大学のガバナンス改革の推進方策に関する検討会議(第3回) 議事録

1.日時

平成26年12月15日(月曜日) 13時~14時

2.場所

文部科学省15階 15F特別会議室

3.議題

  1. 国立大学法人の組織及び運営に関する制度について
  2. その他

4.議事録

 【小林座長】  それでは,定刻となりましたので,大学のガバナンス改革の推進方策に関する検討会議の第3回を開催させていただきます。
 本日は年末の御多用の中,委員の皆様におかれましては,定刻に御参加いただきありがとうございます。この検討会議では,これまで2回にわたり,開催要項,参考資料1でございますけれども,ここに書かれております検討事項の(1)改正法の趣旨及び内容の周知に関することについての議論を行ってまいりましたが,今後は,検討事項の(2)に書いてございます,国立大学法人における学長選考会議の構成その他国立大学法人の組織及び運営に関する制度に関することを主な議題として検討を進めていきたいと思います。これに伴いまして,新たに,金子元久筑波大学大学研究センター教授と,羽入佐和子お茶の水女子大学学長に委員に加わっていただくことにいたしました。金子先生におかれては,少し遅れておられるようなんですけれども,羽入先生の方から一言,御挨拶を頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。

【羽入委員】  ありがとうございます。羽入と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。ガバナンス改革も国立大学が法人化されて10年たちまして,恐らく,個人的には,もう第2段階といいますか,新しい段階に入っていくのではないかというふうに考えております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

【小林座長】  ありがとうございます。引き続き,委員の皆様の御協力をいただきながら,本検討会議を進めていきたいと考えておりますので,よろしくお願いいたします。
 それでは,続きまして,事務局から添付資料についての御説明をお願いします。

【平野国立大学法人支援課課長補佐】  失礼いたします。資料の確認をさせていただきます。まず,皆様の机の上には本日の議事次第,座席表が置いてございます。その後,資料といたしまして,横組みのパワーポイントのものが資料1でございます。その次が,施行通知ということで,資料2が付いてございます。また,別とじになってございますが,今回の施行通知に付けられている法律部分が付いてございます。また,資料3といたしまして,内部規則等の総点検・見直しの実施についての事務連絡が付いてございます。また,参考資料といたしまして,当会議の開催についての要項,参考資料2として,当会議の委員の名簿を付けさせていただいております。不足がございましたら,事務局までお申し付けください。 

【小林座長】  ありがとうございます。先ほどから御案内しております,本会議における2回の審議,これを踏まえまして,文部科学省より,8月29日付けにて,添付2の施行通知,添付3の事務連絡を各大学宛てに発出しております。
 本日の議題に入る前に,事務局の方から,各大学における内部規則の総点検・見直しに関する進捗状況の調査につきまして,報告をお願いします。

【里見大学振興課長】  大学振興課長でございます。今,議長から御紹介いただきました資料の2と資料3でございますが,資料3の裏側を御覧いただきたいと存じます。色刷りの部分がございまして,資料の3の一番後ろですが,資料2と書いてございます。
 今後の内部規則等の総点検・見直しの進め方についてという資料でございますが,8月29日に資料2にございます改正法の施行通知を発出し,併せまして,チェックリストを参考にした総点検・見直しを依頼したところでございます。これを受けまして,各大学で,現在,内部規則の見直しを行っていただいているわけでございますが,9月2日に全ての大学を対象といたしまして,説明会を開催しました後,各大学からの御依頼,あるいは大学団体等からの御依頼に応じまして,説明会を随時開催させていただきますとともに,御希望のある大学から御相談がございましたら,文部科学省でも御相談を受けさせていただいているという状況でございます。これを踏まえまして,12月8日付けで進捗状況の調査を発出させていただきまして,現在,どのような状況にあるかということを調べさせていただいております。具体的には,学内で,この法の改正の趣旨が適切に周知・理解されているか,あるいは学内の体制が整備されているか,検討作業がどのぐらい進んでいるかといったような内容でございます。8日に発出をいたしまして,12月19日までという予定で集計をさせていただく予定でございます。この集計結果につきましては,また後ほど,委員の先生方にもお伝えさせていただきたいと考えております。以上でございます。

【小林座長】  ありがとうございます。今,金子先生,おいでになられましたので,先ほど新委員ということで御案内したんですけれども,一言御挨拶だけお願いできますでしょうか。

【金子委員】  金子でございます。新たに加えさせていただきまして,光栄に思っております。勉強させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【小林座長】  ありがとうございます。それでは,本日の議題であります「国立大学法人の組織及び運営に関する制度について」ということに移らせていただきます。
 先の通常国会で成立しました改正法の附則には,「法律の施行後適当な時期において,改正後の国立大学法人法の施行の状況,国立大学法人を取り巻く社会経済情勢の変化等を勘案し,国立大学法人の組織及び運営に関する制度について検討を加え」ることとされています。現時点では,改正法の施行前の段階ではありますけれども,この会議では,施行後の検討が円滑に進むように,国立大学法人のガバナンスに係る制度に関し,法人化後,現在に至るまでの状況についての検証を行いたいと考えております。検証に当たっては,まずは,現行制度の仕組みや背景について共通の認識を持っておくことが必要であると考えられますので,今回は,事務局から,国立大学法人の組織及び運営に関する制度の概要についての説明をお願いをいたします。次回以降は,委員や有識者からのヒアリングを実施し,その後更に検討していくべき論点を明らかにしていきたいと考えております。そうした今後の進め方に関する御意見等も,事務局からの説明の後にお伺いしたいと考えております。それでは,まず事務局からの説明をお願いいたします。

【平野国立大学法人支援課課長補佐】  失礼いたします。国立大学法人支援課の課長補佐の平野と申します。資料1に沿って説明をさせていただきたいと思います。横組みの資料1でございます。
 1枚めくっていただきまして,まず,国立大学の役割ということを書かせていただいてございます。皆様,御案内のとおり,国立大学の役割として,世界最高水準の研究・教育の実施から,大きく6つということで挙げさせていただいてございます。需要は必ずしも多くはないけれども重要な学問分野の継承・発展,また,全国的な高等教育の機会均等の確保,このように国立大学に求められている役割というのは多岐にわたっているということでございまして,この役割というものを十全に果たす観点から,国立大学法人の制度設計というものは考えられる必要があると考えているところでございます。
 2ページ目でございます。独立行政法人と国立大学法人の比較について書かせていただいてございます。よく,国立大学の独立行政法人化というような言葉があるわけでございますけれども,独立行政法人と国立大学法人は,これは別の仕組みということで作られているところでございまして,例えば,運営組織,長の任命,解任,中期目標,評価,このようなところが違っているところでございます。これらについては,大学の特性ということで,学問の自由・大学の自治,このような考え方をそれぞれ反映したものでございます。詳しくはまた後ほど,説明を申し上げます。
 1ページめくっていただきまして,3ページ目でございます。こちらに学問の自由・大学の自治というものについて書かせていただいてございます。既に御案内のとおり,大学というものは,真理を探究する学術研究,こういったものに取り組むという性格に照らしまして,政治的権力,その他,外部の諸勢力の干渉を防ぐということが必要とされているところでございます。この学問の自由というものを保障するために,東京大学ポポロ事件判決を挙げさせてもらってございますけれども,伝統的に大学の自治というものが認められているとされているところでございます。この内容といたしましては,大学の教授,その他の研究者の人事については,大学の自主的判断に基づいて選任されるということ,また,大学の施設,学生の管理についてもある程度,自主性が認められるということ,このようなことが認められているところでございます。また,一番下の部分,国立大学における「大学の自治」に関する考え方ということで挙げさせていただいてございます。
 4ページの方に国立大学法人法が制定された当時の国会答弁というのを幾つか付けさせていただいてございます。この内容についてまとめて申し上げますと,国立大学においては,大学の自治について,学長,教員,その他の大学の教育研究に携わる者の人事は,大学の自主的決定に委ねられるということ。また,大学の教育研究は大学が自主的に決定した方針に基づいて行われるべきであること,このような点がその主要な点として,伝統的に認められているところでございます。4ページの上の部分でございますが,こういった考え方を踏まえまして,国立大学法人法においては,国はこの法律の運用に当たっては,国立大学及び大学共同利用機関における教育研究の特性に常に配慮しなければならないとされているところでございます。まずこういった,学問の自由・大学の自治という点,こういった大学の特性という部分が独立行政法人と国立大学法人,また,大学共同利用機関法人との差を付けているところの理由というところでございます。
 1枚めくっていただきまして,5ページでございます。5ページは国立大学法人におけるガバナンスに係る組織のあらましについてお示しをさせていただいてございます。この内容といたしましては,学長選考会議,経営協議会,役員会,教育研究評議会等が挙げられてございますけれども,個々の内容についてはこの後,個々のパートで御説明をさせていただきます。随時,御参照いただければ幸いでございます。
 6ページでございます。国立大学法人における学長でございます。国立大学法人においては,国立,公立,私立,共通して学校教育法で定められている学長としての職務,すなわち,学長は,校務をつかさどり,所属職員を統督するということとともに,国立大学法人を代表し,その業務を総理するというふうに国立大学法人法で位置付けられてございます。この意味といいますのは,国立大学法人の学長は,単に教育研究のみならず,経営についても最終的な判断を行う権限と責任を最終的に有しているということでございます。こういった制度設計がされました理由といたしましては,まず,教育研究というものを活性化し,強力なリーダーシップを発揮して効果的な大学改革を進めるという観点,また,二つ目といたしまして,教学と経営の一体的な合意形成を確保するという観点から,法人化前の実態というものも踏まえまして,制度設計をされたものでございます。この法人化前の実態といいますところは,既に国立大学法人化前も国の機関ということではございましたけれども,学長が設置者の有する権限のかなりの部分を委任されているということで,法人化前から既に学長が中心となって改革を進めてきたという実態を踏まえたものでございます。二つ目でございます。学長は,国立大学法人の教職員の任命権を有するということが法律上,位置付けられてございます。これは教員,事務職員変わらず,妥当するものでございます。三つ目でございます。学長の任期は,2年以上6年を超えない範囲で,学長選考会議の議を経て,各国立大学法人で定めていただくことになってございます。学長は,法律上,再任が可能でございますが,学内規則について再任不可とすることも可能と,大学の自主性を尊重する観点からこのようになってございます。四つ目でございます。学長は,経営協議会・教育研究評議会の議長として,会議を主宰するということになってございます。この「主宰する」というのは,法律用語でございますけれども,会議の招集,議事の整理,議案の発議,このような機関の運行について一切の必要な処置を取る権限があるということを意味するものでございまして,学長は,経営協議会・教育研究評議会において,会議の主宰者として位置付けられているということでございます。
 7ページでございます。学長選考会議の趣旨と構成でございます。
 こちらの部分は,御案内の方も多いかと思いますが,学長の任命というのは,独立行政法人は国の方,大臣の方が,どういった人を理事長として選ぶかということを指名するわけでございますが,国立大学法人については,大学共同利用機関法人も同じでございますが,その法人の申出に基づいて,文部科学大臣が行うということでございます。この申出は,学長選考会議の選考により行うものでございまして,三つ目にございますように,学外委員から経営協議会において選出された者,教育研究評議会において選出された者,それぞれが,基本的には各同数をもって構成されることになってございます。法人化前の学長は,学内者のみにより構成される評議会というものにおいて選出をされ,文部科学大臣が任命をしていたところでございます。法人化前に引き続きまして,まず,大学が自ら学長を選ぶという大学の自主性・自律性を尊重する必要があるということ,社会に開かれた大学というのを目指す観点から,学外者というものをきちんと含むということにしたこと,学長については,これまで法人化前は,教育研究とそういうことでございましたが,法人化後は経営の責任者でもあるということで,強いリーダーシップと経営手腕の発揮が求められるようになったということで,学内だけではなく,社会の意見を学長選考に反映させる仕組みとして設計をされたものでございます。この同数となっている理由につきましては,大学の自主性というものを尊重しながら,経営という観点,経営に責任を持つ法人の長としての役割と,教育研究,教学についての役割という部分を等しく重視する観点から設計がされているところでございます。
 8ページでございます。学長選考会議において,先ほど,学外者と学内者が同数で構成されることが原則ということを申し上げましたが,法律上,学長選考会議が定めるところにより,学長又は理事を選考会議の委員に加えることも各大学の判断で可能になっているところでございます。しかしながら,その学長又は理事は委員総数の3分の1を超えてはならないということでございます。ここについては,現学長が学長候補者にならないということもあり得るということで,柔軟に設計を行っているところでございまして,大学が必要に応じて加えることができるという仕組みになっているところでございます。学長選考会議,下から二つ目でございますが,議長を互選で選ぶことになってございます。議長は学長選考会議を主宰するということでございまして,主宰という意味は,先ほど申し上げたとおり,会議の一切,進行について,必要な処置を取る権限があるということを指しているところでございます。
 9ページでございます。こちらは,先だっての学長選考会議に係る改正について触れてございます。詳しい説明は省略させていただきますが,今回,法改正によりまして,学長選考会議は学長選考会議が定める基準により,選考を行わなければならないということ,その結果,理由というものを公表すること,また,基準には,学長に求められる資質・能力,選考の手続・方法に関する具体的な事項が盛り込まれることが想定されていること,意向投票については禁止をされるものではございませんけれども,学長選考会議の趣旨に鑑みまして,投票結果をそのまま反映させるような,過度に学内の意見に偏るような選考方法は適切でないということ,このようなことを施行通知においてお知らせをしているところでございます。
 10ページでございます。学長の解任でございます。学長の解任の要件というのは,法律上定めがございます。三つ挙げてございますが,一つ目は,心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認められるとき。二つ目は,職務上の義務違反があるとき。三つ目は,職務の執行が適当でないため国立大学法人の業務の実績が悪化した場合であって,引き続き当該職務を行わせることが適当でないと認めるとき,この場合には選考会議の申出により,文部科学大臣は学長を解任することができるとされてございます。これは要件が限定されているわけでございますけれども,この趣旨というのは,単に業績が一時的に悪化したとか,わずかに悪化した,こういったことを理由に解任をするということになりますと,これは学長に責任をもって運営してほしいということで,自主的な判断に委ねたという趣旨に反するわけでございます。ここについては,独立行政法人も同じでございます。政府の公法人,統一した考え方ということで,リーダーにしっかり任せるという趣旨を反映したものでございます。
 次に,11ページでございます。学長を支える存在として理事というものが国立大学法人においては置かれているところでございます。理事は学長を補佐して,国立大学法人の業務を掌理する。また,学長に事故があるときには職務を代理し,学長が欠員のときには職務を行うという存在でございます。理事の員数は国立大学の規模に応じて,2名から7名ということでございます。理事は,人格が高潔で,学識が優れ,かつ,大学における教育研究活動を適切かつ効果的に運営することができる能力を有する者のうちから学長が任命することとされてございます。これについては,学長の任命の要件と同じ要件ということでございます。理事は,学長の経営責任というものを支える体制ということで置かれているものでございます。学長は国立大学法人法上,教育研究,経営双方の長でございますので,理事も教育研究,経営双方について学長を補佐し,業務を掌理することができるということとされております。これは副学長が学校教育法上の存在として置かれている部分とは異なる性格でございます。一番下でございます。学長が理事を任命するに当たっては,現に当該国立大学法人の役職員でない者が含まれるようにしなければならない。これは学外役員,学外理事というふうに呼ばれてございますが,これは国民や社会に対する説明責任の重視や透明性の確保,また,適切な意思決定の担保といった観点から,学外者を理事として登用することにしてございます。学外者は,ひとたび理事として選ばれたからには,学内者とは全く変わりのない立場で職務に携わっていると,こういうことでございます。
 12ページでございます。今,説明を申し上げた理事と学長で構成されるのが,役員会でございます。役員会につきましては,学長が重要な事項について決定をする場合には,役員会の議を経なければならないということでされているところでございます。これは独立行政法人では役員会という制度,実態として置かれておりますけれども,法律上は規定がございませんが,国立大学法人につきましては,やはり,相対的に規模が大きいということ,また,後で申し上げます経営協議会,教育研究評議会というものがそれぞれ審議をするということで,これをいわゆる統合いたしまして,法人内のコンセンサスを形成する仕組みが必要であるということ,また,国立大学法人の役割というものを踏まえて重要な意思決定を行う際に当たっては,多角的な観点というものを踏まえた判断が必要であるということから,あえて設けられているというものでございます。
 13ページでございます。この委員会,監事出身の委員の方もたくさんいらっしゃるところでございますけれども,監事については,文部科学大臣が任命をするとされているところでございます。監事につきましては,附帯決議におきまして,大学の意向を反映するように配慮することということが政府に求められているところでございます。監事は国立大学法人の業務を監査し,必要なときには,学長・大臣に意見を提出することができるわけでございます。監事の監査の対象というのは国立大学法人の業務全般ということでございますので,財務,会計というところにとどまらず,教育研究,社会貢献の状況,また,今回,話題になっておりますところの大学ガバナンス体制というものについても監査を行うことが求められるところでございます。一方で,大学における教育研究の特性というところに鑑みまして,基本的には個々の教員による教育研究の内容というものに踏み込むということは望ましくないとされているところでございます。また,監事は大学の業務を監査するという存在でございますので,その職務の性格上,大学の運営に職務として,いわゆるラインの仕事という形で直接携わるということはできないといったような距離感が求められるということが留意する必要があるところでございます。
 14ページでございますが,ここはさっきの独立行政法人通則法の改正に伴う監事の機能強化というところでございます。内容については記載のとおりでありますが,ここでは説明は省略をさせていただきます。
 15ページでございます。独立行政法人制度においては,その内部組織というものについてはその長が裁量により設置改廃を決定することといたしております。これは,法人化前につきましては,一つ一つの,例えば,課でありますとか,研究科でありますとか,学部でありますとか,いろいろな組織があったわけでございますが,これは国の内部組織ということで,法律上の規制,省令上の規制,このようなものを受けていたというところでございますが,法人化した後は,その長が内部組織については,設計をするということが原則でございます。一方で,各大学の自律的な運営を確保するという観点からでございますが,先ほど申し上げたような,規模が大きいこと,業務が複雑多岐にわたること,また,教育研究に関しては,その自主性というものを運営に反映するということが必要であること,学外の有識者の意見というものを運営に的確に反映させる必要があること,社会に対する説明責任というものが,特に国立大学には求められていること,このようなことから,独立行政法人とは異なりまして,役員会,また,学外の声を受け止める存在として経営協議会,また,教育研究に直接携わる者の意見を反映させる存在としての教育研究評議会,このようなものが規定をされているところでございます。ただし,これら法律で規定された組織以外,例えば,部局長会議でありますとか,またいろいろな学内組織というものがございますけれども,こういったものに関しては,各国立大学法人の判断の下で,その設置改廃が可能ということになってございまして,学長が内部組織の設置については,適切にリーダーシップを発揮しつつ行うということが求められているところでございます。
 16ページでございます。経営協議会でございます。経営協議会に関しましては,国立大学法人において,社会や地域のニーズを的確に反映した運営がより強く求められているということでございまして,これまでは,2分の1以上ということで,学内者,学外者が同数という状況も許容されていたところでございますが,今回の法改正に伴って,来年の4月1日からは学外委員を過半数にするという改正がなされたところでございます。経営協議会は,そもそも国立大学法人の経営に関する重要事項を審議する機関でございます。この「審議」というのは教授会のときに大分話題になった言葉でございますけれども,最終的な決定権は含意していないということで,内容について突き詰めて検討するという意味でございます。この経営協議会につきましては,法人化に伴いまして,組織,人事,また,財務について裁量が拡大したということで,その裁量というものを効果的に活用するために,経営について専門性を有する学外の知見を積極的に活用する,このようなことで経営基盤の強化を図るということで設けられたものでございます。先ほど申し上げましたように,経営協議会は飽くまで審議機関でございますので,国立大学法人の運営についての最終的な責任と権限は,どこまでも学長が有しているということでございます。また,三つ目でございます。経営協議会は学長のチェックそのものを目的とした組織ではございませんけれども,学長がリーダーシップを発揮しながら,適切な意思決定を図るという上では,重要な役割を果たすという組織でございます。下の二つ目でございますが,経営協議会は学長,学長の指名する理事及び職員,また役員及び職員以外の者で大学に関し広くかつ高い識見を有する者のうちから教育研究評議会の意見を聞いて学長が任命するという学外委員から構成されているところでございます。
 17ページでございます。経営協議会の二つ目でございます。経営協議会についてはどのような事項を審議するのかということでございます。中期目標についての意見に関する事項のうち,経営に関するもの,その他,いろいろな大学の規程,その他,基準等に関するもののうち,経営に関するものについては,経営協議会において審議をするということになってございます。また,予算の作成,執行,決算,組織運営の状況について行う点検・評価,その他,国立大学法人の経営に関する重要事項を審議するということでございます。また,先ほど申し上げましたように,学長は,経営協議会の議長として,会議を主宰する,主導する存在ということで位置付けられているところでございます。今回,国立大学法人法の改正に合わせて施行通知において,皆様の御意見も踏まえまして,各大学の実情を踏まえた適切な,まず,学外委員をきちんと選んでいく,経営協議会の場にとどまらない学外委員への積極的な情報提供,学外委員の出席が可能となる会議日程の設定,欠席いた学外委員へのフォロー,議事概要の公表,その他適切な情報公開など,経営協議会について学外者がより主導的に,先導的な発揮をできるという観点から,運用改善について,周知を行っているところでございます。これを踏まえまして,各大学においては,運用の改善を図っていくということが強く期待されているところでございます。なお,参考資料の方でございますが,30ページ,一番最後のページでございます。こちらの方に経営協議会の現状ということで,参考資料を付けさせていただいてございます。経営協議会は,大体,平均して15名程度おりまして,最少8名,最大が東北大学の32名という状況でございます。また,経営協議会は年間平均6回程度でございますが,3回からの大学から10回の大学まで,差があるということでございます。また,経営協議会の学外委員の参画によってどのような改善が図られたのかというところの一例を下の方に示させていただいておりますので,併せてごらんいただければと思います。
 18ページでございます。教育研究評議会でございます。教育研究評議会につきましては,国立大学の教育研究に関する重要事項を審議するということで,これは大学の自主性ということもあるわけでございますが,学長の意思決定を支えるために,大学の教育研究を直接担当する者の意見を教学面の方針に反映させる仕組みとして設計されているところでございます。ただ,教育研究評議会は,あくまでも審議機関でありまして,最終決定権は学長が有しているということは変わらないところでございます。下から三つ目,教育研究評議会の構成は,学長,学長が指名する理事,いわゆる部局長等,その他教育研究評議会が定める職員から構成をされるところでございます。また,今回の法改正で,重要事項をつかさどる副学長については,自動的に評議員になるということの改正がされているところでございます。教育研究評議会につきましても,学長は主宰者ということでございますので,運行に必要な一切の処置を取るという権限が,学長には,議長には認められているというところでございます。
 19ページでございます。教育研究評議会の審議事項ということでございます。飽くまで,先ほどから申し上げていますように,審議機関ということでございます。また,議題というもの,議案の部分というのは,議長が主宰者として自ら提案するということでございますので,そのような位置付けで,議長と教育研究評議会の関係というのは位置付けられているというのが法律上の仕組みでございます。教員の人事ということが審議事項として載ってございますけれども,これについては,いわゆる学問分野の継承とか,その他の観点も踏まえまして,専門性に鑑みた選考というものが必要とされているところでございます。中教審においても,いわゆる,教育研究業績の審査,その他の部分については,きちんと教育研究組織の意見を聞いて,最終的に学長が判断するとされているところと軌を一にしているわけでございますが,教員採用についての全学的な方針,基準,手続等について審議をしていく,最終的には学長が決めるということになってございます。一方で,教員のポストの配置ということについては,経営に関わる部分ですので,経営協議会が審議をしていくということが認められているところでございます。
 最後,20ページでございます。教育研究評議会と経営協議会の関係という点でございます。中央教育審議会の組織運営部会の取りまとめの中におかれましても,同じような議題が同じように掛かっているのではないかというようなところの御指摘があったかと記憶をしてございます。基本的には,教育研究評議会と経営協議会の審議事項というのは,経営に関すること,教育研究に関することということで,区別をされておりますが,国会審議でも若干指摘がございましたけれども,双方にまたがる事項,双方の視点から議論をする事項というのも存在しているところであります。ここは議長たる学長というものが両方の議論をつないでいくということが求められているところでございます。また,それぞれの専門性を活かせるという観点から,審議事項についても精選を行っていくということが求められているところでございます。20ページの最後,下でございます。教育研究評議会と教授会の関係でございます。これは,教授会は飽くまで大学に置かれるものでありまして,いわゆる国立大学でいいますと,学部・研究科など各部局に置かれている例が多いというふうに承知をしてございます。教育研究評議会は,これは大学に置かれるものではなくて,国立大学法人に置かれるものということで,全学的な観点から審議を行うということを役割とする機関でございまして,教授会と教育研究評議会の関係につきましても,こういった役割分担を踏まえた運用,精選というものが必要でございます。
 参考資料の方は説明をいたしませんけれども,22ページから国立大学の種類・規模,また,23ページから国立大学法人化の経緯,国立大学法人化以降の流れというところを載せてございます。また,25ページ,26ページ,27ページというあたりは,ここしばらくの国立大学改革プランを中心といたしました国立大学改革の流れについておかせていただいてございます。28ページは,学長の任期ということの現状でございます。再任が可であるのか,1期目の任期が何年であるのか,任期の上限が設定されているのかについて掲げさせていただいてございます。29ページは学長選考会議の構成員数ということでございます。6名から24名ということでございますが,赤字の大学というのは,学外者と学内者というだけではなくて,いわゆる学長や理事といった執行部の人間を含んでいる大学ということでございます。
 あと,机上資料でございますが,国立大学法人一覧という資料を置かせていただいてございます。こちらの方,中を開いていただきますと,学長選考会議のメンバーや,経営協議会の構成といったことが書いてございます。それぞれの方の就任時の役職,こういったものも書いてございますので,議論の御参考にお使いいただければと思います。事務局からの説明は以上でございます。ありがとうございました。 

【小林座長】  どうもありがとうございました。それでは,ただいまの説明に関する御質問,あるいは,その御意見等があれば承りたいと思います。

【西川委員】  7ページでちょっと教えていただきたいのですけれども,学長選考会議の構成員として,学外委員から経営協議会において選出された者という記述がありますが,この意味は,別に学外委員は経営協議会のメンバーでなくても,経営協議会からこの人がいいとか指定された人でもいいわけですか。

【平野国立大学法人支援課課長補佐】  失礼いたします。経営協議会においては,学外委員が,今度は,過半数以上ということになっておりますけれども,その経営協議会において議論をしていただいて,経営協議会の学外者の中から学長選考会議のメンバーを選んでいただくと,こういう仕組みでございます。

【西川委員】  例えば,経営協議会のメンバーは学外の人であると。その学外の人が,学内の人は別として,例えば,外国のAさんというのが,その人は経営協議会のメンバーじゃないんだけど,Aさんがいいだろうといって選出することはできるんですか。

【平野国立大学法人支援課課長補佐】  そのような意味では,学外委員の中から選んでいただくということですので,外から連れてくるということはできない仕組みになってございます。

【小林座長】  西川委員,よろしいでしょうか。あと,いかがでしょうか。どうぞ,どなたでも。お願いいたします。

【山森委員】  山森です。13ページです。一番最後の行なのですが,監事は,その職務の性格上,大学の運営に職務として直接携わることができないとあります。私は去年まで監事をやっておりましたが,例えば,内部通報窓口でありますとか,あるいは個人情報の保護の監査責任者というものも,大学の方から是非ということで,どちらにしても,監事として監査するのだからいいのだろうということで引き受けているのですが,そういったことは今後,監事としてはできなくなるということでよろしいでしょうか。大学の規則上,定められた仕事ですね。

【平野国立大学法人支援課課長補佐】  今のお尋ねにつきましては,かなり具体的なケースによるとは承知をしてございますけれども,いわゆる監事は業務を監査するという一環として,大学の方からその一環として仕事をしてくださいということであれば,これは決して外れるものではありません。ここで意図しているところというのは,いわゆる,監事が理事や副学長,こういった人間と同じような仕事をする,いわゆる,学長の指揮命令の下でラインとして仕事をするということは,当然できませんということを言っているものでございますので,監事の専門性とか監査という職務というものに着目をいたしまして,そのような役割を担っていただくということはあり得るものかと考えてございます。

【小林座長】  それは企業の監査役の役割と非常に近いということですね。

【平野国立大学法人支援課課長補佐】  おっしゃるとおりでございます。

【小林座長】  そうですね。いかがですか。

【西川委員】  もう一つだけ。

【小林座長】  どうぞ。

【西川委員】  17ページ。ほかにもあるのですけれども,「経営協議会は,以下の事項を審議する」とされています。「審議する」というのは,教授会の役割でも議論しましたが,審議するという概念があって,それに学長は拘束されないとされています。これはよく分かります。一方,法律用語で「協議する」というのが別にあると思うのですが,協議というのは,私は,ただ話(協議)をしていればいいのかなと思ったら,法律用語としては,相手方の同意が必要であると,どうもそういうことらしいのです。ところで「審議」というのは,いろいろなところで,いろいろな段階で,出てきますが,これは何か法律用語として定義があったり,法制局での見解があったり,ここまですれば審議になっているけど,これだったら審議といえないとか,何かそのような過去の例があると,そういうようなことは検討されているのですか。

【平野国立大学法人支援課課長補佐】  「審議」という言葉につきましては,教授会の議論のときにかなり中心的な話題になった言葉でございますけれども,この「審議」という言葉については,決定権を有しているのではないかというところが教授会の場合には誤解ではないかということでお話があったところでございます。ここについては,「審議」という言葉を使う際には決定権は含意していないということは明確なものとして,ほかの法律においても使われているということでございますので,例えば,協議とか,その他の言葉とは違った意味合いで使われているということでございます。

【西川委員】  それ以上のものは何もないのですね。

【平野国立大学法人支援課課長補佐】  これは,法令用語ということで,そのようなものとして,いわゆる法律には位置付けられているということでございます。

【小林座長】  よろしいですか。

【西川委員】  はい。

【小林座長】  はい,どうぞ。

【庄山委員】  このルールは来年の4月から適用ということなんでしょうけれども,最近,幾つかの大学で学長が替わられたりしているのが,新聞でしか知りませんけれども,どうも,こういうところで議論しているようなお話とは何か違うようにも思います。今でもできるはずなのに,そうでもないのかなというふうに感ずるところがありました。9月に文科省が新ルールを御説明されたときに,学長選考会議のメンバーが学長を決められるということについて,各大学からいろいろな御質問とか,何か出ているんでしょうか。

【平野国立大学法人支援課課長補佐】  9月2日の説明会以降,学長選考会議については,幾つか開催がされて,行われているところでございますけれども,9月2日の説明会では,可能な限り法律の趣旨というものを先取りして取り組んでいただきたいということを文部科学省からはお願いをしているところでございます。具体的に各大学において検討をしている中においては,御質問への対応ということで言いますと,飽くまで国としては,学長選考会議の基準というのは,大学が自主的に決めるものであって,国が事前にも事後にも介入するものではないということではありますけれども,今回の趣旨というものが,どういうふうに学長選考会議が主体的に情報を得て,選考を行っていける仕組みというものを作るのかということと,特に大きい部分として,意向投票の取扱いというものをどういうふうにしていくのかというところが,大きなトピックになっていて,各大学においてはそのようなところも中心に御検討いただきたいということをお伝えしているところでございます。具体的に各大学においては,特に,意向投票の取扱い,特に意向投票の結果をそのまま反映するかのように見られるようなところは誤解を招くのではないかとお考えになったところは,幾つかの大学において,そこは改めて,今回,施行前ではございますけれども,選考を行っていただいているところもあると承知をしております。

【小林座長】  よろしゅうございますか。

【庄山委員】  はい。

【小林座長】  あと,いかがでしょうか。すみません。さっきの意向投票なのですけれども,今,国立大学は基本的に全大学ともこの意向投票をやっていらっしゃるのですか。

【平野国立大学法人支援課課長補佐】  意向投票につきましては,現在,直近の学長選考,国会審議の当時に調べたものでございますけれども,5大学ほどは行っていないというところがございます。ただ,5大学というところも,再任の場合には行わない,こういった大学も含みますので,実質的には9割程度の大学が意向投票を行っているという現状にございます。

【小林座長】  あと,いかがですか。

【松本座長代理】  ここにもほかの学長経験者がおられますので,あるいは,学長でない方でも意向投票には参加された方もおられると思いますので,よく御存じと思いますけれども,このいわゆる法律体系の中で理想的にいえば,やっていけるというはずだと,今,庄山委員の方からお話がございましたけれども,大学の法人の移行時には,昔からのシステムを大体つないだところが非常に多いのです。そうしますと,ここに書かれている各コンポーネントの役割が,もともと違ったはずのものが,同じ名前で継続されている,例えば,部局長会議もそうですし,ここに出てきましたけれども,評議会のメンバーも,各部局の代表というふうに昔は行われていたところが多いのですね。そのまま引き継いで,教育研究評議会が出来上がっていると。ところが,この趣旨は,本来は大学全体のことを審議する場ですよというふうに書いてあるのですけど,実態的には,部局から出てきているという感じがありますので,それと似たようなことが,意向投票にもありまして,各部局に属している人が,全学のことを余り知らずに,自分の部局の知っている人,実質的にはそこの長に投票するということがどうしても増えるのですね。だから,コンポーネントが十分,一から一斉にスタートして成立したものではありませんので,それを調和させるという時間がかなり必要ではないかというふうに感じております。

【小林座長】  ありがとうございます。先生,お願いします。

【羽入委員】  松本先生のところはとても大きい大学でいらっしゃいまして,私たちのところは非常に小規模な大学でございます。私どもの大学では,今回の改正の趣旨に添って学長選考会議はかなり議論を重ねてくださいまして,結果的には,意向調査のようなことも行いましたけれども,それをどういう扱いにするかということは,事前に十分に審議しております。大学によって,非常に異なった対応になっている過渡期の段階ではないかと思っております。

【小林座長】  ありがとうございます。あと,よろしゅうございますか。

【金子委員】  今の意向投票の件ですが,まず最初に,私は,今の改正前の法令でも,ほとんどの大学,国立大学のほとんど全ての大学で学長選考会議が最終的に学長を決定するという原則は徹底されていたと思います。それがないということは全くないと思います。ただ,その間に,意向投票が何らかの形で行われる場合が多かったことは事実です。ただ,意向投票につきましても,実はかなりの大学,これはいろいろな大学で,非常にバリエーションがあるわけでありますけれども,従来の形態では,例えば,個人個人の学長に対する意向と,それから,部局単位での意向というのを分けるために,様々な工夫をして,非常にそれが,非常に煩雑な手続を作っていることは事実でありますけれども,そういったことも行われていました。しかしこれは実はかなり大手の私立大学でも全く同じようなことが行われています。こういった点を整理するということは必要,自明だと思いますが,ただ,現在の制度でも,あるいはこれから行われるような制度でも,選考会議が意向投票をどのように使うかという方向については,相当な幅があるわけでありまして,一律に,選考会議に相当なというか,非常に大きな権限が与えられているのが現状だと思います。これに対して,意向投票を全く行わないとかいうような形での制限を掛けることは実はかなり難しいのではないかなと私は感じます。以上です。

【小林座長】  ありがとうございます。それでは,冒頭にちょっと御案内しましたけれども,残りの時間で皆様から今後の会議の進め方ということに関する御意見を頂戴できればと思います。特に,今後,本検討会議におきまして,もう既に,松本先生以下,いろいろお話し承っていますけれども,どのような方からどのような点についてヒアリングを実施するのがよいと考えるか,委員の皆様の課題認識も合わせてお伺いできればと思います。多様なメンバーが参加するこの会議としましては,各大学における緊張感あるガバナンスを実現するためにも,積極的なメッセージを取りまとめて,各国立大学に発信していくべきかと思います。このような観点から,私としましては,この会議にも国立大学の学長を経験されている委員がいらっしゃいますので,そうした委員の皆様,あるいはその他,国立大学の学長経験者からの話をお聞かせいただきながら議論をまとめていければと思っておりますけれども。今後の進め方に関して,是非皆様から御意見を承りたいと思います。先生,どうぞ。

【白井委員】  今の意向投票とか,学長を最後に選ぶのはどこかということですけれども,これは学長選考会議で選ぶというプロセスははっきりしているわけです。学長選考会議は業務の執行状況の報告を受けるものだとするというふうに書かれているのですが,これまでの通常の大学では,例えば,私学でもそうですが,学長選考会議というか,そういう会議体があります。それで選んでいますけれども,基本的には学内の選挙であったりもする。学内の選挙の場合は,構成員,教授会メンバーみたいなのは,学長が何やっているか,同時に見ているわけだから,確かにある程度チェックもされているし,そういう手段もあるということですけれども,学長選考会議というのが学外委員の方も半分も含まれて,構成されて業務が行われていくとすると,それは恒常的な組織としてあったとしても,業務のチェックというのは,どういうふうにやるかということは問題になる。これについて,数行しか書いてないのだけれども,このやり方は,考え方によっては,現状よりも悪くなるということも考えられるので,そこはどうするのでしょうか。

【小林座長】  平野さん,どうぞ。

【平野国立大学法人支援課課長補佐】  学長選考会議による業務執行状況の確認というところは,施行通知でもお知らせをしているところでございます。そもそも,学長選考会議のメンバーは,学外者は経営協議会の委員という形でもございます。今回,経営協議会の運用改善ということも併せてお願いをしておりまして,しっかりと学長選考会議の委員でもある経営協議会の委員にも,大学の状況というのを事細かに丁寧に説明をしていくということでございます。また,実際,学長選考会議がどれぐらいの形でどう評価をするのかというのは,大学が自主的に判断することではございますけれども,例えば,最初に学長を選考するときの基準というものを決めることになってございますので,そういった基準というのを満たしているかどうかというような御判断もあるかもしれませんし,また,国立大学法人評価や自己点検評価,監事による監査,このような大学の執行状況というものを取り巻く様々な情報というものがございますので,こういったものをうまく使っていただく。また,場合によっては,学長選考会議が改めて学長にヒアリングを行って,そのような中で学長がしっかり業務を果たしているか,また,ちょっと遅れがちな点があればどのような形で助言をしていくか,このようなことを考えていただくということで,経営協議会の運用改善というところと組み合わせてやっていっていただきたいと考えているところでございます。

【白井委員】  現実には,経営協議会のメンバーの中から学長選考会議もかなりメンバーが出ますね。それから,半分は教授等々から出てくるから,日常業務的にいえば,かなりの情報は伝わっているではないかということにはなる。そうなると,一層,学長選考会議が持っている権限というのかな,その責任というのか,そういうものは,最終的にどのぐらいチェックすればいいのかというのはあいまいで,これまで余りコミットしていないと思うのです。最初はもちろん慎重にしっかり選ぶということはおやりになる,やっていただけるわけだけれども,あとは経営協議会の中でやるとか,評議会もあるかもしれないけど,そういう場面でのチェックです。会議体,メンバーがダブるんですよね。だから,そこは,いつもあんまりすっきりした感じがしません。

【金子委員】  よろしいですか。

【小林座長】  はい,どうぞ。

【金子委員】  学長選考会議が学長の罷免に関して権限を持つという解釈は,実はかなり新しいものだと私は思います。だし,この法人法が成立したときに,ちょっとそういう問題意識を持っておりましたが。私は,現在の学長が選ばれたとき,東京大学の学長選考会議に入っておりましたが,そのときに,選ばれた学長に対する監督権限はどこにあるのかということは,やはり議論になりまして,私は,選考会議が,やはり,むしろ常任の機関としてそういう権限を持つのではないかということを言いましたが,法学部のかなり偉い先生はそれは違うというふうにおっしゃっていました。その時点では相当大きな差があったと思います。基本的な問題は,国立大学法人は理事会を持っていないということです。現行の役員会は学長が任命する機関でありますから,学長を監督する位置にない。強いて言えば,文科大臣が一定の中期目標,中期計画を媒介として,文科大臣が学長を監督する権限を持っているのだと思いますけれども,しかし,直接に,それは学長を監督するわけではない。そういう意味で,非常に特殊な形態を持っている法人であるであるために,今,このような問題が生じるということだろうと思うのです。そういう意味では,決して,すっきりした組織にはなり得ないという側面があるということは留意しておくべき点だと思います。

【西川委員】  ちょっとすみません。

【小林座長】  はい,どうぞ。

【西川委員】  座長にお願いなのですけれども,今後の進め方のことについて,何か意見があるかということで,そのことで。国内のことはここにそうそうたるメンバーの方がいらっしゃるので,外からわざわざ呼ばなくてもここで議論すればいいと思うのです。ところで関連法案を作るときに,文科省は当然やられたこととは思うのですけれども,今,グローバル化とか,いろいろな国際競争に勝っていかないといけないとか,そういうことが言われていて,昔からの大学と,ちょっと大分,状況は変わってきているのじゃないかと思うのです。そのときに,例えば,アメリカの大学でもトップを選ぶ選び方というのは,相当工夫してやっているはずで,向こうも公立と私立とがあって,様々だと思うのですが,そういうことに詳しい人,例えば,大学のそういうプロセスに実際に関わった人の意見を聞くのが良いかと思います。東北大学は経営協議会に,時期は違って,一人ずつですけど,スタンフォード大学からの人を経営協議会のメンバーにしていたり,フランスの企業の人をメンバーにしたことがあり,結構,役に立ちました。ちょっと,そのグローバルな観点からそういうことに知見のある方の意見を聞きたいなというふうに思います。

【小林座長】  それは僕もいいと思いますけれども,平野さん,どうですか。

【平野国立大学法人支援課課長補佐】  今の御意見も踏まえまして,検討をさせていただきたいと思います。大分,中央教育審議会の議論のときにも,諸外国のガバナンスの在り方というのは議論になったところでございますので,またそういったものも合わせて配付をさせていただいて,御理解が深まるような形で運営をしていきたいというふうに考えてございます。

【小林座長】  それで,今,金子委員がおっしゃったことに関しては,今後の議論の中で,非常に粛々にやればいいんだけど,本来的には,学長選考会議が,さっきのおっしゃった,学長の監督というとちょっとあれですけど,監査・監督をやるということなのでしょうね。基本的にそういうことでしょう。それ以外,ないので,罷免権もあるわけでしょう。

【平野国立大学法人支援課課長補佐】  金子委員がおっしゃいましたように,直接,国が監督するというのは,憲法上の問題,また,学問の自由・大学の自治という問題から難しいということと,あとは,やはり,大学の自治というものを考えますと,外部の諸勢力ということではなく,大学自らが統治をしていくというところとをどう両立していくのかということになりますと,学長はもちろん,選ばれたら選ばれっぱなしということではなくて,選んだ責任者として学長選考会議が関与していくということが制度の立て付けかというふうに存じております。

【小林座長】  北城委員。

【北城委員】  小林座長がおっしゃっておられるように,委員の中に国立大学の学長を御経験されている松本先生と濵口先生と羽入先生がおられますので,これまでの御経験の中で学長選考会議の在り方を含めて,国立大学の運営について改善すべき点があればお話しいただけたらいいと思います。お三人の方にはそれぞれ時間を使ってお話しいただきたいと思うのです。その他にも,国立大学で特別な運営体系を取っているところがあればお話をお伺いしたいと思います。例えば,東北大学などの学長選考の仕組みは,他の大学と多少違うところもあるようなので,そういうお話を聞いてもいいと思うのです。それから,西川委員がおっしゃったように,アメリカの大学の学長選考の仕組みは,大分,日本の国内とは違います。アメリカの公立も違います。更に私学は,大分違った体系を取っていて,私の見たところ,ハーバードとかイエールは学外委員が過半数の学長選考会議が学長を選んでいます。その辺の実情も,文科省が情報を持っておられると思うので,出していただいて,議論したらいいと思います。

【小林座長】  ありがとうございます。

【松本座長代理】  選考会議の在り方について,大変関心が強まったここ一,二年だと思うのですけれども,金子先生の御発言にありましたように,中に入ってそこの選考会議の様子を知るという人はごく限られた人なのですね。例えば,本学の場合は,執行部とか学長は入れませんから,何が行われているのかということは分かりません。アウトプットとインプットだけは聞かされているわけですけれども,途中経過は全く分からないです。ですから,私は,そういった学内を長らく見てきた人たちに加えて,とりわけ,学外から学長選考会議に入られた方々の御意見というのを一度聞いてみるのはよろしいんじゃないかと思います。

【小林座長】  はい,羽入先生。

【羽入委員】  私も今の松本先生の御意見に賛成で,例えば,学長選考会議の議長をなさった学外の方は学内の意見と学外の意見を調整するのにとても苦労なさっていらっしゃると思うのです。そういう方のお話を私は是非伺いたいと思います。

【小林座長】  ありがとうございます。まだまだ御意見があるかと思いますが,予定の時間が来ております。ただいまの御意見を踏まえまして,次回以降のヒアリングの人選につきましては,松本座長代理とも御相談の上,こちらで事務局と決めていきたいと思いますので,御了解いただきたいと思います。それでは,事務局から今後の日程等につきまして,連絡事項ありましたらよろしくお願いします。

【平野国立大学法人支援課課長補佐】  本日は活発な御議論を頂きまして,誠にありがとうございました。次回の開催は年明けということになりますが,今,各委員から頂きましたところを座長とも調整させていただいた上で,改めて御連絡をさせていただきますので,引き続きよろしくお願いいたします。

【小林座長】  それでは,本日はどうもありがとうございました。

―― 了 ――
                                                                               

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