資料2 柔軟な「所得連動返還型奨学金制度」の主な論点について

※本資料は、社会保障・税番号制度(以下「マイナンバー制度」という)の導入を前提として、現行の「所得連動返還型無利子奨学金制度」からより柔軟な「所得連動返還型奨学金制度」(以下「新制度」という。)を導入するに際し、勘案すべき論点をまとめたものである。

マイナンバー制度
・平成25年5月 関連法成立・公布
・平成29年よりマイナンバー制度開始(7月を目途に地方公共団体等との連携開始予定)
→柔軟な「所得連動返還型奨学金制度」の開始は平成30年度以降予定。

テーマ1 対象となる奨学金

論点:有利子奨学金を対象とすることについて
◎メリット:
・貸与を受ける学生全員が返還しやすい制度を利用できるため、奨学金の種別による不公平感がなくなる。

●デメリット:
・有利子奨学金の原資は財政融資資金でまかなっているが、新制度は卒業後低所得な者からの返還が減ることが予想されるため財政融資資金は償還確実性を求められることとの両立が求められる。さらに民間資金の調達に支障が生じるおそれがある。
・本人の所得が少ない場合、毎月の元金の減り方がこれまでよりも少なくなるため、利息負担が増える。

テーマ2 対象者

論点1:新制度への移行について(全員への適用を必須とするか)
◎メリット:
・全員に適用した場合、現行と同様、返還制度が一つであるため、利用者にとって分かりやすい。

●デメリット:
・返還段階にある者のマイナンバーの把握するための方法が、本人からの情報提供が基本となった場合、全員の把握が困難になるおそれがある。

論点2:既に返還を開始している者を対象とすること
◎メリット:
・導入時点で奨学金の返還に困っている者についても新制度の恩恵を受けられる。
●デメリット:
・新制度導入時点で返還段階にある者については、契約変更が必要となる(平成24年度末返還者数:約300万人)。

論点2-2:制度導入後の新規貸与者から適用すること
◎メリット:
・新制度の対象者全員のマイナンバーを確実に把握できる。
・新制度導入時点で返還段階にあれば新制度を適用しないため、契約変更をする必要がない。

●デメリット:
・新制度導入時点で返還者となっていれば新制度の恩恵を受けられないため、経済的に厳しい返還者の延滞状況が改善されない可能性あり。

テーマ3 返還開始の閾値

※現行の返還猶予制度の適用基準は本人年収が300万円以下。
論点:返還開始の所得金額の設定
◎メリット:
・一定金額以下の所得であれば返還しなくてよくなるため、将来の返還への不安が払拭される。

●デメリット:
・閾値の設定次第では、返還額がゼロとなる奨学生が多く発生し、奨学金事業全体の存続が危ぶまれる(事業を存続するための財政措置が必要)。
・「閾値以下の所得であれば奨学金を返さなくてもいい」という理解をされるおそれがある。

テーマ4 継続返還した者に対する免除

※諸外国では20年~25年継続して返還した者に対しては残債務の返還を免除
論点:継続返還期間の設定
◎メリット:
・事実上返還できない者に対して必要以上の回収コストをかける必要がない。
・きちんと返還を継続した者に対して免除することで返還のインセンティブ(一種の報奨金)を与える。

●デメリット:
・「きちんと継続して返還しているか」の見極めが難しく、運用次第で返還しない者によるモラルハザードが生ずるおそれがある。
・継続返還年数の設定次第では、返還免除となる返還者が多く発生し、奨学金事業全体の存続が危ぶまれる事業を存続するための財政措置が必要)。
・高収入が見込まれる高年齢者の残債務を免除することになる可能性がある。

その他のテーマ

論点:返還月額の設定

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高等教育局学生・留学生課