実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する有識者会議(第11回) 議事録

1.日時

平成27年3月4日(水曜日)16時00分~18時30分

2.場所

文部科学省 3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. これまでの議論のまとめ(素案)について
  2. その他

4.議事録

【黒田座長】  所定の時間になりましたので、未着の方もいらっしゃいますけれども、始めたいと思います。本日は、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する有識者会議、第11回目でございます。皆さん方には年度末で大変お忙しい中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 本日は、前回に引き続き、新たな高等教育機関の方向性について議論を頂きますけれども、審議まとめの素案が出ておりますので、それを中心に議論したいと思います。
 なお、本日、報道関係者より会議全体についての撮影及び録音についてお申出がありますので、前回にならってこれをお認めするということにしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それではまず、委員の出欠状況及び本日の配付資料について事務局から御説明をお願いいたします。
【神山教育改革推進室長】  それではまず、委員の出欠についてですけれども、本日御欠席の委員は、金子委員、鈴木委員、冨山委員、長塚委員、樋口委員となってございます。
 続きまして、本日の配付資料でございますが、資料は1-1から資料2まで三つの資料を用意してございます。資料1-1と1-2は、2月27日に経済同友会から本有識者会議に対して出された意見と、それについての冨山委員のコメントとなってございます。
 本日冨山委員は御欠席でございますので、簡単に御紹介いたします。資料1-1は、冨山委員からの「本件に関する(公)経済同友会からの提言に関して」という資料でございます。御出席のときに既に御説明があったように、本有識者会議において「退出・再編のメカニズム」も含めた質の議論がなされることを強く希望しますということが書かれてございます。経済同友会の提言を引きながら、その点を書かれたものになってございます。
 資料1-2が、経済同友会からの有識者会議に対する意見となっております。詳細は御説明いたしませんが、1ページ目は「1.総論~高い質の高等教育機関を作り二つ山構造へ」。ツインピークスというお話が議論の中にもございましたが、その点について書かれてございます。また、3ページ以降で各論が書かれております。「論点1:既存の大学との制度上の関係性をどう位置付けるか?」では、大学制度の中に学士レベルを取得できる3~4年制の職業型の大学制度として明確に位置付けられるべきだといったことをはじめとした御意見が書かれてございます。また、4ページには、先ほど話がありました「退出メカニズム」も含めまして、「退出メカニズム」である廃止基準とか大学生の救済なども整備する必要があるということとか、設置基準についてのもう少し具体的な御提言も書かれておりますので、御確認を頂ければと思っております。
 また、資料2は、これまでの議論を踏まえまして、座長と御相談をしながら事務局の方で作成をさせていただきました審議のまとめの素案となっております。中身につきましては後ほど御説明をさせていただきたいと思っております。
 以上、資料三つ御用意しておりますが、不足の資料等がございましたら、事務局までお申し付けいただければと思います。以上でございます。
【黒田座長】  ありがとうございました。よろしいでしょうか。
 それでは、これから審議に入りたいと思います。本日は、今御説明ありました資料2について御説明を頂いて、皆さんから御意見をまた頂きたいと思います。資料2の審議まとめ素案でありますけれども、これまで皆さんとともに議論してきました内容について項目ごとにまとめ上げたものでありますので、御確認を頂きたいと思います。審議の順番と致しましては、「1.高等教育の多様化の必要性」と、「2.新たな高等教育機関の基本的な方向性」、まずここについて御議論を頂きたいと思いますので、この説明をお願いいたします。
【神山教育改革推進室長】  それでは、資料2を御覧いただきたいと思います。資料2の「1.高等教育の多様化の必要性」につきましては、これまでの議論を踏まえるとともに、背景状況の現状認識などは中教審での議論なども参考にし、座長と御相談させていただきながら作成させていただいたものとなってございます。
 「1.高等教育の多様化の必要性」の最初が、「多様な若者のニーズと産業界の人材需要への対応」ということです。最初に中央教育審議会の昨年12月のいわゆる高大接続の一体改革についての答申を引きながら、「子供たちが十分な知識や技能を身に付け、十分な思考力・判断力・表現力を磨き、主体性を持って多様な人々と協働することを通して、喜びと糧を得ていくことができるようにすること」を教育改革の重要な目標として掲げたことに触れてございます。
 また二つ目の丸では、グローバル競争の激化とか、職業に必要となる知識や技術の高度化・複雑化、また急激な少子高齢化に伴う生産年齢人口の急減、産業構造や労働力市場の変化などの課題を紹介しながら、地方に関しましては、東京圏への一極集中による地域経済の縮小などの課題も指摘されているということを書いてございます。また、社会的需要に応じた質の高い職業人を高等教育機関で養成するということが、今申し上げたような課題に対応してそれが求められるということと、そこで養成される人材への社会的なニーズが多様化しているということに触れてございまして、大企業の正社員ということだけではなくて、サービス業を中心とした中小企業のニーズが増えてきているということを触れてございます。
 その次の丸では、そうした産業構造などの劇的な変化の中で、自らのキャリアを通じて、職業に必要となる実践的な知識や技術を学び続けていくことが必要ということを示してございます。
 さらに次のパラグラフでは、日本型雇用システムが変容しているといったこと、また、企業内における職業訓練の機会が減少しているといったことに触れながら、学校教育における職業教育の充実が必要だということに触れてございます。
 その次のパラグラフは現状の学校制度について触れております。特に実践的な知識や技術や資格などを身に付けたいと考えたときに、中学校卒業段階では専門高校、それから、高等専門学校、専修学校高等課程があるといった御紹介、また高等学校卒業時に関しましては、大学、短期大学、専門学校などがあるほか、各省庁の大学校があることについても触れてございます。
 さらに次のページになりますけれども、大学や短大への進学率について触れております。かつては10%台であったものが、現在は56.7%、さらにその卒業時には7割が就職しているといった状況でございます。こうしたニーズに対して、現在の大学でも社会のニーズに的確に対応した高度な職業教育を行い、生産性の高い人材を輩出しているということや、特に短期大学においては資格取得とも連動した教育課程を編成しているということを御紹介してございます。また、高等専門学校についても、質の高い職業教育を行っているということについて言及してございます。
 その次の丸で、しかしながら、社会や産業の急速な変化に対応した質の高い専門職業人養成を量的に拡大していくことが求められている中では、現行の既存学校種だけでは限界があるのではないかということで、具体的には、大学につきましては制度として教育と研究の双方をその目的に掲げているということもありまして、専門職業人養成の機能の更なる量的拡大に比重を置いて対応していくといったことには限界があるのではないかということを書かせていただいております。
 また、短期大学につきましては、地域に根差した身近な高等教育機関として専門職業人を養成しているが、社会の複雑化に伴って職業人に求められる能力が高度化している中で、短期の修業年限の範囲でこうした要請に対応することが難しい場合もあるというふうにしてございます。
 また、高等専門学校につきましては、中学校卒業時から学生を受け入れていますので、大量の高等学校卒業者を受け入れることは制度上想定しにくいとしてございます。
 また、専門学校につきましても、社会的ニーズに弾力的に応えて多様な職業教育を展開しながらも、教員数や施設設備に関する水準が緩やかなものとなっており、その柔軟な制度的特徴から、教育の質が保証されたものとはなっていないということを掲げてございます。
 その次は、高校生の全体の約2割を占める専門高校生について触れております。平均してその中の2割程度しか大学に進んでいないという現状がございますので、専門高校生のニーズに合った実践的な職業教育課程を整備して進学機会を拡大することが必要としてございます。
 また、世界の方に目を向けまして、世界の主要国では実践的なあるいは特定の職業的な専門教育課程も大学体系に位置付けてきているということに触れるとともに、その次のパラグラフでは、我が国でも医・歯・薬・獣医学などで修業年限が延長されたり、あるいは平成15年に専門職大学院制度が新たに創設されたりしている状況を御説明してございます。
 今後こうした産業構造の変化などへの対応ということで、学士課程段階におきまして、生涯の中でどのような社会状況の変化に直面しても職業を通じた社会との関わりを持ち続けることができる資質を養うとともに、生涯のいつでも希望するときに実践的な職業教育を受けられるようにすることが喫緊の課題であるということで、全体を通じまして、多様な若者のニーズあるいは産業界の人材需要への対応の必要性について触れてございます。
 2ページ目の一番下は、「社会人の学び直し需要への対応」です。社会の急速な変化を受けまして、一度社会人となった後に、より高度な知識や技術の修得を目指す学び直しの機会の拡大についても必要性が高まっているとしてございます。また、産業界等の現場の要望を踏まえた社会人の学び直しのために、次のページですけれども、高等教育機関における教育プログラムへのニーズが高まっていること、また、地方創生の観点からも、各地方の高等教育機関において再教育を受けられる仕組みが整備されて、地域の活性化に資する人材が地元に定着することが期待されているといったことにも触れてございます。
 一方で、我が国では25歳以上の学士課程への入学者、学び直しをする人たちがわずか2%しかおりません。OECD諸国の平均に比べましても低いということで、時間的な制約のある社会人学生が入学しやすく、実践的で学びやすい教育課程を充実する必要があるということも触れてございます。
 さらにその次は、「高等教育体系の多様化・複線化」です。今まで申し上げたようなことを踏まえますと、専門職業人を養成するという目的に最も適した機動的な枠組みや特徴を持つ、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関を制度化することが必要であるということにしてございます。また、その制度の創設というのは、学ぶ意欲と能力のある若者・社会人が質の高い教育を受けることができる社会の実現に向けて、高等教育体系を多様化・複線化していくということができるということにしてございます。
 以上が「1.高等教育の多様化の必要性」となってございます。
 続きまして「2.新たな高等教育機関の基本的な方向性」でございます。2.は、最初の二つの丸は新しく書き加えておりますが、それ以降のものにつきましては、前回の資料でも触れられていた内容でございます。
 一つ目の丸でございますが、先ほどの話のように、高等教育において多様化・複線化を図っていくという観点から、新たな高等教育機関を我が国の産業の高度化を担う質の高い専門職業人を養成する機関としていくためには、新たな高等教育機関が既存の大学等と比肩する高等教育機関と位置付けられることが必要です。このためには、まず想定される各種の職業分野を超えた共通理念や目的に基づく普遍性の構築が求められるとしてございます。
 具体的には二つ目の丸にございますが、新たな高等教育機関は、産業界と連携しつつ、どのような職業人にも必要となる基本的な知識や能力とともに、実務経験に基づく最新の専門的・実践的な知識や技術を教育する機関とすることが適切であるとしてございます。また、新たな高等教育機関の教育内容・方法、教員、施設・設備、評価等の基準は、次ページの3.以降に出てまいりますけれども、それらは目的を達成するために最も適した枠組みとして新設することが適切であり、諸外国における専門大学等も参考としながら国際的に認知されるようなものとすることが重要であるとしております。我が国の既存体系を念頭に、単に現行の大学・短期大学の設置基準よりも低い基準とすることで新たな高等教育機関になりやすくするといった考え方はとるべきではないというような基本的な考え方をこの二つ目の丸でお示ししてございます。
 三つ目の丸では、既に御議論いただいておりました、大学体系の中に位置付けるのか、大学とは異なる新たな学校種を設けるのかといったことをお示しした上で、その下にございますように、サービス産業の高付加価値化など産業の高度化への要請に対応して人材養成の高度化を図る必要があることや、卒業生の学習成果に関する国際的・国内的な通用性を確保することなどに触れながら、学位授与を行う高等教育機関と位置付けることが有益であるとしてございます。
 4ページ目にまいりますと、我が国の高等教育機関の多様化を図っていくとの観点からは、4年制大学や短期大学、また、質の高い専門職業人養成を行う専門学校からも進んで参加できるような仕組みとする必要があるとした上で、4年制大学に短期大学部が併設されている例が現在あるわけですけれども、それと同じように、既存の学校種を設置したままで、一部の学部あるいは学科を新たな高等教育機関として併設することができる仕組みとすることも考えられるということを明記してございます。
 その次の二つの丸は前回の資料と同様でございます。こうしたことを踏まえて、大学体系の中に位置付ける方向を基本とすべきだということ、ただし、具体的位置付けの判断については、諸要件の具体的な内容などを踏まえる必要がありますので、中央教育審議会等での議論においては、大学とは異なる新たな学校種を設ける可能性を全く排除することはせずに審議する必要があるといった点は、これまでお示しした資料のとおりでございます。
 以上が1.と2.の内容でございます。
【黒田座長】  ありがとうございます。ただいま高等教育の多様化の必要性、それから、新たな高等教育機関の基本的な方向性について御説明いただきましたけれども、御意見、御質問はございますか。
 はい、どうぞ。
【川越委員】  質問ですが、2ページ目の専門高校生は、平均して2割程度しか大学等に進学しないとありますが、この割合は、大学への進学を意味しているのですか。それとも専門学校を含む高等教育機関全部を含めて2割でしょうか。 もう少し進学しているようなイメージがあるものですから。それでは、調べてください。
【黒田座長】  よろしいですか。調べておいてください。
【川越委員】  3ページ目の2.の二つ目の丸の下の2行ですが、「我が国の既存の高等教育体系を念頭に、単に現行の大学・短期大学の設置基準よりも低い基準とすることで新たな高等教育機関になりやすくするという考え方はとるべきではない」という言葉に少しだけひっかかりがあって、新たな概念、新たな設置基準を作ろうとするときに、そんなに簡単にはできないんだよというイメージ作りが少しされ過ぎているような気がするというのが一つです。
 それと、4ページ目ですが、上から三つ目の丸の下から2行目ですが、「大学とは異なる新たな学校種を設ける可能性を全く排除することはせず」と書いてあると、ほとんどを排除すると聞こえるので、できたらこの「全く」というのを消していただくわけにはいかないかなと、そんなふうに思います。
【黒田座長】  ありがとうございました。今のことについて何か事務局でお答えありますか。
【神山教育改革推進室長】  まず、3ページ目の2.の二つ目の丸についての御指摘でございます。この点につきましては、最後の1文だけではなくて、あくまでその上のパラグラフ全体を御覧いただきますと、二つ目の文にございますように、新たな高等教育機関の目的を達成するために最も適した枠組みとして新設するということが適切だと考えてございます。
 一番最後は、単純に今の大学の基準のどこかを低くするだけで終わるということではなくて、ほかの部分でも書かれておりますように、全体として新たな高等教育機関が大学と肩を並べるようなものとして位置付けられるようにするためには、単純に設置基準の一部を低くするだけのものが新しくなるということではなくて、新たな高等教育機関の目的に照らして何が適切かということを考えていく必要があるということを示したものでございます。
 その点、単純に大学の設置基準の一部が低い基準になって、そのほかは大学とほとんど一緒、全く一緒というような形のものを目指しているわけではない。あくまで実践的な職業教育を行う上でどのような教育内容あるいは教員、施設・設備、評価などが必要かということを目指していくというところは、これまでの議論の方向であったのではなかろうかということでこうした記述をさせていただいたところでございます。
 もう1点、「全く排除することではせず」という点につきましては、前回も同様の書き方はさせていただいてはおりましたけれども、この点は、一つ上の、大学体系の中に位置付ける方向で検討を更に進めることを基本とするということと相まって、そちらが基本ではあるけれども、もう一つの方もほかの諸要件などを精査することがあるので排除しないという趣旨です。「全く」という部分を削除した方がニュアンスが良いということが委員全体の御意見としてあるようであれば、座長などとも相談してそのように対応させていただくことはあり得るかなとは考えてございます。
 最初のデータのへの御質問、確認いたしまして、後ほどお答えします。
【黒田座長】  よろしいですか。
【川越委員】  はい。
【黒田座長】  ほかに。どうぞ、清水委員。
【清水委員】  最初の背景の部分は同感する部分が多いのですが、3ページの上から三つ目の丸、多様化・複線化した高等教育体系を整備するということです。前にも言いましたように、複線的な体系というのはもともと身分とか階層を前提とした言葉であって、これは安易に使うべきではないと思っています。
 また、使うとした場合、複線というのはデュアルシステムですね。では、高等教育体系は何と何のデュアルなのですか。そこが説明できない。つまり、新たな学校種を大学体系に位置付けようとしている場合、それ以外の体系とは何でしょうか。まさか高専の体系じゃないですよね。このデュアルの意味がここでは分からないし、矛盾しています。つまり、新たな高等教育機関を1条校にして、しかも大学に位置付けて、学位を授与するのが適当であるということは一気に三段階ですよね。
 これは我が国の高等教育の歴史から見て非常に希有な現象ではないかと思います。大学の学士も、明治20年から100年間称号のままできたわけです。短期大学も戦後から、あるいは昭和39年度の制度化されてからも、学位になるまでに更に半世紀以上かかりました。そういう歴史の中で、一気に1条校、大学、そして学位という、三段跳びとするのは、我が国の制度史の中ではあり得ないことです。その上に、複線化した学校体系というのは、何と何の複線というのがはっきりしない。これが1点です。
 もう一つは、大学体系という言葉と高等教育体系と二つを使っているのですが、高等教育体系には、大学体系と、もう1個は何があるのでしょうか。何を想定しているのか、少しお聞きたいしたいです。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 よろしいですか。
【神山教育改革推進室長】  はい。複線化という言葉につきましては、御指摘のような意味での使い方もあるかと思いますけれども、これまでも例えば文部科学省が、中等教育の中に収まる仕組みではありますが、新たに中学校と高校を一貫した中等教育学校などを作るといったときには、中等教育段階での複線化というような言い方もしていたこともございます。多分複線化という言葉は、お使いになる方あるいは研究者の立場でいろいろな使い方があると思うのですけれども、ここでは、新たな学校種ができることで例えば高校卒業段階の方が選ぶ学校のラインが幾つか増えるということを指しています。
 特に今回は学士課程レベルでの高等教育機関に関しましては、高校卒業段階で入るということになりますと、高等専門学校は中学段階で入りますし、大学や短期大学という意味ではアカデミックなものが多かったわけですけれども、もう少し職業教育に重点を置いた新たな高等教育機関を作って、プロフェッショナルと呼ぶのがよいのかどうかというのはあるかと思いますが、職業系のラインも確立していこうということで使っているわけです。
 高等教育体系の複線化という言い方については、先ほど申し上げた中高一貫のような形での広い意味といいましょうか、一般的な使い方として使わせてはいただいておりますけれども、有識者会議の中の御意見として複線化の扱いについてほかに御意見があるようであれば、先ほどの「全く」の扱いも含めて、座長と御相談させていただければと考えてございます。
【清水委員】  むしろ多様化というのは非常によく分かるのです。多様な道が用意されているということで理解できます。複線型というと、これは非常にいろいろな価値観とかさまざまな格差を生む可能性がある言葉だと思います。それは中等学校においても私は不適切だとかねがね思っていましたので、述べさせてもらいました。
 もう一つ、一気に1条校、大学、学位と、これはかなりの大変革といいますか、革命的なものだと思いますが、いかがでしょうか。学位授与ということには、まだ決まってないですよね。
【神山教育改革推進室長】  あくまで有識者会議の中では、方向性としてお示しいただくということで、大学体系の中に位置付けた上で、大学体系なので学位を出せるという形がよいのではないかということですけれども、具体的な要件なども含めて中教審で専門的に御議論頂くということも書かれているとおり、この有識者会議でもう確定したということではございません。有識者会議としては、その方向で中教審において御議論いただくという方向付けをしていると理解をしてございます。
【清水委員】  むしろ、経済同友会の提言に「『学位』相当として認められる修了証」という言葉もありましたが、そういう表現の方が私は適切ではないかと思います。もちろん国が新たに職業教育体系と学術教育体系を作り、そういう中における学位でしたらまだ理解できるのですが、今の段階でこういう表現というのは、まだ議論が少し足りないのではないかという感じはいたします。
 あとは、大学として位置付けたとき、この新たな学校種というのは、英語名はuniversityを使うのですか。Universityを使うかどうかはかなり議論が出ると思います。
【神山教育改革推進室長】  最後にあった英語名につきましては、これまでも特段議論をされておらなかったこともありまして、今のところではどのような形となるかということは特段定まっていないという状況でございます。
【清水委員】  いずれにしても今、日本の学位とか大学教育の質というのが国際的に問われて、国を挙げて学位の質保証とか大学教育の質保証に取り組んでいる中で、新たな学校種が加わることによってそういう国際的な質の面での問題点が生じることのないようにしないと、元も子もないと思います。それだけ付け加えたいと思います。
【黒田座長】  それでは、どうぞ。
【寺田副座長】  議論はある程度伯仲した方がよろしいので、今の清水委員の意見に反論というわけではありませんけれども、違うことを少し述べたいと思います。
 まずデュアルという意味ですが、ある時期、私はデュアルシステムの専門家と言われたぐらいですからこれは自信を持って申し上げますが、日本語では「複線型」ではありません。「二元的」というふうに訳しております。何が二元的かというと、企業と学校が二元、国と州が二元、学校で学修する場所と企業で訓練を受ける場所、これが二元、この三つの性格を持った二元体系というふうに訳しております。
 複線型というのはプルーラルシステムで、確かにおっしゃるように、ラダーシステム、単線型、畳を積み上げるような学校制度とは異なって、日本流にいいますと近世から近代にかけて、とりわけヨーロッパあるいは戦前の日本の中等学校制度に端的に表れていたと思います。確かにその時点では身分制的であって、ただし、戦後日本は新制高等学校で総合的理念に基づいたハイスクールをアメリカの案も踏まえて作りましたので、その時点でそういう性格は一旦解消されていると思います。
 現在、複線型と言っているのはもう少し緩い意味で、学生にとって一定のカリキュラムだとか進路という点で複数のキャリアパスに対応した教育制度だと、こういうふうに理解を一般的にはしていると思いますので、余り問題ではないのでないかと思います。ヨーロッパ等の言い方からいいますと、要するに、複線体系というのは、一方で中等教育から高等教育にまで一貫したアカデミック・ディグリーのシステムと、他方でボケーショナル・クオリフィケーションからプロフェッショナル・クオリフィケーションに至る職業体系、つまり、プロフェッショナル・アンド・ボケーショナルシステムと、この二つの体系を並び立てて、先ほど経済同友会の提言で二つの山というのがありましたけれども、両者の同等化あるいは相互交流、相互移動を図っていこうと、こういう動きではないかと思います。そんなに身分制的というふうな話ではないのではないかと思います。階級史観に立つのであればそういう問題も出てくるかもしれません。
 3ページの「高等教育体系の多様化・複線化」というところで疑問に思ったのは、以上のように一つ目の丸です。それで、事務局に質問したいのですが、ここでは、専門高校卒業者の進学、社会人の学び直しと二つに集約されて複線化、一つの体系というものを予定されているわけですけれども、これは先ほど私が言ったようなヨーロッパ的にボケーショナルとプロフェッショナルの体系という点からいうと、専門高校生にその次がないと、こういう意味合いでよろしいのでしょうか。何が言いたいかというと、新しいシステムには、実は普通科卒業者が進学することが量的には一番多いのではないかと思っているものですから、そういう質問をいたします。
 それから、もう1点。少し言葉遣いを変えた方がいいのかなと思っているのが、2か所ぐらいあります。1ページの4番目のパラグラフで、新しい機関を作ることや公的職業教育機関を組織化することの根拠として、「企業内における職業訓練」が低下したというふうに書いてありますが、多分企業関係者は、いや、そうじゃないというような意見を言われるかと思います。正確に言うと、「中長期的には」という言葉を付けられた方がいいのではないかというのが一つです。
 それから、「職業訓練」という言葉は変えた方がいいのかなと思います。職業訓練が問題ありますという意味ではなくて、厚生労働行政的にいうと、「企業内の職業訓練」というと認定職業訓練を指すので、すごく小さい話です。職業能力開発促進法で言う公共職業訓練の中の企業の中で認定された訓練部分をいうので、我々は現在、企業内のそういう部分だけを指していうことになります。そこで、どういう言葉を使ったらいいかということでいいますと、「人材開発」なり「教育訓練」という言葉を使っておけばいいと思います。日本の企業というのは必ずしも認定職業訓練若しくは職業訓練だけを教育訓練しておりませんで、新入社員教育を含めてということであります。OJT、OffJTだとか、自己啓発だとか、そういったものを総称して「教育訓練」と呼んでおります。
 その「教育訓練」が確かに中長期的には、特に2000年、ミレニアムのところで激変、激減しました。こういうことを言うと反論する人があって、いや、最近またOJT、OffJTは盛り返していますよというふうな意見も出てくるのです。ところが、1990年代とかと今と比べると、もう明らかに、明白に、企業が以前のように手厚い教育訓練を新入社員にしたりするということは減ってきています。そういう中で、学校、大学における職業教育やキャリア教育のニーズが高まっているのではないかという理解ですので、そこの言葉遣いは変えてください。以上です。
【黒田座長】  ありがとうございました。
【清水委員】  よろしいでしょうか。
【黒田座長】  はい。
【清水委員】  最初の複線化ですが、もしそういう意味で使うのであれば、「多様化」「多元化」などの言葉の方が適切ではないかと思います。世界の教育制度の体系というのは、第一次大戦後、欧米の複線型学校体系から分岐型学校体系、それから、アメリカ型の単線型学校制度と、そういう大きな流れで歴史的には移ってきたわけです。今の日本の制度は完全に単線型の学校制度です。その中における多様化と多元化だったら分かりますが、歴史的に価値を含んだ言葉を使うというのは何かそこに別の問題が生じる可能性がありますので、寺田委員の説明を受けると、「多元化」の方が私は無難ではないかと思います。
【黒田座長】  ほかいかがですか。はい、どうぞ。
【川越委員】  おっしゃったように、戦後の学校教育制度は単線型で来ているという意味において、中学校を出た後、例えば専門高校、専門学校、専門職大学院という一つの職業教育のラインが新たに立つ、並んで立つという意味で、我々は「複線化」という言葉を使わせていただいてきました。言葉の厳密な定義は別として、我々はそのようなイメージでこの言葉を使ってきたという意味はあるということは申し上げておきたいと思います。
【黒田座長】  ほかにございますか。どうぞ。
【池田委員】  「1.高等教育の多様化の必要性」という中の、今の日本が置かれている現状認識という中で、そこももう一度必要があるんじゃないかと思います。私は地方創生の方をやっています。やっているというよりは、日本にとってもう本当に喫緊の課題だと考えています。先進国の事例が100年前と60年前で大きく変わるということはいかがなものか。今、日本が置かれている状況というのは、私の認識からいくと、明治、それから、第二次世界大戦、その次に大変なところに来ていると思うんです。今、地方がものすごく疲弊をしてきています。若者たちが、非常に中央集権になってきている中で国家をどう作り直すのかという中で、今、教育はものすごく大事だという認識をしています。
 そうすると、今までは駅弁大学と言われて、地方に国立を作っていった。ばらばらと私立はできてきた。それを補完するように専門学校が各地にできてきた。地方の産業の7割、8割がサービス業であり、特に地方に密着したサービス業では、基本的には、専門教育をする能力が残念ながら中小企業はない。そこで大きく言われているのが、昨日もサービス産業の協議会で言われましたが、サービス産業に関して付加価値を付けなければ、地方の雇用の条件がものすごく劣悪となり、やっぱり最終的には雇用のミスマッチで、中央に出てくるしかないという話です。
 付加価値を付ける人材を育成するときには、バランスある教育機関の配置が並行しないと、日本の国家は絶対おかしくなります。地方が、今ある既存の私立大学などを少し強化する、地方を眺めていただいて、ない学科やニーズに応えられていない大学を作り直す。そうすると、専門学校のほんの一部などではなくて、専門学校、大学、短大も含めて、地方が経済的に自立し、付加価値を付ける人材を育成するという国の仕組みの在り方が私は問われるべきだと思う。そのことを「1.高等教育の多様化の必要性」の中のどこかに是非文言をきちっと入れていただきたいと思います。
 今、安倍政権もそのことを言っているわけです。予算もないこともあり、今既存にある大学に関して、奨学金などの小手先、残念ながら、私に言わせれば小手先で少し手直しすればよいということではなく、民間活力をうまく利用すれば、そういうことをやりたいという地方の心ある人たちに行政がサポートすれば、均衡ある地方の発展のための人材育成機関ができる。今、未曽有の状況に日本があるということになれば、一足飛びとかそういう議論じゃなくて、国際的なプロトコルという点も含めれば、やっぱり大学レベルの、いわゆる高等教育レベルの一定の質のものが地方において絶対に必要であるということが、多様化の必要性の中の柱として来るべきだと思います。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 はい、どうぞ。
【岡本委員】  単線型・複線型の議論が少しありましたが、言葉の問題ではなくて、私は基本理念に関わる問題だと思いますので、所見を述べたいと思います。日本は単線型になってきたという制度論と、実態的にも、とりあえず学校の教科の勉強をしておけばいい、とりあえず高校、とりあえず大学となっているということで、職業を意識するのがヨーロッパ等と比べて非常に遅いということが、それだけではありませんけれども、ニート、フリーターの原因の一つになっているのではないかと思います。
 以前も申し上げましたとおり、子供たちが早い段階で職業を意識すること、大学と別に、新たな高等教育機関、職業に特化した高等教育機関を作ることで、将来そういうところに行って、自分はこういう職業を勉強して、そういう職業に就くんだということをイメージできることが必要なので、はっきり言って単線型の弊害があるから、こういう新たな高等教育機関が必要だということの議論になっているわけです。ですから、前文などの中でこれを更に肉付けするとすれば、そういうことをもっと明確に打ち出して、「複線型」というこの一言で終わらせるのではなくて、なぜそれが必要なのかということを明確に打ち出すべきではないかと思います。
 欧米とか中国、アジア、世界の子供たちと比べても、日本の子供たちは、小学校のときはまだ将来の職業や夢を持っているのです。中学校になると少しそれが弱くなって、高校になると夢がなくなってしまって、もう将来の希望も自信も夢もないと。これは以前も議論がありましたけれども、子供たちだけの問題じゃないのです。やっぱり教育制度、教育システム、そういう理念を与えてこなかった大人の責任なんです。やっぱり職業を小さいときから意識しているということ、例えば教科が苦手でも、自分はこれが得意だ、これを学んで職業に就きたいという、そういう子供たちの夢を育てなければならないのです。その理解がどれだけあるかどうかということが大事なので、はっきり言ってこれは言葉の問題ではないのです。基本的な理念に係る問題なので、是非そういう理念を重視した背景や前文をやはり付け加えていただきたいと思います。
 それから、すみません、もう一点。設置基準は先ほど川越委員から御意見がありましたとおり、私もやや違和感を覚えるところがあります。やはり大学体系に位置付けるか非大学体系かというのは、最終的には大学体系に位置付けるという方向性と、これは私も賛成でありますが、最終的に設置基準の明確なものが出てない段階でこっちがいいよと断定できるわけはないのですね。
 一点だけ申しますと、大学体系の中に位置付けられるにせよ、新たな高等教育機関を創設するということは間違いないわけでありますから、あくまでも新たな基準ということが3ページにも書かれているわけですね。最も適した枠組みとしてその基準を新設するわけですから、そういう意味では、大学・短大の現行の設置基準に引きずられていくというような考え方は私は違うと思うのです。例えば大学や短大がまねできない、レベルの高い実務家教員のレベルは、逆にそっちが高くなるのです。だから、どっちが高いとかどっちが低いとかいうことは非常に誤解を招くので、是非そういう一方的な解釈が成り立たないような適切な表現を求めたいと。
 例えばはっきり申し上げますと、今、大学や短大はたくさんあります。冨山委員の言葉で私も同感するところが多いのですけれども、専修学校は質的担保がされていないと教育再生実行会議の提言等で言われていますけれども、大学や短大も担保されていない学校がたくさんあるんじゃないか。冨山委員がこのようにおっしゃいました。大学、短大は設置基準をクリアして現に存在していますよね。だからといって質が担保されているのかという話ですね。
 ですから、大学・短大はその設置基準をクリアしているから成立しているわけですけれども、それでは設置基準がクリアされているから質が担保されているかというと、そういうことはないわけですね。ですから、私は、設置基準は新設するんだし、その考え方として、規模とか、何センチとか何メートルとか何平米とかいうこともある程度は大事かもしれませんが、質とか仕組み、これを重視して新たな基準を新設するということでやっぱり理念を大事にしてもらいたい、質を大事にしてもらいたい、仕組みを大事にしてもらいたいということを申し上げたいと思います。
【黒田座長】  ありがとうございました。今いろいろお話に出てきました「複線化」という言葉遣いですが、文部科学省として今どういうふうにこの言葉を使っているのでしょうか。これが文科省として今の時代は「複線化」でいいのだということであればこれでいいと思いますが、誤解を招くようならば、その前後に何か付け加えていただくということや、「多元化」という話もありましたけれども、言葉を分かりやすくしていただくということが必要だろうと思います。
 それから、「職業訓練」については、これは「職業訓練」と言ってしまいますと大学体系の中には入りにくいことなのですが、企業で行われている職業訓練とどこがどう違うのかということもはっきり書かなければならないと思います。
 もう一つは、最も適した枠組みとしての新設ということですから、これにふさわしい設置基準は作られるわけですけれども、高等教育機関になりやすくするためという考えはやめましょうということをなぜここに書いているかというと、今、全ての基準がどんどん簡略化されてきているのです。自由設立で、あとはもう評価に任せればいいんだという感じになっています。これをやってしまいますと、国際的通用性がなくなってしまうというおそれがある。それで、今度作る機関というのは日本としてはこういう考えなのですよということを国際的に打ち出したいわけなのです。そのことを十分に中教審でも練っていただきたいという意味でわざわざこれを入れてあるのです。もしこれを外した方がいいということであれば外しますけれども、日本の今の大学もそういう意味では国際通用性がなくなりつつある分野があるわけです。そういう意味で、あえてこのことを加えているという、そういうことがあるので、これは御了解を頂きたいと思うのですが。
【岡本委員】  座長、一言。座長のお考えよく分かりました。であれば、設置基準の考え方ということで、やっぱり質とか仕組みとか、そういうものを重視するんだというですね。文言というのは独り歩きしてしまうのですよね。だから、そういう意味で、座長のお考えも踏まえて、質や仕組みとかそういうことも重視しますよということだと思います。設置基準の考え方はこうですよというのを述べた上で、何でもかんでも緩和したり易しくしたりするものじゃないのですよと言うのはいいのですけれども、それがなくてボコッと出ているから少し突出した感じがあるのです。こういうことを、今の座長のお考えを踏まえて御検討いただければと思います。
【黒田座長】  ありがとうございます。具体のことはまた後の項目のところに出てきますので、そこで議論をしていただきたいと思います。
 次、移りたいと思います。次は「3.の制度化に当たっての個別主要論点」ということであります。この辺が一番重要なことであります。「(1)新たな高等教育機関の目的(教育・研究)」、これをどういうふうに書くかということであります。それから、「(2)教育内容・方法」、「(3)入学者受け入れ、編入学等」、それから、「(4)修業年限」、「(5)学位・称号」という項目になっています。あくまでもこの素案は、大学体系の中に組み入れたときのことを書いているわけです。大学とは別の学校種を想定して書かれているものではありませんので、まずは大学体系の中に入っているということを前提にして書かれています。そういうことを前提に置いてこれをお聞き取りいただきたいと思います。それでは、今の3.の(1)から(5)まで説明をお願いいたします。
【神山教育改革推進室長】  先ほど御質問いただいた進学率の話についてまず御回答させていただければと思います。専門高校からの進学率で20%といった話につきましてですが、こちらは大学・短期大学等となっておりまして、専門学校や公共の職業能力開発施設などは入っておりませんので、あくまで大学・短大などについてという形になってございます。
 引き続きまして、4ページ目の「3.制度化に当たっての個別主要論点」について御説明をさせていただきたいと思います。先ほどお話がございましたように、大学体系に位置付ける場合という前提で書いてございまして、学位授与機関となることから、その国際的互換性や、国内の学位授与機関の水準を踏まえる必要があるといったことについても最初のパラグラフで触れてございます。
 また、「(1)新たな高等教育機関の目的(教育・研究)」に関してでございます。一つ目のパラグラフは、前回の資料とほとんど同じでございますが、目的に関しましては、質の高い専門職業人養成のための教育を位置付けるのが適当ということになってございます。
 また、二つ目のパラグラフにつきましても、これもほぼ前回と同様ですけれども、「研究」については「教育」と並置して主たる目的に位置付けるということではなくて、例えば教育内容を学術の進展や職業分野における技術革新等に即応させるために行うというような位置付けができるかという方向で検討することが適当ということにしてございます。
 その次のただし書のところは、若干付け加えてございます。研究を主たる目的と位置付けないということでございますけれども、これは新たな高等教育機関の教員の研究活動を妨げる趣旨ではないということを書いた上で、例えば産業界の最新動向の把握や分析に関する研究とか、企業との共同制作あるいは共同研究など、新たな高等教育機関の性格に適した研究活動については奨励されるべきだということに触れております。こうした活動や、そもそもの質の高い専門職業人を社会に輩出していくといったことを通じて社会の発展に寄与するということも新たな高等教育機関に求められるということが書かれてございます。
 続きまして、「(2)教育内容・方法」でございます。最初のパラグラフは前回と同様でございまして、専門教育とその基盤となる教養教育にわたって体系的な教育課程を編成することが必要としてございます。
 その次のパラグラフは、新たに詳しく書いてございます。特に最初の行では、新たな高等教育機関における教養教育については、哲学や古典等についての素養を養うのではなく、その教育課程全体を通じてどのような職業人にも必要とされる知識や思考法等の知的な技法など、変化の激しい現代の社会を主体的に生きるために必要な活用力・応用力を学生が身に付けられるようにするための基盤を形成することが重要としてございます。また同時に、コミュニケーションスキル、ICTのスキルなどの基本的な能力を育成したり、インターンシップやグループでのPBLを通じまして協調性や責任感などの非認知的能力を培ったりすることにも配慮が必要ということで、前回の資料よりもやや詳しく書かせていただいてございます。
 その次のパラグラフは、前回と同様ですけれども、教育課程の編成について、産業界による一定の参画を義務付けることが適当ということです。
 それから、その次も前回と同様です。
 その次、「教育方法については」というパラグラフでは、前段は前回と一緒でございまして、実習・実技・演習・実験等を重視して、講義形態の授業よりもPBLや現場での実習等の実践的な方法を積極的に取り入れることを分野の特性に配慮しつつ制度化すべきだとしてございます。また、全ての学生が長期インターンシップに参加するように努めるといったことにも触れているほか、分野横断的にどの職業人にも求められる能力についても、実際の指導に当たっては学生の学習意欲を喚起するなどの観点から、例えば職業分野の特性を踏まえて当該分野の具体的事例を導入題材に用いるなどの教育方法上の工夫が行われることが望ましいといった点については、これまで御議論いただいた資料などを踏まえて記述をやや充実させてございます。
 その次の学修量について、卒業単位などでございますが、4年の場合124、2年の場合62単位といったことは前回と同様でございます。
 その次、「(3)入学者の受け入れ、編入学等」ということでございます。一つ目の丸では、先ほど御指摘がありました高校の普通科の話もここで出てくるわけでございますけれども、まずは社会人と高校の新卒者、どちらも入学が想定されるとした上で、新たな高等教育機関の教育内容については、関連分野での就業経験のある社会人や専門高校の卒業生などがそれまでの学習や経験から培った知識や能力を継続して深化・発展させることができるものとするというふうにしてございます。さらに、関連分野での就業経験がない社会人や普通科及び総合学科の高等学校の卒業生を受入れる際には、専攻分野の学修への円滑な導入を図ることができるような配慮が必要としており、社会人と高卒のどちらも入ってくるといった上で、経験者あるいは関連分野を学んだ人も、そうでない人にも、それぞれの配慮が必要ということを示させていただいてございます。
 その次のパラグラフは、前回と同様に、昨年12月の答申を踏まえて入学者選抜などをする必要があるということでございます。
 その次は、編入学など高等教育機関の間における移動について、そのパラグラフでは現在制度的に可能だということを御紹介してございますが、6ページの最初の丸のところでは、実態としましては一度入学した高等教育機関から学生が自らのニーズに合わせて別の高等教育機関に移ることは必ずしも容易ではないということを指摘した上で、新たな高等教育機関が現在の大学から転入学を受入れられるようにすべきだということにしてございます。
 続きまして、「(4)修業年限」です。最初の2年から4年までというのは前回と同様でございます。
 また、その次も前回と同様のところが多いのですが、学び直しに対応するために、学位プログラムの修業年限では学修期間が長過ぎるということで、学位プログラムをモジュール化した上で、履修時期も分散をして短期での履修ができるようにということで、モジュール化などについての記述を充実させたり、短期履修の積み上げによって学位を授与することを可能としたりするということにつきましても記述を充実させたりしてございます。
 その次は、「さらに」ということで、前回御議論いただいた際の御意見を追加してございます。修業年限4年の場合に2~3年の前期課程と1~2年の後期課程の二段階編成、2プラス2とか3プラス1のような二段階編成にするという検討も考えられるということに触れてございます。その際には、前期課程の修了者は「短期大学士」相当の学位を取得した上で、就職するということももちろんございますし、後期課程に進級したり、4年制大学に編入するということもあり得るだろうとしてございます。また、後期課程の入学者については、先ほど申し上げましたように、前期課程の修了後に入ってくる人のほか、前期課程修了後に就業しながら後期課程に進むという者も想定ができるかと思いますし、前期課程、短期大学、高専あるいは専門学校の卒業者で実務経験を経た者が学び直しのために後期課程に入ってくるといったことも考えられるのではないかということで説明をしてございます。
 そして、その次では、こうした二段階編成の導入により、短期大学、高等専門学校及び専門学校の学生が、4年間の実践的な職業教育を中心とした学修で「学士」相当の学位を取得できる進路の構築を検討することは有用ではないかということにしてございます。
 最後に、「(5)学位・称号」でございます。これにつきましては、前回と同様の記述でございまして、4年の場合は「学士」相当、2~3年の場合は「短期大学士」相当としつつ、現在の「学士」・「短期大学士」そのものと同じにするのか、それ相当の別の職業学位という概念が適切かどうかということについては今後検討ということにしてございます。(5)までは以上でございます。
【黒田座長】  ありがとうございました。何か御質問、御意見ございましたら、お願いいたします。
【清水委員】  よろしいですか。
【黒田座長】  はい、どうぞ。
【清水委員】  4ページの3番目の文章、制度化に当たっての個別主要論点で、前から少し違和感を覚えていたのですが、「大学体系に位置付ける場合、新たな高等教育機関は学位授与機関となる」とありますが、大学体系に位置付けても学位は授与しないというのはあり得ると思います。日本の大学でも、先ほど言いましたように100年間は称号でしたから、別に学位を与えてきたわけではないですね。称号を与えてきたわけです。ですから、学位相当の授与というのはあり得ますが、ここで学位を与えるというふうに決め付けない方が私は普通だと思うのです。大学体系イコール学位授与というのはもう一歩手前があるように思っています。大学体系に入っても、称号という、そういうこともあり得る。だから、それを学位にするか、称号にするかというのは、またいろいろな観点から議論すればいいと思います。いかがでしょうか。
【黒田座長】  これ、何かお答えできますか。
【神山教育改革推進室長】  今御指摘がございましたように、歴史的なところも踏まえますとそういった考え方もあり得るかとは思いますけれども、これまで有識者会議で御議論頂いていた範囲では、現行の日本の大学制度に関して言いますと、大学体系になった場合、学位の授与機関となる。それを踏まえて、学位授与機関となるのにふさわしい基準、設置基準とか水準といったものがどういったものがあるかということで御議論頂いていたということかなと思っております。
 もう一つは、今日も御議論ありましたし、これまでも御議論がありましたように、新たな高等教育機関を国際的な通用性のあるものにしていく、そこの卒業生が国際的に通用するようにしていくといった際に、学位を付与することが適切ではないかといった御議論を踏まえて、こういった形で書かせていただいております。
 歴史的なところから踏まえてほかの選択肢もあるのではないかという御指摘かとは思いますけれども、現状や国際的な通用性を踏まえた中での現時点での方向性という意味では、大学体系に位置付けながら学位授与機関にはしないということは、これまでの有識者会議の方向性としてそれで行こうということでなかったのかなということでこうした形で書かせていただいております。この点、書きぶりについても更に御議論を頂いて、適切な形にさせていただきたいとは考えてございます。
【清水委員】  説明はよく分かりました。学位授与機関といった場合に、新たな学校が学位を授与する機関になるのか、あるいは別のルートで学位を授与されるという、そういうことも含まれていると考えていいですか。
【神山教育改革推進室長】  これまでの御議論では、大学体系の中に位置付けるのであれば、今の現行の大学とかと同じように、基本的にはこの機関、新たな高等教育機関自身が学位授与をするという形になると理解をしております。そういう意味では、これも選択肢、いろいろなパターンがあるという意味ではおっしゃるような形もあるのかもしれませんけれども、有識者会議でのまとめとしての方向性としては、新たな高等教育機関が自ら学位を授与するということで方向性としてはお示しいただいているとは考えてございます。
【清水委員】  というのは、日本では大学評価・学位授与機構も学位を授与できる機関です。国の機関であったときにはそれは画期的なことであると思ったのですが、独立行政法人になってなお学位授与機関として存続していますよね。であるならば、そういう学位授与機関を活用した学位授与という方法も選択肢としてはあると思っています。そういうものを排除しない方が私はいいと思います。
【黒田座長】  私なりの考えを少し話しますと、日本の学部段階で学位を称号と称していたということですね。これが急に学位になったということなのですが、これは日本の高等教育の体系の中で、学部を卒業することで学位をもらうという意味がなかったのです。それが長く続いていたと。それよりも国家資格を取る。公務員の試験を通過する。一時は、大学の卒業生は一番出来が悪いんだ、大学中途退学が一番いいんだと言われた時代が随分長く続いていたのですね。だから、大学中退と履歴書に書いた方がいいんだという時代があったわけです。
 だけども、それでは国際通用性が日本の大学には求められないので、これを学位にするということになったわけなので、三段階一遍に飛ぶという考えとは少し違うと思うのです。大学体系というのは国際的には学位を出すところになっているわけです。学位授与機関としての大学になっているわけですから、これはやっぱり世界標準にならっていくということが私は大事だと思うのです。大学体系の中に入れて、この分野は学位は出せませんよ、学位が欲しかったら学位授与機構へ申請しなさいというのでは少し困ると思いますので、体系的には今のルールに従った中で収めていくのがいいのではないかということでこういう表現になっています。
【清水委員】  もちろん学位授与機関かどうかということは設置基準や質の保証、多分それとの関係が重要となってきます。そこだけで議論するのではなくて、設置基準や質の保証の議論も踏まえた上で考えていかないと、大学体系だから学位ありきということよりももっと総合的に考えた方が私はいいと思います。
【黒田座長】  そのとおりなので、大学体系の中に入るというときには設置基準は非常に重要になってきます。それと同時に、質保証するための制度が必要になってくるわけで、それと連動しての話ということになると思います。
【岡本委員】  今の清水委員の議論で、大学でもイコール学位でないこともあり得るんじゃないかと。大学体系で行くか非大学体系で行くかという、黄色い対照表を事務局で出していただいたわけですけれども、設置基準の問題もありますけれども、それ以前にやっぱり大学体系か非大学体系かと煎じ詰めると、これはもう学位を出すか出さないかというふうに究極的にはなるのです。
 これは大学評価・学位授与機構が出しておられる、「学位と大学」という、分厚い300ページぐらいの冊子があります。全世界の大学制度をずっと歴史的に俯瞰して説いております。大学が唯一、他の高等教育機関と違う点は何か、それは学位を出すことなんですね。高等教育機関というのは大学以外の非大学も含めて今いろいろあります。第三段階教育機関、ターシャリーエデュケーションという、そういう言い方もありますけれども、やっぱり大学と非大学を区別するのは学位なんですね。ですから、非大学で位置付けた場合は学位はないということはあるのですが、大学体系で国際通用性が今大事だということを黒田座長もおっしゃったし、金子委員も最初から最後までそれずっとおっしゃっておりますよね。そういうことからすれば、学位を除外した大学体系というのは、これはあり得ないですね。これは申し上げたいと思います。
【黒田座長】  どうぞ。
【寺田副座長】  今の話ですけれども、私は国際的通用性という観点からいいますと、当然配慮される話だと思います。学位を授与すると。それ以上に思いますのは国内の問題であって、先ほど清水委員は身分制というふうにおっしゃったわけですが、戦後の学校制度があえて身分制的性格があるとすれば、よく言われるような「学歴身分制」という括弧付きの概念があって、つまり、出ていく学歴水準だとか学校種類によっていろいろな違いが出てくる、差が出てくるということですね。
 大学に位置付け、あるいは高等教育機関として位置付けて、他の高等教育機関若しくは大学に相当する資格、つまり、これは市場価値ということですね。国際的通用性以前に、国内で卒業生が正当に一定の教育訓練を受けた者として認定され、それなりの労働上の処遇を受ける必要があります。市場価値といいますか、これを持てないということになると、新たな格差が出てくるのではないかという気がしますので、こういう点から見てもやはりこれは大事なことではないかなと。他の高等教育機関若しくは大学卒業者と同等の資格、学位を与えるということは非常に重要なことで、今どきなんらの学位を与えないということはできないんじゃないかなと強く思います。
【黒田座長】  よろしいですか。
 はい、池田委員。
【池田委員】  4ページの(1)の3番目、研究に関することです。うちの大学は専門職大学院を持っていまして、認証評価にもうすぐ入るのですけれども、そのときやっぱり言われるのが、博士課程を持っている先生のパーセンテージをどれだけ高めるかと議論しているのですね。どういう博士を取ったかなどですね。その先生がどれだけ学生に評価されているかということや、いわゆる専門職業人としていい人材を出せるかどうかという観点じゃなくて、どうしてもそういうふうになります。それをどう評価するかというのはなかなか難しいものですから、どうしても学校サイドでは、学長はじめ、やっぱり大学院は博士持っている人をそろえておかないと、認証通らないよねというような、何となくそんな議論があって、そういう指導があるのではないかと思うのです。
 そうすると、今の専門職大学院でさえそういうことですので、もしこれが本当にやっていった場合に、ここの4ページの丸のときの文言の付け方を見ても、やっぱり「奨励されるべきであり」というのですね。研究活動を並行してやりなさいと。それが独り歩きするのではないかなという感じがします。こういう専門職大学院の教員に関しては、やっぱり実践して、若しくは企業内で、若しくは人材をものすごくモチベーションして先端の技術を持っている人を、研究課程に回り道して博士持ってこいみたいな話に近くなってしまうのではないかと思います。
 教育するという技能はもちろん必要ですけれども、そこをどう評価するかということを本当にやらないと、どうも大学の学士と同じレベルになる場合の質の評価、先ほどでも比較的、教育の質が保証されるかされないかというところで、やっぱり今のディマンドは、学士なんだから、大学基準なんだからと、博士課程を持っている人やそういう研究した人が必要だとなります。だから、ここの文言を下手にこうやって強烈に入れてしまうのはどうかと思います。私は教育技法とか先端技術を研究することは、それは必要だと思うのです。これはプラスアルファで、若しくは大学院できちんとやってもらって、そういうものの教育内容を勉強していただいてということで、「研究活動については奨励されるべき」という、この文言は外した方がいいのではないかと私は思います。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 今の池田委員の御発言は、次の(6)の教員のところにも関係してきますので、次へ進めたいと思うのですが、今までのことで何かありましたら。
【清水委員】  研究というのはもっとトーンダウンさせてくれという今のお話ですが、百歩譲って大学体系に位置付けた場合、大学はいわゆるどういう名称を使うか。さっきuniversityを使うのかと聞きましたけれども、universityというのはカレッジに研究が加わってuniversityになったという歴史を持っています。だから、大学体系の中で研究がないというのは、私は歴史的にもあり得ない、考えられないというふうに今の意見には反論したいと思います。
【黒田座長】  私も研究の質だと思うのです。アカデミックで行っている研究と、こういうプロフェッショナルがやる研究とはおのずと違ってくるのですね。今制度化されている高等専門学校における研究と大学で行う研究とはおのずと違ってきているのですね。だから、目的が違うところへ行っているものですから、その辺をはっきりさせるということが大事だとは思います。
 はい、内田委員。
【内田委員】  私も座長と同じ考えなのですが、今、高等専門学校で実はこれが結構問題がありまして、設置のときの条件に研究の用語が入っていないのです。これで悩ましい問題が起こるのは、高等教育機関である限り、研究要素が必ず必要なのです。しかし、実は外部資金を取ろうとすると、研究の文言が入っていないということで申請資格から除かれるなどの問題があります。研究をやっていけないという意味では決してないはずです。したがって、書いてないからといっても、研究を奨励とまで行かなくても、やっていいということは入れておくべきだと思います。
【池田委員】  そういう意味での研究で外部資金をもらえるんのではなくて、教育を高度化し、専門職の大学にふさわしい内容に対して外部資金をもらうという感じに制度が変わらないと、やっぱり研究実績みたいな話で行くのではないかという感じはしています。
【黒田座長】  ありがとうございます。それでは川越委員、今までのところですか。
【川越委員】  違う話です。6ページの(4)の修業年限の二つ目の丸に書いてある、学位プログラムをモジュール化した上で履修時期も分散して、短期間で履修したものを積み上げていってというのは、これは新しい学校種の肝になるというか、とても大きな魅力になる部分だと思うのです。ずっと前から議論としてあるのですけれども、例えば3か月来て、それを4回来て4年掛かって1年分取るよということも可能になるし、それと、3か月だけ来て、そこで取れる資格なんていうものもあることで、単独で学生さんが来たりできますので、これは大変良いことじゃないかと思っています。
【黒田座長】  ありがとうございます。
 それでは、仙波委員。
【仙波委員】  私もちょうど、今御議論いただいたモジュール化のところを質問させていただこうと思っていたのですけれども、今の川越委員の考え方については私は全く反対でございます。学修プログラムに応じていろいろな分野をモジュール化して取っていくということは大変すばらしいことだと、いい試みだと思っているのですけれども、もともとのこの学校の目的というところの中で、生涯の中でどのような社会状況の変化に直面しても職業を通じた社会との関わりを持ち続けることができるような資質を養うんだと、大きな考え方はそういうふうになっています。そういう中で、やはり短期的に物が済んでしまうようなものというのは、果たしてこれは高等教育の中で教える中身にふさわしいのかどうかというのはやっぱり少し疑問が出てまいります。
 今日のお話の中でお聞きしていても、主に教育の方法論についての御議論がたくさん出ていると思うのですけれども、具体的にこの高等教育の中で職業教育としてどういうコンテンツを、どういったものを教えていくのかということがどうもまだ私には見えないのです。そのコンテンツが見えない中でモジュール化していくといった場合に、いろいろな形で自分の考え方に応じて選択をして更に興味を深めていくとかいうのは大いに結構だと思うのですけれども、これが体系的なものがないような議論を承っているような気がするのです。
 そういったものをどうやってプロセスの中に入れてくるのかは、これはまさに質の保証そのものに結び付いてくるものだと思います。方法論ばかり議論されているような気が少しするのです。もしかしたら少し私が違うかもしれませんが、本当の職業教育とは何なのでしょうかねということを毎回言い続けているのですけれども、その方法論を見ると、今の大学がやっていることとほとんど同じじゃないですかというような気がしてならないのです。ですから、どういう違いがあるのか。下手にこういう新しいものを作ったときに、さて、今までの大学と、あるいは短期大学、専門学校等とどう差別化ができるのかなということを少し不安に思っています。すみませんけれども、感想を述べさせていただきました。
【黒田座長】  ありがとうございます。今の学位プログラムのモジュール化というのは、社会人の学び直しのためのものですから……。
【川越委員】  そういう意味があります。3ページの上の方にある、25歳以上の学士課程の入学者は2%だというような状況に、一つの道を開いていくという意味があるのではないかなと思っております。
【黒田座長】  だから、順番に上がっていく、1年から上がってくる学生を対象にはしていないということなのです。
 はい、どうぞ。
【岡本委員】  仙波委員はモジュール化には反対というお話だったのですけれども、例えば一例として、専門学校で看護師や理学療法士、作業療法士は、大体3年制で学んで、国家資格を取って卒業して、現場に入っていくということをやっておりますよね。一方で、看護師や理学療法士、作業療法士は、大学もあります。4年制大学ですね。例えば専門学校を出て医療現場で何年か働いて、やはり医療の高度化や、あるいは、マネジメント力、あるいはコミュニケーションやチーム医療などそういう非常に新しいところを学び、また学士を取りたいというニーズはあるのですね。だから、そういう意味で、例えば何年も休むことはできないけれども、3か月単位で勉強しながらまた職場復帰し、また勉強してから復帰しということで学士を取るとかそういうことは、今、一例を挙げましたけれども、ITにせよ何にせよたくさんあると思うのです。
 やはり日本の産業界というか企業の現場では、なかなか長期の、2年間勉強してこいよとかそういうことを認めてもらえる職場というのは限られているわけです。ですから、そういう意味で、今は少ないかもしれないけれども、社会人の学び直しのための新しい有力な材料といいますか、システムになるのではないかということで、私はこれは非常に有意義だと思います。以上です。
【黒田座長】  では、青山委員から。
【青山委員】  有難うございます。少し観点を変えまして、私は経済界・産業界という立場でございますので、そういうところから発言させていただきたいと思います。4ページ、5ページにわたって教育内容や方法が書かれていますけれども、この中で丸の三つ目、それから、丸の五つ目のところに、産業界の協力云々というようなことが述べられております。
 この中で、考え方を提示するということはそのとおりだと思うのですが、丸の三つ目で、教育課程の編成については当然ながら協力するというような前提ではございますけれども、「産業界による一定の参画を義務付ける」という表現ですと、義務付けるとは一体どういうことかという質問がいろいろな企業からでてくるのではないかと思います。要は、産業界が積極的に協力しやすいような仕組みをまずとにかく作っていただくということが大前提で、その上で制度設計に入るということになると考えていることが第一点でございます。
 次に第二点目ですが、丸の五つ目で3行目に、「効果的に実践的能力を培う観点から、在籍する全ての学生が長期インターンシップ等に参加する」云々と書かれております。長期インターンシップというのは、先ほど御発言にありましたように、特に中小企業では受入れる企業は、何のために受入れる必要があるのか、その目的やメリットは何かがポイントになると思います。実態面からみると、企業に対するインセンティブや優遇支援措置などがある程度伴ってこないと、地方の中核企業といえども、なかなか継続的に協力するというのが恐らく困難になってくるのではないのかなというようなことが言われています。
 現在のインターンシップには、例えば1週間や2週間というのもあります。商工会議所も協力させていただいておりますけれども、協力企業にお願いすることが毎年毎年大変になってきているのが実情です。ですから、ここで長期インターンシップというようなことをおやりになるなら、産業界の協力をどのように求めていくのかということをもう少し検討され、書き方を少し丁寧にしていただいたうえで、こういう考え方を打ち出していただければ有り難いと思います。要は、積極的に協力、積極的に参加しようというような意図を持った企業が出てくるように、そういう御配慮を頂ければ大変有り難いと思います。以上でございます。
【黒田座長】  ありがとうございます。大変重要な御発言ですので、これはもう少し丁寧に表現をしていただきたいと思います。
 次、麻生委員。
【麻生委員】  今まで議論されてきましたモジュール化も含めたものに関係するのですが、例えば5ページの(3)の一つ上の丸に、例示としまして、「修業年限4年の場合は124単位、2年の場合は62単位」ということが明記されています。短期大学は御存知のとおり、2年若しくは3年がありますので、93単位も存在します。これは93単位取っても短期大学士でございます。これと合わせて、その次のページの修業年限で具体的なモジュール化や前期・後期の議論が入っておりますので、ここのところをもう少し、現行の高等教育機関である短期大学の制度と、すり合わせをした議論をしていかないといけないということを感じます。
 もちろん短期大学でもこういった短期に履修できるというプログラムがあれば大変いいのですが、それがなかなかできないという現実があります。こういったことを議論することは私は全く差し支えないと思いますので、それを視点に入れていただくということが大切だと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
【黒田座長】  ありがとうございます。
 どうぞ、内田委員。
【内田委員】  少し方向が変わりますが、6ページの(4)の丸の三つ目ですけれども、ここで、2年~3年の前期課程とその後の後期課程に分かれるとあります。これは大変画期的なことで、それぞれの専門を学んでいるうちに、方向を変えたい人が出てくるときに、これがないと退学になってしまうのです。ですから、これは専門の学校だけでなくても非常に有意義な案と思います。これは現行でも可能なのでしょうか。それとも、法制度を変えなければいけないのでしょうか。ここを少しお伺いしたいのですが。
【黒田座長】  大学の場合は現行制度の中でできます。できるようになっています。
【内田委員】  そうですか。これは大学院でなくて、普通の学部でも可能なのでしょうか。
【黒田座長】  はい、普通の学部でできるようになっています。
【内田委員】  分かりました。大変有効だと思います。
【黒田座長】  ほか、ございますか。どうぞ、服部委員。
【服部委員】  どこにこのフレーズを入れるのかということを少し考えて、前半のところでも私も考えていたのですけれども、日本の学校体系が戦後、単線型ということで、小学校、中学校の義務教育の課程、それから、高等学校等は希望者に応じて行くという、そういう体系がずっと続いていました。それによる教育効果というのは確かにあったわけですけれども、私、普通高校、それから、専門高校とを担当したことから考えて、中学校卒業の段階から職業教育、専門高校というか専門教育を選択するということについて義務教育の段階でほとんど教育されていない。先ほど岡本委員もそのようなことを言われています。これが大きな問題だと思っています。
 例えば専門高校あるいは専門学校で行われている教育の効果や、あるいは学びの仕組みなどの良さというのは、いくら中学校へ、あるいは小学校へ言ってもなかなか理解されない。その一つの原因は、これは極論かもしれませんが、日本における小学校・中学校の義務教育の担当の先生が、ほとんど100%普通科高校出身で、それから、教員養成小学校課程を出てきて教員になっているという形です。そういう中で、キャリア教育、職業教育あるいは専門高校、専門教育の重要性ということがなかなか伝わってこない。
 その辺を考えると、例えばここの5ページの入学者の受入れというようなところで、新たな高等教育機関へ来る前の段階、義務教育の段階から、やはり職業教育、専門教育について、日本の学校体系についてもう少し考える必要があるという、そういう早い時期からの改革の必要性といったようなこともどこかに入れておかないと、新しい高等教育機関ができても、そこへ至るまでの過程でそのように子供たちが教育されていないという問題が残るのではないかということを思っています。よろしく検討のほどをお願いしたいと思います。
【黒田座長】  ありがとうございます。今の話は大変重要なことなので、中教審でもそれは別の部会で今、議論している最中でありますが、その辺について神山室長、何かありますか。
【神山教育改革推進室長】  すみません、今の点ではなくて、その前のところで前期と後期の話について、今の制度でもできるのかという御質問があったかと思います。例えば今の4年制の大学の中で、その大学が独自にプログラムとして、最初の2年はこういうプログラムで、後ろの2年はこういうプログラムといったことをお決めいただくという意味ではできるかと思いますが、ここに書いていますように、前期課程が終わった段階で例えば短期大学士の学位を出すといったような仕組みは、当然今はございませんので、全体として4年の課程ですが、前期が終わった段階で短期大学士の学位が取れる、同時に就職したりもできるというような仕組みという意味では、新しい仕組みを作らなければ、今の仕組みではできないというふうに理解してございます。
【黒田座長】  確かにそうですね。学位を絡めるとできないですね。
 川越委員。
【川越委員】  中教審の特別部会の頃と軌を一にして文科省が中学校等における義務教育でのキャリア教育に非常に力を入れてきておられて、最近は非常に中学生の雰囲気が変わっているのではないかという思っています。もちろん今、服部委員がおっしゃったとおりの状況もありますけれども、例えば私どもがお仕事体験フェアなどというのをやると、前にも申し上げましたけれども、高校生は一目散に自分の希望の職業のところに行きますけれども、スタンプラリーとかやると、中学生はほぼ、全部を回ってあらゆる職業を体験しようという好奇心もありますし、その意味では少しずつキャリア教育の効果は現れてきているのかなと思います。
【黒田座長】  それでは、次に移りたいと思います。「(6)教員」のところから、最後のページまでを説明してください。
【神山教育改革推進室長】  それでは、6ページ目の「(6)教員」のところから御覧頂きたいと思います。丸1、「必要教員数」につきまして、最初の丸は前回と同じことが書かれてございます。研究の方に大きなエフォートが求められるものではないけれども、実技や実習などの教育活動に対してより大きなエフォートが求められるといった点とか、現行の大学や短期大学の教員数を踏まえて更に検討ということが前回と同様に書いてございます。
 7ページにまいります。こちらは前回の御議論を踏まえまして、実践的な職業教育を行う際には、当該分野における人材需要が高度に専門的ということがございまして、大学に比べると1学科の収容定員を小規模に設定する必要が生じることが想定されます。現在の大学の設置基準では1学部の収容定員は200名、入学定員にすれば50名になるかと思いますが、これが最小の基準として、この学生の収容定員に基づいて教員数を算定するという仕組みになっておるわけです。新たな高等教育機関におきましては、それより少ない収容定員に対する基準を設定して、現行の大学よりも少人数の教員・学生による学科も設置しやすくすることも考えられるのではないかといったことに触れてございます。さらにこのほか、教育課程とかコースに応じて必要教員数を設定することを検討することも考えられるということで、これまでの御議論を踏まえてこちらの項目を追加してございます。
 それから、丸2、「教員の資格要件」につきましては、最初の丸で、教員の資格については、目的に照らしまして、教育上の指導能力の有無に最重点を置いたものとするということの明示を新たにしてございます。
 その次は三つの丸がございますけれども、前回とほぼ同様でございます。教員の一定割合は実務家教員を置くといったこととか、教育内容の陳腐化を避けるために、実務に携わりながら並行的に教育にも当たる者を必要教員数にカウントができるようにすることが望ましいといったことも前回と同様でございます。
 その次の丸でも、非常勤の実務家教員をはじめとする教員のFD、研修などについて、前回と同様に書かせていただいてございます。
 また、既に御議論ありましたけれども、教員の資格要件におきまして、専門分野の学術研究を通じて批判的思考展開などの訓練を積んだような方についても一定程度在籍することが必要なのではないかというのも前回に引き続き書かせていただいてございます。
 次が「(7)施設・設備等」ということでございます。最初の丸の前段は、前回と同様に、実践的な職業教育を行う上で必要な施設・設備を備えることが不可欠というふうにした上で、職業分野による違いや実社会における変化に柔軟に対応する必要があるということに留意が必要というのは前回と同様でございます。「このため」ということで、施設・設備について、学生の安定的利用が確保されている場合については必ずしも自己所有を求めないこととすることや、他の学校と併設されている場合には双方の学校教育の支障のない範囲で一定の共用を認めることも考えられるということで若干記述を充実してございます。
 その次の丸も、前回とほぼ同様でございます。図書等の資料について分野に応じたものをそろえたり、あるいは自発的な学習の環境を備えるといったことが必要ということに加えまして、今回、環境の提供の仕方について、ICTの活用の検討ということも記述をしてございます。
 それから、その次の丸の校地・校舎面積につきましてですが、記述を若干充実させております。適切な基準とすべきという最初の文は前回と同様でございますが、「その際」ということで、新たな高等教育機関では、産業界と連携した実践的な演習やインターンシップ等の学校外での学習の機会が相当程度期待されるといったこと、また、社会人の学び直しにより積極的に対応して通学の利便性を向上する必要があるといったこと、また、企業等と兼任する実務家教員を確保するといった等の理由により、校地面積を確保することが難しい立地条件の場所に設置する必要性が高いことなども踏まえて、教育上最低限必要となる校地・校舎面積の確保に適した基準を検討する必要があるということで、御議論を踏まえまして記述を充実してございます。
 8ページ目「(8)質の保証システム(設置認可、情報公開、評価、公的助成)」でございます。丸1の「設置認可」のところでは、大学や短期大学とは別に、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関にふさわしい設置基準を設定することが適当というのはこれまでどおり書かせていただいてございます。さらに、設置基準や設置認可を今後検討する際に、人材需要の変容をはじめとする経済界などの変化に迅速に対応する必要がある、あるいは教育内容を機動的にそのニーズに対応させていく必要性が高いといったことに配慮すべきだという点についての記述を充実してございます。
 その次の丸は、前回と同様に、設置者は国、地方公共団体、学校法人とするということや、学校法人に求められる要件は、既存の学位授与機関を設置する学校法人と同等の水準が必要ということにしてございます。
 丸2が「情報公開」でございます。最初の「大学ポートレート」などの記述は前回と同様でございます。二つ目の丸では、新たな高等教育機関においては、卒業生の社会における評価、例えば学生の資格・検定試験等の合格率や、卒業生に対する就職先企業の評価、学生の授業評価の結果などとしておりますが、こうしたことについても情報公開において義務付ける方向とするということと、さらに自己点検評価の指標としても活用するといったことについても今後検討することが必要ということにしてございます。
 続きまして、丸3が「自己点検・評価、第三者評価」でございます。最初に、個々の新たな高等教育機関が主体性を持って自己点検・評価を行うということが適当ということを明示してございます。さらに、既存の学位授与機関と同様に、第三者評価として文科大臣が認証する団体によります認証評価を行うことが適当ということも明示してございます。その際、専門性に応じた分野別評価を実施することは必要としつつも、具体的な在り方については今後更に検討が必要という点については前回と同様の書きぶりにさせていただいてございます。
 続きまして、丸4が「公的助成」でございます。一つ目の丸につきましては、前回と同様の書きぶりとさせていただいてございます。今回は、その次の丸のところ、新たな高等教育機関の目的に照らして、求められる成果を上げている学校にはより多くの配分を行い、成果を上げていないものについては配分を少なくするという仕組みとすることで、教育の質の保証を図るインセンティブを設けることについても今後検討が必要ということを追加してございます。
 丸5「その他」でございます。一つ目の丸は前回と同様で、設置認可や自己点検評価、第三者評価におきまして、産業界の関係者の協力を得ながら質を確保するシステムが必要であるということや、資格に関連する分野については、関係団体との協力が必要であるということについて前回と同様に書かせていただいてございます。またその次の、経営の悪化等により教育の質の保証ができなくなった場合の記述も、場所などは移動しておりますが、前回と同様に書かせていただてございます。
 最後に、「4.その他の検討課題」というところをごらんいただきたいと思います。最初に「(1)名称」でございます。例えば「専門職業大学」や「専門職大学」等が考えられるが、今後の制度設計に応じて適切な名称を検討する必要があるということで、名称につきましては、例示を二つほど挙げておりますが、いずれにしても具体的な制度設計に応じて名称を検討するということにしてございます。
 「(2)分野」については、これも二つとも前回と同様の書き方でございます。一つ目は、制度として職業分野の限定は行わないということ、また今後の検討においては、現在の大学における学部の種類とか、現在の職業教育における実態等を踏まえて更に検討としております。二つ目の丸におきましては、サービス産業の高付加価値化とか地方創生といった点についても言及しているという形になってございます。
 最後に「(3)卒業生の実社会での活躍に向けた産業界との連携・協力」という項目を新たに書かせていただいてございます。一つ目の丸では、新たな高等教育機関の卒業生の出口が確保されて実社会で活躍できるようになるためには、産業界の連携・協力が必要不可欠であり、産業界には、実務家教員の派遣、教育課程の編成、自己点検・評価や第三者評価への参画、採用した卒業生に対する評価等の各種場面における実効的な連携・協力が強く期待されるということで記述をしてございます。
 また二つ目の丸は、新たな高等教育機関の教育の質の保証のためには、こうした産業界からの支援・協力が分野特性に応じたものになることが重要だとした上で、新たな高等教育機関に対する各種団体等による支援の構築に向けて、行政レベルでも文部科学省が各省庁と連携して進めるべきだということを記述してございます。
 最後に、教育の質が保証されるということが前提であることは当然としながら、新たな高等教育機関で学んだ者が就職する際に、例えば修業年限4年の課程を修了した者が大学の学士課程を修了した者と同等に処遇されること等により、新たな高等教育機関の位置付けが社会的にも既存の大学と比肩するものとなるような配慮が併せて期待されるとしてございます。そのために、新たな高等教育機関においては、社会に貢献する質の高い専門職業人の養成に真摯に取り組み、成果を上げていかなければならないということで結んでございます。私の方からは以上でございます。
【黒田座長】  ありがとうございました。何か御意見ございますか。教員のことについてはここで少し触れています。
 どうぞ。
【川越委員】  第三者評価を含めて認定・評価のタイミングといいますか、今、新設大学も完成年度を待たずに途中で認定・評価がなされるということを聞いたのです。2年課程の新しい学校種が創設されるとすると、当初その設置基準によって出来上がってくるわけなので、認定・評価を受けるのは完成年度の2年後以降ということになるのか、それとも、その前から既にスタートしなければならないのか。
【黒田座長】  今のこと、何か分かりますか。それでは、前田委員。
【前田委員】  法科大学院が出来たときには、実は完成年度に達しないで認証・評価をやっていたところがあるのですけれども、基本的に卒業生を出さないと質の保証にはならないと思いますので、そうした方がいいだろうと思います。
 現実には難しいかもしれませんが、1回認定されなければ一人前な教育機関になれないという作り方もあるだろうとは思います。アメリカでは州によっては、アクレディットされないと設置認可しないという州もまだあります。全く新しい制度なので、何かそのぐらいのきちんとした見守りをしてから、船出をするようなことを考えてもいいのではないかとは少し思っております。
【黒田座長】  ありがとうございました。
【川越委員】  やっぱり新しい制度で新しい設置認可に基づいてヨーイドンした2年間というのは、運営していくのもなかなか、頑張っていい学校を作るのはなかなので、完成年度まで待っていただくというのが普通かなと思ったりします。
【清水委員】  大学基準協会では、これまでは完成年度を待って評価していましが、今の新しい周期においては、完成年度を待たないでそれも一括して評価するというように方針も変化しています。ですから、認証評価機関によって、そこをどう扱うかは違ってくるのです。
【黒田座長】  どうぞ、池田委員。
【池田委員】  8ページの丸2「情報公開」の二つ目の丸にの3行目、「例:学生の資格・検定試験等の合格率、卒業生に対する就職先企業の評価、学生の授業評価の結果等」はいいと思うのですけれども、私、再三言っていますが、地方だと就職先企業は、中堅企業、小企業、中小企業しかないのです。大企業は工場等ありますけれども、大企業の出先ではほとんどそこでは採用しない。そうすると、また下手な評価をすると、自己評価も含めて、社会がそうなっているから仕方がないのですが、大企業に流れてしまうみたいな、そうじゃないときちんと社会で評価されないようになるのですね。そういうことというのは、今、本当に実際起こっていることです。
 ここでポイントは、私もニュービジネス協議会という立場で来ているので、創業する人に関する評価はものすごい加点をしてほしいと思います。下手に評価してすぐ潰れたら仕方がないのですけれども、そういうこととか、例えば開業率を4%から10%以上にする。そうすると、ベンチャーというのは、就職先企業の評価を、そういう意味で分析すると、財務評価や社歴や財務力なんていったらめちゃくちゃ低いわけです。ベンチャーに入って、そこで一緒に共にして、理念を、夢をみたいなことが、要するに、チャレンジするということに関する評価は、残念ながら既存の大学評価ではほとんどあり得ない。
 先ほどの大学院大学の中で、やっぱり創業するとかそういうことの評価はないですね。やっぱり研究をしたというか、どちらかというと既存の流れの権威の中で評価基準がどうしても決まっていきます。何が今、日本に必要かというと、ベンチャーとか、チャレンジするとか、地方に残るとか、地方の活性化に命を賭けるとか、そういうことの人材が多分必要なのですけれども、今のこのままでワーッと行って議論すると、また認可基準とかそういうものが厳しい。どんどん議論していると、さっきの研究もそうなのですけれども、だんだん流れていくという。学士なのだからこうだああだというような議論になっていくと、どうしてもその辺がどんどん狭まっているんじゃないかという危険があります。
【黒田座長】  ありがとうございました。今の就職先企業の評価というのは、そこへ就職した学生がいい学生か、よく働くかという評価なので、企業を評価するわけではないのです。
【池田委員】  そうですか。分かりました。
【黒田座長】  「就職先企業からの評価」には「の」と入っていますけれども、「からの」評価ですね。これはもう既にJABEEなんかはすごく厳しく、企業訪問して学生の状況を全部、就職した学生を評価しています。
【池田委員】  そうすると、社会的な評価ですね。どこの大学も、大学の自己評価の中では、どこどこの大学、一部企業、二部上場とか、そういうところがもっともらしく出ているという、そこら辺の構造を変えていかないと駄目ですね、それだけ。
【黒田座長】  だから、企業が学生を評価する評価の仕方ですね。
【池田委員】  分かりました。意味は分かりました。
【黒田座長】  その辺のことの指導が。
【池田委員】  その方が、要するに、社会的に信用されていくという社会を作っていくという意味では分かりました。
【黒田座長】  仙波委員。
【仙波委員】  これは質問ですけれども、8ページの丸4の「公的助成」というところで、一つ目の丸の3行目から、「新たな高等教育機関の設置基準に相応しい助成水準の検討とともに、新たな高等教育機関による追加的財政需要に見合った財源の確保が必要である」というお書きになっていますが、もしこれが実質的になったときに、文科省の方としてはこの財源の確保というのをどこまで考えられていらっしゃるのですか。例えば今、大学というか、国の予算は大分厳しくなっております。私学助成を減らすのか、国立大学の方の予算を削るのか、それとも、新たにこういう形でもし決まったなら特別に新しく財源が出てくるのか、その辺のことの見通しといいますか、それはどういう意味合いで財源の確保が必要であるとお書きになっているのか、質問させていただきたいのですけれども。
【黒田座長】  私の方から答えます。こういう新しい制度を作るときには、国を挙げてやらないとできないですね。この制度そのものは、私学のために作っているわけじゃないのです。国公私が共通のレベルで参加できるように作るという制度なのです。だから、そのためにはこの制度に対する国の姿勢、そこがはっきりしないと、こういう制度は作れません。そういう意味でここをまず押さえてくださいよということを中教審で議論するときにも投げ掛けたいと思ってこう書いているわけです。私学助成の話だけなら、今出ている私学助成の中でやりなさいよで終わるのですけれども、新しい制度を作るということは国の新しい分野を開くわけですから、それに対する国の考え方をはっきりと示してほしいという、そういう意味もここに込められているということなのですが、そういう回答でいいですか、事務局。
 ほかに。はい、どうぞ。
【岡本委員】  9ページの「(1)名称」のところで、「専門職業大学」や「専門職大学」等が考えられるということで、適切な名称はこれからということで出ております。私もこれまでの会議において、大学体系に位置付けられるとすれば、「専門大学」や「職業大学」などそういう名称があり得るということで、事務局の方から「専門職業大学」や「専門職大学」、これは仮称ではありますし、今後大学体系に位置付けるか非大学体系に位置付けるかによっても違ってきます。ただ現状では、特に「専門職大学」というのは、私はネーミングとしてもイメージ的にも非常にいいものではないかなという個人的な意見を持っております。
 と申しますのは、先ほどの複線型にもつながることではあるのですが、現在、専門学校は例えば普通高校、専門高校両方から来てもらっておりますが、やはり職業を重視した専門高校があり、そして、職業に特化した「専門職大学」ができるとすれば、現在ある専門職大学院と、一つの流れといいますか、ラインというか、学術体系、職業教育体系の二つということで専門高校、専門職大学、専門職大学院と。もちろんそのとおり歩む必要はないので、専門職大学を卒業して就職する等はいいのですが、やっぱり一つのラインがあると、学術体系、職業教育体系の二つあるという、そういう意味で非常にいいネーミングではないかなということです。今後どういうふうに位置付けられるかによってネーミングは変わってきますけれども、一つの有力な名称ではないかというふうに申し上げたいと思います。
 それからもう一つは、8ページの丸1の「設置認可」の二つ目の丸で、新たな高等教育機関ができますと、学校そのものも文部科学大臣の認可が必要だということと、それから、学校法人が、既に大学法人などは文部科学大臣所管の学校法人になっておりますけれども、そうじゃない場合、県知事認可の学校法人であれば、文部科学大臣認可の学校法人になるという意味におきまして、ここに「既存の学位授与機関を設置する学校法人に求められる水準と同等の水準設定が必要である」ということで書かれております。先ほどの最低限の学生の入学規模、総定員数等やはり今の大学や短大の設置基準とは違ってくる可能性がありますから、それに合わせてどういうものになるのでしょうか。例えば新制度が出来ますと、大学や短大からも移行を検討されるところがあるかもしれませんけれども、専門学校からも移行を検討する学校が出てきますよね。その場合、自分の学校法人は果たしてこの専門職業大学を作れるのか、あるいは学校法人がその水準に達しているかどうなのか、そのシミュレーションといいますか、このレベル観を具体的に明らかにしていただいて、では、3年後を目標にしましょうとか、5年後を目標にしましょうとか、そういう具体的なシミュレーションができるように、文部科学省の方で分かりやすい説明とかそういうものが公表されていくように是非検討をしていただきたいと思います。以上です。
【黒田座長】  清水委員、どうぞ。
【清水委員】  前回も言ったかもしれませんが、この名称については慎重に検討すべきだと思います。「大学」と付けた場合に、本当にuniversityと名乗るのかどうか、それこそ国際的通用性というところから慎重に考えなければいけない。2年制、3年制、これはどうなるのですか。専門職業短期大学にするのか。そういう問題もあります。ですから、この名称の問題は、鈴木委員もこの前御指摘されていましたが、かなり慎重に考えるべきであると私は思います。
 あとは、今回の方向性で一つはっきりしたのは、日本には大学体系以外にはないということです。そういうことですよね。大学体系以外のものは今のところ制度設計はできない。大学体系1本ですね。方向性としてはそういうふうに理解してよろしいでしょうか。非大学体系というのはない。
【黒田座長】  それを今後検討してもらうので、二つ挙げたのですね。非大学体系で行くのか大学体系で行くのかは、中教審にお任せしますということになっているわけです。でも、本当は大学体系の中に入れてもらった方がいいという有識者会議の方向ということなのです。大学体系以外に高等教育機関がないかというと、日本の場合そうではないのですね。いろいろ名称を使っていますが、高等専門学校も高等教育の体系の一つですし。
【清水委員】  そうですね。でも、非大学体系というのですか。
【黒田座長】  非大学ですね。それから、専門学校の専修学校というのは、あれも一応高等教育機関として、部分的に高等教育機関になっているわけですから。
【清水委員】  高等専門学校は特別の体系です。中等教育機関と高等教育機関を持っている、世界にも類のない、まさに日本的なものです。それを非大学体系と呼ぶには私は無理があると思いますが。
 それはともかくとして、いずれにしても大学体系ということの中で、いろいろな教育内容や制度設計をやってみると、何か既存の短期大学や高専あるいは大学が元気が出なくなるような、そういう印象を全体として持つのですが。この有識者会議は、全体としてみんなが元気になるようにという、それが一番理想の方向性だと思っています。具体的にどこがどうというのは今すぐには言えませんが、印象としてはそういうふうに感じています。
【岡本委員】  少し一言、すみません。
【黒田座長】  はい。
【岡本委員】  今の清水先生の、元気が出なくなる、これは私、全く理解できないので。いろいろ議論の中で、現在の大学も職業教育を実質半分ぐらいやっていると言われておりますよね。学術体系だけじゃないのだという議論が結構あったと思います。実際そうだと思います。短大も職業教育にある程度関与しているというわけですね。ですから、新たな高等教育機関ができることで、やっぱり学生がそれを選択できる。そして、卒業生を採用する企業側も産業界も選択できる。いい意味でやっぱり競争していくということが大事なのですね。
 だから、そういう意味で、大学もはっきり言って護送船団でいいんですかと。昔、護送船団ってあったじゃないですか。そんな銀行、みんな潰れましたよね。一番低いところに合わせるやり方が護送船団方式というわけです。そうではいけないというふうに日本社会もなってきたし、国際社会もなっているじゃないですか。大学の国際ランキングというのは、一面的だとかいろいろ言われるけれども、そういうことで世界の優秀な学生がいろいろもう世界を動いているわけです。日本の国内の学生もそうですし、世界の学生もそうです。そういう選択される大学になる、短大になる、専門学校になる、新たな高等教育機関になるということは、私は活性化されるというふうにイメージします。やる気のない大学や短大や専門学校がもし仮にあったとしたら、それは退場すればいいのです。だから、私はいい刺激になって活性化する。日本の高等教育制度が活性化するのであって、先生の、元気がなくなるというのは私は全く理解できません。以上です。
【清水委員】  制度設計が、印象として少し無理というか、複雑化するような感じがするのです。先ほど4年制の中に1年制、2年制、前期・後期を設けるとか、これはいいことだというふうにおっしゃいましたが、本当にそれでいいのですかね。何か、大学体系の中が少しぐしゃぐしゃとは言いませんけれども、制度設計にかなり無理が出てくるような気がしないでもないです。これは危惧しています。
 あと、例えば短期大学についても、既に文科省のワーキンググループで報告書を出しまして、ファーストステージとしての短期大学ということが強調されました。それが今回の議論の中では埋もれるというか、むしろなくなる可能性があります。高等教育のファーストステージでなくなるわけですから。そういうところも考えると、何かまだ議論が足りない部分があるのかなと思います。
【岡本委員】  一つだけ、すみません。
【黒田座長】  はい、どうぞ。
【岡本委員】  今の、清水委員の意見に、一つだけ。前期課程、後期課程という、この制度は私、すばらしい制度だと思っています。というのは、最初から4年課程で学士を取るということもあると思うのですが、まずは短期課程を卒業して就職して、現に短大や専門学校、大学も含めて、やはり何年か勉強して学び直しというのはあるわけです。特に専門学校とか短大、2年課程を卒業して何年かやって、やっぱりもっと自分は知識を得て、技術を磨いて、学士まで取ってまた出たいというニーズはある。
 OECDに比べて、日本は社会人の学び直しが圧倒的に少ないわけです。そういう風穴を開けるために、前期と後期をうまく分けることで、2年課程で卒業していく人もいるし、4年課程まで行く人もいるし、また社会人の学び直しも入ってくるという、これまでに全く制度化されていないものができるのですから、複雑化じゃないのです。選択肢が増えてより活性化するのです。そういうふうに私は積極的なイメージとして捉えております。以上です。
【黒田座長】  どうぞ。
【内田委員】  先ほどのお話にあったように、これで、短大も高専も少なからず影響を受けることは確かだなと思います。ただ、そのために今回のものを調整しようというのではなくて、やはりいいものをきちっと作った上で、短大や高専も必要であればまた制度を直していっていただくというような方向が正しい方向ではないかと思います。
【黒田座長】  ありがとうございます。
【寺田副座長】  よろしいですか。
【黒田座長】  では、お願いします。
【寺田副座長】  言葉尻の細かな問題なのですが、3点ぐらいお願いしたいのですが。一つは、7ページの丸2「教員の資格要件」の二つ目の丸の「教員組織の一定割合」という表現です。これは法科大学院あるいは教職大学院等にならっておられると思うのですが、それとは異なるということもあるので、割合というふうに機械的にやるのがいいのかどうかというのは再々私言っていまして、せいぜい「一定部分は」というふうにすべきかと思います。非常に多い場合もあるかもしれませんし、少ない場合もあるかもしれませんが、そういうふうにしておいた方が機械的にならないのではないかなという気がします。
 それから、同じところの四つ目の丸「学術研究を志向する大学に比べれば」というところの4行目、個人的な好みもあるのですが、「批判的思考」というのが少しひっかかります。学生に指導するときは、そういう精神を持たないと新しいものは生み出せないと言うのですけれども、どうなのでしょうね。特定の意味合いもあるので、「創造的」や、あるいは「応用的思考展開等の訓練を積んだ者」など、表現を工夫できないかなと思いました。特別の意味にとられても困りますので。
 それから、三つ目は、8ページで、これはどこに入れていただくのがいいのか、あるいはこれは文科行政権者の自由裁量の範囲の話かもしれません。今日冨山委員がおられたら多分言われたと思うのですが、冒頭に資料紹介がありましたが、もし設置基準が整って新たな機関の認可が始まるとすると当然問題になる話で、認可基準、質的な面と、他方は量的な問題があると思います。永続性という話も出ていましたけれども、作ってすぐ潰れるというふうなことではやっぱり困るので、それなりの質を備え、かつ数も一定程度の範囲というふうにした方がいいのではないかなと思っています。冨山委員のように10校とは言いませんけれども。
 そこで、これは一般論として、丸1、「設置認可」の一つ目の丸のところで「産業界・経済界等の変化に迅速に対応し」とありますが、この前後辺りで、抽象的な書き方ですが、地域、あるいは地域という概念が狭ければ地方、地方という概念だけにすると都市に対して地方というふうなことにもなりますのでここは少し工夫ですけれども、地域若しくは地方のニーズを踏まえて認可するんだということはやっぱりあっていいのではないかなと。いや、そんなものは行政の裁量範囲だというふうになっていれば別に構いませんけれども、書いていいのであれば、何かそういう文言を一つ入れておいてもいいのかなと思います。以上です。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 川越委員。
【川越委員】  さっきも言ったのですが、学士相当の国際通用性のある称号ないし資格が確保できるのであれば、非大学体系の学校として新たに創設するという選択肢を排除しないでいただきたいということが1点であります。
 もう1点は、今もおっしゃいましたけれども、地方で小さいけれども長年いい教育をしてきている専門学校が、とてもこんな高いハードルでは我々は1条校にはなれないなというようなものにはしていただきたくない。あくまでも問われるべきは中身だと思いますので、そんなことをお願いしたいと思います。
【黒田座長】  はい、前田委員。
【前田委員】  今の川越委員の御発言とも少し関連するかなと思いますし、さっき仙波委員もおっしゃったことなので、私も今まで2回ぐらい言ってきたのですが、今度作ろうと思っている教育機関で期待される高い質の職業教育とは何かという議論はやはりないような気がしています。
 ただ、今日出てきたこの資料1-2も、「新たな高等教育機関には高い質を求める」となっています。いわゆる職業実践専門課程は今たくさん認められていますけれども、あれに例えば専任教員が充実して施設がある程度整ったら新しい教育機関になるのか。そうではないということだとすると、例えば資料2の8ページの丸3、「自己点検・評価、第三者評価」とありまして、機関別の認証評価でも、厳しくやろうと思えばある程度のことはできると思うのです。つまり、学校側が質について証拠を提示して証明しないと駄目という仕掛けは作れると思うのです。それは、あくまで学校が提示した目標との関係で評価するということです。
 でも、その分野のレベルというのはどのくらい高いのかは、やっぱり専門分野ごとに望ましいレベルを提示できるような団体ができていかないと質の担保ができない。同業者や同僚たちがその「質」を作り上げて行くのが大事なので、その意味ではここの書き方が、専門分野別評価というのは弱いと感じています。機関別認証評価が漠然と評価するだけではなく、職業教育としてその専門分野のところはきちんと考えていくということが喫緊の課題だと感じました。以上です。
【黒田座長】  ありがとうございます。
 ほか、ございますか。どうぞ。
【永里副座長】  今の話で。日々技術や職業は変化していきます。その辺もうまく盛り込んだ書き方にしないと。変化に対応できるようにしなければいけないと思います。
【黒田座長】  ありがとうございます。
 ほか。池田委員。
【池田委員】  図書というところで、これもまた少し苦労しているのですけれども、ほとんど読まないような図書も専門書をそろえなさいと。今ほとんどネットでやっていまして、要するに、相当のデータベースのあるところと契約をして、ネットで検索できて、ある程度の図書は、このレベルでいうと職業分野に応じた図書等の資料を備えることは、ICTの活用の検討も踏まえるということになっているので多分そこで逃げられるんだけど、極端なことを言えばほとんどITで、分野によってはITでやった方が、世界中の情報がとれます。本当に専門的なことは例えば郵送でもらえるとかそういう仕組みをして、これから何年かたつので、ここを何冊とかやっぱりそこはやめていただきたいという感じが一つはします。
 それと、職業分野に応じて、例えば今ものすごい技術者を欲しがってうちなんかでも来ているところは、やっぱりネットとかネットのセキュリティが、ITの技術者がいなくて、国家も今、一生懸命探していますよね。そこを教育するってほとんどないのですね。あれはみんな、子供の頃からネットのセキュリティやハッカーみたいなことをやっているような人を探している。ほとんど大学教育というか専門教育では追い付かないと。そこを、要するに、すぐ対応でき、若しくは分野別で評価できる。
 そういう意味では、例えばアメリカなんかに比べれば、人口比率のハッカーがすごく少ないけど、情報が漏れていると。残念ながら、それは組織的に教育なんかできてないと。そういうことはものすごい今起こってきている。それに少し対応しているのは、ある専門学校なんかはそれをやって、すぐそういう学科を作って、日本の英知を集めてやっているケースもあるということなのですけれども、それが機敏に、要するに、学士が取れないことによって、インターナショナルな企業になかなかアクセスできないとかそんなところがあるので、そこは十分配慮してやられたらいいのではないかなと思います。
【黒田座長】  ありがとうございます。
 ほかございますか。青山委員、どうぞ。
【青山委員】  有難うございます。9ページで「4.その他の検討課題」の「(2)分野」と、(3)に産業界との連携・協力ということが示されております。まず分野の方で地方創生のための地方産業の活性化というのは入れていただいて非常によろしいかと思います。一方で、昨年の12月末に地方創生のための長期ビジョンと総合戦略が出て、この中で、人材の育成が非常に重要だというふうに位置付けられておりますけれども、そういう考え方をやっぱり盛り込んでいただくという必要があるのではないのかなと思います。

 先ほど寺田副座長から言及がありましたけれども、地方ニーズとは一体どういうものかというのはまだまだこれからというところがございます。都道府県、それから、各市町村が27年度中に地方版の総合戦略を策定することになっています。
経済社会が大分疲弊しているということを前段でお書きになっていただいているのですけれども、実は仕事をどうやって作っていくかというところが今、一番問われている訳です。仕事をどうやって作っていくか、起業、創業させればいいのではないか、これからの分野というのは何か、等々いろいろなことを言われておりますけれども、地方においては、非常に高度な技術の伴った医療とか科学技術とかイノベーションとかそういうものも重要ですが、産業を活性化するために何が必要かと言えば、地域の資源を如何に活用していくかということが非常に重要になってくると思います。検討課題のところで押さえるのか、それから、冒頭の方で押さえるのかはお任せしますけれども、そういう考え方を是非とも入れていただければと思います。これが一つ目のお願いです。
 それから、産業界との連携・協力は、先ほど丁寧な表現をよろしくとお願いしましたけれども、とにかく産業界も企業もある程度経済的なメリットや支援策のようなものがないと、なかなか積極的になれないということがあります。ですから、政策パッケージが是非とも必要になってくるのではないかなと思いますので、そういうような表現も是非ともお願いできたらと思います。以上でございます。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 ほかにございますか。はい、どうぞ。
【岡本委員】  7ページの一番下の、「特に校地面積を確保することが難しい立地条件の場所」ということでこれはイメージできるのですが、括弧で、「地方で昼夜間人口比率が1を超えるような人口集積がある地域等」とあります。都市部では地価が大変高いということで、だから、そういうものも入れた方がいいのではないですか。地方だけの話じゃないですよね。都市部又は地方においても人口集積がある地域等ということで。事務局にお尋ねしたいのですけれども、いかがでしょうか。
【神山教育改革推進室長】  趣旨としては都市部なども含まれると思いますので、書き方についてはまた御相談させていただければと思っております。
【黒田座長】  よろしいですか。
【岡本委員】  はい。
【黒田座長】  麻生委員、どうぞ。
【麻生委員】  先ほどの岡本委員の説明だと思いますが、設置者の話に戻ります。国、地方公共団体、学校法人ということで、既存の大学等を持っている学校法人は良いとしまして、専門学校のみを設置する学校法人は、私立学校法64条第4項、いわゆる準学校法人という制度がありますので、これで認可を都道府県知事から受けているという法人は、ここに書いてある意味では、既存の1条校の大学、高等教育機関に適用される学校法人という意味で受け取ってもよろしいのでしょうか。
【神山教育改革推進室長】  その全体で、大学などを設置している学校法人、今おっしゃったように、高等教育機関である1条校を文科大臣で置いているような学校法人という意味ですので、今のような御理解でよろしいかと思っております。
【麻生委員】  はい。
【黒田座長】  ほかよろしいですか。大体時間が参りました。今日たくさんの意見を頂きましたので、また次回までに反映されたものを作りたいと思っております。
 次回の予定について事務局からお願いします。
【神山教育改革推進室長】  次回につきましては、3月18日水曜日の10時から12時半までを予定しております。場所は今回と同じ、文科省3階の3F1特別会議室を予定しております。以上です。
【黒田座長】  ありがとうございました。本日はこれで終了したいと思います。今日は本当に貴重な意見をたくさん頂きまして、ありがとうございます。できるだけこの審議まとめには反映をしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。本日はどうも長時間にわたり、ありがとうございました。

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