと関わっています。ですから,この2つを併せて議論していただければと思いますが,いかがでしょうか。シミュレーションがまだ決まっていないので議論するのは難しいかと思いますが,逆に言うと,決まらないとシミュレーションができないという,そういう関係になると思いますので,御意見をいただければ有り難いのですが。


 【濱中委員】  その前によろしいですか。ちょっと議論というか用語が交錯しているような気がしていて,整理させてください。猶予ということは,基本的には,返還を要求して,それに対してちょっと待ってくださいというのが猶予であって,請求はするわけじゃないですか。小林先生が先ほどおっしゃった本来の所得連動型というのは,猶予ではなくて,そもそもある一定の所得以下であれば返還の請求すらしない,イギリスが多分そうだったと思いますけれども。だとすれば,それは猶予とは言わないのではないですか。


 【小林主査】  いや,そこはちょっと確かに難しいのですけれども,イギリスの場合も,自動的に猶予がかかるわけではなくて,申請主義ではあります。一定の所得以下だったら,猶予になりますが、申請主義です。ですから,全く何もしないで自動的に,あなたは猶予になりますよということではないです。


 【濱中委員】  その場合の請求額はどういうふうに決まるのですか。


 【小林主査】0です。


 【濱中委員】0を請求して0を猶予してくださいという仕組みになるのですか。


 【小林主査】  まあ,そういうことになりますね,形の上では。この問題は,時効の問題とかほかの問題とちょっと関わってきますので,全くそういった請求関係とか,あるいは猶予の申請とかがないということになると,その問題も関わってきますので,そういった措置が取られると思うのですけれども。その問題は別の問題としてあるんですけれども。どこの国でも,自動的に一定所得以下だったら猶予になるということはないです。


 【宗野顧問弁護士】  今の日本の話と関係するものですけれども,一定の年収に入るまでは請求もしないという話,例えば,あらかじめ約定で決めましたとした場合,例えば,10年ぐらい所得が少ない場合が続いたときに,10年たってから初めて請求しました,そのときに,奨学生の方も,ほとんど覚えていないと思うんですけれども,じゃあ,時効を援用しますと言われたときに,約定では,一定の年収に達したら請求が発生するという話になっているんですけれども,時効に関しては,民法の146条で,時効の利益はあらかじめ放棄することができないという形になっているので,その事前の合意が,一定の所得になるまでは請求しないということは,その間,時効も一切進行しないということになるのか,これが時効の利益を放棄したというふうになるのかどうか,これは,そのような取扱いって実際にやられることってないので,争われたときに,そこは疑問があると。そうすると,本当に所得が低い方は,例えば月1,000円でもいいと思うんですね,最低額1,000円に決めて請求しますと。ただ,一定の所得に達するまでは猶予の手続,例えば,マイナンバーで所得を捕捉しているから収入証明書は要りません,ただ申請すればいいだけですという形で申請してもらうと。そうすると,申請したことによって,猶予を求めるということは,債務承認,時効中断原因になるので,それでずっと続くという形で考えると,先ほど小林主査の言われたように,自動的にではなく,申請主義をとるというのは,他国が時効に対してどういう形をとっているか私も詳細には把握しておりませんけれども,そういう形をとられているのではないかと思います。


 【小林主査】  ありがとうございました。事務局で何かございますか。よろしいですか。

 この資料2の方を見ていただきたいのですけれども,108万円からスタートしているというモデルになっていますけれども,そこのところに水平のブルーのラインが引いてありますけれども,これが一定額を取った方がいいのではないかということだろうと思いますけど,これも1つ論点だとは思います。今,説明ありましたように,少額でも取っていく。

 それから,よくあるケースといたしましては,実際の問題として手数料的なものも発生していますので,それについては,一定額を取るということは割とどこの国でもやっていると思います。例えば,極端な話で言いますと,所得が極端に低ければ1ドルしか払わないとかいうことになりますので,それはかえってコストがかさみますので,そのあたりも設計に必要なことだろうと思います。それでよろしいでしょうか。


 【濱中委員】  今の日本の法律だと,小林先生が先ほどおっしゃったような,0円を請求して0円を猶予するということが可能なんですかね。


 【宗野顧問弁護士】  請求になっているのか,あらかじめ,そこはちょっと私も実際見ていないので分からないんですけれども,何らかの額を請求しているんだとは思います。


 【濱中委員】  そうだとすると,我が国でも,1,000円とか2,000円とか,常識的に考えてこれぐらいなら返せるだろうという定額を設定する方が合理的だということですかね。


 【宗野顧問弁護士】  あと,法律的な話とは違うんですけれども,長期間ずっと連絡もしないとかいう話になると,借りていたことに関する意識が途切れてしまう。5年,10年とか,下手すると20年ぐらいずっと低い方があり得るわけなんで,そういう意味では,毎年ちゃんと1度請求の話が来て,それに対して猶予してもらっているという意識を持ってもらうには毎年申請してもらうと。ただ,猶予という場合は,ずっと債務が一切減らないという話になるので,そういう形で言うと,第1種奨学金のように利息がつかないものに関しては少額でも返してもらう,返還の習慣を付けてもらうというのは,それなりに意味があると。実際に300万円以下の方がみんな猶予を申請しているかと言うと,皆さん苦しい中でも何とか工面して返してくれている方がいらっしゃいますので,そういう意味では,最初に0にしちゃうと,返還しなくていいんだという話になってしまうので,猶予はできるようにしつつ,無理のない形の金額を,1,000円なのか3,000円なのかそれは分かりませんけれども,設定して,一定を超えると所得に応じた額というのが合理的なのかなとは個人的には思います。


 【小林主査】  今の点よろしいでしょうか。先ほどの補足になりますけれども,実際の手数料がどのぐらいかかっているかということとも関係しますし,今,宗野先生からありましたように,負担感が少なくするための目的ですから,余り金額を大きくするというのはかえって逆になりますので,そのあたりを加味して決めなければいけないのですけれども。そういったことを,手数料的なものを取るかどうかということと,それから,契約関係が継続していることを確認するためにという2つが,この中に入ってきます。

 実際問題として,先ほど申し上げましたけれども,いわゆるいき値をどうするかについて,シミュレーションもなしに決めてくださいというのは無理だと思いますので,少なくとも現行の108万円,この資料2のラインでシミュレーションをやって,どの程度回収できるかを考えるということで,いかがでしょうか。もし必要でしたら,年収200万円とか,あるいは300万円とか,ほかの形でもシミュレーションは計算だけの話ですので可能だと思いますので,やっていただいて,回収額がどのように変わるかとか,そういうことを検討していただくということで,いかがでしょうか。

 それから,これは8番の論点になると思いますので,返還猶予の問題については8番の論点で行いたいと思います。

 順番が違いますが,先に8番の方ですけれども,現行では年収300万円,所得で言うと114万円程度からなっているわけですけれども,これもどこから返還猶予を申請して認めるかということで,これもシミュレーションの前提になるので決めていただきたいわけですけれども,今決めろと言ってもなかなか難しいと思いますので,300万円でやってもらって,シミュレーション結果を見てまた考えるということで,いかがでしょうか。

 それでは戻りまして7番の論点ですけれども,返還月額の下限ということで,今ありましたが,手数料的なもの,あるいは少額でも返してもらうことが望ましいという意味で,返還月額の下限を設定したらどうかという議論ですけれども。これについてはいかがでしょうか。今,余り負担にならない程度という話があったのですけれども,これはどのあたりが,シミュレーションするときにもある程度設定しなければいけませんので。この辺は生活感覚で大分違うと思いますけれども,月額2,000円でも高いと思う人もいるでしょうし,月額5,000円でも高くないと思う人もいるので,なかなか難しいのですけれども。これもシミュレーション可能なら何種類かやってもらうこともできるかと思いますが,いかがでしょうか。


 【濱中委員】  資料2の事務局案に返還例として,35年間返還した場合の返還総額というのが示されています。例えば返還月額を3,000円に設定してしまうと,現在,人数が一番多いであろう私立の自宅生という方の貸与総額がたしか260万弱でしたかね。返還月額を3,000円にすると,35年かけても126万,つまり半分しか返せないことになります。このように最初から返還されないことを前提にした制度設計をしてよいのかと,そういう趣旨でこの数字を出されたのではないかと思うのですが。趣旨はわかりますが,この仕組みを導入する以上未返還額が発生するのはしようがないのではないかと思います。35年で均等に割り算すると多分6,500円ぐらいになるはずです。それならば,6,500円から7,000円ぐらいを最低下限月額とすればいいのか。ただし,そうすると,今現在行っている減額返還制度の返還月額と同じになってしまいます。わざわざ返還者の所得を全部把握して,それに応じた返還額を決めて返還をお願いするというような複雑な仕組みを新たに導入する必要があるのかということになりはしないかと思うわけです。といったことを考えると,この6,500円,7,000円というのは高過ぎで,もし下限月額を設定するのであればもっと低い額,1,000円,2,000円というのが妥当で,それより高いというのは,制度の導入目的から考えてちょっとあり得ないかなという感じはします。


 【小林主査】  ありがとうございました。1,000円,2,000円ということが出たわけですが,ほかに御意見ございませんでしょうか。この辺が難しいところで,返還例としてありますように,濱中委員からありましたように,余り低いと回収が遅くなってしまう,ただし,ずっとこのような低い所得の人の場合ということになりますけれども,そういうことが起こり得るということですけれども,いかがでしょうか。

 不動委員,こういうときに,ローンではないのですけれども,先ほど申し上げましたように,人によって全然負担感って違うと思いますが,一般的に言って,例えば,学生のローンと言いますか,奨学金の返還ということになりますと,適切というか,最低額としてあり得るかということについて御意見はございませんでしょうか。


 【不動委員】  私も相場感はないですけれども,1,000円,2,000円ということですと,コスト倒れになってしまうんではないかなという気もしますので,先ほどおっしゃった二百何十万円というのが平均で借りておられるんであれば,最低でもここで例示されているような5,000円ぐらいになるんではないかと思いますし,先ほど,この資料2の別紙のところで,25歳~29歳の方が,300万未満の方が64%いらっしゃるということで言うと,ほとんどの方が返還猶予制度を使えば返還しなくていいということになるわけですので,最低額はやはりある程度決めておくべきなんじゃないかなと思います。


 【小林主査】  もう少し高めの設定の方がよろしいのではないかという御意見ですが。2つ異なる意見が今出ているわけですが,いかがでしょうか。


 【赤井委員】  済みません,ちょっと遅れてきたもので,今までの議論が分かっていないかもしれないんですけれども,35年というのはフィックスということでいいんですか。


 【小林主査】  いえ,次の問題として,いつまでかというのは10番でやります。


 【赤井委員】  長ければもちろんまた変わってきますよね。


 【小林主査】  はい。議論がそれぞれ関連しているものですから,今,6番と8番という形でやっているんですけれども,当然10番とも関係しています。


 【赤井委員】35年を延ばせるんだったら,もうちょっとという話になりますし,それが,ほかと比べるとしても35年がフィックスだとすれば,あとは,高くすれば返ってくる量が多いし,安くすれば少なくなるしということなので。あと,これ,足りない部分は税金で埋めるということですか。


 【小林主査】  現行の制度設計だとそういうことになります。


 【赤井委員】  なので,本人にどこまで,低所得という人のところにいわゆる税でどのぐらい補助するのかという観点になると思うので,そういう視点で,国民がどういうのが納得できる範囲なのかというところが議論になると思います。


 【小林主査】  ありがとうございました。少し御説明いたしますと,シミュレーションをやっていただくことの前提条件を議論しておりまして,今御質問にあったどのくらいの負担なのか,言い換えればどの程度回収できるかについてのシミュレーションをこれからやっていくわけですけれども,その前提条件を決めないとシミュレーションもできない。シミュレーションについては何種類か,パラメータを変えてできるわけですから,それでやっていただけると思うのですけれども,それにしても何らかの決めをここでやっておかないとできないということで議論しているわけです。それで,意見として出たのが,2,000円と5,000円ぐらいまでだったらどうか,それから,10番のところも,どのくらい期間を設定するかということも当然関わってきますので,そのあたりのことを議論したいと思います。


 【宗野顧問弁護士】  今の最低月額というところなんですけれども,これがこちらの資料2の別紙1の赤枠の,申請により返還猶予が可能な範囲の最低月額という話であれば,例えば,その期間中,もともと猶予されたら全部返さなくていいところなので,そこが例えば35年続いても完済しない,それは別にかまわないとは思うんですけれども,この300万を超えた段階からの最低月額という話であれば,35年で回収できるぐらいの制度設計にしないと,ちょっとまずいんじゃないかと思いますけれども。


 【小林主査】  この問題は,先ほど少し申しましたが,相互に関連しておりまして,現行の制度は確かに300万以下ならば申請により猶予ですけれども,この青い新しい形の場合に,それを適用するかどうかはまだ決まっていない。本来の所得連動型の趣旨から言いますと,100万~300万のところ点線になっていますけれども,この部分の猶予申請を認めるかというのは,先ほど,ただしのところであった部分ですけれども,これを認めますと,ここでスパッと切れてしまう。こういうラインになるわけです。ですから,そうしますと,回収額は当然,返還猶予された分だけ減りますので,そこを認めるかどうかというのは実は大きな論点です。ですから,相互に関連しているので非常にややこしいわけです。

 これはシミュレーションの前提ですので,また返っていただいて結構ですけれども,2,000円~5,000円という2つのが出ましたので,そのあたりでシミュレーションをしていただくということで進めたいと思いますが,いかがでしょうか。

はい,ありがとうございました。そうしましたら,9番については,9%ということで,これは大体この程度かなということだと思うのですけれども。これ,イギリスが9%になっています。案2として,所得の上昇に応じて返還率も上昇するというのは,オーストラリアのフィックスがこういう仕組みですけれども,実は私の方で前回お出しした簡単なシミュレーションですけど,それをやってみたところ,返還率を上げたところで余り大きな変化はないのです。というのは,所得の低い人たちで傾きが変わるだけなので,実は回収額は余り変わらない。返せる人は早く返してしまうということになるので,返還のスピードは変わりますけれども。ですから,一応9%でシミュレーションやっていけばいいのではないかと思うのですが,よろしいでしょうか。


 【赤井委員】  余り変わらないというのは,この400万の世帯が多いからという意味ですか,マクロ的に変わらないという。


 【小林主査】  はい,今回出した新しい資料の方で見ていただきたいと思うのですけれども,かなり300万以下のところが多いのです。特に若いうちはそれが多いですから,その部分が,1%,2%変えても返還額が若干変わるだけなので,余り変わらない。


 【赤井委員】  はい,そういう趣旨ならいいと思うんですけれども,この変えるというところにも,新しい制度の魅力があるのかなと思っていたんですけれども。全くフラットじゃなくて,パーセント一定でもだんだん上がっていくところは所得連動に意味があるということですね。分かりました。


 【小林主査】  これは参考までに申し上げますと,率が一定の場合には,所得に対する返還額の比率というのは実は漸減するのです,率で見た場合ですね。ですから,オーストラリアなんか,それが大体一定になるように作ってあるわけですけど,そういう制度設計しても余り変わらないということと,かなり複雑なシミュレーションになりますので,9%あたりがいいのかなと。可能であれば,少し違うパーセントで計算してもらってもいいと思いますが,余り変わらないと思います。


 【赤井委員】  お任せします。


 【濱中委員】  率を変えても変わらないという話についてなのですが,シミュレーション上,2つの話が混ざっているように感じます。9%をもう少し上げて,10にするか11にするかといったように返還率を一律に変える,つまり全員の返還月額を上げていくかという話と,所得に応じて返還率のカーブを急にするかという話はちょっと違っていませんか。どちらにしても実は余り変わらないと思いますけど,今はどちらの話をされていたんですか。


 【小林主査】  どちらも変わらないという意味です。つまり,どういうことかと言うと,返還のスピードは当然速くなりますから,率が上がったり,所得の高い方のカーブをきつくすればですが,累進性を上げていくわけですから,早く返せるようになりますけれども,所得の低い人たちの方には,返還額が若干変わるだけですから余り変わらない,そういう意味です。


 【赤井委員】  スピードは変わるということですか。で,変わらないのは,返還する額が変わらないということですか。


 【小林主査】  所得の低い人たちが余り変わらない,回収額という意味ではそれほど変わらないということです。


 【赤井委員】  それほど変わらない。例えば,この傾き,300万のところだと余り変わらないということですけど,今のフラットの1万4,400に比べると下がるんですよね,300の人は。で,35年で全部返す,まあ,1,500円だったら返せるんですかね。そこのバランスなんですかね。


 【小林主査】  これは,当然,賃金プロファイル,所得プロファイルを仮定して考えていますので,若いうちは低くて,だんだん上がっていくということを考えていますので,そういったシミュレーションで,それに応じて返還額が決まっていく。それを計算してもらう,そういうことをやるわけですけれども。この図で言いますと,100万から300万のところが少し傾きが変わるんですけれども,ここにとどまっている人たちは,無業者とか低所得の方たちもいますので,その人たちからは取れないということです,多分,率を変えてもほとんど取れないです。このモデル図で言えば100万以下のところは傾きは全然関係ない,それが一番分かりやすいと思います。


 【赤井委員】  済みません,僕ばかり。ちょっと分からなかったのは,変えても変わらないんだったら,9%でも8%でも7%でもいいということになるんですかね。9%がいいという根拠は,諸外国で9%だから。でも,変わるのは,上の方が大きく変わりますよね,9にするかしないか。だから,早く返してもらうのは,大きく変わる,高所得者の,早く返してもらう範囲が何が望ましいのかという方から8,9,10を選ぶ方がいいんじゃないですか。変わらないところで見るよりも,変わるところから9の望ましさというのが出てくるんじゃないですか。早く返すことのメリット・デメリットみたいなのをどうはかるのかは議論しないんですか。


 【小林主査】  それは回収側の議論ですので,早く返してもらった方がいいということはあるとは当然思いますけど,ただ,どの程度速くなるから回収額が増えるかということについては,シミュレーションやらないと分からないと思います。それほど,まだ見たわけではないのですけど,簡易的なシミュレーションで見る限りはそれほど変わらないです。


 【赤井委員】  早く返す人の度合いみたいなので若干でも差が出たら,その中で8がいいか9がいいか10がいいかというのを選ぶ理由が出てくるんじゃないですかね。確かに300の人は余り変わらないかもしれないけど,逆に9が望ましいということを,その変わる方から議論できるような気が。


 【小林主査】  ええ,それは当然そういう議論はできると思います。9%というのは,先ほど申しましたように,イギリスが9%ということが根拠で,それ以外は逆に言えば余りないのですけれども。10%はアメリカ,もともとは15%だったのですけれど,今現在10%になっています。HECSは先ほど言いましたように所得に応じて累進性が変わっていくという仕組みですので,確かに8,9,10%とか漸増します。私も実は15%までやってみたのですけれども,確かに回収額は15%まで行くとかなり変わるんですけれども,低い方の人たちは回収できない。


 【赤井委員】  いやいやもちろんそうなんですけど,低い人の話はどれでも変わらないから,じゃあ,何がいいんだって根拠が余りないので,その根拠を変わる方の高い人の中から見付ける方が説明しやすいんじゃないかと。


 【小林主査】  分かりました。では,そういう形で少し考えさせていただきたいと思います。ただ,今度は負担感の問題になるのです。15%も取られるというように考えられる。これで見ていただいてお分かりのように,15%になりますと,年収が600万,700万,800万ぐらいの人になるとかなり高くなります。


 【吉田委員】  今,アメリカの話が出たので,意見なんですけれども,アメリカも確かに10%なんですが,標準型の返還額を超えないという条件がついています。ですので,この図ですと,400万を超えたところで定額返還額のオレンジのラインを青のラインが超えていくんですが,アメリカではここは超えないということになります。ですから,回収側から言いますと,回収が遅くなることになると思いますが,そういうシミュレーションは考えておられないんでしょうか。


 【小林主査】  アメリカはかなり複雑な制度で分かりにくいのですが,このブルーとレッドのラインがクロスしたところの後の所得は一定額になってしまうのです,青い方に伸びていかないのです。


 【赤井委員】  こういうふうになるんですか。


 【小林主査】  ええ,そういう設計になっているのです。


 【赤井委員】  じゃあ,明らかに今より低くなる。


 【小林主査】  もちろん,回収額はものすごく低くなります。ですから,それもシミュレーションをやっていただいてもいいのですけれども,かなり低くなるのではないかと思います。


 【濱中委員】  結局のところ,資料2(別紙)1の定額返還型のオレンジの線と新所得連動型の青い線がどこで交わるかというのが非常に大切だということです。この資料では今これ多分9%で計算されているのだと思いますが,これを10,11,12,15と上げていくと,だんだん左の方に交点が移動するわけです。このオレンジの線とブルーの線の差が,新所得連動型を選んだときの返還者にとってのメリットなので,もし,交点が左側に寄ってしまうと,300~400万円の平均的な所得層において現行の定額返還型よりも返還月額がむしろ高くなってしまい,選択制にしたところで誰も新所得連動型を選ばないはずです。確かに先ほどのアメリカ方式のように,交ざったところから返還月額を上げないというのであれば別ですけど,それだとほとんどの返還者にとって現行の定額返還方式による返還月額と何も変わらないことになってしまいます。返還者の所得の分布を考えると,この資料のように収入400万円を超えたあたりが交点になるような10%か9%ぐらいが妥当なところなんだろうなと思います。


 【小林主査】  ありがとうございました。所得連動型が,図で見ていただいてお分かりのように,2つ三角形がありまして,300万円を境に低い方からも取れるという設計になっているということで,逆に300万から青い線の交点に当たる四百数十万のところまでの人がかえって減額になる,それがメリットと言えばメリットなので,それがオレンジとブルーの違いだと思います。


 【赤井委員】  すみません,じゃあ,高所得者の人で所得連動を選ぶ人は,要は早く返したい人が選ぶということでいいんですか,インセンティブ的には。返す総額は一緒ですよね。


 【小林主査】  はい,インセンティブ的には早く返せるということです。


 【赤井委員】  前も議論したんですけど,額が一定であれば,その年度の額が増えても労働には余り影響を与えないと思うので,額にもよるとは思いますけど,負担感はこのレベルだとそんなにないし,逆に負担感を感じない人が青を選んでいるという理解はできるのかなという気はします。


 【小林主査】  ですから,逆に負選択を起こさないという,余り高くなるとその問題が少し起きるかなと,それだけですけれど、9%,10%ぐらいだったら大丈夫だろうと想定しているということです。

 それから,先ほど吉田委員の方から説明があったアメリカ型ですが,ほかの国でも実はこういう形で,一定額を超えるとフラットになっているというのが,たしか,,オランダとか多分そういう形になっていると思いますけれども。考え方としてあります。これについては,シミュレーションをやっていただくことは可能だと思いますけれども,見ていただいてお分かりのように,相当回収額が低くなりますので,ここではこのタイプは想定していないと私としては考えています。


 【不動委員】  すみません,1点,そもそも論なんですけれども,これ無利子じゃないですか,無利子だと,基本,返還したいというインセンティブはなくて,できるだけ長く借りておきたいということだと思うんですけれども,所得が上がっていくにつれて返還額をたくさん,大きくして,返還したいと思う人が本当に現れるのかなという疑問があるんですが,これはどうなんでしょうか。


 【小林主査】  それは非常に重要な問題でありまして,借金を早く返したいというのがインセンティブにあるわけですけど,それ以外に今のところは余り大きなインセンティブはないです。


 【赤井委員】  借金自体があるのが嫌だという人は早く返すし,気にしない人は,合理的には,利子がない限り後で返した方が特ですよね。自分で持っていれば,どこに預ける利子があるとしたら,生涯所得的には,できるだけ遅く返す方が特だと思います。


 【濱中委員】  ただどちらかを選択すると言っても,選ぶ時点は入学時か,せいぜい卒業時ですよね。つまり,将来の自分の所得がどうなるかほとんど分からない時点で選択するので,高所得者だからこっちを選ぶという判断にはならないと思うんですね。

 もう一つ言うと,今日,資料2(別紙2)を,無業者を入れた新しい版にしていただきましたが,これを見るとお分かりのとおり,奨学金の返還者は20代から30代前半ぐらいが数的には多くて,その年齢層で収入分布は,25~29歳で500万~600万が1%,30~34歳でも2%,それ以上の収入の者を足しても,せいぜい返還者のうちの二,三%にしかなりません。別紙1のグラフでは,高所得層の返還月額がかなり高くなるように描いてありますけど,実はグラフの右側ほとんど意味がない。実際それに該当する人はいないということです。問題はボリュームゾーンの方の返還をどうするかということですから,300~400万円台の返還がどうなるかというところに焦点を当てて議論するのが重要かなと思います。


 【小林主査】  ありがとうございました。ここはかなり要の議論なので,かつてはJASSOでは報奨金というような制度で繰上げ返還という形がありましたけれども,それが現在ないということです。ですから,金融的に見れば,早く返すメリットというのは余りないという問題点であると思います。


 【赤井委員】  これ,並行して一定型もあるということですけど,将来的には定額はなくしていくとか,それとも,ずっと並行していくんですか。


 【小林主査】  先ほど最初に赤井委員が来られる前に少し議論したんですけど,一応2つですね,あるいは現行制度を残すかどうか3つです。それについては,ブルーのラインを議論して,その上でまた議論したいということでペンディングになっています。


 【赤井委員】  将来青に一本化していくというんだったら,青を入れる意義もあるんでしょうけど,ずっと両方で行くとなると,青の議論がどうなのかというのはあります。


 【宗野顧問弁護士】  奨学金の借りる方というのか,基本的にはスタートは借りるという形で所得がないと。借りる段階では,まだ将来高所得を得られるかどうか不透明な状態にあると。そのときに,将来に不安を持たずに借りられるようにするというのが,この青のライン,少ないときはこれでと。ある程度稼ぐようになったら,負担が来てもしようがないというふうな形で借りる方がターゲットになると。ある程度,将来私は高所得になると自信があるんであれば,その方はオレンジのラインを選ぶんでしょうけれども,現行奨学金を借りる,将来の就職がなかなか不透明な中で,不安を持たずに借りて,実際に所得が増えないときの負担を増やさないという趣旨で,青のラインと,オレンジのラインが両立するというのは,合理性の話とは別として,借りる側(がわ)の心理的な要素としては十分あり得る話かなと思いますけれども。


 【小林主査】  ありがとうございました。初めに言った所得連動型が保険の機能を持っているということだろうと思うのですけれども,そういった将来の不安定な時代で年収とかが一定でないということもありますので,そういったことにも対応できるという意味で,ブルーのラインの新所得連動型を考えているということだと思います。

 3つのタイプをどうするかというのは,先ほど申し上げましたとおり,後でまた議論したいと思っていますので,そのときにまた,将来的にはA型の方が,新所得連動型の方がよろしいということであれば,またそれは御意見として留意していきたいと思います。

 では,とりあえず9%でシミュレーションし,ほかの形でもできるということだと思いますので,8,9,10ぐらいで考えて,金額も余り変わらないのではないかと思いますけれども,シミュレーションではそういうことを考えていきたいと思います。ありがとうございました。

 10番も非常に関連した議論ですが,最長の返還期間ということです。これは必ずしも回収の問題だけではなくて,実際どのように新しい制度を見るかという問題ですけれども,現行は設定がないということで,奨学生本人が死亡するまで続くわけですが,普通に返していれば最長でも35年になるわけです。それについて,それと同じような形にするのか,一定期間で区切るのかと。上に各国の例も出してありますけれども,これについてどのように考えるかということで。これは保証料をどうするかという問題とは別の問題とも絡んできますので,これもかなり難しい議論ですけれども,これについて御意見をいただければと思います。


 【阪本委員】  考え方としては恐らくこの35年のような期間を区切って考えるか,あるいは期間を設定しないというふうに考えるか,もう一つあると思うのは,年金の受給の開始年齢に合わせるというのが1つあるだろうと思います。もちろん,今,税金も年金からかかるということなので,合理性がどこにあるのかというのは難しいところなんですけれども,1つの考え方としてはそれを入れることができると思います。


 【小林主査】  年金開始年齢が変われば,それに応じて変えていくという,そういう設計にするということですか。御存じかと思いますが,前回も話したと思いますが,アメリカでは年金からでも取るという非情な連邦最高裁判決が出ているのですけれども,現行制度ではそれが可能なわけです。だから,それは趣旨としては,年金生活者から取る,返還を求めるのはやり過ぎだろうという趣旨でしょうか。


 【阪本委員】  まさにそのとおりです。


 【小林主査】  将来的には年金支給開始年齢が上がることが予想されているわけでありますけれども,65歳が70歳になったら70歳にすると,そういう案ということですね。ほかにいかがでしょうか。


 【阪本委員】  補足なんですけれども,少し返還率のところとも影響は考えるんですけれども,今の発言の趣旨のもう一つは,返済期間を長くすれば長くするほど,今度は返還率を下げることも実際には可能なわけで,そういうことを考えると,もちろん,死亡時というのでもいいんですけれども,ちょっと死亡時ではというのがありますので,長くするんだったら年金受給開始のところでという,返済期間が個人ごとに異なってしまいますので,その点難しい部分はあるかと思うんですが,一定,合理性はあるかなということです。


 【小林主査】  新しい提案ですが,いかがでしょうか。3種類出ていたわけですね,35年あるいは一定期間にする,年金開始支給年齢に合わせる,それから,現行のとおりという3種類ですが,いかがでしょうか。


 【宗野顧問弁護士】  年金の受給年齢をという話なんですけれども,今そういった学び直しと言いますか,1回社会に出た後でもう一回戻ってくるという方がいたときにその期間が短くなる。もう一つ,奨学金の貸与自体に年齢制限がないので,例えば60歳の方が定年になって大学に入って奨学金をもらうみたいな話になったときに,じゃあ一切返さなくていいのかみたいな話が出てくると,その方に35年かけてもしようがないというのはそうなんですけれども,例えば一定の年齢を超えちゃうと,その方は貸さないという話になるのか,要は,例えば,年金受給年齢70歳とした場合に,75歳の方が改めて心機一転大学に入るよと言われたときに,奨学金をあげるようなものになっちゃうという形だと思うんですけど。


 【小林主査】  現行について,まず御説明お願いします。


 【藤森奨学事業戦略部長】  現行では,議論はしているところなんですけれども,実際にはそういった年齢の制限というのは特に設けていないのが実態です。


 【宗野顧問弁護士】  年齢をもって今みたいな免除はしていないわけなんで,要は70歳以降に返還,貸与が終わったら20年かけて返すみたいな話。


 【藤森奨学事業戦略部長】  そのまま適用すればそういうことになります。


 【宗野顧問弁護士】  最初からあげることを前提とした制度にはならない。


 【赤井委員】60歳の人が借りると95まで払わされる。


 【藤森奨学事業戦略部長】  ただ,今のやり方では,大学から,学校から推薦していただきますので,そういった方が奨学生として本当にふさわしいかどうかという別の問題ももちろんございますけれども。


 【小林主査】  これは話が複雑になりますので論点に入っていなかったのですけれども,重要な問題で,実は一番初めの論点として入っていた問題で,イギリスの場合は50歳を超えると奨学金が支給できないという年齢制限をかけているのですが,そういうことがいいのかどうかということも含めて問題があるので,確かに年金開始年齢ということになると,35年という返還と確かに矛盾するので,そのあたりどうするかという問題が出てきます。


 【赤井委員】  どちらか長い方……。


 【濱中委員】  資料の書き方が余りよくないのかもしれません。所得連動型にとって返還期間が重要なのは,例えば35年なら35年でもいいし65歳でもいいのですが,そのときに残っている残額を免除するかどうかということに関わるからであって,年数の問題ではないのですよね。免除されるかどうか,返還者にとって,それが一番重要な問題で,資料には通常返還の場合は35年と書いてありますけど,現行制度では35年で払い終わっていなくても免除されるわけじゃないですよね。途中で延滞期間があれば,35年を超えていつまでも請求され続けるわけですから。したがって,そもそも現行制度の返還期間と比べること自体意味がないのかなと。ここで議論のポイントは,免除をどうするかということではないかと思います。


 【小林主査】  確かに2つ問題があるということです。期間をどうするかという問題と,そのときに,イギリスの場合は打切りです。オーストラリアの場合は,本人が死亡すれば残りの負債は免除と。アメリカの場合も10年~25年で,残りの債務は免除になるという,そういう仕組みは持っているわけですけれども,それを認めるかどうかが議論するべきだという御提案だと思います。そのことを含めていかがでしょうか。

現行制度について濱中委員からありましたけれども,もう一度説明して,2つ,機関保証と保証人の場合とありますけれども,現行制度の場合,設定なしということですけれども,残った場合どうするかということ御説明いただけないでしょうか。


 【藤森奨学事業戦略部長】  要するに延滞になれば,機関保証の場合の代理弁済,それから,連帯保証人,保証人がいれば,そちらの方に請求をするということはあります。ただ,例えば,猶予の手続をされるとか,それから,ずうっと少しずつ返されるとかいう形で長く残るケースもあります。そういう場合には,民法上の債権債務関係ですので,例えば,亡くなられれば相続人の方に相続されるというのが立て付けとしては残ります。ただ,現行の場合,本人が死亡した場合に死亡免除という制度がございます。それが相続人等からの申請で免除になる,そこで終わりということは1つの制度としてございます。


 【小林主査】  今の御説明でありましたように,制度としてはあるということですけれども,これを期間で認めるかどうかということと,その期間をどのくらいにするかですね。これはシミュレーションのときに期間を区切らないとできないわけですね,現実の問題として,いつまでやるかということがありますので,例えば,本人が死亡するまでと言っても,現実の問題としてどこかで区切らないといけないということなので。この問題,シミュレーションの前提として,例えば35年でやっていただくということで,とにかく試算を出していただかないと進めないので,それをやっていただくということでよろしいでしょうか。

 ただ,これは,御存じかと思いますけれども,12のプロファイルを見ますと,65歳以上で所得の高い方はほとんどいないですね。だから,これを延ばしたところで余り大きな影響はないと思います。

 それからもう一つ問題点として,賃金センサスにしろ就業構造基本調査にしろ,高齢者の所得の把握はかなり難しくて,データにかなり妥当性があるかということもありますので,その辺も含めて少し事務局と私の方でシミュレーションをどうするかということを、現行の本人死亡時までの設定というのは難しいので,35年でとにかくやってもらうということでいかがでしょうか。

 ありがとうございました。大体決まったわけですが,11のところで,所得の算出方法ということで,これも大体決まったわけですが,1つ入っているのは,家族主義かどうかということの関係で,扶養控除を入れるということで考えているのですが,このあたりのことはいかがでしょうか,できるだけ控除するということで。これは実は諸外国の例を見ると,これも扱いは様々で,こういったものを入れているところもあれば,入れていないところもあるのですが。原案としては,課税対象所得は給与所得から様々な所得控除を除いたものを基礎にして計算することになっていますが,これでよろしいでしょうか。


 【赤井委員】  この中身は今後精査ということですか。


 【小林主査】  ええ,シミュレーションする場合にどこまでをやるかという問題もありますので,ここにありますように,現行では給与所得,それから基礎控除,社会保険料控除,扶養控除あたりが。


 【赤井委員】  シミュレーションにおいては,例えば,何歳の子供が何人いるとか,その子供が高校生か大学生かとか,いろいろそういうので変わってくるので,モデルケースを,税制とかでは,モデルの関係を何パターンか作ってやっているというのが多いと思うので,一番標準的なのはそういうモデル関係でやるということでしょうかね。


 【濱中委員】  ええ,ただ,これは奨学金の返還なので,基本的には20代から30代前半ぐらいの人がほとんどなんですね。そのことを踏まえますと,国税の扶養控除については,年少の扶養控除が無くなってしまいましたので,あるとしたら,配偶者が専業主婦である場合の扶養控除ぐらいです。ここに上がっている,一般的に誰でも適用されるであろう,基礎控除,給与所得控除,社会保険料控除以外のものはそんなにはないと思われるので,シミュレーションの段階では考慮しなくていいかなと。実際に業務として運用する場合にはその他の控除も考慮することにはなると思いますが。


 【赤井委員】20代からライフサイクルで全部やるんですよね,六十何歳まで。ということは,50歳ぐらいになったら子供は……。


 【濱中委員】  ただ,標準的な所得の方は実は現行制度と同じ年数で返還することになるので,30代半ばぐらいまでに返還が終わってしまうんですね。若い頃からずうっと低所得の人の場合のみ,子供が大きくなって更に控除が適用されると課税対象所得がますます低くなるのでやはり返還しなくても良いという,多分そういうシミュレーションになるはずですが,今回はそこまで考慮しなくてもいいのかなと,シミュレーションの段階についてはそう思います。分かりやすさから言っても,役所が証明してくれる課税対象所得に合わせて,そこから返還額を計算するというのが,税制が公平だということを前提にすれば,それが最も合理的だろうと思います。


 【赤井委員】  新たに計算するの大変ですからね。


 【小林主査】  分かりました。それでは,この課税対象所得ということでシミュレーションをやっていただいて,余り複雑なことをやり過ぎるとかえって分かりにくくなりますから,シンプルな形で考えていくということで,やっていきたいと思います。ありがとうございました。

 それから,次の論点,非常に大きな論点ですが,これもシミュレーションということで今回考えていただきたいんですけれども,つまりどういうことかと申しますと,専業主婦問題ですね,専業主婦については,配偶者の所得を仮定して計算するのか,それとも,専業主婦は,収入がないんだから,この人は0ということで,返還がないと考えて計算するかという問題です。これについてはいかがでしょうか。両方やっていただくと有り難いですけど。

 これも決着ついていない問題で,非常に大きな問題ですけれども,シミュレーションの前提としては両方やっていただくということで,どう変わるかを見るということでよろしいでしょうか。ありがとうございました。

 それでは最後に保証制度の問題ですけれども,これも大きな問題で,人的保証と機関保証の選択制ということで現行はなっているわけですけれども,これについてどうするのかという大きな問題が残っております。実際,保証期間がかなり長くなりますから,保証料も現行とは異なることも予想されるわけでありますけれども,こういった点について,そもそも保証制度というのはどういうものかについて資料を用意していただいておりますので,事務局の方から御説明いただければと思います。


 【甲野理事】  それでは御説明させていただきます。資料として概要としてまとめたものが縦長で用意してございますので,これに基づいて説明をさせていただきます。資料4でございます。この機関保証制度の目的でございますけれども,この1行目にありますように,自らの意志と責任において学ぶことができるよう,一定の保証料を保証機関に支払うことによって貸与が受けられるようにということで設けられたものでございます。そして,実施主体でございますけれども,これは保証機関でございますが,公益財団法人日本国際教育支援協会でございます。具体的な制度の対象でございますけれども,平成16年度の貸与からこれが導入されたものでございまして,この年以降に奨学金を受けた,採用された者でございます。奨学金申込時に人的保証又は機関保証を任意で選択するものでございます。発足当初におきましては,やはりこの機関保証を選択する人は少なかったわけでございますけれども,最後の8にございますけれども,加入率は,平成26年度実績によりますと,機関保証は徐々に数字は上がっておりまして,46.3%,50%に近い状態になっているところでございます。この保証の範囲でございますけれども,元金と利息,延滞金全体がこの範囲に含まれるわけでございます。保証の期間でございますけれども,在学中,返還中,最長20年間でございます。問題となりますこの保証料の水準でございますけれども,最高で0.7%未満とありますけれども,0.69%が当面の年率として最高の上限ということでございます。これは具体的には貸与月額が6万4,000円,これは無利子で私立の自宅外の場合でございますけれども,保証料は月額3,137円となりまして,この毎月支払われる貸与月額からこれを控除した形で保証料をお支払いいただくという形で,これを徴収させていただいているところでございます。今,先んじて申し上げましたけれども,7番でございますが,そのような形で徴収させていただいているところでございます。

 以上が機関保証制度の概要でございます。


 【小林主査】  ありがとうございました。今の御説明に対して御質問等ございませんでしょうか。


 【赤井委員】  この機関保証でどのぐらい回収できるんですか。


 【藤森奨学事業戦略部長】  今日お手元に参考資料ということで,クリップどめの束の最後のところに厚いカバーがございます。御確認いただけますでしょうか。こういう大きいダブルクリップの,最後に,機関保証制度についてという資料を用意させていただいて,そのまさに最後のページのところに,この間の事業の制度の推移がございます。ここに,代位弁済額として,青い色のところですけれども,144億1,400万円,これが平成26年度の代位弁済額というところまで来ておるところでございます。お答えとして。


 【赤井委員】  はいはい,これ,金融機関だったら破綻みたいなところで出てくると思うんですけど,代位弁済するのは,本人からの回収が不可能と判断しているということですね。それはどういう段階ですか。


 【藤森奨学事業戦略部長】  私どもの制度の場合,あらかじめ御本人からいわゆる信用の調査ということをしておりません,奨学金の性質上,そのかわりと申しては何ですが,返還が始まってから一定の,12か月間督促をいたしまして,それでもなおかつ返ってこない場合に,13か月目以降に代位弁済をしていただくというやり方をとっております。


 【赤井委員】  それは書面だけですか。督促はどういう。


 【藤森奨学事業戦略部長】  書面だけではないです。督促は,例えば,いわゆるサービサー,もちろん,電話の督促とかも,振替不納になった段階で1か月目から電話督促をやっていく。それからあと,一定の期間たつとサービサーに預けてそこから督促をしてもらうということを繰り返して,返ってこない場合に,機関保証の代位弁済を請求していくことになります。


 【小林主査】  よろしいですか。

 私の方から1点。返還期間最長20年ということですけれども,どのように決められるんでしょうか。


 【藤森奨学事業戦略部長】  現行ですと,もともとの約定の期間としては,最長20年の期間の中で,御本人が借りた貸与の総額に応じて一定の期間が決まってくる表がありまして,その期間に応じて,当然,月額が決まってくるというやり方をとっております。


 【小林主査】  そうすると,返還中というのは,返還中に最長20年という理解でよろしいのですね。在学中と合わせてじゃなくて。


 【藤森奨学事業戦略部長】  在学中と合わせてじゃなくて,卒業後,返還が始まって,最長20年間で返していただくというのが当初の約定ということです。


 【小林主査】  つまり,奨学金の金額に応じて返還期間が決まり,その返還期間中は保証がつくと,そういう理解でよろしいわけですね。


 【藤森奨学事業戦略部長】  そのとおりです。本来ですと,貸与が始まったところからリスクはありますので,保証としては始まってはおりますけれども,実際返還が始まるのは,学校を卒業なり退学なりされてからということになります。


 【小林主査】  分かりました。それで,所得連動返還型の場合ですと,返還期間が定まらない,長くなる,先ほど35年と1度シミュレーションすると申し上げましたけれども,保証期間も当然長期化することになります。ですから,その場合,保証料の水準というのは,単純に言うと,年数を掛けていくことになりますから,かなり上がることが予想されるということですが,そういう理解でよろしいでしょうか。


 【濱中委員】  そんなに単純ではなくて,期間を延長する分,保証料を上げなければならないという側面もありますが,一方で今回の新所得連動型は,先ほどの青いカーブを調整することによって途中で延滞にならない仕組みを設ける,言い換えれば代位弁済が起こらない仕組みを設けようということですから,そのいう意味では保証料は下がなければならないという考え方もあるはずです。必ずしも単純に保証料が上がるというものではないと思います。


 【小林主査】  両方の要素があるということなので,保証料はどうなるか単純にはいかないというお話だったのですが,そうすると,それはシミュレーション的にはできるのですか。その辺がよく分からないのですけれども。所得連動型にするときに実際問題,保証料をどうするかという問題を決めなければいけないと思うのですけれども。


 【阪本委員】  今の濱中委員のおっしゃったことを考えると,結局は今の代位弁済というのがどういう状況で起こっているのかということがすごく大事で,例えば,あとちょっとのところで返せるんだけどという人が多いんだったらという側面と,いや,もうそもそも返す気がない人たちが多いというのでは全然違う話になりますので。なので,これって難しいですよね。だから,現行どおりでシミュレーションしてみるしかないような気も僕はするんですけれども。


 【小林主査】  シミュレーション上は多分それしかできないと思います,仮定できないので。ただ,次の問題としてこの問題が残ってくるということですね。

 もう一つ大きな問題として,きょうは十分時間がないので議論できないと思いますけれども,そもそも人的保証ができるかどうかという問題もあります。返還の期間が長期化することが予想されますので,連帯保証人を立てることが非常に難しくなる。連帯保証人を切り替えるというようなことになるわけですね,人的保証になると。その場合は,そういうことをやられているのですか。


 【藤森奨学事業戦略部長】  ルールとしては,例えば,連帯保証人の方が亡くなられたときには,新しい連帯保証人を立てていただくことをお願いするということはやっております。ただ,実態として,相当高齢になったり,延滞していたりするので,なかなか難しい部分はあるかもしれませんけれども,そういうふうになっております。


 【小林主査】  それから,現行ではいつ選択するかという問題ですけれども,機関保証か人的保証かということは,卒業時でしょうか。


 【藤森奨学事業戦略部長】  基本的に一番初めに申込みのときに機関保証を選ばれるか人的保証を選ばれるか。月々の送金を差し上げる中から保証料を分割して払っていただくというやり方をとっております。ですから,逆にそれ以降でも保証料をまとめて払っていただけさえすれば,人的保証から機関保証に移っていただくことは可能という制度になっております。


 【小林主査】  逆はできるのですか。


 【藤森奨学事業戦略部長】  逆は今のところ御遠慮いただいております。


 【小林主査】  保証制度についてはそういう形になっているということなんですが,これについてほかに御意見ございませんでしょうか。


 【甲野理事】  これは所得連動返還型の制度に限らず,奨学金全般について言える話でございまして,そういう観点から御配慮と言いますか,気に留(と)めていただければという意見なんですけれども,そもそも一般的に人的保証と機関保証ということを考えてみると,人的保証については,もう廃止あるいは縮小して廃止の方向に行った方がいいのではないかという考え方がございます。私どももそのような形で考えているところでございます。それはどういうことかと言いますと,人的保証は,今,全般的に民法の改正の中でも議論されてきましたけれども,縮小する方向に社会全体としてあると思います。また,実際,人的保証の場合,保証人となるのは親でございますので,経済能力が必ずしもあるわけではないですし,年数がたてば高齢になっていって支払能力も現実問題としてなくなってしまうということがあって,本当に保証人として意味があるのかという議論もございます。そうしたことから,私どもとしては,全面的にこれは将来的には機関保証に移行すべきではないかと考えているところでございます。それをこの段階で直ちに入れるかどうかという議論はあろうかとは思いますけれども,そうした点も考慮して議論を組み立てていっていただければ,大変有り難いと思っております。


 【小林主査】  ありがとうございました。今の御意見に対していかがでしょうか。人的保証よりも機関保証に移行すべきという御意見だったと思いますが。


 【阪本委員】  所得連動型に限らず,奨学金を入れるというのは,基本的には親の所得に影響されずに学ぶ機会を保障するという意味ですから,それから考えても,人的保証をとる限り,小さい範囲ではありますけれども,親の経済状況によって機会が制約されるという形にはなりますので,基本的には人的保証は少なくしていく方がよいのではないかと考えます。


 【小林主査】  ありがとうございました。ほかに御意見ございませんでしょうか。


 【赤井委員】  さっきの保証料とも関わるんですけど,最後のページを見ている限りでは,機関保証制度として財政というか,お金の回りとしては順調に回っているという理解でいいんですか。この額が増えていって,これ長期なのでこれだけで見られるか分からないですけど,でいっているということは,保証料が上回っていて黒字だという理解でよろしいんですか。


 【甲野理事】  これが健全にいっているかどうかという検証を,実は委員会を設けて毎年検証しておりまして,そこの委員会の検証の結果におきましては,現在の料率で進んでいると,今後10年でしたっけ,15年でしたっけ,長期にわたって安定的にいくのではないかと伺っています。


 【赤井委員】  難しいのは,余り黒字になり過ぎると保証料は高いという話になるし,赤字だとということで,ある程度にというところから保証料は決まってくると思うんですけれども。今後,人的保証をなくしていくとなると,機関保証100%になると,どういうふうにここに影響してくるんですかね。より多分しっかり,どっちの方向に行くんですかね,財政的には。それが保証料の値段,大きさというか,保証料自体にも影響してくると思うんですけど,その辺のシミュレーションみたいのはあるんですかね。


 【甲野理事】  ちょっとそこは,すみません,今詳しい資料が手元になくて。


 【赤井委員】  なくしていく方向だとおっしゃったので,それがこの運営と,あと保証料にどういう影響を与えるのかというところ,情報があるとその議論をしやすいかなと。きょうの話ではないと思いますが。


 【小林主査】  これは先ほど濱中委員が言われたように,代位弁済をどうなるかということで,予測ができないとなかなか難しいと思うのですけれど。ただ,現行制度のまま機関保証に移したらどうなるかということは,ある程度は予測は立てられると思うのですけど,そこは少々難しい。


 【赤井委員】  人的保証の方がどのぐらい代位弁済とかどうなっているのかというデータはありますか。ないんでしたっけ。いいですけど,その辺からまた議論していければ。


 【小林主査】  きょうは少し御紹介ということが主で,次回でも結構ですので,もしデータがあればまた宿題ということで出していただくということで。よろしいでしょうか。


 【濱中委員】  あんまり宿題を出すと大学の授業では学生に嫌がられますが,もしデータがあるのでしたら,現在,人的保証と機関保証の割合は半々ぐらいだったかと思いますが,人的保証と機関保証を選ぶときに何か特徴があるのかという点をお示し願えないかと。というのは,現行の保証料,3,000円位ですが,奨学生にとって低額とは言えませんから,もしかしたら,申請時の家計所得が低い人の方が人的保証を選ぶ傾向があるとか。逆に,そういう人は保証人を頼みやすい人がいないので機関保証を選ぶ傾向があるとか,何かもしそういう傾向みたいなものがあるのであれば,それをちょっとお出し願えれば有り難いのですけど。


 【甲野理事】  資料が調ったらまた。


 【小林主査】  よろしくお願いします。これは申請時の所得がありますから,人的保証を選んでいるのか,機関保証を選んでいるのかとか,属性別にどういう傾向があるかとか,そういうことはデータは次回お出しできるのではないかと思います。よろしくお願いいたします。

 その問題よろしいでしょうか。まだ決着ついていないのですが。

 それで,一応,ひとわたりいったんですけれども,また同じことを申し上げて恐縮ですが,全体が相互に関連しておりますので,あちらのことを議論すると,こちらの議論をしなければいけないという構造になっていますので,なかなか議論が収束しないようなところもあるんですが,きょうは一応これでシミュレーションをするという,これで決定ということではなくて,こういう形でシミュレーションするということについては,一応の合意が得られたのではないかと思います。

確認しますと,学校種については全て行うということで,奨学金の種類は無利子,それから,所得要件については全員に適用,特に財政負担について検討するということですね。それから,現行のままでいっても,どの程度財政負担ができるかということも併せて当然シミュレーションできるかと思います。4番については問題ないです,シミュレーションとは特に関係ないです。5番については,これも両方のタイプについてやっていただく。それから6番目については,これも300万で一応やると。それで,下のところにありますように,108万とか200万についても,可能であればやっていただくということだと思います。7番目については,2,000円と5,000円という形でシミュレーションを考えているということです。

 それから,8番目につきましては,300万で一応シミュレーションをやっていただく。9番については,9%を基準にしますけれども,可能であれば8%,10%という形でも考えていく。それから次回までに間に合えば,案2のシミュレーションをできるのであればやっていただく。

 返還期間については35年で切らないとできないと困るので,35年で考えたいと思います。

 11番については,課税対象所得ということで考える,ただし,余り複雑な関与とかいろいろなものを入れるというよりも,シンプルなモデルケースで考えていこうということで,シミュレーションをやる。

 それから12番については,専業主婦とか被扶養者の場合に,本人ではなくて扶養者の方の所得で考えるという,これ一応家族主義と呼びますけれども,家族主義と,その場合はやはり個人の方で所得がないなら所得がないという形で計算する,両方やっていただく。

 13番については,シミュレーションについて入れるのは難しいと思いますけれども,そういう形でやっていただいて,次回以降検討したいと思います。こういう形で進めるということでよろしいでしょうか。

 赤井先生,来る前に少し財政審の議論について事務局の方から御報告があったんですが。


 【八島課長補佐】2点ございまして,財投分科会での話なんですけれども,広く,広くというのは,今回,きょう出た話では,利子から始めていこうという話でしたが,有利子も含めて広くやっていくのがいいんではないかということ。

 あともう一つは,前回赤井先生から出ました,成功した者からは多く取ったらどうかという意見が出たということを御紹介させていただきました。


 【赤井委員】  最後にしゃべるのが……


【小林主査】  これ,前回私が説明したと思いますけれども,どちらかと言うと大卒税という考え方に近いわけであります。ずっと取り続けるという意味では。大卒税の場合,逆に言いますと,奨学生だけじゃなくて,大学卒業した者全員から取るという考え方ですから,少々違うわけですけれども。そのあたり,財政審でどういう議論があったかという……。


 【赤井委員】  分科会ですか。


 【小林主査】  分科会です。御意見があればお願いします。


 【赤井委員】  多分,議論している人は想像つきますが,経済学的な話になってくる。ここの一番初めに書いてありますけど,本当に低所得の人をみんなでサポートしていくというときに,税金でやるのか,実際に大学で成功した人がそれを賄うのかというところが1つのポイントで,大学で賄うとなると大学全体でということになるので,有利子にして,より高い利子を払わせて,その分で所得の低い人を賄う。そうすると,高学歴の人が,そもそも所得が高いことが期待される人は入らなくなるので,そこは全員で払わせる税か,強制的に全員奨学金を受けさせるか,そういうのが理想だと思いますけど,そこができないという話なので。ただ,そういうのを目指してほしいし,今後そういうのを目指していくような形を議論しながら進めていただければいいのかなと思います。できれば,先端的で,どうなるか分かりませんが,注目を浴びるんじゃないでしょうか。


 【濱中委員】  その点に関連していいですか。さすがに借りた額以上に返してもらうというのはあり得ないと思いますが,ただ,ざっと計算したことがあるんですけど,大学生全体で,1年間に1万円ぐらいを,奨学生だけでなく全ての学生で負担すれば,確かに未返還額の穴埋めができる程度の額になります。その場合,税金のように,大学へ行っていない人にも負担をさせるわけではないので,公費で穴埋めするよりはもう少し合理的と言えるのではないかという気もします。半分夢みたいな話で,実質的には授業料を上げることにつながるので,相当難しいと思いますけれども,全ての学生による負担という方法もアイデアとしてはあり得るのかなと思います。


 【赤井委員】  脱線ばっかりですけど,怒られそうですけど。運営費交付金の一部をそっちに回すと,事実上の,大学がその分負担しちゃうことになるんですけど,大学が負担するか,学生が負担するかになりますけど,一緒の大学がそれを,大学全体が,その交付金だと国立大学になっちゃいますけど,全体で賄って,それをするということになると,同じような話かもしれませんが。結局は,究極的なところは,大学に行く人のそういうのを,大学へ行った人で賄うか,国民全体で賄うかということになるんでしょうね。


 【小林主査】  一番初めに申し上げましたけれども,全員で賄うというのは,国民全体で言うとリスクシェアリングという考え方で,関係者だけだとリスクプーリングと一般に言われるのですけど,その選択をどうするかという問題だろうと思います。この議論も確かにこの会議の範囲を超えているところがあるのですが,授業料問題,それから,大学に対する補助金含めて本来は議論しなければいけない問題だろうとは思っております。この会議の中で結論を出せる話ではないのですけれども,これは財政審でも別に国立大学の運営費交付金についても議論されておりますし,ここで結論を出すということではもちろんないのですけれども,そういうことも含めて考える必要があると思っております。実際問題として,授業料の中から出したらいいのではないかという議論とか,運営費交付金,あるいは補助金の中から一部を負担するべきだという議論も,ほかの教育再生実行会議等では出ていますので,そういうことも視野に入れていただいて議論するのは大変結構なことだと私自身は思っております。

 ただ,財政審の議論の中で,高額の所得者から多く取るというのは,原理的には,奨学金の設計としてはあり得ないと思うんですね。ただ,一番初めに論点として出しましたように,例えば,寄附をしてもらうとか,そういうことは十分考えられるわけで,実際問題として,私,大学の寄附者の調査というのをやったことがあるのですけれども,国立大学で特に授業料が低廉なときに十分な教育を受けられて所得が上がったときに,恩返ししたいということで寄附される方も非常にたくさんいらっしゃいますので,そういうことは考えてもいいと思いますけれども,所得が上がったからそこからたくさん取るというのは,それだけで強制的にということはあり得ないのかなと私自身は思っています。その点はまた議論したいと思います。


 【赤井委員】  おっしゃるとおりだと思いますけれども,所得税が累進化されているのは,それだけ成功した人が支えましょうという再分配の理念でもあるので,所得税はそういうところで再分配できているというのはあると思います。


 【小林主査】  おっしゃるとおりで,前回,大卒税の話,申し上げなかったのですけど,既に大卒は所得税で相当払っているのに,これ以上まだ取るのかって,そういう議論が一番やはり多いのではないかと思います。

 どうもありがとうございました。いろいろ論点があって,なかなかまとまらないんですけれども,とにかく試算をやってもらわないことには議論が進められませんので,きょうはこれで大体シミュレーションの基礎になる項目については,全て決められたのではないかと思います。

 資料3ですね,もう一回確認していきたいのですが,このような形で,金額的には250万をベースにして,こういうシミュレーションをやっていただくということで。事務局これでよろしいでしょうか。


 【八島課長補佐】  はい。もし詳細についてというところであれば,主査の方と相談させていただいて,シミュレーションを次回提示できればなと思っております。


 【小林主査】  ありがとうございました。

 ほかに,もうそろそろ時間ですが,委員の皆さんから何か御意見,あるいは次回までに調べておいた方がいいということがございましたら承りたいと思いますが,いかがでしょうか。

 赤井先生,学生の生活については,参考資料としてついていますので御参照いただければと思います。

 よろしいでしょうか。事務局の方は特にございませんか。

 渡辺課長,きょうは一言もおっしゃっていませんが。よろしいですか。

 では,ちょっと時間早いのですけれども,特にございませんようでしたら,次回の日程について,事務局からお願いします。


 【八島課長補佐】  次回,第4回につきましては,多分12月中・下旬になるかと思いますが,また改めて日程調整させていただきまして,開催日時,場所等については決定次第お願いしたいと思います。

 以上でございます。


 【小林主査】  ありがとうございました。

 では,以上をもちまして,第3回所得連動返還型奨学金制度の有識者会議を終了いたします。皆さん,どうもありがとうございました。

 

―― 了 ――


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-- 登録:平成28年02月 --