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獣医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議(平成23年度~)(第9回) 議事要旨

1.日時

平成25年1月31日(木曜日) 10時00分~12時30分

2.場所

文部科学省5階 5F5会議室

3.議題

  1. 今後の獣医療供給の動向について
  2. 今後の獣医師の計画的養成の在り方について
  3. その他

4.出席者

委員

委員)伊藤委員、尾崎委員、金子委員、廉林委員、酒井委員、佐藤委員、中山委員、政岡委員、三角委員、山根委員、横尾委員、吉澤委員
発表者)アニコム損害保険株式会社獣医師 河本氏、社団法人中央畜産会常務理事 宮島氏、倉敷芸術科学大学学長 唐木氏

文部科学省

山野審議官、内藤専門教育課長、児玉専門教育課長補佐

5.議事要旨

議事の概要:事務局から配布資料についての確認があった後、以下のとおり議事が進行した(○:委員・発表者、●:事務局)。

 

(議題1について)

※ 資料1について、アニコム損害保険株式会社河本氏より、資料2について、中央畜産会宮島氏より説明。

○ 獣医師の需要予測について、獣医師の海外進出が要素として挙げられているが、どの程度を見込んでいるのか。大学が英語教育等を進めると仮定してのものか。
○ 現在年間50名程度海外に出ていることを踏まえ、平成42年で400名程度が海外に出ているという想定。大学での英語教育等が進むことを仮定しての話である。
○ 例としてシンガポールが挙げられているが、ライセンスの認定はどうなっているのか。
○ 大動物と小動物に分けて限った認定の仕方と、全てについてライセンスを認定する仕方とがある。日本から進出する獣医師については、ほとんどが全てで認められる。
○ シンガポールは小さいので、自国で獣医師を育てられない。医師でも同様だが、海外のライセンスを認める方向がある。
○ 獣医師の潜在的な需要予測について、将来飼育頭数は横ばいで、高度医療とその他の二極化している。将来が見込めないということで、小動物の新規獣医師が減ってきている兆候は既に認められるか。
○ 志望する学生が最初から高度医療の方に行くのではなく、最初は1次診療で経験を積んでから、高度医療の方に行くか、地域医療を守る方に行くかに分かれていくのでは。
○ 小動物獣医師数の推移について、平成10年から平成22年まで増加傾向というグラフだが、平成18年頃以降は横ばいで、それ以外は産業動物分野に移行しているという認識。また、2次診療の獣医師や補助者の増加による分業が進むと考えられ、小動物獣医師数の需要は減少するのではないかと考えている。
○ 獣医師の将来需要予測のグラフについては、海外を含め、不確定な数字も一部あるので、中間線に落ちるだろうと考えている。小動物医療の獣医師の需要は、今後どれだけ海外に活躍の場を求めていくかという政策にもよる。国内需要だけで見る場合、そう増えるというトレンドではない。
○ 日本の獣医系大学を出て海外に出る研究者は多いと思うが、獣医師として海外に出る人の現状を把握していれば教えて頂きたい。また、産業動物獣医師について、大規模化により獣医師需要の数に影響は出るのか。
○ 日本の獣医師免許で活躍できる海外の場はなかなかないのが現状。日本の獣医師免許がグローバル化すればもっと活躍できるかもしれない。
海外でレジデント教育を受け専門医の資格を取った獣医師は、帰国せずそのまま海外で後進教育に携わることも多く、もったいないと感じている。
海外の獣医学だけでなく、国内の他分野に出ていくこともニーズとしてあるのではないか。動物看護士が増加した場合、総合コーディネーターとしての獣医師の役割は求められるのではないか。
○ 産業動物診療については、管理規模の拡大により効率化が図られる一方で、診療では高度な知識が求められており、注射するだけといった仕事は減っている。
○ 産業動物診療では個体管理から群管理に移行してきており、診療内容が変化してきている。
○ 総合的に見ることのできる人材が求められている。

 

(議題2について)

※ 資料3について、倉敷芸術科学大学学長唐木氏より説明。その後、定員抑制方針、分野間偏在、入学定員増、大学の地域偏在の4つの論点に分けて議論。

(定員抑制方針)

○ これまで獣医師会は、量の増加は質の低下を招くとの理由で定員増に強く反対という立場だと承知。しかしながら、定員超過によって量の増加が既に発生しており、質の低下が生じている。現在の定員超過分を正規の定員と認めた上で、質の向上を図るべき。
私学の立場から言うと、競争相手は少ないほうがいいと思うが、ここでは、獣医学教育全体という観点から議論してほしい。
○ 平成25年4月1日からは、定員超過率の設定が1.20倍になる。医学部・歯学部は1.10倍。質の保証をするなら、数の整理は必要。ある程度定員管理をして、1.10倍と設定するなら私立・国立ともにその範囲内でやるべきだ。
資格制度は、ある職業に就いてよいというライセンスを国が貸与する制度。資格と職業保証はセットであり、資格を取得したのに職業が保証されないということはあってはならず、需給バランスは一体でなければならない。
獣医学教育はライセンス教育であるため、規制緩和するのではなく定員管理が必要。
○ 定員超過率を1.10倍にして厳しく管理した場合、卒業生が減り、国家試験合格者数が減るのでは。
○ まずは需給バランスを厳密に調べることが必要。
○ 需給バランスの将来予測には多くの不確定要素があるだけでなく、人の意志も介在する。獣医師の職域拡大のためには、獣医学教育側の意志の明確化も必要。
○ 定員抑制の必要性について、医学部の定員抑制では、医師が1人増えると医療費が億単位で増え、国の社会保障費の負担も増えるという話があり、それが抑制方針の理由づけの一つとなっている。
今頂いた議論は、教育の質保証の観点から、教員数が足りないことによる質の低下を防ぐために定員抑制が必要であるということだと理解。このほかに獣医学教育における定員抑制の存在意義があればご議論いただきたい。
○ しっかりとした外部評価を早く構築すべき。むやみに定員を増やすと歯止めが効かなくなるため、外部評価による基準をクリアした大学に関しては定員増を認めるという方式をとる必要がある。
  実質の1,100名に即して定員増を認めるとした場合、また新しい定員超過が発生するので、そうした定員増のやり方では際限がなくなる。
○ ライセンス分野を市場原理に任せ、教育機関を野放図に増やしていいのかということについては、議論の必要がある。
  平成19年に農林水産省が取りまとめた報告書では、今後必要な獣医師数について確定的なものは出てきていない。
  日本は獣医師1人当たり4000人の人口をカバーしており、日本の獣医師数は、人口比で見ると仏独よりも少ないが、英米よりも多く、国際比較からすると決して日本の獣医師数が足りないという状況にはなっていない。また、日本の獣医師では他国に比べ公務員比率が高いことから、職域の特殊性が見られ、議論が必要。
○ 資料で提示した国際比較による1.3倍に確実に根拠があるわけではなく、わかりやすい説明の仕方の一つとして提示した。抑制方針を維持する場合は、論拠が必要。
大阪府立大学をはじめ、教育改善を行った大学に関しては適正な定員を配置できるような仕組みづくりが必要。
○ 法科大学院の制度設計については現在も議論が尾を引いている。ライセンス教育の質保証や学生の職業保証についてはしっかり議論する必要がある。モデル・コア・カリキュラムが導入されたので、数の議論をすべき時期が来ているとは思うが、他のライセンス教育で起きたような失敗を繰り返さないためにも数の議論に加え、教育の質の問題、組織の問題、教員養成や大学院の問題等まだ議論していない問題を早急に議論するべき。
○ 国立私立問わず獣医学部の学生の養成には多額の国費が投じられていることを踏まえれば、定員抑制方針は維持されるべき。
○ 定員抑制方針について、青天井にして無制限の増を認めるべきではなく、維持されるべきということで一同一致しているということでよいか(異議なしの声あり)。
○ 教育の質の低下を招くような定員増を防ぐためにも、外部評価の構築が必要。また、本年度から開始した共同教育課程の検証をするところから始めないと、今の教育状態の中で定員だけ増やした場合、質の低下を招く。
大阪府立大学のように、自助努力で教育改善したところに対しては定員増を認めるべき。
○ 第三者評価委員会の基準作りが肝になる。基準となる教員数やS/T比を明記するくらいの厳格な基準を作ることが必要。

(分野間偏在)

○ 分野間の偏在について、小動物はほぼ飽和状態であり、大動物はご努力により大体需給バランスが整いつつある。公務員については、まだ地域による偏在がある。研究職については、唐木先生の述べられたとおり。
○ ライフサイエンスについて、製薬企業における獣医師の伸び代は十分にある。前回のヒアリングで話があったように、丸ごとの動物を扱うことができる獣医師に対する需要は大きい。食品分野でのニーズもあるのではないか。創薬研究においても、ライフサイエンス分野で大きな課題となっている基礎と臨床のイノベーションギャップを埋める存在として獣医師が進出の余地がある。
また、iPS細胞での再生医療研究について、小動物を使って先行研究ができないかと医学系研究者の間で言われているところであり、ライフサイエンス分野は、大学人の努力でまだまだ伸びる可能性がある。
○ 公務員獣医師について、成り手が少ないとの考えもあるが、職員定数が減っており、行こうと思ってもいけない実態もある。一度きちんと調査したほうがよい。
○ 教育が4年制から6年制に変わったにもかかわらず、受入れ先における業務内容は変わっていないのではないか。また、地域偏在について、地方の受入れ先における職場改善が重要なのではないか。

(入学定員増)

○ 930人の定員では足りないことがあるのかどうか、分析するところから始める必要がある。本当に今、1,400人の卒業生が必要なのか。国際比較では、今のところ1,100人の卒業生で国内需要は十分足りている。仮に930人と現状の差分を正規の定員とする場合、大阪府大等どの大学にどのように振り分けるのかについては議論が必要がある。
今後の定員数について議論するためには、モデル・コア・カリキュラム実施に必要な教員数やS/T比をどうするのか、また、附属動物病院を含めた教育施設の整備状況等も詰めて議論する必要がある。
○ 獣医師が足りているかどうか、もう一度調査をやるべきだとは思うが、結果にどの程度信憑性を持てるかは疑問。
きっちりと教育改善をした大学に対しては、定員増というインセンティブはあって当然だか、そのためにはしっかりとした基準・外部評価を早く構築しないといけない。
○ S/T比に関して、現状の施設・設備では参加型臨床実習において教員1人が対応できる学生数は3人程度が限界。農林水産省の基準ではそれよりも多い数が挙がっているが、現実的ではない。医学部の大学病院では、大抵1人か2人。
○ 共同教育課程により教員数が増えたのは事実だが、教育充実とイコールではない。完成年度まで評価を待つのではなく、その前に評価をすべき。また、モデル・コア・カリキュラムの実施に向けて、スタッフ不足等クリアしなければならない課題への手当について、議論することが必要。時期尚早な感じでここまで来てしまっている。
○ 共同教育課程の卒業生が出るのはこれから5年先、参加型実習が始まるまでまだ3年あるという状況の中で、定員増の是非を議論すること自体が難しい。
○ 教育の質保証が完全にならない限り定員の議論はできない。そうは言っていられないのであれば、現在獣医事に携わっていない約8,000人をどうにかしなければならない。
○ 8,0000人は、企業に勤めている人も含んだ数。実際に獣医療分野に携わっていないのは約4,000人位で、処遇やポストが理由はその一つ。
4年制教育を受けた獣医師と、6年制教育を受けた獣医師とでは、当然社会から求められる役割は変わっているはずと考えるが、社会構造が変わっていないためか、そうはなっていない。この現状をいかに変えるのかというのが、我々の仕事ではないか。
○ 大阪府立大学と市立大学が統合して獣医学部を作る際、最大の障害が定員問題。我々の目標としている獣医学教育改善を府大が必死にやっているときに我々が足を引っ張らないようにするのは最低限の義務ではないか。
○ 共同教育課程のある大学においては、学生定員の話は全く出ておらず、教育の質を高める、という1点のみ議論している。定員増をするためには施設等の面でも追加の対応が必要になるため、共同教育課程の大学では定員増について全く議論していないのが現状。
○ 教員を50~70名擁した場合に、学生数が30~40名で教育効率が高いと言えるのかということは、長年議論されてきたこと。外から見たときに許されるのか、社会的責任は果たせるのか。
○ 現在の共同教育課程では共同で実施する科目以外は各大学で対応しており、この状況の中で定員を増やした場合、増やした分に対応できる部屋等がないという問題が出てくる。
○ 共同教育課程について、遠隔地教育だけで本当に教育改善になるのか議論が必要。
○ 連合大学院のように、共同教育課程もこのまま何十年も続いていくのではないかと懸念している。6年後まで待たずに1年毎の検証が必要。
○ 共同教育課程については、完成年度を待つのではなく、年度ごとに自己評価する必要がある。大学の責任。学生の目線からはどうなのか。
○ 共同教育課程は、あくまで過渡的であるべき。学生が分散している状態で、本当に効果があるのか。真の組織統合までいかなくとも、学生をどちらかに集めて教育する試みを今から進めるべき。入学定員の増はその上で出てくること。
○ かねてよりの意見だが、教育改善の実施のためには根本的には再編・統合しかない。過渡的な措置がずっと続いてしまわないよう、この数年間、検証することが必要。
○ 年齢構成のことも考えなければならない。現在、獣医師の50%が50代や60代。この人たちが抜けるときに、十分な補充ができるかということも考慮して議論するほうがよい。
また、獣医系大学について、地域的な配分や配慮が必要なのかどうかも含めてきちんとした検討が必要。大学設置審査ではしっかりした説明が求められる。
○ これまで50代・60代の獣医師が産業動物臨床にかなり入っていた。公務員も同様。現状では、この方たちが抜けるときに、再雇用するなどして補てんしている。少なくとも、北海道ではそのような現状。
○ チーム形態が大きく変わってきており、動物看護士が法的処遇を持ち、例えば獣医師1人に3人の看護師がつくようになると、獣医師の需給問題は大きく変わってくる。
○ 大阪市立大学・大阪府立大学の統合に際し、新大学構想会議より、獣医学部・研究科の設立と入学定員の増について努力するようにとの提言があった。

(大学の地域偏在)

○ 私立には建学の精神があり、簡単にはいかないと思うので国立にターゲットを絞って議論するべき。
○ 学生の進路動向を見ると、獣医系大学を増やすとその地方の公務員獣医師が増えるという単純な関係ではない。
○ 新設はここ何十年もない。入学定員数を適切な数まで増やしたうえで上限をかけ、増加分の定員については既設の大学に割り振るのが望ましい。その後にライフサイエンスや公衆衛生、大動物臨床に特化した施設を地域の偏りを無くすような形で一つ作ることは、獣医学教育のためにも、日本のためにも望ましいことだろう。但し、それが本当に可能か否かについてはまた別の議論が必要。頭から否定するのではなく、将来像を描いたうえで議論すべき。
○ 第8回の協力者会議で学生の進路動向について議論した際、地域に大学があるから地域に就職するとは限らないとのことだった。教員の進路指導に対する熱意が必要なことで、教育施設があるからその地域に就職するわけではない。
○ その一方で、自地域内入学率と、自地域内就職率には強い相関関係があるとの分析結果もあり、この観点も見逃せない。
○ 都市部では自地域の大学に入学した場合は自地域に就職するという強い相関関係がある一方、地方ではそれほどでもないというのが今回の分析結果。
○ 全国の国公立大学の農学部長が議論した際、全国均一に存在するのが望ましいという結論だった。
○ この協力者会議ではデータをもとに議論した方が良いということで、今回広範囲に就業動向を調査した結果、このような傾向だったということ。
大学が地域に存在することによって良い面もあると思われるが、どうか。
○ 学会をやっているとよくわかるが、獣医系大学のある地域は学会も活発で、大学が地域の獣医学の基幹となっている。
○ 地域における二次診療の拠点としての役割もある。また、卒業後の研修のプラスにもなるという利点がある。
○ ライフサイエンスに関しては、地域偏在は考える必要はない。

※ 追加意見等ある場合は事務局に提出することとし、議事は終了した。

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-- 登録:平成26年06月 --