学生への経済的支援の在り方に関する検討会(第7回) 議事録

1.日時

平成26年1月16日(木曜日)13時~15時

2.場所

5F文化庁特別会議室(文部科学省旧庁舎)

3.議題

  1. 平成26年度政府予算案について(報告)
  2. 中間まとめに関する団体からのヒアリング
  3. その他

4.出席者

委員

相川委員、奥舎委員、小林委員、中村委員、濱田委員、前原委員、松本委員

月岡理事(日本学生支援機構)、石矢奨学事業本部長(日本学生支援機構)

文部科学省

中岡審議官、渡辺学生・留学生課長、田中学生・留学生課長補佐、渕村学生・留学生課長補佐

5.議事録

学生への経済的支援の在り方に関する検討会(第7回)
平成26年1月16日

【小林主査】  時間になりましたので,これから,学生への経済的支援の在り方に関する検討会(第7回)を開催いたします。
 新年のお忙しいところ,去年の年末から引き続き,委員の皆様,それから関係者の皆様,お集まりいただき,どうもありがとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
 本日も日本学生支援機構の関係者が陪席しておりますので,御了承ください。
 議事を始めるに当たりまして,配付資料の確認と平成26年度予算(案)の説明を,事務局よりまずお願いいたします。

【田中課長補佐】  
 お手元の資料,議事次第を御覧いただければと思います。資料1でございますが,平成26年度予算(案)高等教育局の主要事項,資料2,大学等奨学金事業の改善充実についてということで,この資料1,資料2が議事の(1)に関しての資料であります。以下,資料3,4,5ですが,本日お越しいただいている各団体,資料3といたしまして日本私立大学団体連合会さん,資料4といたしまして,日本私立短期大学協会さん,資料5といたしまして全国専修学校各種学校総連合会,それぞれからの提出資料でございます。資料6は,当面の検討会の日程について。また参考資料といたしまして,私立大学等の授業料減免の基準についてという資料を,本日はお配りさせていただいております。
 それでは,資料1,資料2に基づきまして,来年度,26年度の政府予算(案)について,説明をさせていただきます。

【渕村課長補佐】  来年度,26年度の予算(案)が,昨年末,12月24日に閣議決定されたところでございます。今回,それらの奨学金等の関係につきまして御説明したいと思います。
 資料につきましては,資料1,高等教育局主要事項平成26年度予算(案)と,カラー刷りの資料2の大学等奨学金事業の改善充実についてというものと,あとは机上資料として,25年度無利子奨学金収入階層別人数・構成比7月現在を御用意させていただいておりますが,それらも含めて説明したいと思っております。
 奨学金につきましては,まずこのカラー刷りの資料2を御覧いただければと思います。奨学金はこれまで,各先生方にもいろいろ御意見を頂いているところでございます。平成26年度の予算案に向けて,課題といたしましては,奨学金貸与の人員増及び運用ということで,基準を満たしながら貸与できていない低所得世帯の学生が,まだ存在していることがあります。また,今留学に対し文科省も力を入れておりますが,日本人学生に対する海外留学へのインセンティブの付与,そして,若者の学び直し支援ということがうたわれておりました。
 また近年,返還困難者への対応ということで,週刊誌等にも奨学金の延滞の話などが取り上げられているところでございましたが,返還能力がある者からはしっかりと返還を求める一方で,真に返還が困難な奨学金返還者に対するきめ細かな対応が必要ということで,26年度予算案が決まりましたので御報告いたします。
 まず貸与の方でございますが,貸与人員の増員及び運用改善ということで,より低所得の世帯の学生等に無利子奨学金を重点的に配分するということ。貸与基準を見直し,給与所得控除の引下げ等で,より低所得者層への奨学金の貸与を可能とすること。平成27年度採用者から見直し後の基準を適用する予定でございます。また,無利子の新規増につきましては,被災世帯の学生を含めまして1.2万人です。
 また,海外留学のための奨学金制度の充実や,若者の学び直しの支援のため,無利子奨学金の同学種間の再貸与制限を緩和。これは今まででございますと,例えば一度学部で奨学金を貸与され,大学院に進学いたしますと,大学院の奨学金を貸与されていたところでございますが,再び学部に入ったときには,無利子奨学金の貸与というのは制限されておりました。昨今の学び直しの支援という概念から,学部での再貸与を可能とするよう制限を緩和するものでございます。
 また,右手の欄を御覧いただければと思いますが,返還についてでございます。真に困窮している返還者の救済ということで,延滞金の賦課率の引下げ。現行10%のところ,この4月以降に生じる延滞金から適用でございますが,その賦課率を5%に下げるということ。
 また,返還猶予制度の年数制限の延長ということで,現行が5年でございますが,これを10年に延長するということでございます。ちなみに延滞金の賦課率につきましては,昭和38年度に現行の10%になってから,約50年ぶりの改定。返還猶予制度のこの年数制限の延長というのは,大日本育英会において,この奨学金制度が発足して以降,初めて延長されるという状況でございます。
 続きまして,返還猶予制度の柔軟な適用ということで,適用基準の緩和。返還猶予につきまして,これまでは年収額が,世帯人員が多かろうが独身の方であろうが同じ基準でございました。柔軟な対応が必要ではないかということで,世帯構成人員に応じて,返還猶予適用基準の額を柔軟に対応するところでございます。また,今回の見直しで基準を満たした延滞者に対する猶予制度に適用にも,対応していきたいと思っているところでございます。
 先ほど申し上げました貸与基準の見直しでございますが,この資料2をおめくりいただきまして,これはイメージ図でございます。今回,27年度の採用者から適用を予定しておりますが,より低所得の世帯の学生等に無利子奨学金を重点的に配分するため,家計基準を見直すというところでございますが,このグレーの部分は,今の基準で対応可能なところでございます。今回家計基準を見直すことによりまして,特に家計年収が高い人を見直しまして,より低所得者層の方に貸与が行き渡るようにと考えているところでございます。
 これにつきましては,先ほど申し上げた,机上資料を御覧になっていただければと思います。これは平成25年度の無利子奨学金収入階層別人数と構成比でございます。
 予約採用基準の適格者というのが黒い折れ線グラフで,赤の折れ線グラフが,予約採用基準適格者のうちで予約採用になった方々ということで,やはり収入階層といたしましては,予約採用で低所得者の方々に無利子奨学金が貸与されているというところでございます。
 また,青の折れ線グラフは在学採用の基準適格者で,大学に入学してから大学の窓口で申請した方々の収入階層を示しているところでございます。やはり予約採用において基準適格者がいながら,まだまだ低所得者層の方に採用が行き渡っていないということも含めまして,このたび27年度の採用予定の方から,できる限り低所得者層に無利子奨学金が貸与できるように,見直しを図ったものでございます。
 大変恐縮ですが,資料1の高等教育局主要事項に戻っていただければと思います。その中の,国立大学及び私立大学の授業料減免等の充実ということで375億円,対前年度比24億円の増になっているところでございます。この資料1の最後のページ,9ページに今回のポイントを書かせていただいておるところでございます。内容につきましては,国立大学294億円で,学部・修士相当で約2,000人増,博士につきましては現状維持,被災学生分につきましては約1,100人。私立大学につきましては81億円ということで,減免対象者数につきましては約2,000人の増員を図っているところでございます。
 奨学金と授業料減免等による学生への経済的支援ということでの予算でございます。簡単でございますが以上でございます。

【小林主査】  ありがとうございました。

【渡辺課長】  先生,若干補足してよろしいですか。

【小林主査】  どうぞ。

【渡辺課長】  少し補足いたします。今回,概算要求段階からの比較で申し上げると,奨学金の貸与人員以外は全て認められています。特に今回は,要求段階でものすごく意欲的な無利子奨学金の増というのが入っていましたが,残念ながらそこは予算全体の中で1万2,000人の増ということになりました。要求段階の7万人増から1万2,000人ということで,随分減ったように見えますが,ここは現在の本当に政府の厳しい予算の中で,最大限の配慮をしていただいたと考えております。
 特に今回は,貸与の段階,それから返還の段階についても,特に生活が厳しい方々に対して厚い対応ということになっています。机上資料の方は委員の方にしかお配りしていないので,ほかの方々はお見せすることができませんが,今回机上資料の方で御覧いただくと,予約採用の基準適格者の分布というのは,ほぼ在学採用と同じような分布になっています。
 ところが,実際の予約採用者の方は,収入が200万円から300万円のあたりにピークが来ているように,より生活が厳しい方に重点的に配分するような運用をこれまでしてきております。つまり,現在において無利子奨学金は,必ずしも全ての方に対応できているわけではないという現状がまずございます。
 ただ,予約採用の段階で無利子奨学金を貸与されなかった方のうちの何割かの方々は,その時点で有利子奨学金を選択されているので,大学に入った後の無利子奨学金の在学採用は,ほぼ100%貸与ができている状況にあります。
 このため,平成27年度以降の採用におきましては,予約採用に予算をシフトすることで,運用上も,より生活に困っている方々に行き渡るようにということで対応していきたいと考えております。
 資料2の2枚目に書いていますように,人数としては今回,無利子奨学金の貸与人員を増やしていますので,この図はイメージを示しているだけなのですけれども,実際に奨学金貸与は,例えば私立の授業料が高い学部に行かれて,なおかつ兄弟が多いとか,あるいは自宅外での通学をする方となると,保護者の年収ベースでいったら1,200万とか1,300万円を超えている方も貸与されているような状況もございます。
 他方で,国立大学で自宅通学であって,保護者の年収で言うと,多分300万円いかないという方も結構いらっしゃいます。ですからそこは,どちらに重点を置くかということもありますが,全体の奨学金対応の考え方としては,現行の基準はもちろん踏襲した形で,できるだけ年収の少ない世帯に対して厚く対応できるようにということで,今回は予算,あるいは今後運用の改善を想定しております。
 ただ,これから御議論いただくのですけれども,そういった中にあっても,まずは奨学金は有利子から無利子へということで,今回予算要求しました。要求段階で有利子奨学金は4万人の減ということで要求しましたが,仕上がり段階では,資料1の1ページ目のとおり,有利子奨学金は6万人減ということになっています。6万人減して本当に大丈夫かという御懸念を持つ方がいらっしゃると思うのですが,実行上の数字は実はもう少し低い数字で推移しておりまして,約96万人の予算を確保しておりますので,これで在学採用の方も含めて,希望される奨学生には100%貸与できるという状況であることを申し添えます。
 もう一点,返還に対しても,これも先ほど説明しましたように,延滞金の賦課率の引下げとか,返還猶予制度の制限年数の延長があります。これまでも何十年も変更できなかったことが,下村大臣の非常に強いイニシアチブで,今回実現することができました。また,返還猶予制度の柔軟な適用ということで,特に,延滞者についても,本当に困っている方については運用上も十分救えるような形で,今後対応していけるよう制度改正を,来年度から行っていきたいと考えております。
 以上です。

【小林主査】  ありがとうございました。今の事務局の資料の説明について,御質問,御意見等ございませんでしょうか。

【中村委員】  机上の資料の年収につきましては,主たる家計支持者の年収ですか。それとも一家の総収入ですか。

【渡辺課長】  これは主たる家計支持者ではなくて,保護者の総収入です。

【中村委員】  総収入。分かりました。

【渡辺課長】  これは割合だけ説明していますので,実数ではないので,その点御留意いただければと思います。

【小林主査】  よろしいでしょうか。
 このしきい値と言いますけど,どこで基準値を設定するかというのは,各国とも工夫していて,非常に重要な問題です。それが今回初めてこういう形で見直されたということ,それから猶予が5年から10年というのも非常に大きな変更だと思いますし,そういう意味では,余り目立たないけれど,やはり非常に大きな改善が見られたのではないかと,私自身は判断しております。ありがとうございました。
 続きまして,議事に入らせていただきます。昨年末に3団体,国立,公立大学の方から,あるいは高専の方から御意見を頂いたわけですけれど,本日は,この検討会で行ってきました8月の中間まとめについて,各団体から引き続き御意見をお伺いしたいと思います。
 本日は,日本私立大学団体連合会,それから日本私立短期大学協会及び全国専修学校各種学校総連合会から,それぞれ関係者に参加していただきまして,御意見を3団体からお伺いしたいと思います。皆様,大変お忙しい中,どうもありがとうございます。
 その後,前回同様,フリートーキングという形でいろんな御意見を頂けたらと思います。
 まず,日本私立大学団体連合会からの資料について,御説明をお願いいたします。本日は,中央学院大学三友常務理事と立教大学舛谷学生部長においでいただいております。それではどうぞよろしくお願いします。15分程度でお願いいたします。

【日本私立大学団体連合会(舛谷)】  それでは,よろしくお願いいたします。資料3を御覧ください。主要な点についてはアンダーラインを引いておりますので,その周辺について説明させていただきます。私は前半,3までを説明させていただきます。
 「はじめに」のところにございますように,ここにおられる皆さんはよく御存じのこととは思いますけれども,OECD加盟国の中でも,日本は高等教育に対する公的支出の割合は決して誇れるものではないという状況にございます。おのずと家計負担に頼ってきているということで,しかしながら家計収入は減少しており,進学を断念せざるを得ない学生が年々増加していると。先ほどの冒頭の御説明にもございましたけれども,まだ行き渡っていない層があるという認識は共通していると思います。
 この今回の「学生への経済的支援の在り方について(中間まとめ)」は,近年の経済,社会的状況を踏まえて,奨学金制度の課題,改善策をまとめられたものでございまして,方向性についておおむね賛意を表するものでございます。やはり,奨学金,教育は未来への投資でございますので,そこのところを重視していきたいと,引き続き大学関係者としてのみならず考えております。
 なお,「はじめに」の最後のアンダーラインのところですが,奨学金が必ずしも学費だけでなく,家計の一部として生活費など多様に様々に使われている実態というのを,大学側から見るとやはり認識せざるを得ないところがございますので,奨学金制度設立の原点に照らして,その適切な在り方について改めて検討の必要性が高まっていることを,この機会に併せて指摘しておきたいと思います。
 続きまして,1番目の給付型奨学金制度の創設ですが,状況としてなかなか難しいということは伺っています。やはり給付,減免,それから特別貸与ということもお考えのようですけれども,そして無利子,有利子以外の充実のところ。この中でも給付というものを,他の先進諸国と同様に新設することが急務と考えております。これはやはり我々の立場としては,非常に難しいという状況は存じておりますけれども,冒頭に是非申し上げておきたいところでございます。
 2番目です。現実の制度として貸与の方ですけれども,大学院生に対する返還免除は,引き続き額の増額等,充実を期待いたします。そして中間まとめの提言の中にあります学士課程に拡充するという点ですが,選考についてなお,様々困難はあるとは思いますが,やはり協力して是非導入されることを望みたいと思っております。
 (2)番,返還者の経済状況に応じた返還方法ということでございますけれども,こちらを拝見いたしますと,収入300万円を境に返還についての大きな格差が生じておりますので,所得の変動に応じた緩やかな設定を望みます。また,減額返還制度や返還期限猶予制度の柔軟な運用について,非常に歴史的な変更として,制限年数や賦課率の見直しに手が着いたと思いますので,今後状況を見て,また見直しをお願いしたいと思っております。
 それから(3)ですけれども,無利子奨学金についてです。先ほど来申し上げておりますとおり,やはり有利子以外ということで考えていきたいと考えております。有利子というものは飽くまで補完的な役割を果たすべきもので,無利子奨学金以上のもの,給付であるとか,減免であるとか,特別貸与とかがやはり基本だと思いますので,少なくとも現行制度として言えば,無利子奨学金のさらなる拡充を期待いたします。
 そして3番目,授業料減免。これは給付に準ずるような制度であると思います。こちらの改善についてなんですけれども,私立大学の経常費補助若しくは国立大学法人運営費交付金において行われていますが,ここで指標として一つ,学生1人当たりの補助額を,こちらの数字ですけれども書いておきました。1人当たり国公立54万円,私立20万円となっており,非常に大きな差があると。これをさらに規模で見ますと,先ほどの資料にもございましたけれども,国公立60万人のうちの3分の1程度,20万人です。私立ですと3.9万人になったとしても200万人のうちの4万人として2%程度と,大変大きな格差がございます。
 この国公立と私学の格差については,この後の4の検討事項の(3),また最後の「おわりに」のところでも触れさせていただきますけれども,是非是正をしていただきたいと,我々は切に願っております。
 それでは4項目に行きます。

【日本私立大学団体連合会(三友)】  それでは引き続きまして,その他の検討事項について少し述べさせていただきます。
 まず一つ目として,延滞率の改善が進まない大学名の公表ということが,これまでずっと言われてきております。日本学生支援機構の第2期中期計画の中に,「延滞率の改善が進まない学校名の公表を行うとともに,学校別内示数の算定における延滞率の比重を高める」という文言が入っているわけです。
 私どもとしましては,延滞率の改善が進むように,一生懸命学生の指導はするところでありますけれども,大学の責任とこの延滞率の改善が進まないことの因果関係はどのくらいあるのかということは,必ずしも明確になっているわけではございません。情報公開の波の中で学校名の公表を行うことは,分からないわけではございませんけれども,このことが思わぬ風評被害を巻き起こすことも想定されますし,そういうことが起きた場合に,私立大学の健全な経営に大変大きな影響を及ぼしかねないという危惧を,私どもは持っておりますので,この点については是非慎重にお取り計らいをお願いしたいと思います。
 なお,学校別内示数の算定における延滞率の比重を高めるということは,読み換えると,先輩たちが延滞をしたその罪で,後輩たちが罰せられるような形になりはしないかという危惧も持っております。学校別内示数の算定における延滞率の比重を高めるということについても,慎重な取扱いを今後お願いしたいということが,まず冒頭の1点目でございます。
 2点目としまして,税制の優遇についてでございますが,私立大学は奨学金制度を独自に設けたりする中で,いろいろな方々から寄附を募って,それを基金として学生支援を行ってきているわけでございます。そういう中で,平成23年度から私立大学に対する寄附に対して税額控除制度が利用できるようになって,これは非常に大きな進歩だと有り難く思っているところでございますけれども,なお現状においては,その寄附に関わる様々な条件,いわゆるPST要件というものが障害となってきておりますので,これを何とか撤廃する方向を御努力いただきたいと思います。
 それから3番目,家計基準の厳格化についてでございます。先ほど文部科学省の課長さんの方から御丁寧な説明を頂きましたので,相当理解は進んできていると思いますが,なおやはり,無利子の第一種貸与学生の枠を増やしていただくということが大原則と考えると,現行の家計基準の厳格化が,第一種の採用のいわばボーダーライン層を有利子の側に回している可能性は,否定できないところではないかと思います。これは先ほど舛谷先生の方からもお話しいただきましたように,無利子枠の拡大ということで,この問題が解決できるように御努力を引き続きお願いしたいと思います。
 それから4番目,奨学金制度についての情報提供,金融面でのリテラシー向上についてということでございます。実は特に高校,予約採用奨学生に多いわけですが,自分が借りているという意識が非常に薄い学生が年々増えてきているということで,大学の現場では非常に困っている状況が増えているわけですが,何とか生徒や保護者に対する奨学金の制度の事前教育,あるいは情報提供ということをもう少し手厚くやっていただけるように,何かお考えいただけば有り難いと思います。
 それから最後になります。これは度々触れるところでございますが,今,奨学金の事務が私立大学の現場を非常に圧迫しているといっていいほど,もう大変な事務量になってきております。私立大学も非常に限られた人員の中でやるわけで,中小の大学さんではパートを雇うという対応をしているところさえございます。
 そういう中で,この負担がし切れなくなってきているということも現場ではございます。そこのアンダーラインのところにも書かせていただきましたけれども,大学に対する奨学金業務の負担軽減を図るとともに,例えば私立学校振興法の「経常的経費の2分の1以内を補助することができる」とする条文,及び「できるだけ速やかに50%とするよう努める」とする参議院の文教科学委員会附帯決議等を踏まえて,私立大学の経常費補助の2分の1ということを速やかに実現するような努力を,引き続き求めていければと考えております。
 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【小林主査】  どうもありがとうございました。いずれもかなり重要な論点だと思いますので,まず委員の方々から御質問,御意見等あれば,出していただきたいのですが,いかがでしょうか。

【前原委員】  ちょっとお聞きしたいのですが。

【小林主査】  どうぞ。

【前原委員】  2ページの4の(1)で,大学名の公表をするとどうなるかということを今言われたのですが,やっぱり大学の経営姿勢とこの延滞率は絶対影響が出てくると思います。私も大学を経営していたからよく分かります。だから,責任がないとは言えないと思うので,ちょっとこの論点は,私は聞けないなと思いました。

【小林主査】  いかがでしょうか,この点について。

【前原委員】  改善の努力をすればよくなるんです。

【日本私立大学団体連合会(三友)】  はい,それは引き続き当然することだろうと思います。

【前原委員】  指導すれば。それが大学の姿勢であって,やらないとそれまで面倒見る必要はないと思うのです。

【日本私立大学団体連合会(三友)】  それを否定しているものではございません。

【前原委員】  だからこういうことを言われるのは,ちょっとおかしいなと思います。

【日本私立大学団体連合会(三友)】  いや,延滞率が下がるという努力をする,そういう指導は,当然大学はしているわけです。しているけれども,結果としてそれが発生したときに,その責任は全て大学の責任だという言い方はおかしいだろうと,こういう申し上げ方をしているわけです。大学にだけ責任を負わせる。直結しているかどうかということになれば,それはそうではないのではないかというのが我々の考え方です。

【前原委員】  それはやっぱり最後の四つ目にも書いてありますけど,教育をしていないということになるのではないでしょうか。

【日本私立大学団体連合会(三友)】  いや,それは違うと思います。

【前原委員】  いや,私は自分でやっていたから分かりますが。限られたファンドの中でどうするかという議論ですから。予算がふんだんにあるならいいけれども,予算が少ない中で,よりよい使い方をするにはどうするかという課題に対して,この意見は答えていない。到底聞けない意見だと思います。

【小林主査】  今の発言について,ほかの委員の方,もし御意見ございましたら。

【渡辺課長】  若干実際の例で補足説明させていただきますけど,ここに書いていますように,延滞率の改善が進まない大学名の公表というのは,今のJASSOの第2期中期計画,今期ですね,今年度末までですけど,平成21年度から25年度の5年間の目標として記載されています。
 実はこの議論は,第二種奨学金で財政融資を受けているものですから,財務省の財政制度等審議会の財政投融資分科会でも随分議論されています。そのほか行革とか様々な点で,確かに延滞率の改善をするための一つの方策として,こういったことも考えるべきではないかと。実際JASSOの中期計画に書いてあるので,ちゃんとそれをやりなさいということは,随分強く指摘をされています。
 ただ,本来の目的は延滞率を改善することであって,大学にペナルティーを与えることを意図しているものではないので。

【前原委員】  今はよくなっていますよね。

【渡辺課長】  ええ。なので,我々としても,単にペナルティーをというのではなくて,本来の目的である延滞率の改善のために,どのようにすることが最もよいのかという観点から,今いろいろ議論しています。
 確かにJASSOも,ちょうど平成21年頃から,随分延滞解消のために様々な努力をしてきて,今改善しているのは,ほぼそうしたJASSOとしての努力が大きく実を結んできている点があると思います。今10年以上延滞されている方というのは,JASSOにおいて法的な手続なんか随分やっていますが,確かにそれ以前についてはなかなかできない部分があって,恐らくそうしたかなり昔の債権については,効果は余りないのではないかとも考えております。
 したがって,やっぱり過去のことをどうこう言うよりも,今後さらにその延滞率改善を考えるとこれはJASSOだけでもできないし,大学にも教育を含めて,随分協力をお願いしないといけないものですから,良い形で協力していただけるような方法を検討したいと思います。ただ情報公開が言われている中で,情報はオープンにはしていきたいと考えています。

【小林主査】  ありがとうございました。いかがですか。

【前原委員】  通知されて,あなたの大学はこれだけですよと言われて,それで見て初めて経営者は気が付くのです。それで改善努力したのでよくなっているわけですよね。通知していただいたおかげで,僕はよくなっていると思います。

【渡辺課長】  ただ現状,通知していても,経営者にちゃんと情報が伝わっていないという状況もどうもあるようですので,そこもやっぱり改善が必要だと思います。

【前原委員】  だから努力すればかなりよくなると思うのです。

【日本私立大学団体連合会(舛谷)】  すみません,今の点ですけれども。

【小林主査】  どうぞ。

【日本私立大学団体連合会(舛谷)】  これは関係者で申しますと,大学と借りている学生,それから貸しているJASSO,そういう関係で,大学の方で今,近視眼的ではありますが,現場で非常に危惧している状況は,債務債権関係が大学と学生の間だと学生が理解をして,訴訟とまでは申しませんが,そうした紛争的なことが起きるのは困るということがちょっと出ているんです。

【前原委員】  どういうことですか。

【日本私立大学団体連合会(舛谷)】  今,学生がJASSOから奨学金を借りていて,そして債務債権関係がそこにあります。在学中にその学生たちにももちろん教育をする,説明をする,そして予約については生徒,学生になってからも,自分で借りて返すんですよということも教育していくわけですが,卒業して大体半年から1年ぐらいのところで,うっかりなどのミスもあるのでしょうが起こってくると。
 その卒業生に対して,さらに我々は在学のうちに予測して,どうやっていくかということになりますが,その卒業生が大学の方から示唆等あった場合に,債務債権関係について一見誤解をするのではないかという危惧は,ちょっと現場では出ておりまして,そこもここはちょっと含んでいるんです。

【前原委員】  ちょっと理解できなかった。

【日本私立大学団体連合会(舛谷)】  できないですかね。

【松本委員】  この問題は,結論として,私の意見はやむを得ないのではないかなと思いますけれども,これはペナルティーの問題なので,これ以前におっしゃったとおり,大学の側で大変ないろんな改善努力をした上で,ルール違反と言うと言葉がきつくなるかもしれませんが,そういうものを超えてしまったときのペナルティーは,やっぱり制度運営上どうしても,一定のものは必要なのだろうなと。
 ただこれは実際に適用していく上で,さらにいろんな基準の見直しも必要になるとは思いますけれども。これがなくて済めば一番いいのですが,それがなかなかそうはいかないという現状の中で,どこかで最低のペナルティーといいますか,それはやっぱり必要なんじゃないかなとは思います。

【日本私立大学団体連合会(舛谷)】  一つだけ確認しておきたいのですが。

【小林主査】  どうぞ。

【日本私立大学団体連合会(舛谷)】  としますと,この今回の公開というのは,個々の延滞している学生がこれを見て,じゃ,延滞をやめましょうというような取組ではなく,大学に対して,これについてもっと意識を持ちなさいというものなのだという理解でよろしいわけですね。

【松本委員】  はい。

【中村委員】  よろしいでしょうか。

【小林主査】  どうぞ。

【中村委員】  奨学金はどういうお金なのかということを,貸与者はどこまで理解していますかということだと思うのです。この貸与を受けることによって,自分たちは今の生活が守られているんだということを理解していますか。これは教育機関である我々が襟を正し,「感謝の気持ち」を教育しなければならないことではないのですか。
 もう一つ,3ページの事務処理が大変だということですが学校としてどういう姿勢でこの奨学金の貸付業務を受けているのですか。もちろん自学の学生のため,またそれは自学のためでもありませんか。「非常に有り難いですよね」,ここを学校側が理解いただかないと,貸与者につきましても,「有り難い」という本当の理解がなされていないのではないのですか。要は「当たり前になってはいけない」。そこを是非我々も理解し,襟を正さなければいけないと思います。
 私ども学校の中でも,延滞の重要性は非常に大きな課題になっています。対象となる卒業生を呼び指導をしますが,やはり収入が少なく生活ができないという話ですと,「返還期限猶予願」提出の指導で終わってしまい,なかなか返還という指導まで行き着かない。また,延滞している卒業生ほど呼びかけには応じないのが現状です。

【小林主査】  ありがとうございました。

【前原委員】  あともう一つ。

【小林主査】  どうぞ。

【前原委員】  私も学校にいて,結局非正規が非常に増えてしまったことが延滞に影響がありましたし,それから就職が10年くらいよくなかったですよね。10万人以上あぶれちゃうという事態があった。そのことに対して我々経済界としては,正規の採用を増やしていくということを基本的に考えてやろうとしておりますので,そういう側面からも我々もサポートしたいと思っています。それだけは言っておきたいと思います。

【小林主査】  ほかにございませんでしょうか。どうぞ。

【濱田委員】  私学の立場でもございまして,ちょっといろいろ発言を控えてはいたんですが,私どもの考えているのは,御指摘のあった,その学生への教育ということをないがしろにするつもりは毛頭ございませんし,それからまた現実,各団体,各学校の様子をいろいろ調査する中におきましては,そういった努力が非常によくなされていると言ってよろしいかと思います。
 にもかかわらずそういう事態が出るということ,それからプラス,非常に業務の煩雑さということが,特に私学においては問題になっておりまして,それをどう解決していくかということは,JASSOさんともいろいろと意見交換をしたりということを,現実にやっておりますので,大学がこれに関して責任を回避するとか,そういうことではないという文脈で捉えていただければと思います。
 私も私学にいる立場として,ちょっと発言して申し訳ございませんが,御理解をいただければいいと思います。よろしくお願いいたします。

【奥舎委員】  いいでしょうか。

【小林主査】  どうぞ。

【奥舎委員】  私は私立大学のこの要望にあります大学名の公表は,すべきでないと思っています。理由の一つですが,例えば公立大学でも学生支援の面で,減免のパーセンテージは2%があれば8%もあり,ばらばらなわけです。そういうことも公表せずにおいて,この一部門の奨学金の延滞率だけを挙げて大学名を公表することは,やっぱりレッテルを貼られると。10年前の学生の日常生活が今の学生に負担を掛けることになるのは事実になるわけです。
 ですから,公表するより以前に,その延滞金を改善する方法は何かというのを,しっかりと私立大学の協会でも検討していただいて,提案していただきたい。内部で検討していただいて,こういう方法をやっていますとか,こうして改善方法をとりますとかいうものを,皆さんに提案していただきたい,私はそれを是非お願いしたいと思います。

【小林主査】  ありがとうございました。私の方からちょっと補足いたしますと,この延滞率の公表というのは,今現在行っているのはアメリカだけです。アメリカの場合には,ペナルティーという意味よりも情報公開という意味合いでやっていますので,全大学を対象に行っております。
 もう一つ注意していただきたいことは,アメリカの場合は,3年間延滞率が25%超えた場合には,連邦奨学金の受給資格を失うという非常に厳しいペナルティーがついています。ですから各大学は非常に熱心に取り組むわけですが,この場合も飽くまで3年間の平均なのです。つまり1年だったらたまたまそういうことも起きてしまうかもしれない。それから公表の場合においても,学生数とか併せて公表するというやり方をとらないと,例えば小さな大学ですと,奨学生が10人しかいないとすると3人延滞になったらすぐ3割になってしまうわけです。
 そういういろいろな問題がありますので,これは是非JASSOでもこういうことを行うのであれば,もう少しそのあたりを非常に慎重に制度設計していただかないと,私は実は「奨学金の返還促進に関する有識者会議」のときに,このアメリカの話を紹介したこともありますので,ペナルティーだけ強化するという形になると,またいろんな問題が起きますので,その辺は是非検討していただきたいと思います。
 それから,これも前のこの会議で申し上げましたが,大学に負担を掛けるということになりますので,これについてはきょうも他の委員の方からありましたけれど,これ以上単純に大学にこういったことを努力しろと言われても,なかなか難しい面もあるということも事実だと思います。
 特にアメリカの場合は,現在そのペナルティーを避けるために,法律的にも大学に入ってからのガイダンス,それから卒業時のガイダンスというのが義務化されておりますので,そういう形でやられているわけですが,日本の場合,ここにもありますように,現在の大学の事務的な負担からいってそういうことが可能かどうかということを,慎重にやらないと,なかなか難しい問題だろうと思います。そのあたりは先ほど奥舎委員の方から言われましたように,是非皆さんで知恵を出し合って,もう少し何かやれないかということを考えていただければと思います。

【前原委員】  何かウオーニングシステムにしたらいいですよね。

【小林主査】  そうです。

【前原委員】  その学校に対して,あなたのところちょっと悪くなったから直してくださいねというウオーニングをする方が,妥当かもしれないですね。

【小林主査】  そうです,それも一つの考え方です。
 それと,例えば適格認定制度がありますので,適格認定で成績とかが非常によくない学生というのは,就職も当然悪いと予想されますので,適格認定でそもそもそういう学生をきちんと指導していただくということも,非常に重要なことだろうと思います。そのあたりは今の制度の中でもできることだと思いますので,是非よろしくお願いしたいと思います。
 よろしいでしょうか。では,どうもありがとうございました。
 続きまして,日本私立短期大学協会からのヒアリングに移らせていただきます。本日は目白大学短期大学部,松村学生支援部長にお越しいただいております。では,松村部長,どうぞ資料について御説明をよろしくお願いします。

【日本私立短期大学協会(松村)】  松村でございます。よろしくお願いいたします。
 まず,ここのところに参りまして,短期大学がどんな現状なのかということを,少しだけ御説明させていただければと存じます。資料4を御覧ください。
 短期大学ですが,こちらの表で見ますと,平成7年と平成9年の間の平成8年,これは1996年でございますが,実はこのときに私立短期大学は598校ございまして,これが短期大学の数が一番多かったときでございます。それが現在平成25年になりますと,360校まで減っております。これは60%の減,238校が減っているということになります。
 短期大学は,私立の短期大学が全体の360校のうちの95%に当たります341校,そして公立の短期大学が19校となっております。また,その下の表を御覧いただきますと,学生別の学校数です。私立の短期大学が大半でございますが,何と200人から600人規模の非常に小さな大学がこのように数が多くて,全体の約60%がこの小さい学校となっております。
 短期大学と申しましても,大半は2年制でございますが,中には看護ですとか,資格のために,3年制という学校もございます。
 続いて2ページでございます。こちらの方は在学生の推移でございます。先ほど平成9年が学校数のピークだと申し上げましたが,学生数につきましては,平成5年,この1993年に53万人と,短期大学の学生としてピークを迎えております。現在は13万8,260人ということで,そのピーク時に比べますと何と74%,39万人の減で,短期大学の数,そして在学生ともに,非常に分母が小さくなっているのが現状でございます。
 短期大学は,男女の割合で見ますと大半が女子の学生ということ。それからどんな学科にどんな学生がいるのかとなりますと,ここで見てお分かりかと思いますけれども,教育系が36%ということで,この教育系というのは例えば幼児教育,保育科,子ども学科,初等教育等の学科になります。そしてここで取れる資格というと,保育士,幼稚園教諭の二種,それから小学校教諭,養護教諭等の資格が取れることになります。
 また,次の家政系ですけれども,家政系は食物栄養,生活科学,生活科,栄養科,生活福祉科などがございます。こちらの方で取れる資格はと申しますと,社会福祉主事ですとか栄養士,そんな資格が取れる学科です。
 そして3番目は保健系で,看護,歯科衛生,リハビリテーション,臨床検査等の学科がございまして,看護師,あるいは歯科衛生士,リハビリテーション士,臨床検査技師等の資格が取れるようになっております。
 続いて3ページでございます。短期大学の一つの特徴といたしましては,大学とちょっと違いまして,自分の県,自分の住んでいるところの短大に入学をして,その下の表にございますとおり,また自分の住んでいるそこで就職をするという学生が非常に多いのが特徴でございます。地域に根差しているということで見ていただければよろしいかと思います。
 そして3ページの下の円グラフが二つございますが,その右側をちょっと見ていただければと思います。どんな就職をするかというと,専門的・技術的職業従事者が半分以上を占めておりまして,先ほど申し上げたいろんな資格を取って,その資格を使って就職するということが非常に多くなっております。
 ここまでの資料は学校基本調査ですとか,私立短期大学の就職関係の資料を使わせていただきました。4ページを御覧ください。ここからは私どもがおります日本私立大学協会の学生生活委員会の方で,2年に1回ずつ,学生生活に関する調査というのを短期大学の学生に行っております。
 ここで注目していただきたいのは,平成11年の調査で見ておりますと,短期大学を選んだ理由の一番に,資格が取れるということと,経済的な理由で短期大学を選ぶ,これが44%と11%となっております。平成22年度の調査になりますと,同じようなことですが,資格の取得というのが少し増えまして,50%近くになっておりますのと,経済的な理由というのも平成11年度に比べますとやはり上昇しております。
 それから,5ページの調査を御覧いただければと思います。短期大学の学生は外で時間があるときに何をしているかというと,やはり自分の遊びや何かのためだけのアルバイトではなく,短期大学は資格を取るということも大変でございますし,授業料は私立大学と同じくらい高いのが私立の短期大学でございますので,アルバイトをして家計の補助,あるいは学費を稼いでいるという学生が50%近くに及んでおります。
 また,現在抱えている不安や悩みに関しては,下の表にございますとおり,学費,生活費等の経済的な問題と答えている学生も多うございます。
 6ページでございます。では,大学の方に学生は何を望んでいるのかと申しますと,ほとんどの学生は就職ですとか授業,それから資格取得というような,短期大学特有のこと,それと奨学金の関係と答えた学生も10%以上に及んでおります。
 ここまでの資料を御説明した上で,もちろんこれは全ての短期大学の意見を代表するものではないですけれども,次の4点について,是非お願いしたいと思っております。
 まず,先ほども出ておりましたけれども,給付型奨学金の創設は是非ともお願いしたいと思っております。これに関しましては,例えば突発的な経済状況の変化ですとか,あるいは平成23年にございました東日本大震災。ああいうときの緊急援助につきまして,できれば貸与という形ではなく,給付という形もとっていただければ非常に有り難いと思っております。これが1点目です。
 そして2点目といたしましては,第一種奨学金の拡充です。短期大学の学生は大半が就職するものの,一部は大学に,あるいは専修学校の方に編入をしたりいたしますが,その際に予約進学というのが,短期大学から大学に行くときにはなかなかございませんものですから,そういう学生にとっても,高校から大学,高校から専修学校のように,こういう予約ができたら非常に有り難いなと思っております。
 それから,3点目は返還の免除。これは非常に難しいことなのかもしれませんが,短期大学の学生は,先ほど申し上げたように,地域に根差した学生が地域に戻って,短期大学で取得した資格を使って就職するという学生が大半でございます。その際に,たとえ最初から第一種の奨学金をもらえていた学生であっても,もし大学院のようにある程度の返還免除をしてもらえたら,非常に有り難いなと思っております。
 それから第4点は,短期大学が先ほどいろんな地域に根差しているというお話をさせていただいていますが,地域的な配慮をお願いできないかということでございます。弱小な短期大学が多うございますので,学生数で第一種,第二種の人数枠が来ますと,なかなか地域によっては,人数が少ない,小さい学校が多い中では,やはり厳しい短期大学が多うございます。東北地方ですとか,特にそういう恵まれない地域について,地域的な配慮ということも細かにしていただければ有り難いなと思っております。
 それから,先ほど,予約進学者について日本私立大学団体連合会の方々もおっしゃいましたが,短期大学の方でも,予約をして入ってきた学生の返還率というのが実は低いのが現状でございます。全部の大学では多分ないとは思いますが,本学について言えば,予約進学者の返還率が劣っております。これは予約をする際にはまだまだ高校生ということで,ほとんどが親御さんの言うとおりに予約をして大学に進学していると思うのです。
 短期大学に入った後に説明はするものの,なかなかそれが身についていかないというか,まだまだ18歳で楽しいこと,自分が借りているという意識が薄いこともあるかと思います。けれども,この予約進学者への特に親御さんへの説明等が,今後大学ももちろんしていかなくてはいけないことではございますが,高校等においても是非十分にしていただければ,有り難いなと思っております。
 以上でございます。

【小林主査】  どうもありがとうございました。ただいまの日本私立短期大学協会の方のヒアリングについて,御意見,御質問ございましたら,御自由にお願いいたします。いかがでしょうか。

【奥舎委員】  いいですか。

【小林主査】  どうぞ。

【奥舎委員】  お聞きしますが,経済的理由で学生がぐっと増えていますね。

【日本私立短期大学協会(松村)】  はい。

【奥舎委員】  先生のところの大学でもいいですけど,一般的な平均でもいいですが,私立短期大学の世帯収入の平均は大体どのぐらいなんでしょうか。分かりますか。

【日本私立短期大学協会(松村)】  実は奨学金を借りたいという学生の世帯の収入はある程度分かっておりますが,全部の学生にということはなかなかしておりませんけれども,500万前後ではないかと思っております。

【奥舎委員】  私もそのぐらいかなと。というのは,私どもも公立なんですけど大学と短期大学と両方ありまして,大体それぐらいの世帯の人が多いんです。やっぱり4年制大学の学生の世帯の方が上になるわけです。

【日本私立短期大学協会(松村)】  そうですね。

【奥舎委員】  そうした場合に,その世帯の層の学生はどのぐらい奨学金を借りていますか。

【日本私立短期大学協会(松村)】  そうですね,本学は東京都内にございますし,4年制があるということもあって,比較的短期大学については恵まれているかと思いますが,3分の1ぐらいが借りています。

【奥舎委員】  一種,二種含めまして,全部で3分の1ぐらいですか。

【日本私立短期大学協会(松村)】  はい。それは少ない方だと思っています。

【奥舎委員】  ありがとうございました。

【日本私立短期大学協会(松村)】  それから,短期大学特有のことではないかとは思うのですが,このところ大学の入学を機に,御両親が離婚するという割合が非常に高くなっておりまして,前年度の収入がお父さんと一緒だったので高かったけれども,4月以降になると,大学に入るのを機に離婚ということで,急にお母さんお一人になったりして,収入ががくんと減っている学生さんが非常に目に付くようになっております。

【小林主査】  いかがでしょうか。どうぞ。

【前原委員】  渡辺さんに聞きたいのですが,さっきおっしゃった四つ目の地域的配慮というのはどういうことが考えられるのですか。

【渡辺課長】  そもそも奨学金制度自体が,確かに地域うんぬんというよりも,例えばその学生さんの成績であるとか,保護者の年収であるとか,そういった形で決まってきておりますので,単純に地域と割り切ることはできないのではないかなと思うんです。

【小林主査】  今うろ覚えですが,昔推薦内示数を決めるときに,県別の所得とかを入れていたことがあったような気がしますが。石矢部長,今変わっていますか。何回かやり方を変えていますね。

【石矢奨学事業本部長】  ええ,前は高校の奨学金もありましたから。

【小林主査】  高校奨学金のときですね。

【石矢奨学事業本部長】  高校の奨学金の面では地域的配慮があったかもしれません。県によって割当数がばらばらなんていうことはありましたけれども。

【小林主査】  現在はそういうものは入っていないことは間違いないですけれど。今高校奨学金の方はもう,都道府県に移管していますから。大学の方はそういうことはなかったということですね。

【渡辺課長】  ちょっと1点。すみません,今データが届きましたので。最後に御指摘のありました,予約採用と在学採用での延滞率の比較ですけれども,後ほど委員の皆さんにお配りしますが,とりあえず申し上げます。
 大学で比較をしますと,まず予約採用と大学在学採用で,延滞率は予約採用5.07%,在学採用は4.9%。短大の場合は予約採用延滞率が5.14%で在学が5.46%。大学と逆転しています。第二種奨学金の場合は,大学は予約が6.21,在学が7.26,短大の場合は予約が6.45で在学が9.68です。これは平成23年度中に貸与を終了した,24年度から返還を開始した学生さんの24年度末の延滞率なので,限られた1年間だけをちょっと引っ張ってきたものです。全体の傾向は若干違うかもしれませんが,参考として。

【小林主査】  所得分布の話ですけど,これは日本学生支援機構がやっている学生生活調査にあります。

【田中課長補佐】  先生,よろしいですか。学生生活調査の方のそのデータでございますけれども,短期大学の昼間部でございますが,一番ピークが来ているところが家庭の年収で約600万円から700万円,19.4%という数字になってございます。ちなみに夜間部の方まで移しますと,ピークが500万円から600万円ということで,割合的には23.4%になってございます。
 ただ累積で見ますと,大体その昼間部の方,今19.4%と言ったピークに至るまでに64.8%ということで,かなり低所得者層にシフトしているというところは見てとれるかと思います。また,昼間部ではなくて夜間部の方でございますが,こちらは先ほどピークが23.4%と申し上げましたけど,ここまでの累積で見ますと約7割ということで,かなり低所得者層の方に分布しているということは読み取れるかと存じます。
 以上です。

【小林主査】  ありがとうございました。はい,どうぞ。

【渡辺課長】  質問というか,御意見を伺いたいのですが。先ほど3番目に返還免除制度の創設について御意見があったんですけれども,これは御指摘のように今は大学院生だけで,この中間まとめ段階でも,それを学部に広げられないかという御意見を頂いて,今検討を進めているところなんです。ただ一番難しいのは,では,どうやって選ぶかなんです。今大学院生は,成績優秀な学生さんを選んでいますが,本当に学部の学生まで広げる場合に,学部の学生をどうやって選ぶか。もう一つ短大の学生さんであれば,例えばそれを選ぶのにどうして選ぶと合理的なのか,もし御意見があれば伺えると幸いです。

【日本私立短期大学協会(松村)】  短期大学はほとんどが,国家試験含めた資格取得のために入っている学生が多うございますので,例えば二種を借りている学生がそういう国家資格を取得して,就職したら,利息なしの一種の返還に変えられないかというのが一つ考えていたことございます。要するに,二種を借りているのだけれども,利息が発生するのは返すときになってからでございますよね。ですから,返すときまでに,その目指していた資格が取得できて就職した学生については,二種ではなく一種の利息なしという免除の方法も一つではないかと考えておりました。

【小林主査】  利子のみの返還免除はあり得ないかという御提案ですね。

【日本私立短期大学協会(松村)】  はい。大学院の成績優秀者のことも私もやったことがありますが,非常に煩雑で大変なことだったものですから,それを短期大学あるいは学部で入れるというのは,非常に事務的にも大変だろうなと思います。そういう意味ではある程度,これとこの資格でここに就職したい人は,二種の利息だけの部分はいいですよというような免除の方法もあるのではないかと思っておりました。

【小林主査】  一つの考え方として,これは給付型奨学金とも関係する問題なのですが,給付型奨学金,あるいは大学院ではない学生についての返還免除については,この会議では割と大学に委ねるという形で,方向性はまだ決定したわけではないのですが,そういう形で議論が進んでいます。ですから確かに事務が非常に煩雑だということは分かりますけど,現在でも推薦はされているわけですので,そこで例えばそのうちの何名かを給付型に充てるとか,それから返還免除に充てるとか,そういう順位を付けることは可能でしょうか。

【日本私立短期大学協会(松村)】  はい。

【小林主査】  その程度のことなら大丈夫ですか。

【日本私立短期大学協会(松村)】  はい,結構です。

【小林主査】  分かりました。ありがとうございました。ほかにも御意見,御質問等あると思いますが,時間の関係で,このあたりで日本私立短期大学協会の方のヒアリングを終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

【日本私立短期大学協会(松村)】  ありがとうございました。

【小林主査】  続きまして,全国専修学校各種学校総連合会からのヒアリングをお願いいたします。御着席ください。

【全国専修学校各種学校総連合会(関口)】  御案内いただきました,全国専修学校各種学校総連合会の関口でございます。意見具申をさせていただく機会を与えていただきまして,ありがとうございます。

【小林主査】  どうぞよろしくお願いします。

【全国専修学校各種学校総連合会(関口)】  よろしくお願いいたします。
 専修学校専門課程について,学生への経済的支援の在り方ということに関しましては,基本的に専修学校,専門学校が公的支援をほとんど受けられない状況にある中で,一方で学生の家庭年収につきましては,家庭年収500万円未満が,大学が23.7%,短大が32.3%ですか。それに対して専門学校については500万円未満が40.5%ということで,大学に比しては約20%,500万円未満の割合が多いという状況です。
 つまり,経済的に困窮する家庭の学生の割合が高いということが予想される中で,片や経済的な支援,公的な支援というものは非常に薄い状況にあるところから,幾つかの問題点が生じてきています。またそれに対するお願いというのも,その観点から出てくるということです。
 お手元の専修学校,専門学校についての資料が8枚ほどございますが,最初に今申し上げた点も含めまして,専修学校の現状,背景につきまして,冒頭で簡単に説明をさせていただきたいと思います。
 まず,参考資料1,専修学校制度の概要ということですが,専門学校というのは専修学校のうちの専門課程,高校卒業を入学資格とする課程ということです。そこに表記しておりますように,学校数が専修学校については3,200校,在籍者が66万人ですが,このうち私立が9割以上です。
 うち専門学校(専門課程)は2,811校で,全体の87%,在籍者は58万7,330人,全体の89%ということになっております。分野的には医療分野,こちらが全体の35%を占めております。医療,福祉ということになりますと,25万近くの学生が全体の中で在籍しているということでございます。
 参考資料2は,非常に多様な分野で職業教育をさせていただいておりますが,こういう分野で職業があるのかとか,こういう形で正規の就職が可能なのかなと,余り気づかれないような領域においても細かく職業教育を行い,学生をきちんとした職業に就けているということです。
 参考資料3,卒業生に占める就職者の割合ということで,全卒業者に対する就職率という点では,いつも70%以上を最近では確保している状況になっておりますが,下の数字を御覧いただきますと,24年度,一番右端で,例えば大学は,卒業者が55万8,000人ぐらいに対して就職者が37万5,000人というのに対しまして,一番下の専門学校は,22万2,800人ぐらいに対して17万7,585人の就職者を送り出しているということです。
 最終的に社会に接続させていくという観点からの教育機能ということについて,専門学校は公的支援を受けずに,独立的な経営を行いつつ,17万人以上の正規就職者を世の中に送り出していると。これらの卒業生はきちんとした税金を払う人間となっていくわけです。私立大学等については3,000億以上の経常費助成等の支援がある中で,専門学校はほとんどないという状況の中で,国の教育に関する投資のコストパフォーマンスということを大きな意味で考えたときに,独立的な経営で,ほとんど経常費補助をもらわない段階で,17万人の税金をきちんと払う就職者を生み出しているということについて,広くもっと世の中に認識をしていただきたいというのが私どもの気持ちです。
 ではそういう卒業生たちはどういう分野に就職しているのかということですが,先ほどの在学生でも医療分野というのが大変多いわけですが,これから一番産業別にも就業人口が増えると思われているのも,やはり医療,福祉です。
 そこでは,専門学校生の占める割合が,大変多くなっているのは御理解いただけると思います。数字で言いますと,医療分野については,大学卒業生が3万4,658に対しまして,専門学校卒業生は7万2,995人の就職という状況になっております。おおむね水色が多いのは,全体としてサービス業と言われるところへの就職比率が相対的に高くなっていると思います。
 経営の問題としての収入構造ですが,一番右の平成23年度で御覧いただきますと,専修学校については学生生徒等納付金の占める割合が84.7%,補助金への依存率2.4%という状況になっているわけです。
 その下に,私立専修学校への助成に対する交付税措置の状況というのが時系列で出ておりますけれども,一定の方針というものは余り感じられない,数字自体も低いのですけれども,明確な積算根拠がないのではないかということを感じざるを得ない状況です。
 次のページですが,先ほど来話題になっております家庭年収につきましては,先ほど500万円未満のパーセンテージに触れましたが, 300万円未満についても17.5%と,専門学校については割合が多くなっておりますが,500万未満についてもやはり全体に占める割合が多いということです。
 そこまで見ていただきまして,5点ほど今回御検討いただきたい点を,もともとの資料の方で御案内申し上げたいと思います。
 まず1点目は,国による専門学校での授業料等減免措置に対する支援制度の創設についてということで,中間まとめの3の給付的な支援についてにおいて,授業料等の減免等を引き続き拡充という御提言がなされているわけでございますが,そこにも指摘していただいておりますが,専門学校においては授業料減免措置は公的支援の対象とされていない状況です。
 また,都道府県においても,一般交付税の明確な積算根拠がない等の財源の問題に基づいて,授業料減免措置というものが,高知県以外はほとんどなされていない状況でございます。
 国による私学助成がないということで,授業料減免が講じられていないわけですが,一方で専修学校における高等課程,高等専修学校では,生徒本人に着目した国の就学支援金の仕組みが,私立の高校と同様に整備されているわけです。
 片方で専修学校について,高等課程についてはこのような就学支援金の仕組みが高校と同じように整備されているということですので,この中間まとめにおきまして,授業料減免制度も含めた給付的な支援策全体の制度設計について整理し直すことを,将来的な課題ということではなくて,現下専門学校に進学を考える人間,現在在学中の人間も,経済的な困窮ということについて苦しんでいる学生,あるいはそういう見通しを持っている高校生がいるわけですので,既にモデルとして就学支援金の仕組みというものが高等課程については存在するわけですので,それを一つの手掛かりとして,専門学校に関する授業料減免の創設について,後押しをしていただくような御議論をしていただければということが,第1のなおかつ一番大きなお願いでございます。
 2番目は,卒業時の返還免除等の制度改善における,専門学校の場合はどうするのかといったときの成績評価の問題につきまして,学位・職業資格といいますか,大学も含めた国際的な潮流においては,学生個々の視点に立った教育ということを中心として,学習成果を基準とした学位・資格枠組みというのは,御承知のようにヨーロッパをはじめとして組み立てられようとしています。日本でもその中でいろんな議論がなされているわけですけれども,その場合に専門学校においては,当然のように自分たちが就職することになる業界との関係というのは,今回の職業実践専門課程の考え方もそうですけれども,強くあるわけでございます。
 到達地点というのは,外側にある人材要件との関係の中で出てくるわけですので,当然その場合の成績,基準というものも,何ができるのか,どのような能力を身に付けたのか,どのような技術を獲得したのかという観点が,専修学校,専門学校については大変重要になっております。卒業時の返還免除の制度改善ということについての基準設定において,単に知識だけではなくて,それに加えて何ができるのか,能力,技術という観点についても,それを同時に御議論いただくような方向を,是非お願いしたいというのが2番目です。
 3番目は,専門学校における貸与型支援の設定についてです。無利子奨学金の拡充は御指摘いただいているとおりですが,専門学校生の家庭の年収階層別の生徒数の割合を見ますと,他の学校種に比べて低所得者層の割合が高いのは御覧いただいたとおりで,奨学金貸与人数と全学生数との比率を見ますと,専門学校における無利子奨学金(第一種)は他の学校種に比べて低くなっております。
 これは参考資料7を御覧いただきますと,その図にございますように,パーセンテージでいきますと,この赤のひし形のところが専門学校でございますが,6.8%ということで,他の学校種に比べると無利子については低い状況になっておるところです。
 また,参考資料8を御覧いただきますと,専門学校の数が大変多いというところに起因している部分があると思われるのですが,1校当たりの平均貸与人員についても,専門学校においては,黄色い部分ですが16名ということで,かなり低くなっている現状です。そこで,実態を踏まえた上で教育機関ごとの適切な貸与人員の設定というところで,また御検討,御議論をお願いしたいというのが3番目でございます。
 4番目は,所得連動返還型の奨学金の範囲拡大についてです。専門学校生も,就職した後の返還をしながらの生活設計ということについては,不安を感じている学生も数多くおるわけです。より柔軟な所得連動返還型の奨学金導入に向けた準備という御提言の方向で,是非,卒業後の所得に応じた返還額が変動する柔軟な返還方式の導入をお願いしたいということと,併せて有利子の奨学金についても導入を御検討いただけないかということが4番目です。
 最後の5番目としまして,高校段階における奨学金制度の情報提供の徹底ということ。専門学校が入学説明会等で予約採用の話をすると,初めてそこで知ったということで,その知った時点ではもう期限が過ぎていたということが,かなり報告としてあるようですので,これは高校の先生方,特に進路に関わる先生方が,そのようなことについてしっかり押さえて御指導いただくような方向で,何か手立てを講じていただけないかということです。一方,専門学校における奨学金業務に関わる教職員に対する研修,適格認定の好事例等を含めた情報提供の充実などは,専門学校の方も努力をしていきたいと考えているところです。
 情報提供の徹底ということをこれからのところで明示していただくことをお願いいたしまして,私の方からの意見具申ということにさせていただきます。ありがとうございました。

【小林主査】  ありがとうございました。ただいまの全国専修学校各種学校総連合会の方からのヒアリングについて,御意見,御質問等はございませんでしょうか。いかがでしょうか。
 かなり共通の問題もあります。例えば交付税の問題等については,前回の公立大学のヒアリングでも同じような問題が出ておりますし,ここは国と地方の役割分担みたいな話にもなりますので,なかなか難しい問題もあるかとは思いますけれど,そのあたりはこちらでも検討していきたいとは思っております。
 それから,全体として専門学校というのは非常に多様でありますので,なかなかこういった一律の制度ができるかどうか。特に所管が都道府県ですので,その辺のことも含めて国と地方がどういう関係があるかということが,なかなか難しい問題だと思います。
 私の方から一つ御質問ですけど,1ページ目に授業料減免措置に対する補助事業実施というのは,先ほど高知県だけだというお話だったんですが,これは逆に言うとなぜ高知県はしているのかということがもしお分かりでしたら。

【全国専修学校各種学校総連合会(関口)】  すみません,分かりません。

【小林主査】  つまり都道府県の経済力には非常に格差がありますから,なかなか国の事業と違って一律にできないということは分かるのですけれど,なぜ高知県だけかなと,単純な疑問です。

【全国専修学校各種学校総連合会(関口)】  調べます。

【小林主査】  分かったら教えていただければ。

【全国専修学校各種学校総連合会(関口)】  はい,分かりました。

【小林主査】  ほかにいかがでしょうか。

【前原委員】  大学に行っていて専門学校に行っているという,ダブルスクールみたいな子供ってどのぐらいいるんですか。何か結構増えていたような気がするんです。

【小林主査】  統計をお持ちですか。

【全国専修学校各種学校総連合会(関口)】  同時に在籍というのはかなり難しいと思うんです。

【前原委員】  そうですか。じゃ,終わってから行く,短大を出てから行くとかというのが。

【全国専修学校各種学校総連合会(関口)】  それは非常に増えております。

【小林主査】  専門学校と大学を持っているような法人も結構ありますので,そのあたりどういう形になっているかということは,少しは分かると思います。

【全国専修学校各種学校総連合会(関口)】  特に先ほど来触れている医療分野等については,既卒者の割合が大変多いです。

【前原委員】  そうでしょうね。

【全国専修学校各種学校総連合会(関口)】  大体30%,40%は既卒者で,その中で大学卒業生,短大卒業生というのはかなり含まれております。
 くどいようですけれども,専門課程だけそこの財政支援が抜け落ちているということです。それに対してきちっと世の中に人材を送り出しているということの対比で,これは早急の改善を是非ともお願いしたいと,再度お伺いしたいと思います。

【前原委員】  専門学校だとやっぱり返還率がいいんですか。滞納率は低いんですか。就職率がいい。

【全国専修学校各種学校総連合会(関口)】  必ずしもよくないと思います。大きく差はついていないと思いますが,大学,短大と比べて同じか,ちょっと悪いぐらいの状況になっていると。

【中村委員】  よろしいでしょうか。

【小林主査】  どうぞ。

【中村委員】  専門学校への補助金については各地方公共団体によって,その対応が違うことにまずは問題がありますが,今回のように新規に「授業料減免」という施策を実行しようとすると,その予算は現在各専門学校が受けている運営費補助が削減された分で予算立てされる。要するに,地方財政の私立学校助成の年間総予算が決まっている中で,専門学校分が予算化され,それが学生直接助成になるか,それとも今まで同様学校への補助になるのかという違いでしかない。
ついては,国の財政で予算付けを考えていただき,国から地方行政に対して,「授業料減免」を施行すれば国から補助するという指導をしていただきたいと思います。

【全国専修学校各種学校総連合会(関口)】  専門学校全体としては,経常費の助成等について,必ずしもそういう方向で願っている学校ばかりではないです。独立的な経営ということで,長い実績と基盤がありますので。ただ,学生一人一人に対する支援という観点からは,大学生とか短大生に比べて差があるというのは不当ではないか,こう思っているわけで,できるだけ自立的な,補助に頼らない経営という考え方は,多くの専門学校は現在も持っているところです。

【小林主査】  この中には特に給付型奨学金というのは,各団体は大体出されていますけれど,その辺のことは余り御要望として出ていないようですが。

【全国専修学校各種学校総連合会(関口)】  それはもちろん給付型は望ましいところですが,その第一歩というか,手前のところで実現可能な要望という形で,今回は提言させていただいたところです。

【小林主査】  これは時間の関係できょうはお聞きできませんでしたが,給付型のやり方としては,授業料減免と,それから給付型奨学金,あとは返還免除というやり方があるわけですけれど,これは一長一短ありますので,どうするかということはここでもずっと議論してきているのですけれど,それぞれの団体によって御要望が違うと思います。
 ですから,まず授業料減免の方ということもありますけど,ただ,今言われたように授業料減免は,逆に言うと国として関与がかなり交付税の形では難しいということになると,給付型というのも一つのやり方としてあり得るのかなというのも考えられますので,そのあたりの御意見はいかがでしょうか。

【全国専修学校各種学校総連合会(関口)】  まだ手前の議論のところを中心にしておりますので,給付型については,もちろんそれをお願いしたいというところは共通しておりますけれども。では,具体的にどのような形とか,どのようなお願いの方法ということについては検討中という状況です。

【小林主査】  分かりました。どうもありがとうございました。

【全国専修学校各種学校総連合会(関口)】  ありがとうございました。

【渡辺課長】  1点だけよろしいですか。

【小林主査】  どうぞ。

【渡辺課長】  先ほど説明していただいた参考資料3の2に就職率のデータがあります。これは学校基本調査に基づいて出していただいているものです。文科省でも実は混乱が生じていまして,これまで就職率といえば,学校基本調査に基づくデータも就職率と言っていました。そのほかに,就職内定状況調査というのが別途あって,文科省と厚労省が一緒になって調査し,公表しています。これは卒業生のうち,就職を希望する人のうちの就職できた人をもって就職率と定義してきました。これまで実はダブルスタンダードで公表してきたのですけれども,昨年の11月から,今後文科省として就職率という場合には,就職を希望する学生さんのうち,実際に就職できた人の数ということで,定義を改めました。
 直近のデータとしては,昨年の12月1日の就職内定状況の調査結果を,もうあと一,二週間で公表します。またそれを参考にしていただければいいのですが,参考までに,昨年の4月1日現在の就職率,就職を希望する学生さんのうち,実際就職ができた方の率を申し上げますと,専修学校の専門課程の方ですと94.1%,それから大学の方は,こちらの参考資料3では大学院に進学する方も入っていらっしゃるので,実際に就職する方だけで申し上げると93.9%になっております。これが御参考までです。ちなみに短期大学は94.7%という数字になっています。

【全国専修学校各種学校総連合会(関口)】  これはサンプル調査ということなので,サンプルする対象が,例えば医療系の就職については。

【渡辺課長】  それは偏りがないように。

【全国専修学校各種学校総連合会(関口)】  そういう改善していただいているんですか。

【渡辺課長】  はい。

【全国専修学校各種学校総連合会(関口)】  分かりました。

【小林主査】  ありがとうございました。これはまた公表されましたら使ってよろしいのでしょうか。

【渡辺課長】  はい。恐らく次回の委員会のときには公表されていると思いますので。

【小林主査】  ありがとうございました。

【全国専修学校各種学校総連合会(関口)】  ありがとうございました。

【小林主査】  どうもありがとうございました。
 それでは少し時間が足りなくなっておりますけれど,御意見を頂く前に,前回会議でデータの提供をお願いしていましたが,それについて事務局から出てきておりますので,参考資料につきまして御説明をお願いいたします。

【田中課長補佐】  失礼いたします。本日お配りしている資料の中に,A4横置きの文中で,私立大学等の授業料減免事業の基準についてというものをお配りさせていただいております。前回の議論の際には,国立大学,それから公立大学において同様のものをお配りさせていただいておりましたが,それの私立大学バージョンということで御理解をいただければと思います。今回二つの大学,それから一つの私立の短期大学ということで,例示として挙げさせていただいております。
 まずA大学ですけれども,1から4まで基準がございまして,それを満たす新入生を対象に,基本は60万円,ただし学部別で若干加算されているということでありますが,その額を給付するというものでございます。
 一つ目は年収の基準ということで,給与収入の場合は800万円未満,事業所得者,個人事業者の場合には337万円未満ということでございます。二つ目は学力基準ということで,高等学校での評定の平均が4.1以上であるということ。それから3番目と4番目は地域に関しての基準でございまして,本人が首都圏以外の国内の高校を卒業,又は卒業見込みであり,家族は首都圏以外の国内に居住していること,要は1人で学校に通っている,自宅外通学ということでございます。
 二つ目,B大学でございますが,二つの基準,(1),(2)の基準を満たす学部の新入生を対象に,学費の半額相当額ということで75万円,これも学部によっては加算がされているということでございますが,給付されているということでございます。
 一つ目は家計の基準でございまして,これも給与収入の場合は841万円未満,個人事業主の場合であれば355万円未満であるということ。二つ目は成績の基準でございます。高校での平均の評定値が3.5以上であることで,2年生以上については取得の単位数で基準を定めているというものでございます。
 最後,短期大学の例でございますけれども,まず生活保護世帯,それから市町村民税の非課税世帯を対象に,入学金及び授業料その他の学納金について,免除又は2分の1に減免をする,そのような基準を定めているということでございますが,この場をもちまして御紹介させていただきました。
 以上でございます。

【小林主査】  ありがとうございました。この資料について,御意見,御質問等ありますでしょうか。
 大学によって非常に違うやり方をとっているということが,よく分かる資料だと思いますし,これが一律である方がいいかどうかということは当然議論の余地がありまして,大学の独自性ということもありますので,それぞれが独自に今決められているということだろうと思います。
 これについて,ここまで細かな調査といいますか,実例は出されていないですけれど,日本学生支援機構の「奨学事業に関する実態調査」である程度のことは分かりますが,ただ全大学の状況,田中さん,残念ながらそういう調査はないですね。

【田中課長補佐】  これもサンプルということで情報の提供を頂いたものです。

【小林主査】  ですよね。分かりました。かなりこういうふうに多様性があることは予想されるということですね。ですから,先ほど申し上げましたが,例えばこれまで以上に学生支援の対象を広げるときに,大学に委ねることになると,こういう非常に多様な基準で行われる可能性があるということの例だろうと思います。ありがとうございました。
 それでは,もうあと10分ぐらいしか時間がないのですけれど,きょうのところでいろんな御意見が出されましたが,それについて委員の先生方の方から御意見等ございましたらお願いしたいですが,いかがでしょうか。

【濱田委員】  よろしいでしょうか。

【小林主査】  はい,どうぞ。

【濱田委員】  御質問したかったのですが,ちょっと時間がございませんでしたので。検討していくということで,短期大学協会からのお話の中で,編入学生の予約採用ということを,制度として作ったらどうかというお話がございました。これは,短期大学というのはほとんど4年制大学に併設されているという実態,それからほとんどが私学であるという実態などを考えますと,かなり予定された編入学ということが考えられる状況にもあります。具体的にどうするかというのは,日本私立短期大学協会さんからのお話としては出ませんでしたけれども,やはり検討の余地はあるのではないかなという感じがいたしますので,意見として申し上げたいと思います。

【小林主査】  ありがとうございます。もし御回答がありましたら,松村部長,お願いいたします。

【日本私立短期大学協会(松村)】  そうですね,40%くらいの学校が,短期大学に4年制が併設しているというのが実態でございますので,その場合には,ある一定の割合の学生が4年制に行くということを,もう最初から目指しております。ですからそういう学生については編入がスムーズに行けるような形で,是非ともその編入を決めた段階で予約ができたら,非常にすばらしいなと思っております。

【小林主査】  ありがとうございました。補足ですけれど,実は入学金というのはかなり日本独自の制度でありまして,似たような仕組みを持っている国というのは韓国くらいしかありません。韓国も日本ほど高くないので,学生の流動化ということから言いますと,やはり入学金が高いというのがかなり日本の場合,バリアになっていますので,今までの様々な経緯から,こういう高額の入学金が決められてきたわけですけれど,そのあたりも学生支援にとっては大きな課題だろうと思っています。つまり,入学時に非常に大きな納付金,初年度納付金がかなり大きいというのが,やはり日本の大きな問題であると思っています。
 ほかにいかがでしょうか。

【中村委員】  すみません,今の件と,前回の高専のヒアリングの中でも出ておりましたけれども,貸与の初めの時期ですけれども,4月というのは難しいのですか。特に,入学時の年度の最初にお金がかさむので,現行では6月末頃に4月分にさかのぼって貸与を受けることができますが,4月1日から貸与を受けるというのはいかがでしょうか。また,前年度から,入学金貸与もできるようなシステムは難しいのでしょうか。

【小林主査】  実現可能性はいかがでしょうか。もし事務局の方でお分かりになれば,あるいは日本学生支援機構の方で。

【月岡理事】  今の話でございますけれども,当機構の奨学金に入学時特別増額貸与奨学金というのがございます。10万円から50万円の間で,10万円きざみで選択可能になっております。これについては労働金庫の提携融資の仕組みがあり,それを利用していただきますと,入学後,特別増額の奨学金が振り込まれたときに直ちに,それで返還をするという条件で,入学前に融資を受けることができる仕組みになっております。
 機構の奨学金は学資として貸与するということになっておりますので,学生としての身分を持っていない方に奨学金として貸すというのはできないこととなっております。

【小林主査】  4月1日からですよね,学生としての身分を持つということになりますと。中村委員の御質問も,たしか4月1日からということでしたが,そのあたりはいかがですか。

【月岡理事】  4月に入りまして,予約の場合でしたら,すぐ手続をしてもらいますと,4月の下旬に送金することができます。

【中村委員】  そうですか。

【小林主査】  ということですね。

【中村委員】  分かりました。ありがとうございます。

【小林主査】  ほかにいかがでしょうか。
 これまで6団体やってきましたので,当然非常にいろんな論点が出てきて,共通することと,かなりそれぞれの特徴が出された御要望がなされたと思いますけど,このあたりはまた次回以降も整理して,全体として反映させていきたいと思っております。
 特に御意見がございませんでしたら,ちょっと早いですが,このあたりで閉めさせていただきたいと思います。
 それで,最後に今後の予定について事務局の方からお願いいたします。

【田中課長補佐】  失礼いたします。今後の予定でございますけれども,資料6を御覧いただければと思いますが,次回は2月3日,10時から12時ということで,場所はここから変わりまして,東館,新しい建物の方の15階の特別会議室を予定しています。ヒアリングをこれまで2回続けてきましたが,次回3回目で一応最後ということで,次回は日本弁護士連合会さん,それからJASSOさんにお願いしたいと考えています。
 それ以降の予定については,追って調整をさせていただければと存じます。以上でございます。

【小林主査】  ありがとうございました。
 それでは,きょうヒアリングに参加していただいた3団体の方々,それから委員の皆さん,どうもありがとうございました。これで第7回の検討会を終了させていただきます。ありがとうございました。

―― 了 ――

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