高等専門学校の充実に関する調査研究協力者会議(第1回) 議事要旨

1.日時

平成27年5月27日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省6階6F3会議室

3.議題

  1. 高等専門学校の現状と今後の課題について
  2. その他

4.出席者

委員

天羽委員、内田委員、大川委員、萱島委員、輿委員、斉藤委員、谷口委員、田原委員、三島委員、棟方委員、平岡委員代理

文部科学省

吉田高等教育局長、佐野大臣官房審議官(高等教育担当)、関専門教育課企画官、山路専門教育課課長補佐

5.議事要旨

議題1.会議の運営について

事務局から資料1に基づき会議の運営について説明があり,三島委員を座長として,また,天羽委員を副座長として選出された。
また,事務局から資料2に基づき会議の公開について説明があり,案のとおり了承された。

議題2.高等専門学校の現状について

事務局から資料3に基づき,高等専門学校の現状及び基本的な情報について説明があった。委員からの意見・質問は以下の通り。(○:委員,△:事務局)


 ○:高専を卒業した後に,専攻科に進むのか大学に編入学するのか,また,新たな高等教育機関との兼ね合いであるが,社会に出た学生がどこで育ったのかがわからなくならないように整理することが重要である。各機関の人材育成に対する役割分担を含めて,その存在意義や機能を明確にする必要がある。
 ○:高専が設立されたころは,大学へ編入学する者が少なかったが,現在は編入学が増えてきている。社会情勢が変化してきている。かつての工業高校は評価が高かったが,今では埋没している。高専もそれに近い状況にある。
  高校生のレベルから専門的な教育をやると,高い実践力がつく。大学が主流になる中で,在学中により上の高度な学問をやりたいという学生が出てきて,卒業後に大学に進むのは悪い話ではない。大学でもその実践力・行動力等が評価されている。
 ○:高専の数や教える内容はこのままでよいのか。現状の57校は多すぎる可能性がある。社会ニーズに合わせて学科の統廃合もある程度必要であるが,阿南高専が化学のコースを作ったように,高専は大学に比べ,社会情勢の変化にスピード感を持って対応できている。高専をもっとよくするためには何が必要か。地方創生に高専をどう活用していくかも重要である。現状では高専の卒業生の30%しか地方で就職しないことから,地方の中小企業では,インターンシップをたくさん受け入れたいが,結局就職で県外に出てしまう矛盾があるという。やり方を考える必要がある。理系を徹底的にやるため専攻科を含めた7年間の一貫教育で捉えれば,アジアだけでなく欧米でも1年間のインターンシップができるようになる。このように若いうちに高専の中で人材を育て上げていくイメージを持っている。
 ○:大学評価学位授与機構から特例適用専攻科に認定され,専攻科を修了すれば学位を出せるようになった。このため,学位取得の試験のための準備をする必要がなくなり研究に打ち込めるようになった。
 ○:高専は全都道府県に設置されているわけではない。地方創生を考えると,各都道府県に設置したほうがいいのではないか。卒業して地域に戻らないことのほうが問題である。また,大学進学が一般的になる中でも,高専そのものの人気が下がっているわけではない。高専に入る人は,5年の学校だから入りたいのであって,入学する時に卒業後に大学に編入学するとか専攻科に進学するとかを必ずしも考えていない。
 ○:専攻科は制度上,本科の上にある2年の課程というだけであって,設置基準上の詳細な規定はない。「新たな高等教育機関」との関係の中で,今後の議論において重要な問題である。
 ○:大学に編入学する学生は,今までと違う場所で研究したいという考えがある。専攻科ならその高専で研究したい,技科大なら地元を離れて大学で研究したいという考えがある。
  また,5年で就職する学生のことも忘れてはならない。
 ○:中学卒業時にエンジニアを選ぶというのはとても勇気がいる。5年で就職したり,大学に編入学したり,専攻科に進学したり,選択肢があることがいい。また,なぜ地域に就職しないかという点については,例えば情報通信の分野であれば都市部に最先端技術・エンジニアが集まっており,どうしても都市部に行きがちになる。
 ○:高校からの編入学者については,どのくらいいるのか。また,何らかの手当てをしているのか。
 ○:工業高校からの編入学が多い。学力については不足する部分もあるので,個別にケアを行っている。
 ○:東京都では,複線教育として,いろいろな進学にどうつなげるかという考え方がある。都立高専では,工業校長会推薦で受け入れているが,特に理数系の基礎レベルが違うため,入学前から手をかけて対応をしないといけない現状がある。
 ○:サレジオ高専では,数年に一人受け入れているかどうか。入学前の夏休みから補講を行わないと難しい。他の私立高専では,経営方針として積極的に編入を受け入れているところもある。
 ○:教育の複線型という観点から,工業高校から高専への編入学の制度が必要である。
 ○:OECDのレビューにおいて「革新的な高等教育機関」であると評価を受けているが,具体的にどういうものなのか。
 △:若年からの技術者教育がユニークであり,産業界のニーズへの適応等が高い評価を得た,といわれた。
 
さらに,事務局から資料4-1,資料4-2に基づき,中教審で議論されている「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の在り方について」の現状について,説明があった。委員からの意見・質問は以下の通り。
 
 ○:新しく教育機関を作るということのようだが,その背景は何か。子供の数が減っているのに新しく作るのか。学生一人一人の教育の選択肢を増やすことは重要だと思うが,既存の教育機関の再編という方法もある。
 ○:産業界からの要望として,大学はアカデミックな研究に寄っていて,もっと産業界に直接つながる人材がほしいとのこと。また,専修学校からは,看護・サービス等の分野で卒業後更に勉強できる教育システムがないとの意見がある。高校卒業生を対象としていることが根本にある。ドイツやフィンランドにあるような,社会から大学と同じように評価されている教育機関を目指している。
 ○:目的や人材育成が高専と似ている。これができてしまうと高専の特異性は中学校から学生を受けて入れていることの1点になってしまうのか。
 ○:新たな高等教育機関は大学体系に入る方向で議論されている。一方で,高専は制度的に学位が認められていないことも有り,制度的制約が大きい。
 ○:高専生にとってみれば,大学生がそのままで学位をもらえる一方で,自分たちは懸命に研究して論文も書いて,という部分もあった。
 ○:新しい教育機関ができることによって,子供の取り合いになって,その結果,すべてが悪くなってしまうということのないようにしないといけない。
 ○:高専生は語学力が弱いと言われるため,英語に加えて,第二外国語として中国語の強化を目指す形もあってよい。また,専攻科も含め一貫教育で7年にすれば,海外でのインターンシップに力を入れられる。
 ○:アカデミックな教育体系とプロフェッショナルな教育体系と両ラインがあるが,高専はどの教育体系でいくことにするか。「新たな高等教育機関」が大学体系に入ると,高専が国際的に通用性を持っているのかということも考えないといけない。国際エンジニアリング連合などでは,そもそも22歳が一つのラインになっていて,高専の20歳ではそこまで達していないとの位置づけをされている。
 ○:5年+2年(編入学・専攻科)で25パーセントが就職している。そこをどう捉えるか。どういう制度としていくか
 ○:「新たな高等教育機関」の中では,ある職に就く人を育てる大学クラスの教育機関がないことが議論となっている。高専の育てる分野と重なるのだろうか。また,最近の若い人は,グローバル化の中で語学の重要さについて十分に理解し,前向きに考えている。高専で語学のカリキュラムを入れることができればいい,期待している。

議題3.その他

事務局から資料5に基づき,今後の検討すべき論点として提案があった。これまでに出された意見を踏まえ,また,といった意見が出され,今後の検討すべき論点に加えることとし,事務局で課題を整理することとなった。委員からの意見・質問は以下の通り。

 

 ○:国立においては運営費交付金が毎年減っていく中,高専は単独でやっていくのか。大学などとの連携も必要ではないか。
 ○:国立高専が厳しいことは聞いている。経営の基盤についても知っておかなければ空論になってしまうので,この視点について取り上げてもらえればと思う。

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