実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する有識者会議(第7回) 議事録

1.日時

平成26年12月24日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 3階 3F1 特別会議室

3.議題

  1. 新たな高等教育機関の基本的方向性について
  2. その他

4.議事録

【黒田座長】  皆さん、おはようございます。所定の時間になりましたので、ただいまより、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する有識者会議、今日は第7回目でありますが、開催をさせていただきます。
 皆さん方には御多用の中お集まりいただきまして、ありがとうございます。
 本日は、前回に引き続きまして、新たな高等教育機関の基本的な方向性について議論をさせていただきたいと思います。
 なお、本日、報道関係者より、会議の全体について撮影を行いたい旨の申出がありますので、これを認めております。御承知おきを頂きたいと思います。
 それではまず、委員の出席状況、また本日の配付資料について、事務局から確認をお願いいたします。
【神山教育改革推進室長】  それでは、まず出欠状況についてですけれども、本日は冨山委員と樋口委員が御欠席ということになってございます。
 続きまして、配付資料についてですが、資料は1番から6番までの六つ、それから参考資料を三つ用意しております。
 資料1は、本日、前田委員に御提出を頂き御説明を頂く資料でございます。また、資料2は、前回事務局から提出しました各学校種における基準等を比較した表に、単位の算定方法の部分と、専門職大学院における実務家教員の規定を追記したものになってございます。また、資料3から6について、具体的な内容は後ほど御説明させていただきたいと思っておりますが、資料3は、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関のイメージ、それから資料4は、職業教育における学校体系のイメージ、そして資料5は、諸外国の比較の表、資料6は、大学への編入学と大学院への接続に関する資料となってございます。また、参考資料1といたしまして、第5回に提出しました「これまでの議論で指摘された主な論点」を入れてございます。参考資料2と3は、おとといの中教審の答申の概要でございます。
 以上、不足の資料等がございましたら、事務局までお申し付けいただきたいと思います。以上でございます。
【黒田座長】  よろしいでしょうか。
 それではまず、一昨日行われました中央教育審議会の答申について、参考資料2と3に基づきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
【神山教育改革推進室長】  それでは、参考資料2と3の中教審答申につきまして、簡単に御説明させていただきたいと思います。
 まず、参考資料2の「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について」のポイントの資料を御覧頂きたいと思います。
 (1)で、目指す未来の姿を示しておりまして、一つ目の丸の2パラグラフ目にありますように、これからの時代の社会に出て、国の内外で仕事をし、人生を築いていく子供たちが十分な知識と技能を身につけ、十分な思考力・判断力・表現力を磨き、主体性を持って多様な人々と協働することを通して喜びと糧を得ていくことができるようにすること。それから、国家と社会の形成者として十分な素養と行動規範を持てるようにすること。こういうことを掲げてございます。
 さらに、その次の丸では、世の中の流れが速いので、将来は職業の在り方も様変わりしている可能性が高く、そうした変化の中で、これまでと同じ教育を続けていただけでは、これからの時代に通用する力を子供たちに育むことはできないということが指摘されてございます。したがって、新たな時代を見据えた教育改革を「待ったなし」で進めるということが(1)で言われてございます。
 1枚おめくりいただきますと、克服すべき課題が掲げられておりまして、思考力・判断力・表現力や、主体性を持って多様な人々と協働する態度など、真の「学力」が十分に育成・評価されていないということを課題として挙げてございます。また、特定の分野に強い関心を持って、その向上に夢を賭けて卓越した力を磨いている高校生ですとか、身近な地域の課題、あるいはグローバルな課題に徹底的に向き合い考え抜いて行動する高校生などが評価されてないということを課題として挙げてございます。
 さらに、下半分のところでは、そうした状況を踏まえまして、高等学校教育で夢や目標を芽吹かせ、その実現に向けて努力した積み重ねを、大学入学者選抜においてしっかりと受け止めて評価し、大学教育や社会生活を通じて花開かせるようにするということで、高等学校教育と大学教育、大学入学者選抜、この三つを一体的に改革する必要があるということを提言してございます。
 そのため、ということで、最初の黒のひし形のところでは、高校の学習指導要領の抜本的な見直し、それから、高校段階での教育の質の確保・向上を図るために、新テスト「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を導入することが提言されてございます。
 二つ目の黒いひし形では、大学教育について、カリキュラム・マネジメントを確立したり、アクティブ・ラーニングに質的に転換するということが提言をされてございます。
 最後のひし形では、「思考力・判断力・表現力」を中心に評価する新テスト「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」を導入するということが提言をされてございます。
 さらに1枚おめくりいただきますと、一番上のところで、各大学がアドミッション・ポリシーを明確化した上で、国の方でも大学入学者選抜実施要項を改正するといったことも提言をされてございます。
 さらに(2)のところでは、グローバル化に対応したコミュニケーション力の育成・評価について提言をされておりますし、(3)のところでは、学習指導要領の改訂も含めた高等学校教育改革の実現が提言をされてございます。
 もう1枚おめくりいただきまして4ページにいきますと、(4)で、「公平性」をめぐる社会の意識改革についても提言をされておりまして、いわゆる一点刻みによるテストで、その結果のみによる選抜が公平だというような公平性の意識を改革しなければいけないということで、一人一人が積み上げてきた多様な力を多様な方法で「公正」に評価し選抜することが必要ということが提言をされております。
 (5)では、こうした改革を実現するために高大接続改革実行プラン、仮称でございますが、これを策定するということが国に求められているというような内容になってございます。
 その次のページには、大学入学者選抜改革のイメージ図を入れてございまして、さらにその次のところでは、途中で申し上げました高等学校基礎学力テストと大学入学希望者学力評価テストの対比表がございます。左側の方は、目的のところに書いていますように、自らの高等学校教育における学習の達成度の把握ということを主眼としておりまして、一方で、大学入学希望者学力評価テスト、右側の方は、これからの大学教育を受けるために必要な能力について把握をすることが目的となっております。
 その他、対象者のところが、左側は希望参加型、右側は大学入学希望者が受けるということですとか、下から二つ目の実施方法のところで、年複数回実施をしてはどうかといったことが提言されている内容になってございます。
 以上が高大接続に関するものでございますが、もう一点、答申が出ておりまして、参考資料3を御覧頂きたいと思います。
 参考資料3では、「子供の発達や学習者の意欲・能力等に応じた柔軟かつ効果的な教育システムの構築について」ということで、教育再生実行会議の第五次提言が7月にまとめられたのを受けまして、そこにございますように小中一貫教育の制度化をはじめとしました学校制度の改革について、中教審から答申を頂いたところでございます。
 左側が諮問事項、右側が答申の内容となっておりまして、大きく四つほど挙げております。一つ目は、「小中一貫教育学校」(仮称)、あるいは「小中一貫型小学校・中学校」(仮称)といったものを制度化することで、小中一貫教育を行いやすくするということが提言をされてございます。
 二つ目、丸2のところを御覧頂きますと、高等教育機関における編入学等の柔軟化ということで、その中の一つがこの丸2でございます。これは主に飛び入学者につきまして、これまでは、飛び入学をした後、大学を辞めてしまうと最終学歴が高校中退となってしまうところを改善するために、大学で取得した単位などをもとに、高等学校卒業と「同等以上の学力」を有することを文部科学大臣が認定するという仕組みを導入するという内容でございます。
 丸3は、留学生の関係でございます。日本では12年の課程を修了した上で大学に入ってくるという形になっておりますが、諸外国では11年で大学に入ることが認められるような仕組みをとっている国もございまして、そうした国から日本に留学してくるときに、1年待たずとも大学等に入学できるようにするという趣旨で、文科省が対象国を指定いたしまして大学入学資格を定めるという内容でございます。また、認証評価を受けた3年以上の学士課程を卒業した留学生につきましては大学院の入学資格を認めるということで、12年又は16年課程修了といった要件を一部留学生について緩和するといった内容でございます。
 丸4は、高等学校の専攻科につきまして、授業時間数等の基準ですとか、評価の仕組み等により質を担保した上で高等学校専攻科から大学への編入学を認めるという内容になってございます。それぞれの内容につきまして、一枚紙の説明が後ろについておりますので、適宜御参照頂ければと思っております。
 私の方からは以上でございます。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明について何か御質問ございますでしょうか。
【清水委員】  今の説明で小中一貫教育学校というのが出てきますけれど、これは新たな学校種として1条校に設けるということなのでしょうか。
【神山教育改革推進室長】  小中一貫教育学校は二種類のタイプがございますが、そのうちの一つでは小中一貫教育学校という一つの学校種を新たに設けることが想定されております。今、中高一貫に関しては中等教育学校という一つの学校種があるように、小中一貫についても一つの学校種を新たに設けることが想定をされているというところでございます。
【黒田座長】  ほかにございませんか。ないようでしたら次に移りたいと思います。
 それでは、今日は前田委員から資料が提出されておりますので、前田委員から御発表をよろしくお願いいたします。
【前田委員】  それでは、資料1に基づきまして御報告をさせていただきたいと思います。まだ新たな高等教育機関がどういうものになるのかということが具体的に分からない中ですので、非常に限界があるんですけれども、今の大学の認証評価のシステムからどんなことが考えられるかという、ヒントのようなものが御提示できればと考えております。
 まず、1ページ目と2ページ目なんですけれども、これは文部科学省の会議で頂いた認証評価システムの概要に関するところから少し持ってきたものでございます。ごく簡単に御説明しますと、認証評価システムというのは、1番のところですけれども、認証評価機関による評価を大学に受けることを義務づけた制度であって、法令上は、認定されるとか合格するとかいうことを意味している制度ではないということでございます。受けることが義務づけられているということです。
 それと、三つ目ですけれども、認証評価には、機関別認証評価と専門職大学院認証評価というのがあります。この専門職大学院認証評価というのは、機関別認証評価に対しては分野別認証評価とも言えますし、プログラム評価というような位置づけもできるかもしれないです。それぞれ何年以内に受けなければいけないということが決まっています。
 そして、評価の基準ですけれども、これは認証評価機関が独自に設定するということになっていまして、ただし、設置基準に規定されている要件は確実にクリアできる基準であることが求められています。
 そして、複数の認証評価機関がある場合は、大学が認証評価機関を選択できるということになっていまして、認証評価機関の方は、正当な理由なくして大学からの申請を拒否できないということになります。
 2番は、現在ある認証評価機関をずらっと並べていますが、例えば大学の機関別認証評価ですと三つの評価機関があります。これは認められた順に並んでいます。例えば大学基準協会ですと、それまで会員制の評価をしておりましたので、評価の結果、会員になるということを前提としたシステムで最初考えていましたけれども、認証評価では大学からの申請は拒否できないということで、会員になりたくないところも評価だけは受け付けるということになっています。そして、日本高等教育評価機構も、私立大学を対象とした評価をしたいということだったんですが、それはできないということで、この三つ、どれも国公私立全ての大学からの評価を受け付けるということになっています。ただし、申請する大学の国公私立の内訳は偏りが出てきています。
 (2)の専門職大学院認証評価機関の方ですけれども、これは1ページ目から2ページ目にわたって書いております。こちらに関しましては、専門職大学院の該当する分野の認証評価機関を受けなければいけないということになっていますので、その専門職に該当する分野はどういうものなのかということで分野ごとに書かれております。アンダーラインを引いたところを御覧頂きますと、経営として、括弧内に、経営管理、技術経営、ファイナンス、経営情報とある、こういうところを分野としている評価機関もあれば、会計専門職大学院だけを対象にしているところ、そしてもう一つ、経営管理と会計と技術経営とファイナンスという分野でやっているところがあります。この三つを見ると、経営情報だけはABEST21というところを受けなければいけないのですが、あとの分野ですと二つから選べるというような形になっています。これは認証評価機関がどの分野で評価をやりますと手を挙げることで決まるので、分野によって認証評価機関が複数あるということになります。それともう一つは、専門職大学院が一つしかない分野であっても、法令の規定もあって、その専門職大学院に対応した認証評価機関ができているという分野が幾つかあります。
 さらに2ページ目の3のすぐ上のところ、米印がありますように、認証評価機関が未整備の分野というのがまだ4分野あるということで、ここのところは、ない場合の例外的措置で対応することになっています。
 そして、3番のところにいきまして、認証評価を行うべき事項として、機関別認証評価では、八つの項目が評価しなければいけない項目として挙がっており、専門職大学院認証評価では、法科大学院は非常に細かく、十幾つありますけれども、それを除いてはこの四つの分野について評価するということが決められています。ただし、機関別認証評価を受けているという前提があるということも重要な点かと思います。ですので、専門職大学院ただ一つを置く大学の場合は、機関別認証評価も受けなければいけないし、専門職大学院認証評価も受けなければいけない、片方だけで済ますことはできないということになっています。
 評価方法には、大学が自己点検・評価をし、その結果をもとに認証評価機関はその大学に実際に行って評価すると、これが必ず評価の中に入っていなければいけないということになっています。
 評価体制としましては、大学の教員が中心になりますけれども、大学の教育研究活動等に関し識見を有する者ということが決められていまして、専門職大学院については当該分野に関しての実務経験を有する者、これが含まれているということが必要になってきます。
 ここで3ページ目にありますように大学基準協会と大学評価・学位授与機構の大学の機関別認証評価を比較するということで考えてみたいと思います。この二つを選びましたのは、私が大学基準協会の機関別認証評価と二つの専門職大学院の認証評価を構築するということに関わっており、評価にもある程度携わっていることと、近年、大学評価・学位授与機構の機関別認証評価の方で、こちらは評価の実務の方に携わっているということもありまして、それでこの二つを比較してみようということでございます。
 まず、評価基準なんですが、どちらも10項目でして、幾つか違う点がありますが、これは項目のくくり方が違うということで、内容としてはほぼ同じになっていますが、大学評価・学位授与機構には、基準協会で言うところの教育研究等環境のなかの研究という部分がないのと、社会連携・社会貢献が項目の中に入っていません。それは、大学評価・学位授与機構は、選択的評価事項として、研究活動と地域貢献活動と教育の国際化という部分に関しては認証評価の外に出していて、大学が手を挙げて受けたいというところに対してこれを開いているという形になっています。
 非常に実際的なところからで恐縮ですけれども、ではその二つの評価体制はどうなっているかということですが、大学基準協会と大学評価・学位授与機構の評価体制をA、B、Cという項目で振ってみました。は大体同じ機能を果たすところ同じアルファベットを振ってあります。例えば、大学基準協会でいいますと、まず大学評価委員会がありまして、ここで実質的なその年の評価の最終決定を行います。これは大学評価・学位授与機構では大学機関別認証評価委員会というところが担当しております。そこには基準協会ですと、委員のほかに特別大学評価員というのと幹事というのが4名います。大学評価・学位授与機構には、この28名の中に機構の専任教授が3名含まれています。こうした人たちの役割というのは非常に重要でして、やはり評価委員会だけに、年に数回しか開かれないところにやって来る委員だけではなかなか十分な評価ができないということで、かなりの部分がここの下に書かれている人たちで担われています。それと、この委員会にはどちらの機関も、例えばマスコミ関係者とか企業関係者等、あと高等学校長の協会の方からしかるべき人が入っているという形で、外部の有識者が入っています。
 それから、一つ飛ばしてCというところを御覧頂きますと、ここが実際に評価をするという組織体でして、例えば大学基準協会ですと、大学評価分科会が39大学の申請に対して39分科会、要するに1大学1分科会作って、評価員は何と293名というのが25年度の実績です。これに対して、ちょっと機構と略させていただきますが、機構は、評価部会は21大学の申請に対して5部会を設置していて、61名という人数になっています。この辺が評価の方針との関係があるところになってきます。随分サイズが違うということです。
 そしてBに戻りますと、これだけそれぞれ多数の大学の評価結果報告書というのが上がってきますが、これをいきなり一番上の親委員会に上げるというのでは大変なので、Bのところの組織というのが機能してくるということになります。協会の方は人数を書き忘れましたけれども、これは7名だと思います。正副委員長と幹事と大学評価員が1名入って7名の組織になっているかと思います。ここで各分科会の報告書の妥当性の検討もしますし、余りに大学間に差があると調整をするといったようなことをして上に上げていくということになります。
 そして、Dのところですけれども、財務評価になりますと、普通の大学教員と大学関係者ではできないので、ここは専門家が入ってくるということになり、どちらも公認会計士等を入れた分科会を別に設定しています。
 それから、Eが異議申立審査会。これは機構には書いてありませんけれども、ちょっと私、余り関わってないので確認できなかったんですが、ここは異議申立ての機会はもちろん設けていますが、それをわざわざ委員会を設けずにやっているのではないかと考えられます。
 それからFは、改善報告書検討分科会というのを大学基準協会は別に置いているということで、また後で触れたいと思います。
 そして、もう一つ重要なのは事務局体制です。事務局は、これもきちんと調べていないのですが、恐らくこの評価のために職員が約30名ぐらい基準協会は関わっていますし、機構もそれと同じぐらいの人数の職員がいると思います。これだけを専任で抱えることはできないので、大学からの出向者というのがこちらに加わっていると、こういうような組織体制になっています。
 もう1ページおめくりいただいて4ページ目ですが、ここが少し、両機関における評価方針の違いというところで、私見だということをお断りさせていただきながら御説明をしたいと思います。どういうことかといいますと、一言で言うと、大学基準協会の評価は質改善重視型評価であるということが言えるのではないかと思います。これに対して大学評価・学位授与機構は、質保証重視型評価ということが言えるのではないかと思います。
 その違いはどこにあるかですが、大学基準協会というところは昭和26年から、いわゆる会員制の評価というものをずっとやってきていまして、この質改善重視型というのは、かなりアメリカのアクレディテーションの精神が入っているということが言えると思います。ですので、総合的に合否判定を行うということで、少しの瑕疵、問題点があったとしても、その改善が完全に見込まれているとか、非常に多く長所を持っていてその欠点をカバーできるぐらい長所があるというようなときには否としないという形の評価をしているということです。それに対して機構の方は、基準ごとに適合・不適合の判定をして、この基準に適合していると判断するという形での評価結果を出すということをしています。これは、認証評価機関として申請するときに文部科学省から、基準協会の評価は合否判定が曖昧ではないかというような御指摘を受けましたが、基準ごとに適合・不適合を判定すると明確なように見えますけれども、では、その基準における適合・不適合の判定は明確なのかというと、総合的な判断というのはそこではやはり行われるわけですので、本質的にどこまで違うかということに関しては少し疑問な点があるかなと思っています。
 それと、いろいろ数を数えましたところ、基準協会の方は長所より助言が非常に多いです。助言というのは、必ず直しなさいというものと、直した方がいいですよという二段階ありまして、この直したらどうですかというような助言が非常に多いということです。これに対して大学評価・学位授与機構というのは、すぐれた点が非常に多くて、改善を要する点は極めて少なくなっています。これは一つの要素としては、国立大学の1校を除いた全大学がこちらを受けているのと、あとは公立大学の半数がこちらを受けていまして、要するに国や地方公共団体が作った機関であり、一定の質が担保されているということも大きいのではないかと思います。加えて、基準ごとに適合・不適合を判定していくという場合に、改善点を多く指摘するというのはなかなか難しい仕組みになっているという点も指摘できるのではないかと思っています。
 それから、大学基準協会は評価終了後のアフターケアとして改善経過報告書の提出を求めています。これも会員制の名残ということでして、会員になれば必ず改善経過というものを見ていかなければいけないというのがそのまま残っていると言えるかもしれません。大学評価・学位授与機構は、評価を受けた時点の状況を非常に重視していますので、特にアフターケアというのは実施していません。ただ、基準が1項目適合していなくて落ちたということがあれば、追評価というのは門戸を広く開放しているかと思います。
 そして、もう少し内容面でいきますと、次の丸のところですけれども、学部登録制時代の評価を反映していると大学基準協会に書きましたのは、大学基準協会は昭和26年(1951年)からずっと学部登録制の評価でやってきました。これは、当時、モデルにしたアメリカですらやっていませんでした。資料がうまく残っていませんので、これは推測ですが、恐らく戦後の新制大学が、特に国立大学がいろいろな高等教育機関が合わさってできているということがあって、学部に相当いろいろ差があったということが影響しているのではないかと思いますけれども、学部ごとにも登録の判断をし、そして、一つでも認められる学部があると全体として合格とするというようなことをしていました。
 ですので、今でも認証評価の際に提出を求める自己点検・評価報告書でも、学部・研究科ごとの記述を求めている項目が多くあります。教員組織とか教育、研究活動、学生の受け入れなどです。
 これに対して授与機構の方は、自己評価報告書は学部・研究科ごとの記述は求めていません。そして、組織としては、協会の方は、分科会はその学部・研究科ごとの記述が適切に評価できるようにということで、分科会が大学の学部・研究科に極力対応した編成になっています。ですので、最低ですと4名、多いと10名を超える、どうも13名ぐらいになったところもあるようですけれども、そういう形になっています。
 機構の方はというと、部会は複数の大学を担当するということで、部会自体のサイズは10名から14名ぐらいで、その中の5、6人が組み合わせになって大学に行くということになっていまして、ここではその大学の学部構成というのは一定の配慮はあるかとは思いますけれども、例えば医学部を持っている場合はそちらが分かる人が1人入るということはしているかもしれませんが、基本的には学長経験者など、大学運営に携わっていた人が多く入っているという形になっています。
 ですので、カリキュラムに関してというと、基準協会の方は三つのポリシーの中の特に学位授与方針やカリキュラム方針、これらと実際のカリキュラムの適合性も評価の対象としています。機構の方は、カリキュラムまで評価はしていないといっていいと思います。
 そして、教員の研究活動については、協会は教育研究業績一覧を出させていまして、一応教員の研究活動も評価の対象としています。ただし、1学部1人という構成ですから、質的な評価というのをやるのは困難でして、量的なこと、大体この大学は研究活動が活性化しているのかいないのかというあたりで、量的には判断をするということになっています。これに対し機構の方は、選択的事項に研究活動を出していますので、教員の研究活動の評価はしていません。
 こういうような、よく見ていくと基準は非常によく似ているのに、評価の方法というのは両機関で、認証評価機関になるまでの背景によってかなり評価方法、スタイルが違うということが言えるかと思います。
 そして、機関別認証評価の課題、いろいろありますが、ざっくりと挙げてみました。
 まず、最初の丸は、認証評価に期待される役割です。一つ目が、大学設置基準等の法令遵守に関わる評価です。これは最低要件がクリアできているかということも認証評価に期待される役割であろうと思います。これだけだという認識が結構世間にあるようですけれども、これは入り口と考えています。2番目が、大学の質的向上に資する評価。そして3番目として、大学の質の保証です。
 そうすると、1番目のところでひとつ大きな課題があるかなと思っていますが、設置基準に明確に規定されていない事柄をどう評価するのかということです。主なものを挙げてみましたけれども、例えば専任教員です。専任教員が専任教員として本当に適格なのかということを認証評価においてどこまで評価できるのか。認証評価より以前に基準協会でやっていた費用化では、教員の個別表という文部科学省が提出を求めていたものと同じものを見ていたので、かなり詳しい情報を見ていましたが、そういうものを使わないで、しかも専任教員の定義が明確でない場合に、どうやって専任教員の適格性を見るのかという問題があります。
 その次は、学位名称と卒業要件の整合性ということですが、これに関しましても、設置基準が大綱化され、規制緩和がなされていく中で、例えば「学士(法学)」という学位を出しますという大学の卒業要件を見ると、法学関係の単位が12とか13ぐらいで卒業できるということになったときに、学位名称とその中身が本当に合っているのかどうかというのをどこまで踏み込むのかというのが課題になっているのではないかと思います。
 もっと細かく言うと、DP、CPです。この方針は、今どういう力を身につけるということをかなり明確に書くように指導がされていると思いますけれども、それと実際のカリキュラムが本当に整合しているのかという非常に重要な点について、設置基準に規定がないところを認証評価機関がどこまで踏み込めるのかというのも大きな課題なのではないかと思っています。
 それとの関係で、例えば大学評価学位授与機構が教育課程について余り見ていないのではないかと思われるのは、そこのところは大学としてきちんとできているというある程度の信頼に基づいているということだとすれば、大学の中に質の文化というものがきちんと醸成されているということが重要でして、例えば設置基準は要件がちゃんと満たされているかどうかというのは内部質保証のところできちんと確認できていて、それが簡単に分かるような形になっていれば、評価機関は確認のみでよい。中にずかずか入っていく必要はないということになりますが、そこが難しいところです。
 それと似たような話ですけれども、内部質保証が確立して、質の改善システムというものが大学に定着していれば、少なくともどういう改善をしなければいけないのかということは大学から提示がされるはずですので、最低限、質の向上に向けて努力している大学だということは分かるのではないかと思います。
 3番目としましては、それでは本当に改善できたのかというところまで踏み込んだとき、一番大きな点は学習成果ということになると思います。養成すると謳った人材が本当に養成できているのかということです。究極的には学習成果だというのが世界的傾向だとすると、ではどうするのかというのは、まだまだこれからなのではないかと思っています。
 もう一つ、専門職大学院の認証評価について簡単に申し上げます。私は三つほど関わってきましたが、その中で、ここでは日本高等教育評価機構のファッション・ビジネス系専門職大学院認証評価システムの構築を事例にして、少し御紹介したいと思います。
 まず、どうやって構築したかですが、評価機構の中に委員会を設置しました。その委員は8名中3名が企業関係者です。残りの5名のうち3名がこのファッション・ビジネス分野に関係の深い人、そして2名が高等教育研究者という形の構成になっています。
 委員会をスタートして、最初に大変だったことが、認証評価制度設計がそうなっているために、評価対象とする専門職大学院の分野を決定しなければいけないということです。これは、もしかしたら新しい高等教育機関に関しても関係あるかもしれませんが、近接する分野の専門職大学院が評価してくれと来たときに、それを認めるのか認めないのかというのは、分野についてどういう定義にするかによって決まってくるからです。ここに相当な時間を割きました。その結果、今、1大学だけが対象となっているわけですけれども、そこが非常に大変でした。
 その次に、評価基準の設定ですけれども、その中では重要だったのがコアカリキュラムです。これはやはり文部科学省からそこをきちんと設定してほしいということでした。つまり、この分野を対象にするということは、そこがどういう教育をするという機関だから対象とするのだということが明確でなければならないということで、コアカリキュラムに非常に時間をかけました。
 この二つができれば、あとは比較的スムーズに行きました。評価体制ですけれども、たった1大学ですが、先ほどの評価機関の体制のところで御紹介したAに当たる判定委員会というのを10名で構成していまして、そのうち3名程度がその学会ですとか業界、経済団体等の関係者ということになっています。
 評価チームというのを10名とは別に編制しまして、ここには実務経験を持つ教員が2名入る大学教員4名と企業関係者1名という形で、かなりその実践的な教育というところに配慮をした構成になっているのではないかと思います。
 評価基準はここに掲げたようなところを評価の対象としています。
 最後に、新しい高等教育機関の質保証システムを構築する際の留意点ということなんですけれども、まず、機関別評価なのか、いわゆるプログラム評価、認証評価では専門職大学院評価という部分に当たるものにするかということです。先ほども申し上げましたように、専門職大学院の評価は機関別評価を受けているという前提の基に成り立っています。ですので、当面は機関別評価の枠組みの中でプログラム評価を行う方がよいのではないかと個人的には思っています。
 ただし、今、検討している高等教育機関が職業実践的な教育を行うことが主眼になっていますから、プログラム評価は非常に重要な位置を占めるだろうと思っています。そうすると、その仕組みを決めていくのはどこがするんだろうかということが問題になってくると思います。
 例えば大学ですと、学会が中心になって運営しているJABEEがあります。これは技術者教育のプログラム認定を行っていますけれども、ここの基準は共通基準と個別基準で構成されていて、個別基準の部分は関係する各学会がかなり細かくそれぞれ決めていて2本立ての基準を使って評価をしています。
 機関別認証評価機関の場合、例えば大学基準協会ですと、それまでの蓄積として学部基準をそれぞれ作ってきたということがあり、内部に分野別の検討を行える体制を持っていたという例があります。この辺のところを、もし機関別でやるとしてもどうやるのかということがありますし、プログラム評価にするのであれば、それぞれの分野で独立した機関が、評価実務に加えてその分野の評価に必要な蓄積機能をも持つということが必要になってくるかと思います。
 それから、既存の学位と同じ名称を用いる場合は、その質保証の国際的通用性を考えなければいけないだろうと思います。例えばMBAですと、専門職大学院でもMBAの学位プログラムがたくさんありますし、専門職大学院にならない、いわゆる研究型・従来型の修士課程でMBAを出しているところがあります。これは日本では名称のあとに(専門職)とつくかつかないかというところできちんと区別はできますが、英語になると全く区別がつきません。そうなると、海外に対して、同じ学位名称であっても5年ごとに認証評価を受けなければいけない学位プログラムと受けなくてよい学位プログラムがあるのはわかりにくいし、質保証として不完全で、このあたりをどう設計するのかは問題ではないかと思っています。
 さらに重要なこととして、認定行為を伴う評価の場合、認定の持つ意味は何なのかということです。今ある認証評価機関は恐らく全て認定という行為を行っています。基準に照らして適格か適格でないかという判断を下していますが、例えば法科大学院は例外的に法律で認定行為を行うことが決められています。しかしながら、不合格であったとしても、その大学院を修了した学生が司法試験を受けられないというペナルティーがありません。ですので、この認定という行為は、もしそれを作るのだとしたらどういう意味を持つのかということを考える必要があるだろうと思います。
 そして最後に、実現性と実効性のバランスをどうとるのか。余り厳格なシステムを作ってしまって、新たな高等教育機関は手が届かないというシステムではいけないんですけれども、しかしながら、ハードルを低くするのであれば、一体質保証として意味があるのかというシステムを作ってもいけないということで、このあたりのバランスをどうとっていくのかということが非常に重要になってくるかと思います。
 長くなりましたけれども、私のからは以上でございます。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 それでは、今、前田委員から発表がありましたことについて、御質問がございましたらお願いします。ございませんか。
 どうぞ。
【川越委員】  この大学を認証評価するという制度が始まったのはいつなんですか。
【前田委員】  始まったのは平成16年です。
【川越委員】  長い間の大学の歴史というものがあって、そこにある大学を評価するためにそのような機構が作られて、評価をされているということだと思うんですけれども、これから作る学校種にあらかじめ評価の観点を決めて、先に評価機構を作って、評価のシステムを作るという順番なのかなと今ちょっと思って、だから、新しい学校種の場合、設置認可が新しくできて、そこに新しい学校種が誕生し、しばらくしてこのような評価制度ができるという方がより的確なのかとちょっと思ったんですが、どうでしょう。
【前田委員】  それはそのとおりなんだろうと思います。専門職大学院の認証評価はある程度混乱があったのかなという気はしています。つまり、制度ができて、そのときに質保証システムもできましたので、そこのところは、最初、予想外のことが幾つか起こっていると思います。
 こういう認証評価システムというのは、その大学ができてから完成年度を迎えて、卒業生が出て初めて評価ができると思うんですけれども、法科大学院は完成して修了生が出る前に認証評価が始まっています。ですので、その評価システム自体はもうちょっと慎重に検討するというのは必要なことかなとは思っています。
【川越委員】  ありがとうございます。
【黒田座長】  ほかにございませんか。
 どうぞ。
【池田委員】  専門職大学院、大学また専門学校を運営している立場で、認証評価も分野別も機関別も頂きまして、何と専門職大学院で認証評価がございまして、不適正を五つ頂いた大変名誉ある大学院でございます。そのときに、当然実務、外資系を含めて社長を3か所ぐらい経験された人が認証評価に立ち会ったら、相当バトルがありまして、異議申し立て等もさせていただいたんですけど、なかなかやっぱり御理解頂けなかった。
 じゃあ、勲章だから5年間そのままぶら下げていこうよと。それで改善も頂けないので、それは学生募集に対して大変困難な予想もあったんですけど、そんな大きな影響はなかったんですけど、いずれにしろ、じゃあMBA、そういう事業創造という、いわゆる専門職大学院の中の経営の分野で日本が国際的にどれだけ評価を頂いているのか指標を見ますと、100位以内にほとんど入っていない。そういう実態の中でその評価が構築されている。
 ましてやこの専門職といわゆる職業ということになると、技術革新とかは物すごい変化をして、ITなんかはパラダイムが大きく数年で変わっているという中で、プログラムを含めてどう評価するのだろうか。そういう意味では、そこの枠組みに関しては、余り固定的な考え方でやると大変なことが起こるのではなかろうかという感じがしていますので、そこはできるだけ、また専門学校、大学での認証評価に関する、大学院で対応するには、先生方も含めて大変な時間とコストをかけていますので、いわゆるそういう新しい教育機関がそれだけコストをかけて対応できるかどうかというになりますと、そういう意味での課題もあるかなと思いますので、その意味で、ここの認証評価に関しては相当合理的に、またフレキシブルに対応できるような評価基準にして、それは当然国際的にも通用するということも含めて、留学生なり日本の学生が不利益にならないような国際化の視点で考えて、その幾つかの視点があろうかと思いますので、よろしくどうぞ。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 ほかにございませんか。どうぞ。
【寺田副座長】  ちょっと質問したいんですけれども、最後のところで、国際的通用性ということをおっしゃいました。バチェラーというふうにするのか、その上に日本語として何か専門という言葉をつけるのか、幾つか選択肢があると思うんですけど、国際的通用性という点でいうと、この間、文部科学省高等教育局が学士力というコンセプト、かなり項目が細かいと思うんですが、大分類で四つ、五つ、もっとありましたか。小分類まで入れると十幾つ、20ぐらいあったと思うんですけれど、あれだけ細かくやって、それで各大学では結構、今、シラバスの中、授業計画の中に組み込んでおりまして、これをきちっともう一度見直す、再論議する必要があるのかなと思っているんです。
 例えば国際的通用性という点では、アメリカの先ほども出てきました認証評価のコンピテンシー・ベースドの教育目標であるとか、あるいはヨーロッパのEUの高等教育枠組み、あるいは職業教育、資格枠組みがありますけれど、かなり段階区分は大まかですし、要素も三つぐらい、知識、スキル、コンピテンシーという、それぞれ程度も区分しているということで、割と大まかだと思うんですが、その辺いかがでしょうか。課題というのはどういうことが残っているのか。とりあえず既存の大学でも構わないんですけれども。
【前田委員】  私、ヨーロッパのことはよく分からないんですけれども、アメリカの機関別アクレディテーションは、ほとんど教育内容まで踏み込んでいないと思います。例えば学習成果をどう測定しているのかというのは、連邦政府から強い要請があるので、そこの仕組みはちゃんとできていることをどこかの教育組織のエビデンスの例示を出して、こうやっていますと見せればいいような形になっていると思うんですけれども、これが専門分野別アクレディテーションになると、分野によってかなり温度差がありまして、例えば医学のように資格に関わるところは問題ないと思いますが、例えば公共政策ですと、評価機関がかなり細かくこれをやってくださいというのを基準で示していて、それにきちんと大学が当てはまっているかどうかを見るというところがあります。評価機関の方がかなり対応してどういう力をつける、若しくはそれをどう図るという仕掛けを用意していると思います。
 もう一つは、非常に頻繁に基準とか仕組みを改定します。多分3年に一度は見直すと決めているのではないかと思いますので、比較的細かくやっている可能性があります。ただし、いわゆる有名一流大学がそれに従っているかどうかは、実はちょっとあやしいと実際に行って感じてきました。
 すみません、余りお答えになっておりませんが。
【黒田座長】  ほかにございますか。
 どうぞ。
【金子委員】  今、お話になった評価機関の話は、現在の日本では大体、私はそうだろうと思うんですが、ただ、現在の大学に関する機関評価、認定評価、行われている大学評価は、基本的には機関評価が基本であって、学部、学科を基にしているということは、それに加えて学部、学科の評価がある程度行われているということは事実ですが、そういった意味ではプログラム評価がまだ十分に行われていないということは事実でありますけれども、ただ、これは日本の大学評価、それ自体がもうこのままで固定しているというものではないと思います。非常に重要なのは、むしろ大学評価側も今、変わりつつあるところで、プログラム評価を導入するということは非常に重要な課題で、これからそういうふうになっていくもんだと私は理解しています。
 それで、今、新しい機関についての評価はなるべくフレキシブルであるというお話がありましたが、私はそれはそれでそうだろうと思います。ただ、やはりこれは基本的には大学制度がどうやって成り立つのかということを支えるものでありますから、一定の枠組みがなければいけないことは事実です。大学についてもやはり設置基準があって、それに従って設置認可が行われる。その設置基準が守られているということが前提になった上で認定評価というのが、認定機関により評価が行われているわけでありまして、2段になっているといっても、1段目も決して全く設置されたときだけの話ではない。
 今の段階で設置基準が学部、学科を中心に作られていて、プログラムを中心として評価がなかなかうまくいかないというところが課題でありまして、そこをこれから改善していく必要があると思いますけれども、やはり設置基準が一応前提になっているということが私は重要なところだと思います。
 新しい機関ができたときにも、やはりこの設置基準と認定評価に当たるものの2段構えになることは必要で、これから基準になりますのは、この二つのところをどのように配分していくかで、設置基準自体を非常に細かくしてしまえば、これはフレキシブルではなくなるわけでありますけれども、それは必ずしも認定評価が易しければいいという問題ではない。
 評価というのは、何といいますか、国のコントロールという側面だけが強調されがちでありますけれども、もう一方では質を保証するのですから、マーケットを作る上で非常に重要なわけだと思うんですね。学生がこういう機関に来るにはやっぱり何らかの形で質が保証されているということが重要で、だから、今度の評価、新学校種ができたときも、やはり大学の名前があるとないとで違うというお話は大分出ましたけれども、しかし、それは大学という名前に内包されている一定の制度的な保証があるからこそ大学の価値があるわけで、それがなくなってしまえば、その大学という名前を大体つけようということも起きてこないと思うんです。
 そういう意味で、やはり質をちゃんと保証する組織があるからこそ、こういった新しい学校種も逆に言えば意味が出てくるので、そういった意味では保証する組織というのはやっぱりしっかり作っていくということは、しかもそれはできて何年後か考えればいいという問題じゃなくて、あらかじめ考えておくというのは非常に重要であると思います。
 それから、専門別の評価を行う際には、かなり問題が大きいということをあらかじめ考えておく必要があると思いますし、ここでやはり議論しておく必要があると思います。特に現在の専門職大学院については、先ほどのお話にありましたが、1機関で1総合評価機関という非常に変な形態ができているところがある。それから、4分野についてはまだ評価機関ができていない。それから、ビジネスは評価機関が二つあって、もっとさらに作ろうという動きも私は聞いていますが、特にビジネスはそういう傾向があるようですけれども、これはほとんど質保証の内容を成せなくなっている危険もあるわけですね。
 ビジネスなんかを見ましても、アメリカはじゃあ自由競争でやっているかというと、これは決してそんなことはなくて、やはりビジネス教育については重立ったところは1機関でやっています。マイナーなところにもう一つか二つあるみたいですけれども、しかし、重立ったところはやはり一つの機関でやっています。そういったものがやはりできるということが前提とならないと、この新しい学校種の議論はできないのではないか。
 そういう意味では、まだ議論は始まったばかりでありますけれども、その評価の在り方については十分な議論をしていくことが必要だと思います。
 以上です。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 時間も随分迫っておりますので、ここまでにさせていただいて、次に移りたいと思います。
 次が、本日の議題1にようやくたどり着くわけでありますが、参考資料1を御覧頂きたいと思います。「これまでの議論で指摘された主な論点」という資料でありますが、本日はこれの5番目と6番目、新たな高等教育機関の位置付けに関すること、それから、社会人を含む学生のニーズへの対応等に関することというところに議論を移したいと思います。
 まず、事務局から資料3から5について御説明をお願いします。
【神山教育改革推進室長】  それでは、お手元の資料3、4、5を御覧頂きたいと思います。
 まず、資料3ですけれども、「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関のイメージ(案)」となってございます。
 1枚目は前回お配りした資料と同じでございますので、基本的な方向性として御確認頂ければと思います。
 1枚おめくりいただきますと、今日の論点にもございます大学体系との関係、具体的には、大学体系の中に位置付ける場合が左側で、大学とは異なる新たな学校種を設ける場合が右側で、基本的なイメージですとか教育内容などがどういった形で異なるのかといったのを示したものになってございます。
 上の方から御覧頂くと、大学体系の中に位置付ける場合に関しましては、基本的なイメージとしまして、大学の一類型として新たな類型を創設いたしますので、現在の学教法におけます短期大学の規定の仕方と同じような形になるのではないかと考えてございます。設置基準につきましては、今ございます大学設置基準や短期大学設置基準とは別に、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の目的に合った新たな設置基準というのをさらに作るという形になるかと思います。
 学教法の1条に関しましては、「大学」という中に今も短期大学が含まれておりますので、同じような形になるのではないか。また、学校教育法における規定の仕方ですけれども、現在、第9章「大学」という章が学校教育法にございまして、その章の中に短期大学の規定が入っておるということですので、大学体系の中に位置付けるということになれば、それと同じような規定の仕方になるのではないかと考えてございます。
 一方、右側を御覧頂きますと、大学とは異なる新たな学校種を作るということになりますと、全く新たな学校種を創設いたしますので、設置基準も新設ということになります。学校教育法の1条では、大学の中に含まれるわけではありませんので、新たな学校種名を第1条に追加をするということになると思いますし、学教法の中の章立てにつきましても、今、第9章が「大学」、第10章が「高等専門学校」でございますが、これらと並ぶ新たな章が一つ立ち上がって規定をするというような形になるのではないかというのが基本的なイメージでございます。
 続いて、修業年限でございますけれども、これにつきましては、まだ議論が十分収束しておりませんので、いずれにしても、新たな高等教育機関の教育内容、あるいは海外における教育機関の状況、そして既存の学校種の修業年限などを踏まえて御検討頂くということかと思っております。
 二つの種類の違いとして、その次にあります学位・称号のところが大きく異なるかと思っておりまして、左側、大学体系の中でしたら、学位授与を行う機関ということになるであろうと思っております。ただし、その際、現在の学士、短期大学士と同じなのか、異なる新たな学位とするのかといった点については、国際通用性を踏まえながら、さらに検討が必要かと思ってございます。
 右側の、大学とは異なる新たな学校種になる場合には、学位の授与というのはなかなか難しいということで、学位ではない新たな称号を検討すると。その際、称号であっても、学位と同等に扱われるような配慮は必要かと思っておりまして、参考までに、高等専門学校の卒業者は、今、準学士という称号が与えられているということにも触れてございます。
 その下、教育内容のところでございますけれども、1行目のところを御覧頂くと、各分野の職業に係る専門知識や技能の教授、これはもう必須であろうと考えておりますが、二つのパターンで異なるところというのは、その次の将来的な変化への対応力ですとか、批判的な思考力などを培う、いわゆる教養教育といったものをどのように扱うかといった点が異なってくるのかなと考えております。その下の2行、教育方法に関しましては、講義だけではなくて実践的な演習ですとか、インターンシップなどを重視すると、ここはどちらのタイプになるにしても共通だろうと思ってございます。
 先ほど申し上げた異なる部分、教養教育の部分については分けて書いてございまして、左側を御覧頂くと、教養教育も一定程度行う必要があるであろうということを書いてございます。ただ、実施に当たって、専攻する職業分野に関係することを行うといったことは望ましいかと思いますが、教養教育を一定程度行う必要があります。
 一方、右側に関しましては、大学における教養教育よりは限定的になるにしても、専門分野に関連する教育の中で、将来的な変化への対応力などを育むということは必要なのではないかということです。大学ほどの教養教育ではないにしても、専門の中でそうした変化への対応力などを育んではどうかというのが右側でございます。
 おめくりいただきまして、次のページですが、産業界による教育課程編成への参画に関しましては、どちらのタイプでも一定程度の参画は必要と考えていますが、大学体系の左側に関しましては、教授会との関係を整理することが必要ではないかということになってございます。
 右側は、産業界の関係者が参画する委員会などを作るというのを基本としてはどうかということにしてございます。
 その下、研究の取扱いに関しましては、基本的には、大学体系の場合には学術研究をベースとした教育を行う教育機関と位置付けるということになろうかと思いますが、その際に新たな高等教育機関の目的を踏まえた制度設計がどの程度できるのかということを今後検討する必要があると考えておりまして、「例えば」と書いてありますが、新たな高等教育機関の目的では、教育と並列して研究を位置付けるという大学のような扱い方ではなくて、研究は教育内容を学術の進展に即応させるために行う、研究は教育のために行うのだといったような位置付けとすることが、学位授与機関とすることとの関係で適切かどうかということを御検討頂くことになろうかと思ってございます。
 また、右側の方では、学教法上、研究を目的の中に位置付ける必要はないので、その方向で検討するということではどうかと書かせていただいてございます。
 続きまして、教員資格のところでございますけれども、教員の資格に関して、左側では、既存の学位授与機関である大学や短期大学の水準ですとか、教育内容や研究の取扱いを勘案して、新たな高等教育機関の目的に応じて、例えば博士号ですとか研究実績の有無について、現行の大学とは異なる規定、あるいは取扱いとすることが可能かについて御検討頂くということかと思っております。
 右側の方では、博士号や研究実績の有無を重視した規定とする必要はございませんので、運用も含めて、そうした方向ではどうかということで書かせていただいております。
 下には、専門職大学院の設置基準を参考で入れさせていただいております。
 その次のページにまいりますと、教員数でございますけれども、教員数については、最初の行にありますように、実務家教員をある程度配置することを義務化するのは、どちらのタイプでも必要なことかと思っておりますが、実務家教員の質を保証するという観点からは、実務家教員の定義、具体的にはどのような資格を保有してもらうのか、あるいは経験年数をどの程度求めるのか、また、実務経験から離れ過ぎていてはいけないといった限定を設けるのかといったことも検討の余地があるのではないかと思っております。また、配置する割合については、分野別に示すことが考えられますが、それが可能かどうか、あるいは何割以上設けなければならないといった下限に加えて、上限の方も設定する必要性について検討が必要かと考えてございます。
 その下、分かれているところでございますが、左側では、教員の数についても学位授与機関である大学や短大などの教育水準を踏まえたり、新たな高等教育機関の目的を踏まえるということで必要数を考える必要があると。特にその際、実務家教員については、企業と兼務する必要性が高いことなどを勘案して、例えば専門職大学院を参考に、企業と兼務しているような者を一定程度の人数は専任教員数にカウントしてもよいといったような仕組みを導入することも考えられないかということに触れてございます。
 右側の方は、教育内容ですとか研究の取扱いを踏まえつつ、多様なプログラムを柔軟に提供することができるような仕組みを重視し、必要教員数を検討してはどうかということで書かせていただいております。
 その下、校地・校舎面積や運動場・図書館等の施設に関してですけれども、左側は学位授与機関である大学や短期大学における教育水準ですとか、新たな高等教育機関は職業教育が中心で、社会人も対象とすることが相当程度見込まれるといった点も踏まえまして、校地や校舎といった項目ごとに定性的な基準を示すのか、あるいは教育の質を保証するための最低限の定量的な基準というものにするのか、さらには関係施設の利用協定などを活用できないかといったことを御検討頂きたいと思っております。
 右側は、それに比べますと、企業との連携の必要性、あるいは利便性といったものを重視した基準とすることができるのではないかと書かせていただいております。
 その下、評価でございますけれども、第三者評価は、いずれにしても必須であろうと思っておりますし、産業界が参画して分野別に教育の質を保証する仕組みについても、いずれにしても必要と考えておりますが、左側、大学の体系の中ということであれば、本日御説明が前田委員からもありましたように、機関別の評価を行いつつ、さらに産業界が参画する分野別の質保証の仕組みというのを導入すると。具体的には、分野別の評価というやり方ですとか、資格があるものについては、養成施設としての認定を受けており、指定を受けているといったことがありますので、そういった職能資格団体等による教育課程認定などを活用するといったことが考えられると思います。その際、前田委員からの御提案もあったように、両者を統合して機関別評価をベースにしながら行うといったようなことが可能かどうか、さらに検討が必要かと思ってございます。
 右側の方に関しましては、教育プログラムの話も出ておりましたけれども、そうした評価に重点を置いた独自の評価制度を考えるといったことも可能かということで書かせていただいております。
 最後に、設置認可権者については、前回御議論頂いたように、文部科学大臣がどちらのタイプでも認可を行うのであろうと思っておりますし、設置者につきましても、国、地方公共団体に加えて、私立につきましては学校法人が設立するものに限るといった形にするのではないかと考えているところでございます。
 以上が資料3でございます。
 資料4は、イメージ図にしたものでございまして、1ページ目が現状でございます。1枚おめくりいただきますと、大学体系の中に位置付ける場合には、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関というのが、広い意味での大学の中に位置付けられるのでこのようなイメージかなということで書いてございます。
 なお、修業年限がまだ定まっておりませんので、斜めに切ったような形にしておりますが、位置付けとしては、ここの位置になるのではないかと思っております。
 もう1枚おめくりいただくと、大学とは異なる新たな学校種を設ける場合でございますが、これは大学や短期大学とはちょっと離れた位置に、高等専門学校等と同じように、一つの独立した学校種として作るということを、イメージとしてはこのような形だろうということでお示しをしております。
 続きまして、資料5を御覧頂きますと、アメリカ、イギリス、ドイツ、フィンランド、韓国につきまして対比した資料を用意してございます。
 詳細の御説明は省きたいと思いますが、アメリカについては、2年制大学と4年制大学を比較しておりまして、2年制大学の方は、いわゆるコミュニティカレッジですとか、私立のものについて触れてございまして、取得学位のところを御覧頂くと、準学士、アソシエートの学位を出せたり、非学位の修了証を出すというような仕組みになっておるようでございます。
 イギリスについてですが、比較のために既に大学になっておりますけれども、かつてありましたポリテクニクにつきましても左側に掲げてございます。
 概要のところを御覧頂くと、ポリテクニクは1960年に実学重視の非大学高等教育機関として創設されたということですが、1992年以降に、既に大学に昇格をして新大学グループを作っているということになってございます。
 それから、次のドイツを御覧頂きますと、ドイツでは専門大学と総合大学というのを比較してございまして、専門大学の方は、概要のところを御覧頂きますと、1968年の協定によりまして、従来、後期中等の職業教育学校に位置付けられていたものを高等教育機関に格上げしたということで、その下の欄にありますように、実用型の教育研究、特に技術、経済、社会福祉、農業などの分野について学位を授与する形での教育というのを行っておるということでございます。
 続きまして、フィンランドを御覧頂きたいと思います。フィンランドにつきましても、専門大学と大学を対比しておりまして、概要のところでは、中等後教育機関ということで、高等教育にふさわしいと思われる分野の教育を提供している機関を再編統合して、高等教育機関へ格上げしたということで、1996年から制度化をしてございます。職業志向で応用研究が中心となっておりまして、そのすぐ下にございますように、専門(職業)学士ですとか専門(職業)修士といった学位を授与しているということになってございます。
 続きまして、韓国につきましても、専門大学と4年制大学を比較してございまして、韓国の方では、職業教育中心の短期高等教育機関ということですので、学位は授与されるようですけれども、取得学位と標準学修期間というところを御覧頂きますと、学位は出しておるんですが、標準学修期間のところで4年制大学は4年でございますが、こちらの専門大学は2年から3年となっているといった違いがあるということでございます。
 ちょっと長くなりましたが、私の方からは以上でございます。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 それでは、皆さんから御意見を伺いたいと思います。
【岡本委員】  文科省の方から非常に分かりやすい資料を提示していただきまして、議論がしやすくなったかなというふうに思っております。
 新たな高等教育機関の制度設計をする上で、やはり根幹をなす部分、建物で言うと土台の部分と、土台の上に建つ構築物、こういうふうに分けるとすると、制度設計を左右する根幹は何かというところでございますが、先ほど御説明頂いた資料3に大学体系との関係と、ここが私はやはり制度の根幹をなすものであろうと思っております。
 左側は大学体系の中に位置付ける場合、右側が大学とは異なる新たな学校種を設ける場合と、右の方をとりあえず非大学というふうに言わせていただきますと、それぞれメリットとかデメリットといいますか、課題とか問題点とかいろいろあろうかと思います。
 その前に現在の専修学校制度についての限界といいますか、なぜ新たな高等教育機関が必要かということにも関わるんですが、一つ目は分かりやすい学校制度である必要があるわけです。専修学校の場合は、今日、これだけ発展してきたわけですが、3課程ございます。そして専修学校専門課程と専門学校と同じ意味だというのもなかなか国民的には分かりづらいということで、新たな学校種は分かりやすいものにする必要があるというのが一つです。
 それから、2番目は、1条校との関係。これは両方、大学体系においても非大学においても、1条校に位置付けられるということでありますので、これは非常に重要な制度設計の論点だと思います。
 現在の専修学校は124条で位置付けられておりますけれども、やはり1条校ではないということで、法律上等々、いろいろな格差を生む要因になっておるということであります。
 それから、3点目は、社会的な地位とか認知度であります。これもやはり企業の側で、あるいは行政の側で、あるいは国民意識の中で専修学校、専門学校は大学ではないということでいろいろな格差が生まれているということでありますので、そういう意味では明確にする必要があるというふうに思っています。
 4点目は、国際通用性ということでありまして、これはどちらも配慮されていることだと思いますが、イギリスにせよフィンランドにせよ、職業トラックが大学と同等であるものを専門大学に格上げしてきたと。こういうプロセス、あるいはボローニャプロセスにおける両体系の統合ということもありますので、非大学の方で国際通用性というものを配慮していただくということもあろうかと思いますけれども、大学の体系の中で、例えば学士と同等の専門学士とか、そういうような位置付けも十分考えられるのではないかと、こんなふうに思っております。
 これから議論が始まるわけで、今後の議論の中で展開されていけばいいと思うんですが、私としては、名称の問題も非常に重要な話でありまして、先ほど申し上げました、分かりやすい学校制度が必要です。専門学校は40年の歴史がありますので、制度はそれなりの定着はあるんですが、新たな高等教育機関を作る場合、やはり名称から説明するような制度になりますと、それはまた時間が掛かってしまうということになります。
 そしてまた、もう一つは、1条校はどちらも入るということなんですが、制度設計の一番根幹をなすところが、やはり学位・称号のところであろうと思います。この部分でいえば、私は学士、短期大学士と同等の学位というものが可能であれば、先ほど申し上げました専門大学という名称等も含めて、学位というものが明確になる、国際通用性も国内通用性も明確に位置付けられるんじゃないかと思います。
 右側の非大学で新たな称号ということで、学位と同等のものを出すという考え方もありますが、やはりなかなか、結局は学位ではないということで難しくなるのではないかということで、現時点では、これは設置基準を細かく具体的に検討する中で、本当に大学体系の中に位置付けられるのかどうかという問題はありますが、これを制度設計の理想として、設置基準その他もろもろのことを今後検討する中で、どこまでできるのか、ハードルがどうなのかということを検討すべきではないかと、考えております。
 以上です。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 ほかに。
【麻生委員】  ただいまの御意見と文部科学省から説明があった点ですが、今の2ページから書かれている二つの大学体系との関係、それから、具体的な図にされたものはよく分かるんですが、今、議論しているのは、新たな職業教育を行う実践的な高等教育機関に関して議論している中で、専門大学という話も前から出ております。簡単に言いますと、2ページのところで、左側は大学に含まれる短期大学と同様な1条校に置いた短期大学が108条で定めるという方法と、右側は、高専のような形で1条校に入れて定めるという方法なんですが、1条校に追加しないという議論がここにありません。三つあってよろしいんじゃないでしょうか。それをもって、1条校ではなく、例えば、先ほども言いました、124条で専門学校のことが述べられていますが、その中で、それ相当の新たな高等教育機関の議論もできるのではないかというふうに考えます。現実に、専門士の称号、それから、高度専門士の称号というのは、現在、専門学校に適用されているわけですので、そういったことを含めた新たな高等教育機関ですから、大学、それから大学とは異なる新たな学校種という観点の中には、1条校ではない観点も必要ではないかと思います。
【黒田座長】  どうぞ。
【岡本委員】  すみません、たびたび。今、重要な論点なので申し上げます。
 専修学校の制度において、職業実践専門課程、文部科学大臣認定の制度ができました。専門士、高度専門士が短大並み、大学並みということで大学の編入学、大学院の入学資格付与ということで、ほぼ1条校になるかならないか以外の話は、全てもう現制度で実現できているんですね。ですから、1条校にならない新たな高等教育機関ということは、私はあり得ないと思っています。
 現在の専修学校制度、専門学校制度は、そういう意味では柔軟に、フレキシブルに、そして高等教育機関としての接続もできています。ただ問題なのは、学校であるのに学校でない、一方で、高等教育機関として認められていながら高等教育機関としての法的な位置付けがないということであって、その根幹をなすのが1条校なんです。それと学位なんです。学位はどうするかというのは議論があるところなんですが、1条校にするかしないかということで言うと、1条校以外のものを設計したところで、専修学校は全て現在の制度でそれをやっていますよと。だからそれは、ちょっと強い言い方で申し訳ありませんけれども、私はあり得ないと思っております。
 以上です。
【黒田座長】  どうぞ。
【金子委員】  今の点ですけれども、私は1条校以外のオプションも一応今の段階では考えるべきではないかと思います。
 今もう、例えば大学への編入の単位加算等々についても十分な位置付けが与えられているというお話でしたが、実はこれ、必ずしも自明であるというふうには思っておりません。今、4年制大学への単位編入が60単位まで認められているわけでありますけれども、この単位編入については、かなり今、異論が出ていまして、本当に大学に編入するときに質的な保証ができているのかどうかということについてかなり異議があって、これはある程度、政策的には勇み足だったんじゃないかという議論もありました。
 少なくとも、現在の専門学校、専修学校について、もう少し立ち入った質保証の仕組みを作るべきではないかという議論があり得るわけで、それの意味では、現在の専門学校について、何か別のステータスを作る、それで質保証するというオプションも私はあるのではないか。そうしました場合には、現在の専門学校と新しい専門学校というのは、何らかの形で区別ができるわけでありますけれども、それもやはり専門学校の質が改善されているという状況を踏まえれば、必要である。
 逆に言えば、専門学校を全て一つまみにしていいのかという問題も、少なくとも現状を見ればあるわけで、その限りでは、専門学校の中で一つのステータスを作るということも、一つのオプションとして今排除するべきではないと思います。
【黒田座長】  ほかにございませんか。
 どうぞ。
【服部委員】  本日頂いた資料は、大分議論がクリアになってきたということは、先ほど岡本委員さんがおっしゃったことと同じですが、基本的には、私は岡本委員さんの案に賛成するわけです。イメージ的には、先ほど説明があった資料3の2ページの内容と、もう一つは、非常に分かりやすい資料4の3ページ、学校体系のイメージ、こういう体系、この外枠、基本的には1条校に入る、これが枠を若干出ることはあるかもしれませんが、枠の中に納まるような形で進むことがいいのかなというふうに私自身は思っています。
 ただ、岡本委員さん、先ほど四つの視点、非常に分かりやすい説明がありました。新たな高等教育機関というのは、この四つの視点と。もう一つ、私、今、第5として付け加えるならば、資料3の2ページのところの一番下の「教育内容等」となっていますけれども、教育方法というか、内容はカリキュラムとかいろんなことがあるんですけれども、学びの仕組みとか教育方法を、やっぱりこれは一つ重要な視点として付け加えるべきだと。第5として教育方法。
 これはもう一つの資料で、資料5のアメリカ、イギリス、ドイツ、フィンランド、韓国等の高等教育機関というのが、歴史的な背景からそれぞれのメリット、デメリット等を表にしていただいて分かりやすいんですが、これからの日本で作るのは、こういったもの、それぞれの先進的な取組を生かしながら、日本型というか、ジャパニーズスタイルという、そういう教育機関を考える視点が必要だというふうに思っていますね。
 それは、これまでのところにあったかもしれませんが、もう少しクリアにした、いわゆる大学における研究力、これまで培った大学等における研究力と、それから企業等が行っている実践力ですね。そこでの互いのよさを生かしながら、新たな高等教育機関が学びの仕組みをそこの中に構築するような、そういう考え方が加われば、いわゆるジャパニーズスタイルの高等教育機関というか、実践的な職業教育機関になると、こんなふうに考えております。
【黒田座長】  ありがとうございました。ほかに。はい、どうぞ。
【清水委員】  1条校とか学位とか、その前に、今回の新たな学校種というのは、今の短大とか大学とか高専とか、既存の学校全部に大きな影響を与える議論だと思っています。それは共通に認識すべきだと思います。
 その上で、当初、金子先生がおっしゃったように、アメリカ型なのか、ヨーロッパ型なのかという、そこへ戻ると、日本は六十数年前にアメリカ型の制度を選んだわけです。アメリカ型ということはどういうことかといいますと、教養教育は大学の仕事になるという選択をしたことです。各国の大学において教養教育の有無を見ると、韓国もアメリカ型ですから全部教養教育がありますけれども、ヨーロッパはなしですよね。教養教育というのは大学の仕事であるというのが一つです。
 また、大学の歴史をひもとくと、カレッジがユニバーシティになったのは何が契機になったかというと、リサーチを加えたことです。研究という機能を加えたわけで、それゆえ研究と教養というのは、我が国の大学の基本的な要素であり、日本では中核に据える必要があります。
 もう一つ、今回の新たな学校種というのは、日本全体の高等教育体系といいますか、いわゆる生涯学習体系への移行を目指す上で一つの大きな契機になると思っています。それは何かといいますと、学位を、これまでは学術学位が中心で設計されてきた。ここへ来て、ヨーロッパにありますように、職業学位という職業教育を基礎とした学位体系、この二つをきちっと我が国の学校体系の中で構築するチャンスだと思います。
 今日は専門職大学院の話が出ましたが、本当はそれは学術学位とは別に設計すべきだったのを、研究科の中に同じ専攻として入れてしまいましたから、今のような問題も生じてきている。専門職学位というのは、将来は職業学位の方の体系にくっつくような形にしていけば、日本全体の高等教育体系が学術学位の体系と職業学位の体系として構築できるのではないでしょうか。
 今や、学位は大学だけが授与できる唯一の機関ではありません。学位授与機構もありますし、あるいはそれに準ずる国の機関を新たに作っても学位は授与できるわけですから、そういう状況も入れて、この問題を私は議論すべきではないかと思います。
【黒田座長】  寺田委員。
【寺田副座長】  二つのことを申し上げたいんですけれども、一つは、新たな高等教育機関というのは、私、一番最初のときも言いましたけれども、専門学校対象だけではなくて、日本の短期高等教育全体、そこで主として職業教育が行われているわけで、これ全体が乗っていける仕組み、これを考えるべきなんではないかなというふうに思っています。
 結果として、例えば短大あるいは高専あるいは専門学校の一定の水準を満たしたところがこの制度に乗っていけるという日本の短期高等教育機関の仕組みを、ここで見直すということではないかなというふうに思っています。
 もう一つは、新たな機関の制度設計なんですが、今、アメリカ型、ドイツ型という話が出まして、何度も私これ発言していて、前回も言いましたけれど、もう少し補足しますと、ある意味でアメリカ型であり、ある意味でドイツ型、韓国が比較的その真ん中ぐらい行っているのかなという気がしていますが、そういう折衷型、日本モデルというふうにおっしゃいましたけれども、それでいいのではないかというふうに思っています。
 具体的に言うと、例えばアメリカの場合ですと、2年、3年掛かって職業資格ライセンスと、それからライセンスがない場合もありますけれども、アソシエートを取って大学に入るということで、バチェラーは4年制大学に行かないといけないということですけれども、専門大学型の場合ですと、その中で4年間という年限の問題が大きいと思います。
 先ほどの事務局の話で、大学とは異なる位置付けをした場合、学位の授与は困難という理由がちょっと僕はよく分からないんですけれど、もしその場合でも可能ではないかというふうに思います。つまり、年限と、それからカリキュラムにおいて高等教育機関としての内容と時間を担保すれば、これは十分、学位授与、名称はともあれ、に値するんだろうと思います。
 つまり、専門大学型というのは2年~4年くらいで、アソシエートを取るんであれば3年、バチェラーまで至るんであれば4年、例えば韓国のタイプですね。ドイツですと4年間フルに行って、今現在はもう学士と4年制大学と一緒ですけれどという年限の担保と、もう一つは議論になっている教養で、教養課程についてもざっと大まかなことを言えば、20単位ぐらい新機関が最低履修をすれば学位授与の中身として認めるというくらいの扱いでいけばいいのではないかというふうに思います。
 専門大学型の場合は、4年間で一定の教養教育課程を含めて学士に至る。準学士、専門士だけで終わるという場合もありますけれど、専門学校の場合、専門士ですね。さらに、韓国などがそうですけれども、2年あるいは3年課程を終えて、つまりアソシエート、準学士を取って、4年制大学にも行けるという道も残す、大学との編入システムを残しておくという形がいいのではないかと思います。
 ということになると、モデル論的に言うと、アメリカ型とドイツ専門大学型の中間ぐらいで設計すればどうかなというふうに思います。以上です。
【黒田座長】  ありがとうございました。はい,どうぞ。
【永里副座長】  企業の方の立場から言うと、中身が問題なわけです。次から次に起こってくる技術進歩にどう対応していくかということを考えた高等教育機関が欲しいわけです。それで、今の大学が必ずしもそれに応えてくれていないので、こういうことを教えてくれるところが出てきたらいいなということになります。
 それは当然のことながら、この新しい高等教育機関というのは企業にとって欲しい機関なものですから、学位は授与すべきだと思います。だから、学位の授与ということは大学の扱いをするということなんだと思うんですけど、今の寺田先生のお話だと、ちゃんとそういうカリキュラムが充実していれば、別にそんなのこだわらなくて学位が出せるということなので、これはこれでまた一つの方法かと思います。
 当然のことながら、企業にとって新しい専門的な職業的なそういうことが次から次に変化していくわけですが、それを教えてもらうんですけど、やっぱり教養は必要、教養科目は必要なんですね。それで、シェークスピアの英語を読んで、あの難しい英語を読む、そういう教養ではなくて、シェークスピアがどういう位置付けであったかというような感じでいいんだと思うんです。その程度の教育でいいんですけど、外国人と話したときにシェークスピアについてある程度話ができる程度の、今のは一つの例ですよ、そういう教養は必要だろうと思います。
 ですが、世の中は今、従来の旧態依然たる大学そのものが変革しなきゃいけない、改革しなきゃいけないという流れがあるわけですから、その大学の改革の中でこれを捉えればいいんであって、したがって、機能を三つぐらいに今回文科省さんの方から発表なさいましたけれども、あの中の最後の方の地域貢献とかいうところの部分でこれを入れていくのか、あるいは新たな機能を付け加えるかというのはこれからの議論でしょうけれども、高等教育の大学改革の流れに沿って、もっと中身を充実した大学を、職業教育、実践教育を入れたような中身を入れれば、企業としては質の保証があったに等しいわけで、それはまた企業の人たちがカリキュラムに参画しているわけですから、もう黙って質保証ができていくというような感じになればいいと思います。
 だから、一例ですが、秋田の国際教養大学みたいに、あそこだったら質が保証されているというふうに企業は見るので、あそこの卒業生は引っ張りだこですけれども、そういうような高等教育機関ができればいいんだろうと思います。
 以上です。
【黒田座長】  ありがとうございました。はい、どうぞ。
【川越委員】  教養教育ということについてなんですけど、中教審のときにある先生が、専門学校に視察に行って聞いてみたら、哲学とか心理学とかは教えていないし、教える予定もない、しょせん職業訓練のレベルだなとおっしゃいましたのですが、僕は少し違うかなと。そのときも申し上げたんですけど、職業教育を専らとする新しい高等教育が誕生するとすれば、そこで考えられる新たな教養教育の考え方というものもあってしかるべきではないかと。
 今、清水さんおっしゃいましたように、大学で教養教育をお入れになって、大学における教養教育というのはこういうものだというものがあるわけでしょうけれども、新たな職業教育機関、高等教育機関ができるとすれば、そこにおける教養教育とは何かということがゼロから議論されるべきでないかなと。
 例えば、大学に行った子も専門学校に来た子も基本的に、その層とかレベルによってですけれども、高校を出るまでの間、何ら達成感を持てず、自分に自信を持てず、無目的的に大学に行っているという子も結構いるわけで、前々回申し上げたように思いますけど、大学が提供している教育の質は一定の保証があるとしても、そこに来ている子たちが理解できるレベルということになると、相当の乖離が学校によってはあるのではないかと思うんですけど、要するに職業教育、つまり社会に出て働いて自立して生きていくために必要な専門の知識、技能を勉強すると同時に、そのために必要な新たな教養教育の考え方というものがあり得る、あるべきではないかなと思っています。つまり、今の教養教育の考え方で見て、おまえんち、やってねえじゃねえかという話ではなく、新たな考え方が必要ではないか。
 それからハードのことなんですけど、4ページの方に、左側の方にも関係施設との利用協定等を活用することの可能性について検討とありますのは大変ありがたい御指摘だなと思っています。いずれにしても地方には、例えば私どもは27万の宮崎市が合併して40万になって、周辺4町合併したわけですけど、それぞれの町には御立派な文化ホールがあり、御立派な体育館があるわけですね。いくらでもまた施設がありますから、やはり地域における公共のそのようなものをきちんと使わせていただく形が可能になるということによって、新たにグラウンドを買えとか、体育館を造れとか、そういう話にならない方がいいのではないかというふうに思ったりしておるところでございます。
 以上です。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 資料6についてまだ説明が残っていますので、その説明をしていただいた後にまた議論を続けたいと思います。では、資料6についてお願いします。
【神山教育改革推進室長】  資料6でございますけれども、大学への編入学と大学院の接続についてまとめた資料でございまして、短期大学、高等専門学校、専修学校の専門課程から、今、大学への編入学はどのようになっているか、それから大学院への接続がどうなっているかというのをまとめたものでございます。
 それぞれ、短期大学、高等専門学校からの大学への編入学は可能となっておりますし、専門学校からも一定の要件を満たすところからは編入学可能となっております。
 また、大学院への接続に関しましては、短期大学と高等専門学校については、修業年限が2年又は3年でございますので、専攻科に行って一定の学習を行って、学位授与機構から認定を受ける、あるいは大学に編入学するという形で学士を取得して、大学院に接続するという形になってございます。
 専門学校の方につきましては、その下のところに書いていますが、4年であるといった一定の要件を満たす、又は大学に編入学をして卒業するという形で大学院への入学資格が認められるということになってございます。
 以上です。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 これで新しい高等教育機関の位置付けの方を議論の中心にしたいと思いますが、今の説明は社会人を含む学生への対応ですね。そういうニーズの対応、学生から見た、新しい学校種に行きたいと思う子供たち、あるいは社会人がどういう学校を望んでいるのかという観点からも議論していただくということですので、併せて御議論頂きたいと思います。はい、どうぞ。
【池田委員】  結論から言うと、1条校に是非御検討頂きたいということなんです。私は、まち・ひと・しごとの創生有識者委員をやっていまして、今、日本の課題が、皆さん御存じのとおり、地方が消滅する可能性が非常に高い。その中で今回どうするかという視点がある。
 そういう意味で、寺田先生とか前田先生は大変前向きな御発言を頂いて、実は地方が、川越さんもそうなんですけど、国立大学はありますけど、私立大学がばらばら。今、文科省の方でも首都圏の定員に対して1.3倍ぐらい入れている。それを1.1にして、それ以上入れない。そうすると、どこに吸収するんだろう。どこに吸収というと変な言い方ですけど。地方活性化するためには、若者を中心に、いわゆる地方を創生していく、そういう意味での雇用の場を作っていくという産業界とかベンチャーとかいろんなことをやる。今、物すごい勢いでやろうと政府がしているわけですね。
 この改革は、日本の国をどうするかという視点から考えますと、地方において、私、今、新しい大学を一つ作ろうと思っているんですが、やっぱり70億、80億掛かるんですね。こんなのは、今、財政的には公共機関も民間もほとんどできないという中で、専門学校に関して、それなりにやって、ある程度の一定基準をしたところを地方に認め、また新しく創設するということが、多分そういう人たちを十分雇用できる。これは地方において、いろんな意味でメディアとか専門学校と大学の扱い方は極端に違います。
 そういう意味で、じゃ、人それぞれ見たら全然変わらない。若しくは専門学校に行っていた人が人間的にも立派だし、リーダーも取れる可能性がある。それはみずから学んでいるということがあるんですね。それをもっと合理的に高等教育機関がやるという意味で、今、日本は極端に中央集権が進んでいるということを考えた場合に、地方でいわゆる高等教育機関、1条校を作る、学士を出す、この体制を整えないと、国家としては、職場を作るということと人材育成、いわゆる私立大学を強化しようという答申は出ているんですけれども、はっと地方を見渡しますと、非常に偏りがあるんですね。
 国立大学はありますけど、どちらかというと文系をできるだけ縮小しながら、じゃ、受け皿の私学がいろんな分野にあるかというと、ないんですね。ましてや職業的にはない。専門学校の9割ぐらいの卒業生が、地方にある卒業生が地方に就職して、その人たちを適切に扱わなくていいんだろうか。それを第3の学校種で改めて検討しろ、今、そんな時代じゃないんじゃないか。今、日本においてどう救っていくかという意味で、人材を確保するという視点が必要だ。
 そういう意味では、留学生においても、十五、六万人を30万にするという国家目標になっているんですけど、じゃ、どこが受けていくんだろうというようなこと、それもいわゆる学士、それなりにきちっとした認定された学士の教育機関を整備するということじゃないと、日本の将来的な視点も含めて、それは日本人も、例えばベトナムでカンボジア人が5万人いる。日本は5,000人いる。いわゆるベトナムに働いていれば、それは要するにビザの問題とか、いろんな課題があるんです、これは。それはなかなか専門学校卒は取りにくいとか、学士、韓国はそういう意味では物すごい出している。そういう意味での物すごい外国に行くというプロトコルをうまく考えておられる。それは国のためにも必要じゃないか。もちろんベースは学生のため。
 あとは、国家の目標からいくと、地方の活性化で、中央にいる若者たち、それから職業人を地方に戻す、そういう意味での再教育のプロトコルとか、専門学校、1条校にして専門大学として行った人たちもいわゆる認定をしながら、地方でイノベーションを起こす、ベンチャーを起こす、そういう人材に職業的にはしないと、そういう意味で、永里さんも言ったように、とにかく今、大学をこの枠組に入れちゃいますと、大学とか大学院、専門職大学院も物すごい課題を抱えているのに、そこの中にこれを放り込むと、その課題に巻き込まれてぐちゃぐちゃになって、議論だけして終わってしまう。私は、新種の大学、要するに新種の新しいものを作って、そこをきれいにすっきりして進んでいくべき、そこのプロトコルだけはきちっとやっていただきたい、そんな意見です。
【黒田座長】  ありがとうございました。鈴木委員、どうぞ。
【鈴木委員】  意見というよりは質問なんですけれども、まず一つ、今、大学は4年制で、短期大学は2年制若しくは3年制になっているんですけれども、新しい大学体系の中に例えば専門大学というようなものを入れるのであれば、修業年限によって、例えば専門大学若しくは専門短期大学というような形で振り分けていくというようなことをお考えなのかどうかお伺いしたいことが一点です。
 もう一点ですけれども、大学体系の中に位置付ける場合、先ほどから伺っていると、やはり設置基準をある意味で緩和したような形の大学、若しくは短期大学というようなイメージがあるんですけれども、現在の大学設置基準若しくは短期大学の設置基準をある程度柔軟にしていって、その中に組み込むというような考え方は一切ないものなんでしょうか。もしお考えがあれば、お聞かせいただきたいというふうに思っています。
【黒田座長】  今の質問、お答えできますか。
【神山教育改革推進室長】  最初の件につきましては、これからどういった形にするのか、修業年限も含めて検討ということになると思いますが、仮に2年、3年あるいは4年も含むということになった場合には、やり方の一つとしては、先ほどおっしゃったような短期大学型のものと4年制型のものとが両方あるみたいな形もあり得ると思いますし、それ以外のものもあるかということについては今後検討を頂くということかと思っております。
 もう一つの点につきましても、今後大学の方の改革の状況等を踏まえながら、あるいはここでの議論を踏まえながら、広く検討していくということかと思っておりますが、この有識者会議については実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関を制度化する場合にどういう形があり得るかということを御議論頂くということでスタートしておりますので、その視点から御意見を頂いて、結果としてそういったことが必要なのではないかということが、有識者の御意見の中で出てくるということはあり得ることかと思ってございます。
【鈴木委員】  ありがとうございます。
【黒田座長】  それでは、青山委員。
【青山委員】  ありがとうございます。私は商工会議所という経済団体から来ておりますけれども、団体を構成しているのは、大企業もおりますし、中小もおりますし、中堅もございます。以前の会議で、商工会議所が教育、特に職業教育については非常に関心が高くなっていることは御報告申し上げたとおりです。そういうことを踏まえて、もう少し、別な視点から意見を述べさせていただければと思います。
 この高等教育機関の新たな設置というのは恐らく、先ほどどなたかおっしゃっておられましたけれども、大きな転機ではないか、契機ではないかというふうに思います。教育は100年の計と言われておりますとおり、これからの国づくりをどうしていくかというようなことのよい機会ではないかと思います。これからの日本を考える場合、先ほど池田委員がおっしゃられたように、人口減少が急激に進んでいく。これは地方が早く到達しておりますけれども、結果的に大都市が高齢化してくるというのは、2040年、2050年になるとはっきりと出てくるわけです。人口減少社会と高齢化の社会の中で、日本はこれから国際的にどうやって生きていくか、という観点がまず重要ではないかなと思っております。
 もう一つ、消滅可能都市というのが五百二十幾つというふうに日本創生会議のレポートに出ておりますけれども、何も対策を打たなければ避けられない。今から施策を打っても、施策の効果が出るのは10年、20年後でございます。
 そういう中で、日本がこれからどうやっていくかということを考えると、ある程度、日本が得意とする分野、産業的には製造業であると思います。それからもう一つは、農林水産業の一次産業だと思います。ということになりますと、当然ながら都市部においても地方部においても、これまで以上に職業を専門とする教育機関が是非とも必要になっていることは、恐らく異論はないところだと思っております。
 それとともに、労働力が間違いなく足りなくなると言われていますので、それでは外国人の労働者をもっと入れたらいいじゃないか、移民を入れたらいいじゃないかというような御議論もありますけれども、今の国民的な意識は、まずは日本人を労働力化すべきだろうと。そういうことが最優先で考えるべきであるというふうに思われます。
 そしていろいろな教育システムの中で、これから最も急がれる分野をどのように位置付けていくか、そういうことが求められて、こういうような高等教育機関の必要性が叫ばれてきたのではないか思っております。
 それからもう一つ重要なことは、誰のためにやるんだということです。要は、受益者は誰なんだということです。教育を受ける者、これから学ぼうとする者、社会人として再教育を受けたいと思っている者、そういう人たちが入りやすく、取り組みやすいような制度にしないといけないと思います。先ほど、分かりやすい制度が必要だという御意見がございましたけれども、是非ともそういう制度にしていく必要があるというふうに思います。
 いずれにしましても、日本のこれからの国のあり方とか産業がどうなっていくかによって、この制度の制度設計が重要になってくるのではないかなと思っています。特に地方においては、生き残りを懸けた都市が大分出てきそうでございます。これが一つの大きな契機になっていくということになれば、地方創生のためにいいことではないかなと思っています。
 以上でございます。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 時間が来たようでありますので、消化不良が多かった会議じゃないかと思いますが、あと事務局の方へ皆さんのお考えをお出しいただきたいというふうに思います。私の不手際で時間をちょっとオーバーしてしまいましたが、今日はこの辺でやめたいと思います。
 大学の体系の中に置くのか、それとも別の体系を作り上げるのか、また1条校以外の考えもあるのではないかという意見が出ておりますけれども、それはいずれにしても来年1月に入ってから本格的議論をしたいと思います。それまで出てきました議論について、事務局で取りまとめを頂いて、次回にお出しいただくということにしたいと思いますので、次回出していただきます資料の中に皆さん方の意見も入るようにできましたら、今年中に事務局の方へ御提出をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 あと、事務局からお知らせありましたらお願いします。
【神山教育改革推進室長】  ありがとうございます。先ほど御指摘ございましたように、今までの御議論、あるいはこれから頂きます御意見を踏まえまして、事務局で再度整理をして、次回お示しができるようにしたいと思ってございます。
 また、次回でございますけれども、1月13日の火曜日の15時から、場所は第4号館の1階の全省庁共用会議室108会議室で予定をしています。1月13日、火曜日の15時から4号館の108会議室で予定をしてございます。
 以上でございます。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 それでは、本日これで終了したいと思いますが、今年1年間ありがとうございました。よいお年をお迎えくださいませ。これで終了します。

―― 了 ――

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