学生への経済的支援の在り方に関する検討会(第11回) 議事録

1.日時

平成26年5月26日(月曜日)15時~17時

2.場所

15F特別会議室(文部科学省 東館15階)
(千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 所得連動返還型奨学金について
  2. 一層の返還困難者対策について
  3. その他

4.出席者

委員

相川委員、奥舎委員、小林委員、中村委員、濱田委員、前原委員、松本委員

杉野理事長代理(日本学生支援機構)、甲野理事(日本学生支援機構)、石矢奨学事業本部長(日本学生支援機構)

文部科学省

吉田高等教育局長、渡辺学生・留学生課長、田中学生・留学生課長補佐、渕村学生・留学生課長補佐

5.議事録

学生への経済的支援の在り方に関する検討会(第11回)
平成26年5月26日


【小林主査】  それでは,定刻になりましたので,ただいまから学生への経済的支援の在り方に関する検討会,第11回を,開催いたしたいと思います。
 大変蒸し暑いところ御出席いただき,誠に恐縮ですが,本日もかなり熱気のある議論ができるのではないかと期待しておりますので,どうぞよろしくお願いいたします。
 本日も日本学生支援機構の関係者が陪席しておりますので,御了承いただきたいと思います。
 では,これから個別の論点ということで,本日は4点ほどあります。まず,議事を始めるに当たり,配付資料の確認を事務局よりお願いいたします。

【田中課長補佐】  失礼いたします。配付資料の確認でございますが,お手元の議事次第を御覧いただければと存じます。配付資料が1から5,それから参考資料1がございます。
 まず,参考資料1を御覧いただければと思います。前回,前々回もお配りしたものですが,本日の個別論点のメニューということでお示しさせていただいております。具体的には網掛けになった部分(ホームページ掲載配付資料では下線部分)でございますが,所得連動返還型奨学金について,次に,一層の返還困難者対策について,それから,その他にということで,民間の奨学団体の話と,前回,奥舎先生からお話もありましたけれども,借入額が高額になった場合のケースについての対応ということで,全部で4種類の資料を御用意させていただいております。対応するものは資料1から資料4までということになっております。過不足等ございましたら,事務局の方へお申し付けいただければと存じます。
 参考資料2は,先週,5月16日の教育再生実行会議での下村文部科学大臣のプレゼン資料でございます。これを添付しております。本日の論点に関係するものということで,所得連動返還型のお話等が一番後ろと後ろから2枚目に入っておりますので,これも参考ということでお配りさせていただいております。
 以上であります。

【小林主査】  どうもありがとうございました。
 それでは,早速,議事に入りたいと思います。本日はまず,議題1として,所得連動返還型奨学金について,議題2として,一層の返還困難者対策について,そして,議題3について,その他2点を御議論いただく予定であります。
 まず,議題1の所得連動返還型奨学金についての検討を行いたいと思います。事務局より資料1の説明,よろしくお願いいたします。

【田中課長補佐】  失礼いたします。それでは,資料1に沿って御説明したいと思います。なるべく議論の時間を長く確保したいという観点から,簡略に御説明申し上げたいと思っております。
 柔軟な「所得連動返還型奨学金制度」の主な論点についてということでございますが,第8回の議論の中で一度お示しさせていただいたものについて,もう少し論点等を細かく書いたものと御理解をいただければと思います。
 まず,導入までのスケジュールでございますが,前回お配りしたものよりももう少し緻密に,細かく書いております。
 まず,平成26年度でございます。白丸と黒丸とありますが,白丸が全体の制度設計に関するもの,黒丸がそれに連動したシステム,JASSOの奨学金システムでございますが,具体的なコンピューターのハードウエアをどのように設計するのかということについてです。今年度において,まず,大まかな制度の設計が必要で,その後,それを踏まえた大まかなシステムの構想の策定ということでございます。
 また,来年度,27年度に入りますが,具体の制度の設計については,各学校に周知を図っていく。システムの方についても,大まかな基本的なプランに基づいて基本の設計の開発ということが予定されております。平成28年度には番号制度に関する総合運用テストというものが予定されておりまして,これに合流するように平成27年度中のシステムの設計が必要ということでございます。
 また,平成28年度については,各学校への周知を踏まえて,平成28年度の予約採用,具体的には平成29年度に学生さんになる方から新制度を適用していってはどうかと考えていますので,そのための予約採用を行います。それに連動してシステムの詳細設計を行うということが必要になっています。
 そして,平成30年度以降に,より一層柔軟な所得連動返還型奨学金システムの運用による返還が開始されるという段取りになっています。
 続きまして,具体に議論いただきたいテーマでございます。具体的には5点ほど設定しておりますが,前回に加えて加筆したところを中心に御説明したいと思います。
 まず,テーマ1の対象となる奨学金についてです。有利子奨学金を対象とするか否かというところでございますが,論点1の青字の部分(ホームページ掲載配付資料では下線部分)でございます。これは大きい話でございますが,仮に有利子奨学金を対象としないとした場合,社会的にどのように説明するのか。やはり有利子と無利子で,これだけ大きい制度の違いというものを設けるというのは,社会的に受け入れられるものなのかどうかということは考える必要がございます。
 また,論点の2番目でございます。低所得者は,返還月額が少額になり,その分,返還期間が長期化することになります。有利子奨学金の場合にはその際の利息の増加分について,これを誰がどのように負担するのかということも,考えなければいけないという論点があると考えています。
 おめくりいただきまして,テーマ2の対象者でございます。前のところにも少し関係するところでありますが,前回,大きく三つお示しさせていただきました。新制度への移行についてということで,全員の適用を必須とするか。既に返還を開始している者も対象とするのかどうか。あるいは,新規の採用者,新規に返還を開始した者のみを対象にするのかという話が,論点の3です。制度開始後の新規返還者のみを対象とする,既に返還段階に入っている者は対象としないといった場合,経済的困窮者を救済するという趣旨が達成できないのではないか。大きな問題があるのではないか。一方で,既に返還段階に入っている方々に対しては,JASSOの方では,マイナンバーを把握することができないということがありますので,返還者側からマイナンバーをJASSOへ申請していただいて,申請があった方々について対象としてはどうかというような点を記載させていただいております。
 また,論点4でございますけれど,収入等の確認が困難である者,例えば海外の居住者の方々等は,マイナンバーから情報を把握することは困難です。こういった方々に対しては何らかの別の方策を考えなければいけないのではないかということが考えられるということであります。
 次のページでございます。テーマ3の返還開始のしきい値でございますが,返還開始の所得金額の設定に関連してです。論点5ということでお示ししておりますが,マイナンバーからの収入等について,収入は把握することが可能でありますけれども,個々具体の返還者の方々の支出について把握することはなかなか難しい。個別の事情で,例えば,住宅ローンを抱えている,あるいは,家に介護をしなければならない親御さんなどがいるといった支出の状況について把握ができないということもあります。それらも含めて,可能な限り経済状況を把握するような方策を考えるべきではないのかということを記載させていただいております。
 続きまして,テーマ4でございます。継続返還した者に対する免除ということですが,論点6ということで設定させていただきました。今年度から,重複貸与の制限を緩和して運用し,社会人の学び直しについて無利子奨学金をもう一度貸与するということを可能にしているところでありますが,そういった場合,返還者の高齢化が進むことも考えられます。例えば30歳半ばぐらいで,もう一度学び直しということで大学ないしは大学院に入る場合,通常20年の返還期間を設定すると,返還の終了が50歳や60歳になる可能性も当然ある。そういった方に貸与を認める一方で,返還の期間に上限を設けてしまうとなかなか回収が進まないのではないか。そういった事柄も考えられるということで,論点6ということで設定させていただきました。
 最後のページでございます。返還月額の設定でございます。端的に申し上げますと,タイムラグがどうしても生じてしまうということで論点7を設定させていただいております。マイナンバー制度からある年度の所得の情報を取得できる時期は,その翌年度の中頃ぐらい,6月ぐらいということが見込まれます。そこからスタートし,新たな返還月額の設定とすると考えますと,返還月額への反映はどうしても1年ないしは2年程度遅れるということが想定されます。そうすると結構大きなタイムラグになってしまうのではないか。それを踏まえた制度設計をするべきではないかということが考えられるということで記載させていただきました。
 雑駁(ざっぱく)ではございますが,説明は以上でございます。

【小林主査】  ありがとうございました。
 この所得連動返還型というのはかなり複雑な制度でありますし,日本学生支援機構奨学金も第一種,第二種とありまして,そこの組合せになりますので,かなり複雑なことになります。まず,今の御説明に対して御質問,不明確な点があれば,是非はっきりさせておいていただきたいと思います。何かございますか。
 ではまず,私の方から一つだけ少し確認ですが,この所得連動型の返還については,今の御説明ですと,第一種と第二種にどこまで適用するかという問題はともかくとして,基本的には全員にこれを適用するというような考え方でなされているように思うのですが,そういうことでよろしいのでしょうか。
 これは国によって考え方が全く違うわけで,アメリカの場合ですと,いろいろな返還プランの中から学生本人の申告によって選べます。そういうやり方をとっている国もあれば,イギリスのように一つしかない国もある。それぞれメリット,デメリットがありますので,この御提案としてはこのどちらを考えているかということを,まず,はっきりさせておいた方がいいかと思います。

【田中課長補佐】  申し上げます。具体に誰を対象にするのかという話でございますが,論点の中にも一つ出てきてまいりましたけれども,まず,少なくとも新しく返還の対象になる方々に対しては,事前に,貸与の段階ないしは返還の段階でマイナンバーを申告していただければ,それで,そのまま情報が利用でき,所得連動型での返還となるということになるかと思います。既に返還段階に入っている方で自分はこの新しい返還のスキームにのっとって返還したいという方については,事務的な問題もありますけれども,届出をしていただければ新たな返還の形の方にシフトしていく。反対に,今までどおり,原則どおりのやり方でいいというのであれば,それはそのままとし,現行の制度を併存させるということでございます。
 結論から申し上げますと,全部を全部,100%,所得連動返還型にシフトするというよりは,本人の返還の都合に応じて自由にやり方を選んでいただけるというような,柔軟な仕組みの方がよろしいのではないかと現在は考えています。

【小林主査】  これは,少し先の話になりますが,論点の4で,海外居住者等について,この所得連動返還型は非常に難点があるということはよく言われているわけです。ほかの国では,海外居住者等については別のやり方をとっているというような例も多くあります。ですから,そういったことも含めて,所得連動返還型については,原則はこれを返還プランとするけれど,例外として現行どおりだとか,いろいろなやり方もあるということですね。

【田中課長補佐】  はい。

【小林主査】  分かりました。
 それでは,対象となる奨学金のことからですが,これは非常に大きな問題でありまして,第一種と第二種は,全く違うわけでありますので,どこまで所得連動型の返還にのせるかという問題だろうと思います。第一種の方は,無利子ですから比較的分かりやすいのですが,問題は第二種の方です。これは利子がありますので,その辺を含めて,これも対象にすべきかどうかということについて御議論を頂けたらと思いますが,いかがでしょうか。
 少し補足いたしますと,有利子の場合,利子負担をどうするかという問題が当然付いて回るわけです。所得連動返還型は,低所得の場合,返還月額が少なくなりますので,貸与総額の全ては返し切れないとか,場合によっては利子も返せないというようなケースがあり得るわけです。そういう場合,飽くまで本人負担という形でやっていくと,かえって所得連動返還型は返還期間が長くなってしまうために利息分が大きくなってしまうという問題があります。利子補給という形で手当をするのか。しかしその場合,国の負担というものが大きくなるということが当然予想されますので,そのあたりをどう考えるかという問題です。
 奨学金の事業規模からいいますと,今は,第二種の方が圧倒的に大きくなっていますので,これを第二種に拡大するかどうかというのはかなり大きな論点だろうと思いますので,是非,御意見を頂きたいと思います。よろしくお願いします。
 なかなか大きな問題で,かつ難しい問題ですので,御意見を言いにくいというところもあるかと思いますが,機構としては,第二種まで拡大するということについて,どのような見解をお持ちか,もしあれば教えていただきたいのですが,いかがでしょうか。なかなか機構としても言いにくいですか。

【中村委員】  質問ですが,よろしいでしょうか。今までの打合せや,会議の中でも出てきていることですが,これはマイナンバー制度が導入されたら第二種も対象にするというお話ではなかったでしょうか。
 借りる側からすれば,できれば本当は無利子が有り難いのですが,有利子にせざるを得ない。我々も実際,現場でこの奨学金貸与というものに事務的に従事させてもらっていますが,第一種ですと枠が少ないものですから,是非,有利子でもいいから,その枠を増やしていただけないかということで要望を出させていただいて,このように拡大してもらってきています。それで,実際に拡大されたところで無利子にしてくれないかとは虫のいい話のように思われますけれども,本来,奨学金は無利子が原則だと思います。しかし,有利子もないと行き渡らないというところにきておりますので,このマイナンバー制度が運用開始されたときには,有利子もこの中に踏まえていただけるということだったと思いますが,いかがでしょうか。

【小林主査】  ありがとうございます。
 確かに,全体の論調としては所得連動返還型を有利子も含めて適用するということで進んできたかと思います。ただ,前々回,イギリスの例で私が御報告いたしましたように,制度設計の仕方によるのですが,かなり国庫負担分が増えるというような問題がありますので,ここでもう一回,改めて確認しておきたいと思います。この検討会として,第二種まで含めることとし,その場合は,制度設計にもよりますが,国庫負担を求めると,そういう合意がとれればその形で進めていきたいということですが,その点についていかがでしょうか。
 おっしゃるとおりに,第一種の方が根幹であるということは,繰り返し今までの文教政策の中でも出されておりますし,今の下村大臣もそういうことをおっしゃっていると思います。しかし,第二種の方はとにかく事業規模が大きいものですから,そこまで含めると,かなり制度設計も複雑になるということと,場合によっては国庫負担を求めなければいけないという問題があります。その辺に合意をとれればということでお尋ねしているわけですが,いかがでしょうか。
 どうぞ。

【奥舎委員】  有利子奨学金の利子分について,国庫負担が増えると思いますが,現行の制度のように貸付額も多額であったり,期間も長かったりしたら,必ず多額の国庫負担になると思います。ですから,私は,中村先生が言われましたが,有利子にも拡大すべきだけれども,貸付額の総額や貸付期間や,そういうものも総合的に含めて国庫負担を求めていくという形でないと,国庫負担は莫大(ばくだい)で計り知れないというか,計算できなくなるのではないかと思います。今のままの制度を温存したままそれを持っていくということは,非常に困難なところが出てくるのではないかと感じます。

【小林主査】  この論点は,確かに奥舎先生が言われるように,これだけ単独で実は存在しているわけではなくて,今おっしゃった貸付額,返還の期間や,逆に貸付けの期間,あるいは,後で出てきますしきい値とか,どれくらいの率を返してもらうかなど,いろいろな条件で大きく変わってきます。その辺は,具体的な制度設計はこれからというようなことになりますが,ただ,ここでは方針として,それでも第二種について所得連動返還型の対象にするのだという合意をとれればいいかと思いますが。

【奥舎委員】  私はもちろん,中村先生がおっしゃったように,そういう方向で進めていいのですが,貸与総額などの話が後ろにないと,少し気持ちの上で全面的に合意という感じはしません。

【中村委員】  もう一つ質問です。デメリットのところに「返還が減ることが予想される」とありますが,現状の未返還分と収支を出した場合に,やはりこれは減るのですか。返しやすい環境にはなるはずですので,その分で収支を考えた場合に,やはり総体としては減るのですね。

【渡辺課長】  それは,これから詳細な設計をしていく過程で詰めていく必要があるところです。現状は返還期限猶予の承認については,基本的に300万円を境にしています。300万円を超えると,一部の方は減額返還が利用できますが,例えば月々の返還月額が1万5,000円である方は,原則として1万5,000円を返還する必要があります。300万円より下の人は,返還期限猶予なり,あるいは減額返還を選択している人と割賦金額どおり返還している人がいます。これらの奨学金返還者から回収金が集まってくるわけですけれども,新しい制度の導入後の回収金額が,現状実際に集まっている回収金額を少なくとも下回らないように設計する必要は,確かにあると思います。
 それは,例えば300万円という,しきい値の問題の議論につながっていくと思います。現状,年収が300万円よりも下の方々については,確かに今は返還期限猶予の期間が最長10年間あるわけですけれども,これが将来的に所得連動返還型に変わってくると,恐らく一定の所得以下の方については返還を求めないという制度になるのが普通の考えだと思います。そうすると,300万円に行かない方の数が余り増え過ぎると,返還金が十分にないという可能性が出てくるので,そうなれば,しきい値を下げるということが考えられます。仮に300万円から200万円に下げた場合に,200万円から300万円の層の方については,例えば月々3,000円とか,少ない金額でも返還していただけるような設計にするなど,どれくらいの傾きにすれば,現状と同程度の返還金が回収できるかという計算が必要になってきます。
 ですから,そこはいずれにしても今後,御議論いただく必要があると思います。詳細な制度をどう設計していくのかということにかかってきます。

【中村委員】  その辺のバランスがちょっと見えないのですが。

【渡辺課長】  そこはいずれにしても,設計の仕方だと思います。制度を導入するということと,その制度をどのように導入するかというのは,また次のステップの議論になっていく必要があると思います。

【前原委員】  奥舎委員がおっしゃるように,いきなり広げてしまうと大変リスクが高いですよね。ですから,ちょっと狭めに制度をスタートして,例えば3年後,5年後,その結果を見て,更に広げるというような考え方もあっていいと思うのですが。導入時点で一遍に解決してしまうというのではなくて,回収金についてはこれからずっと続く問題ですから,制度としては作る。だけど,最初は限定的にやっておいて,結果を見ながら広げていくということをやれば,リスクは減ると思いますが。
 後でしきい値のことも議論されると思うのですけれども,皆さんも御覧になっていて分かると思いますが,自営業の場合は,数字はコントロールできてしまいます。ですから非常に問題があると思います。サラリーマンになった人はいいのですが,自営業みたいな形ですと,かなりたくさん収入があっても,300万円以下にコントロールできてしまうということもありますので,そういうことも含めて,いきなり大きく制度を作るよりも,段階的に広げるという発想を入れたら,問題は少なくなると思います。

【小林主査】  ありがとうございました。
 確かに,最初,中村先生の御意見ですけど,こういう様々な制度設計が考えられる状態なので,どうシミュレーションしてもかなり予測が当たらないという問題があります。

【前原委員】  そうです。分からない部分が多いですから。

【小林主査】  これは,私たちもイギリスに行ってかなり研究してきましたが,相当複雑な,いろいろな変数を入れて計算をしています。本日は経済学者の樋口先生がいらっしゃらないのですが,経済学のシミュレーションが当たらないのは複雑になり過ぎているからなのです。今のところ,そんなに難しいことを考えてはいないのですが,それでも将来的には,前原先生がおっしゃるように,回収リスクは相当あります。ですから,これからいろいろな試行を重ねて,シミュレーションも行い,どの程度返還ができるかということも当然考えていかなければいけないのですが,それでもまだリスクは残っているということですので,段階的な導入も検討の余地があると思います。貴重な御意見をありがとうございました。
 確かに,どこの国も,自営業の問題は本当に苦労していますので,それも併せて本当に考えなければいけない問題だろうと思っています。
 ほかに,この点についていかがでしょうか。

【松本委員】  制度設計の話ではないのですけれども,この制度がうまくいくかどうかというのが,やはりこのマイナンバー制度が定着するか,うまく回るか,ここにかかっていると思います。エビデンスはマイナンバーしかないわけですから,そこで今の段階で踏み切っていいのかなという不安が少しあります。
 それからもう1点,今の論点で言う第一種,第二種,両方を対象にするかというのは,これはやはり社会的ニーズで決まる問題なのだろうと思います。そうすると,今までの検討経過で言えば,やはりここまで広げてしまっていいのかなという思いはありますが,日本における奨学金制度の全体,第一種,第二種を対象にせざるを得ないだろうと思います。それを前提にしないと,有利子まではやめておきましょうよという論点に戻してしまうと,なかなかこの制度全体が先に行かないのではないかと思います。

【小林主査】  大変貴重な御意見をありがとうございました。 おっしゃるとおり,マイナンバー制度がまだ見えてきていないのです。例えば,どういう情報がどういう形で提供されるかということもまだ詳細には決まっていませんので,どこまで提供できるかということによって制度設計も相当変わってきます。ただ,最初のスケジュールのところにありますように,もし平成29年度から新制度を適用しようとすると,実は今年のうちに,こういう形でやるという制度設計をやっておかないと間に合わないという現実的な問題があります。これが遅れていいということでしたら,もう少しやり方はあるかと思いますけれど,もし平成29年度から適用するという形になると,マイナンバー制度の詳細が決まらない今年のうちにも,所得連動返還型についてはある程度大まかなことだけは決めておかなければいけない。そういう一種のジレンマがあります。
 第一種,第二種については,確かに全部拡大することについていろいろな意見があると思いますけれど,少なくとも大まかな制度設計はしておかなければいけないだろうと,そういう立場で考えております。これを具体的にやるかどうかは,それぞれの社会的な事情でありますとか,あるいは,先ほど私が最初に質問しましたように,申告制にするのか,全員適用にするのかとか,そういう問題も含めてこれから具体的に詰めていかなければいけないと思っております。
 ほかに御意見ございませんでしょうか。どうぞ。

【濱田委員】  今おっしゃいましたように,大きな枠の中に置いて全体的に適用するという考え方でよろしいのではないかと思うのですが,しかし,適用対象となる返還者は,状況によって選択できるオプション例を幾つか作るというところに制度設計としては落ち着かざるを得ないのではないのかという感じがしています。いかがなものでしょうか。

【小林主査】  これは,先ほどありましたように,オプションをできるだけ作るということで考えています。ただ,ここが何回も御議論を頂いた点ですが,余り複雑にすると,かえって何が何だか分からなくなるという問題があります。そこでまた違う意味のジレンマがありまして,シンプルだと非常に分かりやすくていいが,いろいろなオプションがなくて大変だと。ところが,複雑にすると,今度は情報格差が生まれてしまって,そこのあたりでどのようなバランスをとってくるかというような問題です。
 それから,先ほど奥舎先生が言われた,貸与額の上限の問題や情報提供など,いろいろなものがセットになってオプションを作るということにしないと多分うまくいかないと思いますので,その辺はまた御議論を頂ければと思います。

【濱田委員】  私も,決してオプションをたくさん作るというつもりはないのですが,第一種,第二種に対するニーズの変化というものを勘案したような返還方式というのが選べるということも考え方としてはあっていいのではないかということを申し上げたい。

【小林主査】  ありがとうございます。
 それは是非,そういう形で検討することになるかと思います。
 次の論点に移ります。次のページになりますが,論点3,先ほどの議論の中に既に含まれておりますが,返還中の者については申請者のみでいいというのが原案として出されています。これは逆に言うと,そうせざるを得ないのではないかと思いますが,いかがでしょうか。
 どうぞ。

【相川委員】  いろいろな制度が変わり新しい制度ができるときというのは,やはり今までの借りている学生と,これから借りようとする学生の間で,どうしても谷間ができます。ただ,全体に対して採用,適用していくのだということで,先ほどから出ているように,制度の申告をするという方法をきちんと学生に提示していただければ,学生や保護者がそれを比較して選択していくという形で私はいいのではないかなと思います。

【小林主査】  ありがとうございました。
 この検討会で何回も出てきましたように,情報を提供するなり,あるいは,もう少し積極的にガイダンスするなりしないと,またこの情報格差の問題が生まれてしまうので,移行についても,その辺を慎重に考えていかなければいけないと思います。そういった条件を十分満たすということを前提にして申告主義にするということだろうと思いますが,いかがでしょうか。
 それから,論点4ですが,収入等の確認が困難である場合は,どこの国も所得連動返還型の適用は難しいということで実は余り行っていません。これは今までどおりのやり方をせざるを得ないのではないかと思います。
 JASSOでは,現在,そういうようなケースはどのように対応されているか,お分かりでしたら教えていただきたいです。例えば海外居住者です。

【石矢奨学事業本部長】  現在,返還期限猶予制度では,300万円以下の収入であれば,経済困難ということで返還期限が猶予されます。年数は最長5年までだったのですが,これが今年度から10年に延長されます。海外で,所得が300万円以下であれば,猶予制度を適用しているという状況になります。

【小林主査】  そもそも,海外に居住している方がきちんと返還されているかどうかということですが,そのあたりの状況はいかがでしょうか。

【石矢奨学事業本部長】  これは,返還者の連絡先は国内の連絡先というのが原則でありまして,海外に渡航する前に日本国内の金融機関で口座振替手続を行うように依頼し,返還してもらっています。そのため,海外まで機構から返還の督促状とかそういった通知文を送るというようなケースは非常に少ない。ですから,基本的には国内で処理しているという状態です。

【小林主査】  そうすると,国内に全く連絡先がなくて,本当に海外に出てしまったと,単身で,家族も国内にはおらず,連絡がつかないと,そのようなケースというのもかなりあるのでしょうか。

【石矢奨学事業本部長】  国内では連絡がつかなくても,本人からの届出により機構に海外住所が登録されていれば,直接海外の住所に通知等を送付し返還のお願いをします。

【小林主査】  逆に言うと,それしか,ほかの国もやり方がないのです。いわば,自主的な返還をお願いせざるを得ないというようなことになっていて,どこの国でも大体そういう状況なのです。
 ただ,パスポートコントロールのところでそういうことをやろうという話はイギリスなどEUの国で聞いたことはあるのですが,現実にはそこまでもできていない。つまり,どういうことかといいますと,一旦海外に出てしまって,所得連動型にもひっかからないので,返済をしていないという人が,万が一,自国に戻ってきたときにパスポートコントロールでそれを明らかにしようと,そのようなことを考えているということは聞いたことがあります。現実の問題としては,現在のシステムでは,そこまではとてもできていないということだろうと思いますので,これは少し努力するとしか言いようがないのではないかと思うのですが。
 今のお話ですと,機構でも,原則は国内で,海外の方については,何か督促することはあるかもしれないけど,そんなに積極的にやっているわけではないということです。

【石矢奨学事業本部長】  ええ,そうですね。原則,日本国内の銀行口座から引き落としという仕組みをとっていますから,海外に行かれるときは,その期間分ぐらい入金しておいてください,口座に入れておいてくださいというような指導はしています。

【小林主査】  すみません。余り時間を掛けてもしようがないのですが,日本に戻ってこられることを前提にしている人は,多分,返すということを考えていると思うのですが,一番困るのは,海外に行きっ放しになってしまう日本人が出てくると,その人からは取れないと,そういう問題なのです。ただ,有効な手だてというのはなかなか難しいと思いますので,そういうことにならざるを得ないかなと思います。つまり,現行制度でも難しいということだろうと思います。しかし,返還していただくための努力はし続ける必要があります。
 よろしいでしょうか。
 次の大きな問題は,しきい値とか,具体的な設計で,これは細かく言い出すと切りがないので,大きなところだけ,是非,方向性を決めていただきたいと思っています。そこにありますように,所得連動返還型は,申請しなくても自動的に猶予になるという意味では,ある意味でセーフティーネットの機能を果たすことができるわけですが,逆に言いますと,しきい値の設定を誤ると,非常に長く猶予が続くということになってしまいます。あるいは回収できる返還金額が少ないというような問題になってしまいますので,できるだけしきい値を低く設定したいということを当然,回収側としては考えるわけですが,余りにも低くすると,今度は所得連動返還型の効果というものが薄れてしまうという問題があるわけです。ですから,これをどう考えるかというのは国によって相当違います。
 この前,御紹介しましたように,イギリスの場合,しきい値を1.5万ポンドから2.1万ポンドに引き上げて,現行の円水準で言いますと400万円近くまで引き上げたわけです。そうすると当然,返さなくて済む人,猶予期間中の人が増えてくるので,未返済率が非常に上がるということが懸念されていると,そういう問題があるわけです。
 オーストラリアも現在の日本円の400万円に近いのですが,これは所得だけで考えて,ほかの条件は余り考慮しないためにかなり高く設定しているということがあります。それから,これは奥舎先生の御意見とも関係するのですが,オーストラリアの場合は,これまでは授業料相当額がかなり低いので,返還する金額が小さいのです。ですから,比較的短く,7年から8年で返せてしまうということがあったので,この問題が余り表面化しなかったわけです。
 ただ,日本の場合ですと,返還金額も多くなっているということもありますし,しきい値を今,300万円にしているわけですけど,これをどういう考え方でやっていったらいいかというのは非常に大きな問題ですので,是非,御意見を頂きたいと思っているわけです。
 先ほど申し上げましたように,マイナンバー制度が実際,どの程度活用できるかがまだ決まっていませんが,論点のところにありますように,使える情報があればできるだけ使っていくということは当然だろうと思いますが,例えば,ここで少し議論になりましたが,奨学生個人の所得で見るのか,それとも世帯として見る方がいいのか,これは大きな議論だろうと思います。そのあたりはいかがでしょうか。
 これは,国によって違います。アメリカは家族人数というのを考慮してやりますし,イギリスとオーストラリアは個人主義で全く考慮しません。そのあたり,日本に合ったやり方というのはどういうものかということですが。
 なかなか難しいと思います。というのは,考慮すべき条件が非常に多過ぎるのです。先ほど御意見を頂いたように,実際の具体的なものがないと,なかなか,抽象的にしきい値は上がいいか,下がいいかとか言われても非常に難しいと思いますので,もう少し私と事務局の方で,先ほど申した外国の例も含めて検討して,こういうことを考慮しなければいけない,あるいはこういう条件がありますというようなことをお示しして,また少し御議論いただくということでいかがでしょうか。本日のところは,これだけで議論するというのはちょっと難しいかと思いますので。

【奥舎委員】  300万円の額というのは,たしか,私の勘違いかも分かりませんが,教育格差が300万円から400万円を境にして相当出るという額からきたのではなかったでしょうか。

【小林主査】  それは,すみません,現行のしきい値の300万円というのはどのように決まったかということですけど,事務局でお分かりでしょうか。

【奥舎委員】  たしか,一世帯の年収において,教育格差が非常に顕著に表れる額が300万円から400万円の間で,500万円を超えたら違うけれど,ここが境目になっているというようなことであったかなと思うのですが,そうでしたか。

【相川委員】  そうだったように思います。

【奥舎委員】  そうですね。

【中村委員】  そういう説明がありました。

【小林主査】  私たちの行った調査ですと,所得については比較的直線的なので,特にどこで切れるという感じではなかったと思います。ただ,例えば200万円以下となると進学率は相当下がりますし,確かに300万円,400万円とだんだん上がっていくのですけれども,特に切れ目があるということではなかったと思います。

【奥舎委員】  その場合,300万円という数値は世帯年収ですか。

【小林主査】  そうです。私たちの方は世帯で調査しましたので,世帯です。

【渡辺課長】  ただ,この現行のしきい値は返還開始時の本人の年収なので,その子供が学齢期,あるいは大学に行くところの世帯の年収とは大分違うと思うのです。

【前原委員】  新入社員の頃でしょう。

【渡辺課長】  ええ。なので,確かに,先生がおっしゃるように300万円についての根拠をちょっと調べて,次回以降にもう一度,情報をお伝えします。その上で,子供が大学に進学する世代と返し始める若い世代の人との考えは,少し整理して議論を進めようかなと思います。

【小林主査】  これは,先ほど言いましたようないろいろな要素がありまして,年収といっても年収の捉え方というのもいろいろあります。これは額面の年収を言っているので,手取りで言うと相当下がると思いますし,そのような議論も必要です。あるいは,今,課長が言われたように,子供を扶養していない時期と扶養している時期では同じ金額でも全然違いますので,その辺ももう少し整理してお示しした方がいいと思います。

【渡辺課長】  個人住民税の非課税の金額についても,単身であるのか,家族がいるのかで変わってまいりまして,例えば今年度から導入した高校の給付型奨学金や,幼児教育の無償の措置などは,大きな基準は,個人住民税の非課税世帯の収入がベースになっていますが,その場合は配偶者とお子さんが当然いらっしゃるので,奨学金の返還者ではそれとはちょっとまた違った整理が必要だと思います。

【小林主査】  それと,先ほど少し前原先生の方から出た自営業の問題ですね。これは実はかなり大きくて,現行でも基準は変えてあるわけです。ですから,それをやはり変える必要があるかどうかということで,これも少し整理して,出していって議論していただいた方がいいかと思いますが,問題提起として御意見を頂戴いたしまして,また出していきたいと思います。

【田中課長補佐】  300万円のしきい値の設定ですけれども,恐らく総務省の家計調査か何かだと思いますが,詳細はまた御報告させていただきます。家計の支出の全体の平均をとりまして,それが月額で大体25万円だと,これを12倍して300万円ということで,家計の支出をベースにしてこのしきい値を設定しているという考えだったかと思います。

【前原委員】  それは家賃なんかも入っていますか。

【田中課長補佐】  入っています。

【前原委員】  その場合,親元に住んでいるのと住んでいないのでものすごく違ってしまうのです。親元にいたら,300万円あったら楽だと思うのですが。

【小林主査】  それは,先ほどから出ているように,どこまで考慮するかです。またその違いで変えたりするとややこしくなりますので,そこが難しいところです。
 では次に,論点6ですが,これもなかなか難しい問題です。社会人の方に対してどのような形の方針がいいかということは,実はこれもかなり問題があるわけでありまして,例えば現行については,どのようになっているかということですが,これは特に制限はないということでよろしいのでしょうか。つまり,奨学金を借りることについて,年齢的な制限というものを設けていないということでよろしいですか。

【石矢奨学事業本部長】  はい。

【小林主査】  これは,いいか悪いかということではなくて,事実として申し上げますと,イギリスなどでは,50歳を超えると,あるいは55歳,すみません,今,正確な年齢を言えませんが,新しくローンを借りることができないというような制限を設けている国もあります。ですから,そのあたりのことも少し考えておく必要があるのではないかということなのです。
 逆にイギリスの場合ですと,30年間返済をして残額があった場合にはその返還を免除する,帳消しにしてしまうというルールがあります。アメリカの場合ですと20年間で,公共サービスに就いた場合は10年間で,その期間,返済を続けて残額があった場合にそれを免除するという制度があります。そういった制度がない国の例としては,オーストラリアの場合,本人が死亡するまでは続きます。日本の場合も基本的にはそうです。本人が死亡された場合には,その残務があればそれは消去されるということになるわけですが,そのあたりをどのように考えているかということで,これは,特に年金生活になった場合,年金から取り立てるということになってしまう可能性があるわけです。ですから,そこまでやる必要があるのかということの議論だと思います。
 アメリカの場合には,年金から取っていくとの最高裁判例が出ました。年金からも返還金を取るという,非常に苛酷な制度になっていますので,そのあたり,もう少し何か作っておいた方がいいのではないかという考えもあります。現行制度ですと,全くこういう帳消しルールがないので,そういうことになりかねないわけです。これはいかがでしょうか。

【前原委員】  やはり何らかのルールを決めておいた方がいいのではないでしょうか。最近,高齢者の学生も増えていますし。

【小林主査】  日本の場合,現行の方式ですと,亡くなるまで債務が続くのですよね。

【石矢奨学事業本部長】  そうですね。今の所得連動返還型無利子奨学金の返還者は,300万円以下の収入が続けば,本人の願い出により返還期限猶予が続くことになります。もし,その方が亡くなった場合は,連帯保証人,保証人に返還をお願いしますが,返還できない事情がある場合は,願い出により免除制度が適用になります。今の所得連動返還型無利子奨学金の返還者以外の返還者は,返還期限猶予が,今年度から,最長で10年間認められることになっていますけど,それ以上になると猶予は認めらません。

【小林主査】  本人死亡によって債務がなくなるというルールですか。

【石矢奨学事業本部長】  連帯保証人,保証人に返還できない事情があれば願い出により免除が適用されます。

【小林主査】  死ぬまで借金を背負っていかなければいけないというような制度で,これでいいのかと,そういう問題だと思いますけど。

【前原委員】  しかし,モラルリスクは排除した方がいいのではないでしょうか。

【小林主査】  ええ。そこは両立が難しいところです。余り認めてしまうと,モラルリスクという問題も起きますので。御指摘をありがとうございました。
 それから,最後に論点7についてもう少し補足的に御説明を申し上げますと,所得のデータというのはどうしても把握が遅れますので,そのあたりのことをどう考えるかということです。これはイギリスで聞いてきたことですが,ここに書いてあるようなことが起きています。つまり,所得を正確に捕捉できないというか,遅れるために,どうしても過徴収になってしまう,過払いになってしまうという問題が起きるということでした。現在は,過払いをもう一回,本人に返済するというような仕組みでやっているということで,非常に作業的にも無駄なことをしているということです。最後は返す金額は少なくなっていますので,27か月前に所得連動型を離脱して,そこはもう一定額とか,そういう形に変えるというようなことをやっているということで,そういうようなことも考えておくべきではなかろうかというようなことであります。
 それから,逆に,これはこの場でもお聞きしたことがあるのですが,本人が病気になったり,失業したりした場合には,例えば前年度の所得が非常に高くても当面は全く無収入ということはあり得るわけです。そういう場合,イギリスはどうしているのかということをお聞きしたら,そういうことは一切考慮しないそうです。所得連動型と言っている以上は所得に応じて払うべきなので,その年は無収入であっても,それは無関係だと。そういう意味では非常に厳しいルールになっています。
 ここでお聞きしたのは,所得連動返還型と既存の猶予制度と併用できるかどうかということなのですが。前に少しお伺いしたことがあるのですが,そういうことを認めるかどうかという問題だろうと思います。つまり,現在は,病気などの証明ができれば,前年度の所得が非常に高くても猶予になるわけですので。

【相川委員】  現在は,病気などの場合はどれぐらいの猶予の期間があるのですか。

【石矢奨学事業本部長】  病気により就労できない場合や生活保護の場合は無期限の猶予を認めています。
 所得連動返還型になっても,しきい値がどのくらいになるかは分かりませんが,300万円を超えた収入であったとしても,人によって病気になられたり,災害を受けられたり,いろいろな返還困難な状況が発生することが考えられます。300万円を超えた場合は定率でお返しいただくということではなくて,やはり個人の状況がいろいろ考えられるので,猶予制度は必要だと思います。

【小林主査】  前に御質問したときも,たしかそういうお答えだったと思うのですが,現行の猶予制度も維持するということですと,私の個人的な意見ですが,外国と比較してみても,日本の猶予制度というのはかなり寛大な制度でやっていると思うのです。それについて,ここでは確認だけしておけばいいと思うのですが,所得連動返還型を導入してもやはり現行の猶予制度もきちんと残しておくということですね。

【渡辺課長】  確認ですけれども,その場合,しきい値の金額の設定いかんでは300万円より下がる可能性もあるのですが,新しい所得連動返還型のしきい値の金額も考慮しながら,猶予制度の対象となる金額についても検討すると,そういう理解でよろしいでしょうか。

【小林主査】  課長が確認されたいのは,どのようなことでしょうか。

【渡辺課長】  すみません。私が確認したかったのはものすごく単純な話で,現状の返還期限猶予制度は300万円がしきい値になっていますけれども,所得連動の場合のしきい値が300万円より下回って,仮に200万円となった場合に,現行の返還期限猶予制度というのは300万円で,それをそのまま維持しようとすると,その300万円と200万円という二つのしきい値をどう整理すればいいかという問題です。

【小林主査】  それは,金額的な意味では整合性をとる必要があるのではないかと思います。
 今,病気,災害等,特別な場合の話題があって,そういう場合には現行制度を維持するということなので,そういう場合は過去の所得とは関係がなく,猶予するという意味で申し上げました。

【渡辺課長】  現状のような返還期限猶予制度も引き続き維持するものの,そのしきい値については,所得連動のしきい値と連動させてまた検討するということでしょうか。

【小林主査】  ええ。そういう理解でよろしいのではないでしょうか。もし変えると相当複雑な制度になりますから。
 こちらの方で少し抽象的に方針だけということで申し上げたので,かえって分かりにくかったかもしれません。また具体例については示させていただいてから御提案したいと思います。ありがとうございました。
 次に,議題の2は,一層の返還困難者対策についてです。今のこととも関係があるわけですけれど,これについて事務局より,資料2で説明をお願いいたします。

【田中課長補佐】  失礼いたします。お手元の資料2を御覧いただければと存じます。真に困窮している奨学金返還者への救済措置の充実ということで簡単に資料を作らせていただきました。構成としては二つございまして,まず,これまでどのような対応をしてきたのかということと,今後のより一層の返還困難者対策についての考え方ということで資料を作っています。
 まず一つ目,これまででございますけれども,今ほどの話にも非常に密接に関連しています。まず平成24年度から,今お話が出ておりました,現行の所得連動返還型無利子奨学金を導入しています。
 また,この検討会で御議論を頂いた結果でもございますけれども,平成26年度から,大きく四つの返還困難者対策を行っているところでございます。御覧のとおり,延滞金賦課率を10%から5%に引き下げているということ。それから,経済的困難を理由とした返還期限猶予の制限年数については,これまで最長5年だったのを10年に延長している。また,返還期限猶予制度の適用基準の緩和ということで,個別の事情等にもう少し配慮することで適用をなるべく進めていくということ。最後,延滞者への返還期限猶予制度の適用ということでございますが,これまでは延滞状況が解消しない限りは返還期限猶予制度を適用することはできなかったんですけれども,延滞が解消されなくても,とりあえずそれは凍結した上で返還期限猶予制度を適用させる。この4点を実施しています。
 それらの措置をしたということで,これについては,今後の適用状況の推移等をまずは見る必要があると考えております。それに加えて,より一層の返還困難者対策ということで何ができるのかということを事務局の方でも考えてみました。
 順序が入れ替わりになりますが,実際問題,何ができるのかということで,基本的に考えなければいけないスタンスは,まず,非常に困難ではあるけれども,返還の意欲を継続させることが重要ということです。元金が減らない限りは,延滞金が増えてしまい,利子も減りませんので,とにかく返還によりまずは元金をなるべく減らして,延滞金が雪だるま型に増えるということをなるべく避けるという方策が一つあるのではないかと思います。
 極論でございますけれども,元金よりも延滞金やその他のものの方が増えてしまうと,もう返してもしようがないと,さじを投げるような状況を招くことは避ける。とにかく返し続けていれば,間違いなく元金は減っていくということをしっかりPRすることで,さじを投げるというような状況はできるだけ避けたいという考え方です。
 順序が入れ替わりになってしまいましたけれども,少し背景を説明させていただきます。延滞金に焦点をあてて資料を作っております。延滞金の目的と機能は,従前,御案内のとおりでございますけれども,二つございます。一つは,インセンティブということで,返還を促進するということ,もう一つは,返還期日までに返還している者との公平性の確保ということで,ペナルティーの意味。この二つの要素があるということは,奨学金に限らず,ほかの延滞金についても同様のことが言えます。
 現行のJASSOの奨学金については,ここに記載しておりますように,その返還金については,民法第491条及び日本学生支援機構業務方法書の規定によって順序が決まっています。返還いただいたお金は,最初にまず,延滞金,それから利息,それから元金というような順序で充当されております。そのため,先ほど申し上げましたように,延滞が長期にわたっていて,延滞金や利息が多額になっているような場合については,返還金がどうしても延滞金や利息の方に充当されて,なかなか元金が減らず,元金が減らない分,延滞金がまた賦課されるというような状況に陥っている返還者もいます。こういった返還者のために,返還意欲を継続させるような措置が必要ではないかということを考えております。
 いろいろな方策はあるのではないかと考えられますけれども,その点について御議論いただければと思います。
 以上です。

【小林主査】  ありがとうございました。
 これはかなりいろいろな意見が出たわけですけれど,特にヒアリングで様々な御要望が出ました。それをできるだけ事務局として酌んで,既に平成26年度から実施されているものも相当あるわけですけれど,それ以外に,新たにあるとしたらどういうものかということです。充当の問題はここでも返還方式について,元金均等,元利均等,いろいろな御議論が出たと思います。何らかの形で元金が減るような仕組みや,延滞金が雪だるま式に増えていくようなことは望ましくないということで,そのあたりの方法を少し工夫したいという御提案だと思います。
 ここには入っていませんでしたが,私の方からの提案だったと記憶していますけれど,延滞金について上限を設けるということも考えていいのではないかと思います。つまり,元金以上に延滞金があるような場合ですと,当然,返すような意欲もなくなってしまい,ペナルティーとしての効果も余りないので,そのあたりはもう少し制度的な工夫が要るのではないかと思います。これについて,こういうやり方があるとか,このやり方の方がいいというようなことがありましたら是非,御意見を頂けますか。
 どうぞ。

【前原委員】  前回も申し上げたのですが,こういうやり方も一つあります。今の経済状況を考えると,労働市場は非常に好転しています。まず,延滞している人の年齢別人数を教えていただきたい。それから,延滞者が無職なのか,低収入なのか,あるいは病気なのかという情報をまず教えていただきたい。
 今,労働市場から見ると絶好のチャンスですが,放っておいてもなかなかいい就職はできないと思うのです。前も提言したのですが,現業を持っている警察庁とか,消防庁とか,防衛省などに頼んで,1年とか2年のインターンシップをやってもらえば,就職というのはかなりよくなる。防衛省は,考えてもいいと言っています。前の学生・留学生課長の松尾課長にも申し上げました。文科省だけで解決しようとしないで,国を挙げて,厚生労働次官にも申し上げたのですが,百数十万人いる無職の者をいかに就職させるかというのは日本の将来に非常に大きな影響を与えるので,それをやってほしいとお願いしているのですよ。もちろん負担が重くなった人を救うことは大事だけれども,もっと大事なことは,きちんと就職できるようにしてあげることだと私は思います。ですから,是非,文科省からそういう働き掛けをしていただき,こういう情報をきちんとつかんだ上で,地方自治に関わる総務省にも,そういう動きをしていただくと有り難いのですが。

【小林主査】  ありがとうございました。
 最初の延滞者に関するデータについては,今回出すことができなかったのですが,前回,相当「奨学金の延滞者に関する属性調査」について御議論を頂き,そのときに申し上げましたけど,数字としては少し注意しなければいけない部分がありますので,注意して見ていただきたいと思います。ただ,実際に年齢別に何人いるかとか,そういうものはJASSOの資料にあると思いますので,それは出していただけるかと思います。ただ,所得との関係というのは,今言いました「延滞者に関する属性調査」しかないということは,少し限界があるということだったと思います。
 それ以外に,確かに労働市場全体の問題で,これは文科省だけの問題ではないというのはおっしゃるとおりだと思います。

【前原委員】  今が,吸収していくチャンスだと思います。労働力が不足気味になっていますから。

【小林主査】  今の御意見に関しまして,文科省から何か特に発言はございますか。

【渡辺課長】  実はたまたま,本日の午前中,新宿にあります新卒応援ハローワーク,あそこは一方では外国人雇用のハローワークもやっていますが,そこに行ってきました。今は,文科省,厚労省,経産省の3省が連携して,新卒3年以内は新卒扱いで卒業された方も就職してもらうようにという努力をしています。他方で,卒業されてから大分時間がたった方々については,なかなか大学等からの働き掛けというのは厳しい状況にはありますが,御指摘のように,一人でも多くの方に働いていただくということはやはり大事なので,その観点から何ができるか考えたいと思います。

【前原委員】  防衛省は,2年コースを作ってもいいと言っています。ですから,是非,渡辺課長が中心になって各省へ働き掛けて,やっていただくと,私は日本国の将来に非常にプラスになると思います。

【渡辺課長】  考えてみます。

【田中課長補佐】  すみません。データは,今,前原先生から御指摘いただいた全てにお答えできるものではないですが,実際に延滞している人の就職の状況というようなお話がありました。前回にお配りした資料の「延滞者に関する属性調査」の中で数字はとっていまして,ただ母集団が少ないので,傾向としてというようにお考えいただければと思います。平成24年度に延滞している者のうち,具体に常勤の職員に就いている方が35.6%。これが,数字的には一番大きいところでございます。比較して言うと,いわゆる非正規雇用で,非常勤の職員が15%,任期付職員が約6%,派遣社員も同じく約6%ということで,非正規と正規で分けて考えるのであれば,まだ正規の方が,少し数字的には大きいということができます。もう一つ大きいのが無職で,これが18%という大きな割合になります。

【前原委員】  最初,卒業するときにミスマッチで就職できず,そのまま無職の人が結構多いですよね。

【渡辺課長】  あとは離職ですね。今は新卒3年以内に3割が離職されているので,その対策が必要です。

【前原委員】  そうですね。その辺はハローワークも一生懸命やってくれているし,多分うまくいくと思うんです。問題は,年齢がもっと上のところだと思います。ひと頃,就職できない人が十何万人ずつ出ていましたから,そのたまりが私はあると思います。是非よろしくお願いします。

【小林主査】  前に申し上げましたけど,現在の奨学金の返還方式は終身雇用を前提にして作られているので,決まった割賦金額で返還する方法になっているわけですけれども,今のように大卒者の3人に1人が3年以内に離職するというような状況ですと,やはりその辺も含めて,所得連動返還型の方が望ましいのではないかということだろうと思います。ありがとうございました。
 ほかに御意見ございませんでしょうか。
 社会人の学び直しということで,社会人も応援しなければいけないと,最初の学校教育だけで完結するような時代ではないということも他方ではあります。そうなると今度は逆に,一旦学校を出た後で,もう一回学び直しでまた奨学金を借りなければいけないというようなケースもあります。なかなか複雑な社会状況になっていますので,今までのように18歳で大学に入って,22歳で出てすぐ就職して,一生同じところに勤めるというような,そういった形のモデルだけではなかなかうまくいかなくなっているということだと思います。そのあたりも含めて少し検討していきたいと思います。ありがとうございました。
 ほかに御意見はよろしいでしょうか。
 そうしましたら,3点目の民間奨学団体の連携等について,事務局より御説明をお願いいたします。

【田中課長補佐】  失礼いたします。それでは,お手元の資料3,奨学事業における民間奨学団体の連携等について,説明いたします。
 背景は,以前お示しした論点の中からピックアップしたものでございますけれども,簡単に一言,要は学生等の学びを社会全体で支えるという観点からは,民間の方々のお力もやはり借りなければいけないということ。それは奨学金についても言えることということです。
 実際に何をどうやっていくべきかという論点ですが,今後,奨学金事業のより一層の拡充を図るに当たって,民間の奨学団体が活動を一層活性化させるためには何が重要か。例として,横の連携や情報の共有,活動のPRなど考えられるのではないか。そういった事柄を進めるに当たって,民間奨学団体もそうですけれども,国,日本学生支援機構はどのような役割を果たしていくのが望ましいのかということを記載させていただきました。
 JASSOが実施している「奨学事業に関する実態調査」は,公益法人を中心とした民間奨学団体の実施する奨学金事業の実態の調査報告なのですが,参考ということで,そこから具体の数字を幾つか抜粋させていただきました。簡単に御紹介させていただきます。全部で9項目ほど数字を並べております。
 まず一つ目,JASSO以外の奨学金の実施団体数では,やはり学校独自の奨学金というのが一番多くて,約半分以上ということですが,公益法人は全体の15%で,642の団体が活動されているというところでございます。
 また,各団体は,一つのメニューだけではなくて複数のメニューを用意しているという場合もありますけれども,そのメニューの数ということでカウントしますと,公益法人の制度数は834ということで,約10%になっています。
 この制度の数を給付あるいは貸与等の別で見てみますと,公益法人は,66%を給付という形で奨学金事業を行っています。
 また,奨学生数についてですが,これは給付も貸与も含めるものでございますけれども,各実施団体を合わせますと, 48万人程度の学生,生徒にお金を渡すなり,貸付けをするなり行っているということです。実施団体は,地方公共団体から学校,個人,その他,もろもろありますけれど,最も多いのは公益法人で,37%の約18万人ということでございます。
 これを給付と貸与等の別で見てみると,公益法人においては,貸与型の奨学生数が給付,併用よりも多い。制度の数で見ると給付型が多いのですが,人数で見るとどうしても貸与型が増えてくるということでございます。貸与が約15万人で,給付が約2万7,000人というところでございます。
 個別の公益法人の規模を見てみますと,一つの奨学団体でどれぐらいの人数の学生,生徒にお金を給付するなり,貸付けをするなりしているのかということですが,奨学生数は30人未満という団体で,ほとんど過半数を占めているというところでございます。0人というのは,制度はあるけれども,この年は給付や貸付けをしませんでしたというところです。1人から10人未満で127団体,10から20人未満で126団体,20から30人未満で85団体となっています。
 今度は少し視点を変えまして,日本学生支援機構以外の奨学金の事業額,実際に扱っているお金の大きさでございますけれども,実施団体別に見ると,公益法人が536億円で最も多く,全体の約4割を占めているということでございます。
 また,事業額を給付貸与等別で見ますと,先ほど人数は貸与の方が多いというお話をさせていただきましたけれども,当然のことながら,事業額についても貸与の方が多いということで,約8割を超える約449億円が貸与,82億円が給付ということです。
 最後でございますけれども,少し視点を変えまして,奨学生をどのように選んでいるのか,貸与の基準です。公益法人については,学力・人物と家計状況の両方を同程度に重視しますと答えているところが最も多いということで,508制度,60.9%の制度でもって,両方とも同程度に見るということです。
 雑駁(ざっぱく)ではありますけれども,資料は以上でございます。

【小林主査】  ありがとうございました。
 私はこの「奨学事業に関する実態調査」に若干関与しておりますので,委員の方々に誤解のないように少し補足ですが,これは全ての奨学事業に関する団体を対象にしていて,調査としては全数調査をしていますけれど,実際には全てが回答しているわけではありませんので,そこは若干数字が動くということは御承知おきください。
 それからもう1点は,これは間違っていたら事務局の方から訂正をお願いしたいのですが,これは全ての奨学団体を対象にしたものでありまして,大学のみではなくて,高校とか,専門学校も,いろいろなものが含まれているという数字だというようにお考えください。

【田中課長補佐】  奨学生としては,大学生だけではなくて,おっしゃるとおり,高校生等も当然範囲の中に入ってきているという,活動のトータルをお示ししたものが今回の数字でございます。

【小林主査】  ありがとうございました。
 その上で,これもこの会議で何度かお諮りしたわけですけど,民間奨学団体の連携というのが今まで余りにもなかったのではないかと思います。ただ,ここは国の政策を考える場でありますので,それに対して何らかの支援とか,促進政策というようなものが考えられないかというようなことを少し御議論いただければという形になります。
 松本先生は,逆に国から支援を受ける方の立場になるかと思いますけれど,是非,御要望があればお聞かせ願いたいのですが。

【松本委員】  私どもの場合は,本日の調査報告にありますとおり,枠組みで言いますと公益法人として奨学金事業を行ってきたわけですが,本日の民間奨学金団体の連携というテーマになりますと,卑近な例で,今私どもは何を必要としているかということを少し御紹介したいと思います。私どもは規模もそんなに大きくありませんし,200人ぐらいの学生を対象にして給付型の奨学金を実施してきているわけですが,この奨学生の対象になる学生のいろいろな面,人物というか,今の生活実態ですとか,それから勉強のニーズ,最後は就職活動につながるような,そういった学生の現状についての情報をきちんと把握することが大切だと思います。
 それともう一つは,経済的な困窮度の把握です。これが民間団体ですとどうしても力不足でありまして,余りやり過ぎてしまうと,かえって奨学金を出していくという趣旨と違うようなことにもなってしまいますし,それこそ,さっきの話と矛盾してしまうかもしれませんが,マイナンバー制度が確立すれば,そういったものの客観性も得られるのかという話はしています。現時点では,その辺のところが民間奨学金団体として奨学金事業を行う上で,多少の悩みがあります。
 そういう意味で言いますと,本日,ここで御指摘のあるとおり,各団体との情報の共有といったものがやはり一番有り難いかなと思います。協議会といったレベルがいいのかどうか分かりませんけれども。それともう一つ。我々としては,大学の学生課や生活課の方とはかなり密接な日頃の連携があり,情報交換,情報共有もさせていただいています。そこが是非,活性化すると運営も活性化するなという感じを持っております。

【小林主査】  ありがとうございました。
 情報の提供については前回も御議論を頂いたところです。情報を把握しなければ当然適用もできないわけですから,情報を把握して,それを提供していく。特に学生,保護者に対して十分な情報提供をするということは非常に重要だろうと思います。そのあたりでもう少し何かできないかなということで,何回も同じような提案をさせていただいておりますが,いかがでしょうか,これについて,何かいいアイデアがあるといいと思うのですが。
 一つは,基金です。これも少し理想的な話ですけれど,運営基金のようなものを作って,それを回していくような形ができれば,もう少し運営ができるのかなと思います。
 以前,松本先生にお伺いしたときには,幾つかの奨学団体が集まって,協議会とは言わないで,懇話会のようなものはされているというお話でした。

【松本委員】  組織というよりは,日頃の事務方同士の連携,情報交換という形です。ですから,それをもう一段レベルを上げてやっていければ,そしてそういうことに対する国の支援もいただければ,かなり活性化するのではないかと思います。

【小林主査】  先ほど言われた協議会のようなものがコアになってというようなお話だろうと思うのですが,いかがでしょうか。
 これは,国の支援ということになりますと,当然,予算との関係というのが出てくるわけですけれど。

【前原委員】  こういう非常にいい,社会的な活動をしている団体について褒めてあげるというのはどのようになっているのでしょうか。お金が欲しいわけではないと思うのですが,社会が評価しているということを示す仕組みがあると私はいいと思います。

【田中課長補佐】  顕彰的なものですか。

【前原委員】  どのようにしているのか知りませんけど,よく地域の社会活動を長くやっている人は園遊会なんかに招待されたりしていて,非常に喜ばれていますよね。

【渕村課長補佐】  今,前原先生がおっしゃった園遊会とかそういうものの推薦で,以前公益法人の推薦は少ししておりました。

【前原委員】  していたのですか。

【渕村課長補佐】  ただ,公益法人の改革があり,公益法人の管轄は内閣府の方に移りました。

【前原委員】  全部内閣府に移ってしまいましたからね。

【渕村課長補佐】  公益法人の所管を内閣府に移管してしまったことと,一般財団に移行した法人もあること等によって,我が方でも,推薦しようにもなかなかその把握ができなくなってきているというのが現状です。

【前原委員】  でも,こういう情報が集まってきて,協議会なんかができれば,内閣府の推薦はできますよね,一例ですけど。

【渕村課長補佐】  はい。

【前原委員】  やはり社会的に非常に有益な事業をしていらっしゃるところを,褒めてあげるというか,こんな立派なことをしていますと国民に知らせるということは必要だと思います。

【小林主査】  ほかに御意見ございませんでしょうか。
 これは,どこまで書き込むかというのはかなり難しい問題で,これから事務局側と協議していきたいと思いますけれど,少なくとも方向性としてはこういうことを進めていくということで,それにどの程度のことができるかということをもう少し検討してみたいと思います。方向性としては,ここで何回も出てきましたので,こういった民間団体は特に財団法人になることでかなり変わってきた部分もありますが,その辺を含めてどういう在り方が国としてできるかということは少し議論して,検討した結果,またお伝えしたいと思います。そのときにまた,次回以降,最後の報告のところでまた議論していただければと思います。
 よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 では,最後の論点ですけれど,奨学金の借入額の高額化についてということで,これは奥舎先生の方から何度か御提案いただいた点について,事務局として論点をまとめていただきましたので,それについての説明をお願いいたします。

【田中課長補佐】  失礼いたします。資料4を御覧いただければと存じます。
 奨学金の借入額の高額化についてということで,背景については,既に奥舎先生に何度もお話しいただいているところでございますけれども,改めて整理をいたしますと,奨学金の返還が困難な状況に陥っている者が増加している理由の一つとして,借入額が非常に高額化しているということがあるのではないかと思います。
 参考までに,無利子奨学金,有利子奨学金の場合と分けて,実際に借入額がどれぐらいになるのか,幾つか事例を挙げています。最低額,最高額とあるのは,基本的に制度で決まっている最低額を借り続けた場合,最高額を借り続けた場合ということです。それから,利用者数が最多の月額の場合をそれぞれピックアップしています。これを参考に御覧いただきながら説明をさせてください。
 少し話を戻しますと,こういった形で奨学金の借入額は非常に多額に上っているということです。そうすると,借りた後,実際に社会に出たときの本人の収入額と比して多額の返還をすることになり,結果として,こういった返還困難な状況に陥っているのではないかということです。
 論点としては,奥舎先生からお話もありましたように,何らかの上限額を設定するべきでないのかということでございます。それに関して幾つか考えなければいけない点としてお示しさせていただきました。一つ目,現在の奨学金の貸与に当たっては,与信をしていないということです。これは奨学金の特徴の一つですけれども,将来の返還の可能性というのは捨象してお貸ししますということです。こういった制度であると同時に,これに上限を付けるといった場合には,これはどうやって整合性をとることができるのかといった点が一つ。
 それからもう一つ。そうはいっても実際問題として,私はこれだけ借りないと進学ができないんですという人に対して,いえ,将来のことを考えて,ちょっと貸せませんというようなことを言うと,教育の機会均等とのバランスを考えなければいけないのではないかということ。
 あるいは,上限額の設定以外にも,こういった借入れが高額化することを防ぐような手だてはほかにあるのではないか。それによって,何とかこの問題を回避できるのではないかということをお示しさせていただきました。
 参考ということで,ちょっと前後が逆になってしまいましたけれども,現状のシミュレーションというか,規模としてはこれぐらいになるというもの。
 また,この後ろの2種類の資料には出てきませんが,奨学金を最大でどれだけ借りられるのかというと,現行の制度では月額30万8,000円まではお貸しできます。どういった場合なのかというと,第一種と第二種の両方,併用貸与しますといった場合で,さらに,第二種について増額の貸与を受けた場合であれば,現行で借りられる最大の月額が30万8,000円になります。これだけ借りることができるということが設定されているところです。
 説明は以上でございます。

【小林主査】  ありがとうございました。
 これも何度か御意見を頂いておりますので,どういうことができるのかということを少し事務局と検討させていただいたわけですけれど,幾つか論点がございます。一番の問題は,なかなか,機構として制限する理屈を作るというのが難しいということです。そのあたりのことをどう考えていくかということだろうと思います。ここについて,奥舎先生,今回,まず,御意見を伺いたいのですが。

【奥舎委員】  奨学金の滞納問題が今,いろいろと問題になって,日弁連とかいろいろな団体から言われているわけですが,私は景気の影響もあったと思いますし,いわゆる学生の就業についてもここ数年,課題であったと思います。それとやはり,奨学金の貸付額が多かったということも問題だと思っております。
 この間,4月だったと思いますが,朝日新聞で見たのですが,例えば介護職で月額平均賃金が22万円,離職率は17%。それから,全産業の月額平均賃金が33万円で離職率が14.8%。介護職でも看護職でも,いわゆる人とすぐ接するような,いわゆる人間力を必要とするような職場において非常に条件や環境が厳しくなっています。例えば,私どもの大学では幼児教育学科と看護学部があります,それから地域福祉学科で介護職を養成しているのですが,私どもの大学でも約半数が奨学金を借りております。看護学部の1学年で60名いますが,そのうちの3人ぐらいが月額10万円を借りています。有利子で月額10万円の場合,年間120万円で,4年間では480万円になり,利息が付いて大体550万円あたりになると。その債務を背負って看護学部を卒業して勤めをするとした場合に,先ほど言った平均賃金から比した場合,健全な社会生活ができて20年間を過ごせればいいですが,その間は子供の病気とか,事故とかいろいろなことが想定されますし,危険な担保も考えて貸付けの決定を行わないと,目に見えた滞納が現れると思います。
 そうした場合,この文科省に作っていただいた資料のように,月収に占める割合で,奨学金の返還額が2割を超えるとか,あるいは15%を超えるようなときが20年間のうちに数年現れたら,滞納になるのは明らかだと思っています。私は個人的な考えなので,正しいかどうか分かりませんが,今,公立の保育料が1人平均,3万円ぐらい行くのでしょうか,1人の保育料以下ぐらいの支払月額ぐらいが限度じゃないかと思っております。
 もちろん就く職種によっても違いますし,例えば医師職とか,医学部を出て脳神経外科医になったら数十万円の給料があってという,そういう人もいるかも分かりません。そういう人は機会均等で制度はあってもいいと思いますが,何らかの指導を強くするとか,制限を設けるとか,こういう奨学金については,これが限度ですとかいう,強制ではありませんが,一定の運用,大学に運用を任せるというのがあってもいいのではないかと思っております。

【小林主査】  ありがとうございました。
 今の点につきまして,是非,ほかの委員の方の御意見を伺いたいのですが,いかがでしょうか。どうぞ。

【相川委員】  この示していただいた資料を見て分かるとおり,高校3年間,更に大学4年間で,無利子で最低でも208万円。有利子では利子も付く。返還額が月収の10%前後ということであれば,今言われたように,就く職種によって非常に返還が厳しい子供たちが増えるというのは明らかだろうなと思います。
 今は,最高,月額30万8,000円借りられるということでした。30万8,000円借りて,返していくのは,この法科大学院に進学してというようないわゆる職業的にきちんと確保されている方であれば,それはそれで返還できるのでしょうけれども,一般的な学生を視野に入れたときに,本当にこの金額で返せるのかというと,多分,借りるときにいろいろな説明をされていると思います。機構でもいろいろシミュレーションをして,説明されていると思うのですけれども,やはりある程度の上限というか,上限を付ける方法と付けない方法というような提示をするのも一つの方法なのかなと私も思います。それがいいのか悪いのかというと,少し私自身もはっきり言えませんが。そうでないと本当に返していけないというのが目に見えて,さっきの論点ではないですけれども,返す意欲がなくなってしまうというところで,やはり元金を減らしていくというところに結び付けるには,ある程度,借りるときの上限というのは必要な状況に来ているのではないかなという感じがしています。

【小林主査】  ありがとうございました。
 いろいろな考え方があると思いますので,是非,御意見を伺えればと思いますが,いかがでしょうか。どうぞ。

【中村委員】  これは,やはり日本学生支援機構が貸与する奨学金の制度の主旨だと思います。前も少しお話ししたと思いますが,申請を出すのは学生なんですが,通帳,キャッシュカードと銀行印を管理しているのが母親や祖母になっている家庭が多いのです。そうしますと,そこから学費を払ってくれるかもしれませんけれども,生活費に先に回っているということもあるのです。学費が未納でお母さんに問合せをしますと,ごめんなさい,生活が大変で,娘の奨学金を借りていますとかいう話になってきます。まずは貸与するところの規約の中に,こういう目的だときちんと明記して,それを厳守しましょうという指導が必要ではないかと思います。その上で上限を定めるとかいうことが必要ではないかと思います。その辺,いかがなのでしょうか。

【田中課長補佐】  現行では,学費のためだけにということでお貸ししているものではないので,それを学費でと限定してしまうと,学生によっては授業料減免等を受けている場合もあり,それとの関係もありますので,それはそれでまた,仕切りなどを考えなければいけないということがあります。それから,やはり,学費にも下宿代などにも使えるというフレキシビリティーを持っているというのもJASSOの奨学金の特色の一つと我々としては思っておりますので,そこのところは,まさに借りる本人の意識の問題に,どうしても近づいてきてしまわざるを得ないのかなと思います。国やJASSOの方から,これはこれに使いなさいと,使い道を限定した貸付けをするのが本当にその学生に対して望ましいのかどうかというところは,少し考えなければいけないと思います。

【小林主査】  これも御参考までに外国の事例をお話ししますと,アメリカの場合には,原則的には授業料相当額に充当するという方式です。韓国もそれに近いやり方です。ただし,生活費については,別の奨学金なり,ローンがありますから,それを使うという,併用方式です。それから,イギリスの場合も,授業料ローンというのと生活費ローンというのは別建てになっていまして,実際に学生は一緒に受けているわけですけど,そういうことで区別している例はないわけではない。ただ,そこまでやるとなると,先ほど田中補佐からありましたように,日本学生支援機構奨学金のそもそもの趣旨を変えるという話になりまして,大変大きな話になります。
 所得連動返還型になるときにこの問題も当然また議論しなければなりません。先ほど最初に申し上げましたように,所得連動返還型にすると,どの程度返してもらえるのかという計算の中に,返還月額がどれぐらいになるかという要素もかなり入ってきますので,余りたくさん貸すと,これは到底,今の所得では返せないという話になります。それを含めて少し議論はできるかと思いますけれど,だからといって,限度額を,奥舎先生がそう言われたと思いますが,強制的にこうしなさいというのはなかなか言いにくいところがあります。ただ,できることといえば,日本学生支援機構の奨学金の最大の貸与月額が12万円で,これは法科大学院のような特別な例ではない場合の最高額が12万円なのですが,それが高過ぎるかどうかという議論はできるかと思います。
 いかがでしょうか,ほかに。

【石矢奨学事業本部長】  一応参考までに申し上げます。「奨学金を希望する皆さんへ」というパンフレットの最初に,「日本学生支援機構は,経済的理由により修学に困難がある優れた学生等に対し,学資として奨学金を貸与します」というようにきちんと書いてあります。

【中村委員】  それなら,上限が見えますよね。

【石矢奨学事業本部長】  今,貸与額の平均が大体,年間80万円ですけれども,それは授業料相当になっています。

【小林主査】  それは,書いてあるのはそのとおりだと思いますが,日本育英会の時代から見てきますと,学費と生活費を合わせた分を学資と呼んでいます。正確に言うと。ですから,それをカバーできるぐらいの額だったのが,現実の問題としては,授業料がどんどん高騰してしまって,現在では授業料相当分をカバーするのがやっとになっているというのが現実の問題です。ですから,本質的な問題は,授業料が高騰しているという,そちらの方にあるのです。
 すみません,私の方から少し。今まで御議論いただいたところで,情報提供が重要だとか,ガイダンスが重要だということは申し上げてきましたけど,やはりそれが非常に大きいと思うのです。奨学金貸与・返還シミュレーションというのがあって,学生が実際にこれだけ借りると,どれだけ返さなければいけないというのが出てくるわけですけれど,例えばそういうものを,奨学金を借りるときに必ず受けさせる。ガイダンス機能を充実させて,借りるのはいいけれど,これだとこれだけ返さなければいけないのだということをもっと徹底して周知するとか,そういうことも必要だろうと思います。
 もう1点,私が懸念しているのは,特に専門学校生の調査をして感じたことですが,日本学生支援機構の奨学金に上限を設けて,もし借りられないとなると,ほかのものをいろいろ借り出す可能性があるのです。これは民間ローンが悪いということを申し上げているのではなくて,民間ローンの方が利率が高いことが多いのですが,学生はその辺をそれほど詳しく調べて借りるわけではないので,割と安易に民間ローンを借りたりしています。もし日本学生支援機構の奨学金では金額が少なくて足りないと思うと,学生は民間ローンを借りてしまうことになります。民業を圧迫するわけではないのですけれども,その辺をよく考えなさいという指導が,やはり要るのではないかと思います。
 ほかにいかがでしょうか。

【前原委員】  民間ローンの場合は,親が保証人にならなければいけないのでしょう。

【小林主査】  ええ。いろいろ条件は付いています。
 どうぞ。

【濱田委員】  私が関わった学生の中で,このお作りいただいた無利子奨学金の場合の二つ目,つまり,高校から借り始めて,博士後期課程3年間まで借りた学生がいまして,実を言いますと3年目の後期の授業料が払えないという事態に立ち至りましたが,結局,博士満期退学にならないのです。そこにはいろいろ個人的な不幸な事情が重なりますので,制度がいけないわけではないのですが,情報として本人がどこまで確認していたのかということが,今になって非常に悔やまれる。決して不真面目な,いいかげんな学生ではなく,結果,博士の学位を取りましたけれども,随分苦労いたしましたね。今もって多額の返還額を抱えているというのが実態で,小林先生がおっしゃいましたガイダンスといいましょうか,そういったことなどをかなり小まめにやっていくということがやはり必要ではないでしょうか。今の例のようにドクターコースに行ったからどうというのだけではなくて,学部は学部なりにそういった問題があるだろうと私は思います。

【小林主査】  ありがとうございました。
 ほかに御意見いかがでしょうか。
 これは,なかなか難しい問題だと思いますけれど,できるだけ知恵を絞らなければいけないという問題であることも事実です。今,濱田先生もおっしゃいましたけれど,悪意で返さないという学生はいないわけではないかもしれませんけど,私たちが見る限りではそれほど多いわけではありません。むしろ返せないということが問題になっていますので,その予防のためにもいろいろな手だてをとらなければいけません。その一つとして,貸し過ぎないということもあるのではないかという御提案だと思います。
 これは御提案というより,両方あり得るという話になっていると思いますが,JASSOの貸与額の上限を変えるということは,可能な話なのでしょうか。

【田中課長補佐】  貸与の月額については政令で定められておりますので,JASSOの独自の判断で変えるのはできません。

【小林主査】  政令ということになると,どのレベルですか。省令レベルですか。

【田中課長補佐】  いえ,政令なので,内閣として決定ということです。

【小林主査】  内閣ですか。そうすると,具体的に,説明していただきたいのですが,変える場合にはどういう手続になるのでしょうか。

【田中課長補佐】  政府全体での足並みをそろえるということでございますので,文科省だけで決められるものではないということです。財務省,総務省などの関係の各省,内閣を構成する全ての省庁の了承の上で,閣議決定が必要になります。

【小林主査】  そうすると,これは検討することはできても,すぐに実行できる話ではないということですか。

【田中課長補佐】  ええ。省令であれば文科省の範囲で決定できます。そのもう少し下の業務方法書やJASSOの奨学規程であれば,全て文科省とJASSOの中の手続で完結しますが,省令よりも上のレベルになりますと,政府全体としての方針の決定が必要になります。

【小林主査】  ありがとうございました。
 「きぼう21」ができたときに月額12万円という増額された貸与月額が作られたという経緯がありますので,17年ほど前に手続を踏み作られたと思います。先ほど申し上げましたように,所得連動返還型の場合に,どの程度きちんと債務不履行に陥らないで返せるかということと貸与額というのは大きく関係しています。それを含めて,どの程度の金額が適切かということの議論を行うということで,いかがでしょうか。
 奥舎先生,それでよろしいでしょうか。

【奥舎委員】  はい,結構です。

【小林主査】  ありがとうございました。
 本日,私の方で具体的な資料等でお示しできなかったところが少しありましたので,なかなか御意見を頂くことが難しかったこともあるかと思います。この辺についてはどこまで具体化できるかというのはなかなか難しいところもあるのですが,事務局とよく相談して,次回以降にまとめて提出したいと思っております。
 そうしましたら,今後のスケジュールについて,事務局から御説明をお願いいたします。

【田中課長補佐】  失礼いたします。お手元の資料5を御覧いただければと存じます。
 今後のスケジュールですが,第12回,第13回の日程は6月16日,7月8日を確保しております。今後2回に分けて補充の資料を出しつつ,最終的な取りまとめに向けて,骨子案,それから素案,最終的には検討会の報告書ということで,御議論を頂ければと考えています。個別の論点については本日までということで,ここから先は具体の取りまとめの作業に入っていくということを考えています。
 なお,第14回は,予備日ということで設定しております。念のため,御参考までに記載させていただいております。
 以上であります。

【小林主査】  ありがとうございました。
 ということで,個別の論点に関しましては,今回で一応打ち止めということになります。次回からは最終報告書に向けて取りまとめを行うということになります。そういう形になりますので,こういった論点が抜けているとか,その辺についてはもう少し出しておいた方がいいということがございましたら,今でも結構ですし,あるいは事務局の方にお知らせ願いたいのですが,いかがでしょうか。そのようなスケジュールで進めるということでよろしいでしょうか。
 そうしましたら,大体,御議論を頂けたかと思いますので,第11回の学生への経済的支援の在り方に関する検討会を,ここで閉めさせていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

お問合せ先

高等教育局学生・留学生課