資料1-2 独立行政法人日本学生支援機構の在り方に関する有識者検討会第2回(平成24年6月28日開催)議論の主なポイント

事務局より、議題に沿って説明。委員による自由討議を行った。主な内容は以下の通り。

【第1ワーキンググループ(奨学金事業)論点整理(案)】

  • インフレ下の貸与事業は返済もしやすいが、デフレの時代には返済の負担が重くなりすぎないよう工夫が必要ではないか
    また、奨学金の申請は大学を通じて行われるが、所得制限の審査において、自営業者とサラリーマンの間で不公正が生じているように感じる。加えて、返済しない学生が多く存在することにより、二重に不公正が生じていると思うが、これをどう評価するか。
    学生の返還状況の悪い学校の責任の在り方をどう考えるか。学校も責任を果たすべきではないか
    学校別の延滞率についても、例えば目標値を定め、それを上回った場合に公表するなど、いろいろなやり方があるのではないか。(前原委員)

 

  • 所得連動返済型の奨学金は、卒業後の所得が300万円以下であり続ければ、学生からしてみればずっと返済しなくても済むことになると思うが、現在の雇用状況からすれば、その状況であり続ける者は増えている可能性がある。そうなると、返還が非常に滞っていくことになるが、これは原理的な問題として指摘しておく。(富沢委員)

 

  • 延滞者の状況に関して、学校名のみならず職種など、いろいろなデータを掌握してより詳細に情報を公開し、国民に考えてもらうことが必要。より具体的な議論をすることで、延滞の抑止効果に繋がるのではないか。また、詳細な情報を世間に公表して議論にさらさないと、当事者として責任を問われることになるのではないか。(石原委員)

 

  • 奨学金を受けている学生と話をすると、返還に関する理解が乏しく、その方法や、延滞した場合にどうなるのかということを知らない。奨学金制度の理解の促進をもう少し強める必要があるのではないか。(大本委員)

 

  • 大学院まで進学する場合は、債務額が莫大となる。貸与である以上、何らかの上限を考える必要があるのではないか。最初から多重債務者をつくることにならないようにすることは重要。(木谷委員)

【留学生支援事業】

  • 留学生の修了・帰国後のフォローとあるが、母国に帰ることを希望する者だけではなく、日本で働くことを希望する留学生も多い。フォローといっても、ルートが幾つかあると思うので、それに合わせた全体的な施策を考えていく必要があるのではないか。(富沢委員)

 

  • 留学生支援においては、単なる支援にとどまらず、どうやって大学の教育の中にとけ込ませていくのかという観点が重要
    また、日本人学生の派遣に関しては、給付奨学金も重要だが、奨学事業部の実施する貸与奨学金(海外留学奨学金)ももっとクローズアップすべきではないか。このあたりは機構の3事業の連携の問題で、機構だからできる話だと考える。(加藤委員)

 

  • ショートステイ・ショートビジット事業は、昨年度は震災の影響もあり実績が少なかったかもしれないが、ニーズはあるので強化していただきたい。学校協会としても機構と連携してPRをしていきたい。
  • 留学生の募集や説明会の開催に際しても、日本学生支援機構には学校協会等と連携してもらい、外国政府とのつなぎ役の機能を果たしていだきたい。そのような支援体制の確立を希望する。(小林(光)委員)

 

  • 情報収集や調査・分析といったシンクタンク的な機能が弱く、どのような形で持つにせよ、非常に必要性が高いと考えている。
  • 大学の情報発信として、大学ポートレートの構想があるが、これと役割分担をうまくすると良いのではないか。(小林(雅)委員)

 

  • グローバル人材の育成のための日本人学生の派遣、あるいは受け入れた留学生との交流を通じたグローバル人材の育成ということと、支援の在り方に、脈略や関連性があるか、その検証がきちんとなされていないのではないか。PDCAが回せるような、具体論を持った効果的な支援の在り方をつくっていただきたい。(堀委員)

 

  •  留学生の宿舎等の環境整備が非常にプアであるという現状を、もっと明示的に書くべきである。同友会の会員企業の寮に入った留学生は日本の企業への就職する割合が高く、日本を好きになる学生が多い。国際交流会館等の廃止はおかしく、むしろ寮を積極的に提供すべきだが、できないのなら民間が持っているものを活用できるよう予算をつけるべきである。
  • 地方の経済界においても留学生の採用の機運が高まっており、経済界と大学が留学生のビジネスマッチングをする動きが全国で起きている。これは、取り組めば相当急速に改善するのではないか。(前原委員)

 

  • 教育は将来に対する投資であり、学生への支援は、国がどのような観点で、何の力をつけるための投資をするのかということであって、奨学金も、留学生支援も、その一つの形。大きくみればそのような大きな方向性の中で、限られた予算の中でどこを重点化していくのかという議論。
  • 将来の投資のためのコスト負担について、国民に理解を求めることが必要であり、ガバナンスの観点から、透明性を高め、情報開示、情報公開をしっかりしていくべき。例えば、第三者の目を入れるような機関をつくることも一案。(大森委員代理・新野氏)

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