学生への経済的支援の在り方に関する検討会(第4回) 議事録

1.日時

平成25年7月29日(月曜日)13時~15時

2.場所

文部科学省5F1会議室(文部科学省東館5階)
(千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 学生への経済的支援の在り方をめぐる課題・論点について 等

4.出席者

委員

相川委員、奥舎委員、小林委員、中村委員、濵田委員、樋口委員、前原委員、松本委員

徳久理事長代理(日本学生支援機構)、月岡理事(日本学生支援機構)、石矢奨学事業本部長(日本学生支援機構)

文部科学省

渡辺学生・留学生課長、渕村学生・留学生課長補佐、田中学生・留学生課長補佐

5.議事録

学生への経済的支援の在り方に関する検討会(第4回)
平成25年7月29日


【小林主査】  それでは,定刻になりましたので,ただいまから第4回の学生への経済的支援の在り方に関する検討会を開催いたします。本日は雨の中,また非常に御多忙の中,全委員に御出席いただきまして,どうもありがとうございます。
 本日も,日本学生支援機構の関係者が陪席しておりますので,御承知おきください。
 また,文部科学省の事務局で7月1日付けで人事異動がございました。簡単に自己紹介をお願いいたします。まず,渡辺課長からよろしくお願いいたします。

【渡辺課長】  7月1日付けで松尾の後任で着任いたしました渡辺と申します。よろしくお願いします。
 私自身も,実は日本育英会時代の奨学金のおかげで大学も卒業でき,きちんと返還したおかげで,こうして今,この場にいることができるわけです。そういった意味で,奨学金の有り難みというか,本当にその重要性は自ら身にしみて感じておりますので,この検討会で先生方の御議論を踏まえながら,少しでも良い制度になるように尽力してまいりたいと思いますので,よろしくお願いいたします。

【小林主査】  どうぞよろしくお願いします。
 それでは,田中補佐,よろしくお願いします。

【田中課長補佐】  失礼いたします。私も同じく7月1日付けで,課長補佐の保立の後任で参りました田中です。
 ここに7月1日付けで来る直前まで,総務省の人事・恩給局というところで仕事をさせていただいておりまして,その前までは,ずっと文科省の外を転々としておりました。文科省に復帰するのは5年ぶりでございます。皆様の議論に乗り遅れないように,しっかりと勉強して,今後とも課長を盛り立てて仕事をしていきたいと思いますので,何とぞ御指導いただければと思います。よろしくお願い申し上げます。

【小林主査】  どうもありがとうございました。
 それでは,議事を始めるに当たり,まず,配付資料の確認を事務局よりお願いいたします。

【田中課長補佐】  失礼いたします。
 本日,お手元にダブルクリップで留められている資料が一つ,それから,それとは別で赤字になっている資料が一つございます。
 ダブルクリップの方でございますが,配付資料ということで,資料1,それから資料2でございます。資料1については,第3回の議論の主なポイントを事務局の方でまとめさせていただいたものでございます。それから,資料2については,今回,中間まとめ案ということでお示しさせていただきました。これをベースにして,本日,御議論を頂ければと考えてございます。
 以上です。

【小林主査】  よろしいでしょうか。
 では,議事に入ります。
 本日は,前回の検討会までに議論いただきました本検討会の中間まとめ,これについて,引き続き議論いただき,一旦,一応のまとめをしたいと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。
 前回の検討会では,事務局の方から中間まとめ案を提示いたしまして,これについて,様々な御意見を頂きました。それにつきまして修正をしておりますので,その修正後の中間まとめ案について,事務局より御説明をお願いいたします。

【田中課長補佐】  失礼いたします。
 それでは,御説明を申し上げます。資料1,資料2とありまして,資料2の方が前回の議論を踏まえた中間まとめ案でございますが,それに先立って,資料1の方,前回の議論についても簡単におさらいをしておきたいというふうに思っておりますので,少しお時間を頂ければと思います。
 まず,資料1でございますが,中間まとめ案ということで,幾つか委員の先生方からコメントを頂いているところでございます。まず,一つ目,学び直しを進めるといった観点から少し記述できないかというようなお話がありました。また,非正規労働者の増加を踏まえると,日本もやはり貧富の差が拡大していて,これを解消していかなければいけないといった話。あるいは一つ飛ばしまして児童養護施設といった経済的に非常に困難な状況にある方々への支援の観点を盛り込むべきというようなお話であります。それと次の民間奨学金の話でございますが,民間奨学金と国の奨学金との役割分担の話,これについても引き続き検討をという御意見を頂いているところでございます。また,一つ飛ばしまして,公立大学,あるいは公立短期大学についての授業料減免をはじめとした問題点についても議論いただけないかといった話。また,公立大学,高専についてもしっかりと中間まとめで記述をすべきという御意見を頂いております。
 また,一番下の方の給付型奨学金と授業料減免の一元化というところでございますが,1ページおめくりいただきまして,やはり,一つ問題として,学生本人にとって支援を受けている実感がない,要は学生本人から支援が見えないという点。こういった点について工夫が必要でないかということ。それから無利子奨学金の拡充についても,財源が限られている中で何を優先すべきかを考える必要があるといった御指摘を頂いているところでございます。また,少々飛ばしまして,機関補助か個人補助かといった観点が重要といった御指摘も頂いております。機関補助の一元化,あるいは授業料減免の一元化,今の段階ではなかなか難しいのではないか,そういったことについては引き続き時間がかかるということもあって,一層の検討が必要ではないかということでございます。
 また,手数料の徴収の導入ということで,互助会的な仕組みについて考えられないかというところですが,なかなか手数料を取るということは現段階では難しいのではないか,そういったことがありまして,一番下のところでございますが,手数料の徴収の導入について,今後の検討課題という御指摘を頂いております。
 また,次の3ページ目になりますけれども,社会人の学び直し支援でございます。社会人の学び直しの支援につきましては,まだなかなか奨学金の話に限らず議論が及んでいないので,より一層の社会人の大学での学び直しなどについて,キャリアアップ,あるいはインセンティブの面から議論が必要ではないか,そういった御指摘を頂いているところでございます。
 また,その他の論点ということですが,奨学金の上限額ということであります。毎月12万円を借りると,500万円,社会に出た瞬間に債務を負うことになってしまいますけれども,過大な借入れをしないような大学からの指導なども重要ではないか。ただ,現実的に学生の家庭の経済状況を把握するのは,なかなか大学にとって難しいのではないかといった御指摘を頂いているところでございます。また,新しく次のポツでございますけれども,所得連動返還型奨学金について,今,制度設計が進んでいるところでございますが,こういったところについてもしっかりとリンクしながら検討していくべきではないかという御指摘を頂いております。
 また,最後の留学生支援。日本から海外へ行く留学生の支援についても今後の課題として検討していかなければならないということで,記載をさせていただいているところでございます。
 資料1については以上でございます。
 引き続きまして,資料2について,簡単ではありますが,御説明をさせていただきます。
 まず,今回新しく作らせていただいた表紙をおめくりいただきまして,目次になります。おさらいになりますけれども,まず,全体の構成から簡単に御説明させていただきます。
 今回の報告書,大きく4章立てになってございます。一つ目は「学生等の置かれた経済的状況」,それから二つ目,「学生等への経済的支援の目指すべき方向性」について,それから三つ目は「各制度の改善方策」,そして最後に「むすび」ということで,大きく分けて4章立ての構成になっております。ローマ数字の1,それからローマ数字の2については理念的なところ,ローマ数字の3についてはそれを受けた具体的な方策,ローマ数字の4については今後の検討に向けて,引き続き検討が必要ということが記述されております。
 それでは,ローマ数字の1から順に御説明させていただきます。
 まず,ローマ数字の1,「学生等の置かれた経済的状況」ということでありますが,まずは「1.大学等の在学者の経済状況」を記述しているところでございます。ここについては,前回お示ししたところから特段,変更はしておりません。高等教育の費用は家計にとって,実感を伴って重い負担となっているということを記述させていただいております。また,学生の多様化ということとあわせまして,社会人学生の受入れ等についても専修学校を中心に増加の傾向があるということについて記述させていただいているところでございます。
 続きまして,「2.我が国の学生等への経済的支援の状況」というところでございます。ここも基本的な構成に変更はございません。日本語的な修正,あるいは文言の若干の説明でございます。現在の経済的支援の柱ということでは,3行目になりますが,大学等奨学金事業,あるいは国立大学,あるいは私立大学の授業料減免等への支援,そしてティーチングアシスタント,リサーチアシスタントへの経費の支給といった形での支援が続いているところでございます。
 1枚おめくりいただきまして,2ページの「3.学生等の卒業後の状況」というところでございます。これも大きく変更しているところはございません。現下の就職状況に鑑みますと,非正規雇用が416万人にも達しているといった非常に厳しい環境,また,30代から50代の高等教育機関を卒業した者のうち,3分の1が年収300万円以下という厳しい状況に置かれていることを記述しております。
 また,「4.学生等の経済的状況から見る課題」という点でございます。ここのところは若干加筆させていただいております。具体的には,3番目のポツですが,社会人が一旦,社会に出て就業した後に学び直す場合などについて,eラーニングというお話もありましたけれども,まず,そういったことも含め,教育環境を整えることが不可欠である。そういった学びを経済的側面から支援することが一層重要な課題というような記載をしているところであります。
 ローマ数字の1は以上でございまして,引き続き,次の5ページになります。ローマ数字の2,「学生等への経済的支援の目指すべき方向性」でございます。
 まず,「1.学生等への経済的支援の意義」というところ。ここを若干,加筆をさせていただいておりまして,具体的には3行目からの部分でございます。先般成立した「子どもの貧困対策の推進に関する法律」の趣旨も踏まえ,というところでございますが,経済的に困難な状況にある子供たち,経済的に困難な状況にある者に対しては,経済的な支援も含め,支援の一層の充実が必要であるということを強調するという意味で記述しているところでございます。
 続きまして,「2.将来的に目指すべき方向性」というところでございます。ここのところは日本語的な修正のみで大きく加筆しているところはございません。昨年留保を撤回いたしました国際人権規約のA規約第13条2項でございますが,そこのところを日本語的に修正しております。大きく変更はございませんが,今後のステップとして,具体的には奨学の観点,それから育英の観点,こういった観点を踏まえた上で仕組みの構築,あるいは経済的支援の充実を図っていく必要があるということを記述しているところでございます。
 続きまして,ローマ数字の3,「各制度の改善方策」ですが,ここから各論になります。このような方向性を踏まえ,現行の経済的支援制度の形態ごとに今後の取組の方向性を検証するということでございます。
 まず,「1.貸与型支援の在り方について」というところ,具体的には,まずは貸出しのタイミングでの論点について記述をしているところでございます。
 (1)現状と課題のところでございますが,依然として以下のような課題が残されているということで,三つに分けて課題をお示しさせていただいているところでございます。一つ目は社会人の話でございます。社会人学生の在籍の割合が諸外国に比べて圧倒的に低いということについて,また,有利子奨学金の大幅な拡大によって貸与の規模についてはおおむね達成をしているところですが,そういったところについて,まだ問題があるのではないかということでございます。また,二つ目,今ほど申し上げましたように,事業費の大幅な拡充,あるいは高等教育段階への進学率の上昇といった話もありますが,奨学金の貸与の対象について,本当に真に必要な学生に支給ができているのかという点について指摘があるということを書き加えているところでございます。また,三つ目でございますが,ここは新しく記述を追加しているところでございます。具体的には,貸出し,要は貸与によって学費を賄う場合については,専攻分野等においては非常に多額の借入れとなることがあります。卒業の段階で既にもう借金を背負って社会へ出るということになりますが,こういった返還の負担が重くなるということについても留意が必要であるということでございます。とりわけ,有利子については,元本だけではなくて,利息も当然発生するということですが,そういったことについて,学生が借りるときにしっかりと理解をしているのかどうか,しっかりと情報提供をすることが必要ではないかということを記述しているところでございます。
 続きまして,(2)取組の方向性というところでございます。ここについても特に大きな修正はございませんが,改めておさらいとして説明いたします。2行目の後ろの方でございます。機構の貸与型奨学金については無利子の奨学金,これが本来の姿であって,有利子の奨学金は,その補完的な役割を果たすべきであるといったことが言われているところでございます。脚注の12の方も併せて御覧いただければと思いますけれども,無利子の貸与が基本的には育英奨学事業の根幹にあるというところですが,近年では有利子奨学金の拡大をもって事業の拡大に頼ってきたところがありまして,飽くまで原則に立ち戻って無利子の貸与を基本とする姿を目指すべきではないかということを記述しているところでございます。
 続きまして,6ページになります。(3)具体的な取組ということでございますが,このような方向性を踏まえて,大きく二つ,取り組むべきであるということについて御指摘いただいています。一つは無利子奨学金の拡充,先ほど御説明をした話でございますが,有利子から無利子へというトレンドで拡充していくべきということ。もう一つは,社会人への奨学金の充実ということでございますが,学び直しの際の奨学金について,もう少し柔軟な扱いができないかということを記述しております。
 続きまして,「2.返還者の経済状況に応じた返還方法について」ということでございます。前述の「1.貸与型支援の在り方について」では貸与型奨学金の貸出しのタイミングでの話でしたが,「2.返還者の経済状況に応じた返還方法について」ではこれを返還していただく段での論点についてということで記載させていただいてございます。
 まず,(1)現状と課題ということでありますが,ここについても特段,大きな修正はしておりません。おさらいとして御説明いたしますと,まず一つ目,ここはJASSOの努力の結果でございますが,回収率の計画的な改善が進んできているといったことを記述しています。また,一方ではということでありますが,近年の若年者の厳しい雇用環境も相まって,真に返還が困難な経済状況にある者から,例えば延滞金が返還のネックになっているとか,延滞金の負担の軽減,あるいは柔軟な返還への要望が寄せられているといったケースが増えてきているところでございます。この点について,フォローというわけではないのですけれども,24年度から「所得連動返還型の無利子奨学金制度」を導入しておりますが,現在,無利子の奨学金のみに限定されていることから,まだ限定的な範囲でしか運用がなされていないという点についても改善を図るべきではないかということで,現状と課題として書かせていただいております。
 (2)取組の方向性というところでございます。ここについても大きな変更はございませんが,日本語的な修正をしております。おさらいをいたしますと,まず,基本的な原則として,「借りたものは返す」こと,返還能力のある者からは引き続きしっかりと回収をしていくことが必要ということでございます。また,一方でということでありますが,卒業後の所得に応じ返還額が変動する所得連動返還型奨学金制度について記載しておりますが,新しく先般,社会保障・税番号関連4法と言われるものが成立いたしましたので,このスキームの活用を前提として,現行の「所得連動返還型の無利子奨学金制度」について,もう少し柔軟な制度設計ができないか,これは長期的な議論が必要だと思いますが,そういったことについて対応が必要であるということを6ページ目の下から7ページにかけて記述させていだたいております。
 また,返還の点について(3)具体的な取組,でございます。ここも大きな変更はございませんが,1点書き加えさせていただいたのが一つ目,延滞金の賦課率に絡めての話です。延滞金の賦課率については,現在は一律10%であるが,というところに引き続きまして,例えば,延滞金の総額について上限を設定するといったことを含めて工夫の余地があるのではないかということについて加筆をさせていただいております。また,ほかの具体的な取組としては,減額返還制度,あるいは返還期限猶予制度を柔軟に運用することで,柔軟な返還,もう少し返しやすい制度にしていくべきではないのか,あるいは先ほどの繰り返しになりますけれども,より柔軟な所得連動返還型奨学金,これに向けた準備を社会保障・税番号制度の整備と併せてしっかりと検討していくべきであるということについて記述させていただいております。
 引き続きまして,「3.給付的な支援について-より手厚い支援として-」というところでございます。
 まず,(1)現状と課題というところでございますけれども,ここについては特に大きく記述を変えているところはございませんが,おさらいを申し上げますと,国際的に見ると,先進諸国ではほとんどの国で給付型奨学金制度が実施されていること,あるいは高等教育の進学率に絡めての話でありますけれども,経済的・社会的に厳しい環境にある者の高等学校卒業後の進路をみると,やはり経済的に裕福な者と比べると,進学率が著しく低いといったようなデータも出ております。そういったことに鑑みるのであれば,家庭の経済状況がやはり子供たちの進路選択に一定の影響,一定のインパクトを与えているのではないかという分析について記述をさせていただいているところであります。
 続きまして,(2)取組の方向性ということであります。ここについても特に後ろの方で具体的な取組の方策について,加筆,あるいは日本語をもう少しクリアにするといった観点から,若干書きぶりを変えておりますが,改めておさらいを申しますと,まず,取組の方向性の一番基本的な指針ということで,給付的な支援を充実していくことが,我が国の高等教育における重要な課題であるということ,まずここをしっかりと位置付けしているところでございます。また,その際に,幾つか制度設計に当たって検討すべき論点を記載させていただいております。
 まず一つ目,7ページ目の一番下の部分でありますが,給付目的と受給のタイミングとの関係というところでございます。具体的には,在学中の学修のインセンティブを高める観点から,やはり事後給付の方が効果的ではないか。その一方で,将来の予見性を持って安心して進学できるということについても極めて重要な意義があって,こういった観点を重視するのであれば,事前給付の方がいいのではないか。いずれにせよ,こういった政策目的をどのようなスタンスを持った上で制度設計するのかということは,しっかりと議論していかなければいけないという書きぶりになってございます。
 8ページの3行目,次のポツでございますけれども,制度のターゲットの支給基準というところでございます。家庭の経済状況を重視した基準とするのか,あるいは学業成績をどの程度重視した基準とするのか,そういった点について,整理をしていくことが必要であり,また,様々な主体が実施する経済的支援との関係についても整理することが必要だということを記載しているところでございます。
 また,給付すべき内容という点でございますが,具体的に要はどの範囲で給付をするのか,修学に必要な全額を給付するのか,あるいは一部貸与型奨学金で賄うことを前提として,そのパッケージの中で給付を考えていくのか,そういったことも考えなければいけないというところで御指摘を頂いているところでございます。
 最後,実施方式というところですが,これも幾つか小項目に分かれております。まず一つ目,給付の受給者の対象をどういう形で選定するのか,とりわけ成績要件等の評価についてはなかなか難しいところがあるのではないかということ。給付的支援においては,貸与以上に受給者の選定の公平性を,社会に向かって,その方法と理由をしっかり説明していかなければならないということがありますけれども,そういったことについて議論していく必要がございます。また,関連して選定の基準,あるいは受給者について,透明性を確保することによって公平性が担保されるのではないかということ。そういうことをより推進していけば,効果的にこれが運用できるのではないかということを書き加えております。また,現行の貸与型奨学金と同様に機構を通じた方法がいいのか,あるいは各大学等にそこはお任せをするのか。また,教育や研究と連携した在り方ということで,ここで一つ単語が出てきますけれども,学内ワークスタディといった形。これは脚注を入れさせてもらっておりますが,脚注14番,「学内における教育支援活動,あるいは自身の社会性の向上に資する活動に従事する学生に対する給付的な支援」と定義付けておりまして,例えば学内の図書館で夜間の開館業務などをするに当たって,学生の方々にもお手伝いいただいて,それに対するサラリーということでお金を渡すといったような制度がありますが,そういった制度について,もう少し充実をしていくべきではないか,あるいはTA,RAを学部段階まで引き下げられないのかといったことを考えております。
 また,(3)具体的な取組ということでございますが,ここについては若干の加筆,修正がございます。まず,一つ目,現行の授業料の減免等を引き続き拡充というところでありますけれども,ここについて,改めて授業料減免制度も含めた給付的な支援策の全体の制度設計について,もう少し長期的に見て,将来的な課題となりうることについても留意が必要になるのではないかという結論を最後に書いております。その中で,国立大学,私立大学の給付の仕方,あるいは公立大学については地方公共団体の裁量で実施されていることや,そもそも専修学校専門課程の授業料減免措置は公的支援の対象とされていないといった,給付的支援に関する対応がまちまちになっているところがありますので,全体の整理が必要ではないかというようなことを記述させていただいているところです。
 また,次のページ,奨学金を含めたその他経済的支援についてということでございますが,目的・ターゲット層に応じた制度改善ということで,先ほど御説明を申し上げましたワークスタディという文言もここで改めて出てきております。この例示で引いておりますけれども,先ほども説明しました,児童養護施設の入所者など,特に経済的困難を抱える者に対する給付支援の充実について,できるものはやっていくし,より検討が必要なものについては引き続き検討していくということを踏まえて,最後のところでございますが,効果的な経済的支援策を設計するなど,実施方式についても十分検討が必要であるといった書きぶりにしております。
 最後の「4.その他の検討事項,改善事項について」ということでございますが,こういった事柄以外についても引き続き検討・改善が求められるということで,幾つか項目を作って記述しているところでございます。
 まず一つ目,奨学金制度についての情報提供,あるいは金融面のリテラシー向上についてということでございますけれども,具体的には最初にユーザーとなる高校生,あるいはその保護者に対して,高等教育段階の各種経済的支援策について,しっかりと高校生の段階で情報提供することが必要ではないかといったこと,そういったことについて,最後の3行でありますけれども,高等学校段階の教員への周知等によって生徒に対する情報提供,奨学金制度についての理解の徹底が求められるといった形で加筆をしているところでございます。
 続きまして,ポツの二つ目,総合的な経済的支援策の充実というところですが,例えば学生寮の提供や,税制の優遇など,金銭支給以外の経済的支援も含めて,総合的に議論をしていくことが必要ではないかということ。また,給付的な支援を充実させる際には,学生相互間の支援を充実させるための仕組みを工夫する必要があるということがあります。御議論の中でも,前回,前々回というところで,学生の相互扶助のような仕組み,互助会的な仕組みについて,何らかの形でできないかという御議論がなされていたというふうに認識しております。
 また,9ページ,大学院生への支援策の充実というところでございますけれども,ここで最後の方を少し,加筆しております。とりわけ,以降の部分でございますけれども,現行制度では返還免除の可否が大学院の課程修了時まで不明であることや,大学の学士課程段階については返還免除がないといったことで経済的な不安感が大きいのではないか,そういったことについて留意して検討する必要があるという点について加筆をしております。
 次に,9ページ,最後の行の民間奨学金との関係についてというところでございます。ここは民間と国との役割分担ということでありますけれども,民間の団体については,団体の理念に基づく独自の奨学金事業をきめ細かに行っており,とりわけ給付的な支援ということについては,民間の奨学会事業団体の方が多分に行っているというところがあって,公的奨学金と相互に補う関係にあるので,国としても民間との連携,あるいは情報の一元集約といった形での支援を行っていくことは重要ではないかということを記述させていただいております。
 そして,最後,日本人学生の留学への支援について,そして機構の運営体制についてということでございますが,ここは新たに項を増やさせていただいております。
 日本人の海外留学生の支援については,先般,取りまとまりました日本再興戦略,ジャパン・イズ・バックと書いてあるものでございますけれども,ここでも閣議決定されたところでありまして,日本人留学生について,送り出しの方についても経済的支援の方策について引き続き検討が必要であるという点。あるいは,機構の運営体制について,これまで奨学金事業,事業規模で1兆2,000億円と非常に大きい規模になっておりますけれども,これを更に充実させ,また,きめ細かに実施するに当たっては,これを支える機構の実施体制については,引き続き事業をしっかりと行っていただくためにも,その強化を,バックヤードとして支えていくことが必要ではないかということを記述させていただいているところでございます。
 最後に,ローマ数字の4,「むすび」でございます。今回の中間まとめの位置付けということでございますけれども, 4回にわたって高等教育段階の経済的支援の方向性,あるいは具体的取組内容について議論を行ってきたところでございますが,まずは中間まとめということで,ここで取りまとめるということでございます。しかしまだまだ検討すべきというふうに残された課題も多くございますので,引き続き検討を進めるということを期しつつ,まず,第1段階ということで,本報告を一つの区切りとしてお示しさせていただいたということでございます。
 すみません,少々,説明が長くなりましたが,以上でございます。

【小林主査】  どうもありがとうございました。
 まず,これから本格的な審議に入っていただきますが,以上の説明でかなり修正等もございましたので,まず,簡単な質問がございましたらお受けしたいと思うのですが,いかがでしょうか。どうぞ。

【相川委員】  とても簡単な質問なのですが,9ページの上から4行目の例のところですね,「特に経済的困難(児童養護施設入所者,生活保護世帯等)で優秀な層に応じた」となっていますが,この「優秀な層」というのはどういう意味なのでしょうか。

【田中課長補佐】  9ページでございますね。要は,ここはまさに奨学的観点と育英的観点ということがございますので,とりわけ経済的困難であり,かつ,優秀な層については,やはり給付的な支援,なかなかどっちつかずというところがあるのですけれども,まずは経済的に困難というところについてしっかりと軸足を置いて,給付的な支援については充実をしていくべきではないかというような思いで記述をしているところでございます。

【相川委員】  では,こういう「経済的困難な生徒で優秀な層に応じた」の「応じた」というところを,経済的に困難な人が優秀な人たちに応じているというふうに私は解釈したのですが,そうすると,何となく経済的に困難な人たちがとても弾圧的に,下のような捉え方をされるのではないかなというふうに感じました。ですから,「優秀な層に応じた」という,ここの記述が少し気になります。

【渡辺課長】  趣旨としては対応したという,そういう意味です。

【田中課長補佐】  応じたというワードが恐らく,誤解と申しますか。

【渡辺課長】  日本語としては若干あると思います。

【小林主査】  これはずっと議論されていることですけれど,育英的な観点と奨学的な観点です。恐らく,給付の場合には,特に両方の観点が必要だろう。どのように定義するかということはいろいろ議論がありますけれども。その場合に,ですから,児童養護施設入所者とか生活保護世帯でも同じ問題だろうということなのです。ですから,書き方の問題だろうと思いますので,「かつ」と,両方の条件が必要であるというようなことを例として出しているというように考えていただければと思います。

【相川委員】  多少,捉え方というか,表現の仕方によって,少し間違った捉え方を,誤解を招くような捉え方をされるのではないかなという心配があったので。

【小林主査】  ありがとうございました。それは御指摘のとおりだと思いますので。ただ,絞り方として,まず,経済的な方で絞って,それから優秀というので絞っていくという考え方もあれば,優秀な者を先に,この場合は余りないと思うのですけど,優秀な者の中から経済的に特に困窮な人を探すというやり方も,具体的な運用としてはいろいろなやり方があるとは思いますけれども,定義としては確かに両方なので,そこははっきりさせないとまずいと思います。ありがとうございました。
 ほかにございませんでしょうか。

【樋口委員】  制度についてちょっと教えていただきたいのですが,6ページの返還のところの話なのですが,(1)の現状と課題のところで,この点,以下の「所得連動返還型の無利子奨学金制度」について,そこに書いてある最後の行の限定的な範囲で返還が所得に連動する,この所得というのは,世帯所得ではなく,このときにはもう卒業生本人の所得に連動するということでよろしいのですか。

【田中課長補佐】  はい,本人の所得です。

【樋口委員】  連動するということは,もう所得は幾らだったら幾らの返還,何年間の返還というのは一律に決められるということですか,それとも返還者がそれは選択できるということでしょうか。

【田中課長補佐】  一律になります。所得が一定の基準を超えると,目安として300万円を超えると返還が始まって,300万円未満であれば返還期限猶予というような制度になっております。

【樋口委員】  例えば年収400万円の人が月々幾らというのは選択できますか?

【田中課長補佐】  選択できないですね。

【樋口委員】  それはなぜできない制度になっているのですか。

【月岡理事】  今の日本学生支援機構の奨学金は,貸与総額に応じて,返還期間と1回ごとの返還金額が決まるという仕組みになっています。現在の所得連動型というのは,年収300万円以下の人は申請をすれば,一定の条件の下で無期限に返還期限の猶予を行うというものでございます。したがって,猶予の対象にならない人については,通常どおり1回当たり幾らというのを返還していただくということになっております。

【樋口委員】  制度的にそうなっているというのは分かったのですが,その理由として,例えば一括,それこそ月々5万円なり10万円返して,短期間で返したいというような人がいるかもしれないですね。それはできませんか?

【月岡理事】  それはできます。

【樋口委員】  それはできるのですか。

【月岡理事】  繰上げ返還をしてもらえれば,本人が今回幾ら余分に返したいという話をしていただければ,そのように取り扱っております。

【樋口委員】  そうですか。そうすると,ここの文章はそういう意味ですか。限定的な範囲で返還が所得に連動するという。

【月岡理事】  つまり,ここの限定的な範囲というのは,先生がおっしゃっている年収に応じて,その年の返還金額が決まるというように,所得に完璧に連動した形ではなくて,300万円以下の人は返還期限に猶予がありますよということを指して限定的な連動と言っているのだと思います。

【樋口委員】  そうですか。何か選択がないように思えてしまったのですが。所得400万円だったら月幾らというふうになっているわけではないわけですよね,今は。

【月岡理事】  現時点では違います。

【小林主査】  すみません,今の質問に関連してなのですが,所得連動型というのは新しい制度なので確かに分かりにくいと思います。所得連動型で300万円を超えて返還が必要になります。その場合に,減額返還とか,あるいは猶予を使いたいということになれば,それは現行の制度でも利用ができるのですか。

【月岡理事】  300万円を超えていますと,特別な事情が必要になりますけれども,特別な事情があって返還するのが困難であるといったことになりますと,減額返還ですとか,あるいは返還期限の猶予ということがございます。

【樋口委員】  少し丁寧な,完全にフィックスしているのかなと思いました。

【前原委員】  所得に連動するというと,普通は樋口先生がおっしゃったように受け取りますよね。

【樋口委員】  そのように感じました。

【小林主査】  現行の制度については第2回に説明があったかとは思うのですけれども,確かに非常に分かりにくい制度ですね。最初に樋口先生から御質問があったように,二重に縛りがかかっています。申請時の所得と,それから今度は卒業してからの所得と,二重に縛りがかかっている上に,しかも,今,御質問があったように,本来の所得連動型というのは所得に応じて返還額が決まるから所得連動型なのですけれども,猶予なのです,現実には。ですから,これは非常に大きな問題でありまして,これを何とかもう少し柔軟な制度にしていきたいということを,これから議論していきたいと思っております。
 よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 ほかにございませんでしょうか。はい,どうぞ。

【前原委員】  先生がおっしゃったような表現にした方がいいのではないでしょうか。

【樋口委員】  ちょっとこれだとわかりにくいですね。

【小林主査】  すみません,事務局と相談して,もう少し丁寧な説明にしたいと思います。
 松本先生,どうぞ。

【松本委員】  7ページですか,給付の現状と課題,この辺のところですが,基本的な現状認識,あるいは課題はこれでよろしいのだろうと思うのですが,できれば,もう一つ,プラスアルファとして先ほど小林先生もおっしゃったような奨学金制度の目的である育英とか,奨学とか,その中で給付型をやる以上は,やはり税金を使って,しかも返さなくていいという,かなり思い切った制度の導入ということになっていくわけですから,そこに対して,もう少し次世代のリーダーを育てるためとか,そういう部分が入ってきてもいいのではないかと思います。これですと,よその国ではやっていますとか,かなり厳しい経済状況の子供たちがいて,その子供たちにとか,そういう認識で。もちろん,これは何を置いてもやらなくてはいけないことなのでしょうけれども,給付型を導入する以上は,やはりもう一つ,人材育成といいますか,育英といいますか,その観点を出していただいて,それを前提としてやっていただければなと思います。

【小林主査】  3ページの学生等への経済的支援の意義というところですけれど,ここに今,言われたことが,一応,総論としては書かれているのですが,特に第2段落ですね。高等教育の受益者は学生本人であると同時に,我が国の将来の社会,経済,文化の発展を支える人材育成という観点からは社会全体が受益者であると。そういう観点から,特に給付型奨学金については,今,おっしゃったように税金を使うということもありますので,そういった観点が非常に重要であるということをこちらの給付型奨学金の政策の個別の方にも書き込んでおくといいですね。

【松本委員】  1行だけでもお願いします。

【小林主査】  分かりました。ありがとうございました。それも重要な御指摘だと思います。
 ほかにございませんでしょうか。
 そうしましたら,また御質問等がございましたら戻っていただいても結構ですので,少し順番にやっていきたいと思います。
 1,2については,今の点がございましたが,それほど大きな修正はないのですけれども,1と2まとめて,このあたりでまだ説明不足でありますとか,あるいはこういった観点が必要だというようなことがありましたら挙げていただきたいのですが,いかがでしょうか。どうぞ。

【中村委員】  前回,第3回を欠席させていただきまして,すみません,ありがとうございました。議事録を拝見いたしまして,当事者が欠席の中で専門学校につきましても御討議いただきまして,ありがとうございました。
 その中で,方向性の中に一つ明記していただきたい点がございまして,これは各委員からも,議事録の中で言及されていたのですけれども,まず,国公私立,あとは学校種別に関わらず,高等教育段階に進学する学生等に公平に経済的支援を行う必要性というものを,方向性の中に明記いただければ有り難いと思います。まず,これが一つ,お願いでございますけれども。ここを担保していただかないと,なかなか我々,専門学校というのは先に進んでいけないというところがございまして,できたらお願いしたいということでございます。

【小林主査】  今の点を具体的に申しますと,先ほどの意義の説明のところで,意欲と能力のある学生等が高等教育段階,という非常に抽象的な言い方になっていますけれども,これをもう少し具体的に,例えば大学,短大,高専,専門学校というふうに,きちんと書くということでしょうね。

【中村委員】  はい,是非ともお願いしたいと。注釈で入ってはいるのですけれども。

【小林主査】  高等教育というのは,確かにあんまり一般の国民にはそれほどなじみのある言葉ではありませんので,ここはよろしくお願いいたします。
 ほかにございませんでしょうか。
 そうしましたら,これもまたお気づきの点があれば後で戻っていただいても結構ですので,具体的に3のところですね,各制度の改善方策というところに入っていきたいと思いますけれども,まず,貸与型の問題ですね,これについてはいかがでしょうか。どうぞ。

【前原委員】  その前にすみません,単純な質問ですけれども,2ページの注の9で1日4.6時間の学習時間というのは,これ,東大の学生に対する調査ではないのですか。

【小林主査】  いえ,違います。

【前原委員】  そうですか。

【小林主査】  これは少し私も関与していますので御説明いたしますと,全国の学生,4万8,000人ぐらいを対象にした調査ですが,数は大きいのですが,サンプル的には少し正確性を欠きます。ですから,それは少し割り引いて考えなければいけないのですが,ほぼ全国の学生を網羅した調査です。

【前原委員】  1日ですか,1週間ではなく?

【小林主査】  1日です。

【前原委員】  こんなにしていますかね。

【月岡理事】  授業時間が入っています。

【小林主査】  説明が少し足りなかったのですけれども,今,中教審等で議論になっていることは,授業にはよく出ているが,授業外の学習時間が非常に少ない。それが問題となっています。

【前原委員】  ほとんどしていませんよね。1日1時間程度だと思います。

【小林主査】  たしか週で1年生では9時間程度です。

【前原委員】  授業を入れてのデータですか。分かりました。すみません,変な質問をして。

【小林主査】  いえ。
 戻りますが,それでは貸与型で,特に先ほど所得連動型についてはもう少し丁寧な説明が必要だということもありますし,様々な意味で限定された制度になっていますので,これを何とか拡充したいということだろうと思うのですけど。諸外国の例で言いますと,所得連動型を導入している国の場合は,全面的に所得連動型になっている国が非常に多い。アメリカの場合は幾つかの返済方法があって選べることになっておりますが,現在,オバマ政権,あるいは様々な研究団体等が所得連動型に移行すべきだという提言を数多く出しております。ただ,利子がつく場合には一般に所得連動型は,特に低所得層については長期の返済になりますので,利子負担が大きいという問題点が指摘されておりまして,その辺を,どのように日本の場合,制度設計していくかということも大きな問題だろうと思います。もちろん,無利子についてはこういう問題はございません。その辺を含めまして,貸与の取組について,いかがでしょうか。どうぞ。

【中村委員】  専門学校の場合,総定員300人から500人ぐらいの規模が多く,地域の職種別人材ニーズに応じて100人以下の専門学校がありますが,貸与推薦枠が非常に少ない。専修学校は困窮している家庭が非常に多いという現状の中で,大規模学校種と比較し推薦枠の数が少なくて,同じ困窮度の家庭なのに専門学校の場合は枠の中に入らずに外されてしまう,そのような現状がございます。無利子の方が,やはり学生の希望が多いのですが,専門学校の規模ですと,頂ける推薦枠が少ない。この無利子の枠を是非,増やしていただきたいということのお願いと併せて,規模に応じたというよりも,困窮度に応じた別枠を設定していただけると非常に助かります。

【小林主査】  6ページの(3)具体的な取組の最初のところに無利子奨学金の拡充(有利子から無利子へ)という言葉があるのですが,抽象的にこれだけですね,現状では。確かに推薦枠の問題というのは,現行の制度の中で非常に大きな意味を持っている問題ですので,推薦枠をもっと拡充するということも必要でしょうし,そもそも様々な基準,過去のいきさつなどで推薦枠が決まったと思うのですが,これがどのように決められて,それが妥当かどうかということについても検証が必要だと思います。特におっしゃるとおり,専門学校とか通信制課程は非常に少ないので,それは検討していく必要があるかと思います。
 無利子は,ここに昭和59年の有利子が導入されているときに,無利子制度が根幹であるということを当時の森文部大臣が繰り返して国会答弁されていたし,国会附帯決議も載せているのですが,現実としては有利子が拡大してしまっているという問題なので,無利子の方を拡大するというのは,やはり理念としては掲げておく必要があるのではないかというふうに思います。
 何か事務局からこの点についてありますか。

【中村委員】  もう1点,今のところでよろしいですか。

【小林主査】  どうぞ。

【中村委員】  これ,どうしても原資の問題があると思いますが,貸与全体が無利子というのは無理でも,返還における無利子の場合の所得連動返還型を有利子にも生かすことができませんか。

【小林主査】  先ほど少し申し上げましたが,有利子の場合,一つの制度的な欠陥は,所得連動型にした場合に利子が多くなってしまう可能性が高い。ですから,やはり原則的には無利子でまず導入することが必要だろうと思いますし,あるいは有利子の場合には利子補給であるとか。現在でも猶予の場合,特に利子はついていませんね。

【石矢奨学事業本部長】  ついていません。在学期間中も利子はついていません。

【小林主査】  ですから,日本の奨学金というのは,そういう意味では,様々なところで実は利子補給はなされていますので,そこを何とか拡充することで,特に第二種の方についても,もう少し寛大なといいますか,そういう制度にしていければというように思うのですが。

【奥舎委員】  よろしいでしょうか。

【小林主査】  どうぞ。

【奥舎委員】  先ほど中村先生が言われたように,例えば専門学校はそうですけれども,短期大学,そして公立大学も一緒なのです,やはり枠が少ない。短期大学よりは公立大学の方が多いですが。また公立大学よりは国立大学の旧帝大などが多いわけです。はっきり言うと,貸付けの基準を主に成績に置いているからということだと思うのですが。中村先生が言われる貸付枠をどうするかという問題につきましては,その学生の選定基準を,今の方法をやはり抜本的に変えないと,非常に難しいのではないかと思います。ですから,奨学金制度の貸付け基準は,例えば社会的需要が大きい場合に選定するとか,スポーツの分野で選定するとか,学業成績で選定するかとか,その基準を統一せずに,それぞれの分野で特徴を持った基準を作っていく以外に,なかなか解決できないのではないかと。現在,公立大学におりまして,そう思います。

【小林主査】  先生がおっしゃるのは,推薦枠自体について,そういう別の基準を設けた方がいいという意味でしょうか,それとも個々の奨学生についての推薦基準ですか。

【奥舎委員】  私も検討会に4回出させていただいて,無利子の奨学金の拡充を強く訴えたいと思っております。今もそうなのですが。専修学校まで基準をうやむやにしてしまうと,全体の数は決まっているものですから,非常に制度上,困難が生じると。そうした場合には,奨学金の対象者を審査する基準をどこのターゲットに持っていくかということによって選択していかないと解決できないと思います。

【小林主査】  奨学生の受給基準ですね。

【奥舎委員】  そうです。

【小林主査】  それはただ,現行でもかなり柔軟性を持たせられるのではないかというふうに私は認識しているのですけど。

【相川委員】  少し確認してよろしいですか。

【小林主査】  はい,どうぞ。

【相川委員】  先ほどの推薦枠の基準が大学によって違うということですが,まず,推薦枠の基準というのは何をベースにして設定しているのかということを教えていただきたいのですけれども。

【月岡理事】  まず,誰を推薦することができるかという推薦の基準ですけれども,それは成績と家計要件と人物と健康という四つでできております。大学の1年生,あるいは専門学校の1年生において採用されようというときには,予約採用であれば高校1年生と2年生,在学生であれば高校2年生と3年生の2年間の高等学校での成績,評点の平均値が5段階評価の3.5以上で,一定の家計基準以下であって,人物的にもすぐれているといったような評価を受けた学生・生徒が推薦の対象となります。各学校に推薦枠を割り振るということですけれども,まず,高等学校段階の予約というものがございます。予約は各学校に割り振ってはおらず,日本学生支援機構で一括して全国の生徒を対象に選定いたします。この生徒たちがどの学校に進学するかということは,その生徒の進路選択次第であります。もちろん,専門学校にも行っておりますし,大学にも短大にも行っております。予約以外に進学後の学生を対象にする場合の在学採用というのがございます。これは各学校に枠を割り振りまして,各学校で推薦してもらっております。その際の基準は,まず,入学定員,学校の規模ですね,それからこれまでの採用数,そしてその学校の延滞率の三つを組み合わせて決めております。したがって,規模が大きい学校でも,これまで採用数が少ない場合には全体的には採用枠は小さくなります。他方,規模も,それから採用数も同じではありますけれども,延滞が高いか低いかに応じて配分枠の数も変わってまいります。以上,三つの要素によって在学採用の場合の推薦枠は算定をいたしております。

【石矢奨学事業本部長】  もう1点なのですけれども,家計基準など,先ほど四つの基準があるという説明をしましたけれども,有利子貸与においては,申請者が基準に適格であれば,全員採用という方向です。

【月岡理事】  私が先ほど申し上げたのは第一種の方でございまして,今,石矢が第二種を申し上げました。一種はここ2年,予約の段階では一種を希望していながら,一種に選ばれない学生・生徒が十数万人おります。しかしながら,在学採用の段階で一種を希望して,一種の基準を満たした上で,最終的に選ばれなかった学生というのは,ここ2年ほどおりません。

【樋口委員】  今のお話で,これまでの採用数を一つの基準にしているというところがあったと思いますが。

【月岡理事】  過去何年か分です。

【樋口委員】  毎年変わらないようにということだとは思うのですが,その根拠は,なぜ去年まで多いところは今年も多く出すのですか。

【月岡理事】  それは基本的には学生・生徒の成績だとか家計基準で選んでおりますけれども,昨年まで多い学校は,基準を満たす学生・生徒が多い学校だということだと思います。ずっとさかのぼっているわけではなくて,直前の3年です。

【樋口委員】  その根拠は何でしょうか。

【月岡理事】  やはり今,申しましたように,基準を満たす学生・生徒たちがそれなりに集まってきている実績があるということです。いずれにしても,機構の推薦の基準を満たさなければ推薦することはできません。そうするとその学校では枠に対して余りますから,余った分を足りない学校に追加で配って推薦してもらうということをしております。

【樋口委員】  ですから,指摘している問題は,多いところがまた次の年も多くなる。そうすると,過去3年といっても,それがずっと続くわけですから,実は大きく変わらないのではないかという問題の指摘です。

【月岡理事】  そうでもないように思います。

【樋口委員】  そうなのですか。

【月岡理事】  推薦の基準を満たす学生・生徒が減ってくれば,推薦したくても推薦できなくなりますので,採用実績は減っていきますから,そうするとそれに伴って減っていきます。

【樋口委員】  そうしたら,むしろエビデンスベースで数字を出してもらえばいいのではないでしょうか。どこの学校にどれだけ枠を使っているかという。

【小林主査】  それと,もう一つ,残存適格者ですか,つまり,要件を満たしていながら奨学金をもらえなかった人が何人いるかというのはやはり重要です,ニーズがどれぐらいあるかということで。ですから,その数字を出していただいて,本当に推薦枠が適切かどうかという議論は,その二つでやれば大体解決すると思いますので,それは少し考えていただければと思いますが。

【中村委員】  やはり入学者の家庭の困窮度ですね,それが恐らく,4年制大学よりも,短大,2年制専門学校の方が大変な家庭が多いのではないかと思います。そこのところも一つ,物差しとして中にお含みいただくと有り難いのですけれども。

【小林主査】  ですから,所得と成績とか,今,言われた一種の方については条件が分かっていますので,それがどの程度,学校種別になっているかということが分かれば,今のJASSOのデータでどのぐらい正確にできるか分かりませんけれども,それは検討していただければ,かなり今後の参考になるかとは思います。先生がおっしゃるように,私たちも様々な調査を見ていますけど,確かに短大とか専門学校の方が所得層は低いですね。その割に,ですから,推薦枠が少ないというのは先生がおっしゃりたいことだと思いますので。

【月岡理事】  一種は先ほど申し上げましたが,二種の方は主に経済基準だけで見ております。困窮度の高い人は,他が同じ条件なら優先的に一種の方の基準に適格になると思います。学校の方がその順番で推薦していただければ,二種も含めて考えますと,基本的には全員採用するという方針でこれまでも来ておりましたので,御指摘の点は大体クリアされている。あとは残る一種の問題かなと思います。

【小林主査】  これは少し時間がかかるので,今回すぐにというわけにはいかないとは思いますが,引き続きどのように拡充していったらいいかという議論を進めていくということでいかがでしょうか。
 ありがとうございました。所得連動型については,先ほど申し上げましたように,これから本格的な制度設計がもっと必要になると思いますし,これからそれも長期的な課題になるかと思います。それから,最初に申し上げればよかったのですけれども,この検討会議では,運用ですぐにできるようなものと,それから次年度なりの予算措置を必要とするようなもの,あるいはすぐにはできないけれども,中長期的に考えていく課題というふうに三つぐらいに分けて考えておりますので,その辺も時間的なタイミングとして三つあるということは少し頭に入れて御議論いただきたいのですけれども。
 7ページ目のところにあります延滞金の賦課率の見直しとか,これは割とすぐにできるようなことだろうと思うのですけれども,減額返還制度や返還期限猶予制度の柔軟な運用という問題についてはいかがでしょうか。これについては,特に御異論はなかったようには思うのですが。どうぞ。

【樋口委員】  教えていただきたいのですが,今,有利子か無利子かという話がありますが,有利子の利子率の決め方というのは,これはどう決まってくるのですか。

【月岡理事】  機構では貸与終了時に利子率を決めますけれども,そのときに機構が借りました財政投融資の金利でございます。

【樋口委員】  それに対する利子補給とかは全くないのですか?

【月岡理事】  利子補給というのは,今,言いましたように在学中は無利子であるとか,猶予を受けたときには無利子であるとか,利子が増えないとか,そういったことで,実際,機構が支払っている利息と返還してもらっている利息とに差がありますので,その差分は利子補給してもらっております。

【樋口委員】  そうすると,財投の利子はかなり変動しますよね,そのときの景気の善しあしによって。そうすると,その部分も卒業年次によって変わってくるということですか。

【月岡理事】  はい。

【樋口委員】  その制度自身がいいのか,有利子,無利子の議論がありますけれども,利子率の決め方のところの議論というのはどうあるべきなのかと。というのも,要は,ある意味でマーケットと間接的に決まってきます。

【石矢奨学事業本部長】  機構の第二種の場合は財投からの借入れということが前提になっていますので,調達金利が,第二種の利子に乗せられるということになります。それは貸与終了時の調達金利となります。一応,有利子の場合は3%が上限ということになりますので,そこは教育的な施策ということでアッパーが決まっているということになります。

【小林主査】  今のは固定金利の場合で,変動型もありますよね。

【石矢奨学事業本部長】  今,変動と固定を選べるようになっているのですけれども,変動の場合は5年に1回見直しをかけるということになります。現在の足元の金利は大体,固定が1.09%,変動も多分,0.2か0.3%だと思います。

【小林主査】  今の御指摘はかなり重要な問題で,利子率をどう決めるかというのは国によってかなり制度設計で違います。利子率を上乗せしている国が実は多いのです。JASSOの場合にはそれをやっていないということなので,そういう意味でも先ほど言った,間接的には利子補給になっているという形なのです。上限3%というのも,これはずっと有利子を導入したときからキャップ制になっているわけです。ですから,3%を超えたことは今まで一度もない。

【石矢奨学事業本部長】  調達金利が超えたことはあります。

【小林主査】  調達金利は超えているけれども,3%を超えたことはないから,その場合は逆に利子補給がされている。

【石矢奨学事業本部長】  そうです,利子補給が大きくなっているということになります。

【小林主査】  どうぞ。

【前原委員】  無利子奨学金を増やして有利子を減らすというのは方向として非常にいいと思うのですが,何年後にはこのぐらいのウエートにするということをきちんと言わないと,恐らく,財務省との関係などがあって,お題目に終わってしまうのではないかと思うのですけど。具体的に,5年後にはフィフティー・フィフティーにするとか,毎年こういうふうに移していきますということを言わないと,全滅になってしまうおそれもあるはずですね。その点は,財務省と交渉していただいて。

【小林主査】  それはまた別の非常に重要な御指摘だと思いますが,いかがでしょうか。

【渡辺課長】  それは大変重要な御指摘だと思います。

【前原委員】  是非実現してほしいので言っているのですけれど。財務省に負けないように。

【渡辺課長】  具体的な,数字的なターゲットというのを,また少し,まさに戦略を練る必要があると思いますので。

【前原委員】  当時の森大臣が言われたここのところは非常に重要ですよね。ですから,やはりこの志は受け継ぐべきだと思います。

【小林主査】  是非強くもう一回そこを書いていただいて,やはり無利子が根幹であると。

【前原委員】  目標を決めてやらないと進まないと思いますね。

【小林主査】  ありがとうございました。現在のところの延滞金の問題とか,より柔軟な運用ということなのですけど,これは賦課率を見直すということについて御異論はなかったと思うのですが,柔軟な運用ということで,減額返還制度とか幾つかあるわけですけれども,ほかに何かできるようなことというのは考えられないでしょうか。現行の制度の中では,やはり私が見るところ,現在すぐにできることというのが余りにも少ないような気がするのですが,いかがでしょうか。機構側では,もう精いっぱいということでしょうか,現行制度の中でできることは全部やっているということでしょうか。

【月岡理事】  そうですね,何か柔軟な返還としてできるものというのはすぐに思いつかないところですけれども。

【小林主査】  例えば,現在,猶予が最長5年という条件になっているわけですよね。これを例えば7年にするとか10年にするとか,そういうことは可能でしょうか。

【月岡理事】  それは概算要求等のプロセスを経てというふうに思いますけれども。

【小林主査】  予算さえつけばできないことはないということですか。

【月岡理事】  そうですね,これは国との間で決められた枠組みでやっておりますので,そこを手直しすることができれば。減額返還制度も昔からあったわけではなく,2年ほど前に導入されたわけでございますので,そうやって見れば,この期間をどうするかといったことは国との相談で,国の方も,また財務省とも相談が必要かもしれませんけれども,そういった手順を経て話し合えば,方法としてはあり得るのではないかと思います。

【小林主査】  ありがとうございました。そうしますと,これも是非,要求事項といいますか,予算措置を伴うということですので,少し事務局で検討していただきたいのですけれども。この検討会議としては,できるだけそういった柔軟な運用ということで拡充する方向で考えていきたいという,そういう方向性でよろしいでしょうか。

【中村委員】  1点よろしいですか。

【小林主査】  どうぞ。

【中村委員】  貸与者が亡くなった場合はどうなっているのですか。

【小林主査】  それはもう免除です。

【石矢奨学事業本部長】  免除制度というのがございまして,死亡免除は,連帯保証人か,あるいは親族の方から免除申請していただく制度となっています。

【中村委員】  ありがとうございます。

【小林主査】  どうぞ。

【渡辺課長】  今,主査に御指摘いただいた点,恐らくこれは,ほかにも関わってくると思うのですけれども,やはり今のJASSOという独立行政法人の枠組みの中で,相当努力してやってできている部分というのと,恐らくかなりドラスティックな支援,あるいは今回の議論を踏まえて,大きな支援の拡充ということを行おうとすると,どうしても法人そのものの在り方に関わる問題になってくると思います。この中にも最後の方にそのことは少し触れて訴えておりますけれども,一方ではそういった問題もあります。我々としても様々な形で,今,消費税等の議論がある中で,どうしたら収入が少ない方を救えるような手だてができるのかということについて,もう少し具体的に知恵を絞っていきたいと思いますので,よろしくお願いします。

【小林主査】  是非よろしくお願いいたします。
 延滞金の賦課率の見直しなのですが,最初に議論したときには,むしろ,国税が下がるから下げるのではなくて,現在,延滞金が高過ぎるという議論があって,そうしたらたまたま国税の方が下げるから,それならこちらも下げればいいのではないかということだったと思います。ですから,議論としては,そもそも延滞金の賦課率が10%というのは余りにも高いのではないか,そこから入ったと思いますので,ちょっとそこのあたり,もう少しニュアンスを変えていただければと思うのですけれども,いかがでしょうか。

【奥舎委員】  具体的な数値を記載してもいいのではないでしょうか。

【小林主査】  どうですか,事務局。

【田中課長補佐】  ここで具体的な数値まで書き込むのは,なかなか予算の話としては。恐らく,作戦もあると思うので,少し幅を持たせて書く方が,一応,方向性としてしっかりお示しを頂いた上で,後はその中でどれぐらいの幅を持って率を設定するのかという書き方の方が作戦としてはいいのかなと個人的には考えております。

【小林主査】  どうぞ。

【奥舎委員】  岡山の地方の新聞なのですが,山陽新聞の5月1日号に,奨学金の延滞金利下げといって大きなニュースが出ましたよね,私どもが初めて聞く話が,新聞の方が先に知っている感じで。年10%を5%程度に,と大きく出たのですが,私,びっくりしまして,お伺いしようかなと思ったのですけれども,あえて今まで伺いませんでした。こういうことがぱっと載るのはもう決まっているのかなと思って,今,お伺いしたいのですが。

【渡辺課長】  それは実際に決まっているわけではありません。例えば国税の場合などの利率の引下げの割合等も踏まえると,一定の考えというのはあろうかとは思うのですけれども,少なくとも10%よりも大幅に引き下げられるように,我々としては努力したいというふうに考えております。5%と決まっているわけではなくて,ちょっとソースがどこからかというのがはっきりしていないのですけれども。

【奥舎委員】  早ければ来年度に5%程度とする方向で調整している。これは,誤報なのですね。

【渡辺課長】  こちらからお示ししたということはないですね。

【松本委員】  もともと10%というのは高いと思いますけどね。やはり借りたものは返すみたいなことから来るペナルティーといいますか,きれいに言えば教育的効果といいますか,そういうことだったのでしょうね。その辺はいかがでしょうか。やはり,飽くまで国の様々な利率の問題と連動して決めた数字なのか,それとも借りたものは返すという理念からなのか。

【石矢奨学事業本部長】  これは第1回の検討会で延滞金について,そもそも10%はどうやって決められましたかというような御質問があったと思うのですけれども,調べてみたのですが,実は余りはっきりよく分からない。ただ,国税と比べてみても,それほど高くない水準だということで10%が定められているのではないかというふうなお答えしたのが。

【前原委員】  民間はたしか昔,14%ぐらいでしたね。

【石矢奨学事業本部長】  そうですね。

【松本委員】  それよりは低いという。

【小林主査】  ここでの議論では,一方では延滞金を全く取らないでいいのかというと,それはやはりまずいであろうと。正直に返還している人とそうでない人の差がつくというのも変な話であるというようなこともありましたし,それから,奨学金というのは全くの学生ローンではないので,教育的な配慮といいますか,そういうものもありますので,ただほかのローンと同じ考え方でやるというのもおかしいのではないか,そういうようなことだったろうと思います。ですから,この辺,実際に5%になるのか,何%になるのか,まだここですぐに決められるという問題でもないと思いますし,事務局側で作戦も必要だというお話ですので,少し私と事務局側で相談させていただいて,具体的に財務当局と折衝していくということでよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。
 すみません,貸与のところで随分時間をとっているのですけれども,給付ですね,もう一つ,大きな問題です。これも様々な形が考えられるわけで,返還の免除という形とか,現在行われている授業料減免との統一も考えられるのではないかというような様々な問題点が入っておりますけれども,これについても前原先生のおっしゃるように,本当はターゲットと機関を明確にしなければいけないと思いますし,幸いなことに各党の今度の選挙公約にも給付奨学金というのは全部入っておりますので,実現に向けて,この会議としても強く要望していきたいというふうに思います。

【前原委員】  大臣はやる気満々ですから。

【小林主査】  あとは大臣に頑張ってもらうということだろうと思いますが,いかがでしょうか。

【樋口委員】  一つは要望なのですが,3の見出しが給付的な支援ですね。給付的なというのは一体どういう意味で給付的なのでしょうか。

【小林主査】  恐らく,先ほど少し申しましたように様々な支援の仕方があるので,具体的に現金を渡すだけではないというような意味合いが込められて,「的」という言葉がついていると思いますが。

【田中課長補佐】  おっしゃるとおり,授業料減免などは,実際に子供にキャッシュが渡るわけではなくて,子供の見えないところでキャッシュが動いているということもありますので,そういう意味で給付的な支援ということで,ひとくくりとして書いているという意味合いです。

【樋口委員】  気になりますのがワークスタディとかTA,RAというのが給付的な支援に入ってくるのですね。これは本来,雇用関係に基づく労働に対する対価として賃金が支払われるというものであるのですが,それは給付的な支援というところに入ってきてよろしいのかどうか。何か本当はそんなに高くないのだけれど,その分,補塡して900円の時給を払っていますよというようなニュアンスが入ってくるとすると,ちょっとどうなのかなというところですね。ここにそういう雇用関係という視点はちょっと入ってないように今,8ページを読んで思ったのですが。むしろ,本来は500円でいいのに300円補塡しているんだよ,それが給付だよという感じだとすると,これは少し雇用関係上もまずいと思います。

【小林主査】  これは,もともとアメリカのキャンパスワークスタディとか中国にも同じような制度があるのですけれども,それを日本でもやったらいいのではないかという趣旨で書いたと思うのですけれども。おっしゃるとおり,当然,労働契約になるわけですから,それなりの対価を支払うということなのですけれど,それ以外にもかなり教育的な配慮が入るということなのです。それはただおっしゃるように給付かと言われると,確かに給付とは言い難いので,記載する場所は少し考えさせていただきます。

【前原委員】  今,TAやほかのもので,どのぐらい払っているのでしょうか。日本は本当に少ないですよね。

【樋口委員】  学校によっても違うと思いますが,最低賃金ぎりぎりです。東京都が最低賃金850円ですから,それに引き上げられることによって上げているところが多いのではないでしょうか。

【前原委員】  なるほど。技術系は結構多いですよね,TAなどを配置しているのは。

【樋口委員】  そうですね。

【小林主査】  TAというか,RAが多いですね。RAというのは外部資金でできますので,TAは運営費交付金とか大学独自で用意しなくてはいけないので,かなり人文社会系はつらいところですね。

【前原委員】  そうですね,ほとんどいません。

【小林主査】  後ろの方に大学院生の問題を書かせていただきましたけれども,確かにこれを含めて重要な問題だろうと思います。学部生が様々な形で学内,あるいは適切な学外でもいいと思うのですけど,そういうところで働くということを,アメリカの場合には最初,学内だけだったのですが,大学が認めた学外でもいいとなっています。それは,適切な労働という意味ですけど,そういったものを含めてワークスタディと呼んでいますので,そういうものを拡充していきたいということですので,場所は考えますけれども,提案としてはいかがでしょうか。

【前原委員】  それは賛成ですね。

【樋口委員】  これは,制度をやはりきちんとしておかないといけませんね。例えばボランティア活動でアンペイド・ボランティアというのが普通ですけれども,ペイド・ボランティアというのが出てきたときに,これは雇用関係で最低賃金は守らなくてはいけないのかどうかというところも,実はあやふやなところがあって,あるいは今のインターンシップも,そのときにけがをしたら,これは労災になるのかどうかなど。福田政権のときに,グレーな働き方というところを整理する必要があると言われていましたが,そういったところに,実はこういう問題がみんな出てきます。ですので,これを書くのであれば,やはり制度としてどのように位置付けるのかが重要だと思います。公的な問題が出てくると思いますので。

【小林主査】  ですから,この点についても,今のお話ですと,かなり様々な問題点があるようですので,すぐにできる話かどうかを含めて,これは少し私と事務局の間で相談させていただきたいと思いますけれども。ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか,給付的な支援の方につきまして。

【石矢奨学事業本部長】  給付的な支援ということで,現在,実際にやっているのが,大学院の第一種の奨学生が対象なのですけれども,業績免除という制度があって,貸与終了者の大体30%の方が業績免除の対象になります。そのうちの3分の1は全額免除で,3分の2の方は半額免除。金額的に言ったら,大体150億円弱が,毎年免除されているという状況です。

【小林主査】  この問題につきましても,後ろの方の9ページのところですね,大学院生への経済的支援というところで,今,石矢部長が説明された部分のことを書かせていただいているのですけれども。ただ,問題点は二つありまして,一つは事後的にしか分からないということですね。この問題については,多くの大学からそういう意見を頂いています,進学のときにインセンティブを与えられないという問題ですね。それについては,予見可能性と在学中の学修インセンティブに関して,事前給付と事後給付,どちらがいいかというタイミングの問題が一つあります。前回,少し御説明したのは,期間を短くすれば予約型の返還免除という形態と給付型というのは,実はそれほど変わらないということです。例えば学期程度を区切りにしてもいいと思うのですが,今の,2年,あるいは博士ですと3年,学部で言うと4年という期間は余りにも長過ぎると思います。ですから,例えば1年,あるいは学期で区切って給付できるのかできないのか決めていけば,私は事前か事後かというのはそれほど大きな影響はないと思います。ただ,そうしますと,当然ですけど,大学側の負担とかそういう問題を考えなくてはいけませんので,その辺は検討事項であると思います。それが1点目ですね。
 それから,もう1点は9ページの方にありますように,大学に進学するときに,学部段階で借りた奨学金については全く返還免除がありませんので,そこがネックになっているという問題もあります。ですから,その辺を含めて,もう少し拡充が必要ではないかということで書かせてもらっています。
 少し分かりにくいのですけど,事前給付か事後給付かという点についてはいかがでしょうか。

【前原委員】  両方,制度としてはあってもいいのではないでしょうか。どちらかというよりも,両方制度があって,事前にもらえる人もいるけど,事後に頑張ってもらえる人もいるというのは矛盾しないと思いますけれども。

【小林主査】  選択肢を増やしておくということですね。

【前原委員】  はい。

【小林主査】  前の御意見ですと,それは原則的に大学なり大学連合みたいなもので決定するという御趣旨で。
 先ほどの推薦枠の問題とも関わるのですけれども,大学が独自にやるというのもあるかもしれませんが,一つの考え方としては,今,一種の推薦枠を持っているわけですから,その中の何人か,何割かを例えば給付型とか授業料免除に充てるとか,そういう制度にすると,今の制度と比較的整合性がとれた,それほど難しくない制度になるのではないかと思うのですけれども,その辺り,どうでしょうか。様々な議論がここで出ました。入試センター試験みたいなオールジャパンでやった方がいいとか,いや,それは問題ではないかという議論もありましたが,最終的には大学に任せるということになったのですけど,一つの在り方としては,そうすると,推薦人数をどうするかというのはまた大きな問題です。先ほどありましたように,一種でさえ推薦枠をどうするかというのは大きな問題ですから,給付となると,ますます大きな問題になりますので,その辺はすぐには決められないとは思うのですけれども,基本的な方向性としては大学に個別の支給者の選定についてはお任せすると。ただし,推薦枠そのものについては何らかの基準をこちらで考えていくということであると思うのですけれども,いかがでしょうか。どうぞ。

【月岡理事】  予約の場合はどうすれば。

【小林主査】  予約の場合にどうするかという問題は確かに残りますね。

【月岡理事】  一種の場合ですと,今年ぐらいにそろそろ予約と在学の比率が1対1になってくると思います。高校から大学に行く段階のことですが。あと,大学院でも予約で申し込んでいる人がいます。

【小林主査】  予約の場合は,高校が推薦するということには現在なっていないのですよね。

【月岡理事】  高校が推薦することになっていますが,高校ごとに推薦枠は与えていません。

【小林主査】  推薦枠がないのですね。

【月岡理事】  はい。

【小林主査】  ですから,結果的には全部,オールジャパンでやっていることになっているのですよね。

【月岡理事】  そうですね,評定の平均値と家計基準等々を組み合わせて機構で判断いたしております。

【小林主査】  奨学生の場合,もし給付型なりを入れるとすると,それは別に設計を考えなければいけないですね。これは大きな問題です。

【渡辺課長】  素朴な疑問というか,高校を卒業して大学に入って,確かに高校時代,ものすごく優秀で勉強しました。けれど,大学に入ったら,少し違った方向に頑張りましたということは,たくさんあると思います。本当に学部段階で給付をする決め方って,ものすごく難しいと思いますね。ですから,是非そのあたりについては引き続き,本当にどういう形でやるのが一番良いのか,しかし,やはりやる気のある学生の能力は伸ばしてあげたいし,やる気があって,なおかつ経済的に困っていれば,これは彼らが頑張れるようにしてあげたいと,それは強く思うのですけれども,果たしてそれをどうやって選べるのか。もちろん,100%は恐らく無理なのですけれども,どういうふうにしたら最も良い形で制度設計できるのかということについて,是非また知恵をお貸しください。

【前原委員】  制度を多様にするということではないでしょうか。高校時代頑張った人でもらえる人もいれば,大学に入ってすぐにもらえる人もいて,後半になって伸びてきて授業料免除をうけられる人もいる。多様にしておくということしかないのではないでしょうか。人間だから,変化していきますし。会社だってそうですよね。

【相川委員】  機構の方で年度ごとの成績を確認しているのではないですか。

【石矢奨学事業本部長】  適格認定で,毎年,学業や家計などをチェックします。

【相川委員】  そういうところも残しておいてということですか。

【前原委員】  そうです,選択肢を多様にしておくということではないでしょうか。

【相川委員】  必ずしも1本,これでなければ駄目というふうに決めてしまうと,本当に微妙なところではじかれる生徒がいるかもしれません。

【前原委員】  その後,頑張ってもらえるようにしておいたらいいと思いますね。

【濱田委員】  かつて特別貸与奨学金制度ってありましたよね。制度を復活させるということは難しいかもしれませんけど,基本的な考え方というものを何らかの形で制度として生かすというか,盛り込むということはいかがでしょうか,関連して。

【小林主査】  特別貸与というのは一般貸与に比べて金額的には多く貸すのですけれども,返還額は一般貸与と同じという考え方で,実質的な給付になっているわけですよね。それがかつてあって,今はないので,それもオプションの一つとしてあり得るかと思います。
 問題はアメリカの例を見ていると,余りにも制度が複雑になると,今度はオプションが多過ぎて,情報の問題が出てくるのです。情報をよく知っている人と知らない人とか,そういう問題が非常に大きくなるので,ここにも書かせていただいたのですけど,情報を十分に提供するということをしないと,必ずしも合理的な選択肢とは限りません。それが大きな問題になってしまいますので,その辺も併せて。

【前原委員】  学校によっても様々な制度を持っていますしね。

【小林主査】  はい。先ほど出た金利の問題で,利子率の問題などもかなり複雑な問題ですので,必ずしも学生や保護者が十分な知識を持っているとは限りません。ですから,そういう面も含めて,金融リテラシーというのは非常にこれから重要だろうと思いますので,その辺はどのように進めるかということも,前回も少し申し上げたのですが,これも是非,これからもう少し議論していただきたいと思います。私はこれを前の中央教育審議会で申し上げたのですけど,そうしたら,できもしないことを言うのは無責任だと怒られました。そんな高校とか大学に負担を強いるようなことだけやるなと言われまして。ですから,これももう少し予算措置なり,制度を考えていく必要があるかと思います。例えば高校で教科として教えるというのも一つの選択肢としてあり得ます,教科の一部ということですけれども。

【前原委員】  私も金融機関に長くおりましたので,金利というのはすごく変動するし,大変重いものだと思っております。払えなくなったかといって金利を上げると,もう本当に禁止になってしまいますよね。ですから,できるだけ金利のないもので奨学金を貸与するというのは筋だろうと思います。今は低金利だからいいですけど,高いときはすごく上がりますからね。

【小林主査】  それから,もちろん,貸与の場合は返していただくというのが大前提ですけれども,様々な理由でどうしても返せない人はいるわけですから,その人の救済策というのも十分考えておかないと,それがやはり学生ローンと違うところだと思いますので,その辺もよく制度設計を考えていかなくてはいけないと思いますね。
 どうぞ。

【中村委員】  2点ありまして,1点目が先ほど出ました授業料減免の話なのですけれども,専修学校専門課程に授業料減免制度が今ないというような,公平性が担保されない現状の中で,是非,給付制度もそうなのですけれども,文面の中でもっと強く,現在,放置している状況を大きな問題としていただければ有り難いと思います。将来的に課題となり得ることに留意が必要であるというよりも,今後,給付制度の形になる前に,まずは授業料減免という制度を専修学校専門課程においても対応できるような制度に持っていっていただきたいということが一つです。

【小林主査】  これは私も詳しく分からないのですが,国が直接,専門学校に対して授業料減免ということができるのですか。恐らく,難しいのではないかと思いますけど。

【奥舎委員】  都道府県ならできるのですがね。

【小林主査】  都道府県はもちろんできると思うのですけど,所管が違いますので。そういう意味でも,繰り返しになりますけれども,国立大学については授業料減免制度がありまして,私立大学の場合は私学事業団(日本私立学校振興・共済事業団)を通じた制度で,しかも2分の1補助という形になっていますので,国立大学と私立大学で違います。公立は全く国の制度としてはなくて,都道府県というか,設置主体に任されている。それから,専修学校についても同じですよね。それで制度がある県とない県との差がかなり出てきているというふうに聞いていますので,そこを何とか一本化できないかというのがこの提案です。様々な制度を統合するというのは,簡単なことではありませんので,少し中長期的な課題として考えていかなければいけないと思っていますが,中村先生がおっしゃるのは,まず,とにかく授業料減免を入れていただきたいということですよね。

【中村委員】  はい。

【小林主査】  ですから,それは可能かどうかということなのですけど。都道府県に対して要請するぐらいはできると思うのですけど,いかがでしょうか。

【田中課長補佐】  基本的に設置主体が,監督としては都道府県になりますので,詳細なところは記憶にないのですけれども,国から都道府県に対してのそういった経費補助みたいなものが現在制度としてないというふうに聞いておりますので,そういったことを考えると,主査がおっしゃいましたように,もう少し制度全体の中で議論をするというところに位置付けられることになるのではないかというふうに考えます。

【樋口委員】  前回の議論で,なぜ奨学金を出すのかといったときに,教育の機会均等の問題,それと並行して経済的,社会的外部効果をどう考えるか。恐らく,この両面から出しているのだろうと思いますが,そうすると,所得が低いから出す,これは重要な機会の均等になるわけですが,その人たちが教育を受けることによって,逆に社会にどう貢献しているのだというような,本人の給料が上がるだけではなくて,それをどう評価していくかというような基本的な問題に今のお話というのはなってくる面があって。そう簡単にみんな同じにすればいいという話でもないのかなというふうに思うので,これは少し重い課題になってくるのではないかと思います。

【中村委員】  それが二つ目のお願いだったのですけれども,ここでもし制度化されていく原案が考えられていきますと,将来,日本を背負って立つ人材を育てるという一つの手段につながってきます。そうしますと,原資はどこからかといいますと,やはり国民ですよね。国民が納めた税金等が原資になってくる。そこで問題になってくるのは,やはり社会貢献度ではないでしょうかということ。今,入学前,入学後,それからもう一つ,できれば業界評価の中でさかのぼって援助できるとか給付できるということが,将来の日本を背負って立つという人材育成のための原資になってくるということを考えると,非常に大きなポイントになってくるのではないかと思うのですけれども。もうワンステップ上の業界,卒業後の業界推薦という枠組みというのが可能ではありませんかということなのですけれども,卒業後になってしまうと文科省から離れてしまいますけどね。

【前原委員】  ちょっと素朴な質問をしていいですか。

【小林主査】  どうぞ。

【前原委員】  2ページの一番上のところに非正規416万人とか,30代から50代で3分の1が年収300万円以下とか書いてあるのですが,この中で奨学金をもらった人がどのぐらいのシェアなのかというのは分かりますか。

【月岡理事】  分かりません。私たちは属性調査ということで,延滞者,無延滞者をそれぞれ分けてランダムサンプリングをして,現時点におけるその人たちの就業状況というのを調べております。その中で常勤職,それから任期付きで常勤職,短時間労働,自営業などに分けて調べておりますので,その数字をお出しすることはできます。回収率は20%ぐらいです。
 これで見ますと,23年度の調査ですけれども,延滞をしていない人の中で,常勤であるというのが57.5%,雇用期限があるけれども常勤だという人が5.5%,非常勤が7.7%,派遣が3.0%,そういった状況になっております。それから,専業主婦の方が7.4%。延滞している方では,常勤職員が34.5%,常勤で雇用期限があるという方が6.3%,非常勤が13.3%,派遣が7.5%,それから専業主婦といった方が8.0%,無職,失業中といった方が18.9%となっております。

【前原委員】  今年は就職率も非常に上がってきているし,中堅中小企業とのミスマッチについて各県の財界が今,一生懸命やってくれていて,随分マッチングができるようになってきたので,就職できない,特に正規で就職できない人というのはこれから減ってくるかなって思っているのですけれども,そうなると大分改善されるのかなと思います。一時期,ひどかったですからね,みんな非正規だったりして。だから,先生の専門の就労構造を変えるというのも,やはり大事ですよね。

【中村委員】  社会人の専門学生が10年間で倍ぐらいに増えているのですけれども。社会人の年齢層が50歳ぐらいまでの方が入学してくるのですね。このとき,給付制度とか貸与枠を広げていただいたときに,年齢的な問題についてはよろしいのでしょうか。

【小林主査】  それについても国によって,かなり考え方が違いまして,特に貸与の場合,ある程度,年齢制限を設けている国もあります。給付型の場合には逆にないということもありますけれども。やはり返せる期間というのは短くなっていますので。その辺は日本の場合には,まだそこまで年齢のことを考えて制度設計しておりませんので,それも必要だろうと思います。特に社会人の学び直しということが言われているわけですから,それはこれからの検討課題になると思います。

【中村委員】  でも,こういう人たちがまた社会に出ると,やはり有用な人材でありまして,支店長代理ぐらいまでやったのに,また専門学校に来て勉強し直して出ていくという方など,うちの学校で働いてほしいと声をかけたいぐらいですね。そういう方は結構多いです。

【前原委員】  定年になってから来る人,すごく多いですよ。大学で教えていると。前の方にずっと座ってまじめに聞いているのは定年になった人が多いですね。

【中村委員】  専門学校とは違いますね。

【前原委員】  はい,ですから,成績も恐らく優秀だと思いますが,奨学金の対象にはならないですよね。

【樋口委員】  そうすると,世帯所得をベースにしたときの世帯の定義が問題ですね。通常,親を想定します,若い人の親を。ところが,もう成人しているわけですから,独立した家庭というのを想定しているとすると,親の所得も必要になって,世帯所得とみなして,こういったものを出していくのかというようなところも議論になってきますので,そこはちょっと。

【前原委員】  これから,そこは作らなくてはいけませんね。

【中村委員】  アメリカは完全にそうなっています。

【樋口委員】  最後は奥さんの給与ですね。

【中村委員】  大学院なんて,みんなそうですよね。奥さんの給与,まあ,夫の給与かもしれませんけれども,そういうふうになっているはずです。ですから,専門学校もそうだと思います,基本的に。

【月岡理事】  学部の場合でも,その人が独立生計を構えている,例えば結婚されたとか,そういった場合は御本人の所得を調べるといったことになるのではないかと思います。

【濱田委員】  先生,社会人の話,いいですか。

【小林主査】  どうぞ。

【濱田委員】  既にお話が出ているのかもしれませんが,前回,欠席した関係で勘違いがありましたらお許しいただきたいのですけれども。社会人への奨学金の充実というのが6ページのマルの2番目に出ておりますが,8行目ですね,ここでちょっと具体的に考えておいた方がいいと思いますのは,長期履修制度を活用した社会人入学というのが今後,具体的に上がってくるのではないかということです。そうなった場合の奨学金の貸与,それは有利子であれ無利子であれ,どういう形になるのかということなども既に検討がなされていれば構わないのですけれども,検討されていないとするならば,これは単なる理念とか何とかとは全く別ですので,授業料も当然変わってまいりますけれども,検討課題の一つではあると思います。

【小林主査】  おっしゃるとおりです。大学院の長期履修制度が導入されたのは平成14年頃なのですけれども,その調査でアメリカに行って,一番違うのは,やはり授業料の扱いですね。長期履修の場合に,例えば毎年払っていたら,それは負担が大きすぎるわけですから,それをどのように工夫するかという問題がありますし,この辺,余り具体的に書いておりません。御指摘のとおり,もう少し,例えば長期履修制度についてどう考えるかとか,この辺まで本当に検討が不十分なことでありますので,御指摘ありがとうございました。

【濱田委員】  よろしくお願いいたします。

【小林主査】  ほかにいかがでしょうか。もうそろそろ,あと10分程度になってまいりましたので,特に短期的な課題で,今回で中間まとめとしては一応終わりになりますので。長期的な課題はたくさん御指摘いただいておりまして,なかなか難しいかもしれませんけれども,割とすぐにできるようなこと,あるいは来年度ならできるようなことというのがございませんでしょうか。あるいは,視点として,こういった点をもう少し強調すべきだというようなことでも結構ですけれども。

【樋口委員】  来年度と言えば,消費税をどうするのかという最大の問題がありますね,この奨学金を考えたときの。今までのようなデフレから変わっていったときの奨学金額の在り方というのは,やはり課題になってくるでしょうね。

【小林主査】  そうですね。

【奥舎委員】  ちょっといいでしょうか。

【小林主査】  どうぞ。

【奥舎委員】  機構の方にお伺いしたいのですが,貸与額の最高は今,12万円ですか?

【石矢奨学事業本部長】  はい。第二種でそうですね。

【奥舎委員】  前回,ちょっとお聞きしたのですけれども,12万円借りている方の割合はどれぐらいでしょうか。

【石矢奨学事業本部長】  二種で12万円借りている方,この25年3月に満期となった人ですけれども,大学で,国公立では8%,私立では13.7%です。

【奥舎委員】  このうち,額が多いから延滞率が高いということはありますか。

【石矢奨学事業本部長】  これは昨年3月に貸与を終了した方なのですけれども,貸与額別に延滞率を見てみたのですけれども,特に1,000万円以下の方で100万円ずつ刻んで1.4%の延滞率です。900万円以下が2.1%,800万円以下が2.2%。

【奥舎委員】  私が言いたいのは,12万円借りた人と,例えば8万円借りた人で,12万円借りた人の方が,延滞率が高いですかということです。それは分かりませんか。変わらないのですかね。

【石矢奨学事業本部長】  ちょっとそこは詳しい資料は持っておりません。

【小林主査】  非常に重要な御指摘だと思いますので,金額別の延滞率ですね,是非,調査すれば分かると思いますので。

【奥舎委員】  今度,分かったら教えてください。
 一つ,唐突に言うのですけれども,貸付限度額を引き下げてほしいというのが私の希望です。理由は12万円の最高額がいつ決まったのか,バブルのころだったのか,それからか分かりませんが,デフレの状況になって,消費経済が冷え込んだときに,学生に12万円の額を貸し付けること自体が本当の教育なのかなと思っております。必要な方もおられますけど,貸し付けるときは,高額であればあるほど厳格にすべきだと。厳格と言ったらおかしいかもしれませんが,そんな感じを持っております。端的にできることを言えば,貸付額を,私個人的な希望ですが,8万円ぐらいを最高限度にしていただければという思いがあります。学生にとっては厳しいかも分かりませんが,推薦枠が決まっているなら,その減った金額の分を専修学校やいろいろなところへ回すことができる余地があるのかなと思いますし,どの程度か分かりませんが,個人的にはそんな感じを持っております。

【石矢奨学事業本部長】  第二種奨学金に選択制を設けたのは平成11年です。それで,12万円の最高額を設定したのは平成20年。

【奥舎委員】  最近ですね。

【月岡理事】  それから,今の12万円の方について,8%とか13.7%と申し上げましたけれども,恐らく貸与月額を上げたり下げたりすることができますので,12万円を通して借り切っている人のパーセントは,この8%とか13.7%よりは低いのではというふうに思います。

【小林主査】  関連して,返還金の回収率については,独法の目標として設定されておりますので,その説明を少ししていただけますか。

【月岡理事】  独法の設定としては総回収率というのがありまして,その総回収率は今期,中期目標期間中,今年度までですけれども,今年度中に82%以上になることということになっております。総回収率というのは当年度分と,それから既に延滞となってしまっている分も足しての回収率のことなのです。今,82%を達成いたしておりまして,現時点でどういう状況かといいますと,期首現在延滞していない人の回収率というのは,割賦としては当年度分しかありませんので,それが99.1%になっております。ただし,既に延滞となってしまっている割賦,前年度以前に延滞となってしまっている割賦の回収率は13.8%,延滞となっている債権に係る当年度分というのがありますので,これが62.0%,これを足して82.1%となっていますので,実際の当年度分割賦の回収率というのは95.6%になっております。つまり,延滞していても,次年度返してくれることが期待できますので,そういったものを足し込んでいくと,実際の回収率は当年度分の95.6%をある程度上回るというふうに考えております。

【小林主査】  最初に申し上げましたけれども,どうしても返せない人というのはいますので,それはある程度,織り込まなくてはいけないという,そういう御趣旨だと思いますし,逆に申しますと,いつまでたっても返せない人がいて,その人たちがずっとたまっているという,そういう状況になっているということですね。

【月岡理事】  はい。

【小林主査】  ですから,延滞金をずっと掛けていっても,ほとんど回収できないということもありますので,その辺,もう少し考えられないかということで上限ということも申し上げたのですけれども。いずれにしても,これも重要な問題ですので,引き続き検討していきたいと思います。
 本日は非常に活発な議論を頂きましたので,もうほとんど時間が尽きてしまいました。先ほど申し上げましたようにすぐにできることと,ある程度,中長期的な問題というふうに分けまして,本日頂いた御意見をもとに,中間まとめについては私と事務局の方で修正していくということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【小林主査】  ありがとうございました。
 それでは,最終的なものについては,またこの会議自体はこれで終わりではなくて,まだ今年度ありますので,特に中長期的な課題については,これからもう少し議論していきたいと思います。
 今後の予定について,事務局からお願いいたします。

【田中課長補佐】  失礼いたします。
 活発な御議論,ありがとうございました。今後のスケジュール感でございますけれども,まず,本日頂いた御議論を踏まえて,ちょっと先生方ともまた御相談していきながら,まずは中間まとめを取りまとめるというところが一つあります。それ以降,先ほど主査の方からもありましたけれども,中長期的な課題について,頂いた議論をもう一度整理いたしまして,どういった段取りでやっていくのかということも検討した上で,改めて先生方には御連絡させていただきたいと考えてございます。まだ道半ばということでございますので,引き続きまた年度の後半も御協力いただければと思います。
 以上でございます。

【小林主査】  ありがとうございました。
 最後に,文部科学省の方から是非,まとめになりますので,一言お願いいたします。

【渡辺課長】  まとめるということではないのですけれども,私は本日初めてこの会議に参加させていただいて,形式的には中間まとめの議論を頂いたわけですけれども,いずれにしましても,これからむしろ議論が本格化していくということで,秋以降,また先生方の御意見,御尽力を賜りますよう,よろしくお願いいたします。
 本日はどうもありがとうございました。

【小林主査】  どうもありがとうございました。
 以上をもちまして,学生への経済的支援の在り方に関する検討会の第4回を終わります。
 委員の皆様,毎回,本当に活発な議論を頂きましてありがとうございます。事務局はそれだけとりまとめが大変だと思いますが,よろしくお願いします。
 どうもありがとうございました。


── 了 ──

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