【資料1】第2回(平成25年5月15日開催)議論の主なポイント

学生への経済的支援の在り方に関する検討会
第3回(6月17日) 資料1

 

学生の経済的支援の在り方に関する検討会
第2回(平成25年5月15日開催)議論の主なポイント

 

事務局より、議題に沿って説明。委員による自由討議を行った。主な内容は以下のとおり。

  • (資料2 1 学生の置かれた経済的状況について)大学院生の論点を入れてほしい。大学院への進学率が下がってしまえば国の将来が厳しい。
  • 奨学金を返還できない人の大部分は就職の問題に起因する。地方の企業は優良な企業が多い。マッチングの支援にも取り組んでいただきたい。
  • 若者・女性フォーラムでミスマッチ解決のための提言がまとまる。経済全体の引き上げがない限りこの問題の根本的解決はない。
  • この問題は厚生労働省の施策とも重なる部分。
  • 給付型奨学金の制度設計について)具体的な制度設計の前に、そもそもなぜ政府が教育への支援をするのかを考えなければならない。所得格差による教育機会の格差の解消か(奨学の観点)、社会への外部効果の重視か(育英の観点)、どちらの目的でいくかで制度設計は変わる。理論的な整理が必要。必要経費の違いをどこまで奨学金に反映させるか。具体的には学部による差、国立、私立大学の授業料の差、自宅か自宅外かによる生活費の差が存在する。機関補助と個人補助という大枠で考えるべき。
  • 現在各国で問題となっているのは社会の中間層に経済的な負担が集中していること。
  • 私立大学では奨学金のファンドを設立、運用している事例も多い。そのような実態を調査、把握した上で制度設計の議論をしないといけない。
  • 国は広く薄く、大学独自や民間の奨学金はターゲットを絞って、などの役割分担になっているのではないか。
  • 専門学校の学生は4割くらいは高校卒業者以外の学び直しの人々。様々な背景のある人々を考慮した制度設計にしなければならない。
  • 資料2 2 学生への経済的支援の目指すべき方向性について)高等教育の無償化とあるが、一方で高校卒業後すぐに就職する人々も多い。公平性を維持するためには、さらに学びたいが経済的に困難を抱えている層を優先的に支援していかなければならない。まずは奨学的制度が必要ではないか。
  • 経済界の視点からは、学生に奨学金によって学修のインセンティブを与える、育英的制度が必要ではないか。
  • 学生に学修のインセンティブを与えるためには、奨学金制度の予見可能性の高い方が効果的。
  • 現在は大学では多様な人材を育成していく流れ。現行の奨学金制度は高校時代の成績を基準にしているため、時代の流れに逆行している。外部効果を期待できる人材を育成するためには成績だけを選考基準にしていたのではいけない。大学の入試が多様化していることにも対応する必要がある。
  • そのような観点からは、全国一律試験などではなく、各大学が推薦する仕組みが良い。ただし、その場合、各大学の主観的選考になってしまって良いのか。特に「給付」となると公平性を厳しく問われる。大学が社会から信頼されることが必要。アメリカでは大学ごとに基準を持っているが、日本から見るとかなり主観的な選考に思える。また大学の面接を導入すると大学側の事務量が増大し、負担が大きいのではないか。
  • 電通育英会の場合はコミュニケーション能力を重視しているため面接を行っている。返還免除の面接が最も充実している。各大学の学生課長は熱心なので、各大学が奨学金の選考基準に面接を導入しても問題ないのではないか。
  • 奨学金の貸し付け決定者と回収責任者が分離しているということ、すなわち貸し付け決定者の無責任が現在の奨学金回収率の悪化の原因になっている。地域貢献する人材など、大学間で連携して奨学金の面接審査を実施すればよい。
  • 例えばスポーツの学部や短大など、様々な学びの成果をどうはかるかのノウハウは各大学に散在しているので、大学が連合し、拠点を形成して審査基準を集約していけばよいのではないか。
  • 大学独自の奨学金で、基準もオープンにし、成績のみならず社会貢献もみて支給した例があるが、効果が高く、そうなると理解も得られる。
  • 透明性が鍵となる。
  • 特別貸与制度について)財源の問題等があるが、給付と貸与を組み合わせた特別貸与制度の検討はどうか。ドイツでは現行制度が2つを組み合わせたものとなっている。
  • 借りたものは返すという基本スタンスは残すべき。その上で努力した学生を免除する。
  • 以前の奨学金の特別貸与は入学前選考であった。インセンティブを付与するため入学後の選考にするべき。
  • 事後選考にすれば、在学中にスカラシップを得たことが学生の就職活動の武器となるのではないか。
  • 家庭へ安心を与えるためには入学時に奨学金の免除が予見されていることがやはり必要。
  • 所得連動返済型の無利子奨学金制度について)アメリカ、イギリスは奨学金返還時に基準として使う収入は本人所得であるが、日本の場合は家計を基準にしている。
  • 源泉徴収が可能であれば、JASSOの業務が軽減される。オーストラリアで導入したときは国税庁の説得が大変困難であったという。日本で導入されることになれば奨学金の回収率が改善する。
  • 教育的貧困とされる世帯は年収300~400万円の世帯。日本を最も支えている中間層を支援しなければならない。
  • 無利子だけでなく有利子も対象とすべきである。
  • 定年後の学生の扱いについては規定しておくべき。成績、収入ともに所得連動返済型の無利子奨学金制度の対象に該当してしまう。
  • (短期的な課題について)給付型奨学金はかなり複雑な問題である。平成26年度の予算要求につなげていけるような比較的短期的な論点を整理したい。奨学金返還に関する税控除は実現可能であるのか。
  • 税控除は低所得者に対しては効果が低いのではないか。
    →税控除は実現が厳しい。教育資金非課税措置は世代間移転による経済効果という議論から入っている。短期的にできる論点を次回までに整理していきたい。免除制度の拡大は予算要求につなげていきたい。(事務局)

以上

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