第3期中期目標期間における国立大学法人運営費交付金の在り方に関する検討会(第8回) 議事録

1.日時

平成27年3月26日(木曜日)14時~16時

2.場所

文部科学省3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 中間まとめ(案)について
  2. 討議
  3. その他

4.出席者

委員

須藤座長、有川座長代理、上山委員、海部委員、熊平委員、橋本委員、山本廣基委員、山本眞樹夫委員

文部科学省

德久総括審議官、吉田高等教育局長、常盤研究振興局長、安藤大臣官房審議官(研究振興担当)、豊岡国立大学法人支援課長、木村学術機関課長、鈴木学術研究助成課長、吉田国立大学法人支援課企画官、瀬戸学術機関課学術研究調整官、三浦国立大学戦略室長、手島大学病院支援室長

5.議事録

【須藤座長】    それでは、所定の時刻となりましたので、第8回第3期中期目標期間における国立大学法人運営費交付金の在り方に関する検討会を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、御多忙にもかかわらず本検討会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
  本日は、前回に引き続きまして、中間まとめ案について御議論いただきたいと考えております。前回の御議論を踏まえて、修正を加えた中間まとめ案を提示しております。本日の御議論で中間まとめの取りまとめを行いたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  それでは、議題に入りたいと思います。事務局の方から説明をお願いいたします。
【事務局】    それでは、資料2の修正点をお示ししております資料を用いまして、前回の中間まとめ案から変更させていただいた点について御紹介させていただきます。なお、一部字句の修正でございますとか、表現の適正化の修正もございますけれども、主に御意見をいただいた点につきまして御説明を申し上げたいと思います。
  まず、資料2の7ページを御覧ください。4の大学共同利用機関法人の在り方についてでございますけれども、前回の御意見といたしまして、大学共同利用機関法人の機能の関係で、国立大学の部分に限定していることについて御意見を頂いたところに関しまして、7ページ、真ん中の「二つは」という段落のところでございますけれども、「国立大学」を「大学」という形で修正させていただきまして、大学全体への貢献という形をお示ししています。以下、全体の本文につきまして同様の修正をさせていただいております。
  続きまして、9ページ、10ページの国立大学法人の機能強化の方向性に応じた重点配分の枠組みについてでございます。この点につきまして、前回、御意見を頂いたところでございまして、それを踏まえまして修正をさせていただいております。
  まず、9ページのところにつきましては、第3期におきまして各国立大学の強み、特色の発揮を更に進めていくためという形で、より目的を明確にした点を追加させていただきました。
  おめくりいただきまして、10ページの上の修正の部分でございますけれども、どの国立大学におきましても取り巻く状況に応じて多様な役割を果たしている点、また、現在求められている国立大学への様々な期待に応える必要がある点を総合的に勘案して、予算上三つの重点支援の枠組みを新設するという点をより明確にさせていただきました。
  また、その下、赤字、中央の修正でございますけれども、重点支援の枠組みについての考え方を更に追記させていただいております。読み上げさせていただきますと「この三つの重点支援の枠組みについては、全ての国立大学が、国立大学法人法第1条に規定するように、『大学の教育研究に対する国民の要請にこたえるとともに、我が国の高等教育及び学術研究の水準の向上と均衡ある発展を図る』目的を有しており、各国立大学が多様な機能や役割を担っていること、新たな社会ニーズに適切に応えることが要請されていることを前提とした上で、第3期においても国立大学が多様な役割を果たしつつ、特に重点的に取り組む内容を踏まえて各大学が自ら一つの枠組みを選択するものである。したがって、各国立大学が果たす機能や役割を限定するものではない。また、この三つの重点支援の枠組みは、各国立大学において実施される個々の教育研究やプロジェクトではなく、各大学の強み・特色を明確にする取組を重点的に支援することを目的としていることから、支援の枠組みを複数選択できるようにすることは、機能強化の方向性をあいまいにすることとなり適切でないものと考える」という形で、より明確に考え方をお示しさせていただいているところでございます。
  その下、なお書きの点につきましては、中期目標期間に枠組みを変更する点について、より前向きな変更について、前回、御意見を頂いたところでございますので、「取組の進展」という形で修正をさせていただいているところでございます。
  その下、10ページ一番下の重点支援のマル2のところでございますが、マル1との重複という御意見が前回ございましたけれども、その点につきまして、地域というよりも世界ないし全国的な教育研究を推進する取組という形で、明確にする点を少し加えさせていただいたところでございます。
  続きまして、11ページ、大学共同利用機関法人についてでございます。こちらにつきましても重点支援の考え方について、前回、御意見を頂いたところでございまして、国立大学法人との違いも含めて修正をさせていただきました。中央の部分でございますけれども、「大学共同利用機関法人は、大学の枠を越えた多様な各分野のナショナルセンターを包含している法人の特性に応じた世界最高水準の研究機能の強化を図ることで、研究者コミュニティや社会への貢献、大学全体の研究力強化に貢献するものである。このような、1法人が複数のナショナルセンター的機能を包含しているという特性に応じて、大学全体を俯瞰(ふかん)し、関連分野をはじめとする学術研究全般の研究機能を更に強化するため、新たに次の重点支援の枠組みを設定する。各法人は、開かれた共同利用・共同研究の推進を前提として、各法人の機能強化の方向性に沿って行う取組別に自ら選択した支援の枠組みにより重点支援を受けることとする」という形で修正をさせていただきました。
  また、それに関連いたしまして、重点支援のマル1につきまして、「主として、大型装置等を用いて世界の学術研究の中核として国際協力・国際共同研究などにより先導的なモデルとなる研究システムの創出につながる研究力強化の取組を支援する」という形で修正をさせていただいているところでございます。
  続きまして、12ページの予算配分の決定方法についてでございます。マル3でございますけれども、評価指標の設定に関しまして測定可能な評価指標(KPI)に関しまして、数値目標だけではなくて定性的な指標も考え得るのではないかということでございまして、その点について「原則として」という形を加えて幅を持たせる表現ぶりをさせていただきました。
  また、マル4の機能強化の予算配分につきましては、いわゆる一定の加算方式であることを明確にすべきという御意見がございましたので、その点につきまして「重点支援として、国立大学法人ごとの運営費交付金に加えて配分する」ということを明記させていただいているところでございます。
  続きまして、14ページでございます。(2)学長の裁量による経費の区分のところでございます。アの基本的な考え方のところにつきまして、一番下に修正を加えさせていただいておりますけれども、前回、学長裁量の部分だけではなくて、いわゆる本部経費の充実が重要であるという御意見ございましたので、業務運営の改善の前に学長を支援する体制の強化という点を明示的に例示として追加させていただいたところでございます。
  15ページに参ります。ウ、実績の評価と予算配分への反映のところでございます。前回、評価指標を示すというよりも実績をきちんと評価する、観点を示した上で評価すべきであるという御意見がございましたので、その点につきまして、中央以下、修正をさせていただいたところでございます。「『学長の裁量による経費(仮称)』は、この経費を活用した様々な取組による教育研究活動の活性化や新たに国立大学の強み・特色となる分野の醸成、学長を支援する体制の強化など業務運営の改善を目的とすることから、有識者の意見を踏まえつつ、各国立大学におけるこの経費を活用した業務運営の改善の実績や教育研究活動等の状況を中期目標期間の3年目及び5年目に確認し、その結果に応じて改善の促進や予算配分に反映する。なお、各学長がこの経費を活用した教育研究活動や業務運営の改善を行うに当たっては、例えば、大学全体の長期ビジョンの策定、IRの充実、学内予算や人的資源の把握と分析、研究成果等も含めた積極的な情報公開、改革を進めるための新たな仕組みの導入、障害のある学生や外国人留学生等に対する支援の充実、施設・スペースの有効活用、ステークホルダーからのニーズに対する運営への反映、柔軟かつ機動的な教育研究組織を構成する教員組織の編成、外国人・女性・様々な経験を持つ教員など多様な教員構成、世代別教員構成を考慮した若手教員の雇用促進・テニュアトラック制などの人事給与システムの改善、法令遵守や研究健全化の取組、共同利用・共同研究の仕組みの活用などの観点が重要であり、これらを踏まえた取組を行うことが考えられる」という形で、観点を提示させていただいたところでございます。
  それと関連いたしまして、大学共同利用機関法人、16ページの上の部分でございます。「国立大学法人と同様に、有識者の意見を踏まえつつ、各大学共同利用機関法人におけるこの経費を活用した業務運営の改善の実績や教育研究活動等の状況を中期目標期間の3年目及び5年目に確認し、その結果に応じて改善の促進や予算配分に反映する。なお、各機構長がこの経費を活用した教育研究活動や業務運営の改善を行うに当たっては、上記の国立大学法人の観点に加え、大学共同利用機関の役割である国内外の連携構築、研究者の受入れ等の人材育成などといった当該分野の発展を通じた大学全体の研究力強化への貢献などの観点が重要であり、これらを踏まえた取組を行うことが考えられる」という形で追加をさせていただいております。
  エの評価指標の設定につきましては、後ろの方で削除いたしておりますので、ここは全体として削除させていただいたところでございます。
  本文につきましては、以上でございます。
  (別紙1)の評価指標の例につきまして、国立大学法人の重点支援のマル1の部分でございますが、前回、マル1の部分につきましてはマル1-1、マル1-2という形で、地域の取組と強み・特色のある分野の取組に関しまして分けた指標例をお示ししていたところでございますが、前回の御意見を踏まえ、一つにまとめた上で精査いたしまして、修正をさせていただいたところでございます。これに伴いまして、21ページのマル1-2については全体を削除いたしました。
  それから、24ページに参りまして、2の学長の裁量による経費に基づく活動等による実績の評価に係る指標例でございますが、こちらは先ほど御説明申し上げましたとおり、全体につきまして指標例を示すよりも、観点を踏まえた実績を評価するという方向性に沿いまして、24ページにつきましても全体を削除させていただいたところでございます。
  主な修正点につきましては以上でございます。
【須藤座長】    ありがとうございました。
  ただいま事務局から説明のありました中間取りまとめ案につきまして、御議論いただきたいと思います。どなたからでも結構ですので、御質問を含めまして御意見、お願いいたします。では、山本委員、お願いします。
【山本(眞)委員】    修正案では、学長裁量経費について、観点が本文の方に来て、具体的なKPIというか、指標については全て省いたということですけれども、そうであれば学長裁量経費の評価といいますか、これは具体的なKPIとか、そういうことではなくて、有識者による評価によって配分するということになるのでしょうか。
【須藤座長】    前回、有川座長代理から、学長裁量については余り細かく指標を出すものではないのではないかという意見が出まして、それを踏まえて修正を加えたわけですけれども、何かございますか。
【事務局】    学長裁量経費に関しましての評価の方法でございますけれども、15ページの修正部分にも書かせていただいているところでございますが、まず経費の設定につきましては、各大学全体の中期目標期間6年間の規模を算出して提示するということになりますので、その部分に関しましては予算上、評価と特段連動しない形で配分をさせていただくということになります。使い道に関しましては、マル2にございますとおり、規模も含めまして計画を作っていただきまして、それについて実施をしていただくということになります。
  ウの評価につきましては、事前に評価指標というものは設定しないことになるわけでございますけれども、その点につきましては各大学の経費を活用した全体の改善の実施、業務運営の改善の実績、それから、それに影響して、効果として出てきます教育研究活動等の状況につきまして御報告を頂き、その点を確認して評価をしていくという形になります。当然、全体の実績というのは大学ごとに異なってくるわけでございますので、その実績、取組状況を大学の方の責任でもって説明していただくものを、確認させていただくという形になると思います。もし、取組が不十分ということであれば、修正点にも加えさせていただきましたが、その結果に応じまして改善の促進を促していくということもございますし、それ以上不十分ということがあれば、予算配分に反映していくこともあり得るという方向性で、今、考えているということでございます。
【須藤座長】    よろしいでしょうか。
【山本(眞)委員】    はい。
【須藤座長】    ありがとうございました。
  ほかにございますか。海部委員、お願いします。
【海部委員】    まず、全般的なことについて申し上げたいのですが、先ほど御説明がありました10ページ、ここは恐らく前回からの最大の変更点であるというように私は思います。ここに書かれているように、前回はむしろ複数選択という意見が多かったと思っていますが、どういう事情でこれが一つに絞られたのかというのは私にはよく分からない。だから、私が少なくともはっきりしておきたいのは、大学を色分けするという考え方はこことしては取らないのだということですね。それは是非確認しておいていただきたいと思います。その意思は担当課から何度も表明されていますし、色分けしろという意見がここで出たことは、ないのかな、あるのかもしれませんね。もし、そのように大学を色分けしていこうという考えが背後にあるとしたら、私はこれにはどうしても賛成できないです。しかしながら、重ねてそういうことではないということが表明された。
  それから、支援のマル1、マル2、マル3は、お互い非常ににじみ出すような形に書き直されました。当初は、もっとはっきりした形でした。これを見ると、どれか一つを選択するというやり方もそう不可能ではないという気も、正直いいとしてきたということです。しかしながら、前回、申し上げましたように、この重点支援というのは従来のような1%、2%というような枠ではないということは、やはり当事者である大学の方もしっかり理解した上でないと、非常にまずいのではないかと思います。それがはっきりしないままで、実際に実施してみたら今までと桁の違う重点配分がされると。それが続くと、非常に大きな変化を及ぼす可能性があるわけですから、私は結果としてそれが色分けにつながるような方向に行くのではないかということを大変恐れています。そのことは、是非議事録にとどめていただきたい。
  実際、これがどのように進むのか。私は、もし大学を色分けしろという意見が本当にあるのだったら、それをここで戦わせたかったと思います。それは戦わされませんでしたので、ここではそういうことではないという全体の認識の下で、この方針が出るのだということを確認しておきたいと思うわけであります。
  それから、これはこの文章とは関係ありませんけれども、私はこの種のかなり大掛かりな機構改革を進めようとするならば、それに対応する予算を出すべきであると思います。今、持っている予算を削って回すから機構改革をしろというやり方は、果たして世界で通用するのだろうか。例えば、財界からは非常に強い圧力があるそうです。それであれば、財界は資金を出して、プールして、これで機構改革をしてほしいぐらいのことを言うべきではないか。そういうことなしに、ただ、政府に対し大学を改革せよと、大学に対しては、予算はやらんけれども改革しろというやり方を続けていくということについて、私はやはり非常に強い危惧の念を覚えるわけであります。これはここの議論の範疇(はんちゅう)からはみ出しておりますけれども、議事録には是非残していただきたいと思います。
  それで、少し現実的な話の方に行きまして、そんなにたくさんありません。まず8ページですが、大学共同利用機関に関する記述の中に、一番下のフレーズです。「なお、大規模プロジェクトについては、多額の後年度負担が生じており」という部分はこれでいいですが、この書きぶりは大規模プロジェクトについてネガティブなことだけをちょっと書いてしまっていて、さらっと書いております。しかし、大規模プロジェクトが果たしている大きな役割があるということは、やはり是非押さえていただきたい。もし私が書くとすれば、例えば「大規模プロジェクトについては、我が国の学術の国際的プレゼンスを高め、国内研究コミュニティのレベル向上や、若手人材に大きな貢献をしているが、一方では……」と。学術機関課もいらっしゃることですから書きぶりはお任せしたいと思いますが、是非それは付け加えていただきたいと思いました。これだけがぽんと出ているのは若干違和感があります。
  次は、細かいことで恐縮ですが、22ページの一番下の丸に「『国内外の大学等間共同利用・共同研究やネットワーク構築』に関する取組の指標例」とあって、次の行「・大学等と連携した教育研究の状況」とありますが、この「大学等」の「等」が一体何かというのは、恐らくお分かりになる方はほとんどいらっしゃらないと思います。こういう文章では大学共同利用機関を指すのが普通です。しかし、これはやはり一般向けの文章でありますので、ここは是非「大学及び大学共同利用機関等」と。「等」は入れるかどうかわかりませんが、入れるなら入れていただく。そこははっきりしていただきたい。これはいつも私がお願いしていることで、大学共同利用機関が全部「等」で片付けられるのは甚だまずいと思っております。
  取りあえず以上です。細かい「てにをは」もあるかもしれません。それは今、申し上げません。以上です。
【須藤座長】    貴重な御意見をありがとうございます。
  最初に出た色分けをするものではないという御指摘は、多分、10ページの真ん中辺りですね。「機能や役割を限定するものではない」と、この文章が事務局側の意向だと思いますけれども、よろしいですか。
  そのほかは、御意見として議事録にしっかりと残させていただきます。パーセントの話はここでは余り議論していませんし、経済界からもいろいろな意見が出ているというのもあるとは思います。ちょっとこの場で議論する話題ではないような気がします。
【海部委員】    私の発言としてならよろしいですか。
【須藤座長】    はい。では、それを議事録に残しておくということで、お願いいたします。
【海部委員】    お願いします。
【須藤座長】    そのほか、修正点については事務局の方で検討していただきたいと思います。ありがとうございました。
  ほかにございますか。今、海部委員に御指摘いただきました複数選択するのはどうかという話は、前回、比較的意見が出たと思うのですけれども、この文章に直したことによって、それを反映しているかどうかという御意見を少し頂きたいのですが。では、山本委員、お願いします。
【山本(廣)委員】    今となってはもう、こういった感じでいかなければ仕方がないと思います。これまでの意見を随分いろいろと盛り込んでいただいて、随分整理されたなという印象を受けております。
  それで、先ほど言いましたように今更ですが、今、海部委員がおっしゃった複数うんぬんということで、これは前回、非常にあやふやになるということで、結局は元のもくあみになりかねないというようなそちらの意見も出て、こういうようなまとめ方になったと思うのです。そういう意味でいいますと、重点支援マル1のところで、地域課題とともに特定の分野と「又は」ではなくて「ともに」になっていて、ここのところで例えば、これは少し質問なのですけれども、地域課題でこういったことに重点的に取り組みます、それから特定分野の世界的な教育研究に取り組みますと。それぞれ一つ一つで、合計二つの重点的な取組がある大学から出てきたときに、この評価はどういうようにするのでしょうか。重点支援マル1というのは、どちらかというと両方にまたがったようなイメージを受けるのですけれども、そこのところで、例えば大学の地域的な課題が7、世界的な特定分野が3といったときに、それぞれを7対3で評価していくのか。これは中間まとめですから、こういう方向で書いておいて、今後の委員会でより具体的な評価手法等について議論されるのかなとは思うのですけれども、今の段階でもし何かお考えになっていることがあったら教えていただきたい。
【須藤座長】    ありがとうございました。
  何かありますか。
【事務局】    前回も山本委員から同様の御意見を頂いていたところでございますけれども、現時点では、山本委員におっしゃっていただきましたとおり、まさしく各大学の機能強化の取組がどういう形になるのかということによるわけでございます。例えばそういった地域に非常に重点を置いた取組と、専門分野を意識した取組というものが大きく二つ出てきた場合に、それをどういう形で評価するのかという部分に関しましては、御指摘いただいたように、大学との御相談の中で一定のウエートを付けるというような方向は十分考えられると思っております。当然、そういう形で二つ出てこない、一体的になって出てくるような取組も当然あり得るわけでございますので、そうした部分につきましては、それにふさわしい評価指標を大学と御相談しながら設定し、それを一体的に評価していくというような方法もあり得ると思っておりますので、その辺りは大学の取組の内容に応じて、評価の方法もそれに応じた方法を考えていきたいと考えているところでございます。
【須藤座長】    よろしいですか。
【山本(廣)委員】    結構です。はい。
【須藤座長】    ありがとうございました。
  ほかにございますか。では、山本委員、お願いします。
【山本(眞)委員】    新しい重点支援マル1、マル2、マル3、前回、私ははっきりさせた上で複数選択するのがいいのではないかという話をしたのですけれども、今回、見させていただくと、前回はマル1-1とマル1-2というのがあって、マル1-2と重点支援マル2がほぼ同じ形になっていて、非常に分かりづらいということでシンプルの方がいいと。今回、見てみますと、ある程度色分けされて、先ほど海部委員が言われたように何となく互いににじみ出るようなところがありましたよね。その中から一つ選ぶというのは、これはこれで結構なのかなという気はしております。それから、重点支援マル1についても、地域課題と研究分野というのもまるっきり分かれるわけではないところがあると思います。私のお世話になっている帯広畜産大学では、専門分野の研究が地域貢献にもイコールでつながっているところがありますので、そういった面も含めて、私はこの中から一つ選ぶということについてはよしとしたいと思います。
【須藤座長】    ありがとうございました。
  橋本委員、いかがでしょうか。
【橋本委員】    皆さんおっしゃっておられるように、重点支援マル1、マル2、マル3と随分いろいろな議論が出たわけですけれども、それを最大限うまく使っていただいて、整理していただいたと思っております。これは重点支援の枠組みであるわけで、重要なことは、大学が自らどこを中心にやるということを選んで、それで進めていくということだと思いますので、改めてそこは確認しておきたいと思います。それと併せて、この会とは別に文部科学省の中で競争的資金の改革とか、あるいは規制緩和の話が進められていると了解しております。それらがセットで大学に提示されることによって、よりよい方向に改革が進むように行ってほしいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
【須藤座長】    ありがとうございました。
  ほかにありますか。重点支援マル1、マル2、マル3以外のところでも結構です。上山委員、お願いします。
【上山委員】    前回のときには、三つの枠組みをまたぐような形という議論が最後の方に出て、ちょっと議論が尻切れトンボになってしまって、恐らくそれぞれの委員の言いたいことが反映できない形で議論が終わってしまったと思うのですけれども、これは必ずしも色分けということではなくて、やはり出発点として捉えるべきだと思っております。というのは、やはりこういうシステム作りをするときというのは、最初、それがワークする形で始めないと、どういう形でも動いていく可能性があるということを余りにも多く残してしまうと、制度設計としてやがて禍根を残すことになりかねない。やがては三つのところが動いていく可能性だって幾らでもあるわけでございますので、取りあえずこの形で、動ける形でこのシステムを作っていただいたということに対しては、私は非常に賛成だと思っております。
【須藤座長】    ありがとうございました。
  ほかにございますか。山本委員、お願いします。
【山本(廣)委員】    何度も発言して申し訳ありません。重点支援マル1、マル2、マル3以外でもいいというように座長がおっしゃったものですから。
  これは、ここに書いていただいているので結構ですが、資料2、見え消し版の9ページの最初の段落「その際……」と書いてあって、最後の3行「なお、一般運営費交付金、特別運営費交付金……」と書いてありまして、「運営費交付金の区分については、今後引き続き具体的な在り方を検討すべきである」とさらっと書いてあるのですけれども、法人化以降、まさにそれぞれの大学の基盤的教育研究活動に欠かすことのできない経費であるにもかかわらず、法人化以来、一般運営費交付金がずっと減額をされてきて、その分といいますか、一方の特別運営費交付金の方に移っていっている。大学改革を推進するための経費ということで、いろいろな新たな取組等に投入されてきたわけです。これがもう今、1,000億円、運営費交付金全体の10%を超えるようになってきているわけです。そのようなことを考えますと、今回のルール導入によって、いわゆる一般運営費交付金のところまで一定留保する分が食い込んでくるというようなことになってきますと、大学によってはなかなか基盤的な活動が十分できないといいますか、脅かすようなことが生じることもあるのではないかと危惧するわけです。
  したがって、そういう事態を避けるような、特殊要因は特殊要因で年度によって随分いろいろ違うと思うのですけれども、その辺りを十分にまた議論して、具体的にどうやっていくのか。今回のルール導入に伴って、やはり考え方を随分変えないといけないと思うのですけれども、その辺りは十分議論していただきたいと思います。
【須藤座長】    ありがとうございました。
  競争的資金もそうですけれども、ここのところも確かに関連してきますので重要だと思います。いかがですか。
【事務局】    このなお書きの部分につきましては、予算要求の技術的な部分も含んでいるわけでございますけれども、今、山本委員から御指摘いただきましたとおり、第3期に向けての最初のスタートであります28年度の予算要求に向けて、考え方を整理する上で非常に重要な部分だと思っておりますので、今、頂きました御意見も踏まえまして、予算要求に向けてどういう設計がいいのかということについては、具体的に検討していきたいと考えております。
【須藤座長】    よろしいですか。
【山本(廣)委員】    よろしくお願いします。
【須藤座長】    そのほかございますか。
  熊平委員、何かございますか。
【熊平委員】    十分に反映していただいていると思います。ありがとうございます。
【須藤座長】    よろしいですか。
  いかがでしょう。少し意見が止まっていますので、この辺で座長代理の有川委員の方から。
【有川座長代理】    前回、私なりに大事な点をいろいろ申し上げました。この短期間に、いろいろな意見を整合させてうまくまとめていただいたと思います。そういうことで、中間まとめとしてはこれ以上言うことはないと思います。今日御指摘になったようなところについては、引き続き検討していかなければならないということは当然だろうと思います。
  一番具体的に議論しました三つの枠組みに関してですけれども、これにつきましては、この三つの枠組みの中で考えますと、前回言ったようなことですけれども、複数を選ぼうが、どうしようが、ある一定のパターンしか表れないわけです。現時点で大事なこと、いろいろなところで指摘されたり、議論されたりした事柄がちゃんとその三つの中に反映されていると思います。それらの中から自ら一つを選ぶということでして、そのことによって他の二つが完全に排除されるということでもありませんので、これら三つのうちから一つ選ぶということでいいのではないでしょうか。ただ、同じような感じで大学共同利用機関法人の方も三つあって、当然ですけれども、そちらはある中の一つを選ぶというわけにはいかずに、そもそもそれぞれの機関、機構が持っている使命をちゃんと果たそうとすると複数にならざるを得ないという面がありますので、そこは大学との違いであって、これは許容できるのではないかと感じているところであります。
【須藤座長】    ありがとうございました。熊平委員、お願いします。
【熊平委員】    この内容については、本当にとてもよくまとまっていると思いますので特にないのですが、今後のことも含めてということで少しコメントさせていただきたいと思います。
  一つは、運営費交付金を検討するということで、今、考えていること自体が、ある意味評価をどのようにしていくのかというところに、当然、視点が行くわけですけれども、やはり今回の改革がうまくいくためには、評価側の視点だけではなくて、大学側がより強くなるといいますか、よりよくなっていくというところに視点を置いて、その両方の視点を持って検討していくことが大事なのではないかと思います。例えば、KPI一つとっても、そのKPIを追い掛けることによって大学がより強くなっていく、よりよくなっていくと、そういうものをどういうように選んでいくかということを、評価しやすさだけではなくて、考えた方がよいのではないかと思います。
  もう一つは、学長のリーダーシップとか、言葉ではいろいろ書かれておりますけれども、リーダーシップというのはいわゆる主体的に、自分の意思で、そして、そこに参加する人たちが皆、自分の意思でそれに取り組むということを指しておりますが、やはり一連の流れで、なかなか容易に学内でそういうムーブメントになるようには思えません。ですので、学長のリーダーシップをサポートする、前向きに皆さんが取り組んでいただけるような配慮というのも、具体的に解は持っていないのですが、そういうメッセージ性というか、そういうものも配慮していくことが、少しでも学長のリーダーシップを我々がサポートする、学内でのみんなのやる気というか、モチベーションをサポートするというような流れになるのではないかと思います。
  3番目に、学長のリーダーシップというところでは、やはり大学の学部は非常に強いというのが恐らく一般的ではないかと思うのですが、そういう中で学長が全体像を把握するということは一般的には非常に困難だと思われますので、これを機会に学長が全体像を把握するということをサポートするような関わり方というか、仕掛けみたいなものもあってもよいのではないかと思っております。
【須藤座長】    ありがとうございました。
  各委員の先生方からいろいろとお話が、出てまいりましたけれども、やはりこの議論の出発点として、いい方向に持っていかなければいけないというところは共通の認識だと思います。ただ、進める上で、大学の色分けになったりしないかというような懸念点もまだありますので、そこはこれからしっかりと見ていかなければいけないのではないかと思います。
  そのほか、もう少し深く検討がこれから必要ではないかという意見が幾つか出ましたので、その辺も今後の課題の中にしっかりと入れて、進めていきたいと考えています。
  ほかにございますか。海部委員、お願いします。
【海部委員】    是非ほかの先生方からもいろいろ伺えればと思うのですが、今、出ました二つのこと、一つは学長の話が出ました。学長の強いリーダーシップというのは、学長に独裁をやれということではないです。しかしながら、時々それを間違えているのではないかと思う方が、大学だけではなくて、いろいろな所におられるような気がします。本当のリーダーシップというのは、自分のやりたいことをやり遂げるということではなくて、衆知を集めて、皆さんの意見、サポートを得ながら、本当にいい方向に全体を変えていけるかどうかというのがリーダーシップです。ですから、私は一つには、学長にリーダーシップを求めるのは結構だと思いますが、その場合、学長の選任の仕方ということは、今後、非常に重要であると。それだけ学長の責任、重みは大きいわけですから、どのようにしてしっかりした方を選任していくのかというシステム、これは日本では今まで余りありませんでした。大学では、昔、教授はいきなり投票して決めたわけです。そういうやり方はもう通用しないということで随分変わっているとは思いますが、やはりしっかりした学長の選任ということは、ますますそのシステムが重要になるということが一つです。もちろん、オープンで民主的な方法で選んでいただきたいと思います。
  もう一つは、学長を支える体制、先ほどそういう話がありましたが、私は学長のリーダーシップは、その学長のリーダーシップを支える体制を構築できるかというところにまず表れると思うのです。しっかりした方を集めて、そういう衆知を集めて、先ほどおっしゃったように、到底、学長一人で全ての学問分野に目が届くわけじゃないわけです。ですから、逆にそういう方々を集めて、そういう方々の援助、サポートを得ながら、いい仕事ができるような体制が作れる学長であるか。今後、そこは非常に問われるところだろうと思います。私、前から学長のリーダーシップということばかりが非常に叫ばれるので気になっていたことですから、そのことは是非今後とも、どのようにしてやっていくのか分かりませんが、やはり文部科学省にも、それこそリーダーシップを発揮していただいて、そういうシステムが根付いていくようにしなければいけないのではないか。
  もう一つは、規制緩和という話がありましたけれども、税制改革のことも含めまして、大学にこれだけのことを要求して、やれということなのですね。先ほど言いましたけれども、普通、改革というものは、もちろん一定の痛みを伴うわけですけれども、それにインセンティブが必要なわけです。だから、そういうことをするための予算を普通は付けるものだ。そういうことなしでやろうというのが日本のやり方で、それは全体として見ると、ますます貧すれば鈍する方向に行くのではないか。実際にそういう方向にかなり来たのではないかというのが私の印象です。
  ですから、そういうやり方でやるのではなくて、先ほど私、言い忘れましたけれども、日本がとにかく絶対忘れてはいけないことは、日本は世界に冠たる科学、学術、教育支援の貧国であるということです。なぜそうなっているのか、将来の投資ということをどうしてもっと全体で考えないのか。そういうことを踏まえて、やはりもっとしっかりした学術政策なり、教育政策というものを積極的に打ち出していかなければ、いろいろな圧力に負けて後退していくばかりという印象を、もし大学の先生が皆さん持つとしたら、それは非常にネガティブな影響を残していくと思うのです。
  ですから、同じことを何度も申し上げるのですが、そこはやはり是非、大学や研究者は自分たちのことは頑張るわけですけれども、世界的な成果を上げるということは頑張るわけですが、やはり日本全体のシステムをどう持っていくのかという方向性については、もうちょっと大所高所からの議論ができると有り難いと私は思っています。例えば税制改革などは、当然、これだけのことをやるのであれば、国立大学にそれだけのインセンティブを与えないでやれというのは無理な話です。当然、私はそうなるべきだと思いますが、それがなかなか進まないのは本当に理解のできないところであります。そのこともあわせて、今後是非、大学のための環境作りを進めていただきたいと思います。
【須藤座長】    ありがとうございました。
  ただいまの御意見に対して何かございますか。
【事務局】    幅広い御提言を頂きました。
  一つ目のガバナンスでございますけれども、これは御案内のとおりかも分かりませんけれども、昨年の国会でガバナンス改革のための学校教育法、それから国立大学法人法の改正がございました。これは学長のリーダーシップを支える体制をどのように作るかということでございまして、関係機関の補佐体制や関係機関と学長との関係を明確化していくということもありました。特に国立大学につきましては、現在、学長を選考する組織は、法律上、学長選考会議というものが置かれてございまして、ここで主体的に決定され、それに基づいて文部科学大臣が学長の任命をするという仕組みになっております。その学長選考会議の判断の透明性、あるいは説明責任をより高めるための幾つかの改正、事前に求める学長像を提示していただくとか、あるいはプロセスをきちんとあらかじめ定めていただくとか、あるいは最終的にどなたかをお選びになったら、なぜその方がふさわしいと判断されたか、これを公表していただくというような改正もさせていただきまして、今年の4月1日から新たにその法律が施行されます。そのような施行の状況も見た中で、また今後、必要な改正が何かということにつきましてはしっかり議論していきたいと思っております。
  それから、税というお話もございました。もちろん、この場所は運営費交付金の検討を頂いているわけですけれども、やはり国立大学の活動ということを考えたときに、運営費交付金も一つでございますし、また別途の場で検討されております競争的資金の在り方というものも一つございます。それから、やはり外部資金をどれだけ経営努力の下に持ってきて、それを大学のエネルギーにできるかということからは、御指摘いただいた税制、非常に大事だと思っております。この場でも議論がございましたけれども、法人税に関しましては、国立大学はもう国並みということでございますが、所得税、個人からの寄附金についての税制は、例えば私学に取り入れられております税額控除の選択性といったものがまだ認められていないなど、そういう課題もございます。しっかりこの会議の中でもその辺りの認識はさせていただいておりまして、今後、そういった外部資金をどう取り入れていくかということにつきましても、しっかり対応させていただきたいと思ってございます。
【須藤座長】    よろしいでしょうか。ありがとうございました。
  いかがでしょうか。今、いろいろ御指摘が出た中で、やはりこの場は運営費交付金を一つの議題として議論していますけれども、そのほか競争的資金等の議論も別途進んでいますので、恐らく中間取りまとめはこれでまとめるとしても、その先に進むに当たっては、そちらの情報がもう少し明らかになってくると思いますので、そこでまた大きな視点から見直すことが可能であると思います。是非、その辺はそのような方向で進めていきたいと思いますので、お願いいたします。
それでは、まだ半分ぐらいしか時間を使っていませんが、本日はいろいろな御意見を頂き、ほぼ出尽くしたと思います。本日の議論を踏まえまして、中間まとめの取りまとめを行いたいと思います。中間まとめ案の修正等の取扱い、それから中間まとめの日付につきまして、座長の私に御一任いただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【須藤座長】    ありがとうございました。それでは、必要な修正等を行い、後日、公表したいと思います。
  本日は、ここまでとさせていただきます。
  最後に、今後の日程等につきまして、事務局からお願いいたします。
【事務局】    ありがとうございました。次回の開催日につきましては、日程調整をさせていただきました上、改めて御案内をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
【須藤座長】    本日は本当にありがとうございました。これからも積極的に議論いただき、次回以降もよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。

――  了  ――

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