学校法人会計基準の在り方に関する検討会(平成24年度)(第3回) 議事録

1.日時

平成24年10月18日(木曜日)

2.場所

文部科学省3F2特別会議室(東館3階)

3.議題

  1. 学校法人会計基準の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

大橋委員、工藤委員、桑田委員、佐野委員、鈴木委員、徳田委員、高橋委員、森本委員

文部科学省

小松私学部長、牛尾参事官、西山学校法人経営指導室長、岸本私学経営支援企画室長 ほか

5.議事録

【大橋座長】

 それでは、始めさせていただきます。事務局から、資料2と資料3の説明をお願いいたします。

【田辺専門官】

 それでは、御説明させていただきます。

 最初に資料の2でございますけれども、「論点」、「目的」、以下「基本的な方向」というふうに書いてある部分ですが、赤字若しくは黒の斜線で引いてある箇所が、前回からの修正部分と見ていただければと思います。

 最初の「目的」でございますけれども、前回は補助金目的に情報公開目的もつけ加える形で御提示させていただいたところ、両方併存するのではないか、むしろこれからは情報公開についてより一層高めていくべきではないかという御意見等を、頂戴いたしましたので、このような表現に直させていただきました。

 読ませていただきます。「補助金の適正な配分という目的で制定された基準だが、過去にも外部報告として実際に利用されてきた」と、「近年、一般社会に対する説明責任が一層求められているため、学校法人会計基準の目的として、補助金の適正な配分と同様に、情報公開の観点から外部報告という目的をより一層明確にしてはどうか」と、こういうふうに変えさせていただき、目的が2個あるけれども、より情報公開の観点を明確にするということを書かせていただいたということでございます。

 以下、財務諸表についてですけれども、こちらに関しては、実際に資金収支計算書のイメージを見ながら御説明させていただくのがいいかなと思いますので、A3の財務諸表のイメージの方を見ていただきながら御説明させていただきます。

 1枚目の資金収支計算書については、前回ここまで議論が達しておりませんでしたので特に修正なく、2枚目、資料3-2真ん中の消費収支計算書のイメージというところからお話をさせていただきたいと思っております。

 まず大きなところから言いますと、現行は消費収支計算書となっている名称についてですけれども、委員の方から消費収支と資金収支、2つの収支計算書があって、それぞれがどうも区分がしにくいのではないかという意見等もあり、具体的に提案内容として変更というところにありますが、事業活動計算書という名称を使ってみてはどうか、今までの消費収支計算書にかわって事業活動計算書という様式に直してみてはどうかという意見がございましたので、この案についてまた今回でお諮りしたいというところでございます。

 それから次に、区分でございますけれども、前回は大きく言うと経常収支の部と特別収支の部があって、一番下に帰属収入、消費支出、基本金組入れ等が具体的に書いてありましたが、まず大きな区分をこんな形で、今、御覧いただいているような形で3つに大きく分けると、経常収支の部と特別収支の部と繰越し収支差額の部ということで、一番最後の紫の部分もちゃんと部として区分したらどうかという意見がございましたので、これを入れてみたところでございます。

 こうすることによって紫の部分より上が収支計算の具体的な中身になり、それ以降、繰越収支差額の部のところで収支計算が終わった後の貸借対照表まで至る過程が、ここの部分に整理されるということで、紫以前と以後が非常に区分しやすくなるのではないかということで、こういうふうにさせていただいたというところでございます。

 それから経常収支の部、特別収支の部で経常収支の中を事業収入、事業外収入というふうに分けておったところでございますけれども、この区分が非常に煩雑になってきて実務上対応するのが難しいのではないかという意見等を、頂戴したところでございます。これに関しましては、できるだけそれぞれの目的を明確にするという意味で今回、注をつけさせていただきました。

 経常収支の部の教育研究事業収入、事業支出の部分に関して吹き出しのような形で注をつけさせていただいていますが、教育研究事業収入・支出には付随事業、附属病院のような付随事業のようなものを、学校本体だけではなくて付随事業も含むし、収益事業、もともとこれは別会計でやっておりますけれども、そこから学校法人会計に寄附を入れた場合、収益事業から繰入収入として事業収入の中に含まれますが、これも除くものではないですし、前回御質問があった学校法人部門の収支に関しても、この教育研究事業収入の中に入るという定義をはっきり決めさせていただく、それプラスここに入るものは、下でこういう形で定義する事業外収支や特別収支に該当しないものが、ここに来るということで定義をさせていただければ、以前よりはある程度明確になるのではないかという考え方で提示をさせていただきました。

 それから次の事業外収入・事業外支出に関してですけれども、ここの範囲を広くしたり重くしたり、いろいろなやり方があろうかと思いますけれども、上の部分に付随事業やら収益事業やら学校法人部門をすべて含んだということもあって、ここの真ん中の緑の事業外収入の部分に関しては、資産運用に関する受取利息配当金、若しくは資金調達に係る支払利息などが、ここに入ってくるという整理にできればというふうに思っております。

 それから特別収支の部でございますけれども、これは経常的でないものが一般的に特別収支の部に入ってくるということなんですが、代表的な大項目のイメージで言うと、まず資産売却と資産処分、これは前回提示していたものと同じでございます。その下に前期損益修正額というふうに書かせていただいておりますけれども、企業のイメージでわかりやすいかと思って「損益」という表現にしていますが、正式に勘定科目に使うときは損益という言葉は使いませんので、前期収支修正差額とか前期決算修正差額とか、そのような学校に合った表現にここは変えたいと思います。イメージとしてわかりやすいのでこういう形にしてしまいましたが、ここは会計基準をつくる際には、もちろん変えさせていただいてつくろうというふうに思っております。

 それ以外の特別収支に入るかもしれないという想定として収入の方で考えられるものを、その他の特別収入というふうに置いて、例えば災害のようなものが起こったときにかかってくる収入や支出であるとか、施設設備寄附金とか補助金です。これに関してもなかなか使途は特定できない部分もあるかもしれませんが、募金趣意書等で明確にこれだけに使う等がはっきり記載されているもののみを、ここに入れるという形にすればそれほど混乱が起きないのではないか思います。これぐらいまで会計基準の方で詰めておいて、あと実務的な対応については会計基準以外で実務指針、Q&A等を、今後、会計士協会様と御相談しながらですけれども、つくっていってということも想定しながら考えていけば、ある程度勘定科目のターゲットの高さ、区分の難しさというのが、緩和できるのではないかということでイメージを出させていただいたものです。

 それからあと、一番下の繰越収支差額の部に関して前回は、いったん帰属収入の計を出して消費支出の計を出して帰属収支差額を出すということで、もう一回段階を踏むような収入の合計を出すようなことをやっておりましたが、これに関してはむしろ明瞭性を損なうといった意見が前回結構多かったように思いますので、計算書類の体系の中には帰属収入とか消費支出の収入支出の合計をいったん出すということはやめて、むしろ一番下に注として載せる、本編の中には入れずに注として収入の計、事業収入、事業外収入、特別収入の計、支出の事業支出、事業外支出、特別支出の計というような形で、注記させていただければいいのではないかというふうに考えました。

 もともと当初の案で帰属収入や消費支出の計を再掲しようと思った趣旨は、今、財務分析等で帰属収支差額などの記述を使っているときに、収入の計が表に出ていた方が割り算しやすいのではないかという趣旨で、計算書類の中に入れておったんですが、ただの財務分析のためであれば注記で出せば十分でございますので、こういう表現を使わせていただいた次第です。このような形で今回の消費収支計算書の新しいイメージをつくっていくと、消費収入とか消費支出という今まで使っていた言葉がどこにも出てこなくなります。そこで、消費収支という言葉にこだわる必要もなくなってくるのではないかということもあって、事業活動計算書という例えばほかの社会福祉法人などで使っている言葉であっても、こちらの方が実態をあらわすのではないかということで使わせていただいたものでございます。ここまでが消費収支計算書です。

【大橋座長】 

 説明はここまでにしましょうか。あとの2つはまた後ほど。

【田辺専門官】 

 そうですね。一個一個切った方がわかりやすいかもしれません。

【大橋座長】 

 じゃ、ここで切って。

 まず初めに資料の2です。それで特に目的のところの文章を少し見直しているということで、これでいくと補助金のことと情報公開の観点からの外部報告というのが、共に大事ですよという「目的も」というのだとちょっと付随的になっちゃうから、こういう形にしていただきました。こういうことじゃないかと思いますけれども、よろしいでしょうか。また後ほど意見があったら出していただいて結構です。

 それで、きょうは資料の3のまず消費収支計算書のイメージということで、事業活動計算書というふうにしてはどうかということで、資料3-2のような計算書を提案したいというか、案として出したいというふうに思っていますが、御意見をいただけますでしょうか。これを少しゆっくり議論して、それから先に行きたいと思います。

 この間、徳田委員もおっしゃっていたと思うんですけれども、事業外とそうじゃないのと区分するそのレベルがなるべく低くというか、なるべく実務上混乱しないようにということだったので、事業外の収支と特別収支というところはかなりそれなりに限定的に限って、それで経常のところは余り厳密な区分じゃなくて一緒に計算すれば、そんなに実務的にも混乱しないんじゃないかというような方向で、これをつくっていただいているかと思いますけれども、やはり現行のものからすれば、区分ができていますのでそれなりにわかりやすいと思います。

【徳田委員】 

 私が前回、垣根を低くしてほしいという御要望を申し上げましたけれども、非常にわかりやすくなってきたなというので、我々の負担もそれなりに少なくなってきたということで大変有り難いというように思っています。

 あとは細かい微調整になりますけれども、これは特別収支の並びで例えば施設設備寄附金とかというのを、そういうのがもし固定的ならば勘定科目として差額の上に入れると、そういうところで勘定科目として位置づけされたらどうかなというような、私はそういう気がいたします。

 ただ、災害関係というところが出てきますけれども、災害についての定義というものをある程度しておかないと、やはりちょっとどこまでが災害なのかということになろうかなとは思います。例えば私どもの大学ですと毎年雷が落ちて、建物と電子機器のいろいろなものが破損したりすると、これも自然災害といえば自然災害なんですけれども、ですからその辺のところの災害というものについての、やはり昨今の大規模災害とかたくさんございますけれども、その辺のところのある程度のガイドラインというものを示していただけると、事務的には有り難いのだろうなというふうなげがいたします。

 私としてはこれを見ての感想はそのようなところです。

【大橋座長】 

 ありがとうございます。

 高橋先生、毎年の雷の被害なんていうのは災害というふうに言う。

【高橋委員】 

 いろいろ議論があるかとは思いますけれども、感覚的には上の経常収支の部かなという感じはします。

【大橋座長】 

 毎年のね。

【徳田委員】 

 経常的な雷、北陸は冬は雷の通り道なんです。どんなにそういうことをやっても、なかなか自然相手にそういう技術的なところとかは対応できない。対応してもやはり常時落ちるというのが現状です。

【大橋座長】 

 その辺のところを含めて。

【徳田委員】 

 ですから例えば政府とか国とか地方公共団体が、その地域を何とかに指定したとか、何かわかりやすいようなそういうものを対象にするとかというのが、1つあろうかなというふうなげがしますけれども、その辺をやはりお考えいただければ有り難いなと思います。

【大橋座長】 

 ありがとうございます。

 何かほかにございますでしょうか。

 どうぞお願します。

【佐野委員】 

 今後の実務指針等の発信と併せて並行して考えていかないといけないと思うんですけれども、基本的に区分表示するということには賛成いたします。今、徳田委員の方からも御質問といいますか御意見がありましたように、言葉の定義をなさっていた諸通知、例えば近いところで、この本会の区分に関係するところでは、学校法人の活動というのは教育研究活動と、それから付随活動と収益事業活動があると、これは平成21年の私学行政課の通知で区分が出たと思うんです。その辺と今回の教育研究事業収入という言葉であらわしたこの部分との差であるとかその辺を踏まえて、実務上混乱を来さないような何らかの手当てが欲しいというふうに思います。

 それと、今御提示いただいているのは、いわゆる現在の大科目区分をイメージしたものが御提示されていますけれども、今議論するのは表題の方だけでしょうか、それとも区分の方、中身も御意見申し上げてよろしいんでしょうか。

【大橋座長】 

 ええ、一緒にどうぞ。

【佐野委員】 

 それでは申します。この辺のところのスタンスで大分変わってくると思うんです。これに付随する例えば附属明細表があるのかないのか、それを想定して今、大科目を表示なさっているのか、単にこの会議で見やすいために大科目になさっているのか、その辺にもよると思うんですけれども、やはり最初の目的のところでお話が出ました補助金の適正な配分と、情報公開の観点からの外部報告という目的、これは天びんにかけて同じなのかどうかというのは、非常に問題があろうかと思うんですけれども、まず外部報告ということを念頭に置くんであれば、これだけでは情報は多分足りないんだろうというふうに思いますので、今で言いますところの学校法人会計基準の別表で手当てしている科目、これをどこまで今回の会計基準で落とし込むのか、小科目に該当するところは実務指針に落とすのかとか、その辺を並行して御議論なりしていただかないと、会計基準が出た後、さあ、どうしようかといったときに、この小科目は経常なのか経常外なのか、その辺非常に混乱すると思いますので、その辺も問題点の指摘をどんどん出されて、しかるべきところで検討を進めてはいかがかなというふうに思います。

 それと、管理経費の中で一番最近の参事官通知の中で、デリバティブ運用損について特段の明示をして管理経費で処理するとされたわけですけれども、この辺は今回の御提示案では整理されているのか教えていただければというふうに思います。

 それから、経常かそれ以外かという意味では大きな意味での2区分、それから経常をいわゆる通常の教育研究活動と、資金運用若しくは資産調達に分けたのはよろしいかと思うんですけれども、施設設備に対する資金調達、これは寄附も含めてですが、これを経常外、いわゆる特別収支と見るのかどうかと、この辺は私学さんが寄附、いわゆる特別財源を獲得しようという姿勢の中で、特別というくくりになさるのかどうか、先ほど雷が経常的に来るところは上ではないかというお話もありましたが、経年的に父母会であるとか後援会から寄附を受けているのは上なのか下なのか、その辺も整理が必要なのかなというふうに思いました。

 以上です。

【大橋座長】 

 そのとおりよくわかります。この形で基本的にいくとしても、この後の作業が詰まっていかないといけないなという感じがしますけれども、その辺はどうですか。

【田辺専門官】 

 もちろんこれは検討会でございますので、委員の皆様の意見を聞いた上で判断することでございますけれども、例えば次回、部門別についてもある程度イメージを出していくとか、情報公開についてもある程度論点を整理させていただくということを、次回させていただこうかなと思っておりますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

【大橋座長】 

 そうなりますかね。

【田辺専門官】 

 その辺の内訳を、基本的には内訳表は同じレベルまでは情報公開としてつくっていくんだろうなと、会計基準上はですね。今の消費収支計算書、新しく事業活動計算書になれば学校単位までは恐らくつくっていくんだろうとか、そういう論点を整理したものを、次回また提示させていただければというふうに思っています。それが1つ目です。

 あと大科目、確かに提示しているのはわかりやすさという観点から大科目だけにしたんですけれども、当然小科目についても会計基準を出す際はつくっていかなければなりませんし、それに必要な最低限のレベルの解説はこちらでつけさせていただく、若しくは役割分担をして実務指針にやらせていただくあたりは、公認会計士協会さんと十分議論をさせていただいた上で、今後検討させていただければというふうに思っております。

 あとは寄附の話ですけれども、これもかなり実務指針的なものかもしれませんが、ランニング的に毎期もらう寄附で、使途特定がなければ当然上の方の経常収支に入っていくということと、特別収支の方は施設に使うということで趣意書にはっきり書いてあって、それに使っているものだけに多分限定されるんじゃないかなというような区分だけを今イメージしております。詳細についてはまた検討させていただければと思っております。

 災害についても、どの辺までかというのはいろいろあるかと思いますので実務指針で十分検討させてください。

 最後にデリバティブの話でございますけれども、いったん確かに参事官通知で出させていただいたんですが、今までは特別損益という収支の部分がなかったということもあって、恐らくまだ中で整理をしておりませんけれども、特別収支の部の方に移行するのではないかというふうに考えてございます。

【大橋座長】 

 ありがとうございます。

【桑田委員】 

 基本的には私もこれでそれほど問題ないと思うのですけれども、1つは平成26年4月から実施ということなので、これを見ると当然システムの変更が考えられますので、それを26年4月に本当に守ってこれからいくスケジュールになるかということと、もう一つは、消費収支計算書が事業活動計算書という名前に変わるので、私みたいに何十年もこれでやっていた人間は、この会議でぱっと決まるのでよろしいかどうかということ、あともう一つは、先ほど聞き漏らしたのかもしれないですけれども、特別収支の部のところで前期損益修正額というのがあったのですが、これは具体的に何を示しているのかもう一度御説明いただきたいんです。 以上です。

【大橋座長】 

 はい、お願いします。

【田辺専門官】 

 まず施行の期限といいますか時期の問題ですけれども、1回目の検討会の資料の中に、少なくとも1年程度の準備期間を経てというふうになっておりますので、会計の内容によってはシステム対応、実務が間に合わないということであれば、1年程度と書いてありますので1年がマストではなく、柔軟にこのあたりについては実務側の意見等も十分聞いて、今後柔軟に対応していきたいというふうに思っています。1年で決まっているということではありません。

 それから、次、科目の名前でしたでしょうか、前期損益修正。

【桑田委員】 

 まず計算書の名前です。

【田辺専門官】 

 計算書の名前、事業活動計算書という言葉ですよね。これをいかに理解してもらっていくかということなんですけれども、確かに資金収支と消費収支だと、どちらもお金の流れをあらわすようなものになってしまっているので、今回、片方は活動をあらわす計算書類だということで事業活動にさせていただいたんですが、もちろん初めて提示するものですし、いろいろな方々の意見を聞いた上で今後考えていかなきゃならないなということについては、我々も承知しているところでございます。最終的にはパブコメをとって国民の皆様の意見も聞くということに、会計基準をつくるときにはなりますので、一定の手続はあるということだと思います。

 それから、前期損益修正の部分でございますけれども、イメージとしては計算の間違いみたいなもの、減価償却をし過ぎてしまったとか、人件費を出し過ぎてしまって翌年度に調整するみたいなもの、本来であれば前期の損益に入れるべきものなんだけれども、間違ってしまったものに関しては、別の勘定科目を設けて経常的なものと区別できるようにするという趣旨が、この前期損益修正損とか益(ますます)のイメージでございます。

【大橋座長】 

 よろしいでしょうか。

【桑田委員】 

 はい。

【工藤委員】 

 私も出されたもので基本的に賛成であります。名称については、今もおっしゃったように学校会計に携わっている者は長い間、資金収支、消費収支でやってきましたので、一つのなじんでいる部分はあるんですが、逆に名前が変わることによって認識も変わるのかなという部分もあるので、やはりその目的がもともとは補助金をもらうときにつくられたものですが、その部分がある程度情報公開というふうな形の観点にも力点を置くんだということであれば、思い切って変えることも1つかなというふうに思っています。

 それと、やはり特別収支の部分についての解釈がいろいろあろうかなというふうに思いますので、そこの部分についてのできるだけわかりやすい説明といいますか、今の現行の資金収支、消費収支、そういったものに関しても小さな法人はなかなかつくれないところすら、神奈川県なんかでもきのう県のラウンジに行って聞いたら、なかなかつくることは極めて困難なところもあると、いわゆる自分たちだけではなかなか少人数でできないようなところもあるということですから、できるだけ簡単に説明ができるようなものにして県レベルに落としてほしいと、やはりそれぞれの都道府県単位でもって法人別に講習会等を、やっていく必要があるんだろうなというふうに言っていましたんで、そのときにできる限り平易なものにしてほしいというようなことを、私の所属する神奈川県なども課長が言っておりましたので、その部分をお伝えしておこうかなというふうに思います。

【大橋座長】 

 はい、どうぞ。

【森本委員】 

 システム変更の話が今ちょっと出ましたけれども、小さいところで言いますとシステムを変えること自体が非常に困難なんです。金が出てこないというのもあれば、新しい考え方をどうするのか、担当者の頭の中がまず変わらないということがあるので、時間が解決する部分は確かにあります。

 それで、私が前もお話ししたように、従来の形の消費収支計算書をつくっておいて、わかっている人間ばかりで今度は右側の色つきの方に変えられるような流れにしておけば、システムを変えるところは変えていいんです。変えないところは従来どおりやっておいて手作業で変えて、要するに右のフォーマットにはまればいいということであればそれはいいと、多分そのうちにシステムの入れかえをするときがあったら、あえて古いのを入れるんじゃなくて新しいのに当然変えてくるでしょうから、そういうような、表面上は明らかに変わって見えるけれども、中身は順番の書き方を変えたぐらいになっていた方が対応はしやすいと思います。結果的には右に変わってくるのは私は当然だろうと思います。

【大橋座長】 

 従来のものから右の方に変わっていくというのは、そんなに基本的な考え方が変わるというよりは、今御指摘があったように従来のものができて、それから右のものにつくりかえられる、そういうレベルの変更じゃないかと思いますけれども、やっぱり大学、学校の私学の会計もそれなりに社会的な対応をしていかなきゃいけないから、従来どおりのべたべたと科目を並べて、それで外部報告というわけにはちょっといかないだろうなというふうに思っていますけれども、高橋先生、何か。

【高橋委員】 

 私も基本的にこの区分で賛成でございます。前回と比べても整理ができてよかったんではないかと。整理ができたというのは、会計実務上あるいは会計監査をする上でも、区分の問題という部分の問題を、かなり軽減できた区分けになっているんではないかなということで、ここで言う緑の部分とオレンジ色の部分が、比較的というかかなり明確に提示されてきてよかったんではないかなというふうに思います。

 若干どう考えるべきかなと思う点に関しては、紫の部分も整理されたんですけれども、注記で収入合計と支出合計というものを出す形で財務分析上も便利であるというお話もあったんですが、これは従来の消費収支差額のことは全く考慮しなくていいのかなというのは、若干疑問といいますか、検討しなければいけないんではないかなと思います。

 すなわち基本金組入れ、基本金を残すという前提であれば基本金組入れがあるわけで、基本金組入れ額はわかるんですけれども、当年度収支差額から基本金組入れを引くということは、基本金の概念を重視する立場からはどうなんだろうかということになるわけで、そちらの方も基本金を重視する考え方も残すとすれば、例えば注記の方でもうちょっと更に対応を、注3みたいなのを加えるとかいうこともあるのかなと思って見ています。

【大橋座長】 

 なるほど。

 お願いします。

【徳田委員】 

 基本金の概念は、帰属収入から引くから差額から引くという、大きく変わるということで、やっぱり変わるということに対してしっかりした発言、そういった説明は必要だろうというふうに思いますし、基本金の組入れの現在における組入れ計画というのは、これはそのまま継続するという考え方ですね。現在の基本金の組入れ計画。

【大橋座長】 

 考え方は同じ。

【徳田委員】 

 ということで、経営計画の達成において先に引くか後で引くか、そういう意味での頭の切りかえも必要になってくるのかなというふうに思っています。前回お話をいたしましたように、基本金取崩しというのは平成17年に大幅に変わりましたので、そういう意味においての基本金というものに対しての仕組みが、少し変わってもいいのかなというのは私は感じます。

 それから、先ほどの件で前回も言いましたけれども、基本金というのは基本的には取りかえ更新ということで、イコールであれば基本金組入れというのは基本的には中長期で見れば発生しないと。それから土地については、今はもう設置基準が学生1人当たり10平米ですから以前の基準ではないということで、基本金組入れというのは、これから本当に土地というのが、どれくらいの学校法人さんが売却してくるのか、これはちょっと疑問のあるところです。

 そこで残っているのは前回も指摘したのが図書です。これについて今後どうするか、こういった疑問を出す必要はないんですけれども、施行するまでの間において図書の固定資産をどうするのかということを、やはりある程度せっかく変えるんであれば図書も今度は、今回はしなくていいんですけれども、施行するまでに少しどうするのかということを考えていただくと有り難いなと、現状は図書は償却しませんので、ですからこの辺のところをどうするのかというところをやらないと本当の経常収支の部というのは少し、特に大学法人は前も言いましたようにやっぱり図書というのは、教育研究には必要欠くべからざるものですから、その辺についてはやはりスムーズに予算立てをしながら購入できるような、この中の位置づけにする必要があるんではないかなというふうに思っています。

【大橋座長】 

 ありがとうございます。

 鈴木委員、お願いします。

【鈴木委員】 

 外部にいる者にとり随分わかりやすくなったというのが正直な意見です。ただ、今お話を聞いていて少し思いましたのは、例えばデリバティブをどのように計上するかという話です。これは単純に全て特別収支に計上すれば良いかというとそうでもないだろうということです。要すれば事業外収支と特別収支には性格的な違いがあるわけで、デリバティブの中にもそういうふうな違いがあるわけですから、それに相応して全く特別のものと考えるか、それとも普通の運用の一形態と考えるかで、区分の仕方が違ってくるかなという気がします。私はデリバティブが普通の運用の一形態になりつつある面もあると考えますので、おのずと区分して考えるべき部分があるのかなというふうに思います。

 それから繰越収支差額の部の考え方なんですが、後ほど議論になる貸借対照表のところで申し上げようと思っていましたが、経営におけるリスクマネジメントの考え方からしますと、リスクをどれだけとれるか、体力があるかを判定する場合、通常自己資本のところで見るというのが、一般的な考え方でありまして、そういうふうな意味で言えば繰越収支差額というのは、これは単純な結果ではなくて、極めて戦略的な意味合いというのが今強まってきていると思われますので、そうした見地も踏まえて考慮するべきところがあるのではないかというふうな感じがします。

【大橋座長】 

 ありがとうございました。

 事業活動計算書という形になっていますが、大学にいるというと消費収支計算書好きだなという感じがして、僕もこれを聞いたときに、やっぱり消費収支計算書だよと言っちゃったんですけれども、でも、消費収支という言葉が出てこないですね。一般に報告するなら事業活動でしょうねという、そこはやっぱり踏み切らないとこの議論は進んでいかないなというふうに思いますけれども、桑田委員、どうでしょうか。

【桑田委員】 

 私もずっと消費収支になれていたのですぐには思いつかないですが、あともう一つは当年度消費収支、いわゆる前で言えば帰属収支差額が出て、それがマイナスだったのに基本金を組み入れられるのかという議論になると思います。その辺の説明というのは非常に難しくて、ここが赤なのになぜ基本金を組み入れるのだというところに対しての現段階でのお考えがあれば、御説明していただきたいのが1点と、もう一つは、今までの現行の消費収支計算書というのは予算との対比だったのですけれども、今回の事業活動計算書というのは、果たして今までどおり予算との対比にするのか単独に数字が出てくるのかと、以上2点です。

【大橋座長】 

 どうですか。お願いします。

【田辺専門官】 

 最初の方の論点ですけれども、収支差額が例えばゼロだとかマイナスだとかというレベルになったときに、基本金組入れ額が入れられるのかどうかという話にも、確かにこの表だけ見てしまうとそうなってしまいますけれども、特に収支差額の範囲内でしか入れられないということはないんじゃないかと思っています。今までであったとしても、今までであれば帰属収入から引くという形ですが、当年度の帰属収入だけにその帰属収入という定義が、限定されているものではないというふうに解釈されていると思いますので、収支差額に関しても当年度の収支差額だけではなく、もちろん前年度から蓄積されてきた収支差額も利用し繰入も可能ですし、むしろ基本金繰り入れの概念は、収支差というよりも維持すべき財産の額が決まって、それに応じて繰り入れていくという考え方を維持するんであれば、収支差額の額ではないんじゃないかなというふうに考えてございます。それが1つ目です。

 次の計算書の様式に関してですけれども、これは先ほどの部門別の話や科目と同様に、次回御提案させていただければというふうに思っておりますけれども、予算管理制度自体が学校会計にとって非常に重要な制度だということは我々も認識してございますので、現行の制度のよさを生かしながら、次回御提案をさせていただければなというふうに思っております。

【大橋座長】 

 基本金の組入れ額は、当年度の収支によってだけ判断されるというよりは、もう少し長期的な保全すべき財産の確保というかそういう観点だから、マイナスからまた引くのかというのは普通考えるとおかしいかもわからないけれども、この性格上、基本金の組入れ額という性格の上からいうと、マイナスから引くということもあるかなというように私は思いますけどね。

 ただ、形式的に当年度マイナスで当年度組み入れるんだよねという、そのちょっとすっきりしないところは残りますけれども、この基本金の組入れからいうとそんなに変ではないというか、これでいいんじゃないかというふうに思いますが、どうですか。すみません、突然。

【佐野委員】 

 基本金組入れの考えは計算上差し引くというよりも、予算管理していく上で帰属収入から前もって差し引いて、残りを消費支出に充てて均衡予算を立てようと、そうすることによって内部留保がたまりますよということから来ているので、今後この形になったときには基本金組入れが学校法人の経営、今後の設備維持等にとってどういう役割を果たすかというのを、きちんと御説明いただけるような場をつくらないと、今までどおりで見てしまうとマイナスから引くことに対する抵抗感というのは、非常に社会から受けると思うんです。

 やっぱりそれは今、座長がおっしゃったように、当年度の帰属収入に限らず学校の負債とならない資金で購入したもの、取得したものが基本金に入ると、あとはバランスの問題だということで整理されていたわけですから、その辺の説明の仕方をきちんと整理なさらないと、マイナスから基本金を入れる学校は何だという御批判が出るのかなという気がいたします。

 ちょっと話がそれますけれども、先ほど現行の消費収支計算書から組みかえる方式という話がありましたが、それは非常にテクニックとして簡単でいいと思うんですけれども、やっぱり概念が変わるということはあると思うんです。

【大橋座長】 

 ごもっともです。

【佐野委員】 

 帰属収入をべたっと書いて基本金を組み入れて、消費支出とバランスをとろうということは、結果はどうだったのかということではなくて結果がバランスするように、プラ・マイ・ゼロになるように消費支出予算を立てようということに意義があったわけですから、それが今度の決算書類の様式ではそうではなくて区分利益といいますか、区分収支差額を出して説明しようというところに軸足が移るので、その辺は概念も変わるということを、きちんと説明していかないとちぐはぐになってしまうのかなという気がいたします。

【大橋座長】 

 それはよくわかります。

 どうぞ、お願いします。

【徳田委員】 

 私は森本委員のおっしゃっているのは、移行措置をもう少しということだろうと思うんです。ですから全面的にすぐ切りかえをなかなかできない、しかし、今言う事業活動計算書はつくります。しかし、そのプロセスとして例えば3年なり3年とかそういう期間の間は、従来の中で決算の金額をこのように置きかえてつくる。もちろん予算書は多分この事業活動計算書ではおつくりになられると思いますけれども、これの実績をつくっていくプロセスについて少し時間的猶予を頂きたいというふうに、私はかねてより受け取っていたものですから。

【森本委員】 

 考え方の問題ですけどね。一つの年単位の時間があれば対応するでしょうということと、小さいところですと消費収支計算書の意味すら全くわかっていないところが現にいますから、組みかわったらまた3つに分けて、これをどうするのかと言われて結局何となく、前にも言ったかもしれませんけれども、「文部科学省から言われたからそうやっているんです」、「ああ、そう」ということで終わるんじゃないかというところが結構あるような気がします。

 それから、しゃべったついでにもう一つ言いますと、当年度の収支差額から基本金に組み入れるときにマイナスからマイナスはどうかというのは、私はマイナスから引くと考えちゃいけないんで、マイナスにマイナスを加えるだけだからマイナスがどんどんふえてくるから、そもそもよくないよということをわからせるわけで、実は現在の消費収支計算書で言うと前年度繰越消費支出超過になっているところが、当年度でもって基本金を組み入れたらマイナスになっちゃったということは当然起こり得るわけですよね。現在も支出超過が年々ふえていきますというところはありますから、そうなってくると、これでみんな往生するとすれば数字は変わらないけれども、見え方としては一段と特徴的に見えるから、これはうちはかなりまずいんじゃないのかということがわかって、その意味ではむしろいいんじゃないかと思いますけどね。

【大橋座長】 

 事業活動計算書、これにまた戻りたいと思いますが、そろそろこういう方向で、また後で議論するにしても、とりあえずこういう方向でいきましょうかというようなことぐらいは確認しておかないと、なかなか次に行けないと、ちょっと後ろ髪を、余り髪はないんですけれども、引かれる思いですけれども、何か度々聞いて申し訳ないですが、桑田委員、どうですか。

【桑田委員】   私も先ほど御質問したのですけれども、これはさっきお答えいただいたとおり、パブリックコメント等を広く募って、やっぱりこの場で決めるのではなくて少し御意見を伺った方がいいと、私は何となく事業活動計算書という名称に変わると今までの消費収支という名称は、ちょっとアカデミックな感じがしますので、何となく残念です。

【大橋座長】 

 そうかな。

【桑田委員】 

 わかりやすくはなっていますので、御意見を広く伺うということで。

【大橋座長】 

 そうですね。もちろんそういうスタンスで議論していただいているんですけれども、全体として区分して、それで紫のところに行って注記をしてというような方向で考えたら、少し考え方も変えて新しい方向へ進んでいけたらなというふうに思いますけれども、ほかに御意見ありますでしょうか。

 どうぞお願します。

【鈴木委員】 

 単純な質問なんですが、管理会計という観点からしまして、今までの消費収支計算書というのを使って、どのようにやってこられたのかというふうな単純な疑問なんですが、どうでしょうか。逆説的に言いますと、事業活動計算書の案のとおりになって初めて、かなり戦略的な描き方が可能になるのかなというふうなげがするのですが。

【大橋座長】 

 どうでしょうか。

【徳田委員】 

 管理会計というのは、最近いろいろな形で学校会計基準を運営するにおいて、補完するような意味で管理会計が使われているというふうに私なんかは、経費をどちらかというと目的別、業務別にそれぞれの学校法人さんがとらえていくというのが、一つの管理体系のやり方だろうと思います。

 それによってどこにどういう経費がどのような形で使われているかというのが、学校会計基準では見えない部分を補完すると、最近はコンピューターの利用ということで部門、科目に対する目的別という、どちらかというと三次元的な要素で物を見ていくというのが、これから学校法人にも求められているんではないかなというふうなげがする。ですから管理会計をメーンにするとこの勘定科目ではなかなか必要がなくなってくるということで、この辺は上手につき合っていくしかないのかなというふうに私は思っています。

【大橋座長】 

 ありがとうございます。

 この後、特に赤い字で四角に入れていただいた中身、この辺を少し詰めていかなければいけないし、今出されましたこの後更に小さな科目になっていくときに、どういうふうに振り分けをするかというようなことが出てくると思います。それも少したたき台、案みたいなのをつくっていただいて、また議論したいと思います。この3-2はこれぐらいにして先に進みたいと思います。

 それで、3-3の貸借対照表です。これは特に特定資産のところです。これを開いていただいて何かございますでしょうか。前のですと、その他固定資産という中に入っていたのを、特定資産というふうな形でこれだけ取り出した形になっています。

【田辺専門官】 

 そうしましたら座長、すみません、変更点について一言説明させていただいてから。

【大橋座長】 

 そうですね。その辺はさっき説明を、お願いします。

【田辺専門官】 

 途中で遮ってしまいましてすみません。

 前回の意見を踏まえまして今、座長の方からもありましたけれども、まず資産の部に関しては、今まで固定資産を有形固定資産とその他だけに2つに区分しておったところですけれども、委員の御指摘があったとおり、そのような固定資産の中にはかなりの割合で学校法人の場合に目的を持った預金や資産が入ってくる、いわゆる特定資産という項目だと思いますが、これがある程度の規模があるんであれば、その他にごちゃまぜにするよりも別立てにした方がいいのではないかという御主張がありましたので、それを生かすという意味で右側の固定資産の部を有形固定資産、特定資産、その他の固定資産というふうに分ける案を、提示してみたところでございます。

 特定資産の内訳に関してですけれども、2号基本金引当資産というのを設けるということと、それ以外の減価償却であるとか施設設備は、新たに2号を設けたとしても否定するわけではないということの趣旨はあるんですけれども、学校の特定資産をどんなものを設けるのかということは、ある程度学校法人の経営戦略という視点が出てまいりますので、余り限定的に書くよりも例示的なもの、絶対的に設けるものだけ書いておいた方がいいのではないかという御指摘も頂きましたので、ここにはとりあえず左との比較の関係で退職とか減価償却も書いてありますが、マストで必ず会計基準上設けなきゃならないのは、第2号基本金と第3号基本金を書いておいて、あとは何とかかんとか特定資産みたいな今の会計基準のような表記に、多分会計基準をつくるときにはなっていくのではないかなというふうに考えています。

 それから次の負債の部は変更がなくて、基本金と収支差額を足したところで純資産の部というところ、これは前回同様の御提案なんですけれども、資産負債差額という表現の仕方もあるのではないかという御提案も頂いたところなんですが、やはりほかの会計基準等との比較の考え方からいえば純資産という言葉の方が、より明確なのではないかというふうに整理しまして、ここはとりあえず純資産という表現のまま置かせていただいてございます。

 一番議論が出たのが基本金の中の第4号基本金の部分でございまして、そういう意味で(P)、ペンディングという意味でPをつけさせていただいたところでございます。前回、否定的な意見が若干多かったということで、ペンディングということで書かせていただいたところでございますけれども、この検討会に至るまでの検討会の中でもいろいろな方からの御意見があり、まずこの4号基本金の考え方に関してなんですけれども、事務局としましてはこんなふうに考えておりますというのを、ちょっとお話しさせていただければなというふうに思っております。

 基本金の概念は、学校法人を永続的に維持するために必要な資産の額を金額的に決めて、その分を除いてちゃんと収支が長期的にバランスするかを見る構造だと、1号基本金は土地や建物、2号は1号の先行組入、3号はファンドであると、ある程度物がそれぞれ見えてくる部分ですけれども、4号は支払資金ということで、ほかのものとちょっと性格が違うんじゃないかという意見が前回出ていたかと思いますが、学校法人を永続的に運営するということを考えていったときに、一定額の運営資金を持つということも多分重要なんじゃないかなということがあります。

 特に今、私学を取り巻く経営環境は非常に厳しくなってきているこの時期に、いったん支払資金を持っておくという趣旨を示す第4号基本金のようなものを落とすということになりますと、変なメッセージを対外的に与えてしまうんじゃないかと、支払資金を持たなくていいんじゃないかといった変なメッセージを与えてしまうんじゃないかという危惧もありますので、今の段階で落とすということについては積極的にできないんじゃないかという意見を、事務局としては持っておるというところでございます。これについていろいろ御助言、御意見をいただければというふうに思ってございます。

 変更した部分についてはその2点です。特定資産と4号の部分が一番大きな論点だったんじゃないかと。例えば第4号基本金を置いたときに一つの論点として言われておったのは、2号とか3号は対応する資産があるからよりわかりやすいんだけれども、4号で支払資金を留保するというんであればその対応する特定資産をどこか、流用なのか補てんなのか微妙ですけれども、何らかの形でお金を留保する仕組みも考えた方がいいのではないかという意見もございました。

 これについても我々としても、どんな対策が一番ベストなのか考えていかなきゃいけないと思っておりますので、まずは4号基本金自体は余り落としたくないというところと、それを担保するためにどうしたらいいのかということは、いろいろこれから私どもとしても考えていかなきゃならないのかなというふうに思っているところでございます。

【大橋座長】 

 わかりました。ありがとうございます。

 じゃ、まず上の特定資産、そのところから議論をしていきたいと思います。これはこの間出されていました意見を反映して、こういう形でまとめたらどうかということで出させていただいています。これは前回かなり御意見が出ていましたのでよろしいでしょうか。

 どうぞお願します。

【佐野委員】 

 細かいことで恐縮ですけれども、特定資産、先ほど御説明がありました必ず持っていなきゃいけない2号、3号を入れたということであれば、2号、3号を上に持ってきていただいて、学校の任意性の高い退職給与等は、下に表記していただけるとわかりやすいのかなという気がいたします。

 それとあわせてですけれども、附属明細表的なもの、注記でもいいんですけれども、2号、3号については特定資産の中身のわかる別表をつけるようなことも、前提にお考えいただければというふうに思っております。

 それから、これは今後定義がつくのか運用に任せるのかもあろうかと思いますけれども、減価償却引当特定資産につきましては、実務上の利用勝手が各学校によって違うというのが現状でございますので、もし例示に出すんであればその辺、勘定科目の説明について文科省さんがお考えを明示していただきたいというふうに思っております。

 特定資産は以上です。

【大橋座長】 

 ありがとうございます。

【佐野委員】 

 それと2号、3号は引当資産ということで「特定」の二文字を除いたという理解でよろしいでしょうか。

【田辺専門官】 

 特に今の会計基準の3号を変更するイメージでなくつけたので、正確に言えば確かに第3号基本金引当資産という表現になりますので、きちんとした定義で書いていませんでしたので、正確に書くと第3号基本金引当資産という表現になっていくので、2号も同じように第2号基本金引当資産という名称になるかと思います。

【大橋座長】 

 それでいいんですか。違うよね。

【佐野委員】 

 そもそも今の基準で何で3号は、引当特定資産という「特定」の二文字が入っていなかったのでしょうか。

【田辺専門官】 

 もともとの会計基準の趣旨でございますか。

【佐野委員】 

 はい。

【田辺専門官】 

 なぜ特定を入れていなかったかですか。なるほど、そうですね。すみません、不勉強で。そのあたりは確認させていただいて、また回答させていただきます。

【森本委員】 

 ちょっといいですか。

【大橋座長】 

 はい、お願いします。

【森本委員】 

 細かいというか変な話なんですけれども、そこの言葉遣いについては前から何となくおかしいなとは思っていたんです。今回、特定資産という言葉でまとめるのであれば、2号、3号の基本金のところも「引当」の後に「特定」と入れちゃった方が、退職給与の方は引当特定資産だけれども、基本金の方は引当資産であって特定はしていないよというような意味になるけれども、実際にはこれは特定、例えば定期預金のうちのこれだとか、有価証券のうちのこれだとかいうものが特定するはずなので、言葉がそろっている方が余分なことを考えなくて済むんじゃないでしょうか。

【大橋座長】 

 そういうことでしょうね。

【田辺専門官】 

 佐野先生と森本先生から頂いた意見、もともとの趣旨も踏まえてこのあたりは整理させていただきます。ありがとうございます。

【大橋座長】 

 左にある施設設備引当特定資産、これもここに入ってもいいと、例示されていないというだけですね。

【田辺専門官】 

 そうですね。いろいろな特定資産の種類があると思って、やはり学校法人の経営戦略に倣っていきますので、とりあえず比較の意味で置いただけでございます。

【大橋座長】 

 ありがとうございます。

 それでは、よろしいでしょうか。下の基本金のところへ行きたいと思います。それで第1、第2、第3はいいんですが、はっきりしていて維持すべき財産としてこういうものが決定しているということなんですけれども、その1、2、3の延長でいくと第4については、これは維持すべき財産というか資産とはちょっと違うよねというようなことで、今まで基本金をきちっと概念として確立して守ろうとすると、ちょっと中身が違うものは外した方がいいんじゃないかというような意見もあったんですけれども、逆にこれを1、2、3と同じように大学の運営上必要な基金といいますか資金として、きちっと確保していかなきゃいけませんよというような運転資金と支払い準備の資金というようなこととは、もう少し進めてもう一度位置づけ直さないと基本金、4番目として入りにくいかなというふうに思うんですけれども、それで、こういう時勢ですからきちっと支払資金、大学にとって確保すべき資産というか資金、それをここに4号として新しく概念づけをして、位置づけをして入れていくということはあるんじゃないかなと思うんですけれども、今までのままですとやっぱりちょっと違うかなという感じがしますが、その辺の議論を少ししていただいて、今の大学の置かれている状況も考えながら、この4号基本金をどうするかということを議論していただければというふうに思います。

 鈴木委員、お願いします。

【鈴木委員】 

 先ほどちょっと言いかけたんですが、経営の世界から見ますと、こういう組織のゴーイングコンサーンの前提として、まずその体力を見るわけです。それで体力を見るときにどこを見るのかといえば純資産のところをまず見ます。期間収益力というのも当然大事なポイントですが、バランスシートのところでは、そこのところを純資産で見ます。したがいましてここで純資産という言葉になったということは、我々からしますととてもわかりやすくなったと評価できます。

 それから、そうした意味で、体力には、先行きどういう経営をしていくのかという戦略的な位置づけがあるはずですので、そういうものが外から簡単に見えるということで第4号基本金というのは非常にわかりやすい。例えば一般の企業会計で言えば、利益準備金とか資本準備金とかに該当するのかなと思うのですが、いずれかの方法でこの純資産を厚くしておくことが、ゴーイングコンサーンの体力を強めて発展的な経営を可能にしていくというふうに考えられますので、これは大事なところなのではないかという気がいたしました。

 実例を挙げますと、先ほどデリバティブの話が出ましたのでこれを挙げますと、数年前に大分失敗なされた大学が多くいろいろ問題になりましたが、失敗したことは問題ではないと言うつもりはないですが、それよりも内部統制がきちっと確保された上での失敗なのか、あるいは体力をきちっと確保した中での失敗なのかということの方がはるかに重要です。この2つの条件がクリアされていた上での失敗であれば、しかられるかもしれませんけれども、失敗はあり得べきものでありますので、それはある程度許容されてしかるべき話なのではないかなと思うわけです。

 これはすべからく学校でもそうだろうというふうに決めつけるところまで言うつもりはありませんし、学校ではそういうリスク度の高いものはそもそも組み込まないと規定するということも大事だと思います。ただ、私が言いたいのは、仮に、教育研究体制を強化するために、そういう運用をするんだという判断もあるわけでしょうから、その場合には、しっかり内部統制を強めると同時にしっかり体力をつけた上で、おやりになる必要があると思うわけです。先ほどの話にここがつながりまして、そうした意味では学校としてもどれだけの体力を持つべきなのかということが、学校経営の中期的な、長期的なのかもしれませんけれども、戦略というふうなところを構築していく上で大事なポイントになるのかなというふうに思います。そうした観点からちょっと大げさかもしれませんけれども、この第4号基本金というのは意外と大事なものなんではないかという気がしています。

【大橋座長】 

 大学の役割は、教育研究をいかにきちっと継続的にやるかということで、現に資産運用をして失敗した危険に備えて体力を持ってというそういうことでは、そんなものじゃないと、おっしゃっている意味はそうだと、それで、そういうことでなくても非常に大学の運営は難しい状況になっていて、子供の数が減っていくとかあるいはいろいろな社会的な要請が教育研究に重なってくるという中で、あるいは上手に社会に対応していけないことができてくると、あるいはちょっと時期が早過ぎてうまく採算がとれていかないというようなことが起こってくるかもしれない。そういうことについてもきちっとした資産を確保して対応できるような、そういう基本金として設定していく必要がある。本来の大学の活動の中で非常に不確定な要素がふえてきているんで、それに対応するための基本金として設定するというふうに考えないといけないと思います。

 そうすると今までの運転資金を1か月分準備するというようなそういうことよりも、もう少し厳しい状況の中できちっと大学が資産を確保するというようなそういう項目が、項目としてこれを位置づけていくということが大事じゃないかなというふうに私は思っていますけれども、中にはそういう資産運用の中で非常に厳しい状況になってくるということにも対応するということはあるでしょうけれども、今まで以上に大学の運営が非常に不確定になってきているというのは、一般的に進んでいるというように思いますので、文科省の大学あるいは私立学校を統制していく中でやっぱりそういう視点が当然出てくると思いますので、私はこれはやっぱり新しく位置づけをし直して、4号基本金として設定していったらどうかなというふうには思っていますけれども、御自由に御意見を伺いたいと思います。

【森本委員】 

 前回のときに、これはなくてもいいということで、自分で考えればわかるということだと、実はあれでもう一回自分のところのを眺めていまして、4号基本金だけの資金を持っていたら怖くてできないですね、正直な話。見当であれの2倍から3倍ぐらいは最低ないと怖い。だから、単純に言いますと、4号基本金を削ってその分だけ翌年度繰越支出超過額が減るだけでしょう。だから、実際上純資産が全然ふえるわけでも減るわけでもないんだから、そうするとやっぱりそのぐらいは保留しながら眺めていて、現預金がないとこれは駄目だねというふうに思っている部分からいったら、殊更4号基本金を削りましょうという提案をする気はないと、だから前回のを若干修正します。

【大橋座長】 

 お願いします。

【桑田委員】 

 私も前々回から第4号基本金については要らないのではないかという話をさせていただきましたが、よくよく考えると、前回も御意見があったのですけれども、第4号基本金に対応する例えば現預金とか有価証券、又は例えば流動負債の前受金の授業料の前受け分がありますので、それに4号の金額が例えばそれ以上該当していればいいのですけれども、それ以下だった場合は当然問題になってきますよね。だから、特定資産として持っている必要はないのですけれども、何らかの形で4号のお金を、現預金なり有価証券なり前受金を合わせたもので持っているということを条件として、第4号基本金を存続させるということを、また考え直しました。

【大橋座長】 

 そうですね。私も4号はちょっと違うんじゃないかということをずっと言ってきたので、やっぱり新しい位置づけをしてきちっとこれを確保していくような、そういう私立学校の運営を目指すということは必要じゃないかと思うようになりました。

 お願いします。

【工藤委員】 

 前回私は欠席しておりました。それでやはり今、皆様方の議論、それから前の資料を頂いて、やはり私も4号基本金の在り方というものを、この基準の改定に合わせてもう一回リプレースして、そして残すということに賛成したいというふうに思います。

【大橋座長】 

 ありがとうございます。

 高橋委員、お願いします。

【高橋委員】 

 森本委員からもお話がありましたけれども、残して新たな意味づけをまたきちんと考えましょうということになったときに、1か月という数字がいいのかなというのは大分議論が必要かなと、そういうふうに思います。

【大橋座長】 

 1か月と言わなきゃいいんじゃないのかなと。

 お願いします。

【佐野委員】 

 私は4号、今の意味を変えたらというお話、別のもうちょっと前に進んでというお話は、これは4号とは別に考えればいいのであって、現在の4号の定義にはまっている基本金は要らないと私は思います。

【大橋座長】 

 そういうことですね。

【佐野委員】 

 それで、今、座長から冒頭お話があったように、これぐらい持っていないと危ない時代になっているんで、これを一つの基金、どういう形で持つかは別にして、今の大臣裁定による12分の1から離れて自己財産を留保するというような意味で持つんであれば、それはまた別に考えればいいんであって、今の現在の第4号基本金、12分の1を基本金として組み入れ、それで特定資産を持つ必要はないと言われているこれについては、賛成し難(にく)いと思っております。

 その4号をなくして、先ほど委員からもありましたように、純資産の部の戦略的な意味からいわゆる資本金に該当するようなところ、これを手厚くするんだということであれば、別の概念を取り入れていかないといけない。概念を取り入れたとして、基本金という言葉であらわしてもいいとは思うんですけれども、全く用語の定義を変えて留保すべきだと思うんです。

 その際には、やはり借方に実物資産を持つべきというふうに思います。したがって4号がなくて3号というのはおかしいんでしょうから4号になったとして、やっぱりそれは4号基本金として繰越収支差額から引くんだということであれば、それはやはり借方資産を対応させるべきではないかと、それを食い込んで、つまり積まなければいつでも引き出すことのできる預貯金としての支払資金に入っちゃっているわけですから、特定資産化することによってそれを組めないような学校は、本当に存続性に疑義があるというぐらいに認識しなければいけないので、やはりもし意味を変えて基本金になる部を手厚くするということであれば、当然借方との対応を考えなきゃいけないものだと思うんです。

 ですから、よくよく考えてみたらという、その一歩進んだところでは十分理解できるんですが、現在の4号基本金の定義、計算式等からする現状の4号は、ちょっとやっぱり意味合いが違うんではないかと思う。冒頭、事務局の方からも、学校はそれだけの資金を持たなきゃいけないんだというお言葉がありましたけれども、資金はないんです。資金の担保がされていないんです、現在借方は。ですから現行の4号の御説明に沿うためには、借方を考えた上で考えるべきだというふうに思っております。

【大橋座長】 

 行政の視点からいうと4号で1か月、ほんのわずかということになるかもしれない、1か月でも確保しなさいというふうに言うことに意味があるということなのか、もっと今の形じゃなくてもいいから大学の運営にとってやっぱり幾らかの基金を、きちっと具体的に確保しておきなさいというところにあるのか、その辺はどうですか。

【小松私学部長】 

 哲学にかかわることなのであれですが、根本論と、それから現状今の動きをどう見るかと、両方組み合わせて見なきゃいけないと思います。それで、確かに現行の4号基本金の意味と、今ここで御議論いただいている今後こういうふうに考えたらどうかというものとの、どこにどれぐらいの差を認めるかということは、確かに整理した方がいいと思いますけれども、少なくとも現時点で言いますと基本的な4号の意味というのは、先ほど来お話に出ています基礎体力とか、それから基礎体力とは言わなくても危機に陥ったときのぎりぎりの存続力、これには制度として義務づけみたいなものはないかもしれませんが、理の当然として在学している人たちやそれから教職員という存在が存続できるように、非常に異常な事態になればある意味社会的、我々で言いますと行政的にも支援の措置を講じていくということは、一般的に当然という前提かと思うんです。これは補助金を入れるとか、公的・法律的に公の施設としての性格ということとすべて連動していると思います。

 そうすると行政としても迅速に、今、基金の概要を申し上げますと、行政としてもいろいろ迅速に動いていくといったときに1月はわずかな期間か、それともそれなりのことができる期間かというのは分かれてくると思うんです。私どもはそれを見ながら、とにかく関係のいろいろな機関等も含めて支援をしていくということになると思います。この場合何もなくていいのか、それとも1か月というのはそれなりに意味があるのかということを申し上げますと、それこそ今法令上に義務づけがないので、皆様の自立独立という観点は非常に重要だと思います。それだけから見ると1月というのは非常に短いわずかな期間かもしれませんが、社会的公の施設としての基礎体力を今のような仕組みとセットで考えれば、1月というのはそれなりの意味があるのかなというふうに私としては考えます。

 それからもう一つは、さはさりながら学校法人が基本的に自主自立の存在であることは間違いありませんから、そのために考えると1月ではとても足りないのではないかということはあるかと思います。この場合、対応の方法として1つは、現状そうかといって四半期分持っていなさいとか1年分持っていなさいということを言うことが、現実に合うかという問題がございます。そういう意味からしますと1月では本来の今の考え方からすると足りないので、言葉は悪いんですけれども、行政のやり方が手ぬるいという方たちもいらっしゃいますし、一方で、それでもきついぐらいですから、それを突然1月といってどうしても持てというのはやり過ぎだという御議論もございます。

 そういった現状を考えますと、一応今苦しい思いをしていらっしゃるところもあるかもしれませんが、私どもの現実論は、存続を前提として申し上げますが、とりあえずは現状を一応基本にしながら、こちらで今そういう基礎体力の部分についてこれでは余り意味がない、もっと増やすべきだというような方向であれば、そういう努力目標を立てていって現実を追いつかせていくということが必要かなと、それを制度的に、ばんとやってしまうか、ある程度この辺が妥当だろうというところがもしあるならば、それを目指して協働してやっていくかということになると思います。

 ただ、先ほど来私ども事務局としては、そういうことを考えて整理しながらも今の意味で残した方がいい、あるいは設定した方がいいと考えておりますのは、現状を見てこうしたものがなくていいと、今、佐野先生から現行の定義のものが本当に要るかどうかという議論はあるよということでしたけれども、それはそうかもしれません。そのことも含めて、そういったものはなくてもいいよというメッセージになることは、現状から見てもそこの部分は手薄くてもいいよというメッセージを出すことになるのは、現在の私学を取り巻くいろいろな経済状況を考えるとまた別の意味を持ってくるなと、そういう意味ではなかなかとりにくい方法だなと、そういうことでございます。

【大橋座長】 

 現状のものがなくていいということではなくて、現状のものよりももっと基本金としての性格を新たにして確保しましょうということをおっしゃって。

【小松私学部長】 

 いろいろな御議論があると思います。それをお聞きしたいと思いますが、きょうの検討会、今、大橋先生のお話を伺っていますと、現状のものについていろいろ疑義があるのは確かだろうと思います。今申し上げましたように幾つか総合的な視点を考えますと、その性格なり目的とするところをより明らかにし、かつそれが実際に担保されていなくては意味がないということで、借方の方とも合わせた仕組み化をするということが必要だという話でありますけれども、そういうことをして、その上で基礎体力なりあるいは危機対応なり、これは会計制度だけでは完結をしないので学校法人制度そのもの、あるいは学校教育法そのもの、行政の在り方そのものとセットで私学振興を図るということを、前提にしたつくり方にしていただくということでございます。

【大橋座長】 

 そういうことだと思います。

【小松私学部長】 

 はい、そういうことを目指したいと思っております。

【大橋座長】 

 今のままの4号基本金は位置づけがすっきりしないねと、よくわからないねと、それと基本金の本来の目的と1つだけずれているねと、だから一緒にしてきちっと再構成して運営に必要な資産を確保するという方向で、会計的には進めたらいいんじゃないかというふうなことでしょうか。

 お願いします。

【鈴木委員】 

 すみません、いろいろ混乱させるかもしれませんけれども、外部の者から申し上げますと、純資産としてわかりやすいのが第4号基本金で、上の3つは体力判定に使いにくいという点で、むしろわかりにくいです。ですから体力判定を4号だけで対応するのか、あるいは純資産という名前を変えたことを機に基本金の性格全部を見直すのかというぐらいの、もしかしたら大きな話かもしれないようにも思えるのですが、今ここでそこまでやるのかという話になってくると、これまでの経緯等があるでしょうから、やるにしても段階的なのではないかという気がいたします。

【大橋座長】 

 4号以外は体力といっても短期的なすぐ何かに支払えるよというそういう体力ではないけれども、大学が長期的に運営されるための体力もある。

 どうぞ、お願いします。

【鈴木委員】 

 普通の企業だったらそのとおりなんですけれども、学校法人の場合は、不動産を売り払って学校法人が存続するかというと、法律の枠組みの中で難しいんじゃないですか。

【大橋座長】 

 だから、支払資金としての体力という意味じゃなくて、教育研究を推進していくための基礎財産という体力ですね。

【鈴木委員】 

 そうなんです。私はより金融機関の立場から考えていますが、そこのところはその通りかもしれません。

【大橋座長】 

 お願いします。

【佐野委員】 

 鈴木委員がおっしゃるのはよくわかるんですけれども、今そこまで踏み込むと、これは1年、2年の作業では済まないと思うんです。1、2、3と4が性格が違うということを御承知の上で4が出ると、それもよくわかるんですが、今ここで整理して何とかくっつけようとするには、やっぱり1、2、3を残す以上は、それで更に今4を形を変えて残そうというんであれば、1、2、3と同じような説明がつく基本金にしておかないと説明できないんだろうと思うんです。

 もし今、委員がおっしゃったように抜本的に変えましょうということになると、これはこの期間、それから全体の計算書類構造を変えないと難しい。営利企業と同等では考えられないんではないかなという気がいたします。

【大橋座長】 

 お願いします。

【鈴木委員】 

 すみません、一言だけ。

 私は今、抜本的に全部変えるべきだという意見ではありません。やはりそこは段階的にやらなきゃいけないかなと思っています。

【大橋座長】 

 ほかにございますでしょうか。

 高橋委員、お願いします。

【高橋委員】 

 先ほど4号を見直した上で残すとしたときでも、1か月というのはどうなんだろうかというお話をさせていただいたんですが、でも、考えてみるとあるべき資金で理屈は学校法人によって全然違うと思うんですよね。1か月がいいのか3か月がいいのかとかというのは、一概に言えないところでもあると思いますので、だとするとその議論はちょっと差しおいて、今まで12分の1でやってきたんだからという先送りじゃないですけれども、そういう考えもあるのかなと。

【大橋座長】 

 それはあるでしょう。あるけど、そうするって感じで。

【高橋委員】 

 あと意味合い的に言うと、流動資産の現金・預金、支払資金に対応するべきものかもしれませんけれども、今回、第2号基本金引当資産というふうに明確にしたのと合わせて、特定資産として上に持っていくというのもあり得るのかなと思いました。

【大橋座長】 

 大体皆さんがおっしゃっていることはよくわかるんですけれども、何かの形できちっとこれが機能するようにということですよね。またこの議論に戻ることもあると思いますけれども、この貸借対照表のイメージはこれぐらいにしておきましょうか。

 それで、まだ少し時間がありますので、全然まだ議論していない資金収支計算書の方に行きたいと思いますけれども、これの説明をお願いいたします。前に頂いたんですよね。もう一度手短に。

【田辺専門官】 

 内容としては資料3-1は、前回お配りしたものと変わっていない形になっております。一番左に現行の資金収支計算書を置いて、真ん中に変更後の資金収支計算書のイメージを置き、一番右端に、更に進めたキャッシュフロー計算書の案というものを出させていただいてみて並びになっております。

 真ん中にある部分は単純に今の資金収支計算書ですので、前受金であるとか未払金を当期の活動にきっちり合わせた実際の現金の動きではないけれども、活動に合わせたものが資金収支計算書の体制になってくるものであるということなので、金額としてはそれぞれ変わらないが、それをA、B、C、3つに分けていくと、Aが本業の教育研究活動であると、Bが設備を建てたり施設を建てたりという、いわゆる企業で言う投資活動に近いものがここに入ってくると、最後に財務活動が、借入金であるとか資産運用の部分が入ってくるということで、本業の部分でちゃんと収支が回っているのかというところをAで見て、施設投資の計画の流れについてはBで見ていく、最後に例えば投資をしたときに足りない部分を借金で賄っているねとか、一番上のAでお金が入ってきて最後にCで返済しているねとかというお金の流れが、目的別に見やすくできるというのが、この資金の流れを明確にする計算書類の概念ですが、一番右のようにキャッシュフローまでは進めずにまずは活動、今の資金収支の活動という考え方を維持し、やっていこうというのが真ん中の案です。

 なので、資料の2というところでも挙げさせていただいたんですけれども、資金収支計算書の考え方は、今の補助金の算定や学校法人の予算管理にも利用されているから、もちろん今後も維持していこうと思うんだけれども、この活動するごとの流れがわからないということに関しては少なくとも対応しましょうというのが真ん中の案でございます。

 この辺までを会計基準上できれば位置づけさせていただき、一番右端のキャッシュフローまでは、今の学校にとって果たしてそうなのかどうかと議論が分かれてくると思いますので、ここは例えば情報公開用で作成を推奨する程度にとどめておこうかということで載せた案です。そういう意味で違ってくるのは、一番下から3つ目ぐらいの調整勘定が残るか残らないかという部分だけでございますけれども、調整勘定を一番下だけに置くのではなく例えばA、B、C、それぞれに分けておいて計上するというやり方もあるでしょうが、とりあえずこの案では一番下に置いた形で計上させていただきました。

 ざっと説明はそのぐらいです。

【大橋座長】 

 ありがとうございました。結構です。ありがとうございます。

 事業活動計算書、消費収支計算書、貸借対照表が区分を設けて進んできますと、やっぱり資金収支計算書も、今までのような形じゃなくてA、B、Cという区分を設けてそれで組みかえるというか、移しかえるということが必要になってくるかなというふうに、これだけそのままというわけにはいかないだろうと思いますが、御意見を頂きたいと思います。これはかなりきつい作業になりますでしょうか。

 お願いします。

【桑田委員】 

 作業的にはシステム変更を伴うと思います。先ほどの御説明でいくとキャッシュフロー計算書じゃないと言いますけれども、ほとんどこれはキャッシュフロー計算書だと思っています。意見を言ってよろしいですか。

【大橋座長】 

 はい、どうぞ。

【桑田委員】 

 私は実務者の立場でこの会議に参加させていただいているのですけれども、実際に学費を払っている保護者でもあるということで、例えば大学の方から決算書が送ってくると収入が大きいとか支出が大きい場合は、何か臨時的なものがあるのかというのを見たいということで、先ほどから消費収支の事業活動計算書というのは、これは見やすいなと思っています。

 ただ、企業と違って学校法人というのは黒字倒産というのはない。なぜなら学費が事前に振り込まれてくるので資金繰りというのはある程度回っているという考えなので、定員を割っていなければそれほど気にすることはないと思います。果たして保護者、一番大きなステークホルダーが、このような資金収支計算書というのを求めているかどうか、ここまでのというのは、だれが求めているのかと、だれがそれを見るのかというのがまず1つの考え方、私が思っていることです。

 あともう一つは、今までの議論の中では補助金及び予算管理上、現行の資金収支計算書を残して、例えば付表とか附属書類としてこれを情報公開用としてやるというのが、急にこれも変えましょうというようなのが急に出てきたので、カーブとしては急カーブかなというような感じがします。

 以上です。

【大橋座長】 

 徳田委員、お願いします。

【徳田委員】 

 私もどちらかというと実務から来ていますので、余り急カーブというのは好ましくないということで、まず第1点、確認をしたいんですが、変更後の資金収支計算書の部分での部門別というのを、どこまでの科目をつくるのか、左側の現状の計算書になりますと、実は借入金等収入は部門別に掲載していると、それから経費は設備関係支出までなんです。ですから現行の部門別計上の科目、最低限の、これ以上は求めんと、この辺についてやはりまず最初に、それが1点、実務的にも置いていかれることじゃないです。

【田辺専門官】 

 先ほどの消費収支計算書、活動計算書のところでも部門別の在り方、内訳表のつくり方について議論がありましたので、ここについてもやはり同様に次回御提案させていただきたいと思っておりますけれども、今の資金収支計算書の一番左で言えば、徳田委員がおっしゃったように学納金から借入金までの本体の動きがまず計上されておって、それ以下はほとんど調整勘定の部分だと思うんです。そこに関しては法人全体で今まではいいということだったのを、新たに付加的にそこまでさせるということは学校にももちろん負担ですし、そこまで部門別で把握してどのぐらいの意味があるかということを整理した上で、また再提示させていただくんですが、そこまでの意味があるかどうかというのは今の時点で疑問なような気がしております。

 支出に関しても人件費から設備までが本体活動であって、それ以外は調整勘定と運用のお金の入れ繰りの話だけのような気がしますので、それを法人全体でやっているところもあろうし、学校単体であるところもあろうし、いろいろな活動があるので、今、法人単位のみをここの部分についてはつくっているんじゃないかなということだと思いますので、そこの考え方を整理した上でまたここについても次回提示したいなと思っております。

【徳田委員】 

 私はこれを見て瞬間的に青ざめました。前回、現行の部門別を全部やるとしたら学部別のバランスシートをつくるということなんですね。

【大橋座長】 

 学部別。

【徳田委員】 

 ですからそれは実務的に必要なのだろうかと、法人としては私はある程度そういうものがあって、次の視点でまた意見を述べさせていただきますが、まずその辺のところが見えない。見えない以上なかなかそのまま、移行してもいいのかどうかわからない。最大のこれは私は障害です。そこをまずはっきりとクリアしないと真ん中にしていいかどうかという判断はつきません。これが第1点です。

 それから、仮に移行するということは、真ん中の部門別はどちらかというと情報公開という側面で使われるということで、現行の会計基準というのは40年、いろいろな御批判はありましたけれども、少なくとも仕組みは変わっていないです。いろいろな基本的な考え方は変えてきました。基本の取崩しとか1号、2号、3号、いろいろなそういう意味で変わってきましたけれども、仕組みそのものは変わっていないです。消費収支計算書もバランスシートも、そういうのは全然変わっていない。

 今回は仕組みそのものが大きく我々としては変わらないと、将来ともに変わらないから、要するに国民が求める情報公開という視点からいけば将来的にも変わらないのかと、現在我々が40年間やってきたものが40年間以上もつのかとか、こういう視点からもやはり御議論してほしいなと、10年、15年たったときにやっぱり国民が求めるのはこんなものじゃないと、また変わりますというんでは、やはり何のための会計基準なのかなというのは1つ挙がっております。

 もう一つ私の方は経営判断が、私は全くこういうことをやっていませんので経営判断ができるのかと、いろいろ中身を聞いていくと、何でこういうところにこういうものがあるのかなというのは疑問はあります。でも、今回はそういう中身に入っていってもしようがないですので、そういうところの疑問もあります。ですから将来的に必ずA、B、Cの中を垣根を越えた話というのが、必ず出てくるというふうに私は見ています。そのときに我々実務家としてやはり変わるということは、それなりのまた投資をしなきゃいけない。そういうことも考えていただきたいなというふうには思います。

【大橋座長】 

 これはやっぱり実務的にはかなりきつい作業。

【徳田委員】 

 いや、部門別にするということと、これがまず第1点、全部やるということは、まず不可能とは言いませんけれども、時間をかけてやればそれはできます。そこに何の意味があるのかと言われるわけですね。時間をかけてやると、これだけ前回も述べさせていただきました補助金という現行の制度が残っている以上、いろいろなハードルがあるんです。第一義的には我々は、補助金のしっかりした執行と経理処理をするということが大事なんです。それでどんどん部門別があって何があってというと、そこも監査でそうなるかというとハードが幾つも要る。どれをメーンにすればいいかと。

 そのかわり前回もお話ししましたけれども、法人税の支払業務、法人税の計算ではうまくいくでしょうし、消費税のもある。決算のそういう時間でどれだけできるかと、何を大事にするかというのは、我々は補助金業務の適正な執行と報告、我々としては国民の税金を頂いているんですから、まず第1に来るわけです。最大限の労力をかけています。あとは時間の範囲内でやるというのが現状ですので、そういうことを含めて考えていただきたいなというふうには思います。

【大橋座長】 

 桑田委員も今、徳田委員がおっしゃったようなそういうことが基本的にあると。

【桑田委員】 

 はい。

【大橋座長】 

 これで何がという。

【桑田委員】 

 何が、だれが求めているのかというのもあります。

【大橋座長】 

 実務的にも課題があるし。

 お願いします。

【鈴木委員】

 今だれがというふうなお話がありましたが、金融機関が学校法人にお金を貸す場合に、変更後の資金収支計算書の内容くらいの資料が出てこないことにはとても貸せないということがあるように思います。

【徳田委員】

 どうすると言ったことではないんですけれども、何年か前に学校法人における格付ブームというものがありました。私立学校においては、財政も含めた外部からの評価の場として、認証評価制度がありますので、格付をとったところで意味がないということで、学校法人の中には格付の評価を取りやめるところも出てきました。

 学校法人の評価はいろいろな多種多様なものが求められますが、学校法人の収入のうち約8割が学生生徒等からの納付金であり、あとは補助金等がありますが、そうするとある程度財政の評価として、バランスシートを見るよりも、収入の大半が学生生徒等からの納付金ですので、そうすると大体学生の入学状況を見ると、ある程度予測をつけることができます。

【大橋座長】

 鈴木委員にお尋ねしたいんですけれども、銀行が見る場合に現行のものと変更後のものとの関係について、変更後のものぐらいじゃなきゃ駄目というその意味について説明いただけますでしょうか。

【鈴木委員】

 銀行にとってみれば、学校法人に貸したお金が返ってくるかということが最大の関心事であります。この判断には、変更後のものくらいの情報が整理されて提示されることが前提になるだろうということです。全部の学校法人が必要とされているということではありませんが、少なくとも借入れが必要なところについては大小を問わず変更後のもの程度の作成を迫られるだろうということです。

【佐野委員】

 資金収支計算書になれ親しんでいますと、やはり資金収支計算書は活動が書いてある、どんなふうに資金調達して、どんなふうに活動しているかが見えます。消費収支計算書、今度の事業活動計算書では、活動が見えません。資金収支計算書というのは活動を見るために非常にわかりやすいのです。したがって今計画されている形で書かれているのは、ここの全体像としては、ちょっと話が変わりますけれども、例えば株式会社がステークホルダーに説明するように、学校法人がどういった活動をしているか、それを見せられるチャンスというのは資金収支計算書になってきます。学校法人が何をどうしたかということを見せられる書類が1個必要だと思うので、必要と言う意味は、税金も投入されていますし、学生も預けているからです。学校法人がどんな活動をしながら学校の運営をしているかというのを見るのが、必要であろうというふうに思います。

 では、次に、全部要るのかというと、私も今の資金収支の内訳表レベル、今後、事業活動計算書の部門別計算の詳しさによっては資金収支は、部門別には要らなくなるかもしれないなと思うんですが、ただ、要らなくなった場合には例えば補助金の交付されている特定部門の施設設備等といった情報がなくなってしまうと、別に附属明細表で手当てをしなきゃいけません。そういった付加的なものが必要になってきます。そういうことを考えると、今の計算書自体は余り変えないで、負担感なく変えるんであれば資金収支計算書の真ん中にある変更後のイメージ、これは法人全体としては必要でしょうし、補助金の交付も踏まえ、また各部門にどれぐらいの設備投資がされているか、どういった活動がされているかというのを見るところ程度までは、部門別のものが必要であると思います。そのためには今の資金収支計算書の上から何番目までは部門が必要で、そこから下は要らないんだよというような簡単なものを念頭に置いて全体をつくることが必要だと思います。資金収支計算書の組みかえというのは、全体でどれぐらいの収入があって支出があってというよりも区分的に見られた方が、活動の区分の状況がわかるので区分が必要ですというイメージを持って、金融機関だけではなくて、やっぱりこれを活用し、国民により支えられている公教育の担い手だということを考えれば、関心を持っていたいなという意見も出るのではないかと思います。

【工藤委員】

 議論がやはりそういう大法人の場合に今のお話は割と当てはまるのですが、すべて同じものにいわゆる中小法人、小さいところまで当てはめる必要があるのだろうかということに関して私は強い疑念を覚えます。この議論というのは、大学法人の基準に引きずられて幼稚園、小学校、中学校までが負担が増加する必要があるのか、やはりそれは必要があるところだけが適用されればいいことであるんではないかと、いわゆる資金収支計算書という名前も変わらないわけで、消費収支に関しては事業活動計算書というふうに変わりますので、であれば、その部分において従来のものでも十分たり得る要素はあるんではないかと、ほとんど営利以外の財務活動で資金収支はほとんどないような法人もあるわけで、それらをすべてそのような形でもってあらわれるということに関しては、私はどうかと思いますので、中・高などは従来どおりでいい、これに変える必要はそこはないと、大学法人等はあってもいいかもしれませんが、やはり数で言えば幼稚園、小学校、中・高が多いわけでありますから、その部分の視点というのを忘れないでいただきたいというふうに思いますので、私は反対です。

【佐野委員】

 制度としてどういう体系を持つかというのをまず大枠を考えて、今、委員がおっしゃったような小規模法人と言われるところ、若しくは幼稚園法人等については、必要のないところについては適用しないなどの手当をするといった制度のあたりを目的とした方がよろしいのかなと思います。私も全部に共通的なもの求めるというのは、これはナンセンスだと思っているので、まず基本的な制度としての枠組みを決めて、そして、それを必要とするのはどこまでなのか、学校の数でいうと中小法人が圧倒的に多いですけれども、学生という数の問題からしますと、大学法人も多いです。こういう状態の中で、学校法人の制度として考え方をまとめ、今おっしゃったような実務的な除外規定であるとか軽減であるとか、そういった今現在も会計基準にあるような中小学校法人なり幼稚園などの学校法人等の、除外規定を設けることも必要だと思います。

【森本委員】

 学校種別で区別するだけじゃなくて、学校の規模ということもお考えいただきたいと思います。先ほどの議論の中でちょっと気になっているのが、部門別という言葉は学校種別にA、B、Cに分けることを部門別ということもありますし、それから学校法人会計基準の部門といいますと、学校別であり大学だったら学部別の部門の話をしている場合もあります。もう一つは、現在の資金収支計算書は当然当年度の実際の収支とは異なるところも出てくるわけですが、資金収支計算書の内訳表の特徴というのは、人件費のところは今はりつけの方針でやっていますから、ここに書いている人件費は必ずしも厳密かどうかわかりません。私の感じでもって数百万ぐらいは、場合によっては1,000万ぐらい違うかもしれません。そうなってくると、それの差額をとったもの、例えば教育研究事業活動による資金収支差額というのが出てきたときに、これは何を指しているのかというと、その学校の事業活動の差額だと、言われた数字の差額がそういうことなんで、実態からいうと多分補助金の考え方からすると、多分人件費のはりつけは変えられないだろうと、そうすると人件費を張りつけないでもう一個適当に按分したものをつくれと言われても、時間がないととても対応できませんということになるんです。

【佐野委員】

 それは事業収支の方でも同じじゃないですか。まさに人件費を張りつけるのは補助金対応ですから、目的のところをどうすべきという問題です。資金収支に差額が出るから要らないということになると、事業活動計算書はどうするのかということになります。さっき話していた部門別、私のイメージは学校部門という資金収支内訳表、消費収支内訳表のイメージで横軸を考えていました。縦の方は整理が必要だと思いますが、部門別をつくる場合には、ここまではつくれるなとした方が便利だと思います。

【徳田委員】

 中小法人については特例で現行の資金収支計算書で良いのかなという印象を持っています。部門別収支は中小の法人には配慮する必要があるのではないか、そういう理解でよろしいですか。

【佐野委員】

 それをこれから精査していかないと、これは必要、あれは必要じゃないと精査しなければならないでしょう。形が決まって学校法人の制度としてどういう決算体系を持つべきかというのが決まって、それから、それを学校によってはこういう、現実にどうかということを精査して、先ほど学校種の規模というお話がありましたけれども、こういった法人について例えば現行の会計基準であれば幼稚園法人や中小学校法人についてはこれは要らないとか、一つ一つ精査をして、こういった学校種の、若しくはこういった部門には要らないというのをこれから決めることは検討する問題だと思っています。

【鈴木委員】

 資金収支計算書の基準について、コアになるところをどうするのかということですが、大学法人を中心とした標準型はできるだけ高い基準とし、中小法人には運用として現行どおりとするなどが考えられるように思います。

【佐野委員】

 定義はまだ伺っていないのではっきりわかりませんが、事業活動計算書での区分との整合性の問題がまず1点あります。

 それから先ほどのイメージなんですが、部門別について、収入、それから支出の方はというくくりで考えたときには、やっぱり区分の仕方も変わってくるので、どういう形で社会に説明するか、見せたら活動が全部見えるのか、活動を全部見せるのは学校を設置している学校法人の活動だけでいいのか、それとも教育研究活動を行う学校部門も必要なのかということを、検討しなければいけないと思います。事業活動計算書の方も部門が必要で、資金収支の方も部門が要るということですけれども、何が必要かというところは、例えば先ほど申し上げましたような施設設備関係支出、これは部門別の情報がないと補助金が適正に使われているかわからないから必要であると、それを資金収支であらわすのか附属明細書であらわすのか、こういったことはやっぱり問題点を洗い出して検討していかないと結論に達しないのかなと思っています。

【大橋座長】

 3表以外の論点については、また御相談させていただいて、時間が来ましたのできょうの審議はここまでとします。次回の日程をお願いします。

【田辺専門官】

 次回、4回目の検討会ですが、11月7日の水曜日、14時から16時の間で、今回と同じ文部科学省内で開催したいと思いますのでよろしくお願いいたします。

 本日は来ていただくときに雨が降っていましたので、傘をお忘れにならないようよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

【大橋座長】

 では、閉会といたします。どうもありがとうございました。

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高等教育局私学部参事官付