獣医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議(平成23年度~)(第3回) 議事要旨

1.日時

平成24年8月3日(金曜日)10時~12時

2.場所

文化庁2F第1会議室

3.議題

  1. 「教育実施状況調査」に関する中間的な報告~各大学におけるモデル・コア・カリキュラムの対応状況を中心に~
  2. 教育改革の進捗状況と改革の推進に向けた課題の整理について

4.出席者

委員

石黒委員、伊藤委員、尾崎委員、廉林委員、酒井委員、佐藤委員、菅沼委員、竹中委員、中山委員、政岡委員、三角委員、山根委員、横尾委員、吉川委員、吉澤委員

文部科学省

山野大臣官房審議官、内藤専門教育課長、児玉専門教育課長補佐

オブザーバー

池田農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課長、滝本厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課長

5.議事要旨

議事の概要:
冒頭、座長から第3回会議をもって座長及び委員の辞任の申し出があり、後任の座長の選任を行い、伊藤委員が選任された。また、所属機関等におけるポスト異動に伴い交代のあった委員等について紹介があった。その後、議題1及び2について報告及び意見交換があった。概要は以下のとおり(○:委員、●:事務局)。

 

(議題1について)
○参加型臨床実習のガイドラインについて、既に臨床実習をやっているにもかかわらず、まだ検討中という段階の大学がある。ガイドラインに対応するための体制は早急に整備する必要があるのではないか。改革を一体的に進めようにも、まずほとんどの大学が、次のステップに行けない状態ではないか。
○このような調査をしたときの回答責任者について、どういう立場の方が大学で担当されているのか。今、改善の流れがあるので、学部長や学科長ではなく、教育改革を意識した組織体があって、その中で議論して対応しようということが起こっているのではないか。そうした組織体からこのような調査にきちっとした回答が出るような仕組みにしないと、調査をしても、今後の教育改善は進まないのではないか。実際に、大学から出てくる声がそういうところできちっと議論され、改善されていく、ということをお願いしたい。
○これだけ膨大な資料となると、学部長だけでは答えられないところがある。まずは事務に投げ、教員が書かざるを得ない場合は、協議委員会に投げ、その中の応用・臨床の先生方に投げるという形になるので、各大学から出てくる色々な事項は、各大学の先生方の認識を大体反映していると理解してよいのではないか。
○今回の場合は、第1次協力者会議でややトップダウン的な感じで出したので、学科あるいは学部全体で動こうというレベルではまだない感じがしている。このため、第1次協力者会議後、全教員に聞いてくれという形で、全国4回に分けて、教育改革の趣旨と、何を考えているのかということを、出席をとるような格好で、全教官に聞いてもらったということをした。
○ボトムアップ・トップダウンに係らず、あるガイドラインで方向性を出した上でまとめていこうというやり方は、決して悪いことでも何でもない。しかし、調査については、責任者を明確にするとともに、方向性に関する定性的な声は、ボトムアップで出てきてもらいたい。
○産業動物・臨床実習について、学生にまず現場を知ってもらいたいということで、NOSAIも十数年来、学生を現場で受け入れてきている。しかし、大学からの話となると日誌をつけたり報告書を出したりなど参加型実習のようなやり方になるため、学生が軽い気持ちで来られない。大学の教育として、実習はこうしなければいけないという点と、現場をまず見て欲しいという点の接点が非常に難しい。
○従来、参加型・見学型という区別もなく実習が行われてきたが、モデル・コア・カリキュラムが出来た段階で、それぞれ実習について求められている内容はかなり違うということが徐々に認識されることになった。
○臨床実習について、大学に入ってきたときの見学型から、外科、内科がやるような基盤実習があり、今回、参加型実習ができた。そして、それらが終わった上でのインターンシップというアドバンスの実習があり、この4つの実習について多少受け皿のほうにも、送り出すほうにもまだ混乱が起こっている。基本的にNOSAIに両方頼む格好になるのか、あるいは大学の牧場を共同利用という形で認定するのか。どこが実習の対応をするのかについて、明確にしていかなければならない。
○NOSAIとの関係に関して、既に北大と帯畜大と酪農大学と北海道NOSAIとの間で、1・2年生の実習と、3・4・5年生の導入・基礎・アドバンス的な実習のカリキュラムをNOSAIのほうで組んでいてくれている。その雛型は北海道NOSAIのほうにあると聞いている。
○地域によって違うと思うので、議論をして共通の情報として認識をしないと、ばらばらになって全国レベルで混乱が起きてくる。
○教育の3分の2はコアカリで対応するということが確定しているので、コアカリ対応の教育はすべて大学の責任でやり、そしてアドバンスについてはそれぞれの地域や職域等で対応するというような、一つの原則を作っておかないと、混乱が起きる危険性があるし、共済の先生方に対して負担が生じる。
小動物のほうは学内対応というのが大体基本だが、産業動物については、丸投げにしてしまうような感じは、絶対に禁止すべき。

 

(議題2について)
○人材不足については、当面は緊急避難的に講師派遣や非常勤や持ち回りという格好になるが、長期的に考えれば、その分野の人材をどのように育成・確保していくかということを考えなければならない。教育体制等その他の項目についても、ここに挙げられた問題点について、具体的にこれから議論いくということになると思う。
第1次の協力者会議で出した方向性について、現状でのずれがかなり整理されてきた。今後、さらに進めていくに当たりそのずれをどう乗り越えていくかそこが非常に重要になってくる。第三者評価にせよ、アドバンストの教育体制にせよ、共用試験にせよ、今はかなりの支援、あるいは研究費をもらって進めているが、ある程度体制が出来上がった後について、それを持続させるための機構やその機構の維持費用等をある程度本気で考えておかないと、人的な資源及び経費というものは、深刻になってくると思う。
○人材不足の分野について、教育組織の人材の数をトータルでどうするのか。国立農学部長会議の特別委員会の喜田答申をどう動かすのかというところまで議論を詰める必要がある。
○第1次協力者会議の最後のコアカリ策定の質疑の中で、51科目19実習に必要な人員数がどの位になるという議論があり、70プラスマイナス前後という数字が述べられていた。
○教育も常に進展していくので、70前後というのは一時的なもの。喜田答申のときも、当分の間54名ということだった。
○喜田答申から10年経っている。結果的には、大学基準協会の出した72名、その前後人は必要。そういうコンセンサスはずれていないと思う。
○問題は、教員数だけそろえればいいという問題ではない。本当に専門家がいない分野をどのように補充していくか。当面は、短期的には非常勤で代用できるかもわからないが、長期の教員養成の観点から、プログラムを作っていかないと、厳しいのではないか。本当にどこが足りないのか、まずはあぶり出しをしなければならない。
○第三者評価について、それの前の段階として、全国協議会、国公立協議会、私立獣医学協議会の3団体と日本学術会議、大学基準協会、獣医師会、日本獣医学会の関係7団体がこれまでもいわゆる昭和53年の入学者から一貫6年制教育ということで協力してきているので、この枠組みについても、これから連携を強化しなければいけないのではないか。
○共用試験については、8,000題近く集まり、これから、その中から問題の選定を行い、トライアルに入っていくということで、科研費もついているし、比較的順調に動いている。
○人材不足について、非常勤講師に頼むしかないが、やはり前提として、現在いる教員も努力して教えられるようにするということが必要ではないか。将来的にはもちろん人材育成を考えなければならないが、ここ何年かということを考えたら、やはり遠隔あるいはビデオ講義の教材をきちんと作った上で、現在、教員がある程度分担してやらざるを得ず、汗をかく必要がある。
もう一点は、産業動物の臨床実習に関して、コア・カリキュラムのコアの部分については、共通の実習センターを全国に2つ程作り、そこでやった方が、各大学・教員の負担は減ると思う。せっかくこれだけ制度を色々作っても疲れてしまってはどうしようもないので、負担を減らすということも考えながら、継続できるような制度にすることが必要。
○1ページのイメージ図について、23年の3月からかなり時間が経過しているので、改訂版を事務局で改訂版を作って頂きたい。
○共同学部の推進と更なる体制の充実についてそろそろ議論するため、共同学科・共同学部の効果の検証をやらないといけない。現行大学院の費用対効果から、いい面もあった、悪い面もあった。もう一歩踏み込み、いわゆる再編成も含めて議論していく必要がある。
○今、共同教育課程という一つの方向に進む流れになっているが、質を保証できれば、多様な教育パターンがあってもいいのではないか。
○やはり質の保証というのが一番大事。それがあった上で、いかにそれぞれの大学の特徴を乗せていくかということであり、質の保証ができれば、いろんなパターンがあっていい。また、質の保証ができればよく、もっとグローバルな考えでもいい。
○こういった人材を育成するんだという理念・目標がきちっと決まった上で、ではそれを実現するにはどういうことをやったらいいかと。それがもし、他大学のほうと合致すれば、連携・協力していくというようなこともあり得る。
(以上)

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