実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する有識者会議(第1回) 議事録

1.日時

平成26年10月7日(火曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

中央合同庁舎第4号館1階 全省庁共用108会議室

3.議題

  1. 実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化について
  2. その他

4.議事録

【大谷生涯学習政策局参事官】  それでは所定の時間を少し過ぎておりますので、ただいまより実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する有識者会議(第1回)を開催させていただきます。
 皆様におかれましては、御多用の中、お集まりいただきありがとうございました。私、生涯学習政策局担当の参事官をしております大谷と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 今日座長が決まるまで、私の方で進行をさせていただきたく存じます。
 それでは、まず開会に当たりまして、赤池文部科学大臣政務官から皆様に御挨拶をさせていただきます。
【赤池大臣政務官】  ただいま御紹介にあずかりました文部科学大臣政務官、赤池誠章でございます。
 本日御参集の委員の先生方におかれましては、平素より文部科学行政において大変御協力、そして御理解を賜りまして、改めて深く感謝を申し上げる次第でございます。
 この有識者会議というのは、先生方御承知のとおり、安倍総理、下村文科大臣にとっても大変重要な有識者会議ということに位置づけられているわけであります。安倍総理は、御承知のとおり、第一次安倍内閣で平成18年、教育基本法を改正いたしました。その教育基本法の改正の中にも、新たに「職業」ということが盛り込まれたわけであります。そして第二次安倍内閣がスタートした中でも、その「職業」という教育の目標をどう具体的にするかということで、総理は早いうちから、子供たちの夢や未来を実現するためには多様で柔軟な複線型の学制というものが大変重要ではないかという問題意識を持たれていたところであります。
 そんな中で、教育再生実行会議が組織をされまして、第一次はいじめ事件をきっかけとした問題でありましたが、7月の第五次提言におきまして、学制改革、学制の見直しの中に実践的な職業教育を実現するための高等教育機関を制度化するという提案がなされたところでございます。今後、その提案を受けまして、具体的な制度設計を行っていくために、今日先生方に御参集を頂いたところでございます。それぞれの学校の具体的な取組や、また専門的なお立場からの発言、各分野からの代表として委員の先生方には御参集を頂いております。今後、具体的な制度設計に当たっての様々な見識や実例を踏まえる中で、この有識者の会議の中で様々な御示唆を賜れればというふうに考えている次第でございます。是非御協力のほど心よりお願い申し上げまして、冒頭の挨拶とさせていただきたいと思います。
 今日はお疲れさまです。ありがとうございました。(拍手)
【大谷生涯学習政策局参事官】  続きまして、本会議に御協力を頂きます委員の方々を御紹介させていただきます。お手元の資料1の2ページ目に委員名簿がございますので、そちらを御覧いただきたく存じます。
 席順に御紹介をさせていただきます。まず、日本商工会議所理事・事務局長の青山様ですが、本日遅れていらっしゃるとのことでございます。
 次に、九州情報大学長、山口短期大学長の麻生隆史委員です。
【麻生委員】  麻生でございます。よろしく願いします。
【大谷生涯学習政策局参事官】  NSGグループ代表、公益社団法人日本ニュービジネス協議会連合会会長の池田弘委員です。
【池田委員】  池田です。どうぞよろしくお願いします。
【大谷生涯学習政策局参事官】  独立行政法人国立高等専門学校機構理事、仙台高等専門学校長の内田龍男委員です。
【内田委員】  内田でございます。よろしくお願いいたします。
【大谷生涯学習政策局参事官】  学校法人中央情報学園理事長の岡本比呂志委員です。
【岡本委員】  岡本でございます。よろしくお願いいたします。
【大谷生涯学習政策局参事官】  筑波大学大学研究センター教授の金子元久委員です。
【金子委員】  金子でございます。
【大谷生涯学習政策局参事官】  学校法人宮崎総合学院理事長の川越宏樹委員です。
【川越委員】  川越でございます。よろしくお願いいたします。
【大谷生涯学習政策局参事官】  山形県立米沢短期大学長、山形県立米沢栄養大学長の鈴木道子委員です。
【鈴木委員】  鈴木でございます。よろしくお願いいたします。
【大谷生涯学習政策局参事官】  金沢工業大学学園長・総長の黒田壽二委員です。
【黒田委員】  黒田でございます。よろしくお願いします。
【大谷生涯学習政策局参事官】  青山学院大学学長の仙波憲一委員です。
【仙波委員】  仙波でございます。よろしくお願いします。
【大谷生涯学習政策局参事官】  名古屋大学大学院教育発達科学研究科教授の寺田盛紀委員です。
【寺田委員】  寺田でございます。よろしくお願いします。
【大谷生涯学習政策局参事官】  株式会社旭リサーチセンター相談役の永里善彦委員です。
【永里委員】  永里でございます。よろしくお願いします。
【大谷生涯学習政策局参事官】  順天中学校・高等学校長の長塚篤夫委員です。
【長塚委員】  よろしくお願いいたします。
【大谷生涯学習政策局参事官】  岐阜女子大学文化創造学部・大学院教授の服部晃委員です。
【服部委員】  服部でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【大谷生涯学習政策局参事官】  また、本日御欠席でございますけれども、本会議には筑波大学副学長・理事の清水一彦委員、株式会社経営共創基盤代表取締役CEOの冨山和彦委員、慶應義塾大学商学部教授の樋口美雄委員、千葉大学普遍教育センター教授の前田早苗委員にも御協力を頂くこととなっております。
 また、本日御欠席になりました冨山委員から提出資料がございます。資料の4を御覧いただければと存じます。
 続きまして、文部科学省からの出席者を御紹介いたします。
 まず、文部科学審議官の前川です。
【前川文部科学審議官】  前川でございます。よろしくお願いいたします。
【大谷生涯学習政策局参事官】  生涯学習政策局長の河村でございます。
【河村生涯局長】  河村でございます。よろしくお願いいたします。
【大谷生涯学習政策局参事官】  高等教育局長の吉田でございます。
【吉田高等局長】  吉田でございます。よろしくお願いいたします。
【大谷生涯学習政策局参事官】  私学部長の藤原でございます。
【藤原私学部長】  藤原でございます。よろしくお願いいたします。
【大谷生涯学習政策局参事官】  高等教育企画課長の森でございます。
【森高等教育企画課長】  よろしくお願いいたします。
【大谷生涯学習政策局参事官】  私学行政課長の永山でございます。
【永山私学行政課長】  永山でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【大谷生涯学習政策局参事官】  生涯学習総括官の藤野でございます。
【藤野生涯学習総括官】  藤野でございます。よろしくお願いいたします。
【大谷生涯学習政策局参事官】  生涯学習推進課長の佐藤でございます。
【佐藤生涯学習推進課長】  よろしくお願いいたします。
【大谷生涯学習政策局参事官】  教育改革推進室長の神山でございます。
【神山教育改革推進室長】  神山でございます。よろしくお願いいたします。
【大谷生涯学習政策局参事官】  それでは、まず資料につきまして確認をさせていただきたいと存じます。お手元にございます議事次第にございますとおり、本日、資料1から資料4及び参考資料1から参考資料4までがございます。御確認を頂きまして、もし不足している資料がございましたら、事務局の方までお申し付けいただければと存じます。
 それでは、本会議の議事進行及び議論の整理を行うに当たりまして、まことに僣越ではございますけれども、事務局といたしましては、座長を黒田委員にお願いをしたいと存じますが、いかがでございましょうか。
(拍手)
【大谷生涯学習政策局参事官】  御賛同いただきましたので、それでは恐れ入りますが、黒田座長におかれましては座長席の方に御移動をいただければと存じます。
(黒田委員、座長席へ移動)
【大谷生涯学習政策局参事官】  それでは、以後の進行につきましては、座長にお願いをいたしたく存じます。
 黒田座長、恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。
【黒田座長】  図らずも、私、座長という御指名を頂きましたので務めさせていただきます。この職業教育については随分前から文科省で検討されているわけでありますが、今回、教育再生実行会議から第五次の提言がなされたということで、職業教育の新しい高等教育機関をどうするか。もとより、日本の教育というのは単線型であったわけでありますが、それを複線型にして、アカデミックな分野と職業教育のプロフェッショナルをどう育てるかということにあるわけでありますが、その辺のことについて、今後、皆さんとともに議論をしたいと思います。
 もとより、座長というのは、皆さんの意見をいかに吸い上げて文科省にお伝えするかというのが仕事でありますので、どうぞその辺よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、座らせていただいて、進行いたします。
 私が今座長に推薦されたわけでありますが、私自身がこの会に出られないこともあるかもしれません。そのときに副座長を決めておく必要があるということでありますので、私の方から御指名をさせていただきたいというふうに思います。お一人は寺田委員にお願いをしたいと思います。もう一人は、産業界の方から永里委員にお願いをしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
( 拍  手 )
【黒田座長】  どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、会議の公開でありますけれども、この公開というのは、国の機関は全て会議公開ということになっていますが、資料2を見ていただくと分かると思います。資料2を御覧ください。一般的に公開ということでありますけれども、会議の性格上、非公開として行うべきであるということが決まった場合は、本会議は非公開として決定をさせていただくということになろうかと思います。また、この会議資料、議事録につきましても、公開については、これは原則的に公開でありますが、議事録、議事要旨等は公開をさせていただきます。また、非公開の場合は公開しないということになると思いますが、それでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【黒田座長】  それでは、この一般法則に基づいて本会議も進めさせていただきます。
 本日は公開ということにさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【黒田座長】  それでは、以後の会議は公開ということにさせていただきます。どうぞ傍聴者なりいらっしゃいましたら、お入りください。
(傍聴者入室)
【黒田座長】  それでは、議事に沿って進行を進めますけれども、まず資料の説明を事務局からお願いしたいと思いますが、今日は実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化について、委員の皆さんから自由討議をするということにしたいと思います。
 そこで、まず資料3の「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関について審議に際しての視点の例」というのがございます。それから参考資料等がありますので、事務局からこれらについて御説明をお願いいたします。
【神山教育改革推進室長】  それでは、失礼します。
 資料につきまして御説明をさせていただきたいと思います。お手元の資料3「実践的な職業教育を行う新たな高等教育について審議に際しての視点の例」を御覧いただきたいと思います。
 本日は、今座長からお話がありましたように、フリーディスカッションをしていただくということでございますので、御意見を頂く際の参考としてこれを御用意してございます。その意味で、本日、この一つ一つの項目を議論するというものではありませんけれども、こうした視点からの御意見を頂ければ、今後の議論を進める際の足掛かりになると思われる項目を例示したものでございます。
 一番目が既存の学校種における職業教育の実態や課題等を踏まえ、新たな高等教育機関においてどのような職業人を養成すべきと考えるか。主に想定される職業分野や職種などはどんなものがあるかといった点でございます。
 二つ目が、実践的な職業教育を行う高等教育機関として魅力あるものとするにはどのような特色を持ったものとすべきかということで、教育内容ですとか演習型の授業、インターンシップといった授業の方法、また教員に求める要件ですとか教員の組織など、その中では実務卓越性や教員の数などもあるかと思いますが、そのほか、施設・設備などの点がこういったところに入るのではなかろうかと思っております。
 三つ目が、実践的な職業教育を重視する上で産業界の協働をどう確保すべきかということで、例えば教育課程(教育カリキュラム)編成に企業などの学外者が参画いただく、あるいは企業等から実務家教員の積極的な登用をしていく、また、第三者評価等への産業界の関与をしていただくといった点が考えられるのではないかと思います。
 また、四つ目といたしまして、修了者の社会的・国際的な評価や、円滑な就職・進学等を確保するにはどうすべきかということで、修業年限や卒業要件、また学位や称号の付与をどうするか、あるいは大学への編入学、大学院への接続、そして第三者評価など質保証の在り方などがこういったところに入り得るのではなかろうかと考えております。
 五つ目は、社会人の学び直しのニーズに対応し得る仕組みとするにはどうすべきかということを上げておりまして、こうした五つの視点を今後の議論の視点の例として挙げさせていただいてございます。
 以上が資料3でございます。
 資料4は、冨山委員からの提出資料ですので、私から御説明はいたしませんが、参考資料1から4までございますので、そちらについて簡単に御説明をさせていただきたいと存じます。
 参考資料1は、教育再生実行会議の「今後の学制等の在り方について(第五次提言)」の抜粋をしたものでございます。赤池大臣政務官の御挨拶にもありましたように、今回の議論の契機として、この教育再生実行会議での第五次提言がございましたので、御紹介をさせていただきます。
 (3)というところにございますように、実践的な職業教育を行う高等教育機関を制度化するということが提言をされています。その前提となる議論といたしまして、下線が引いてあるところですけれども、高等教育機関では、社会的需要に応じた質の高い職業人の養成が望まれる、としながらも、既存の学校種、例えば大学や短期大学では学術研究を基にした教育を基本とし、企業等と連携した実践的な職業教育を行うことに特化した仕組みにはなっていないということ、あるいは高等専門学校は、中学校卒業後からの5年一貫教育が特色でございますので、高等学校卒業段階の若者や社会人に対する職業教育には十分対応していない、あるいは専門学校につきましては、教育の質が制度上担保されていないこともあり、必ずしも適切な社会評価を得られていない、こういった既存の学校種の課題といったものも指摘をした上で、こうした課題を踏まえて、質の高い実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化が求められるということが提言されています。
 また、箱囲みの中の下のところにございますように、ニーズといたしまして、社会・経済の変化に伴う人材需要に即応した質の高い職業人育成といったことですとか、専門高校の卒業者の進学機会を拡大していく、あるいは社会人の学び直しなどの機会を拡大していくといったことが挙げられています。新たな高等教育機関を制度化することにより、学校教育においての多様なキャリア形成を図ることができるようにして、高等教育における職業教育の体系を確立する。また、具体化に当たっては、社会人の学び直しの需要ですとか産業界の人材需要、所要の財源の確保などを勘案して検討するといった留意事項なども指摘されておりますので、御紹介をさせていただきます。
 次に、参考資料2でございますけれども、こちらは一番上に書いておりますように、今の教育再生実行会議の提言を議論していた際に、教育再生実行会議の方で使用していた資料でございます。ここでは、上に学校体系の図があるほか、下半分では学校教育法に書かれている目的規定が挙げられておりますので、御参照いただければと思います。
 1枚ページをめくっていただきますと、各学校種ごとの卒業者の産業別の就職者数の資料がございます。
 また、その下には、専門高校、高等専門学校、専門学校の生徒数の分野別の割合を円グラフで示してございます。
 一番下では、専門学校で平成26年度から実施をしています職業実践専門課程、これは職業に必要な実践的かつ専門的な能力を育成することを目的として教育を行っているものを、下の要件を満たすものについて文部科学大臣が認定をするという仕組みでございまして、平成26年度から470校で実施をされているものの紹介がございます。
 以上が教育再生実行会議で資料として示されておりましたものですので、御参照いただければと思います。
 続きまして、参考資料3は、中央教育審議会の平成23年1月に出されました「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について(答申)」の抜粋でございます。いわゆるキャリア答申というふうに呼ばれているものの抜粋でございます。
 ここで職業実践的な教育に特化した仕組みについての部分を抜粋しているわけですけれども、3ページを御覧いただきますと、3ページの丸3、中ほどのところで、職業実践的な教育に特化した枠組みの整備、となってございます。3行目のあたりから、高等教育における職業教育を充実させるための方策の一つとして、職業実践的な教育のための新たな枠組みを整備することが考えられる。具体的には、卓越した又は熟達した実務経験を主な基盤として実践的な知識・技術等を教授するための教員資格、教員組織、教育内容、教育方法等や、その質を担保する仕組みを具備した、新たな枠組みを制度化し、その振興を図ることであるということで、その次の丸にございますように、こうしたものを職業実践的な教育に特化した枠組み、特に「新たな枠組み」というふうにキャリア答申のときには呼ばれてございました。
 この新たな枠組みにつきまして、(2)のところで四つの観点というのが挙がっております。具体的には次のページ、丸1とありますが、経済成長を支える「人づくり」への対応ですとか、その次のページになりますが、丸2、生涯にわたる学習活動と職業生活の両立、また丸3として、教育の質の保証、そしてまたページが変わりますが、進路選択の拡大と職業実践的な教育の適切な評価といった四つの観点が示されてございます。
 さらに、そのページの下の方、(3)というところで、職業実践的な教育に特化した枠組みの構想ということで、答申までの段階で検討してきた構想の概略というものも示されておりまして、7ページから目的と特徴ですとか、入学資格・修業年限、そして教育課程、授業方法、修了認定方法・卒業要件、ページが変わりまして、称号等、他の高等教育機関等との接続の話、6番目に教員資格、教員の組織等、7番目に自己点検・評価、第三者評価、そして最後に名称、設置者ということにつきまして、当時の検討された内容が項目ごとにまとめられております。今後の議論の際の参考になるものと思いますので、御紹介を申し上げました。
 続きまして、参考資料4でございますが、こちらは基礎資料ということで、様々なデータをまとめたものになっています。
 1枚めくっていただきますと目次がございます。時間の関係もありますので、目次をざっと御説明をさせていただくと、最初の大きな固まりが教育再生実行会議の議論の際に基礎資料として提出をさせていただいたものを一部更新したものになっておりまして、高等教育機関への進学率ですとか、各学校種の学生数や学校数といったものの資料を入れています。
 また、16ページには、先ほど御紹介をした職業実践専門課程の文部科学大臣認定についての資料を入れておりますし、17ページには、諸外国の職業教育について簡単にまとめたものを入れておりますので、御参照いただければと思います。
 また、その次、20ページ以降につきましては、先ほどのキャリア答申を出した際の資料ということで、各学校分野ごとに関連する資格の例を挙げた資料ですとか、26ページからは、主な資格の取得要件ですとか資格の学校種別の養成施設の数などについて、円グラフにしたものもありますので、資格との関係などを参照したいというときには、こちらの26ページからの資料などを御参照いただければと思います。
 ただ、この大きな2番の資料につきましては、更新作業が十分間に合っておりません。これから随時更新をしていこうと思っておりますので、議論の参考にしていただければと思います。
 そのほか、その後ろでは、25歳以上の入学者の割合の資料、いわゆる社会人入学の割合の資料ですとか、諸外国の学校系統図なども入れておりますので、適宜御参照いただければと考えております。
 私の方からは以上でございます。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 それでは、皆さんからの御意見をお聞きしたいと思いますが、本日は、今から1時間20分ぐらい議論する時間がありますので、各委員5分程度、全員から御発言を頂きたいと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。どなたからでも発言をお願いします。
 特段なければ、順番にいきましょうか。それでは、麻生委員からお願いします。
【麻生委員】  私自身は、日本私立短期大学協会に加盟しておりまして、そちらで短期の高等教育機関に携わっているものでございます。
 まず、短期大学という教育機関に関して簡単に説明しますと、短期大学は学校教育法第1条の大学なのですが、第108条におきまして、簡単に申しますと、職業又は実際生活に必要な能力を育成するということが目的とされております。修業年限は2年若しくは3年、これを短期大学と称するということで、現在三百数十校の短期大学がございますが、残念ながら、国立短期大学はもうなくなってしまっております。大多数が私立の短期大学でございます。
 歴史を顧みますと、戦後の新しい学校制度のもとで短期大学が発足いたしましたが、昭和39年に恒常化されまして、設置基準が作られました。最初は男子学生も多かったのですけども、特に女子教育に関しましては、今日に至るまで、2年若しくは3年という限られた時間の中で、今言われています女子の社会進出や職業に就くという意味では、それなりの役割を果たしてまいりました。僣越ですけれども、そのような自負があるということをまず御理解いただきたいと思います。
 実際に、分野別で言いますと、教育系です。特に保育士や幼稚園教諭を目指す学生が大変多うございまして、その他、家政系、保健系等があります。具体的な資格取得若しくは免許は、幼稚園教諭、栄養士、調理師、看護師、歯科衛生士、理学療法士、介護福祉士等の専門職に学生は就職したいという目的で動いているところがございます。昨今、短期大学の数が減っておりまして、志願者も減っておりますが、本来の短期大学の設置の趣旨からいいますと、4年制大学でも職業教育はやっておりますが、短期大学では目的の中に明確に職業教育ということが定められております。
 我々がいつも考えることは、短期大学はどちらかというと中小なところが多く、また地方の地域密着型の短期大学が多いです。その中で、地域から入ってきて、地域で卒業して就職するという視点では、今までその役割を果たしてきておりましたし、今後も果たしていこうと考えております。
 今回の教育再生実行会議の中で示されていることに関しまして、どのように我々として考えていくかということでございますが、一番、我々としては、もともと大学設置基準が基で作られていますので、制度上は大学とほぼ一緒であり、2年若しくは3年の修業
年限、目的が若干違うことです。それからもう一つ申し上げますと、大学と同じではないのですが、学位授与機関であること。それは、学位授与機関として短期大学士の学位を短期大学卒業と同時に授与しております。4年制大学は学士の学位でございます。それ以上は御存じのとおりです。
 この学位授与機関であるがために、どうしても教員の資格審査は、大学とほぼ同等の審査を行いますので、ある意味では、研究業績、教育業績等を審査し、教授なり准教授、講師は置くことができる、助教というような制度になっております。どちらかというと、実務家教員に向いていない方が教員として多くいらっしゃるということになっております。しかしながら、小さな短期大学はそれを乗り越えて、なるべく実務教育に関して研鑽を深めようという努力を日々しております。そういった意味では短期大学若しくは4年制大学も含めて同じですが、特に短期の高等教育機関においては、そのような努力を積み重ね学位を授与しております。
 このような中で、新しい高等教育機関を議論するということであるならば、我々短期大学が戦後ずっと培われてきたものがどのようになるということが、私が一番興味を持つところでございます。専修学校専門課程が、職業実践専門課程として四百数十校認められているということも存じ上げております。我々は大学設置基準にほぼ同じ設置基準を適用されておりますので、利便の良い駅前に大きな運動場や校地を持つことはできないというハンディキャップがございます。その代わり、教育におきましては、昔から言う一般教育とか基礎教養科目というものを特に重視しております。これについては職業教育にとって大変重要な部分であり、場合によっては専門教育というよりも人間力とか人間教育に力を入れているということでございまして、この短期大学の制度がだんだん減っており、志願者も減っているというところは我々にも責任があると思いますが、これを是非魅力あるものにしていく、若しくは新しい学校種として議論するならば、このような制度も理解できます。
 それから、もう一つ最後につけ加えさせていただきますと、短期大学は大学と同様に7年に1回、文部科学大臣の認定した第三者による認証評価を受けて、当然、自己点検、自己評価を行い、評価機関による評価を受けております。いわば教育の質の保証が担保されています。これは教育の質の保証と申しましたが、実はその中には職業教育の質の保証も含まれていると考えております。
 このような見地から、是非とも短期大学の立場を最初の会議で御理解を頂き、私の発言とさせていただきます。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 それでは、続いて池田委員。
【池田委員】  池田でございます。私、ニュービジネス協議会連合会の会長、また、起業人の立場で主に発言せよと。またあわせて、この後に、まち・ひと・しごと創生会議の有識者委員なので、それの視点はどういう視点か、地方に若者を、また、東京の大企業若しくは官庁から人材を地方に派遣し、地方の活性化を図る提言をしなさいと、そういう意味で積極的に物事にチャレンジする人材を創るということがベースで、これから積極的に発言していこうと思っています。
 私自身、簡単に紹介させていただきますと、新潟において教育とか医療とか福祉の分野で25種類の専門学校を立ち上げてまいりました。いろいろ試行錯誤しながら、日本でトップレベルの、そういう意味で、その分野別では実績を残してきていると思います。そういう意味では、川越さんなんかも御一緒に研究活動している仲間でございます。
 そういう中で、今、アベノミクスの中の最後の砦であります、地方がこのまま衰退していったら日本は大きく衰退する、中期的に、長期的に大変なことになるということを、私は地方に住む者として実感しております。その中で専門学校、今短大のお話もありましたけれども、4年制大学は残念ながら大変地方の大学は割れて、専門学校が生き生きとしている学校も幾つかございます。その中で、専門学校を卒業した学生の8割、9割が地方に就職をする。その受皿の就職口の企業が残念ながらいろんな分野で少なすぎる、そういう意味では、既存の企業さんが頑張って雇用を増やすということもあるんですけど、なかなかこれだけの時代の変化の中で、新しい職業人が求められている。そういう中での人材育成、新しい企業が地域になかなかできないということ、それが基で地方の大学若しくは専門学校の中でも、どうして中央に行かざるを得なくて、ある面で就職難民になってしまう。東京の大学は出たんだけど、地方に帰る先がない。本来は、今回の創生会議でも、40%の人たちが地方に帰っている。できれば生き生き働きたい、過ごしたいと思っているにもかかわらずないんだと、ここが大きなポイントなものですから、私はそういうことをやりながら、それをベースにしながら、今一番力を入れているのがベンチャー育成、いわゆる新しい起業、それに対応するいろんな分野、いろんな事業をやっていますので、企業を作ってUターン、Iターンの人材を新潟に呼び込みまして、今雇用としては1万人を超える雇用を作ってきましたが、その中の6割、7割が私どものグループを中心とした専門学校卒でございます。そういう意味では、そこでリーダーになっています。社長になっていたり、そういう大きな活躍をしたりしていますので、やり方次第では人材は作れるというふうに思っています。そんなことの経験の基で今やっているところでございます。
 その中で、一つは国際化ということで、外国の留学生も相当受けています。そのときに、なぜ日本に来るか。もちろん日本語というのが一つ、日本が国際的に、ASEANを含めて国際的に活躍しているので日本語をベースに勉強したいということがもちろんあります。残念ながら、今でさえ、アメリカとかヨーロッパの国家試験に準ずる試験が、いろんな認定がございます。日本がいつの間にか、十数年前から国家試験をやると官僚の就職の場になってしまうとかというような議論があって、今ほとんど認定しないで、いわゆる一般社団とか協会認定になっています。そうすると、国際的なプロトコルの中で、残念ながら、ASEANの子供が学びに来て、介護の日本の資格を取って、日本の資格で、こんなものを持って自分は今やっているのだというプライドが持てない。もう一つが、私ども専門学校にしても、協定的にはいろいろな国でやっているらしいのですけど、大卒はどこでもいいから1年労働資格が取れる。だけど、専門学校は半年だと。それも規制があって、なかなか専門学校卒は取らない。これは外国人も含めてです。そういう意味で、グレードの高い高等教育機関、いわゆる職業教育、それをきちっと認定をして、逆に日本のブランドから、例えばASEANの中では、日本の資格を取ることに憧れるというような、非常に優秀な人材が日本に入ってくる、それが一部は日本に定住するか、また母国に帰って活躍をする。それは明確に、残念ながら、欧米の方がものすごい進んでいるということが実態でございます。ある分野では大学で取ることも可能性があるかもしれないですけど、大きな社会の変化の中で対応するという意味では、機動性があるという意味では、専門学校はIT分野だとか、いろんな新しい分野若しくは先駆的な分野は専門学校のそういう高度な機関が対応できれば一番いいなと、職業委員の立場で思っています。
 以上です。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 続いて内田さん、お願いします。
【内田委員】  高専機構の理事兼仙台高専校長の内田でございます。
 私自身は、東北大学で工学部・工学研究科にずっと勤めておりまして、その後、仙台高専の方に校長として参りまして5年目でございますので、両方の状況がある程度分かっているつもりでおります。大学の工学部あるいは高専の卒業生が戦後の50年で高度成長に大変大きく貢献してきたことは広く認められているところですが、日本の社会が今大きく変わっていく中で、この先、どういう方向にいくべきかというのは大変大きな課題でございます。その意味で、現在、高専が取り組んでおりますのも、将来に向けて本当の意味で日本に貢献できる人材育成はどうあるべきかということを熱心に議論し、改革に取り組みつつあるところでございます。
 こういう意味では、工学や科学技術がどのような位置付けになるかということも含めまして、今回の議論が大変興味あるところでございます。実はつい先頃、シンガポールに行ってまいりまして、シンガポールの教育システムの一部を見てきました。大変高度に進化しております。500万くらいの非常に少ない人口で、これから世界で生き抜くために徹底的に教育に力を入れようとしている国です。小学校を出ると統一試験を行って、全て能力に従って機械的に将来の進路が分けられていきます。中等教育を終えると再び統一試験があって、上位の10%ぐらいでしょうか、大学につながって行くコースがあるんですけれども、その次の50%ぐらいはポリテクで専門教育的なことを徹底的にやっています。非常に高度な最先端の製造装置などをそろえておりまして、世界の最先端技術を教育するという、専門教育としては非常に徹底しているような印象を受けました。その後、何割かは大学に行くことができるようですが、ただ本当に統一試験だけで将来が決まるシステムでいいのかという疑問を感じました。シンガポール自身も、これでいいのかということを模索しているように思われました。世界的競争に打ち勝つためには最先端教育を徹底的にやるということは重要な戦略だと思います。一方で、各個人としては、同じ分野で活躍し続けられればよろしいのですけれども、世の中が変わったときにどうするのだろうかということが気になりました。
職業教育として最先端技術を深く行うことも含めて、今後の高度化をどう進めるべきか模索し続けているところでございます。このような意味で、今回の委員会での議論に私自身も大変興味を持っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【黒田座長】  続いて岡本委員、お願いします。
【岡本委員】  中央情報学園の岡本と申します。埼玉と東京でITとビジネスと語学の専門学校を経営しております。開校が昭和62年4月ということでございますので、28年目ということで、学生数は両方合わせて700人ぐらいの中規模の学校ということでございます。
 私のキャリアとしては、実はその前、中高の教員も私学で9年やっておりました。学部卒業後は修士課程、博士課程も出て、一時、学者の道を目指すことがありまして、アカデミズムの方も一定の経験をしているということでございます。
 本日、フリーディスカッションということでございますので、また詳細はヒアリングのときにまとまったお話をさせていただきますが、専修学校、職業教育の現状ということで、ちょうど参考資料4で文部科学省の方からいい資料が出ておりますので、11ページをお開きいただいて、専修学校の概要について御説明したいと思います。
 専修学校は、昭和51年に各種学校の中で一定規模の水準を有する組織を専修学校にしたというわけでございます。学校教育法124条に「職業若しくは実際生活に必要な能力を育成し、又は教養の向上を図る」、これが目的でございます。
 当初は、各種学校からの昇格ということで1年課程が多かったんですが、現在は2年課程が多く、また3年、4年課程も多くなっておりまして、産業構造の高度化に連動して修業年限も高度化しているわけでございます。
 課程は三つございますけれども、高等教育機関ということでは、高卒以上の入学資格を持つ専修学校専門課程、いわゆる専門学校ということでございます。専修学校制度の振興の中で、平成6年の専門士、そして平成17年の高度専門士、これを付与していただくことができまして、これによって専門士は短大と同格で大学編入学もできます。高度専門士は大学の4年制の学部と同格、卒業後は大学院の入学資格も付与されるということになりました。他方で、いわゆる学校教育法の1条校との格差というのが非常に財政面、その他もろもろの面で、ある種、差別的なこと、あるいは国民の意識の中で、ともかく大学に行けばいいんだということで職業教育あるいは専門学校進学者には非常に冷たいといいますか、そういう状況がありました。しかし、制度的にこういうことが積み重なって、そしてまた、重要なのは、平成18年の教育基本法の改正、ここで60年ぶりに改正されまして、初めてその中で職業という言葉が明記された。職業の大切さが明記された。そして、それを受けて、平成23年、2年で30回という中教審のキャリア教育・職業教育部会が開かれ、そして23年1月に中教審のキャリア教育・職業教育答申が出されたと。その中で、さっき文科省からも説明がありましたとおり、職業実践的な教育のための新たな枠組みの整備というのが提言されました。しかし、新しい学校種を作るということはそう簡単な話ではございません。高等教育全体のグランドデザインに関わる話でございます。
 まずはどこからできるかということで、先導的試行ということで、職業実践専門課程ができました。これは参考資料4の16ページです。これも非常に大事な制度化でございますので、ちょっと申し上げますと、先ほど申し上げました23年1月の中教審答申を受けまして、その先導的試行として職業実践専門課程として産学連携、あるいは学校関係者評価、あるいは情報の公開等々で一定水準以上のレベルの高い教育課程を文部科学大臣が認定する、こういう制度を作っていただきまして、今年の3月31日に大臣の認定が官報で告示されまして、4月から認定学科がスタートし、全国で470校、1,365学科が認定をされております。8月29日現在です。これは全国の専修学校の約17%に相当するものでございまして、2年目、3年目も是非これを目指そうということで、専修学校は非常に幅広い分野でございますけど、非常に幅広い分野の専門学校が質の高い専修学校を目指しております。公的助成等々がない中で、財務情報の公開も含めて学校関係者評価を行い情報公開するということは、専修学校としても大変なコストといいますか、エネルギーが必要だと、勇気がいる話だったわけですけども、全国の専修学校が頑張っているということでございます。
 そして、新たな高等機関への創設ということで、第五次提言が出されました。ここでも触れられているように、まだまだ公的助成もない、制度上も担保されていない中で、必ずしも社会的評価が得られない、こういう現状もございます。一方で、産業界からも、非常にいい人材をたくさん送ってくれている、産業界の変化に合わせて専修学校は極めて重要な人材を送っているという高い評価も頂いております。是非この有識者会議におきまして、中教審と教育再生実行会議の第五次提言を受けて、新しい学校、高等教育機関の方向性が委員の先生方、あるいは文部科学省の御助言も頂いて、是非そういういい制度設計の方向が出るように、私も微力ではございますが、頑張ってまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【黒田座長】  ありがとうございます。
 それでは、金子委員、お願いします。
【金子委員】  私は学者でありまして、教育学者ですので、今のお話を聞いて、実践的にはいろんな方が大変努力なさっていることは分かりましたけれども、全く抽象的な議論をさせていただきます。今回のこの問題は、どこの国でも歴史的に見れば、中等教育、高等教育というのは学術型の大学の流れ、それからもう一つ、職業訓練の流れ、二つどこもあるわけですね。これをどのように変えて、どのように区別をし、あるいは統合するかというのが問題なわけですけれども、大きく言って、これは二つタイプがあると思うのです。一つはアメリカ型で、アメリカ型というのは大体大学に統合しようという考え方で、コミュニティカレッジというのは職業教育機関の側面を持っているんですが、これは大学制度の一部。それから、最近は営利大学、これは大学なんですが、ほとんど職業教育機関です。大体今アメリカの大学生の2割くらいはこういうところに入っていると言われていますけども、こういう形で大学に統合していう形が一つの考え方。
 2番目は、ヨーロッパ型といいますか、これは二つ系統を作っちゃおうということで、1960年代から70年代にかけて、大学のほかに職業高等教育機関といいますか、セカンダリーといいますか、そういう流れを作っているというのがヨーロッパ型でありました。ただ、ヨーロッパ型がここ10年くらい大きく変化しまして、これはヨーロッパ統合の影響もあるんですが、再びこの二つを統合していこうという考え方に変化していると思います。
 私は今回の問題に対しまして、新しい学校制度を作る際に、大学制度と全く違った制度にするのか、あるいは新しい高等教育制度を考えて、その中である程度緩やかに大学制度に連携していくのかというのが一つの大きな判断の対象になると思います。
 アメリカ型、ヨーロッパ型、両方問題があるわけでありまして、アメリカ型の方は、営利大学と言われているところは、かなりガバナンス、質的保証の問題があって、今、現政権下でも非常に大きな問題になっていますけれども、どのような規制といいますか、質保証をどのようにしていくかということは、やっぱり問題になってくる。
 もう一方では、ヨーロッパ型の方は、新しい大学制度に統合したといっても、その中で職業系統の高等教育機関と大学とはどこに違いがあるのかというと、改めて問題になっているようであります。これは寺田先生なんかが御専門で、その前で言って失礼ですけども、先週ドイツから帰ってきまして、ドイツはFachhochschule といって、専門大学といって職業教育の系統の方の高等教育機関と普通の大学があるわけですけれども、この二つがどう違うのかについて、かなり議論があるようです。一つは、教育方法がかなり違うと。実習とか、そういったものをどのくらいやるかということが問題。それからもう一つは、私は気がつかなかったのですが、分野のすみ分けもあるようです。職業専門分野でも、化学なんかは大学でやる。しかし、機械なんていうのはかなり専門大学でやる。分野のすみ分けというのがある程度あるようです。
 ただ、もう一つ重要なのは、どこがどう違うのかというところの理念の問題もあるということで、先ほど言いましたドイツの専門大学というのは、英語で訳すとカレッジ・オブ・アプライド・サイエンシスという言葉を使っていまして、応用が理念であるということを言っていました。ただ、これはかなり微妙な問題がいろいろとあるようです。
 いずれにしましても、質的保証と内部としてのユニークさといいますか、大学とどこが違うのかという点についての検討がこれから必要になってくるのではないかなと思います。
 以上です。
【黒田座長】  川越委員、お願いします。
【川越委員】  宮崎を中心に専門学校をやっております川越でございます。
 この問題には8年前から担当させていただいておりまして、中教審の特別部会にも2年間参加をさせていただきました。そこでいろいろなことを勉強させていただいたわけでございますが、戦前、日本にはたくさん専門学校があって、私の地元の宮崎大学は高等工業が工学部になり、高等農林が農学部になり、高等師範が教育学部になりと。全部、戦後、地方国立大学に包含されて、一旦専門学校はなきものとなったと。そのことが戦後の職業教育がおろそかにされてきた元々の原因の一つではないかと思いますけど、とにかく親は大学に行かせていい会社に勤めさせたい。だから、どんどん高校は普通科が増えていって、今全国で75%普通科、25%専門高校と。東京は恐らく九〇数%普通科じゃないかと思いますが、幸い、私の地元宮崎県は今でも5対5の比率を守っていて、大変健全な形にあるのではないかと思っています。それでも専門高等学校が最近自慢するのは、うちは国立大学に推薦枠が何人あるというようなことを自慢するんですね。私、それ、全然本筋と違うのではないかといつも思って聞いておりますけれども、そのような状況の中で、こういうことを言うと少し言い過ぎかもしれませんが、七五三という言葉とか、ニート、フリーターが増えたとかということは、余りにも職業教育をおろそかにしてきた結果、職業観を持てない若者を量産してしまったと。非常に乱暴に言えば、そういうことも原因としてあるのではないかなと思います。
 しかし、片一方で、専門学校というのは、まさに生き残ったわけです。徐々に増えていって、特に51年の制度化されて以降は雨後の筍のごとく増えていきまして、今でも60万人台の学生さんたちが在学をしていただいているという状況でございます。
 8年前に担当させられたときに1条校化ということをスローガンに、みんなで一緒に1条校になろうぜというのでどんどん運動をしてきた、キャンペーンをやってきたんですが、ただ、私、この2年間の中教審の特別部会の経験で、少し違う観点で見るようになりました。それは、小中高大というふうに単純化してしまった日本の学校制度はこれでいいのか。私、宮崎市の教育委員を7年間やらせていただきました。校舎の修理屋と呼ばれている教育委員会でございまして、ほとんど虚しい仕事でございましたけれども、分かったことは、学校の先生は本当によく働いているし、変な教師がちょろっといたとしても、大半の教員は一生懸命働いている優秀な人たちで、実に日本の学校教育制度はよくできているということであります。ということは、逆に言うと、完成され過ぎていて、変わるときに非常に難しいなと。例えばインターナショナルスクールがあります。外に基本的にはあるわけですけれども、グローバル人材を日本で作ろうというときに、今、高等学校、中学校の英語の時間を増やすとか、倍にするとか、スーパーグローバルハイスクール、いろいろなことをおやりになっていて、それはそれでもちろん徐々に成功していくんだと思うんですけど、もっとダイナミックに言えば、県内の各高等学校のうち幾つかには、各1クラスにインターナショナルクラスを作って、全部英語で教育する学校を作って、そこに外国人も日本人も一緒に学ぶというぐらいのダイナミックさがないとグローバル人材を作るなんていうことは無理なんじゃないかと思うんですが、要するに申し上げたいことは、小中と終わった後に、キャリア教育というものを今本当に熱心に中学校で行われていて、成果はすごく上がっていると思います。経済同友会の副代表幹事として、ある高等学校、中学校に行って授業をしたり、子供たちと職業教育について語り合ったりするチャンスを得ているわけですけど、中学校を出る段階で、自分は専門高校から専門学校へ進んで、専門職大学院に行って、このラインの中で勉強したいという子と、小中高大と進んで、今の学校の学問研究のラインの中で大学を出ていこうという子が、きちんとに分かれていけるような複線型の学校教育制度というものを作ることが非常に重要なのではないかというふうに思い至った次第でございます。
 特別部会の中で出た課題ですが、新しい学校種は、今までの学校とどこが違うんだと。一つは、大学、短大、高専とどこが違うんだという質問は、割と答えやすい質問でありますけども、既存の専門学校とどこが違うんだと。新学校種である以上、既存の専門学校とも違うものでなければならないという、どこが違うのかという課題と、それから質の担保をどうするんだという課題と、国際通用性はどうなるんだ、この三つが一番大きいポイントでありますけども、学校の先生たちはどういう先生たちなのか、学問研究業績型の教員なのか、それとも実務実践卓越型の教員なのかというところがテーマになってきておりまして、新しい学校種を創設することで、さっき申し上げた複線型の、抜けてしまっていたジグソーパズルがぱかっとはまるというような感覚でいるわけでありますので、大学になりたいとかいうものではないだろうと、私はそういうふうに思っておりまして、この機会にまた勉強もさせていただきながら意見を申し上げていきたいと思います。よろしくお願いします。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 それでは、次、お願いします。
【鈴木委員】  山形県立米沢栄養大学、山形県立米沢女子短期大学の学長をしております鈴木と申します。
 私自身は、この4月から学長就任ということで、また米沢栄養大学に関しましては、この4月開学でございます。そういう意味で、まだ教育実践が十分でないということがございますので、その辺も含めてお話させていただきます。
 まず、個人的なことですけれども、私自身は医学部を卒業しまして、医者として病院に勤務し、その後、家庭の事情、結婚し子供を産んで、介護等もあってということで、いろいろな職業を経験してまいりました。会社にも勤めました。その後、大学にも勤めました。医学部を出て、その後、医学博士を取ってというような課程は進みましたけれども、あとはそのときの仕事の内容に応じて二つ大学を別に出ました。一つは、相談業務もありましたので心理学のことを学ぶために通信教育で大学を出、その後、大学の中で管理職になってきましたので、もう少し教育学のことが分からなければいけないということで、これも社会人入学で博士課程に入学しまして、教育学の学位を取ったという経緯がございます。
 そういう意味で、大学を出てから、最終的な学校を出てからいろいろな職業、家庭の事情等もあって職業一筋でいくとは限らない時代になってきました。しかも、非常に長く働く時間ができてきましたので、一つの学校を出て、そのままそれに一筋でいくのではなくて、途中で家庭の状況、個人の状況に合わせて入学できて学べるような、非常に柔軟な高等教育機関若しくは職業学校があるというのは、非常に私はいいことだというふうに思っております。それができれば気楽に働きながら、若しくは働くのを一旦辞めたとしても、また元に戻れるような柔軟な機関があるというのは非常にいいことだなというふうに思っております。それが総論的なことでございます。
 各論的なところで、今、私が行っているのは、山形県立米沢栄養大学ということで、管理栄養士の養成を行っております。認可を受けて始まったばかりですけども、その中で特に日々実感するというか、設置の段階でも非常に考えておりましたけれども、一番は実務家教員とアカデミック教員の問題です。本来であれば、実務家である管理栄養士を養成するんですけれども、大学の設置基準ということを考えて、教員基準を考えると、実務家よりは基礎系の教員の方が研究実績は非常に高いわけで、そちらの方が職位が高くて、課程をリードしてしまわなければならないというようなものがございます。実務家教員で、なおかつアカデミックな業績を持っている教員を確保するのは非常に難しいことです。なおかつ、実務家教員というのは非常に重要なんですけども、実務から離れて大学に入ってきたときに、実務の実績というのはどこまで生きてくるのか。業界内では賞味期限なんていう言い方をするんですけども、日々変化する実務の場から離れて教員になったときに、その実務がどこまで生きてくるのかという面があると思います。
 そういう意味で、審議に際しての視点の例というところで、特に教員に求めるところ、教員組織等のところが非常に重要なのかと思います。今ですと、実務家教員も職場を離れて専任の教員になったら、そこにまた戻るようなシステムになっていないんですね。その辺のところで、もう少し企業等と連携しながら、例えば1年でも2年でも教員になって戻れば、それがステータスになるというような、企業の中でもそれが尊重されるというような、そのようなシステム作りができると非常にいいのではないかなというふうに思っています。
 本学でまだ教育が始まったばかりですけども、本当に昨日の話ですが、山形県立の病院の栄養部門との連携協議会というのが立ち上がりました。その中で、通常4週間しか臨時実習というのは管理栄養士養成課程では定められていないのですが、完成年度まではもちろんそれでいきますけれども、その後、もう少し増やせるような、県立病院さんと連携しながら実務実習を増やせるような方向というのを今模索しているところです。4年後の完成年度に向けてそういうシステムが作れないかということです。ただ、現在のところ、うちの方は、山形県立の管理栄養士養成課程は一つだけでして、県からの全面的なバックアップがあるからこそ、できることです。それが県の中に幾つもあるところでは、実習先の確保ですら難しいというところがあります。それから、実習先の方も非常に手いっぱいで、これ以上、学生を引き受けられないというような現状があるかと思います。また、学生を引き受けたところで、引き受けた先の方でそれが何の実績にもならない、ただ労を多くしてというようなところがあるかと思います。ですから、その辺の実務実習というところを非常に充実させながら、それがある意味、一つ、業績になるような、実績になるような制度作りというのが非常に大事なのではないかなというふうに思います。
 もう一つ、分野についてのすみ分けということですが、先ほど麻生委員の方からもお話が出ましたが、本学では米沢女子短期大学ということで、60年以上の実績を持っております。その中身としましては、国語国文学科とか英語英文学科、日本史学科というのは教養系でございます。そういう意味では、直結した職業教育とか保育士の資格を出すとかということではないんですけれども、もちろんキャリア支援教育を行っております。就職率ももちろんいいんですけれども、一方において、今30%弱が4年制大学の3年次編入しております。そういう意味では、多様な高等教育のファーストステージとしての短期大学ということの道も併用しながら、両方を視野に入れながらやっているところです。
 私、思いますのは、分野のすみ分けということで先ほど金子委員さんの方からお話が出ましたけれども、特に専門領域、職業領域の中で人を対象とするような領域、その中では技術や知識も重要なんですけれども、人と人との関わりがものすごく重要な分野については、教養教育というのは非常に重要だろうなと、人間教育は非常に重要だろうなというふうに思っております。
 一方において、ある意味、物を対象とするようなもの、それから熟練とかいうものが非常に重要な分野というのは、恐らく教養教育のところをそんなに重視しなくて、より実践的なところで動いていけるのではないかなと思います。分野については、これから御議論があるところですけど、その辺のところも考えていければなというふうには思っております。
 それからあと、地方において、地方で若い人が外へ出ていきます。是非若い人を山形県内にとどめたいという思いが非常に強くあります。そのために、確かに専門高校、商業高校、農業高校、その先がすぐアカデミックな4年制大学はなかなか難しいところがございますので、そこのところの受皿になって、地元に定着しながら、より専門的な技術、そういうのを持った学校の必要性は日々感じているところでございます。
 以上でございます。
【黒田座長】  ありがとうございます。
 それでは、仙波委員、お願いします。
【仙波委員】  仙波と申します。よろしくお願いいたします。
 私、青山学院大学の学長をしております。今回は私立大学連盟という形で、私立大学の代表的な立場でお話をさせていただければと思っております。
 先ほど来、いろいろお話をお伺いいたしまして、基本的には、今、大学の方でもいろいろと教育の改革を行っておりますことは、皆さん方御承知だと思います。私は常々、いつも考えている、最近特に大きな特色で不思議なだと思っているのは、いろんな学校が今、生徒さんというか、高校生を集めるのに非常に苦労していて、一生懸命、入ってください、入ってくださいと。入ったら今度どうするかというと、いかに彼らを外に出すかということに一生懸命今努力しているんですね。インターンシップに行かせたり、海外に行かせたり、いろんな機関で外で学ばせましょうと。その上で、中でもう一度教育をしましょうという方向に今移っているんです。それは一体何かなというふうに思ってみると、基本的には、今の学生たちというものが、大学に入ってくるときにモチベーションが低い学生が入ってくるというのが一つあると思います。いかに彼らにモチベーションを与えるかということ、そのために現場というものをまず見させましょう、あるいは様々な企業とか、いろんなところに行って現体験をさせて、それを持ち帰って学校の中でもう一度整理をさせて、その中のある経験から原理原則に基づいた教育をしたらどうなんだろうか、どうも今、そういう方向が非常に多くの大学で見られているという考えがあります。
 そのときに、その現場というものをどう考えるかというふうに思ったときに、先ほど申しました海外に行かせる、企業に行かせる、あるいはボランティアとか、いろいろなところに行くということでございます。そういう流れから見ると、この実践的な職業教育を行う高等教育機関というものの役割というのは、もしかしたら、その中の実践、まさに現場というものに対しての深い経験に根ざした形での新たな人材育成という可能性があるのかなという気がいたしております。ただ、従来のある高等教育の中での様々な学校と、この新しい高等教育機関において、どういう人材を作るかという、まさに学校の理念というものが明確になっていないと特色付けができなくなってくるのではないか。かなり現場等々に根ざした教育を行っていきましょうということを言ったときに、最終的な出口をどこに持っていくんですかということをきちっと設定をしておかないと、今まであるものの二重に、屋上屋というようなものになりはしないか。その意味においては、まさに設置する学校の方の考え方が問われるんだろうなと私は思っております。ある意味においては、教育機関の特色化というのがここで真剣に考えていかなければいけないんじゃないか。もちろん大学も含めて、短期大学も高等専門学校等、様々なところの、もう一度、どういう役割を演じて社会に対して貢献をしているのかということを、この議論の中で私も勉強させていただきたいなと思っております。
 それともう一つは、ただ、学校だけで今人材を輩出するという時代が、もう皆さん御承知のとおり、終わっている時代でありますので、社会との協力というものが絶対必要だろうと。その意味では、企業、あるいは社会、その中で特に代表的なものとしては自治体というものがあると思います。そういったものとの連携をいかに取るか。特に私どもの都心にあるようなこういう大学というのは、なかなか社会との連携、特に地域との連携というのは薄いというものがございますので、そういう中で、この新しい高等教育機関が何かそれを補完できるような形で設計できればいいのかなというふうには思っております。
 あと、専修学校生への経済的支援の在り方について、中間まとめを読ませていただきまして、今高等教育に進学する生徒の親の所得と進学先がかなり相関があるという議論もあります。そのことからいうと、学校で学びたいんだけど、進めない、経済的な理由があってということが、その子供たちが十分な学力というか、受験の対応ができないという場合に専修学校に行くとか、地元で行くとかというような議論になったときに、彼らにきちっと学ぶという機会を与えて、希望を持たせて社会に出させるということが、結局最終的には地域の活性化にもつながるし、若者の将来に対する展望を持たせる形になるのではないかというふうに考えています。その意味で、この高等教育機関の新たなる制度というものに対して、私はもしかしたら、いい意味で設計をすると、地方の、あるいは若者の活性化につながっていくのではないかなというふうに思っております。
 と同時に、あともう一つ、社会人の学び直しというときに、皆さん御承知のとおり、専門職大学院というものが一つございます。それとあと同時に、社会人の方々が、逆に今度は60とか70とか、御高齢の方々がもう一回学ぶという意味合いの学び直しというのもあるわけです。こういった人たちが、実はいろいろ私も卒業生等にお話を聞くと、結構地方にいる方が、逆にこういう学びをしたいんですよと、そういう機関がなかなかないんですということもよくお聞きします。そういったものを、ない物ねだりになってはいけませんが、そういう様々なニーズに対してどう応えていくかという、その機関をどう設計していくかということが最終的には社会設計につながっていくのではないかというふうに思っておりますので、御議論をいろいろさせていただいて、また勉強させていただいて、適切な制度設計ができればいいかなというふうに思っております。
 以上でございます。
【黒田座長】  ありがとうございます。
 寺田委員、お願いします。
【寺田副座長】  名古屋大学の寺田です。
 結構年を取ってしまいまして、40年くらい職業教育の研究をずっとやってきまして、最近は中教審のキャリア教育・職業教育特別部会だとか、いろんなところで発言する機会を与えていただいたんですけれども、その40年なり、あるいは最近の15年くらいでしょうか、特に諸外国の高等教育段階の職業教育に関心があって、随分あちこち回りましたけども、ドイツ、アメリカ、韓国、中国、インドネシアとかいろいろ見てまいりました。フランス、イギリスは余りよく知らないんですけれども。いずれ簡単にお話しする機会を頂ければと思っています。
 そういうのをずっとやってきまして、あるいは個人的には、ここ10年ぐらい、高校生と、今現在進行形は、大学生の職業的資質、職業観の調査、これは日、韓、独、米、4か国の調査をやって、ほぼ第1回目の分析ができているんですが、そういういろんな視察だとか調査から見て、大変日本人としては残念なんですが、先ほどモチベーションを高めないといけないという話が出ていましたけれど、10回ぐらいそういう調査をしました。どれを取り上げても、全ての項目というわけではないんですけれど、日本の高校生、大学生、今回専門学校も入れましたけど、モチベーションが非常に低いという結果が出ています。これは日本的な文化といいますか、余り自分の考えを表現しない、したくないという文化的な特性も反映しているのではないかと思っていますが、出てくる結果から見ると、そんな状況で、かなり手を打つことが急がれるのではないかなというふうに思っています。
 私、10年ほど前にアジア職業教育学会というのを立ち上げて、韓国、中国、台湾、最近はマレーシアとか、いろんな人が来まして、10月19日に大東文化大でシンポジウムをやるんですけれど、テーマがまさにこのテーマで、私が提案したんですが、「高等教育段階における職業教育 各国における状況と課題」という話でシンポジウムを、小さい学会ですが、やる予定をしています。昨日あたり、1日遅れでシンポジストからの原稿が届いて、目をさっと通していますと、既にそういった国々、アメリカからも今回特別呼びますが、アジア学会ですけれども。それぞれの国は非常に長い高等教育段階の職業教育の制度化の歴史があって、先ほど金子先生が、ドイツの場合は1970年代の頭という話がありましたけど、中国、韓国でも20年ほど前、あるいは30年前という状況、アメリカは百何十年前ということですけれど、既にチャレンジといいますか、課題、問題点を語る段階です。日本はこれから何とか統合して制度化しようという段階でありますけれど、逆に学ばないといけないという状況で、この面では、率直に言って、大変立ち遅れているというのが職業教育の研究者としては残念なことなんですけれども、思っていまして、是非こういう制度化というのを急いでいかなければいけないんじゃないかと思っております。
 議論の中身の話で二つぐらいしておきたいのですが、高等教育段階の職業教育の整備といった場合、日本の現実との関係でいいますと、一つは、先ほど専門学校の先生から話がありましたけれども、高等教育段階の最大のセクターが専修学校です。OECDのデータなんかを比較しても、高等教育人口のトータルで3割から4割が、短期の高等教育機関を入れて、専修学校等を入れますと、高等教育段階での職業教育の依存率が特段に高いんですね、日本の場合は。これは専修学校の生徒の数を入れているからなんですけれど。こういうようなことがあるわけですけれども、最大セクターの専修学校をどう制度化していくかという、現在制度があるわけですけれども、高等教育としての位置付けをどう与えていくのかという問題が一つ。それから、短期大学、高専に関しては、僣越ですけれども、全般的に、もう既に20年来、4年制大学、あるいは大学院への通路、通過機関化になっているという状況です。これは国際的に当たり前の話で、既にエンジニアの世界なんかでははっきりと、修士が最低ですし、博士も取ることが好ましいという段階で、仕事自身の質が向上している中で、日本の場合は制度が追い付いていないので、当然、政府の反応としては、より高い段階の教育に向かっていく、こういうことなんだろうと思います。という二つの問題を統合したような整備をどう考えるかというのが一つあると思います。
 それからもう一つは、例えば今日の資料1の趣旨の4行目に「質の高い職業人」ということがありました。高等教育段階でポジションを与えるということは、結局この話に尽きるのではないかなと思います。教員の問題にしても、特にカリキュラムですよね。これが高等教育としての質をどう担保するか。
 ちなみに、中教審の特別部会の最終部会の答申では、実践的な、あるいは質の高いというふうに文言が採用されましたけども、中間まとめでは、実践的で高度の職業人を養成するという文言が入っていたわけです。これは非常に重要な視点だったなというふうに思っておりまして、実践的と、もう一つは高度というのをどういうふうに具体化するかというのがこの課題かなというふうに思っておりまして、また改めて発言をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 それでは、永里委員、お願いします。
【永里副座長】  ありがとうございます。産業界の立場ということでお話しいたします。
 経団連の方の産学官連携推進部会長をしていますので、我々は日本の大学がどうあるべきかというようなことも非常に関心があります。はっきり言いまして、日進月歩のこの激しい競争の時代にあって、昨日の成功が明日は保証できないような時代になってきていますので、産業界が求める高等教育、大学生は、グローバルに戦える人材が欲しいわけです。グローバルに戦える人材をどうやって大学が供給してくれるかということなんですが、今回のテーマとも非常に密接に関係してくるんですけれど、まず誤解があっちゃいけないんですけど、グローバルに戦える、高度な専門性がある、語学ができる、いろいろあるんですけど、その前に重要なことは、リベラルアーツというか、教養を持ってないと話にならないという、どれだけ専門的であっても、どれだけ博士であっても、教養科目を履修していないような人はグローバルで戦えるはずがないんですから。こちらの話をしだすと時間が幾らあっても足りないのでやめますけれど、まずベースとして、リベラルアーツはしっかりと教えるということです。その後に産業界としては、イノベーションを起こすような人材が欲しいわけです。そうすると、イノベーションを起こす人材というのは、企業のニーズが何なのかということを知っていないといけないので、大学が企業のニーズを知っているということは必ずしもありませんので、企業側から大学の方に対してちゃんと企業のニーズを逆に教えてあげなきゃいけない。ということは、これは産業界の方からの協力が必要だと思います。
 先ほど金子先生がおっしゃっていましたけれど、アメリカ型とヨーロッパ型がありますが、ヨーロッパの方はかなり職業教育が密接なので、実際に企業のニーズをよく知っている、そういう部門もありますし、それからもう一つは、研究所においてヨーロッパの、特にドイツとかベルギーとか、そういうところは、研究所において、産業界の人と大学の人が一緒になって研究する。すなわち企業の方からその研究所に来ていて、その研究所の所長は、例えばの話、大学の先生であるとか教授である、学位はその大学から出る、こういうようなことが行われています。
 もう一つ、日本とちょっと違うところが、学び直しが日常茶飯事だということです。要するに、社会人になってからまた大学へ入ってくる。こういうのが極めて当たり前に行われていて、今、日本はようやくそういう動きが出てきたということですけど、60歳以上の人が学び直すというのと、普通の現役の人が学び直すというのは意味が違うと思いますけど、現役の人の学び直しが非常に重要です。というのは、今、日本でも重要なんです。企業というのは、昨日の成功にあぐらをかいていると、例えばの話が、ブラウン管でテレビを作っていたのが急にぽんとなくなるわけですね、その事業が。そうなったときに、この技術はほかで生かせないんですよね。そうしますと、自分の企業の中で配置転換して動かせればいいんです。そういうことにして、その人を更に企業で教育して何とかすればいいんですけれど、もうそういう会社はとてもじゃないが、そんな余力がないという会社になっている場合が多いんです。そうした場合に、この技術屋をどう生かすのかといったら、一つは大学で学び直して、また新しい職歴を求めて動いていく、人材流動性みたいなものです。これが重要だろうと思います。もう一つ、一番避けなきゃいけないのですけれど、自分の持っている技術を生かして外国の企業にとらばーゆする。これは本当に残念なことですけど、ごく日常的に今行われていまして、これは情けないのは、その会社がその技術屋を処遇できないからこういうことになるんですね。その技術屋を非難することはできないと思うんです。その人は自分の技術があって、それを生かしてくれる会社があったら、移るわけですから。ということを考えますと、学び直しの必要というのは非常に重要で、そういう高等教育機関が必要だと思います。
 問題は、ここで審議される高等教育機関と既存の大学の改革、今、日本の大学も改革を一生懸命しようとしています。そのすみ分けをどうするかということが重要です。これはこれからここで議論するのでしょうけれど、このすみ分けこそが非常に重要で、私はここのところについて、うまくいくんだろうかという心配はありますが、それよりも、うまくいかせなきゃいけないのだろうと。そうじゃないと、日本がグローバルに戦っていくようなことにはならないのではないかというふうに思っております。
 また、そのためには、質の保証が重要でして、国内企業が安心して高等教育機関の履修生を雇えるというようなことが重要だろうと思います。先ほど池田委員が外国人の憧れになればいいというようなこともおっしゃっていましたけど、そういうことでもあろうかと思いますけれども、質の保証が重要だろうと思います。
 これでお話を終わります。
【黒田座長】  ありがとうございます。
 それでは、長塚委員、お願いします。
【長塚委員】  中等教育の立場で出ているのは私だけのようですので、その点から意見をすることが主たるものになるだろうと思いますが、冒頭の方でどなたかの挨拶か御説明で、日本の教育が複線化してきていると、もっと複線化をするんだというお話がありました。とはいうものの、例えば高等学校というくくりでいえば単線なんですけども、その中にも実は複線、普通科と専門高校というようなフラッグが幾つもあって、複線化は実はもうあるわけなんです。この複線化がハッピーなのかどうか。特にそこに学ぶ生徒たちにとって、それが本意で複線化の中の多様な選択を自由に等価性の中でやられているかというと、ここは疑問があるわけです。普通科が7割を超えているというのは、学校の制度の中で普通科をまず多く設置しているから普通科に行くということもありますが、ニーズが普通科に偏ってきているということが大きな原因なんだろう。まず、普通科志向をして、普通科に入れない生徒が専門高校を希望するような、簡単に言ってしまいますと、本意ではないような進路選択にもなっているということも一方で、全部ではないとしても、かなりあるということであります。複線化するときには、等価性が保たれてなきゃいけないというのが大原則だろうと思います。
 そういう中で、もう一つ、実践的な職業教育コースを新たに設けられるかどうかということに関しては、リスペクトというのでしょうか、あるいは将来の処遇というのでしょうか、企業に勤めたときに、高校卒、専門課程卒で、先ほどの等価性の話にもつながるわけですが、同じような処遇を得られない以上は、その職業をもっと深めようとか、身に付けようとかいうことにいかないのではないか。少なくとも望んでいくということは果たしてなるかというのが、進路選択をしている生徒たちを見ている現場からすると感じるところです。
 それに加えまして、近年、しばらく前、随分片仮名の職業というのがはやりました。ここのところ、片仮名の職業というのがトーンダウンしているのが見えるのですが、グローバル化ということもあるのでしょうけども、そのぐらい職業の種類というのが非常に目まぐるしく変わっているわけです。ですから、そういう選び方においても、特定の分野の方向に進むということは、余り実は子供たちの進路選択の中では、将来に対する安心感というのは与えてない。私立学校に専修各種学校は非常に多いと思うのですが、私学が多いと思うのですけども、私立の専学の設置あるいは改廃には、私学審議会というのが各都道府県の首長のもとであって、私学審議会が首長に答申をすることになっているわけです。専学の審議会、私、東京都の審議会の委員でしばらくやっているのですが、非常に案件が多いんです。それは改廃なんです。非常に目まぐるしく学校名が変わる、あるいは数年前にできた学校がなくなるというような、安定感がない。経営的な支援がないというのが一方であるのかもしれませんが、そのぐらい職業に直結している専学の学習のニーズというのが変動するということなんだろうと思います。そういう中で、現状を私はそういうふうに捉えているわけです。
 そこで考えられる課題が二つほどあるんだろうと。今後求められている職業教育というのは、一つは、普遍的な教育の方にいくのではないか。世界的なICT企業と、オーストラリアやシンガポール、最近ではアメリカなどの国が一緒になって、21世紀型スキルというのを、これから職業人に必要なスキルというのは何かというのを明確にしています。ICT関連企業が絡んでいることもあって、情報リテラシーとかもその中に入っているわけですけども、あるいはクリエイティビティーとか、普遍的なスキルの、どの国に行っても、どの職業でも、あるいはこれから必要になるようなものは何かということを明確に国を挙げてしているわけです。あるいはいろんな国が協力し合って、それを出している。そういうものを根底に置いたような職業教育というものをデザインする必要があるのではないか。
 最近は、中等教育の分野でIB(インターナショナル・バカロレア)ということの推進は言われているわけですけども、このIB(インターナショナル・バカロレア)のカリキュラムでも四つ目のカリキュラムができたんです。キャリアコースのカリキュラムができました。高等学校卒のディプロマプログラムだけではなくて、高等学校を出て職業人になる、就職する人たちのキャリアカリキュラム、国際的な、グローバルなカリキュラムというのも存在しているわけで、そういう普遍性のあるようなものをもっと意識していく必要があるんじゃないかなというふうに感じるのが、課題としての1点目。
 もう一つは、学校だけでは職業教育というのは十分ではなくて、むしろ言ってみれば、職人的な、日本の特に文化芸術につながるような仕事というのは、あるいは中小企業の中においても非常にプロの技を持っている方とか、伝統芸能のところにあるものづくりなんかにおいては、学校ではなかなか学べないけども、日本社会にとっての宝だし、こういうものをどうやって大事にしていくか、これを維持発展させていくかというのは、もっと広い意味での生涯教育のようなものなのでしょうか、それ以上のものだと思いますが、必要だと思うんですね。
 私の学校の近くに中央工学校さんという建築系の学校があるんですが、非常に有名な学校ですが、そこの建築科の方に、東大の工学部を出たり、あるいはまた大学生がダブルスクールで来ているというふうに話を聞きました。なぜかと聞いたら、東大で理論を学んでも、かんなのかけ方を知らないし、実際、日本の建築をどうやって作るかということの現場が分からないということで学んでいるんだという話を聞いたことがあります。まさにそういう面での、大学では学べないようなところというのは、専修学校などに大きく期待されているところで、これは今後とも必要なのではないかというような気がいたします。
 そういう課題を大きく二つ考えると、もう少し具体的に論議をしなくてはならないと思う点は、更にあえて二つ付け加えると、大学の機能分化、これが論議されたはずだったんですが、論議がその後進んでいないと。大学、短大は一体どのように職業教育をするのかというようなことが、先ほど金子先生のお話の中にも、国際的な状況を御紹介いただきましたけども、もっと明確にしないと、職業教育をする新たな制度というものがそれとどう関わるかというのは、これは非常に大きなことで、そこがはっきりしないうちに組み立てられないのではないかなという気がいたします。
 それともう一つ、初等中等教育の中でも、実はプラグマティックな教育というものがないと、冒頭に申し上げましたような普通科志向で終わってしまう。本当に専門的な職業的な教育を受けたいんだというような生徒が育つには、小学校あるいは中学校のようなところで十分に体験的に、実践的に問題解決ができるような教育の体験がないと、実はそういう方向に関心がいかないのではないかなという思いもしております。
 以上でございます。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 それでは、服部委員。
【服部委員】私は今、岐阜女子大学で幼稚園から小学校、中学校、高校の教員養成をしておりますが、それ以前は、大学を出て、3年半ほど民間の企業に勤めておりました。その後、20代後半で教員になって高等学校で数学を担当しました。その後は、教育委員会事務局に勤めておりました。そういう経験からいろんなことで感じたことをお話しさせていただきます。教員というのは、大学の4年ないし6年の教員養成で教員ができ上がるわけではなくて、むしろ子供を前にして教員が教員らしくなる、いわゆる現職教育です。教育行政の最後のところが教員研修を行うところで、教育センターの所長を7年間勤めたのですが、現職教育の大切さ、学び続ける教員を育てることの大切さを考えていました。岐阜県では教育現場で職業教育を大切にする理由の一つとして、実は岐阜県でもかつて教員が関与する、信頼を失墜するような大きな事件があって、信頼を回復するのに本当に苦労したことがあります。そのときに手を差し伸べて助けていただいたのが、実は産業界です。もっともっと教員を外に出せと、産業界における人材育成が教員の資質向上に関わるということで、それを制度化したのが民間企業に若手の教頭を40人ほど、毎年、民間企業へ派遣をして、信頼回復に努めました。教育には、信頼と尊敬を基盤としなければならない。教える先生、それから教わるものとの間に信頼関係、そして尊敬が基盤にあって初めていい人材が育成できるという、教員の資質をどう改善、向上させるかということが大きな問題で高等教育機関においても、そこを担当する教員の資質の保証はどうするかということは大きなポイントであるだろうと思います。
 そういう意味で、先ほど鈴木委員がおっしゃっていただいたように、私も現職教育の大切さを感じたものですから、教育委員会を定年退職してから、実は、ここに寺田先生がおられますが、名古屋大学の教育発達科学機関研究科博士課程後期課程に入学し、そのときに北海道から沖縄までの三十数か所の教員研修の現場を調査研究しました。その当時、一番大きな問題だったのは、いわゆる指導力不足教員です。教員となって、20代、30代は元気で頑張っているのですが、指導力不足教員と認定される者の50%が40代、35%が50代、40代、50代で85%でした。一体その要因は何か。いろんな要因を聞いたら、最終的には人間関係が構築できない先生です。孤立してしまう。個の教員というよりも集団で指導できる教員、集団としての教育ということが今大きく見直されている。校内研修もそうですけども、集団としての学びのスタイルも同じだと思います。
 一つ目は、今言いましたように、高等教育機関を作るならば、担当する教師、教員の質の保証をどうするかという、これが大きなことになると思いますが、そこのところを検討する必要があります。
 二つ目は、高等学校の3校で校長をしました。普通科高校と商業高校と工業高校です。普通科高校の教育と専門高校における教育との根本的な違いというのは、先ほどもお話ししましたが、普通科は個の学び、1人で学ぶ知的活動を主としているのですが、商業にしても工業にしても、農業とか家庭科とか専門高校では必ずグループ、チームで学ぶ、集団での学びです。そして、体験的な学びを積み重ねて体全体で学ぶという、そういう学び方が人格形成につながっていく。専門高校へ入ってきた生徒たちは、1年生、2年生、3年生と学年が進行するにつれて、顔つきが変わるほど本当に自信に満ちて、3年で卒業するときには本当にいい顔をして卒業をするのです。そういう専門高校のよさというのがあるということです。
 もう一つ、岐阜県における普通科高校と専門高校の入学定員について、先ほど川越先生が、宮崎県の例で、5対5という割合には及びませんが、岐阜県は、教育委員会事務局にいるときに高等学校の入学定員を担当する教職員課、課長も含めて8年おりましたが、入学定員を策定する基準の一つとして、岐阜県では6対4、普通科6に対して専門科4という、それを長年ずっと守ってきたのです。専門高校における人材育成が、それは地域の産業界への活性化につながるという、そういう思いを持っているわけです。専門高校を大切にしてきたということです。
 ただ、教育行政で6対4という入学定員を決めて行うということではなくて、本当に主体的に、自発的に、中学校から高校を選ぶときにそのような割合で希望しているかというのが実は問題なんですね。専門高校で、これは大きな悩みというか、入ってくる生徒について、定員割れを起こさないようにするという努力をするのですけれども、中学校側へ行っていろいろ説明する、そういう非常に血のにじむような努力をしているのですが、一番の要因は、今後ここでの議論にもなるかと思いますが、高等教育機関を作っても、そこへ一定の割合で自ら選んで人が集まるような仕組みを作る必要がある。それは例えば、先ほど長塚先生もおっしゃいましたが、専門高校の学びのよさは、専門高校の人材育成のよさというのが実は義務教育を担当する小学校、中学校の先生に理解されていないということです。というのは、専門高校は非常にいいということは専門高校の関係者は知っているのですが、一般の教育関係者、もっと言うと、広い国民全体で見ると、専門高校での人材育成のよさというのが理解されていない。その一番主たる要因は、小学校や中学校で教育を担当する教員がほとんど、100%普通科高校出身です。普通科高校から大学へ行って、教職免許を取って教員になっている。専門高校における人材育成のよさをこれからずっと議論するならば、今回の実践的な高等教育機関へ送る人材育成をするためには、人材を集めるためには、そういった専門教育の、あるいは職業教育の学びのスタイルが理解できる教員が中学校若しくは小学校の指導に当たるといった、そういう仕組み。もっと言うと、実践的な高等教育機関を作るということは、日本における義務教育の課程からそういうところに一定の割合の人が集まるような、そういう仕組みから検討していかないといけないなということを思っています。結論を言いますと、小学校や中学校の教員免許を取るために、専門高校からそのような教員養成課程の大学等へ入っていくような、そういうことが必要だろうと思っています。
 以上、大きな二つ、教員の資質の保証ということと、それから、いろいろな教育機関を作っても、そこへ一定の割合の人が集まるような仕組みを根本的に検討する必要があるのではないかということをお話ししました。どうぞよろしくお願いします。
【黒田座長】  ありがとうございました。
【永里副座長】  誤解を招いてはいけないので。私が言った産業界のニーズというのは、グローバルに戦える人材とか、そういうことを言いました。それから、イノベーションを起こすような人材が欲しいのだと、そういうことを言いましたが、そのためにはリベラルアーツとか基礎科学が重要なんです。そうじゃないと自由な発想ができないからです。しかし、それがベースにあって、今は科学技術が日進月歩で進んでいるわけですから、それを教える高等教育が今必要になってきているわけで、それは既存の大学制度の改革でいくのか、あるいは新しい取組でいくのかというようなことだと思います。
 以上です。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 大体時間が来たようでありますので、これでやめたいと思いますが、今日皆さんから出たお話、お一人お一人の話の内容というのは非常に重要な内容が多かったと思います。これらの今日出た御意見を事務局でまとめていただいて、体系的にしていただきたいと思います。
 日本の場合、根本的に外国と違うのは、資格枠組みと教育が連動していないということです。いろんなところに国家試験があり、いろんな資格があるのですが、教育団体と資格枠組みがどのように連動していくかという、これはアカデミックな教育でも職業教育の場合でも同じです。それがきっちりと体系付けられていれば、義務教育から高等教育の卒業までの段階というのがずっと分かれて、それがなおかつ国際的に通用するような、そういうものをつくり上げていかないと日本の教育というのが社会的に信用を受けない。高等学校の職業教育が非常によかった時代があるんですね。ところが、それがいつの間にか普通科がよくなって、職業高校が駄目になった、職業高校に行く子供たちが減ってしまったという、そういう歴史があるわけですが、その原因はどこにあるかという、そういうことももう一回検証する必要があるんだろうと思います。
 今日は12時までで、あと2分ほどですので、これでやめますが、また次回からヒアリング等もあるそうでございますので、今後のスケジュールについて事務局からお話を頂いておきたいと思います。
 今日、赤池大臣政務官、最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
【赤池大臣政務官】  どうもありがとうございました。
【黒田座長】  それでは、事務局からお願いいたします。
【大谷生涯学習政策局参事官】  次回でございますけれども、次回は10月15日水曜日、時間は14時30分より、場所は今のところ経済産業省の別館を想定しております。また詳細は御連絡させていただきます。議題につきましては、今座長からございましたとおり、何人かの委員の方からヒアリングを予定しているところでございます。
 以上です。
【黒田座長】  ありがとうございました。
 次回10月15日、頻繁に行われるようでありますので、スケジュール調整をよろしくお願いいたしたいと思います。ヒアリングを行うということであります。
 本日はこれで終了いたします。ありがとうございました。

―― 了 ――

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