実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する有識者会議(第10回) 議事録

1.日時

平成27年2月16日(月曜日)15時00分~17時30分

2.場所

文部科学省旧庁舎6階 第二講堂

3.議題

  1. 新たな高等教育機関の基本的方向性について
  2. その他

4.議事録

【黒田座長】  それでは、時間になりましたので、ただいまから実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する有識者会議、今日は第10回目でありますが、開催したいと思います。よろしくお願いいたします。皆さん方には大変御多用の中、特に今、卒業のために大学でいろいろと卒研の発表とかやっている最中だろうと思いますが、時間をお繰り合わせいただいて、ありがとうございます。
 本日は、前回に引き続きまして、方向性の基本的な議論をさせていただきたいと思います。後ほど説明いたしますけれども、今日である程度の方向性を出していきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 なお、本日も報道関係者より会議の全体についての撮影及び録音を行いたい旨の申出がありますので、御了承頂きたいと思います。
 まず、事務局から出欠状況及び本日の配付資料について御確認をお願いいたします。
【神山教育改革推進室長】  それでは、まず委員の出欠についてですけれども、本日、池田委員、川越委員、鈴木委員、冨山委員、樋口委員が御欠席となってございます。
 続きまして、本日の配付資料につきまして確認をさせていただきたいと思います。資料は1から5までの五つ、それから、参考資料1、2と二つ用意をしてございます。
 資料1から4までは、それぞれ、麻生委員、鈴木委員、寺田委員、冨山委員から提出していただいた資料となってございます。そして、資料5は、前回会議でお配りしました資料を基に、これまでの議論を踏まえて事務局で作成したものになってございます。
 また、参考資料は事務局から提出された資料でして、参考資料1は前回会議で寺田副座長から御質問がありました資格枠組みに関する資料となっております。また、参考資料2は、中核的専門人材養成等の戦略的推進に関する資料となっております。
 以上、不足の資料等がございましたら、事務局までお申し付けいただければと思います。
 以上でございます。
【黒田座長】  ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 それでは、御提出頂きました資料に基づいて、それぞれ御説明を頂きたいと思いますが、まず麻生委員から御提出頂きました資料1について、5分程度でありますけれども、よろしくお願いいたします。
【麻生委員】  それでは、私が資料1に基づきまして、これまでの有識者会議の審議を踏まえての意見書を説明させていただきます。説明に入る前に、私が本日気になっていることが一つございます。この意見書とは関係ないのですが、昨日の日本経済新聞電子版の2015年2月15日2時発信の中で、「技能訓練の専門大学、高専など移行 就職後押しへ新制度」というタイトルで文部科学省の有識者会議が改革案をまとめたというマスコミ報道がなされております。これは明らかに先走りしているのではないかなと思っておりますので、齟齬(そご)があるなら齟齬(そご)があるで結構ですので、何らかの対応を是非していただきたい。まだ有識者会議の意見としてはまとまっていないと思いますので、これに関しましては、一有識者委員としまして冒頭に申し上げさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、内容に入ります。本意見書は、第2回実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する有識者会議におきまして私が説明した内容を、その後の審議や新たな意見を踏まえ、より具体化した制度的要件を意見書としてまとめております。
 実践的職業教育を行う新たな高等教育機関、以下、「新たな高等教育機関」という表現をさせていただきます、が目指すものは、現在、法令等で定められています大学や短期大学、高等専門学校という高等教育体系の中で十分に対応できると私は思っております。しかしながら、平成23年1月、中央教育審議会の答申及び平成26年7月の教育再生実行会議の提言に基づきまして、新たな高等教育機関を制度化するのであれば、1番目としましては非大学型高等教育機関、2番目としましては大学型高等機関のどちらかの選択肢があり、さらに、2として今御議論がなされているのですが、現行の大学体系の中に位置付けるべきであると考えております。さもないと、日本の高等教育機関は二頭立てとなってしまって、国際的な認知が得られにくいと考えております。
 つきましては、例えば、例示としてでございますが、私の一見解としてお聞きいただければと思います。学校教育法第108条に、次のように短期大学と並べて位置付けることが一つの例として考えられるのではないかということです。これは、2番の現行の大学体系型に位置付けることを念頭に置いた一つの考え方でございます。108条に線を引いてある分は私が足した部分でございまして、同じ108条の中に二つのことが書いてあることはおかしいと思われるかもしれませんけれども、108条で短期大学のことが規定されておりますので、こういった例としまして、「第百八条:大学は第八十三条第一項に規定する目的に代えて、深く専門の学芸を教授研究し、実践的な職業又は実際生活に必要な能力を育成すること、及び地域貢献又は生涯学習を主な目的とすることができる」というような表現もあってもいいのではないかという私案でございます。
 なお、修業年限、大学としての名称、すなわち、大学の前に「短期」が付いておりますのが短期大学です。今まで「専門大学」や「職業大学」というような名称も出ておりますが、その部分に関しましては、より深い議論が必要であると考えております。
 さらに、新たな高等教育機関を教育基本法の精神に則る学校教育法第1条校として位置付けるには、公共性、継続性、国際通用性を考慮し、次に示す条件が必要だと考えております。
 1番目、高等教育機関ですので、文部科学省における所掌局を高等教育局として、新たな高等教育機関の設置基準の設定を行う。2番目、大学設置・学校法人審議会による学校法人寄附行為及び設置認可指針の明確化を行う。3番目、教育課程等を含む設置の趣旨を明確化すること。4番目、アドミッションポリシー、カリキュラムポリシー、ディプロマポリシーの三つのポリシーの公表を行う。5番目、自己点検・評価の実施と公表を行う。6番目、認証評価機関による「機関別評価」と、ここでは「分野別評価」の実施が必要であると考え、これを入れております。7番目、教育情報及び財務情報の公表と「大学ポートレート」への参画をすること。8番目、高等教育機関として必要な校地、校舎、図書館、体育館等の適正な配置を義務化すること。9番目、高等教育機関にふさわしい教育・研究能力を有する実務家を含む教員の資格審査を行う。実務家教員の資格審査をすることが必要条件です。10番目、これは学校法人に関わる問題ですが、公認会計士による会計監査と業務監査を行う。11番目、学校法人の運営に見識のある監事の選任を行う。12番目、教員が指導力を研鑽するためのFD活動の実施と職員のSD活動の義務化。現在、SD活動は義務化されておりませんが、今、ほとんどの大学がやっていることを考えますと、今後、義務化の方向に向かっていくと思います。
 この中には、私立学校のみを対象にした部分もありますが、こういったものが実施されれば、国際通用性も含めた、先ほど申しました公共性、継続性等が担保できるのではないかと思います。
 なお、新たな高等教育機関は、現在まで短期大学が高い社会的評価を得て行ってきております幼稚園教諭・保育士・栄養士・看護師・介護人材の養成教育を十分に尊重すべきであり、これらの職業教育の基盤には、「深く専門の学芸を教授研究」すると108条に書いてあることであり、それが培われる豊かな教養が置かれているからであると考えております。新たな高等教育機関が担うべき実践的職業教育の専門分野については、さらなる慎重な議論が必要であると考えております。
 以上が私の意見書でございます。ありがとうございました。
【黒田座長】  ありがとうございました。後ほど、まとめて御意見を頂きたいと思います。次の資料2は鈴木委員から出されており、前回、鈴木委員が口頭で説明されたものの資料でございますが、これについては事務局から簡単に説明を後ほど頂きます、次に寺田委員から提出されています資料を、寺田委員から10分程度でお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【寺田副座長】  それでは、よろしくお願いします。少し長いのですが、できるだけ早口で、要点を中心に話をさせていただきます。
 まず1番目、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関、これを制度化することの必要性について3点述べております。簡単に1、2を中心に申し上げますと、これまで何度も私、発言してきましたことをまとめたのですが、諸外国の、とりわけ高等教育段階の職業教育制度の制度化状況などを考えますと、やはり国としての人材育成力といいますか、とりわけ「学校教育行政分野における職業教育では」という言葉を再々使っておりますけれども、これを高める必要があるんだということです。
 2番目は、「袋小路」という言葉を使いましたけれども、最終的には学位機構を通してしか、しかも職業教育でない部分の補習的学修といいますか、そういうものを通してしか学位取得に至らないという問題を解消するために、2年間、3年間、あるいは4年間の職業教育を中心とした学修だけでも学士に到達できる、そういうパスを構築することが必要ではないかと思います。
 3番は省略します。
 「2.育成すべき人材」ですが、これは2-1で、前回、冨山委員から話がありましたけれども、改めて資料等をチェックしますと、2-1は、産業分野では、イグザンプルのところで書いてございますけれども、今後、医療、福祉、その他サービス、あるいは輸送用機械製造業、それから、拡大基調というわけではありませんが、非常にパイの大きい建設業あるいは小売業等が成長が見込まれるということであります。
 それから、職業分類上は、国際的にも既に専門的・技術的職業従事者という大分類のところが二つに分かれていて、技術職及び準専門職と分化してきていますけれども、我が国にも準専門職的な職階の仕事が非常に増えてきているということが言えるかと思います。そういったことへの対応という必要がございます。
 2-2は省略しますけれども、大事なことは、ここでは、いろんな社会的なコンピテンスが国際的に重要になっていて、初等・中等教育でもコンピテンシーベースの教育が展開されていますけれども、職業教育においても、やはり同様の配慮が国際的になされており、社会的なコンピテンスに加えて、大事なことは技術という、アメリカのSCANSレポートの5番目のスキルのところに入っている技術ということも忘れてはならないということがあります。平成20年だったと思いますが、看護基礎教育の有識者会議というのがあって、平成21年から看護師等養成課程が変わりました。文科省でいうと学習指導要領みたいなものですけれども、そのときの文科省所管の機関の関係者としては唯一1人だけ出て往生した記憶があります。そこで問題になっていたことは、看護師養成は4年制化を何十年来進めてきて、さらにそれを進めようとしているわけですけれども、そのこと自体はよろしいんですけれども、歴史的に見ますと、資料に詳しい数字を入れましたとおり、実は実技、技術と言っていいかもしれません、半減させて4年制化をした、そういう経緯があります。
 何が問題になっているかというと、看護師にとって教養も大事ですけれども、技術が非常に心配される状況があるということがすごく議論になっていました。結果として、21年改正で、少しだけ実習を元に戻しているんですけれども、このことをよく、新しい機関を作る際には考慮しておく必要がある。技術の要素というものを軽視してはいけないと思っております。
 3番目ですが、「3.新制度の基本構造と設計」というところで、これは一番後ろに絵を付けました。いろいろ工夫をしまして、実際、いろんな考えをイメージ化したものです。それを詳しくは御参照頂きたいんですけれども、短期大学、専門職大学院、あるいは高専などと並ぶ大学セクターの一部として、高等教育セクターの一部として位置付けていく必要があると思います。将来的には、職業教育機関の再編統合があってもいいのではないかと思っております。これは全く個人的な意見であります。
 当面、新設のほか、短期大学あるいは専修学校専門課程からの移行あるいは再編を通じて設置することが見込めるのではないか、大事ではないかと思います。
 新機関の設計ですが、2段階構造にしてはどうかと思っております。これは再々、韓国の事例等を紹介しつつ意見を述べたんですけれども、呼び方はいろいろあると思いますが、2ないし3年制の前期課程と、1年ないしは2年制の学士に至る上級課程の2段階編成にしてはどうかと思います。最終的には、途中、4年制に編入したりいろんなことがあると思いますけれども、冒頭に申し上げましたように、職業教育で4年間で学士に到達するという道を確実に保障しておくということです。
 その次のバーのところは省略いたします。
 4番目、「4.教育課程」、ここが一番大事かと思います。よくよく考えますと、「職業教育」というのは非常に一般的な言い方であって、最近ではキャリア教育まで職業教育というふうに同列視してしまうくらいの意見がございます。やはり厳密にしないといけないと思っておりまして、常々、私、申し上げているんですが、一つは、一般的には文部行政の職業教育というのは、どちらかというと後者の方の産業分野志向といいますか、職業資格取得と直接リンクしていない幅広型の職業になろうかと思います。中等教育分野では「産業教育」という名称を六十数年間使ってきております。それから、もう一方では、これは主として厚労行政あるいは生涯学習政策局下の専門学校、専修学校等に多いかと思いますけれども、資格対応型の職業教育、つまり狭義の職業教育という二つがあろうかと思います。もちろんその中間だとか、いろんなことがあり得ますけれども、こういうわけですので、教育課程編成においては、なかなか一律にいかないという問題があるかと思います。二つのパターンを考えておく必要があるだろうと思います。
 いずれにしても、資格対応型の場合でも、何回か前、私、押しなべて20単位程度の教養科目が必要と言いましたけれども、資格対応型の場合ですと10、非認定型の場合ですと20程度の教養教育と専門科目を100あるいは120単位を積み上げて、大学設置基準でいう124に近付けるとしてはどうかと思います。教養科目に関しては、例えば、平成4年の大学設置基準改定以降、分野別あるいは分野別の単位数の縛りをなくしておりますので、極端に言うと、4年制大学でも体育を取らないで卒業するような学生がいっぱい出てきております。語学も、第二語学を取らないで卒業していくというような学生もいるくらい。せいぜい第二語学でも、以前ですと大体8単位取っていたのが4単位とか2単位とか、その程度で卒業していくという状況がございますけれども、新たな機関においては弾力的に教育課程を編成する、教養科目についてもそのように編成していく。体育科目を置かない場合もあり得るのではないかと思います。
 4-3、ここが一つのポイントですけれども、講義、演習、実習という科目区分の中で、実践的職業教育機関ですので、認定課程で縛りを受けている臨地実習はもちろん、そうでない場合も現場実習を相当程度義務付けるとしてはどうか、必要があるのではないかと思っております。
 4-4は何度も言われていることで、産業界等の関係者の参加の下で教育課程編成を行うことによって、現場実習あるいは就職的な影響も見込めるのではないかと思ったりしております。
 「5.学位・機関の名称」ですけれども、まず学位についてですが、やはり国際的通用性を考えれば、基本的には準学士及び学士とすればどうか。日本語としては、その前に「専門」を付けたりとかということもあり得ると思いますが、少なくとも英語表記は「Associate」あるいは「Bachelor」とすべきではないかと思います。
 名称ですが、これはなかなか難しくて、前回、鈴木委員が「職業大学」とすればどうかという御意見もございましたけれども、実は一番最後の絵を見ていただくと、一番右側の能開大、職業能力開発大学校、これは後でも出てきますけれども、現在、既に4年制化を成し遂げております。かつての短期大学を基礎課程の中に入れて、専門課程と呼んでいますけれども、中に入れ込んで4年制化、長期課程と併せて4年制化を成し遂げていまして、一般名称が「職業大学」なんです。相模原に行きますと、バス停に「職業大」と書いてあります。そういう問題もございまして、なかなか難しいのではないかと思っておりまして、ここは工夫が必要ですが、専門大学あるいは専科大学、高等専門大学等の名称が考えられるのではないかと思います。
 「6.教員」の資格ですけれども、教授相当の教員に関しては修士以上、できれば博士号を取得することが学位付与機関としては妥当かと思います。当面は幾つかの条項を並列書きして、当該の教育水準以上の卒業者とすべきではないかと思います。
 実務教員の問題が問題になりますけれども、これは一律に当てはめるのではなく、科目グループごとに考えた方がよいのではないかと思います。特に実習科目に関しては、あるいは情報系などは実習と講義が区分しづらいですけれども、一部の講義科目等に関しては、実務経験者とすると。何%以上ということもあり得るかもしれませんけれども、一定数を実務経験者とする必要があるのではないかと思います。
 「7番.設置基準」ですけれども、大学設置基準、高専設置基準、短大設置基準と同様の項目を規定する必要があるだろうと思います。ただ、内容的には大学等とかなり異なる独自の基準が必要になるのではないかと思います。「独自の基準を設ける理由」の1番目のバーのところに総括的に書いてございますけれども、具体的には2番目のバー以下のところです。現行の大学設置基準で対応できない可能性がある点が幾つかあるかと思います。
 まず、前回も申し上げました大学の目的規定の中には、職業教育を行うということが書かれていない中で大学化をすることになりますと、非常に曖昧なものになるのではないかと思います。ここ数十年の4年制大学の中に一部資格対応型、それから、私が言う幅広型の産業教育型の職業教育の学部、学科をたくさん作ってきましたけれども、大学教育の目的というのが結果的に、他方のアカデミックの教育任務を追求することとごちゃまぜになっているという現状があると思います。そうではなく、実践的な職業教育を行う旨の目的規定、これを追加する必要があるのではないかと思います。
 それから、単位数とか時間数の関係で、それほどたくさんあるわけじゃないんですが、チェックしましたところ、例えば、自動車大学校なんて称している専門学校がありますけれども、これは大変で、4年制になっていますが、2年×2の4年制で、学科目、2年間で300時間、それと別に実習が600時間、合計900時間。設置基準でいう単位数、時間数換算でいくと、2年間で53単位にしかならないという問題があります。例えば、こういう例がありますように、先ほど、私、技術という点を重視しておく必要があると言いましたけれども、実践性というものを担保しようとしますと、かなり弾力的な単位換算をしていく必要があると思います。
 さらに、同様に実務家教員に関して、例えば、設置基準14条3項に専門職大学院について論及されておりますけれども、同様の対応が必要になるのではないかと思います。
 入学定員に関してですが、学生の入学定員、収容定員ですが、4学年200名、1学年50名以上が標準になっておりますが、非常に専門分化された場合、こういう50名というのが最小基準単位として妥当かどうか、これも再検討の必要があるだろうと思います。
 一つ飛ばしまして、運動場ですね。先ほど言いました、教養課程で体育を課さなければ、これは不要ではないかと思います。それから、校地面積は、これは短大、高専、4年制大学全て、学生定員×10平米となっておりますけれども、結果として多くの国立大学は、私、金沢大学にもいましたけれども、建て替えのときは山奥に移転せざるを得ないということになります。これから設置しようという場合、交通の便のよいところに建てるということを考えるべきですし、国が建てていただけると大変有り難いのですが、多分、私立法人が設置主体となる場合が大多数だろうと思いますし、そういうことを考えますと、やはり弾力的な基準を考えるべきではないかと思います。むしろ施設・設備の詳細規定というのは避けることが、例えば、アメリカ、ドイツなどの例からも見られるように、そういう詳細規定を避ける方向が望ましいのではないかと思います。詳しくは、その下に書いておきました。
 認証評価については省略させていただきます。
 以上です。
【黒田座長】  どうもありがとうございました。
 それでは、資料4については冨山委員から出ていますけれども、これも、冨山委員が前回、口頭で発言されたものをまとめられた資料だと思います。これについて事務局から何かあれば、資料2、資料4の説明をしていただきたい。その後に、参考資料1、参考資料2について、それぞれ説明をお願いいたします。
【神山教育改革推進室長】  それでは、資料2の鈴木委員から提出いただいた資料、それから、資料4の冨山委員から提出いただいた資料を簡単に御説明させていただきたいと思います。
 まず、資料2、鈴木委員から御提出いただいたものは、冒頭にお書きいただいていますように、前回、口頭で意見を述べたものを今回資料として提出したということでございます。「1.大学・短期大学は、実践的な職業につながる教育を行っていないか?」ということで、むしろ実践的な職業教育も、今、大学や短期大学でも行われているのではないかということを御説明頂いております。また、特に医療系、保健系の資格に関しましては、御自身の大学、短大を含めて、実践的な教育を行っていることが述べられてございます。
 2ページ目に参りまして、「2.高等教育機関としての質保証について」ということが出てまいりますけれども、こちらについては、下の方にもございますように、量と質がトレードオフの関係にあるのではないかということで、一定程度の量がなければ存在意義がないかもしれないけれども、量が必要以上に増えると質が低下することが目に見えてくるということで、新しい機関を作るのであれば、現行の大学若しくは短大で行われている質保証システムに匹敵するレベルのものが必要ではないかということを意見で頂いてございます。
 また、「3.新しい学校種の位置づけ、名称」ということで、公立短期大学協会での、ほかの公立短期大学の学長等からの御意見ということで、下から2行目にあるように、「専門大学」という名称は避けてほしいといった要望もあったということが紹介されておりますし、次のページでは新しい名称についても幾つかアイデアをお書きいただいております。
 また、「4.現行の大学・短期大学の設置基準の見直しによる専門学校の取り込み」ということについて、公立短期大学協会の中で御意見を頂いた中では、それが効果的だという意見もあれば、否定的な意見もあったということで御紹介がされてございます。
 以上が鈴木委員御提出の資料2でございます。
 引き続きまして、資料4が冨山委員から提出していただいているものでございます。こちらにつきましては、「1.本検討の背景・目的」ということで、例えば、三つ目のポツにありますように、労働力不足が深刻化する中で、サービス産業を中心とするジョブ型雇用領域において、労働生産性や賃金をいかに高めていくのかが重要な問題ということで、その次のポツには、一部の大学や短大、専門学校で極めて高度な職業教育が行われ、生産性向上に寄与している一方で、受益者のニーズにマッチしない大学等も多数存在しているという問題意識を述べられてございます。
 それを踏まえまして、下の方にあります「2.本有識者会議において答えるべき問い」ということで、我が国の社会と経済の大きな変化に起因する根本的かつ重大な課題を踏まえ、これからの日本の高等教育機関の在り方について大学も含めて根本から問い直し、その答えとしての新たな高等教育機関の在り方を検討すべきだと提言をされてございます。
 3.のところ、高等教育を二つ山、「ツインピークス構造」へ大転換ということについては以前も御説明があったと思いますので、省略させていただきます。
 その次の「4.新たな高等教育機関の骨子:「『四流の大学もどき』には絶対ならない制度設計を!」ということで、丸1の一つ目のポツでは、学位の国内・国際通用性の観点から「大学体系の中に」位置付けるといった御提言、また、その次のポツでは、既存の大学や短大からも、下記に指摘するような新たな高等教育機関の大学制度に魅力を感じて転換ができるような仕組みとすることが必要ということを言われてございます。
 また、修業年限については2年から4年で設定するといったこと。
その次のページ、3ページ目では、教育内容については、あくまでも「高度」な職業訓練をしていただきたいということで、二つ目のポツでは、一定レベル以上の職業資格については、受験準備学習ですとか資格取得自体を単位として認定するといったこと。
 また、一つ飛ばして四つ目のポツでは、一般教養についても、学術的な一般教養に拘泥することなく、本来の教養、すなわち現代の実社会に生きていくための基礎的な知の技法を教えるといったことが提言されてございます。
 その次の丸4のところでは、「法科大学院の失敗を繰り返すな」ということで、一つ目のポツにありますように、制度スタート時点における形式的なハードル設定ではなくて、教育内容の実態と実質的な成果、卒業生の就職状況ですとか資格取得状況等を参入と退出のいずれにおいても評価の中心に据えるべきだということが言われてございます。
 その下のA)「設置基準」の中でも、下線が引いてありますように、教員資格については、産業界から見た評価・経験をベースとして、何よりも「教える力」や「鍛える力」を最重要視するといったこと、あるいは、博士号については一切問わないのでいいのではないかということで御提言いただいてございます。
 また、その次のローマ数字4のところでは、大学設置基準に定められている職業教育とは関係が薄い設備関連項目、図書館や運動場の設置についても問わないといったことが提言をされてございます。
 その下、C)の「退出基準」のところも下線が引いてございますが、卒業生の就職状況ですとか産業界に対する貢献状況等を情報公開することを義務付けて、定期的に補助金の再分配を行ってはどうかといったことを御提言いただいております。
 また、D)のところでは、退出時の学生の保護についても、学生が不利益を被らないような形が必要だということを御提言頂いております。
 その下、丸5のところでは、専門学校からの参入の考え方として、当初の数年間は転換は10校程度に絞ってはどうかといった御提言。また、その次の5ページ目のところでは、補助金の考え方で、より成果を出している機関により多くの補助金を集中配分してはどうかといったこと。そして、最後、丸7では受益者の責任ということで、受益者、産業界も責任を果たしてくださいということで、例えば、最後のポツにあります講師派遣ですとかカリキュラム作成、あるいは各大学の卒業生に対する評価を通じて、実践的な職業教育の実現をするための一翼を担っていただければということの御提言をされています。
 以上が資料2と資料4でございますが、引き続き、事務局から出している資料につきまして御説明をさせていただきたいと思います。
【大谷生涯学習政策局参事官】  それでは、お手元に参考資料1として、横組みになっております1枚物の資料をお配りしているかと思いますので、私からは、実践キャリア・アップ戦略につきまして簡潔に御説明いたします。
 これは前回、寺田委員から、学位あるいは修了資格の国際通用性という観点で、資格枠組みということがあるけれども、政府、各省庁の動きを知りたいという御質問がございましたので用意をした資料でございます。
 お手元にお配りをいたしました実践キャリア・アップ戦略といいますのは、現在、内閣府におきまして事業として実施をされているものでございます。元はといいますと、これは平成22年6月に閣議決定された「新成長戦略」の中に、社会全体に通じる職業能力評価制度を構築するために、「日本版NVQ(National Vocational Qualification)」へと発展させていくという観点から、ジョブ・カード制度の既存のツールを活用したりして「キャリア段位」を導入するといったものが決められたことから、こうした事業が展開されたものでございます。
 現在、平成26年度におきましては、内閣府におきまして、ここに掲げてございます三つの分野につきまして事業を実施しているところでございます。一つ目が介護プロフェッショナル、二つ目がカーボンマネジャー、三つ目が食の6次産業化プロデューサーの三つの分野となっております。
 この実践的な職業能力の評価・認定につきましては、右側にございますとおり、プロレベルを含む1から7までのレベルに応じた段階での評価が計画されておりまして、現在ではレベル4というところまでの認定手続が行われているところでございます。これは、具体的には、左にございますとおり、「わかる」という知識のレベルのものと「できる」という実践的なスキルの両面での評価をすることとなっておりまして、具体的に「できる」と言われる、いわゆる実践的なスキルの評価につきましては、例えば、介護プロフェッショナルにつきましては、OJTを通して入浴の介助などの基本的な介護技術のほか、事故発生の防止などについての評価をすることになっています。
 また、カーボンマネジャーにつきましては、省エネでありますとか温室効果ガスの削減の取組についての判断、あるいはアドバイス、実践を行うような人材ということでございまして、これを実践的な経験や実績に基づきまして評価をしているということであります。
 また、食の6次産業化のプロデューサーといいますのは、具体的に申しますと、生産、加工、流通、販売、サービスの一体化の連携によりまして、農作物の加工品の開発でありますとか、あるいはレストランの展開といったような食の分野に新たなビジネスを創出する人を対象としております。これにつきましても、これまでの実務経験や実績により評価をすることになっておりまして、現在の取組の状況といたしましては、介護プロフェッショナル分野につきましては、認定を受けた方が265人、カーボンマネジャーにつきましては14人、食の6次産業化プロデューサーにつきましては181人が認定を受けているということでございます。
 なお、この制度につきましては、平成27年度より関係の省庁に内閣府から上記事業が移管されることとなっておりまして、介護プロフェッショナルにつきましては厚生労働省、カーボンマネジャーにつきましては経済産業省、食の6次産業化プロデューサーにつきましては農林水産省にそれぞれ移管がなされるということでございます。
 以上です。
【佐藤生涯学習推進課長】  続きまして、参考資料2をごらんください。前回は、専門学校におきます職業実践専門課程が話題となりましたが、実践的な職業教育の取組の推進は専修学校に限るものではございませんで、表題の事業におきましても、大学や短大を含めた複数の高等教育機関と企業とが、成長分野の各分野ごとにコンソーシアムを組みまして人材養成を行っていること、そして、この取組を通じて、大学と専修学校が相互に協力し合っていることについて御紹介したいと思います。
 この事業は平成23年度から始まりましたが、専修学校、大学、大学院、短大等と産業界等が産学官でコンソーシアムを組織し、その下で具体的な職域プロジェクトを各学校単位で展開して、社会人や女性、学生の就労、キャリア・アップに必要な実践的知識、技術、技能を身に付けるための教育カリキュラムを開発、実証するものでございます。
 資料の中ほどにございますが、現在取組を進めている分野は、「環境・エネルギー」、「食・農林水産」、「医療・福祉・健康」、「クリエイティブ」、「観光」、「IT」などですが、これは経済団体や産業界、労働界の意見や政府の成長戦略を基に22分野を設けており、各分野ごとに複数の専修学校、大学、大学院、短大などの教育機関と複数の企業や業界団体、行政機関などが連携して産学官コンソーシアムを組織し、そこで今後各分野・業界で必要となる最新の知識や技術、それらを身に付けた育成すべき人材像などを設定、共有し、モデルカリキュラムを開発しています。このモデルカリキュラムを参考にして、各職域や地域では、各学校がさらに地元企業や業界団体等のニーズを踏まえた「オーダーメード型教育プログラム」を実施するなど、地域にある教育機関全体として、あるいは職域、業種に関連する教育機関全体として特色が出るような教育カリキュラム作りを進めております。
 2枚目をごらんください。22分野に1ないし2のコンソーシアムがあり、合計25ございます。その各代表の学校には、半数は大学、大学院、短大が、また半数は専門学校が代表となってございます。また、それぞれのプロジェクトには複数の学校が参加しており、大学、短大、大学院が約30校、専修学校が約60校となっております。このほか、日本医師会などの公益法人も参加をしております。代表校が大学で、その一員に専門学校がなっているものもあれば、代表校が専門学校で大学が職域部分を担当する部分もございます。
 例えば、主に大学を中心に取り組まれている事例として、左上、林業のところでは、記載ございませんが、鹿児島大学、北海道大学、島根大学が林業再生のための人材育成プログラムの開発を、右側の歯科医療のところでは広島大学がグローバル専門人材育成を、左下の工業のところでは、豊橋技術科学大学が防災都市システム分野の人材養成、そのお隣、航空産業では公立の産業技術大学院大学が航空整備士のグローバル化へ対応する育成プログラムなどに取り組んでおります。
 また、中ほどのクリエイティブ分野、IT分野、ここは専門学校が中心となって、各産業の海外展開に当たって求められる人材像に向かって教育プログラム開発が行われております。ここは専門学校が得手とする分野でございまして、よく紹介されますので、説明は省略いたします。
 そのお隣、観光分野について、詳しくは3枚目をごらんください。観光分野は、専門学校と大学とが一緒に取り組んでいる例でございます。上の四角囲みのところですが、まずコンソーシアムでは専門学校が中心となって、観光業界全体の人材ニーズを取りまとめ、分析し、専門人材の目標などを設定いたします。これを受けまして、中ほどの四角囲みですが、インバウンド観光や国際会議誘致に係る専門人材育成のためのモデルとなるカリキュラムや教材開発を大学が調査・分析を行いつつ、企業や業界団体とともに作成いたします。
 これを受けまして、今度は下の囲みですが、例えば、大分県の別府地域では短期大学を中心に、これまでの観光業に医療などの要素を加えた医療ニューツーリズムに対応した観光プロデューサー養成を始めております。
 このように、上の囲みから下の囲みまで全体を通しまして、これまでの観光業に必要な知識に加えて、例えば、訪日外国人に向けた日本や地域の歴史や文化であるとか、温泉と美容、医療、健康であるとか、地域起こし、まちづくりの手法といった知識や体験、さらには上級編として、介護技術なども身に付けられるカリキュラムを開発、実証しております。本事業は平成23年度の産学官コンソーシアムの立ち上げから始まりまして、全国版の職域プロジェクト、また地域版の職域プロジェクトと取組を広げてきております。引き続き平成27年度も、この産学官の連携といった手法を通じまして、専門的人材養成に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 ただいま御説明いただいた件、それから、各委員から説明いただいた内容について御質問、御意見ございましたら、お願いいたします。どなたからでも結構ですが。今日は、寺田委員から、より具体的な方向性を示していただいているわけですが、何か御質問ございませんか。
【永里副座長】  麻生委員の資料1ページ目の下の方のパラグラフの一つ上、「現行の大学体系の中に位置づけるべきであると考える。さもないと、日本の高等教育機関は二頭立てとなって国際的な認知は得られにくい。」という、この考えに関して、寺田委員のお考えはどうなっていますでしょうか。これは寺田委員への質問です。
【寺田副座長】  先ほど説明しましたように、現行の大学体系、大きな意味の制度としての位置付けという点では、これは私も別に異論はありません。私は、設置基準の問題等々あるいは教育課程の問題で、先ほど主張しましたようなことが担保されるのであれば、例えば、高専のような形もあり得るんだろうとは思っておりますが、優先的には、やはり4年制ということですので、現行の大学体系の中に位置付けてもいいのではないかとは思っております。
 ただ、麻生先生がおっしゃる後半のところが、私、よく分からなくて、高等教育機関は二頭立てになるというのは、前回も冨山委員がかなり強調されましたけれども、アカデミック体系とボケーショナルの体系と、そういう意味がよくないとおっしゃっているのだとすると、それは少し違って、大きな意味では、アカデミックの体系と、大学体系の中に位置付けられるものであったとしても、教育機関の種類としては二頭立てと考えています。
【黒田座長】  よろしいですか。
【永里副座長】  はい。
【黒田座長】  内田委員。
【内田委員】  麻生委員の最初のお話にありましたけれども、昨日の日経新聞、第1面に出ておりました。技能訓練の専門大学を議論しているというタイトルと、高専など移行というキーワードが出て、少し誤解を招くといけないと思いまして、お話しさせていただきたいのですが、少なくとも高専は技能訓練を目指してやってきているのではなくて、かなり高度な教育で、専門の理論とか、あるいはリーダーとしての役割、場合によっては科学者をも目指した教育をやっております。まず、この会議の目的とするところが技能訓練というような形で定義されてよろしいかどうかというのは、少し明確にしておきませんと、誤解を招くおそれがあります。
 それから、移行することができるという議論は今までもありましたけれども、このタイトルだけを見ると、高専が既に移行することを前提としているように聞こえますが、高専は今述べたような高度な人材育成を目指すことと、中学校卒業からの学生が5年間専門教育に携わることは大変重要な仕組みと考えておりますので、このあたりの現状を御理解いただきながら今回の議論を進めていただきたいと思っております。高専はこれからさらに高度化しようとしておりますので共通するところもたくさんありますけれども、まずは今回の議論では、高専ということではなくて、よりよい職業教育に携わる高等教育機関を作るということに主眼を置いていくことを確認させていただきたいと思っております。
【黒田座長】  ありがとうございました。今の新聞記事について、文科省として何かコメントありますでしょうか。
【神山教育改革推進室長】  新聞記事につきましては、この会議自体が公開の会議ということもございますので、取材を通じて書かれたものかと思いますが、我々も高専の部分などは若干誤解を招くような記述があるかと思いますので、今後、文部科学省に取材があったときには適切に、ここでの議論が反映されるような御説明をさせていただきたいと思っております。
【黒田座長】  この新聞の表題が少しセンセーショナルに書かれていますので、誤解を招くのだろうと思いますが。
 どうぞ、清水委員。
【清水委員】  寺田委員から大変分かりやすく整理された、図も提示していただきました。新しい学校種というのは既存の学校種を侵さないというのを、前提で議論してきたと思いますが、この図を見ると、既存の学校種を駆逐していますよね。みんな新しいところに集まっていくような、そういうイメージがうかがわれます。そういう意図ではないと思いますが、ここでいう移行というのは、職業実践専門課程(認可されている470ほど)といった課程も大学へも移行できるわけですよね。ですから、この図からは、既存の学校種を脅かすとか侵すとか、そういうイメージがあり、その方向で議論が進むのを非常に危惧しております。
 あと、専門課程と上級課程という発想そのものは、私はいいと思います。この二つの課程を設置ということは、既存の短大とか高専からも上級課程に移行できるというイメージなんでしょうか。
【寺田副座長】  後ろの御質問から言いますと、それはまだ考えていませんでした。修了した場合に当然進学するということはできると思うんですけれども、短大の課程の上にこれを制度として積み上げるというふうには考えていませんでした。
 それから、前者の既存のセクターを侵さないという話ですけれども、私個人の意見でありますし、別にそれほど影響力があるわけでもありませんので、各学校がどうされるかということに最終的には委ねられるべき話だと思っております。
 ただ、可能性としては、4年制大学を含めて、職業教育に特化したいという場合、そういう選択肢もあっていいのではないかというような意味です。
【清水委員】  もう一つ、細かい点ですが、2年課程とか短期の課程を学位にするというのは私も賛成です。ファンデーション・ディグリーとかアソシエート・ディグリーという、諸外国ではそこが学位として構築されておりますので、学位の体系化という意味では、高専の上2年も含めて考えるべきです。学位というのは正規の課程を修了した者に与えられる称号という意味ですから、正規の課程を修了した人に学位を授与するという構想には私は賛成です。
 もう一つ、体育を外したらどうかということには私は反対です。大学に体育を設けたというのは、世界の国から見ても日本的な特徴になっています。学校体育というのも日本的な特徴ですが、大学に卒業要件としての体育を入れたというのは、体育、スポーツを世界に輸出できる教育産業の一つであり、そこは譲れないと思っています。
 あと、単位の計算の柔軟化というのは、これは議論が長くなりますから、単位の本来の趣旨をゆがめるような単位計算というものには私は反対とだけ述べておきます。
 以上です。
【寺田副座長】  たくさん言っていただきましたので、忘れてしまうんですが、単位の話からいきますと、本来の趣旨というのは、例えば大学設置基準に関して言いますと、先ほど言いました二十何条の頭に、「必修に関しては45時間を1単位とすることを標準とする」という文章があったと思っております。
【清水委員】  実習・実技等の授業時間は30から45です。
【寺田副座長】  それは各論のところで30から45とあるんですが、「大学の単位は1単位45時間を標準とする」となっていて、何が標準かというのはなかなか難しいと思っています。もし頭のところの45時間というのを取るとすれば、あるいは、資格対応の場合、先ほど例として挙げました自動車整備もそうですし看護師もそうですが、平成8年でしたかの基準から明確に1単位45時間と述べるようになってきておりまして、その辺が私の頭には一応あるということです。
【清水委員】  45時間というのは、授業と授業外の合算の時間です。ですから、先ほど、自動車整備で53単位にしかならないというのは、あれは45時間で計算するからそうなるわけで、例えば、30時間で15時間は自学自習をやりなさいとしても45時間になるわけです。もし30時間で終われば、70単位ぐらいになるはずです。
【寺田副座長】  大学はそういうふうに弾力的に対応してきたんですね。現在もそうですね。これは七、八年前ですか、単位時間数の改定をしたのは。
【清水委員】  1991年の基準の大綱化以降です。
【寺田副座長】  いや、45時間という。かつて30だったのを45にしたのは数年前ですよね。
【清水委員】  違います。
【寺田副座長】  もっと前ですか。
【清水委員】  それは戦後の大学(設置)基準で45時間の実験・実習となり、それが1991年に30から45という弾力的な規定になりました。
【寺田副座長】  いずれにしても、かなり弾力的に運用しているとは思っています。前者は何でしたっけ。済みません、もう一つの質問は。
【清水委員】  体育です。
【寺田副座長】  体育ですか。これは教育課程編成、現在の大学設置基準でも何単位以上というのは何も書いておりませんし、やらなければやらない、やるならやるという、それぞれの教育課程編成者の判断があるのではないでしょうか。
【清水委員】  最初からそれを外して考えるということは賛成できない。
【寺田副座長】  はい、分かりました。
【黒田座長】  岡本委員。
【岡本委員】  寺田委員の御発表について質問と感想といいますか、やはり全体として、職業教育の実情なり現場も含めて、よく御存じでいらっしゃるということで、私が前回発表した制度設計の基本的な理念なり設置基準の考え方と大変合致するところが多かったと思います。現在大学設置基準、短大設置基準があるわけですけれども、それと独立した独自の設置基準を設ける必要があると。それから、アメリカとドイツの学校の例も出して、全部細かいところまで規定するのでなくて、重要なところは定性的、定量的に決めるけれども、そうじゃないものは、その専門に応じて弾力的に扱うということは、新しい21世紀型の高等教育機関を考える上で私も賛成です。
 一つ、質問ですが、今も議論があったところに関係するのですけれども、前期課程、後期課程、これも一つのアイデアといいますか、考え方としてあると思います。今の専門学校の実情を例に取りますと、2年制というのが一番多いわけですけれども、3年制が増え、高度化も伴って4年制も増えてきている、こういう状況であります。そうすると、一つの学校の中に2年制と3年制と4年制が複数学科を持っている学校があると。もちろん専門学校がそのまま移行するわけじゃありませんけれども。一つの例として、寺田先生のお示しの専門大学若しくは高等専門大学、仮称ですが、それができたときに、一つの大学の中に前期課程、後期課程、あるいは前期・後期一貫の4年制の学科、こういう3種類ですよね。もう一度言いますと、前期課程が2から3年であると。それから、後期だけの1、2年の課程があると。それから、4年間、最初から体系的に行う課程があると。こういう三つの課程のイメージを想定されていらっしゃるかどうか、この点についてお聞きします。
【寺田副座長】  ありがとうございます。そうではありませんで、積み上げ式で、現在の大学院は、大方そういう方向だろうと思いますが、前期課程、後期課程で、後期課程に対して進学すると。もちろん試験はあるわけですけれども、別の定員という形を、とりあえずイメージしております。
【岡本委員】  分かりました。そうしますと、最初から4年制というものがあるのではなくて、前期課程と後期課程が併設されていると。前期課程で卒業して短期大学士、そういう課程修了者として卒業していく学生もいるし、後期課程の試験を受けて入って学士課程を卒業して学士を取るという、そういう積み上げで2段階になるという理解でよろしいですか。
【寺田副座長】  はい。後期だけというのはあり得ないと思います。
【岡本委員】  後期だけはあり得ない。
【寺田副座長】  ないと思います。
【岡本委員】  前期だけというのはあり得るんですか。例えば、短期大学。
【寺田副座長】  あるんじゃないでしょうか。
【岡本委員】  前期課程だけはあり得る。
【寺田副座長】  はい。
【岡本委員】  後期だけはなく、前期と後期を両方持っている学校があると、こういうことですね。
【寺田副座長】  はい。
【岡本委員】  分かりました。ありがとうございます。
【黒田座長】  仙波委員。
【仙波委員】  今日、御議論を拝聴いたしまして、資料1と2と3と4というのが出てまいりまして、資料1と2では主に既存の大学、学校が既存の制度で職業教育に十分対応できていると、こういう主張がございまして、資料4におきましては、明確に、うまくそのニーズが対応されていない、こういう言い方をなさっています。また、寺田委員の場合は、この職業教育、あるいは教育課程の2ページ目のところで、資格対応型職業教育と産業分野志向職業教育と分けて御説明いただいておりますけれども、どうしてこういうふうに意見がいろいろ分かれるのかなという感じがしています。一つは、職業教育って一体何なんだろうかということが、もしかしたら共有されてないのかな、それとも、明確な定義がないのかなと。その辺、寺田委員が、先ほどキャリア教育と職業教育を分けなくちゃいけませんよという言い方もなさっていましたけれども、職業教育というものの、ある程度の定義というか、明確さが出てくれば、おのずとそれを目指す学校種、学校のカリキュラム等々も見えてくるのではないのかなという気がするんです。今日、資料をお出しいただいた皆様方で、職業教育というのはどういうふうに考えていらっしゃるかということを、もしよろしければ教えていただければ有り難いと思うんですけれども。
【寺田副座長】  二つのタイプを説明して、その答えは出るのかなと思っていたんですが、それ以上詳しい説明ということですけれども、行政関係の文書あるいは定義でいうと、これは多分、主観的には私の意見がある程度反映されたと思っているんですが、この議論の前にやった中教審のキャリア教育・職業教育特別部会のところで実は定義がされていまして、正確な文言は違っている可能性がありますが、職業教育というのは、「一定又は特定の職業に従事するために必要な知識、技能、能力や態度を育てる教育」と。「一定又は特定の職業」に対して、という定義をしています。そうでないものがその他の教育ということになります。ですから、職業に対して直接に準備するということを目的にして、一定程度の専門教育を課す教育というくらいにしか説明できないんですけれども、教育課程としては、例えば、中等教育と高等教育では随分違うと思いますが、先ほど、実習の時間の問題を言いましたけれども、大体1,000時間、最低、高等学校で1,000時間、高等教育で年間1,500とか1,700ぐらいの、2年間、あるいは1年間で専門教育を課すというのが、辛うじて職業教育ではないかと思っています。
 そうかと思うと、先ほど、キャリア教育との関係が曖昧だと、最近の使い方はどうもそこが曖昧だと言いましたけれども、これはいわれがありまして、例えば、ちょうど100年ほど前に職業教育を論じた教育学者、大学の授業みたいで恐縮ですが、ジョン・デューイという人がいましたけれども、この人にかかると、およそアカデミック教育も職業教育だと。教育というものは、全て職業的準備の要素を持っているので職業教育と言えるという言い方までしているくらいですから、議論が分かれるところではありますけれども、諸外国あるいは日本の中等職業教育あるいは高等教育段階の専門教育等を見た際に、やはりそれくらいの量で専門教育が課されているものを職業教育かつ特定若しくは一定の職業分野と対応している専門教育となるかと思います。
【黒田座長】  時間が随分過ぎていますが、随分各論もやりましたので、資料5について事務局から説明を頂きたいと思いますが、資料5では五つに分けて書かれております。その全容について御説明いただいて、項目ごとにまた議論を進めたいと思います。よろしくお願いします。
【神山教育改革推進室長】  それでは、お手元、資料5を御用意いただきたいと思います。こちらの資料5は、前回、2月4日の会議に資料4を青字にしておりまして、そこにこれまでの御議論ですとか提出資料などを踏まえまして黒字を追加しているという形になってございます。
 なお、青字の部分につきましては、項目の順序などにつきましては移動したり括弧書きにしたりというようなことはしてございます。
 こちらの資料5でございますけれども、大きく五つに分かれておりまして、まず全体をごらんいただきますと、一つ目は基本的な考え方ということで、矢印のところに、大きな論点ごとにまとめてございまして、1ページ目では、大学体系の中に位置付けるのか、大学とは異なる新たな学校種を創設するのかといった、これまで御議論いただいた大きな論点を書かせていただいております。
 そのほか、2ページ以降も基本的な考え方の中では、矢印のところをごらんいただきたいと思いますけれども、新たな高等教育機関の目的ですとか、中ほどには教育内容や方法、そして下の方では修業年限について書かせていただいております。
 以上が基本的な考え方の部分ですが、二つ目の大きな固まりが3ページ目にございまして、順序を入れ替えたので3になっていますけれども、「高等教育機関としての位置付け」というのが基本的な考え方に関わるので、こちらに移動をしてございます。この「3.高等教育機関としての位置付け」のところでは、青字のところは五つほど丸がございましたけれども、大きく二つに分けまして、一つ目は矢印のところにあります学位や称号の件、それから、その下、質の保証システムの件ということで大きく二つに分けてございます。
 三つ目の大きな固まりが下の方にある「2.設置基準に盛り込むべき内容」ということで、4ページ目に参りますが、矢印を御覧いただくと、設置基準の話で、「必要教員数・教員の資格要件(実務家教員を含む)」となっております。それと、下の方に参りまして、入学者の受入れや卒業要件ということ。そして、次のページになりますけれども、施設・設備に関することを設置基準に盛り込むべき内容ということでまとめてございます。
 5ページ目の中ほど、「4.評価の在り方」ということで、これも青字は幾つかございますけれども、自己点検評価と第三者評価ということで矢印のところでまとめてございます。それから、5ページの下では「5.その他」ということで、分野に関すること、6ページに行きまして、名称に関すること、高大接続の関係、最後に公的助成の関係ということでまとめてございます。
 項目ごとに御議論いただくということですので、恐縮ですが、1ページ目にお戻りいただきますと、「1.基本的考え方」の最初の論点が、「大学体系の中に位置付けるのか、大学とは異なる新たな学校種を創設するか」ということにしてございます。これにつきましては、一つ目のポツでは、教育再生実行会議の第五次提言に触れつつ、我が国の高等教育機関の多様化を図っていく必要があるのではないかといった点に触れてございます。
 二つ目のポツでは、これまで御議論頂きましたように、新たな高等教育機関の制度化に当たっては、育成すべき人材像やそれにふさわしい教育内容の在り方に応じて、大学体系の中に位置付けるのか、大学とは異なる新たな学校種を設けるべきかといった点が議論となっており、いずれにするのかによって制度設計上で配慮すべき点が相当異なるということを述べてございます。
 三つ目のポツでは、大学体系の中に位置付ける場合には学位を授与することとなるので、学位授与機関としての水準に関する国際的な互換性ですとか、国内の既存の学位授与機関の水準を踏まえることが必要になるとした上で、一方で、大学とは異なる新たな学校種を設けることになりますと、学位授与権の付与は困難ということが基本となりますが、制度設計は自由に行うことができるということにしてございます。
 その次のポツでは、18歳人口の過半数が大学に進学するといった現状において、実践的な職業能力を身に付けた人材を輩出することを目的とした機関が求められていることを考えますれば、サービス産業の高付加価値化など、我が国の産業の高度化への要請に対応する人材養成の高度化を図ること、あるいは、卒業生の学修成果に関する国際的・国内的な通用性を確保することが重要だといたしまして、この観点からは、新たな高等教育機関を大学体系に位置付けて、学位授与を行う高等教育機関と位置付けることが有益ではないかとしてございます。
 その次のポツでは、高等教育における多様化を図っていくことからは、現行制度上の4年制大学ですとか短期大学、また専門学校から新たな高等教育機関が進んで参加できるような仕組みとする必要があるという点を指摘してございまして、以上のような点を踏まえますと、新たな高等教育機関については大学体系の中に位置付ける方向で制度設計の検討をさらに進めることを基本とすべきではないかということにしてございます。
 ただし、その下にございますように、この位置付け、大学体系の中に位置付けるのか否かという点については、学位授与機関としての諸要件の具体的な内容ですとか、大学、短大との関係の差異、また学位の種類についても精査が必要なので、今後、中教審などでの議論においては、大学とは異なる新たな学校種を設ける可能性も排除することはせず、これらを踏まえて審議することが必要ではないかということにしております。以上が大きな大学体系の中に位置付けるか否かという点についてでございます。
 このところで、大学体系の中に位置付けることをさらに検討を進めるべきとしていますので、以下の点については、基本的には大学の体系の中に位置付けることを前提としながら書かせていただいております。仮に大学の体系ではないことになれば、ここにあるよりは、より自由な制度設計ができることになろうかと思います。
 二つ目の論点、2ページ目でございますけれども、「新たな高等教育機関の目的」ということで、一つ目にございますように、主たる目的としては「教育」、特に質の高い専門職業人養成のための教育を位置付けることが必要ではないか。また、二つ目のポツでは、「研究」よりも「教育」を重視するということで、「研究」を「教育」と並置して主たる目的に位置付けるということではなくて、教育内容を学術の進展や職業分野における技術革新等に即応させるために行うものと位置付けることが学位授与機関として妥当かどうかということで検討するのがよいのではないかということにしてございます。
 その次、「教育内容や方法」ですけれども、実践的な知識、技能、能力を培うこととともに、そうした専門教育とその基盤となる教養教育にわたって体系的な教育課程を編成することが妥当ではないかということ。また、その教育課程全体を通じまして、分野横断的に求められる論理的な理解力、批判的思考力、客観的判断力等の能力を育成するとともに、主体性を持って多様な人々と協働することを通して問題の解決を図っていくことができる力、こういったものも必要ではないかとしてございます。
 次に、教育方法については、実習、実技、演習、実験等を重視して、PBLやインターンシップなどを積極的に取り入れることにしてございます。
 また、教育課程の編成につきましても、産業界による一定の参画を義務付けることを提案してございます。
 その下、「修業年限」につきましては、3ページ目にもございますけれども、各職業分野に従事するのに必要な能力などに応じまして2年から4年と設定できるようにするのが適当ではないかとしてございます。
 また、社会人の学び直しに対応するために、学位プログラムの修業年限では学修期間が長過ぎるということで、短期の履修を可能とするといった工夫も検討に値するのではないかとしてございます。
 以上が「1.基本的な考え方」でございます。
【黒田座長】  ありがとうございました。この方向性につきましては、これまで皆さん方から頂いたいろんな御議論を体系的にまとめたものでありますので、この中には、「何々すべきではないか」というように、全て疑問符を付けて書かれております。
 まず、「1.基本的考え方」のトップにあります大学の体系の中に位置付けるのか、それとも全く異なる学校種を作るのかということから入っていかなければならないと思うんです。これを決めませんと、この後に出てきています新たな高等教育の目的とか教育内容が全て変わってきます。ここに書かれていますのは、大学体系の中に位置付けることを前提にして後段の方が書かれていますので、この辺をどういうふうにするか、まず御意見を伺いたいと思います。片方で制度設計を自由にできた方がいいという意見もありますが、大学の方に位置付けますと、これは国としての責任が非常に重くなる、そのため、設置基準をある程度きっちり決めていかなければならないということになります。そういうことで、学位を出すという責任上、そういう体系が作られなければならないということなんですか、この辺のことについて、まず今までの議論を踏まえてお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。金子委員。
【金子委員】  私、このまとめといいますか、基本的な考え方に基本的に異論はありません。ただ、その場合に、大学体系の中に位置付けるとして、新しい機関が別の目的規定を設けるかべきかどうかということについては必ずしも明確じゃないということは一応確認しておきたいと思います。
 少し気に掛かりますのは、先ほど、麻生委員の資料で、一番最後の方に、「大学は第八十三条第一項に規定する目的」というのは、私、正確な情報は覚えていませんけれども、基本的な学問の基礎と職業生活の準備をするというような規定だったと思いますが、それに代えて、「深く専門の学芸を教授研究し、実践的な職業又は実際生活に必要な能力を育成すること、及び地域貢献又は生涯学習を主な目的とすることができる」と書いてあります。目的に代えてということは、要するに、前の83条の規定にこういうものが含まれてないということになりますが、私はそれは違うと思います。現在の83条の大学教育の目的には、職業生活への準備というのは非常に重要な部分として入っています。地域貢献又は生涯学習もそれに付随する機能として明確に入っているものだと思います。もし含まれていないとすると、現行の大学は、こういった地域貢献又は生涯学習ができないことになってしまう。それはとにかくあり得ないことではないか。
 それから、現行の大学も、例えば、教師教育、医学教育、いろんな職業教育をやっているわけでありまして、これも「目的に代えて」という言い方をしますと、できないことになる。私が申し上げたいのは、学校教育の中に入れる場合でも、既存の大学と排他的な形でもって職業教育を目的とすることを規定するのは非常に難しいということです。これは、きちんと認識しなければいけないと思います。言い換えれば、既存の体系の中でも十分職業教育は可能だと思います。ただ、特化するというのはどういう意味であるかということは、むしろ考えなければいけない。特化する目的を持つという場合に、目的規定、別のものにすることはあり得るかもしれませんけれども、少なくとも「代えて」ということはあり得ないと思います。
【黒田座長】  ありがとうございます。この「代えて」というのがどこにくっついているかといろいろと考えたんですが、これは研究ということですね。アカデミック研究をするのに代えて職業実践的な高度な研究を行うということも項目に入れてはどうかという意味だったと思うんですけれども、この辺のこと、事務局はどうですか、今の質問に対して。寺田委員、どうぞ。
【寺田副座長】  金子委員、別に私、名指しではありませんけれども、私が先ほど所見を述べたこととオーバーラップしますので。私の文書にも「代えて」というふうに、「大学の目的規程(第83条)の親規定に代えて」と確かに書いてはあるのですけれども、これはもう議論次第ですけれども、83条自体を大改革する可能性もあるのではないか。例えば、ドイツなんかは、もうはっきり、学術、教育、最終的には職業準備教育、職業教育をするんだと書いてありますし、成人教育も大学の課題だと。さらに、新技術の移転、トランスファー、これも大学の課題だと。少し僕は想像しづらかったんですが、ここ、理系の方はよくお分かりかと思うんですけれども。
 そういうことで、一括して大学の目的規定を改正して、その中にいろんな種類の大学を入れるというドイツ型という可能性もあるんでしょうけれども、当面、この新機関の話だけに絞るとすれば、そういう方向がもし難しいのであれば、専門職大学院あるいは短期大学などが大学の規定の中で短期大学規定をもっていて、その中に職業教育規定を差し込んでいますから、そういう可能性もあるのではないかと考えました。事務局はいかがでしょうか。
【神山教育改革推進室長】  もしよろしければ、お手元の過去の第6回の資料3に目的規定などを比較したものがございます。また、規定そのものにつきましては、同じ回、第6回の参考資料2に学校教育法の法律を記載してございますので、これらを御参照いただきたいと思います。大学の目的規定、麻生委員の資料でいきますと83条第1項が出てきたかと思いますが、大学の目的規定は、「学術の中心として広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させること」となってございます。これに対しまして、現行の短期大学の規定は、これもまさに麻生委員がお引きになられた108条では、「大学は第83条第1項に規定する目的に代えて、深く専門の学芸を教授研究し、職業又は実際生活に必要な能力を育成することを主な目的とすることができる」ということになっておりまして、この大学の規定と、短期大学の方でも83条1項に規定する大学の目的に代えて、深く専門の学芸を教授研究し、職業又は実際生活に必要な能力を育成することを主な目的とすることができる、と規定をされておりますので、大学と短大を比べていただいて、短大の108条には書かれてない部分、例えば、「学術を中心として」といった部分ですとか、「広く知識を授けるとともに」といった部分ですとか、短大の方では、特に職業とか実際生活のところに重点を置いておるということで、こうした書き方をしております。今でも「大学の目的に代えて」という書き方をしているということかと思います。
 ですので、新たな高等教育機関でも短期大学と同様の書き方、「目的に代える」というような書き方がし得るのかどうかといったのは、先ほどの金子委員の御指摘も踏まえて、さらに検討する必要があるのかなとは考えてございます。
 以上でございます。
【黒田座長】  ありがとうございます。
【金子委員】  その点に関して、もう少し議論が必要だと思いますが、この点に関して言うと、「短大と並べて」と書いてありますが、目的規定について短大の規定とどう違うのかという問題も出てくると思います。職業教育等々について、より特化した教育を行おうとするのであれば、新しい教育機関が短大とどう違うのかという目的についても、やはり問題が出てくるだろうと思います。
【黒田座長】  麻生委員。
【麻生委員】  先ほど、私の資料で説明して、例として挙げさせていただいたところの部分なんですが、大学の規定の中で、108条において短期大学が別にこのような規定になっており、先ほど資料の中で説明があったとおり、「短期大学は深く専門の学芸を教授研究し、職業又は実際生活に必要な能力を育成すること」ということを「代えて」という内容です。これは大学の中の規定ではなく、108条で別に規定にされていて、その中で修業年限や名称も、108条の中に入っています。その条文の中に、1項、2項、3項とありまして、これを今、短期大学と称して、実質的には短期大学設置基準がそれに基づいて構成されております。
 そうしますと、私が今提案しました、108条の中の文言を変える案も一つの考えでしょうが、例えば、108条の2等を作って、そこに短期大学の規定している目的規定を含めたものと同等の新しい高等教育機関の規定を入れるという選択肢があるのではないかと思います。
【岡本委員】  学校種における目的規定というのは根本中の根本でありまして、それを法律上、どのような章立て、節立ての中に位置付けるか。これはやはり専門的な、文科省あるいは内閣法制局とか、そういう法的な専門家の意見に基づいて整理されるべきだと思いますが、私は麻生委員の考えには反対でありまして、108条というのは結局、短大が規定されている条文であります。新たな高等教育機関は短大に包摂されていくわけじゃもちろんありませんから、大学でもなければ短大でもない新たな高等教育機関、それを大学と同等のものにしていくということでありますから、短大の規定する条文に入れていくというのは、技術的なところでそういうことがあり得るかは分かりませんが、考え方としてそういうことはやるべきではない。新たな条文として、新たな高等教育機関を位置付ける必要があります。しかも、短大というのは2年又は3年ですよね。新たな高等教育機関は現時点で、事務局からも出ておりますが、2年、3年、4年が検討されているわけです。ですから、専門職業大学とか専門大学とか、そういう名称も、仮称ですけれども、言われているわけでありまして、大学と並ぶ高等教育機関というわけでありますので、短大と同様に位置付けるなど、全くそれはあり得ないのではないかと私は思います。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 ほか。どうぞ。
【麻生委員】  私も、岡本委員がおっしゃることはもっともだと思います。現行の法律がこうなっているのは事実でして、本来、短期大学は大学の中で条文化されるべきものであるか、若しくは、現在の高等専門学校のように作るか。そこで高等専門学校にしてしまうと、大学体系の中と別になるということもありますので、本来ならば大学を規定している条項の中で条文化されるべきだということを感じております。
【黒田座長】  法制上、非常に難しい問題があると思いますけれども、ここでは基本的には大学体系の中で位置付けて、学位授与権も与えるという方向でよろしいでしょうか。
 前田委員。
【前田委員】  次のところに関係してくると思うのですが、学位名称として、既存の学位と同じ名称を使うとすれば、設置基準が違うというのは、やっぱりおかしいという気がしています。それは、特に国際的な通用性という意味からすると、同じ学位名称でありながら、よって立つ基準が違うというのはどんなものだろうというのが少し気になっているところです。
 例えば、今でしたら、専門職大学院、MBAは同一の基準ではないところがあって、学位名称を英語にしてしまうと一緒なんですけれども、質保証の在り方が違うという問題は現在も存在しているんです。そういうようなことはいかがなものかと思っております。
 以上です。
【黒田座長】  ありがとうございます。金子委員。
【金子委員】  この点ですが、後の方に、学位・称号については、これは学位と書いていますが、この場合の学位というのは「学士」相当であって、「学士」そのものではないということで理解してよろしいですね。
【黒田座長】  それも今後検討することになると。
【金子委員】  検討するのですから、ここで言っている学位は「学士」とは限らない、まだ決まってはいない。
【黒田座長】  「学士」以外の名称もあり得るということですが、そのときには国際的通用性を考えて、どういう名称にしたらいいかということになってくると思います。
【金子委員】  ただ、学位というのは1条校に与えられるものとしての学位を与えるものであって、それが必ずしも「学士」となるとは限らないと。
【黒田座長】  だから、称号にするか学位にするかということなんですね。称号であれば、全く違う組織を作ってしまえばいいわけですが、学位を与えることになると、1条校の大学の枠組みの中に入ってくることになるんではないかと思います。
【金子委員】  繰り返しますが、それは学士とは限らない。
【黒田座長】  名称は今後検討することになると思います。
 清水委員。
【清水委員】  基本的に、日本の大学体系が職業訓練というのを体系の外でやってきたという意味では、大学体系の中に組み込むのは画期的なことだと思っています。そういう意味では非常によく、それは賛成します。要するに、これは大学とは別の1条校は作らないということですね。つまり、4年制大学と短期大学あるいは大学院、それとは別の学校種を、大学という1条校の中に設けるということですね。そう理解してよろしいでしょうか。
【黒田座長】  これは、設置基準を全て別個に作るということになっていますので、そういうことになろうかと思うんですね。
【清水委員】  つまり、新しい大学とは別の1条校ができるという意味ではないでね。
【黒田座長】  と思いますけれども、その辺はどうですか。これからの議論だろうと思うんですけれども。
【神山教育改革推進室長】  その部分も含めて、これからの議論かと思いますが、これまで大学の体系に入れるのかどうかの比較の表などを資料としては提出をしていたかと思いますが、例えば、第7回の資料3などでお配りをしていたイメージを御覧ください。第7回の資料3の2ページ目などで、大学の中に位置付ける場合と大学とは異なる新たな学校種を設ける場合ということで、上の方に「基本イメージ」と書かせていただいているかと思います。現在の学教法の1条には学校種が並んで書かかれておりますが、そこでは「大学」としか書いてございませんで、短期大学といった学校種は書いてございませんし、大学院といったものも書いてないわけでございますけれども、大学の中には短期大学が含まれている。その意味では、「大学の体系の中に位置付ける場合」には、学校教育法の1条の「大学」には含まれる形になりますので、清水委員がおっしゃるように、大学と異なるものが作られるわけではございません。一方で、短期大学に関しましては、「大学」の中に含まれるとしながらも、設置基準につきましては、大学設置基準とは別に短期大学の設置基準がございますので、その意味では大学と全く同じものかと言われますと、「大学」の中には含まれますけれども、違う種類のものになってございます。
 同様に大学院のレベルでも、先ほども話がございました専門職大学院は広い意味での大学院の中に専門職大学院という別の種類のものがあるということでございますので、学校教育法、例えば、1条に着目して、「大学」の中に含まれるのかどうかということであれば、恐らく大学の体系の中に位置付けるのは、1条の中の「大学」には含まれるけれども、今の4年制大学と全く同じ設置基準が適用されるのかという意味においては別のものになるという御説明になるかと考えてございます。
【清水委員】  私もそういう理解でいいと思います。そうしないと、大学の外に新しい1条校を作ると、高専との関係も一緒に議論しないと、つじつまが合わないと思っています。そういう意味では、1条校の大学の中に位置付けるというふうに理解しています。
【黒田座長】  よろしいですか。今後これを具体的に考えていくと、非常に難しいことも出てくると思うんですけれども、一つ一つクリアしなければならないと思います。
 ほか、ございませんか。1条校に組み入れることであれば、ここに書かれている新たな高等教育機関の目的、修業年限、こういうものがおのずと決まってくると思いますので。
【清水委員】  今、神山室長がおっしゃったように、新たな学校種を大学の中に作るわけではないのですね。短大とか大学院は学校種じゃないということになります。
【神山教育改革推進室長】  学校教育法1条に着目しての学校種という意味では大学の中に含まれますので、1条に新たな学校種が追加されるということではないんですけれども、ただ、一般に短期大学というのが大学と同じだと一般の方が思っていらっしゃるかという意味でいくと、思っていらっしゃる方もいらっしゃるでしょうし、そうじゃないと思っていらっしゃる方もいます。専門職大学院も同様に、あれは大学院の一種だと思っている方もいれば、新しい別の大学院の一種であると思っていらっしゃる方もいるので、なかなか御説明としては難しいんですけれども、1条としては学校種を新たに作るわけではございませんけれども、既存のものと全く同じものではないものを作るという意味では、法令上の1条という意味ではなくて、一般的に新しい学校種を作るという言い方がおかしいということでもないんではないかと思っております。
【黒田座長】  いかがですか。
【麻生委員】  よろしいですか。
【黒田座長】  どうぞ。
【麻生委員】  短期大学について言わせていただきますと、文部科学省のホームページのQ&Aで、短期大学は大学とは違う、異なる学校種であると書いてあります。これは間違いのない事実でして、第1条の「大学」でありながら、目的が違うので別の学校種であるということを確認しております。
【清水委員】  少し違いますね。
【黒田座長】  よろしいですか。
【金子委員】  短大の問題については、かなり長い歴史がありまして、今でも文科省の統計では、大学進学率には短大が含まれているものが出ておりますが、そういう意味でかなり微妙な問題があるんだと思います。新学校種については、学校種としないのか、それとも大学の一部とするのかということですけれども、私は、新しい学校種を作るのであれば、1条校を変える必要が生じるということがやっぱり基本的には素直な考え方だろうと思います。ただ、それは要するに、大学というか、高等教育機関の一部として新しく別の体系を作るといいますか、そういう意味ではないということを多分言わなければいけないということだろうと私は思います。
 ただ、この段階では、そういう議論が出てくるのは当然だと思いますが、私はここに書いてある限りでは、これは大体賛成ですが、次の詰める段階では、やはりそういったことをかなり厳しく議論しなければいけないだろうと思います。
【黒田座長】  最終的には中教審で議論していただくことになるわけですけれども、方向性だけをここでお示しして、中教審へ渡したいと思います。
 「3.高等教育機関としての位置付け」についてはどうですか。説明してください。
【神山教育改革推進室長】  既に御議論にも上がっておりますけれども、3ページ目の「3.高等教育機関としての位置付け」を御説明させていただきたいと思います。
 最初に、「学位・称号」のでございますけれども、一つ目のポツでは、修業年限が4年の場合は「学士」相当の学位、それから、修業年限2から3年の場合は「短期大学士」相当の学位を授与することが適当ではないかということにしてございます。
 次のポツにございますように、ただし、現在の学士や短期大学士と同じものを授与するのか、あるいは、それ相当の別の職業学位といったような概念を持ち込むことができるのかというのは、国際的な標準の視点も含めて検討する必要があるということにしてございまして、そうした国際的な視点、それから、大学や短期大学、高等専門学校における学位や称号に関する現状、両方を踏まえまして、今後十分に検討を行う必要があるとしてございます。先ほど金子委員からもありました、学士や短期大学士にするというのが、ここで決めましょうということが書いてあるというよりは、「学士」相当の学位は出せるようにはするということが書いてありますが、本当に学士あるいは短期大学士そのものなのか、別のものにするのかというのは今後の検討という形で書かせていただいてございます。
 三つ目では、特に仮に「学士」に相当する学位を授与することになった場合には、学位プログラムの学修成果(ラーニングアウトカム)の具体化を目指している諸外国の動向を踏まえたり、あるいは中央教育審議会の答申の「学士課程教育の構築に向けて」が示しておりました「学士課程共通の学習成果に関する参考指針」ですとか、諸外国における学習成果の指標に照らした検討も必要ではないかということを付記してございます。
 さらに、その下、「質の保証システム」のところに関しましては、設置基準に関しては、先ほど話がありましたように、大学や短期大学とは別に、新たな高等教育機関にふさわしい設置基準を別途作るのが適当ではないかとしてございます。さらに、設置者については、国、地方公共団体、学校法人とするということ。また、設置認可については文部科学大臣が行うのが適当。これは既に今までも御議論いただいておったことかと思います。さらに、「また」に続いて、設置者となる学校法人に求められる要件は、永続性・安定性の確保のために既存の学位授与機関を設置する学校法人と同等の水準設定が必要ではないかということで、大学や短大を設置する学校法人と同等の水準、要件などが必要ではないかということで書いてございます。
 その次のポツでは、教育情報や財務情報の公開ということで、既に「大学ポートレート」という仕組みもございますので、そこに参画するといったことについては、少なくとも既存の学位授与機関と同程度の水準が求められますし、その具体的な在り方については今後さらに検討すべきではないかということにしてございます。
 最後に、経営の悪化などにより教育の質の保証ができなくなった場合の対応の在り方についても検討が必要ということを指摘してございます。
 3については以上でございます。
【黒田座長】  ありがとうございました。今の議論はこういうことなんでしょうね。いかがですか。学位を出すとすれば、教育内容と国際通用性を見て、どういうふうに決めるかということを検討してくださいという書き方になっているわけです。どうぞ。
【清水委員】  先ほど述べましたように、学位と称号というのは、辞典の定義でもそうですし、歴史的にもそうですが、大学の正規の課程を修了した者に与えられる称号を学位と呼ぶわけですから、称号の方が広い概念です。だから、学位というのは称号の一つです。学位の名称も、当然、大学の中に位置付けられれば、短大レベルとか4年制大学レベル相当ということが必要で、学位の差異化といいますか、すみ分けはやはり必要だと思っています。
 専門職大学院の場合には、「法務博士(専門職)」という、それは一つの知恵だと思っていますが、ああいう形で実践的な職業教育に特化した、内容にふさわしい名称を付けると、学士(技能専門)とか○○学士(専門職)といったものが考えられます。既存の短期大学士とか大学の学士とは、教育内容からすれば、ある程度区別していくべきだと思います。参考になるのは、専門職大学院の表記の仕方だと思います。
【黒田座長】  ありがとうございます。基本的には、学士といっても、括弧書きでちゃんと明示するということですね。
【岡本委員】  私も今の清水委員の意見に基本的に賛成でありまして、金子委員も同じような考えをおっしゃっているとおり、世界的に通用しているのはディグリーであり学士であるということからすれば、どうやって職業的な意味付けをするかということで、今、座長もおっしゃいましたけれども、括弧して、その分野とか職種とか、そういうものを入れることで、どういう専門職業に関する学習を積んできたかということが分かる。こういうのが必要かなと思っています。
 なお、余計なことですけれども、大学の学士については、最近見た新聞では、八百幾つも学士がいろいろあって、どんな勉強をしてきたかよく分からないというような、そういう新聞報道がありました。それはそれとして大学の問題ですから、大学として学士をどう整備していただくかということは、一般的にも今、大学の半分ぐらいは職業に関わるような学部の教育をやっていると言う方もおりますので、大学の学士の整備はそれとして、また別の機会にやっていただくとして、今、我々が目指す新たな高等教育機関に関しては、そういうことで学士の、括弧にそういう分野を入れるというのは一つのアイデアとして妥当なのではないかと現時点では思います。
【黒田座長】  ありがとうございました。そういう方向性で今後議論を進めてほしいということでよろしいですか。どうぞ。
【永里副座長】  それでいいんですけれども、寺田委員の資料の2ページ目に書いてありますところには、学位機関の名称の中に、その種のことが書いてあると同時に英語が書いてありまして、例えばの話、「専門学士(Bachelor)」となっているんですね。私はこの意見に賛成なんです。英語のこういう表記で国際的に通用させた方がいいのではないかというのが私の意見です。
【黒田座長】  ありがとうございました。日本の学位というのは、英語に直すとみんな一緒になっちゃって、外から見ると訳が分からなくなるのが現実ですけれども、その辺のことも今後、今の学位と併せて検討していただくということでいかがでしょうか。
【清水委員】  日本の学士も最初は学位で出発したのですが、1887年の学位令で博士ができて、それで称号になってしまったのです。1991年までずっと称号で、やっと学位になったという歴史があります。そういう歴史はともかくとしても、国際通用性からすれば、先ほど言いましたように、イギリスでも、ファンデーション・ディグリーとか、ディグリーとして国際的通用性になっていますので、学位の通用性からすれば、ディグリー化というのはいい機会じゃないかと思います。
【金子委員】  私は、Bachelor以外の学位を出すことは、これから混乱を見ますし、よろしくないと思いますが、Bachelorにするのであれば、国際的な通用性の観点から言えば、相当強い規制を掛けなければいけないと思います。それが本当にいいのかどうなのかということは、今後、十分に議論すべき問題だと思います。
【黒田座長】  ありがとうございます。その辺のことが次の、前回と順番が逆になっていますね、「2.設置基準に盛り込むべき内容」というところに出てくると思うんですね。この設置基準の決め方によって、その辺のことが皆明らかになってくると思うのですが、これについて説明をお願いします。
【神山教育改革推進室長】  それでは、3ページの下の方に、「2.設置基準に盛り込むべき内容」とございますが、具体的には4ページからでございます。
 最初の「設置基準」で、大学や短期大学とは別に設定するというのは再掲でございますので省略させていただきます。
 その次、「必要教員数・教員の資格要件(実務家教員を含む)」となっているところでございます。
 一つ目のポツでは、学術研究志向の大学に比べて、教員組織全体として研究活動に大きなエフォートが求められるわけではないというのは目的規定のところでも御覧いただいたとおりですけれども、他方で、新たな高等教育機関につきましては、実習、実技、演習、実験等の教育方法を重視することになっておりまして、教育活動に対してより大きなエフォートが求められることを勘案する必要があるということでございます。新たな高等教育機関の必要教員数については、これらの点と現在の大学や短期大学の教員数の基準を踏まえて、さらに検討する必要があるということを示してございます。
 二つ目のポツでは、教員組織の一定割合につきましては、いわゆる実務家教員とすることが適当ではないかということにしておりまして、「また」以降では、実践的教育内容の陳腐化を避けるために、企業等において先端的な実務に関わりつつ、並行的に新たな高等教育機関において教育に当たるといった者も必要であろうということで、一定条件の下で、企業にも在籍しながら新たな高等教育機関で教育にも当たるといった人を必要教員数のカウントに参入できる仕組みとすることが望ましいのではないかとしてございます。
 その次のポツでは、「実務に関する能力については、保有資格や実務上の業績、離職年数の制限等により確実に質が保証できる仕組みが必要ではないか」としております。また、「特に非常勤の実務家教員をはじめとした教員の指導力向上のため、FDによる能力向上も求められるのではないか」としてございます。
 最後のポツでは、「学術研究を志向する大学に比べれば、個々の教員の資格要件において学術研究上の業績に過度な比重を置くことは適当ではない」としながらも、専門的な職業教育を志向する諸外国の高等教育機関においても、学生にBachelorレベルの修了者に求められる能力を身に付けさせるということですと、専門分野の学術研究を通じて批判的思考展開等の訓練を積んだ者が教員として必要とされていることを、諸外国でのそういった状況を踏まえまして、これらの者を一定程度備えるといったことも必要ではないかということで、上の二つでは実務家教員のことに触れていますが、このポツでは、そうではない、学術研究等を通じて訓練を積んだ教員といった者も必要ではないかということに触れてございます。
 それから、その下、「入学者の受入れ・卒業要件等」ということにつきましては、一つ目のポツでは、昨年の12月に中央教育審議会の答申で出されました、「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜一体的改革について」というものがございますので、大学体系の中に入るということであれば、こうした大学の教育、あるいは大学入学者選抜についての改革を踏まえた対応が必要であろうということでございます。
 その下は、教育内容や授業の方法についてですけれども、既往の大学とは重点が異なるけれども、卒業に必要な学習量については、例えば、修業年限4年であれば124単位、2年であれば62単位など、既存の学位授与機関と同水準の単位数が必要ではないかとしてございます。
 1枚おめくりいただきまして5ページ目ですが、「施設・設備等」については、一つ目のポツで、職業分野の特性に応じて実践的な職業教育を行う上で必要な施設・設備を備えることは不可欠とした上で、ただし、施設・設備がどのようなものが必要かというのは分野によって大きく異なるといった点、また、実社会における変化に柔軟に対応する必要があるといった点にも配慮が必要であるとしてございます。
 その次のポツでは、いずれの職業分野であっても必要なものといたしまして、分野に応じた図書等の資料を備えるべきといったこと、また、授業時間外でも学生が自発的に学習ができるような環境が必要ではないかとしてございます。
 他方で、新たな高等教育機関の目的に照らして、運動場や体育館を必置とする必要があるのかどうかについては、目的に照らしての検討が必要ではないかということにしてございます。
 その次は、校舎面積と校地面積でございますけれども、教室を含む必要な施設・設備を備えられる適切な基準とすべきだということではありますが、特に新たな高等教育機関では、企業等と連携して現場実習をはじめとします実践的な演習を行う必要があるといった点、あるいは、社会人の学び直しに対応する必要があるといったことを踏まえて、今後、具体化していくことが適当ということにしてございます。
 以上でございます。
【黒田座長】  ありがとうございました。ただいまの設置基準に盛り込むべき内容について御意見を頂きたいと思います。金子委員、どうぞ。
【金子委員】  私はこれはこれで結構だと思うんですが、新しい機関を作るとすると設置基準の書き方自体が違うところがかなりあるんだろうと思うんですね。既存の大学は一定の専門職、既存の大学が職業教育を排除しているとは全く思わないので、そこらも強調しますが、ただ、既存の大学の特徴は、職業分野を含めての専門と教員の団体である学部と教育の組織というのが大体1対1の対応をしているという学部型の構造をしているわけです。ある意味で安定していますし、ある意味では固定している。新しい高等教育機関ができるというか、必要だとすれば、余り安定してないといいますか、非常に流動性の高い、しかも細かい領域での教育訓練が必要、そういうものに対応するにはどうしたらいいかということで、この問題が立ち上がっているんだと思います。そういう意味で、今までの高等教育機関の組織の在り方と違う組織の在り方が必要で、言ってみれば、教育プログラムが複数走るような組織の在り方。それは、教員、設備等々について個別に必要量、必要な基準を特定できないところもあるわけですけれども、出てくるんだろうと思いますけれども、そういったことが多分、設置基準の在り方自体、書き方自体は相当違うものになるということはもちろん認識しておいた方がいいと思います。
 ついでながら、私は既存の大学についても全く同じことができると思っていますので、法令上、できないことは全くないんですが、既存の大学でもそれは可能とは思いますが、一応新しいものを作るとすれば、そういったことに重点を置くことになるだろうと思います。
【黒田座長】  ありがとうございました。どうぞ。
【服部委員】  大分クリアになってきたと思っていますが、私、最初の頃のこの会議でも申し上げましたが、新たな高等教育機関というのは、これまで大学が単独の大学ごとにそれぞれの特色を持った学びの仕組みとか、そういうものを持っていたんですが、この新たな高等教育機関というのは、単独のそれぞれの大学、高等専門学校あるいは専門学校等の個別のものではなくて、要は、集合体としての学びの仕組みを、新しい高等教育機関としての学びの仕組みを作るというようなことが提言の中にあったと思うんですね。寺田委員の図にもありますけれども、専門大学、仮称ですが、そういう一つの大学というものが、個別に全国に幾つかできて、それぞれが単独で機能する、それはそれであってもいいと思いますが、そういうものの連合体としての学びの仕組みを創る必要がある。例えば、そのような仕組みの中に入った学生の中では、この分野についてはここで学んで、そこをある程度、1年ないし2年学んだら、別のところで自分にないものを補うというような、そういう流動的な学びの仕組み、そして、トータル的に3年ないし4年を経れば高等教育機関としての修了を認められる。個別単独にやってきた学びではなくて、連合体としての仕組みを創る。
 例えば、高等専門学校、高専も、全国で57ありますが、高専機構のつながりの中で単位の互換とかあるかどうかは別ですけれども、組織として連携している。例えば、今度の新たな高等教育機関も、日本全国の各地、北海道から沖縄まであったときに、それぞれの特色ある新たな高等教育機関を作り、そして、どこかに籍を置きながら、いろんな学びができるような、そういう仕組みを今後検討していくべきではないかなと思っております。
【黒田座長】  ありがとうございます。
 今、服部委員が言われたことは非常に重要なことなんですね。今の組織の中でも、お互い連携を取りながら、地方の大学の中でもやれるようにはなっているんですよ、システム的には。だから、このシステムをより鮮明に今度の組織の中ではやれるようにするということでしょうね。これは、先ほど金子委員が言われたように、職業実践になってくると、すごく細かい分野がたくさん出てくるわけですね。だから、一つの設置基準のことを余り細かく決めてしまうと融通が利かなくなるので、ある程度幅を持たせていくことが重要だと思います。
 それから、もう一つは、地方にたくさん職業教育をやっているところがあるんですね。そうすると、今の大学の設置基準みたいに、最低基準が入学定員50人なんていうことをやっていますと、成り立たなくなると思うんですね。ですから、20人ぐらいでいけるような、そういうシステムを作り上げていくという。教員の配置なんかもですね。そうすると、50人の教員の配置と20人の教員の配置、さほど大きな差は出てこないと思うんですけれども、融通が利くようになってくるのではないかと。職業教育というのは変化が激しいですから、ある程度、融通性を持たせていけるようなシステムに。それが新しい学校種になるんではないかと私は思っているんですが、これは法的に詰めていっていただかないと、やれるかやれないか分かりませんけれども。
 岡本委員。
【岡本委員】  今、座長がおっしゃったことと、また金子委員も触れましたけれども、やはり教育プログラム、教育課程、これは職業のあらゆる分野ということでありますので、細かくいけば相当細かくなるわけですよね。しかし、座長もおっしゃったように、やはりある程度の業種、職種については、資料5「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する基本的な方向性(案)」の「5.その他」に、「専門分野を業界職種に分けた体系をつくる。(例えば、看護系、介護福祉系、機械系、電気系、建設・土木系、情報系、財務会計、司法系、理容系、ビジネス系、複合系等々)」とされていますが、どのように業界の人材ニーズを取り入れていくかということを踏まえつつ、業界によって全く職業教育も形態等も変わってきますので、学科ごとに細かく設置基準というのはあり得ないわけです。やはり、こういう業界、業種、職種に分けた専門分野の体系というものを作り、それに基づいた設置基準という考え方、それが教育プログラム、教育課程に対応していく。こういう考え方で制度設計していただけると大変有り難いかなと思っております。
【黒田座長】  ありがとうございました。施設・設備のところで書いてありますように、図書館を持つかどうかは別として、必要な図書はちゃんと資料としてそろえなさいということが書いてあるのですが、その後に、運動場や体育館を必要とするか否かは検討が必要だということになっているんですが、清水委員は反対されていましたけれども。
【清水委員】  私が反対しているのは、体育というカリキュラムや、課外活動を含めた活動をなくすことに反対で、施設の必置かどうかは、別にどこか借りてやってもいいわけです。施設を必ず置かなければいけない話とは違います。
【黒田座長】  分かりました。はい、どうぞ。
【寺田副座長】  一つだけ。これは取り上げてもらわなくても構いませんけれども、大学ということですので、一定の規模があった方がいいとは思っていまして、何年か前の中教審でこういう議論があったときに、私がイメージしていたのが、それぞれの専門分野というのは非常に細かくなっていきますので、先ほど私、学生定員はできるだけ小さくと申し上げたんですけれども、そういうオプションと、それから、もう一つは、規模の論理を追求するのであれば、幾つかの法人が連合して新大学を作ることがあってもいいのではないかという気がしますし、設置基準の土地の問題と関連付けて言えば、大学の設置基準というのは、同一敷地若しくは隣接するというふうに規定をしていますので、できるだけ地方であっても大都市であっても都市部に作る方がいいという判断があるとすれば、やはりその辺は少し考えないといけない。いろんなキャンパスが、少々離れていようが、あるいは法人が違っていようが、そういうものが連合し合う可能性があってもいいのではないかと思います。大学院では連合大学院というのは、何百キロ離れたところで作っていますし、それから、最近、学部、アンダー・グラデュエートの方でも、例えば、名古屋大学と付近の幾つかの大学と一つの教育プログラムを追求するというのを、文科省高等教育局、進めておられますし、そういう観点からいっても、この新機関では是非そういう弾力的なものが選択できるようにすべきではないかと思います。
【黒田座長】  ありがとうございました。はい、どうぞ。
【岡本委員】  先ほど、体育に関する、運動場、体育館という話なんですが、専門学校分野でもスポーツ関係の分野とか、そういうところは当然、体育館とか運動場を備えているところが多いわけですから、分野に応じて置かなきゃならないということはあると思いますけれども、新たな高等教育機関に全て必置するという必要はないと思います。例えば、現状の専門学校、地方もあれば都市もあるんですけれども、体育館、運動場を持っている学校がありますし、持ってない学校については、必要に応じて公立とか、その地域の公的な施設を借りるということでも十分対応できていると思いますので、やはりこれも分野特性に応じて設置を考えればいいのではないかと思います。
【黒田座長】  ありがとうございました。要するに、知徳体のバランスの取れた教育ができるようにということが大前提ですね。特に体育の分野ですとスポーツ体育が主流になっていて、それぞれの人たちの将来にわたる健康維持のための体育の授業というのがなくなりつつあるという、その辺を私は非常に心配をしているわけです。施設がある、ないというよりも、体を維持するため、自分が健全な発想ができる体力を維持するという、そういう体育が私は必要だと思っているわけです。そこで、こういう検討が必要ではないかということを書いてあるわけなんですが、そういう意味で言っているんですが。
【仙波委員】  今、設備の話が少し出ていますけれども、少し戻ってよろしいでしょうか。「入学者受入れ・卒業要件等」という4ページでございますが、もともと実践的な職業教育を行うという意味において、社会人の学び直し、キャリアチェンジとか、そういった類のものも対象とするような議論があったと思うんですけれども、今お話をお伺いしていると、どうも専ら高等学校を卒業した人たちが対象になっているような制度設計に議論が進んでいるような気がするんですけれども、そういう中で、キャリアチェンジと先ほど申しました生涯学習の中で、こういう職業教育を取り込むという点は、どういうふうに制度上に反映なさるのか、その辺のところもやっぱりきちっと議論していく必要があるのではないのかなと思うんですけれども、これはいかがでしょうか。
【永里副座長】  今の点については、説明がなかったような気がしたんです。今の資料、3ページの上の方に、2ポツの方に、「社会人の学び直しに対応するためには、学位プログラムの修業年限では学修期間が長すぎることが考えられるため、短期(例えば2~3か月単位)の履修を可能としたりするなどの工夫も検討に値するのではないか。」、こう書いてあります。これを広げていくと、社会人はこのために2、3か月若しくは6か月でも学んで、また職場に戻ると。そして、また必要になったら、また行くということを繰り返して、累積していけば、4年に相当する、学位に相当するんだったら、それを出す、学位相当といいますか、という制度設計、できるんじゃないでしょうか。そういうことを検討してもいいんじゃないかと思っているんですけど。
【青山委員】  私も実は、先ほど来、社会人をどうするかというところの視点が抜けているんじゃないかと思っておりました。というのは、この会議がスタートした最初の方で、その目的が社会人の学び直しという観点も必要だということを示されていました。これからの時代のニーズにどのような人材が必要かというのは、この場でもいろいろ御議論になりましたけれども、大学を卒業してすぐ会社に入って、すぐ辞める人も多いという現実があります。その人たちはどうやってまた学んでいくのかということを考えると、その受皿がないんじゃないかと思われるんですね。個々人の努力にかかっているということは当然ですが、この高等教育機関では、先ほど、寺田委員から前期、後期というお話がありましたけれども、例えば、前期をやって、しばらくまた会社に入って、次に後期に入っていくというやり方があるんではないか、また永里委員がおっしゃったように、いろんなプログラムを重ねて前期を修了する、その上で後期を修了するという考え方もあってもいいのではないかと思います。融通無碍にするわけではありませんけれども、労働力がある程度流動化するという前提において制度設計をしていくべきだと思っておりますが、いかがでございましょうか。
【黒田座長】  どうぞ、金子委員。
【金子委員】  今おっしゃっていたことは全くそのとおりだと思います。ただ、もう既に大学については履修証明プログラムというのができまして、比較的、今、要求がきついんですけれども、もう少しこれの短期の履修証明プログラムを作る、あるいは、単位累積制度を作るとかということは大学分科会でも議論されていまして、これは当然必要だと思います。ただ、あえて申し上げれば、新種の高等教育機関にその制度を導入したときに、何が必要になるのかとか、どういう形態が必要になるのかということは、さらにこれから必要だろうと思います。
【黒田座長】  ありがとうございます。服部委員、どうぞ。
【服部委員】  以前にも私、岐阜県の例ですが、専門高校の卒業生で、例えば、地元の岐阜工業とか県立岐阜商業とか、そういう上位30人ぐらいは本来なら大学へ進める、例えば、工学部とか行きそうなんですけれども、そこへ行くよりは、むしろ、トップの30人ぐらい、ある意味では指定席のように地元の大企業へ就職するんですね。この新たな高等教育機関という議論になったときに、専門高校から期待があったのは、そういう優秀な専門高校に学ぶ生徒が一旦社会人になって、地元の大企業等に勤めて半年経過して、そしてこういう高等教育機関ができれば、そこでさらにブラッシュアップできるというか、そういう可能性が出てくるという期待があったんですね。したがって、これは専門学校なんか、あるいは高専でも同じような例があると思いますが、非常に優秀な学生が、本来それよりもレベルの高い学びの機関があれば、今回議論されているのは、そういうところがあれば、そこへ接続して行けるんだけれども、今、就職していると。一旦社会人になった者が学び直せるという、そういう可能性が広がることは非常にいいことだと私は思っております。
【黒田座長】  ありがとうございます。そういうことも考えていかなきゃならないと思っています。非常に重要なことだと思います。社会人の学び直しというのが、今、盛んに言われているわけですが、今の既存の大学の中で特別構想を作っていくのが非常に難しいことになっていますので、そういうことが容易にできるようなシステム作りが必要だろうと思っています。
 それでは、最後に残っています4と5について説明をお願いします。
【神山教育改革推進室長】  それでは、5ページ目の中ほど、「4.評価の在り方」とございますが、自己点検評価、第三者評価の関係でございます。
 一つ目のポツでは、設置認可や自己点検評価、また第三者評価に関しまして、職業分野の産業界関係者の積極的な協力を得ながら教育の質を確保することができるシステムが必要ではないかということにしてございます。また、特に資格に関連するものにつきましては、職能資格団体等による教育課程認定等を活用することも含めて、制度設計に当たって資格との関係に留意をしながら設計していく必要があることに触れてございます。また、この点も含めまして、具体的な連携の在り方につきましては、今後さらに検討が必要ではないかということにしてございます。
 また、その次のポツでは、特に第三者評価につきまして、既存の学位授与機関と同様に認証評価を行うことが適当ではないかとした上で、その際、機関別の評価に加えて、各職業分野の専門性に応じた分野別の評価を実施することも考えられるが、その具体的在り方については今後さらに検討が必要ということにしてございます。
 引き続き、その下、「5.その他」では、まず「分野」に関しましては、6ページ目の方ですが、職業分野の限定を行うことは制度としては行わない、また、設置基準において、各分野の特性を踏まえた基準を設ける際に、どのような分野の種類を設けるかにつきましては、現行の大学における学部の種類ですとか現在の職業教育における実態などを踏まえて、さらに検討する必要があるのではないかとしてございます。
 ただし、新たな高等教育機関に対しては、サービス産業の高付加価値化や地方創生のための地方産業の活性化を人材供給面から支えるという機能も果たすことが期待されているので、こうしたニーズにも対応することが重要ではないかということも付記してございます。
 その次、「名称」につきましては、前回の資料で仮称でも出ておりましたが、例えば、「専門職業大学」などが考えられるが、今後の具体的な制度設計に応じて適切な名称を検討すべきではないかということにしてございます。
 その次、高大接続の関係では、青字なので前回も出ていた部分ですが、職業専門高校で培った内容を深化・発展させるための高等教育機関としつつ、普通科や総合学科からの受入れにも配慮が必要ということで、どちらからも入れるような仕組みが必要だろうということにしてございます。
 最後、「公的助成」でございますけれども、新たな高等教育機関を学校教育法第1条に位置付ける場合には、質の高い専門職業人養成という重要な目的を担う公的教育機関であることに鑑み、公的助成の対象とし得ると考えられるとした上で、新たな高等教育機関の設置基準にふさわしい助成水準の検討ですとか、新たな高等教育機関による追加的財政需要に見合った財源の確保といったものが必要ではないかということを書かせていただいてございます。
 以上でございます。
【黒田座長】  ありがとうございました。ただいまの説明で、何か御質問ございますか。どうぞ。
【前田委員】  質の高い職業人養成という時の職業教育の部分に関しては、レベルのイメージがこの会議の中で実は余り統一はされてないと思います。前に御質問したとき、ある委員からは、職業教育の部分のレベルは現在のままで十分だというお答えがあったと思いますが、その一方で何人かの委員からは、今ある大学とか専門学校とかに関わらず、とにかくレベルが高い職業教育が必要なんだという御意見がありました。職業教育のレベルを規定していくのは非常に難しい部分だと思います。いまのところは質保証団体が評価する場合、寺田委員のお考えの設置基準の教育課程のようなくくりでしかできないだろうと思います。しかし、やはり同じ分野の教育のレベルはどのぐらいであるべきかということを考えていくしかるべき組織ができていかないと、質保証は難しいだろうと思います。
 教育機関自身の掲げる目的に沿った教育をするために十分な資源があるかということは、評価される教育機関がちゃんと提示できるのであれば、機関評価である程度のことは評価できるだろうと思います。しかし、教育のレベルについては、分野ごとに、このぐらいの水準が必要だということが提示できるような組織や団体が育っていくことが重要だと思います。
【黒田座長】  ありがとうございます。
 麻生委員。
【麻生委員】  最後の6ページの名称の問題なんですが、名称に対しては、先ほど私も申しましたとおり、いろんな議論がこれからもあっていいと思います。先ほどの修業年限と名称の問題で確認しておきたいことが一つあります。2年から4年ということと、例えば、2年制の大学という設置形態、若しくは、先ほど寺田委員が言われました前期、後期という考え方を考えましたときに、短期大学、例えば、「専門職業大学」と提示されていますが、それでは、2年、3年の場合、職業専門というような名称が何か付くとして、大学の前に「短期」という言葉を使うのか、使わないのか。この点は明確にしていただかないと、既存の教育機関との整合性が曖昧になってしまうということを是非御議論願えればと思います。
【黒田座長】  ありがとうございます。今後、これは検討していく必要があると思います。
【寺田副座長】  文部科学省の文書として、この言葉はいかがかというのが一つだけあって、随分努力していただいているのに恐縮なんですけれども、高大接続のところで、「職業専門高校」という表現があって、初等中等教育局の人はぴんとくるんですが、現在、こういう学校はありませんので、専門高校だけという。「職業」を取ってください。
【黒田座長】  どうぞ。
【清水委員】  最後の公的助成です。一貫して、既存の他の学校への影響はあってはいけないということからすれば、最後の1行の「追加的財政需要に見合った財源の確保が必要ではないか」については、これは絶対必要不可欠であると、かなり強調しておかないといけないと思います。それだけ付け加えさせてください。
【黒田座長】  ありがとうございます。今日は、ちょうど、今、時間になったんですが。どうぞ。
【長塚委員】  高大接続のところが今出ましたので、高校の者としてなんですが、新たな高等教育機関が設置されるということですけれども、既存の大学と実際何が違うのかということは、高校側からすると余りよく見えない、まだその段階の議論のように思うんですよね。かつて専修学校から大学に変わったというような私立学校も相当あるわけで、専修学校の基礎があって、それを大学という、高度化するという形で設置基準を満たして、学校を作り、教育を行っているところも多くあるわけです。また、大学が専修学校を持っているところもあるんですけれども、そういう意味で、新たな高等教育機関が高校生にとって一体どういう価値を持つのか、ここがはっきりしないと、普通科及び総合学科からの受入れにも配慮するというんですけれども、配慮ってどういう意味なのか、私は見当がつきません。今考えられているのは、既存の大学のシステムに対して同等の価値を持たせようと、職業的な価値の意味をしっかり、18歳の高校生に感じられるような新しい機関ということなんでしょうけれども、本当にそういうものができるんだろうか。今までの議論の中からは、そういう魅力を感じるものをまだ見いだしているようには私は感じないんです。
 ちなみに、高校も専門学科、例えば、工業高校を戦後の社会のニーズに応じて意図的に国家的に作ってきた。しかし、今はそのニーズが斜陽になってしまっているわけですよね。ですから、これはやっぱり社会のニーズによって変わってしまうような実践的な職業教育を、新しい高等教育機関でするというのは本当に難しいんだろうと思います。社会のニーズが変わっても対応できるような、今までの大学になかった職業教育とは何なんだろうということを、是非もっと議論を深めて示していただきたいなと。ちなみに、普通科と専門学科は階層化してしまっているわけです。既存の大学と新しい高等教育機関が階層化しないように、序列化しないようにしたいのですが、どうもこの書き方ですと、この新しい大学に対しては、専門高校が先にあって、普通科は序列的にその次にあるとすると、どうも既に意図しているところが階層化している。新しい大学と既存の大学が階層化しているようなイメージを持たざるを得ないんです。それが払拭できるような新しい高等教育機関ができるのかどうか、まだまだ議論が必要なのではないかという感じもします。
 以上です。
【黒田座長】  ありがとうございます。大変表現の難しいところなんですけれども、これは今後、研究をさせていただきたいと思います。
 今日はこれで時間ですので終わりたいと思いますが、次回は、今議論いただいたことを踏まえながら、新しい資料をお示ししていくことにしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、事務局から最後に次回以降のスケジュールをお願いします。
【神山教育改革推進室長】  次回でございますけれども、3月4日の水曜日、16時から18時半までを予定してございまして、場所は文部科学省の3階の3F1特別会議室を予定してございます。
 以上でございます。
【黒田座長】  ありがとうございました。次回は4時からと遅い時間でございますが、よろしくお願いいたします。何分、話が大詰めに来ましたので、各論に入るごとにいろいろと御意見があると思いますので、御発言をよろしくお願いしたいと思います。本日は長時間にわたり、ありがとうございました。これで今日の会議を終わります。

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