独立行政法人日本学生支援機構の在り方に関する有識者検討会(第2回) 議事録

1.日時

平成24年6月28日(木曜日)

2.場所

文部科学省3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 各ワーキンググループにおける議論について(経過報告)
  2. 自由討議
  3. その他

4.出席者

委員

石原委員、大本委員、新野氏(大森委員代理)、加藤委員、木谷委員、小林(雅)委員、小林(光)委員、谷口委員、富沢委員、堀委員、前原委員

文部科学省

松尾学生・留学生課長、保立学生・留学生課長補佐、水畑学生・留学生課長補佐、辻学生・留学生課長補佐、森山学生・留学生課長補佐

オブザーバー

髙塩理事長代理(日本学生支援機構)、石矢奨学事業本部長(日本学生支援機構)、鈴木留学生事業部長(日本学生支援機構)、関口学生生活部長(日本学生支援機構)、山田日本語教育センター長(日本学生支援機構)

5.議事録

 【谷口主査】
 では時間になりましたので,ただいまから独立行政法人日本学生支援機構の在り方に関する有識者検討委員会を開催させていただきます。
 ご多忙中にもかかわらずお集まりいただきましてありがとうございます。 
 議事に先立ちまして,今回からご出席の委員をご紹介したいと思います。
 堀総合法律事務所代表,国立大学法人千葉大学理事・副学長の堀裕様でございます。

【堀委員】
 堀でございます。よろしくお願いします。

【谷口主査】
 それでは,本日も機構の関係者が陪席しておりますので,ご承知おきいただきたいと思います。
 議事を始めるに当たりまして,配付資料の確認を事務局よりお願いいたします。

【保立学生・留学生課長補佐】
 配付資料につきましては,議事次第にあるとおりとなっております。過不足ありましたら,議事の途中でも結構ですので,事務局まで遠慮なくお知らせいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【谷口主査】
 では,議事に入らせていただきます。
 本日は,両ワーキンググループにおけるこれまでの議論をここで共有して,今後のワーキンググループの議論に役立てるとともに,親委員会としての現段階でのご意見をいただくという予定でございますので,よろしくお願いいたします。
 まず奨学金事業,それから留学生支援事業,学生生活支援事業それぞれについて,両ワーキンググループにおけるこれまでの議論の状況を事務局から報告をお願いいたします。

【松尾学生・留学生課長】
 それでは事務局のほうから説明させていただきます。ほんとうに先生方におかれましては,お忙しい中お集まりいただきまして,ありがとうございます。今回開かせていただいた趣旨でございますけれども,第1回目の本委員会におきまして,やはりそのワーキンググループでいろいろ議論をするに当たって,やはり全体を視野に入れながら議論をすべしということでございました。したがいまして,現在ワーキンググループで議論している内容についてご報告申し上げて,その議論がまとまりあるような形となっていくようにご指導いただければという趣旨で,今回改めて開かせていただいたものでございます。
 第1回目の資料に,この機構の在り方の検討委員会でございますけれども,機構は今3つの大きな事業をしてございます。奨学金事業,留学生支援事業,それから学生生活支援事業でございます。これについては業務をそれぞれ整理し,それぞれ行革の観点から見直すとともに,法人全体としてそれが例えばどこかの法人と統合するであるとか,業務移管するであるとか,全体としてやるべしということで,個々の事業を見直しながら,全体としての議論をするということでございましたので,幾つかのワーキンググループで議論しているところでございます。
 まずお手元にあります資料4を見ていただけますでしょうか。資料4にこれまでの有識者検討会議及びワーキングループのスケジュールを載せてございます。前回本委員会,4月18日に行われて,そして今回6月28日に第2回目の有識者検討委員会でございますが,その間,4回ワーキングループを開かせていただいています。第1ワーキンググループが奨学金の関係のワーキンググループでございまして,第1回目が5月30日,2回目が6月20日ということでございます。一度,奨学金の検討というのは,堀先生,それから小林先生にも入っていただきまして,一昨年させていただいておりますので,それをベースにしながら,議論をさせていただいているところでございます。
 第2ワーキンググループ,これは5月16日,それから6月11日と2回行わせていただいております。第2ワーキンググループは留学生支援と学生生活支援の関係のワーキンググループでございますが,第1回目は全体,第2回目は留学生支援の部分について集中的に議論をさせていただいたところでございます。
 一方で,まだ学生生活支援については,今日本日これが終わりましたら,第3回目のワーキンググループで議論することになってございますので,今回は留学生支援の部分を主としてご説明をし,これからどういう方向で学生生活支援について議論していくかということについて,ご報告を申し上げたいと思っております。
 その以降の会議は,ここのとおりでございます。
 それでは,お手元の資料の1,2,3に基づきまして,簡単に説明をさせていただきたいと思います。
 まず資料1でございますが,これは第1ワーキンググループ,奨学金事業に関係する論点でございます。2度ワーキンググループを開かせていただきました。先ほど申し上げましたように一昨年の奨学金事業運営の在り方に関する有識者による検証意見まとめの報告書がございまして,それをベースにいろいろ論点整理をさせていただいているところでございます。
 まず大きく分けまして,奨学金事業,これは事業固有のものとしての論点整理と,それから1枚めくっていただきまして3ページでございますが,それを踏まえた組織の在り方,これは奨学金事業から見た組織の在り方,この大きく2つの論点で整理をしているところでございます。
 まず奨学金事業の論点整理でございますが,これも大きく事項に分けて3つの論点で整理をしてございます。まずは一番大きな問題として,債権回収の在り方,それから多くの金融機関は支店を持っておりますけれども,機構は,これはむしろ学校とうまく連携をしながらやるということで,学校との連携の在り方について。それから奨学金制度がこれでいいのかどうか,新たなニーズにきちんと対応できているのかどうか,そういった観点から2ページ目の新たなニーズ・制度等への対応という論点で大きく3点の論点でまとめているところでございます。そしてそれを踏まえた組織の在り方ということで3ページ目でございます。
 資料1の1ページ,債権回収の在り方でございますが,これは平成19年以降,財務省理財局でありますとか,内閣府行政刷新会議でありますとか,そういうところで言われているところでございますが,奨学金というのは教育事業で行っているわけですけれども,そこに金融的な手法をいかに導入すべきかということです。ただ一方では,既にかなり金融機関の方からもヒアリングをさせていただいたわけですけれども,やっている部分が相当ございまして,これをさらに検証しながらやっていくということ,それから延滞者の状況調査・分析,それから,ここで一番大きいのは,その調査・分析機能であり,どういった人にどう貸しているのか,あるいはその出た後どういう債権になっているのか,そういった調査機能を機構の中にどう持たせるのか,あるいは外部にどう委託をして,それを分析していくのかということ,それから債権管理の在り方,例えば民間での償却の基準と機構の基準の在り方,延滞金の在り方について,論点をまとめていこうと思ってございます。
 学校との連携でございますが,これは学校との連携ということを言いますと,大きく3点ございまして,貸与するとき,貸与中,貸与後ということでございます。まずはそれぞれ学校との連携をしながら,奨学金の貸与をしているわけでございますが,まず大きな在り方として教育的指導の充実という観点から,適格認定といいまして,貸している間しっかり勉強しているかどうか,ちゃんと返す気づきをしているかどうか,そういった適格認定の在り方をいかにすべきかという論点。
 それから1枚めくっていただきまして,やはりこれはお金を貸しているという貸与事業でございますので,奨学金制度のきちんとした理解の促進,それをいかに学校のほうで協力してやっていただくかどうか,それからその他学校との連携ということでございます。これは大学との連携もございますけれども,これから高校から大学に上がる段でございますので,高校との連携をどう進めていくか,そういった点も注視しながら行うということで,実際に運用してもらっている学校と機構との連携をいかにしていくかという観点での論点整理でございます。
 2ページ目の新たなニーズ・制度でございますけれども,これは今貸与という事業で奨学金をやってございますけれども,やはり大きな声として給付というのがございますので,奨学金全体として,どういった制度で多様なニーズにこたえていくかという観点であります。このときにはやはりその調査・研究や実態がどうなっているかの分析も必要でございますので,そことうまく連動しながら,今後の在り方について発信をしていくといった対応を求めるべしというご意見でございます。
 あと,今年から所得連動の返済型の奨学金制度を導入させていただきました。これは将来的には例えば「マイナンバー法」による社会保障・税番号制度の導入ということを見据えますと,もっときめ細やかな返還ができるということで,そのような新しい制度も導入しながら行う。そうすると,これができれば,例えば回収については相当業務が軽減をすると,そこにまた新たな事業を生んでいくということもあり得ますので,そのようなことも見据えながら,今議論しているところでございます。
 そういった事業,個別の在り方について,論点整理をするとともに,3ページ目でそれを踏まえた組織の在り方ということで大きく2つでございます。類似する他業種・他機関との役割の明確化,例えば他主体への一部業務の移管の可能性,そういったところについて論点整理をしたいと思ってございます。
 あとは,奨学金事業を,今貸与という形でやってございます。財政融資と政府貸付でございますけれども,それを持続可能なものにするための組織の在り方ということで,多数の小口債権と個人情報の扱い,そのガバナンスの強化,そういったところでの組織の在り方というのも論点整理として今まとめ中でございます。
 そういった前回ご議論いただいた点,それから一昨年ご議論いただいた点をもう少し盛り込みながら網羅的に今議論しているというのが現状でございます。それに加えまして,資料2で今度は学生生活支援,特に留学生関係の論点整理について,現状ご報告をしたいと思います。
 こちらについても同じような構成でございますが,まず1つ目は機構における留学生支援事業,これはこれまでの様々な指摘,それと現状の課題と今後の方向性,そして3番目には組織の在り方ということでくくらせていただいております。
 1ページ目でございますけれども,現在の課題と今後の方向性ということで言いますと,大きく3段階に分けて議論を進めているというのが現状でございます。大きく海外からの留学生を受け入れる,それから日本人学生が海外に行くことがございますが,その留学生制度全般の在り方や戦略的な留学生交流の促進,そういった点を統一的に行うべきである。そしてナショナルセンターとしての機能が必要。これは機構自身の改革というよりは,国全体,組織の在り方としての国全体の行政改革の中での機構の在り方という観点でございます。
 あと外国人留学生の受け入れ,そのための窓口の機能強化,それから滞在中の環境の充実,帰国後のフォローアップ,それから日本人学生の派遣,これは現在海外留学というのはなかなか行かない,内向きと言われていますが,その障壁だけではなくて,それを推進していくためにはどうしたらいいのかということから言えば,交流の質を確保するという点等々でございます。
 これは先週,「行政事業レビュー」という省庁版事業仕分けがございまして,この海外留学については「抜本的改善」というのがうたわれました。これについても踏まえながら,記載をしていきたいと思っております。
 簡単にそのときの省庁版事業仕分けの概要を申し上げますと,この派遣につきましては,今1年以上の派遣と3カ月以上1年未満,それから3カ月未満,大きく3種類の派遣受け入れがございます。長いほうはまあまあいいですよねと。ただし,3カ月未満のほうについては,これは成果の検証であるとか,効果であるとか,そういったものはどうしているのかということが論点として挙げられておりまして,その効果の検証をしながら,短いのはなるべく長いほうにするという観点での議論でございました。あとは入り口を厳格にすることと,戻ってきてからのフォローアップをしっかりとやるということ,そういった論点を踏まえた形でしっかりと改善・改革をしていく。これが機構の課題というよりは,留学生全体の課題でございます。
 それを受けまして,組織の在り方をどうするかということで議論をしてございます。それが2ページ目以降でございます。まず留学生政策を考えた場合に,機構単体で考えるということではなくて,多くの関係団体,関係機関がございますので,それらについて,ある程度俯瞰をした上で,機構とその他の機関の役割を考え,そして機構の持つ固有の組織の在り方の諸課題をまとめるという形の構成にしてございます。
 まず,2ページ目の3.でございますけれども,そういった構成の中で(1),(2),(3)という流れになってございます。まず留学生政策に関する体制としては,これだけグローバル化が叫ばれている中で,政府,大学,民間が一丸となって取り組むべしということで,その中で各機関がしっかりと行うと。大学が実際には取り組むことですが,国が政策を決め,そしてある程度民間にも助けてもらいながら,機構がある程度それを一元的に見ていく,そういったナショナルセンターとしての機能を果たしてはどうか,全体をうまくとりまとめる機能を果たしてはどうかという論点でございます。
 ただ,これについても,ある程度選択と集中が必要でありますし,持てる資源というのは限られていますので,この事業の中で優先順位を決めながらやっていくということだと思います。
 そういった全体図を示しながら,各主体の担う役割の分担・連携ということを議論していくと,国と機構の役割,任務,大学と機構の任務,そういった中で機構の持てる事業における組織の在り方というまとめ方にしてございます。
 2ページ目には(3)として海外拠点,これは機構には4拠点しかございませんが,海外に日本のいろんな留学生に近い事業をやっている拠点がございますので,そこといかに連携していくか。そして日本を魅力ある国際交流の場とするためには,中核的な拠点が必要であろうということで,3ページ目にその旨の記載をし,そして,その中核的な交流の拠点といったときに,ただ交流するだけではなくて,ある程度質を保証しながら活性化するという観点。
 そのときに国際交流会館というのは,これは2年前の事業仕分けで売却ということになってございますが,売却できないものを有効活用するという観点もあるのではないかと。
 そして,これは奨学金と書いていますけれども,外国の留学生,海外から来る留学生の奨学金ですね,その実施体制,これを国全体として見たときに,一元化したほうがより社会全体としてのコストが減るのではないかと,そのときの機構の在り方はどうかということ。それから日本語教育の実施体制の在り方でございます。これは現在外国政府の給費留学生について,機構の日本語センターでやっていただいておりますけれども,それを引き続きやっていくとともに,将来的には様々な機能を生みながら検討すべしということで,今議論を進めさせていただいているところでございます。
 そういったことを受けて,あと機構内の他の事業との関係,それから他法人への統合や事務・事業の他の主体への一部移管の可否ということについて言及をすることで,現在まとめようと議論を進めさせていただいているところでございます。以上が資料2です。
 留学生の関係でございますが,資料3です。今日のこの会議が終わってからの議論でございますが,そのときに配付をする資料ということで,前回第2ワーキンググループの1回目の会議で配付させていただいた資料のエッセンスだけここに記載をさせていただいております。学生生活支援,これ例えば就職支援でありますとか,障害のある学生の支援でありますとか,そういった大学におられる学生への支援事業でございますが,まず基本的に任務,それから機構の行っている取り組みの現状,そして今後どういうふうにして考えていったらいいのか,そういったことをまとめたものでございます。
 学生生活支援,これは基本的には大学が行う業務でありますけれども,大学と連携しながら,底上げないしは効率化という観点で機構が大学の支援をするということであります。
 それで大きく3つ役割があるのではないかということで,1回目のほうで議論,その資料として提供させていただきました。すべての学生といいますか,多くの学生を対象とした大学の取り組みに対しての支援,それと固有のニーズ,例えば障害のある学生でありますとか,個々の大学ではなかなか取り組みに限界があったり,あるいは集中してやったりしたほうがいい,あるいはグッドプラクティスを集めて大学に提供するとか,そういったほうがいいものについては,機構が中核的な役割を担うと。あとはそれについての調査・分析をすると,そういった観点ではないかと。
 そして今後は社会の情勢を踏まえながら,どういった事業がそれに当てはまるのかということを見極めた上で,PDCAサイクルを回しながら改善をしつつ,事業をしてはどうかということで,これから議論を進めていきたいと思ってございます。
 この3事業でございますけれども,例えば奨学金事業でいえば,有利子の事業というのは,これは日本人が日本で勉強するとともに海外で勉強する有利子事業もございます。そういった様々な連結をしながら,我が国としてどういう人材を育てていったらいいかと,人中心,学生中心での事業を機構で行うという観点から議論を進めさせていただいているところでございます。
 現状こういうことでございますので,過不足,それからこういった方向でということがございましたら,各先生からご意見を賜ればありがたいと思ってございます。簡単ではございますが,以上でございます。

【谷口主査】
 ありがとうございました。それでは,自由討論に移りたいと思いますが,課題は3つでございまして,1つは奨学金貸与事業関係,それから留学生支援事業,それから学生生活支援というのがございます。終了が3時半ということでございますので,1つずつ15分ぐらいで議論を開始したいと考えていますので,まず第1ワーキンググループの奨学金貸与事業関係について,先ほどご説明がございましたので,これから議論をしていきたいと考えておりますので,ご意見をよろしくお願いいたします。
 特に第1ワーキンググループの先生方については,ご発言いただければと思います。はい,前原委員,よろしくお願いいたします。

【前原委員】
 3点問題があると思っております。
 1点目は,これはインフレの時代には貸与の事業というのは借りるほうにとって非常にメリットがあるし,返すときも楽なのですが,デフレの時代になると,逆に非常に返済負担が重くなるということに対して,どのように考えたらよいのかと。銀行の企業に対する貸付もこのデフレの時代に入って激減しているんですね。こういう実態があります。ですから,このデフレの時代は貸与というのはほんとうにどうしたらいいのか,ちゃんと返してきたら,最後1回か2回はもう払わなくていいとするのかとか,そういう工夫をしないと,負担が重過ぎると思います。
 それから2点目は,実際私自身大学でこの審査について判を押していましたけれども,2つ問題がありました。申請のときの問題ですね。これは所得制限がたしかあったと思うのですけれども,そうするとまともにサラリーマンとか役所で働いている親だとほとんどもらえないということになるのです。事業をやっていると,はっきり言って,私学ですから,こんな収入だったらとても私学に来られないはずの人が申請を出してきてもらっている。これでは不公正が通っているという感じがします。
 それから返済のときに,返済しない学生がかなりいると聞いておりますが,これは二重の意味で不公正が今ここで起きてしまっているということです。これを,どう評価したらよいのか。
 それから3点目は,返済が非常に悪い学校に対して,学校の責任の在り方をどう考えたらよいのかということをきちんと議論して,ペナルティーというと変ですけれども,やっぱり学校も責任を果たしてもらうべきだと思います。その辺をどう考えたらいいのかということを,問題意識として感じております。以上です。

【谷口主査】
 ありがとうございました。大変重要な指摘だと思います。ほかに,第1ワーキングの委員の先生方でご発言……。はい,富沢委員お願いします。

【富沢委員】
 先ほどちょっとご説明がありましたけれども,今年4月から始まった所得連動返還型の無利子奨学金制度ですが,これは所得300万円未満の家庭という条件で,返済の猶予というのは,その本人が卒業した後の所得300万円未満の間は返済が猶予されるということでよろしかったですよね。今年4月以降,どのくらいの人数がこれを獲得されたのか。それから現在の雇用状況というのは,大体3人に1人が非正規雇用というそういう時代で,例えば大学を卒業しても,要するに300万円未満の年収の方はかなり増えている可能性がありますよね。逆に言えば,その所得300万円未満の状況が今後ずっと続けば,ずっと返済はしなくて済む事態となります。そうすると,これはまた返済が非常に滞っていくということにもなるかと思うんですけれども,この辺の原理的な問題点が1つあります。それから現状ですね,今年4月以降,どのくらいの方がどのくらいこの新型の制度を利用しているのかという,その辺の情報をちょっといただければと思います。

【谷口主査】
 では,事務局のほうからお願いします。

【松尾学生・留学生課長】
 まず前原委員の,確かに言われるようにデフレのときというのはやはり利子負担というのは相当かかってくるのだと思います。一方で,ただ現状利子がかかってきていますので,そこについては,例えば今の所得連動で返せない人については,これは無利子ですけれども,有利子については引き続き検討していかないと,実際の有利子での返済負担というのは相当かかってくるので,そこはまだなかなか手がつけられてないところだと思います。
 今回の実は所得連動のやつも,富沢先生からありましたように,所得が上がらなければというのは,これは無利子の中ですので,有利子については,これから返還する人については,なかなか難しい課題だと思っております。あとは実際返さない人への不公平,それから所得のときの所得の捕捉の問題でありますけれども,これからマイナンバーができてくると,ある程度捕捉ができてくると。そこである程度の,貸与時ではありませんけれども,返還時であるとか,きめ細かくできるのではないかと思っております。
 それから返済の悪い学校の責任の在り方ということで,前回オレンジの本をつくらせていただいたときも,これは学校名の公表というのは確かに議論されて,それは検討課題です。一方で,アメリカでも学校名を公表することによって,返済が上がるというのは事実として多分アメリカでもあると思いますけれども,実際それをどう踏み切るか,どう出すかというのは,これは学校経営の問題と,これだけ経済的な困窮度が上がってくると,学校だけの責任ではない,社会全体の問題ということもありますので,それを学校に押しつけることの是非とか,そういうことを総合的に考えていかないと,なかなかできないという課題が実はあるのかなということで,今検討しているところでございまして。

【前原委員】
 そこで例えば延滞率の目標値を決めて,それを越えた場合には公表するなり,何かやり方があると思うので,ぜひ知恵袋の松尾課長が頑張っていただきたいと思います。

【松尾学生・留学生課長】
 そこは引き続き,検討させていただきたいと思います。
 あと先ほどの,所得連動の利用が4月以降どれくらいかというのは,機構のほうから回答させていただこうかと思いますけれども,もう一点,卒業されてから300万以下の方も相当おられるということでありましたが,私の記憶している範囲でいいますと,おそらく入るとき,大体300万の家庭というのは大体3分の1くらいだと思います。それで大学を卒業された後に所得を捕捉したのが,我々のデータではなくて総務省かどこかのデータであったと思いますけれども,卒業してからある程度生涯,これは今卒業したということではなくて,瞬間値でありますけれども,大卒で300万,400万以下の方というのは約3割だというデータがどこかであったかと思います。これは正確な数字ではないのですけれども。そうすると,入りは3割,出3割ということで,3×3で約1割,9%ぐらいの方が,おそらく返済が長期にわたって返済猶予ということになるのではないかと思います。データ正確じゃないのですけれども,もう少し低いかもしれませんけれども,そういったイメージではないかと思います。
 そこについては,将来的に返済困難ということになれば国の負担ということになりますので,そこは合わせて財務省とも調整をして,政府負担の在り方を検討していくということになるのではないかと思います。
 ただ,そうはいっても,きちんと返してもらうというのが原則でありますので,その範囲の中で制度を運用していくということになろうかと思います。
 具体の数字,4月以降の数字については……。

【高塩理事長代理】
 よろしいですか。私ども4月から今年度の採用を始めておりますけれども,5月末現在で所得連動型の対象者は1万6,500人です。6月期,7月期と採用が続いており,最終的な見込みとしては,約3万5,000人程度になるだろうと見込んでいます。新規が,無利子ですと,約14万人でございますから,そのうちの約4分の1程度がその対象となっております。昨年度の概算要求の際に文科省と話したときは,3万人ぐらいではないかと予想していましたが,それよりもやや大きな割合になっている現状にございます。

【谷口主査】
 富沢委員,よろしゅうございますか。

【富沢委員】
 ありがとうございます。まだ少し計算上推定値よりも上がっていきそうだとなると,またその返済の問題とか,後々響いてきそうな予感がしますけれども,その辺よろしくご検討いただければと思います。

【松尾学生・留学生課長】
 そこについては,奨学金単独の問題というよりは,やはり社会構造といいますか,就職の問題とかそういったものとの構造とセットでやらなければならなくて,そういう意味でも,この機構の奨学金単発ではなくて,今政府の中では雇用促進対話の中で,若者雇用戦略,その中でも奨学金をしっかりと出して,そしてきちんと社会に出てもらって,雇用され,という循環をつくっていくというような,そういった全体の制度,全体のシステム改革をすることによって持っていくと。その中で,今の300万がいいのかどうか,それは検証しながらやっていくということと思います。

【谷口主査】
 この貸与事業につきまして,ほかにご意見ございましたら,ご発言をお願いいたします。はい,どうぞ。

【高塩理事長代理】
 先ほど前原先生からご質問があった学校名の公表ですけれども,これは一昨年の検証チームからさらに2年前の平成20年6月に,「奨学金の返還促進に関する有識者会議」がございまして,その際に,返還誓約書の早期化など,26の提言をいただきました。それらを私どもは着々と実施をしており,そのうち23のことがらまでは実施しているんですが,3つの事項が残っていて,その3つのうちの1つが学校名の公表なんです。
 あとの2つは,返還の開始時期を10月から3月繰り上げて7月からにして,早く返還を始めたらどうかということと,悪質な債務者については,支払督促申立を介さず直ちに訴訟を提起できるようにするということでございます。学校名の公表については,有識者会議の提言を受けて,平成21年に大学関係者に対しても,またマスコミに対しても公表する方向を発表した経緯がございます。
 ただ,その後の文科省との調整の中で,今,松尾課長がおっしゃったような経緯もあって,実施に至っていないわけですけれども,前原先生からのご発言もありましたように,やはり返還に対して、学校の責任を明確化し協同してかかわっていただくという点から返還に対して学校の責任をどう関与させていくかということは,非常に重要な観点だと考えております。

【谷口主査】
 ほかにご意見ございませんでしょうか。石原委員よろしくお願いします。

【石原委員】
 過去の議論は私ちょっと承知していないのですけれども,例えば今問題になったのは生活保護の問題がありますね。多分,この奨学金の返済問題も,関連づけて多分議論されるのではないかなと,うまくいけば。それで,奨学金の話は,私個人的にはいろんなケースワーカーから聞くと,例えば大学を出て,就職がないと,そういう若い子が結局安易に申請をすると。それは役所のほうも申請があると,これをきちんと拒否というのですかね,するだけの材料を持たない,何も持たないから,ちょっと個人情報保護法があるという理由をつけるのですけれどもね。で,結局は何か大丈夫かなと思いながらも支給しちゃうケースがあるというのを現場のケースワーカーから聞いたことあるのですけどね。
 世の中,そういう雰囲気の中で,多分例のタレントの問題も含めて,厳しい批判がいっていると。おそらく,この奨学金問題も,どこか1つ氷山の一角が表に出ると,多分そこにバッシングが相当来るかなと思いますね。
 今,学校名の公表がありましたけど,学校どころか個人名を出せというような,多分そういう一方で声が強まると私思いますけれども,その場合,学校名もそうなのですけれども,例えば職種だとか,ものすごく具体的なところもやはり議論の対象になるのではないかなと思いますね。つまり,こういうことをきっちり議論することが,すごい抑止効果につながるのではないかと。最終的に公表するというのも,学校名すらなかなか踏み切るというんですか,これは最終的な政治的な判断が必要で難しいと思うのですけれども,個人名を役所が多分公表することは相当なことがなければできないとは思いますけれども,ただその場合,あらゆる角度でこれはいろいろデータをきちんと掌握して,それを検討して,固有名詞に至らない形ででも,より詳細に情報を世間に公表して,やはり国民にも考えてもらうということは必要かなと思うんですね。
 そうしないと,当事者のほうがほんとうに責任を果たしているのかということも含めて問われるかなと思います。以上です。

【谷口主査】
 ありがとうございました。ほかに。はい,大本委員お願いします。

【大本委員】
 今の返済の関係で,やはり2ページの最初にございます奨学金制度に関する理解の促進というところで,特に現在大学生で奨学金を受けている方々からお話を聞いても,やはりその返済に関しての十分な理解が乏しいと思いますし,返済の方法ですとか,返済が滞った場合にどうなるかということですとか,ほんとうに知らないんですね。
 そういった状況でやはり借りているというところから返済の滞りも影響しているのではないかと思いますので,これは学校との関係でも,実際に借りる学生の関係でもあるのですが,そこのところはもう少し強める必要があるのではないかと思います。
 それから,3ページの検討課題の中の上のほうの2つのポツの下のほうですが,やはり民間の金融ローンになりますと,どうしても資金のない者や返済の厳しい者には貸与しないというのが金融機関の性格上当然ですので,本来の奨学金の趣旨からは反してしまうのではないかと思いますし,実際に利率も非常に高いということですから,その返済するほうも,あるいは借りる時点でも非常に厳しくなってしまうので,返済を滞っていることに対しての回収という意味での業務のノウハウをお借りするということはあると思うのですが,教育ローンとして広めるのであれば,既にもう銀行さんたくさんやられていますので,それを肩がわりするという必要はあまりないのではないかと思います。
 ただ,もう一つちょっと気になったのでご質問しますが,その次のところの安定的に実施するために手数料を取るという,この手数料というのは,現在の返済時の利息ではなくて,それとは別に手数料も考える必要があるということなのでしょうか。以上です。

【谷口主査】
 この点につきまして,よろしくお願いします。

【松尾学生・留学生課長】
 ここは,一応論点といいますか,委員の中でこういうのが出ましたので,こういう考え方もあるということで記載をさせていただいて,こういうことです。ここでの手数料というのは,今の利子とは別に手数料を取るという趣旨だったかと思います。
 これはおそらく第1ワーキングループでの議論のときには,アメリカとかそういったところの例を引かれて言っておったかと思います。だからこれをやるべきということではなくて,こういうワーキンググループの意見もあったという記載でございます。

【谷口主査】
 少し時間が過ぎてきたのですが,最後にこのテーマについて,ご発言をお願いします。木谷委員。

【木谷委員】
 この論点整理の1ページ目の最後にもちょっと出ているのですけれども,貸与額の関係ですけれども,実は私もある人に聞きますと,学部から大学院,特に法科大学院とかそういうところに行くと,もう1,000万円を超えるという場合もあって,その場合,まず返済を始めると月々5万円以上というふうなことで,もう明らかにこれは大変な額であるということを考えると,もちろん給付ということになればいいわけですけれども,貸与である以上,何らかの上限というものを考える必要があるのではないかということを伺いました。聞いて,私ももっともだと思いましたけれども,ここにも既に論点としてありますが,やはりそういう多重債務者を最初からつくるようなことにならないようにということは重要なのかなと思いました。以上です。

【谷口主査】 
 この第1ワーキングはこれでよろしゅうございますか。特にご発言が必要でございましたらいただきたいと思いますが。よろしいですかね。
 簡単にまとめますと,これは教育ローンであるということが1点だと思います。それは銀行が貸付をしているローンとは違うという点だろうと思いますし,そういう点では,やはり教育の場で借りるということの意味ですね,返さなければいけないという意味をしっかりと植えつけると。学校との関係においてね。先ほど前原委員がご説明されていました,返済の悪い学校を公表するということとも関係していると思いますが,やはりしっかりと教育ローンという位置づけで学生が借りているという意識を大学のほうとして責任を持って説明していただくということだろうと思います。
 それから,経済状況が非常に厳しい中でございますので,逆にはまた借りる方も多くなる。逆に言えば,その就職もなくて,まだ返せないと,こういう悪循環に多分陥るのではないかと思いますので,いろんなやはり社会状況の中で返済,上限を設ける額であるとか,返済の期限であるとか,そういう例えば300万未満の返済免除の問題であるとかということはやはり柔軟に適時考えていくということが必要だろうと思っています。
 これがやればすべてがうまくいくというのはなくて,やはりここの場で努力をする必要があると思っています。簡単ですが,こんなまとめをさせていただきました。
 では,次に移らせていただきたいと思います。第2番目の課題は,留学生支援事業関係ということで内容は大部になっていますが,ご発言をいただければと思います。よろしくお願いいたします。特に第2ワーキングの先生方からご発言いただければと思います。富沢委員。

【富沢委員】
 この留学生支援のところで,この資料2の1ページ,留学生支援全般について,留学前のプロモーションから,修了・帰国後のフォローまでというような言葉とか,それから3ページのほうでも奨学金支給のところで,国費外国人留学生制度について,これも採用から修了・帰国後のフォローまでという言葉が繰り返し出てくるのですが,確かに留学生の人たち,帰国して,またそちらの自分の国で新しく活躍すると,そういう希望で来ている人はたくさんいると思うのですが,ただ中には学部生とかの留学生で行きますと,日本で働きたいという人は結構いるのですよね。そういうことは前提になっていないのかなというところがちょっと気になる表現なのです。
 つまり留学生支援の日本に来るところから帰国後のフォローまでという,全体をフォローしていくというところ,その発想は非常に結構だと思うのですけれども,その場合のフォローの仕方が,ルートが幾つかあると思うので,それに合わせた全体的な施策というのを考えていく必要があるかなと思います。その辺いかがでしょうか。

【谷口主査】
 では,事務局。

【松尾学生・留学生課長】
 ここも,見ていただければと思いますけれども,修了・帰国後のフォローということになっていまして,別に帰国することだけが一本道ではなくて,日本で学士を終えて,日本で就職をして,その後も,だから日本国内における就職支援というのも当然ありでありまして,むしろ個人的なことを言うと,戦略的に留学生に来ていただいて,やはり少子高齢化時代でありますので,日本人の就職の問題もありますけれども,やはり外国の人がきちんと日本で活躍してもらうということは,これは是でありますので,そういったことも合わせてと思っています。
 したがって,少しわかりにくい表現で恐縮でございますけれども,帰国後のフォローだけではなくて,修了後のフォローということで,そこはわかるようにと思います。

【谷口主査】
 では,加藤委員お願いします。

【加藤委員】
 報告書案は全体にいろいろと目配りをされていると思います。ただ、気になるのは留学生支援という言葉で、これは一体何を指しているのかという問題です。今,グローバル化の中で,受け入れる外国人留学生をどうやって支援するかという話だけではなくなっている。もっとトータルな話だろうと思います。
 交流についても,従来考えてきた以上に深い意味があり,人材育成の観点から考えていくべき問題になっています。
 そう考えると,やはりまだ,来た留学生をどのように支援するのかという観点からのまとめが多いと思う。今、大学では、大きな課題としてグローバル社会の中でどういう人材を育てていくのかということがあります。それが大学の中で一番大きな仕事になっているような気がします。受入れた留学生を単に支援するのではなくて,どうやって大学の教育の中に溶け込ませ、日本人の学生と共に学ばせるのかという観点が必要だと思いますし,一方で日本の大学生も1回は外国に出て他の国の大学で学ぶということが重要だろうと。そういう昨今のグローバル化に即した人材育成という観点からのまとめ方が,もうちょっと入ってもいいのではないかと思います。
 つまり,大学の側からいえば、ナショナルセンターである機構の留学生支援事業というのは一体何なのかというところを,もう少し大きくとらえていただいたほうがいいという気がします。
 例えば,この資料2の中でなるほどと思ったのですが,こういうことがあります。3ページ目のところ,機構における3事業の在り方というところに,とても重要なことが書かれています。日本人学生の派遣に関しては,留学生事業部の実施する給付型奨学金と、奨学金事業部の実施する貸与型奨学金と連動させ・・・。日本人学生の派遣に関しての貸与型については,奨学金事業部が実施する形になっている。それは何か違う気がするんですね。
 留学のための貸与奨学金がどのくらい活用されているのか知りたいところです。海外に留学する学生というのは,今は昔と違って,特別な人ではなく,むしろだれでも一度は行く,大学生になったら一度は留学を経験してほしいと大学でも思っています。そのときの1つのネックは,留学資金の問題です。
 ですから,給付の奨学金も重要ですが,実は貸与でもいい。今学生は親に頼むのはつらいけれども,どこかで安全に借りられれば留学したいと思っている。明らかに海外で留学をすれば付加価値は上がりますから,もちろん卒業したら返すということでいい。留学の場合にも貸与型の奨学金というのをもっとクローズアップしてもいいのではないかと思います。私ども大学でも工夫しているところで,金融機関等にお願いしたりしているんですが。つまり、これは奨学金事業なのか,留学生の事業なのかというと,私は留学生の事業のような気がしています。このあたりが,ですからまさに機構の3事業の連携の問題だと思って,ここは大変興味深く拝見をいたしました。
 いずれにしても,今後はもう少し日本人の学生をどうやって外に出していくのか,それは今までとはちょっと違う位置づけで考えていく必要があるし,それが国のポリシーだと思っています。昨今文部科学省が示した大学改革実行プランでも,このあたりのことがはっきりと位置づけられています。しかし大学において実際に海外留学を増やすことについてはなかなかハードルが高く、いろいろと克服すべき課題がある。したがってナショナルセンターとしての機構でぜひ推進していくことが重要であると思いました。以上です。

【谷口主査】
 ありがとうございました。まずご発言されていない委員の先生方でぜひお願いしたいと思いますが,あまりもう時間がなくなってきましたので。小林委員お願いします。

【小林(光)委員】
 私のほうは実は専修学校・専門学校という分野でございますが,ここで全体的にはうまくまとめていただいておりますけれども,私ちょっと具体論で細かい話ですが,このたびこの機構でもショートステイ・ショートビジットの事業を我々の専門学校の分野にも平成24年度から対象にしていただいたということでありますけれども,これ大変ありがたいのでございますけれども,この24年度から対象にしていただきましたが,このときは特に東日本大震災とか,あるいは原発の事故,放射能事故などがあって,大変少なかったということがあります。ですが,やはりこれからますますニーズとしてはあるわけでございますので,ぜひこれをまた強化をしていただきたいという希望があります。
 そして特に我々の学校協会などでも,こういったことをきちんとPRをしていくというようなことを考えておりますので,ぜひこういった事業をさらに強化をして,PRをして,そして利用者の拡大をしていくということを我々,要するに協会各学校グループとしてもそういうことを機構と一緒になってやっていくということをぜひご支援をいただきたいと,これが第1点。
 それから第2点は,海外の留学生の啓発事業ということでございますけれども,これにつきまして,今皆さん方お話あったように,まさに中核的グローバル人材の養成ということ,我々専各においてもそういうことが言われるわけでありまして,特にアジア諸国からは,職業教育の支援というようなことで求められているという懸念が多いわけです。
 特に今後例えば学生募集や何かの説明会や何かをやる場合においても,機構と我々協会が連携をして開催できるように,そういった向こうの各国の政府とのつなぎ役を機構としてもぜひやっていただきたい。学校種を越えて,こういった支援体制をきちんと確立していただくことにご支援をいただきたいという希望でございます。お願いいたします。

【谷口主査】
 ありがとうございました。そのほか,ご発言……。はい,どうぞ。

【小林(雅)委員】
 第1ワーキンググループについては,特にこれで十分だと思っていますので発言はしなかったのですが,調査・分析をこちらの第2ワーキンググループのところでもかなり調査しておられますので,これは第1ワーキンググループでも同じことは言っておりまして,やはりその情報収集,発見,調査・分析といったようなシンクタンク的なものが,どういう形で持つかは別にしろ,機構が非常に弱いところですので,これは非常に必要だろうと思っております。これは前から申し上げていることですが。
 それからもう一点ですが,現在文科省のほうで,別に大学ポートレートって構想がありまして,そこでも大学の情報発信ということを出すということになっておりますので,そことの事業をうまく切り分けて,役割分担をしていただければと思います。以上です。

【谷口主査】
 ありがとうございました。堀委員お願いします。

【堀委員】
 高等教育局が主管なので,こちら個別大学の話ではないということを前提にお話しさせていただきたいと思います。いろいろと私この問題をいろんなところで話を考えさせていただいて,大学の国際競争力の問題などもあるだろうと思うのですけれども,グローバル人材の育成をするために,日本人の学生が海外に出ていくこと,あるいは向こうから来ていただいて,日本人の学生と交流していただいて,その影響を受けながら,グローバル人材がそれなりに育っていく,そういうことと,支援の在り方というものにほんとうに脈絡とか関連性があるだろうかということもそれなりに自分で検証しているのですよね。
 その辺の検証がきちんとできないと,何となく結びつきが希薄になっていて,非常に効果的な,先ほどPDCAとおっしゃっていたけど,PDCAを回せる,まずグランドプランがきちんとできないのではないかという気がするのですよね。ですからそこを,やはり一定の検証を踏まえた上でぜひ具体論を持った,しかも効果的な支援の在り方というのをやはりつくっていただきたいと思います。これ,個別大学の問題じゃないですよ。そこをよろしく。

【谷口主査】
 ありがとうございました。前原委員,先ほどお手が挙がっていました。

【前原委員】
 いいですか。

【谷口主査】
 はい,どうぞ。

【前原委員】
 2点申し上げます。1点は,留学生の宿舎等の環境整備が非常にプアだということをもっと明示的にお書きになるべきだと思います。同友会も宿舎提供をしていますけれども,会員企業の寮に入った学生は,7割ぐらいが日本の国内企業に就職しています。全留学生の平均2割ですから,やっぱり日本を好きになる学生が多いということですね。
 これを見ると,国際交流会館廃止と書いてありますが,ほんとうは今からいっぱいつくって,提供すべきときに,こんなばかなことをやっているのは変だなと思います。もし建物をつくれないのなら,民間が持っている宿舎をもっとうまく活用することに予算をつけるべきだと思います。
 それから2点目は,地方の経済界でも留学生を採用したいという気持ちが非常に強くなっています。地方の経済界と大学とが,卒業生全体ですが,留学生についてもビジネスマッチングをするという動きが全国で起きております。今回,若者雇用の委員会か何かありましたね。あそこでもそういう問題提起をされていますので,これに取り組んだら,相当急速に改善するのではないかと思っています。ぜひ優秀な留学生がたくさん日本で働いてくれるように頑張っていただきたいと思います。

【谷口主査】
 ありがとうございました。
 それで,最後に1つ残っていますが,学生生活支援における機構の役割ということで,1枚物でございますが,これについて,まだ発言しておられない新野委員のほうからご発言いただいて,大体これで終わりたいと思います。よろしくお願いします。

【大森委員代理(新野氏)】
 大森委員の代理で出席させていただいております新野と申します。第1ワーキングのほうでは,奨学金のところの議論をいろいろ参加させていただいておりまして,先ほど小林先生からもありましたとおり,一応奨学金のところについては,論点についてはあらかた議論はされ尽くされているのではないかということで,ちょっと私も発言はしていなかったのですけれども。
 全体を通じてということで,ちょっと僭越ながら,ご指名もいただいたのでお話をさせていただきますけれども,まさに教育というのはやはり将来に対する投資だという形で考えるべきではないかと思います。民間の金融機関の立場で言うと,今企業で求められている人材というのは,やはり国際ビジネスの中で戦える人材という形になっています。国内ではもう非常に厳しい雇用環境の中で,私どもお取り引きいただいているお客様も,国内ではもう円高とか電力事業とかいろんなビハインドな環境の中で戦って,どんどん海外に出ていかないと商売ができないというような国際競争の中で競争にさらされているということであります。
 企業に入ってから必要な人材を育成するという観点も当然必要ですけれども,将来に向かっての投資ということで,まさに学生に対しての支援として,国がどういう観点で,どんな力をつけるための投資をするのかということだと思っておりますので,奨学金もその1つの手段でありますでしょうし,留学生支援というのもそういった観点での1つの支援だと思います。そういう意味では大きな方向感の中で,限られた財源の中で,どこを重点化してやっていくのかという議論だと思います。
 当然,国の資金をベースに運営している機構でありますので,無駄があってはいけないということでありますので,ガバナンスという観点でいえば,事業のやはり透明性をどんどん高めて,国民に対しても理解を求めていくということが必要ではないかと思いますし,やはり行政の無駄という観点でのメスが入っているということであれば,情報開示,情報公開,それからその必要性についてもっともっと訴えていくということがやはり必要ではないかと思います。
 当然,将来の投資に当たっては,ある程度のコスト負担が必要だということは国民に対しても理解を求めるべきだと思いますので,そういった観点で,ガバナンスということで,今日も別の独立行政法人の議論で出てまいりましたけれども,例えば第三者の目を入れるようなそういった機関をつくるとか,いろんなやり方はあるかと思いますけれども,広く理解を求めた上での制度設計をしていくことが必要ではないかと個人的には考えております。以上です。

【谷口主査】
 うまくまとめていただきまして,ありがとうございました。
 学生支援機構の役割については,ここに書かれていますすべての学生を対象とする取り組み,これは大学が行うのが望ましいということで,固有のニーズに対しては機構がそれぞれ行うと,個別の大学では取り組めないような内容について機構が行うと。
 それから先ほど少しお話がありましたように,調査・分析を今後強化していく必要があると。これは機構全体の事業についてもそのように考えられると思いますので,この点についてはご理解をいただいたと思っていますので,これでちょうど,時間が5分ほど超過しましたが,今回の全体の会議を終了させていただきたいと思っています。
 それでは事務局から今後のスケジュールの説明をお願いいたします。

【保立学生・留学生課長補佐】
 今後のスケジュールが資料4になります。次回の会合は8月21日火曜日の10時から12時となっております。そしてその次の9月12日で最後のまとめとさせていただきます。
 それから今日これに引き続きまして,第2ワーキンググループを開催いたします。部屋がかわりますので,またご案内いたしますけれども,引き続きの先生方はよろしくお願いいたします。以上でございます。

【谷口主査】
 今日はどうもありがとうございました。次回は8月21日と設定しております。今後もこの議論を進めて,最後のまとめにしたいと思いますので,今日はどうもありがとうございました。

――了――

 

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