独立行政法人日本学生支援機構の在り方に関する有識者検討会第1回第1ワーキンググループ(平成24年5月30日)の議論の主なポイント

資料4

独立行政法人日本学生支援機構の在り方に関する有識者検討会
第1回第1ワーキンググループ(平成24年5月30日)の議論の主なポイント

  • 独立行政法人日本学生支援機構(以下「機構」)の長期の延滞債権の回収は、コストが高くなっているため、債権償却の在り方について検討する必要がある。また、延滞金(年利10%)の在り方についても検討する必要がある
     
  • 有利子奨学金の原資は財政融資資金。いわば国民から借りているお金であり、これをき損させるわけにはいかないので、回収の促進は必要である。
     
  • 教育的指導として、「適格認定」が行われているが、これは重要な制度である。現行の認定の内容は、ネガティブチェックをしているような印象があり、大学での学業を続けられるのかということは判断できると思うが、人材育成の観点から、学生の勉学の成果を評価し、優れた学生には返還を免除するなどインセンティブを与えることが必要ではないか。
     
  • 給付型奨学金の導入が難しいことを理由に、貸与の規模を拡大することが果たして良いことか。大学院まで借りるとかなりの返還額となることから、貸与の範囲をある程度限定的に考える必要があるのではないか。
     
  • 特に理系の学生に見られるが、多額の奨学金の貸与により、再スタートとなる卒業時に、既に、借入金の重い負担を抱えたスタートアップ・ロスの状態になってしまうのが現状である。
     
  • 機構の奨学金の性格や返還方法等、仕組みを理解している者は少なく、借りたあとで返済しなければならないことを知ったというような者も存在するため、奨学金に関する情報の伝達方法を考える必要がある
     
  • 機構においては、貸与を受ける最初の段階で返還誓約書を提出させており、学校においても、機構の職員とともに奨学金の説明を行っているので、お金を借りているという認識は充分あると思う。
     
  • 現在の奨学金事業は学校との関係が強いことが特徴。学校の負担など、こうした関係をどうしていくかについて考える必要がある。
     
  • 財源の問題は考えなければならないが、国の事業として、給付型奨学金制度を創設することが重要である。
     
  • 奨学金事業は給付型で、貸与型は補助的な存在であるというのが、あるべき姿だと思う。
     
  • 給付型奨学金は、優秀な学生に対する育英的な観点で進めてはどうか。
     
  • 日本の教育に対する公財政支出の対GDP比は低い。対GDP比が高い国は消費税率が20%であり、給付型奨学金の創設のためには、国民負担を高める必要があるが、現段階では、国民負担について合意が得られているとは言い難く、現状の貸与型に留まっていることはやむを得ない。
     
  • 奨学金事業を貸与型中心で実施するのであれば、民間の教育ローンに対して、国が、利子補給金や保証等のリスクテイクをし、学力等の基準など運用面の条件をつけるという奨学金の制度設計をすることは可能であり、更に民間へ業務委託する余地があるのではないかと考えられる。政策効果としては同じではないか。
     
  • 機構の奨学金と民間の教育ローンとでは目的が異なる。民間は経済合理性を念頭に貸与するため、入口の段階で将来に返済が可能か否か審査し、資力がない者や返済が厳しい者には貸与はせず、資金調達コスト、リスクプレミアム等を利子に上乗せしている。したがって、今の制度設計を前提として民間に移管することは困難。奨学金事業の制度の趣旨を損なわないよう、金融的手法と、制度趣旨のバランスをとることが重要
     
  • 機構の運営費交付金が削減される一方で、貸与規模が増大する中、我が国の財政事情を考えると、奨学金事業を安定的に実施するためには利子への上乗せなど、手数料を取ることも考える必要がある。アメリカでは手数料を取っているケースがある。イギリス、ドイツでは手数料を取らないが、財政的には厳しくなっている状況である。

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