薬学系人材養成の在り方に関する検討会(第16回) 議事録

1.日時

平成25年12月25日(水曜日)13時30分~15時30分

2.場所

文部科学省東館13階 13F1、2会議室

3.議題

  1. 薬学教育モデル・コアカリキュラムの改訂について
  2. 薬学部及び大学院における研究・教育等の状況に関するフォローアップについて
  3. その他

4.出席者

委員

永井良三座長、市川厚副座長、井上圭三副座長、稲垣美智子委員、乾賢一委員、生出泉太郎委員、太田茂委員、勝野眞吾委員、北澤京子委員、倉田雅子委員、橋田充委員、松原和夫委員、村上雅義委員、望月正隆委員、望月眞弓委員、森山芳則委員

文部科学省

中岡大臣官房審議官、袖山医学教育課長、平子医学教育課企画官、丸岡薬学教育専門官、日下部技術参与ほか関係官

オブザーバー

厚生労働省 医薬食品局総務課 中井薬事企画官

5.議事録

【永井座長】  時間になりましたので、第16回目の検討会を始めさせていただきます。
 委員の皆様には、お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
 事務局から委員の出欠状況の報告と配付資料の確認をお願いいたします。
【丸岡薬学教育専門官】  本日の欠席の委員でございますけれども、野木森委員と平井委員が欠席でございます。
 それから、前回欠席されまして、今回出席いただいている委員を紹介させていただきたいと思います。
 まず、倉田委員でございます。
【倉田委員】  倉田でございます。よろしくお願いいたします。
【丸岡薬学教育専門官】  続きまして、松原委員でございます。
【松原委員】  松原です。どうぞよろしくお願いします。
【丸岡薬学教育専門官】  村上委員でございます。
【村上委員】  村上です。よろしくお願いします。
【丸岡薬学教育専門官】  望月眞弓委員でございます。
【望月(眞)委員】  望月でございます。よろしくお願いいたします。
【丸岡薬学教育専門官】  続きまして、事務局に異動がございましたので、紹介させていただきます。
 10月から医学教育課長、前任の村田課長に替わり、袖山課長が就任しております。
【袖山医学教育課長】  袖山でございます。よろしくお願いいたします。
【丸岡薬学教育専門官】  続きまして、資料の確認をさせていただきます。配付資料でございますけれども、1枚目、議事次第がございます。資料1として、薬学教育モデル・コアカリキュラム(案)でございます。資料2として、同じく案でございますが、前回の検討会以降の修正見え消し版でございます。資料3として、パブリックコメントにおける意見でございます。資料4として、薬学準備教育ガイドライン(例示)(案)でございます。資料5として、薬学アドバンスト教育ガイドライン(例示)(案)でございます。資料6として、薬学教育モデル・コアカリキユラムの基本理念と利用上の留意点について(案)でございます。資料7として、同じ物で、見え消しの物でございます。資料8として、薬学教育モデル・コアカリキュラム改訂の概要でございます。資料9として、薬学実務実習に関する連絡会議についてでございます。資料10として、今後想定される検討スケジュールでございます。資料11として、平成26年度大学院4年制博士課程における自己点検・評価の内容(案)でございます。資料12として、6年制薬学部への編入学・転学部に関する調査でございます。資料13として、平成21~25年度の入学試験・6年制学科生の修学状況・国家試験合格状況でございます。
 そのほか、机上の資料として、前回までの検討会の会議資料と、コアカリキュラムの冊子、薬学と医学と歯学のものを配付させていただいております。
 資料の説明は以上です。
【永井座長】  ありがとうございました。
 それでは議事に入りますが、本日は、薬学教育モデル・コアカリキュラムの改訂につきまして、最終的な決定を行いたいと思います。また、フォローアップ・ワーキンググループの検討状況についても御報告いただく予定になっております。
 この薬学教育モデル・コアカリキュラムの改訂でありますが、平成23年5月開催の第7回におきまして、薬学教育モデル・コアカリキュラムを改訂することを決めまして、以来、御検討いただいてまいりました。前回の会議以降、日本薬学会においてアンケート調査結果を踏まえた修正を行っていただき、また、文部科学省においてパブリックコメントを実施した上で、このたび最終案が作成されております。
 それでは、専門研究委員会の座長をお務めいただきました市川委員から、その内容についての御報告をお願いしたいと思います。
【市川副座長】  それでは、私の方から説明させていただきます。
 先ほど資料の説明がありましたように、資料1、資料2、資料3というのが一つのセットですけれども、資料1は、改訂コアカリの今回の最終案ということであります。資料2は、そこに至るまでの前回の検討会以降の変更部分が見え消しになっているもの、資料3が、パブリックコメントのまとめということになっています。
 このコアカリキュラムの改訂作業については、先ほども説明がございましたように、本年4月に中間まとめという形で、大学にまず出しました。大学のアンケートを整理して7月に検討会でその内容を精査しまして、日本薬学会の作業チームにその内容を基に検討してもらうことをお願いしたということであります。
 日本薬学会においては、8月に集中的にその作業を行っていただきまして、その後、9月に薬学会の改訂案に基づきまして、全国の大学等を対象とする説明会を行いまして、10月に文部科学省においてパブリックコメントが行われました。そのパブリックコメントの内容が、繰り返しますけれども、先ほどの資料3ということになります。
 コアカリの内容の変更、あるいは追加・削除を求める意見等がございましたし、また、専門用語の修正意見、あるいは薬学教育の内容や在り方に対する意見などがあったわけですけれども、その中で必要なものを盛り込んだ形で、資料2の見え消しの中に入っているということになります。
 見え消しの部分を基に少し説明をさせていただきたいと思います。訂正した部分に関して、このモデル・コアカリキュラムの各SBOあるいはGIO等々に関して線が引かれております。アンダーラインが引かれた部分が新しい文章ということになります。
 この中、全体の中では、先ほどありました用語の訂正とか、ケアレスミスみたいな訂正ももちろんありますけれども、あと、SBOに対する修正というものを幾つか取り込んだものがございます。それらをポイントに少し御説明をさせていただきます。
 まずは、1ページの真ん中辺りにマル2、「薬剤師が果たすべき役割」というところがございます。そのマル2のところで、薬剤師の活動分野というところで、「医療機関、製薬企業、衛生行政」という言葉があったわけですけれども、その間に医療提供施設の「薬局」というのが言葉として抜けていたので、「薬局」を入れたという訂正を行ったということです。
 それから、少し先へ行きますけれども、19ページの上の三つ目ですけれども、代表的な受容体のアゴニストとアンタゴニストというのがございます。それぞれにおいて、ここに「作用薬、作動薬、刺激薬」という言葉、それから「拮抗薬、遮断薬」という日本語をここに足したということでありまして、これはほかの部分、薬理のところにもこういう言葉が出てきたわけですけれども、これは使う分野によって少し表現が違うので、それでいつもなかなか統一したものが出ないので、ならば学生にとってはいろいろな用語表示のあることを理解してもいいということで、この言葉を全部入れたということになります。
 それから、ページの先へ進みますと、23ページになります。そこのところで、(1)というのがありまして、「細胞の構造と機能」。その下にマル1、「細胞膜」というのがありますけれども、そこに「細胞膜を構成する代表的な生体成分を列挙し、その機能を分子レベルで説明できる」という文章に変わったわけですが、もともとは、そこは「細胞膜の構造と性質について説明できる」ということで、少しざくっとした言い方で、一体どこまでかという範囲が分からないので、まずその成分というところが列挙されて、「分子レベルで説明できる」と、こういう書き方に変わった。それから、膜の機能の1例としての「エンドサイトーシスとエキソサイトーシス」という言葉をマル2に新たに追加したという格好になっています。
 それから、次に24ページのところですけれども、(2)のマル8のところに、「生体分子の定性、定量」というのがございますけれども、ここに、「脂質、糖質、アミノ酸、タンパク質、もしくは核酸」という言葉に変えたわけですが、もともとは、「もしくは」という言葉がなかったのですが、核酸の定量というのはいろいろなものがございまして、非常に難しいものもあるし、易しいものもあって、いろいろ難しいので、ここは定性・定量に関しては、どれかができればいいのではないかという見方で、それぞれに関して、もしくはと。やれる人は全部やるだろうし、やれない人は幾つかという表現に変えたということで、「or」というつなぎ方をしたということであります。
 それから次に、26ページのところであります。これは用語の問題ですけれども、幾つかいろいろなアンダーラインがついておりますけれども、マル3の「脂質代謝」のところで、「脂肪酸の生合成とβ酸化反応について」は、「β酸化」という言葉で整理しました。
 それから、27ページのところで、下の方にあります「(7)細胞の分裂と死」というところの、その下にある「細胞分裂」というところで、「細胞周期とその制御機構について」というところです。元の文章は、「細胞周期について説明できる」となっておりまして、少し大きな捉え方をしているので、具体的に「制御機構」という言葉を入れて、そこを説明できるという言葉を追加したということであります。
 それから、次の28ページになります。C7のところで、(1)のところのマル3、「器官系概論」というところがございます。この器官系概論の2番目のところですけれども、「組織、器官を構成する代表的な細胞の種類を列挙し、形態的および機能的特徴を説明できる」という言葉。これを新たに追加したということであります。これでかなり中身が分かるようになったということであります。
 それから、次は39ページのところでありますけれども、これは先ほどのアゴニスト、アンタゴニストのところが、同様に変わっています。(1)の下にある真ん中のマル1、「薬の作用」の2番目のところに訂正を加えたということです。
 それからあと、言葉としては、53ページを見てください。このページ53のところで、ここに少し幾つかの違う訂正を入れております。これは、最近の法改正で、OTC薬イコール一般用医薬品と捉えられ方を従来していたわけですけれども、今度新しく、要指導医薬品というのと一般用医薬品、その中に第一類、第二類、第三類というような捉え方になったので、それに合わせて、「一般用医薬品」という部分に、全部「要指導医薬品」という言葉をつけ加えたというのが入っております。
 このようなことで、あと、各GIOのところで取消線が入っていますけれども、これは前回、ここの委員会でも決めましたように、GIOのそれぞれにおいて、ニーズの部分に値する「何々のために」というのを全部入れてきますと、よく似た言葉がずっと全部入ってしまうということで、それは省略していいのではないかということで、これも薬学会にお願いをして承諾してもらったということで、それぞれのGIOの中から、そのニーズに該当する、「何々のために」が省略されたものがかなり多いということで、必要なところは残っています。その辺が非常に大きく変わっていったということであります。このような改訂をした結果、全体といたしましては、分量は変わっていないということでありまして、もともと1,067個あったSBOが1,073個になったということで、ほとんど変わりがありません。
 それから、ここの検討会で非常に力を入れて訂正した部分のAの部分の「基本事項」、それからBの部分の「薬学と社会」。ここに関しては、これを少し文言が入ったりはしておりますけれども、基本的にはほとんど変わらず、この検討会で作成した部分は尊重した格好で、そのまま残したということであります。
 それから、あともう1点は、専門委員会で議論になりまして、理解された内容について付け加えさせていただきますと、72ページです。この72ページのところに、ここは薬学臨床の内容が入っております。実務実習の概要ですけれども、そこの中で、(5)の下にマル1、「在宅(訪問)医療・介護への参画」と、あるいはその下のマル3、「プライマリケア、セルフメディケーションの実践」、こういうものが新たに検討の結果、加えられています。それについて、全てのこの内容が実習施設で本当にできるのかというようなことで、かなり議論が行われましたけれども、日本薬剤師会を中心にして、関係者が今後努力をし、実施までに解決するということで、モデル・コアの必須項目として、ここに入れさせていただいたということを特に付け加えさせてもらいます。
 大きな改訂部分はそういう内容で、あとは、ほとんど前回と同じです。
【永井座長】  ありがとうございました。ただいまの御説明に、御質問、御意見、おありの方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
【村上委員】  よろしいでしょうか。恐らく前回のこの会議で御検討されたんだろうと思いますが、前回欠席していたということと、今回で決定されるということなので、言葉の使い方について確認させてもらいます。資料2の64ページ、この「薬学臨床」という言葉は、もともと「薬学臨床教育」という言葉であったものを、ほかとの関係も含めて、「教育」という言葉を切られたということなんですが、「薬学臨床」というふうな四字熟語になってしまうと、そのイメージするところが異なるように思え、今までのコアカリキュラムの名前としてあった「実務実習」と同じイメージを薬学教育関係者が持てるのかどうか、その確認をさせていただきたいんですけれど、いかがでしょうか。
【市川副座長】  この話の、「教育」を外したときにも若干そういう意見もございましたけれども、基本的には取っても一応理解できるのではないかということで、それであとは文言整理として全部を取りましょうという意見が主になったので外しました。その段階において、委員会としてはコンセンサスがあるという格好で、各大学に出しました。それに対してコメントはほとんどなかったということで、理解いただいたというように私は思っております。それからパブリックコメントの中にもなかったです。
【永井座長】  ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。まだできたばかりですが、これは見直しというのは、今後どういうことになるんでしょうか。ちょうど今、医療の方は、地域医療計画とか、ビジョンとか、いろいろ変わりつつあります。恐らく3年、4年たつと、相当地域医療の進め方も変わってくると思いますね。
【市川副座長】  そうですね。私の独断で答えられるかどうか分かりませんけれども、見直しは、やはり必要に応じてやっていく必要があるかと思うんです。今回は、かなり大きな改訂になったので、構築そのものも変えるというようなことは、今後はそれほど急に何年おきというわけにはいかないと思うんですけれども、マイナーな部分では、必要に応じて改訂することはいいのではないかというように思っています。特別にこういうことを議論はしておりません。
【永井座長】  また問題が出てきたときに考えるというぐらいでよろしいでしょうか。
【市川副座長】  そういうことです。
【永井座長】  よろしいでしょうか。もし御異議おありでなければ、この案のとおり決めることに決定することにしたいと思います。
 はい、どうぞ。
【生出委員】  資料2の53ページに、新たに法律でできました要指導医薬品が入っているんですが、「医療用医薬品を含む薬局医薬品」という言葉はどこにも入らなくていいのかなと思いまして、質問申し上げました。このほかに、新たにできたのは、薬局医薬品というのは、もともと文言としてあったわけですが、その中には、医療用医薬品と薬局製造販売医薬品のことを薬局医薬品と言い、薬剤師が対面で薬学的知見の下に情報提供を行うということが決められているんですが、そのことが1行も入らなくていいのかなというのがちょっと心配なんですが、どういうものでしょうか。
【永井座長】  いかがでしょうか。
【市川副座長】  詳しい人は、望月委員。すみません。
【望月(眞)委員】  適任かどうかは分かりませんが、ここのところですけれども、セルフメディケーションを意識した中での、もともとOTC薬品のところの扱いの項目ですね。そうしますと、今の薬局医薬品を入れてしまいますと、もともとの趣旨とずれていきますので、ここは、いわゆる一般用医薬品と、それから派生して今回新しく区分された要指導医薬品という、そういう整理だと思います。
【生出委員】  すみません、質問の仕方が悪かったんですが、ここの(9)の7番に、「要指導医薬品・一般用医薬品と医療用医薬品、サプリメント、保健機能食品等との代表的な相互作用を説明できる」等々がある中に、どこかに、大きいところではなくて、薬局医薬品と医療用医薬品というようなところに、例えば、「薬局医薬品」という言葉が入らないのかなと思ったんです。
【永井座長】  サプリメントよりは前の方。
【生出委員】  医療用医薬品という物の中に、医療用医薬品は薬局医薬品の中に入っているので、薬局医薬品(医療用医薬品・薬局製造販売医薬品)とか、括弧でくくるとかという入り方ができないのかなと思ったんです。
【永井座長】  事務局と検討していただければ。
【生出委員】  はい。
【市川副座長】  それは預からせていただきます。私自身がちょっと分かっていないので。
【永井座長】  ほかにはよろしいでしょうか。
【望月(眞)委員】  すみません。
【永井座長】  はい、望月委員。
【望月(眞)委員】  ちょっと先走ってしまうのですが、資料4の薬学準備教育ガイドラインというのと、今回のモデル・コアカリキュラム(案)の中で御検討いただきたい点がございまして、まず資料2のモデル・コアカリキュラム(案)の方の56ページの真ん中に5「生物統計」というのがございます。この56ページの5の生物統計の1.が、「基本的な統計量(平均値、中央値、標準偏差、標準誤差、信頼区間など)を説明できる」という文章でございまして、もう一つの準備教育ガイドライン、資料4になりますが、こちらの7ページに、5として一番上に、「統計の基礎」というのがございます。こちらの3.になります。が「平均値、分散、標準誤差、標準偏差などの基本的な統計量について説明し、求めることができる」ということで、知識と計算の技能と両方求めているものになります。準備教育ガイドラインの方で、これが入っているということで、これと先ほどのモデル・コアカリキュラムの方とを見比べますと、モデル・コアカリキュラムの方が技能が入っていない分、易しいSBOになってしまっております。
 それで、実はここに関しては、パブリックコメントの段階で、ここをどう位置付けを考えるかということで御提案をしておりまして、この準備教育ガイドラインでの、「平均値、分散、標準誤差、標準偏差などの基本的な統計量」というのは、特に臨床研究とかそういうことではなくて、例えば動物実験をしたデータですとか、いろいろな科学実験をしたときのデータ、それについてもこういう統計的な処理ができるということの基本技能というのを求めるSBOであるというふうに私は認識しております。一方、コアカリキュラムの方の、ここの5の生物統計というのは、臨床開発等に絡んだ臨床試験ですとか、疫学研究ですとか、そういったものの基礎となる、いわゆるバイオスタティスティクスと昔言っていた部分ですね。そこのところを置き換えた部分になります。ここについては、いわゆる多数の人の集団のように、いろいろなヘテロな集団の中での平均値とか、標準偏差の考え方と、それから動物のように、割とほとんどばらつきのない状態の考え方との違いを意識してもらうために、「臨床研究における基本的な統計量(平均値、中央値、標準偏差、標準誤差、信頼区間など)の意味と違いを説明できる」というのを御提案させていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
【市川副座長】  ここは重複しているというか、今の現状ではそうですね。それから、モデル・コアの1番のところの先ほどの生物統計の部分、ここを少し検討はしました。今の望月委員の御指摘をお聞きしたところで、私の感じからすると、臨床研究による云々という言葉を入れることによって、こちらの方の位置付けがはっきりすると思います。モデル・コアの方ですね。それは、この薬物治療の中にそれを入れるということですね。片一方は準備教育ですから。私が最初思ったのは、準備教育と薬物治療とがよく似た言葉があっても別にいいのではないかというように思ったのです。片一方は数字統計的なものがあって、そして、それを薬物治療に使うときにはこういうことを配慮しなければいけないと、今、先生がおっしゃったようないろいろな問題だと思いますけれども。そのときに、確かに表現的には「基本的な統計量」という言い方をしているのは、余り妥当ではないのかなという気がしてきて、場合によっては、今、先生がおっしゃった「臨床研究における」という頭書きを入れた方が、少しはっきりするかなということで、それを入れることによって、ものすごく高度になるわけではないと思うのですが、余り高度になると、実際にモデル・コアに入れていいのかなというところはちょっとありますので、「臨床」という言葉を使うと、ものすごく幅が出ちゃうのだけど、そこのところですよね。
【永井座長】  何との違いとおっしゃられていたんでしょうか。
【望月(眞)委員】  臨床研究における基本的な統計量(平均値、中央値云々など)のそれぞれの意味と違い、例えば平均値と中央値の違いですとか、標準偏差と標準誤差の違い、もちろん数式上の違いもありますが、意味的に標準偏差と標準誤差はどういうふうに違うとか、そういう形で、意味と違いを説明できるということではいかがでしょうかという御提案です。
【市川副座長】  一番頭に、「臨床研究における」というのを入れて、それで「基本的な統計量」、括弧の中はこのままにしておいて、そして、その後ろに、「それぞれの意味と違いを説明できる」と。それでよろしいですか。
【望月(眞)委員】  はい。
【市川副座長】  ほかの方はいかがですか。私は余り違和感ないのですけれども。
【北澤委員】  全く素人で、今のカリキュラムでどのぐらいの教育がなされているか知らないで発言しているんですけれども、この資料2の56ページの「生物統計の代表的な分布について概説できる」とか、この4番の「ノンパラメトリック検定」とか、「t検定とχ2検定を実施できる」ぐらいはできてもいいのかもしれないですけれども、薬学の6年の学部レベルにしては、ちょっと難しいのかなと。それに比べると、マル6番の「臨床研究デザインと解析」のところは、本当に基本のところが入っていると思います。今も生物統計はこのぐらいのことはやっているんですか。
【望月(眞)委員】  今までのコアカリキュラムには、かなり三角がついて載っているという形になります。今回、いわゆるレギュラトリーサイエンスですとか臨床開発ですとかというところについて、かなり強化した形で今度のコアカリの中に入れるかという中で、かなり三角のついたSBOから三角を取った形の繰り上げになったSBOもあります。ですので、確かに並んでいる言葉からすると難しいと思うんですが、かなりの部分は概説できるということにとどめておりまして、実際に計算するというところまで求めるのは、アドバンストなカリキュラムの方というような形で、整理をさせていただいてあると思います。
【永井座長】  今はもうコンピューターで計算してくれるので。
【北澤委員】  ソフトを使うということですか。
【永井座長】  むしろ意味を解説できるということが大事だろうと思いますけど。よろしいでしょうか。
 そういたしましたら、基本的には、この案のとおりということですが、先ほど御提案いただいたところは、もう1度、座長、副座長にお任せいただいて、また先生とも御相談の上、より正確に表現したいと思います。
 あと、生出委員のおっしゃられたところはよろしいでしょうか。
【生出委員】  はい。
【永井座長】  ありがとうございます。それでは、基本的にこの案で御了解いただければと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 続いて、準備教育ガイドライン、薬学アドバンスト教育ガイドラインにつきまして、市川委員から御報告をお願いいたします。
【市川副座長】  はい。それでは、資料4が薬学準備教育ガイドライン(例示)、それから資料5が薬学アドバンスト教育ガイドライン(例示)であります。
 まず資料4ですが、これは薬学教育の準備という観点から、例示として示すものでありまして、現在使用しておりますモデル・コアカリキュラムの中にも、準備教育ガイドラインというのがあるわけですが、それを日本薬学会で、先ほどのモデル・コアを作成する過程で、それとの整合性を取る形でブラッシュアップをしてもらったものであります。
 そのブラッシュアップのポイントが二つありまして、一つは、1ページ目のところに、(2)のところの、「人の行動と心理」という部分です。ここは新たに付け加えられました。マル1のところで、「人の行動とその成り立ち」、マル2で「動機づけ」。それから次のページをめくるとマル3、「ストレス」、マル4、「生涯発達」、マル5、「パーソナリティー」、マル6、「人間関係」です。
 それから、もう一つは、(8)の部分ですけれども、ここに「情報リテラシー」というのがございます。現在のモデル・コアでは、ITという格好で取り入れられていたわけですけれども、それの内容を見直して、現在の状況に合うように充実し、多くの文言整理をしてもらったというものでありまして、この内容は大体今の学生にもフィットするものではないかというように思います。これが準備教育ガイドラインで、ほかの部分は、現在使っているものにもほぼ近いものがありますということです。
 それから、次に資料5ですけれども、これはアドバンスト教育ガイドラインということで、このアドバンストということは、もう既に前からも御議論がありましたように、いわゆるモデル・コアとはちょっと位置付けが違っていて、全ての学生に一律に履修を求めるものではないということで、大学の特色とか、あるいは学生の進路等に応じて履修することは望ましいという内容を例示として示す部分というものであります。これについても薬学会の作業チームで作ってもらいました。
 資料5のところにあるとおり、1ページにAの「基本事項」、それからBの「薬学と社会」というように、順次、C、D、E、Fという形でコアカリの大項目に従ってモデル・コアを基盤に置いて、そしてそれのアドバンストの内容の例示ということで、これは各大学がそれをうまく利用してくれればいいという内容であります。
 特徴は、いわゆるモデル・コアカリキュラムの関連コアとの位置付けというのが分かるようになっています。例えば、1ページの基本事項のところに、マル1、「患者安全と薬害の防止」というのは、関連モデル・コアカリキュラムで言うと(1)のマル3というところのものに該当するというように、それぞれにおいて「関連コアカリ」という言葉で対応するもののモデル・コアカリキュラムの番号がつけられているということですから、教育上は、その関連を明瞭にしながらこれを使うということで有効利用ができると思います。位置付けとしては、あくまでこれは大学独自のカリキュラムの中に組み込む例示ということで、モデル・コアとしては、先ほどある部分ということです。
 以上が、このアドバンスト教育ガイドラインということで、2点説明しました。
【永井座長】  ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に、御質問、御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。御質問ございませんでしょうか。村上委員。
【村上委員】  細かい点で申し訳ございませんが、恐らく資料5の11ページにあるE3のところで、関連コアカリの番号に少し追加が要るのかなと思います。3、「生物統計」の関連コアカリは(1)の5となっていますが、それだけではなく6の「臨床研究デザインと解析」といったところにも関連します。恐らく、もう少しほかのところもあるかも分かりませんので、見ていただければと思います。
【市川副座長】  はい。それは後で検討いたします。
【永井座長】  ほかにはよろしいでしょうか。御異議なければ、今御指摘いただいた点については、もう少し見直しをさせていただくということで、基本的にこの案のとおりに決定したいと思います。ありがとうございます。
 続いて、基本理念と利用上の留意点、薬剤師として求められる基本的な資質につきまして、市川委員からお願いいたします。
【市川副座長】  それでは、資料6と資料7を用いて御説明をさせていただきます。
 資料6とが、薬学教育モデル・コアカリキュラムの基本理念と利用上の留意点の案です。それから資料7は、それに修正等を加えるときの過程が示されている見え消しのものであります。この見え消しの方で見ていただく方がよろしいかと思います。
 資料7を御覧ください。このコアカリの前文にこれが入ることになるわけですけれども、最初に、モデル・コアカリキュラムの基本理念と位置付けという形で入ります。ここの部分は、この委員会でも非常に御検討いただいた部分でありますけれども、基本的には、それが基盤でありまして、それに少し修正あるいは追加を行ったものでございます。その修正点について特にポイントをお話いたします。
 1ページは、前回と同じものでありまして、2ページのところを御覧ください。2ページは、この1ページの方から、位置付けというところが書いてあるわけですけれども、その2ページのちょうど全体真ん中たり、上段から真ん中あたりにずっと書いてあるところになります。前にも議論しましたところの、このモデル・コアカリキュラムの取扱いでありますけれども、全教育課程の中の7割、従前のものに比して現在スリム化されたということもあるので、およそ教育課程の時間数の7割をモデル・コアカリキュラムに示された内容の履修に充てることが妥当であるという表現です。
 それで、そこに、各大学においては、理念に従って独自教育というのを行っていただきたいということで、その次のパラグラフの下2行か3行のところに、「残りの3割程度の時間数で個性ある各大学独自のカリキュラムを準備することが必要である」としており、7割:3割というバランスをとって、それぞれの大学でのカリキュラムを動かしてほしいという希望をここで述べています。
 そのことについて、少し大学関係者の方から、この7割:3割のところで、今回のモデル・コアカリキュラムは実務実習と卒業研究まで含まれておりますので、その取扱いが7割:3割というのはちょっと分かりにくいという指摘もあったので、ここに記載したように補足を少し加えたということであります。その補足が、その括弧の中にある「7ページ【選択的な大学独自のカリキュラムの設定】を参照」というアンダーラインがついているものです。これは後で御説明します。ここで3割の部分を少し明示化したというところです。
 4ページのところで、新たに入れたものは、このSBOに付されている、知識と技能、態度という、その記述について、基本的な考え方をここに整理したということであります。ここにあるとおり、「各SBOの後の『(知識・技能)、(態度)』等の記述については、基本的に以下の考え方により付している」ということであります。括弧書きが付けられていない場合には、「○○について説明できる。」等の知識を主としてSBOを示すと、こういう表現とか、あるいは技能の場合には、「こうである」という表現であります。それから、次の5ページのところにも同様に追加したものが書かれております。
 3)番が、(態度)が付されている場合に、知識や技能を有した上での態度が主に評価対象となるSBOを示すと。例えば、「患者・生活者のために薬剤師が果たすべき役割を自覚する。(態度)」というような表現です。
 4)番目が、(技能・態度)と両方入っている場合には、知識を前提とするが主に技能と態度が評価の対象となるSBOであると。
 5)番目が、「上記に関わらず、技能、態度、あるいは両方を評価の対象とするが、知識も評価の対象となる場合には「知識」をともに付す」と、こういうような扱いをしたということです。例えば、例示があって、油脂が変敗する機構を説明し、油脂の変質試験を実施できるというような知識・技能、こういうような両方一緒に学ぶ方がいいという形で入ったということであります。ここは、薬学会で作業されたときの共通理解として加えたということであります。
 その次に、「薬学アドバンスト教育ガイドライン」というのがここに入りまして、これは前と同じです。
 それから、6ページですね。これは「薬学準備教育ガイドライン」というのが入っていますという項目の説明が入りまして、それから、7ページの真ん中辺りに、「選択的な大学独自のカリキュラムの設定」というところがあります。これが先ほどの2ページにあった括弧の内容であります。3割の部分に該当する、特に研究のところの理解に関してのものであります。そこに見え消しになっておりますので、その消した部分、それから整理した部分というのが、分かりにくく文章になっておりますけれども、考え方としては、研究の基盤になるもの、例えば、研究する姿勢とか、あるいは研究のプロセスですね。それで研究を最初に仮説を立てて、それを証明していって、実験で証明する。そして、それをまとめ、発表するというプロセスの最小限必要なものはモデル・コアカリキュラムの内容であるというSBOが書かれております。
 しかしながら、研究というのは、もちろんどこまでが研究というのがないわけですから、ここに書かれているように、ちょうど2段目ぐらいのところですけれども、例えば、カリキュラムとしては、薬剤師業務の医療現場でのニーズの変化や医療の国内外の動向に対応、あるいはそれらを先取りすることも重要だと。それで、「また」という、科学的・論理的思考の修得や、高度で応用的な基礎研究や臨床研究の実施、それから消しがありますけれども、探求心旺盛な学生の将来の展望にも配慮した授業、あるいは、その下の方に行って、病院及び薬局における薬学実務実習と経験した研究の取りまとめ、海外派遣研修等の多様な教育を行う必要もあると。
 こういう内容は選択的な大学独自のカリキュラムの中の3割に相当する部分ということで、これらの実施に当たっては、各大学の状況に合わせて、多様な授業形態を用意すると。また、その評価をしっかりと設定して進める必要があるというような文言で締めておりますけれども、これで7割:3割、特に非常にグレーゾーンになっていたのが、研究という分野で、現在行われている卒業研究はモデル・コアなのかアドバンストなのか、その辺がはっきりしなかったので、内容的には一番基礎になる、問題提起、課題解決の必要最小限なところというのはモデル・コアの中に入れてやりますということです。それから、それ以外の、そこから応用されてくる内容ということは、その3割の部分になって、大学の責任でやっていくんだという取扱いにしましたということです。ここは、前に比べて、はっきりと表現を修正した部分であります。
 次に、9ページ以降でありますけれども、これは改訂概要について述べた部分でありまして、これは、そこに各A、B、C、D、E、F、Gという部分を、日本薬学会が改訂作業をしていったときに、どういうところをポイントに改訂したかという、その概要をまとめた文章であります。9ページに、Aの「基本事項」の部分、それから10ページのところで、「薬学と社会」、11ページで、「薬学基礎:全般」というのと、「薬学基礎:物理」、「薬学基礎:化学」、13ページに「薬学基礎:生物」、それからDの「衛生薬学」。14ページが、「医療薬学」、15ページが「薬学臨床」、16ページが「薬学研究」というところで、改訂の概要がそこに記載されたということです。
 それから、17ページの「薬剤師として求められる基本的な資質(案)」は、7月にこの会で修正していただいたものから変更はしておりません。
 あと、追加がありますけれども、先日の専門研究委員会で、6年間の7割をコアカリの教育に充て、残りの3割で大学独自の教育をするという場合に、先ほど研究の内容については言ったのですけれども、実務実習である薬学臨床の扱いはどうなるのであろうかという問いがございまして、少し議論をいたしました。それで、なかなか難しい問題もあるんですけれども、薬学臨床については、コアカリの内容は、7割の中に含まれるものであるという、まず理解であります。それが1点。
 それから、実務実習として、最低限定められている期間である22週間が全て、コアカリの内容だけで終わってしまうのは、あるいはコアカリキュラムに更に大学独自の内容の持つ実務実習関連の教育、あるいはアドバンストの教育、そういうものが入るという期間とするところもあるということで、それはそれぞれの大学の独自性ということになるというような理解であります。
 この辺は、なかなか理解が非常にしにくいところで、問題は、この方略というのが実は今回作られていないので、どうなるかということでありますけれども、方略の作成が別途、委員会が立ち上がりまして、その委員会の中で、今回のモデル・コアカリキュラムにあります薬学臨床の方略が整理されましたら、それに基づいて、今表現したようなモデル・コアの中の範囲の中のものが決まりますそれから、もしもアドバンストという内容を新たに考えられるならば考えることになります。それはもう大学独自で任されるというようなことになるのか、その辺の検討が行われていくと思います。それが追加です。
 以上です。
【永井座長】  ありがとうございました。それでは御質問、御意見を頂きたいと思います。
【望月(正)委員】  今、最後に市川先生がおっしゃったことですけれど、22週というのは、もう既に決まったことというお考えでしょうか。
【市川副座長】  現在22週であるということで、22週という言葉を使わせていただきましたけれども、その辺は、別途、検討委員会として何かが、前は実際に、検討委員会に該当する六者懇談会のところで22週というのは決定されたので、多分そういうようなレベルでの話になるのかなというふうには思います。内容的には、こちらの委員会では決めてある。
【望月(正)委員】  それから、もう一つ、薬学臨床におけるアドバンストの在り方というのは難しいと思います。なぜかというと、大学と実習施設と両方がアドバンストということで両方ともその内容が一致しなければいけない。ということは、ある医療施設でアドバンストをやると言った場合には、幾つかの大学がそれに納得するということになります。
 何故このようなことを申し上げているかというと、現在の実務実習で、国立大学附属病院で以前、非常に高度の実習をやり、実習を指導する人が准教授以上であり、試薬その他も非常に高い物を使う。さらに、内容としては非常に高いということで進められて、だから実習費として高額の48万円出すのは当然であるという議論が始まって、それに続いて、私立の医科大学附属病院その他の施設も実習費がどんどん上がっていったと、私は理解しております。
 そういうわけで、アドバンストというのをそこに入れるのが適切なのかです。モデル・コアからはアドバンストを外して、アドバンスト実習は、例えば6年次のアドバンストとして別にするのがいい。そういう議論をきちんとするべきだと思うので、私自身の考えは、モデル・コアの薬学臨床の実習にはアドバンストは含めないで、日本全体で均質な内容を学ぶ。更に学びたい場合には、アドバンスト実習をする。そういう意識が適切ではないかと考えます。現状でも、そのようにしておられる大学はあると思います。確かに国立大学病院でしているのは、アドバンストで非常によい実習です。だけど、モデル・コアでする実習ではないと考えます。
 ですから、そういう意味も含めると、資料7の16ページで書いてあるような「別記アドバンストの目標を参考に更に進んだ学修も積極的に行っていくことが望ましい」と、ここまで言い切ってしまうのは問題です。望ましいなら、みな、そうしようということになり、またスタンダードが二重になってしまうような気がします。それについてはいかがでしょうか。
【市川副座長】  はい。以前、専門研究委員会のところでも望月先生から御指摘を受けたわけですけれども、モデル・コアの範囲は全部やる。それはモデル・コアなので、質的に上限・下限の問題、質の内容の妥当性というか、その範囲というのは、まだ正式には決まってない。それは別途、委員会で検討する内容だと思うんです。それから、通常、現在、私たちが理解しているアドバンストというのは、各大学が個々にやっているアドバンストだと思うんです。6年次あるいは実習が終わってから、更に1週間、2週間加えている、それを現行では「アドバンスト」と称していると私は理解しています。
 今、先生の御指摘の部分というのは、誠にそのとおりだとは思いますけれども、そこをどうすみ分けるかというのは、今の段階では非常に難しいというふうに私は理解しています。
 それから、「望ましい」という理解は、そういう努力目標というのは必要であろうかということで、「望ましい」ということですけれども、それに拘束されて、いろいろな問題が起きるということは、現在、この作成の段階の中にそれを考えることは難しいのではないかということで検討しなかったものです。それで、現在このままの言葉になって、「望ましい」という言葉にさせていただいています。その辺、関連で松原委員いかがですか。
【松原委員】  基本的に、実務実習の委員会で決めればいいことだとは思いますが、基本的な事項は、実習に対して各大学が責任を持って、そのプログラムを作るということを前提にしておりますので、アドバンストのものが何個かが入ったものを、A大学は実習施設に求めたとしても、それは、この後決めればいいことですから、あってもいいかなというふうには思います。要するに、均一という言葉の裏腹は、教育である実習内容を大学側が担保してないということになりますので、きちんと各大学が自分のところの学生が受ける実習を把握して、こういった実習をしていただきたいというのを実習施設に求めるのが筋なので、そういうところをもう少し現状よりも前進した形で言葉に表わしたということを、どういうふうに具体化していくか、今後早急に話し合わなければならないものだというふうに考えています。
【望月(正)委員】  ごもっともです。ただ、あくまでも実習施設と大学は1対1ではなく、多数対多数の組合せが入ってくるわけです。それで、それぞれがお互いに話し合って決めるというのは非常に難しいです。
【松原委員】  その辺を、それもどういうふうにやるべきかというのは、今後話し合えばいいわけであって、何も今ここで決めつける必要はないと思います。
【望月(正)委員】  私が申し上げたのは、そこに関連して、「別記アドバンストの目標を参考に更に進んだ学修も積極的に行っていくことが望ましい」と、こう言い切ることが必要かということです。こういうことをすることは望ましいです。それでお互いにするんです。アドバンスト教育という言葉を、コアカリに持ってくる意味が私にはつかめない。
【松原委員】  それは病院でも薬局でも、非常に大事な仕事内容でも、コアカリの中に含まれていないものもたくさんございますね。例えば、病院であればTDMとか院内製剤、薬局さんも何かあるんですけれども、本来は実習を受けさせたいんですが、全ての施設の中で受けさせることができないので、アドバンストとしたんですが、そういったものを積極的にA大学は学生に受けさせたいと言ったときに、このアドバンストを使ってくださいというような意味合いも持っていますので。ただ、今ここで議論することではないような気がします。ですから「望ましい」という言葉になったんだろうと思います。
【望月(正)委員】  要するに、読替えとして、アドバンストという意味は、更に高度な実習内容という意味で、何かにアドバンストと書いてあるわけではないですね。
【松原委員】  まあ、それはどう捉えるか。
【望月(正)委員】  そういうことだと私は理解します。
【永井座長】  はい。
【生出委員】  若干関連するんですが、全体として、このモデル・コアカリキュラム、先ほど市川先生がおっしゃられたように、7割が基本項目で3割が各大学の独自性があるというふうな解釈ですけれども、実習生を我々が受け入れるときに、例えば2人受け入れて、A大学とB大学から受け入れたときに、この3割分の実習における独自性というのを大学で求めてくると思うんですけれども、そのAとBと二つの大学から受けたときに、どうやって決めていったらいいのかなと。その残りの3割の実習の分を、誰が、どういうふうな形で決めるべきでしょうね。話合いで決めればいいですかね。
【松原委員】  ここで3割というのは、全体で3割、どの部分を3割増やしても構わないわけで、実習だけが全部の項目にて7対3というふうにどこにも書いていないわけですから、それは解釈次第でどうでもできるわけですので、それは今後詰めていけばいいであろうということで、7対3が全部に7対3なわけではないと。
【望月(眞)委員】  先生方の御議論を聞いていて、一つ確認したい点があるんですが、今回、AからFまで、研究まで入れますとGまでですか、それぞれでコアカリキュラムが出されていて、このコアカリを総合して全体の7割で、残りの3割で、もう少しそれぞれの大学の学生たちに合わせたアドバンストなものを入れなさいという整理だったと思うんですが、このAからF、Gまでの全てについてプラス3割ずつしていかなければいけないのか、それぞれの大学の個性に合わせて、全ての領域でなくて特定の領域のみにアドバンストなものを入れるとか、あるいは学生によって、私はここのところをアドバンストでやっていきたいと言う学生に合わせたものを色とりどり用意するようなことが必要なのか、その辺がちょっと分からなくなってしまって、一律に全ての学生が、例えばFのところでアドバンストな実習を全ての医療機関に行かせてやらなければいけないようなことを大学が考えなければいけないのかどうか、今の議論を聞いていて確認したいんです。
【市川副座長】  今の望月眞弓委員のお話は、後者が私の理解している範囲であります。この、例えば基本にある「薬学教育モデル・コアカリキュラムの基本理念と利用上の留意点について」、資料7の2ページ目の出だしのところですけれども、基本的には、薬学部6年間では186単位が最小必須単位でありますけれども、その186単位の7割ということで、大体130単位ぐらいでしょうか、残り3割は55、6単位だと思います。130単位の中に、モデル・コアカリキュラムの科目を取り入れるということです。
 それから、55、6単位のところでは、大学独自のカリキュラムで、大学独自に関しては、今言った2ページのところに少し入れておきましたけれども、上から4行目の「6年制学部・学科のカリキュラムは大別すると、教養教育を含む薬学準備教育、モデル・コアカリキュラムに準拠した何々」が入ります。
 結局ここの、いわゆる教養教育を含む準備教育、それプラス、その次に来る「各大学独自の薬学専門教育から構成される」が対応する50何単位になるということで、その中に、今の議論の該当になっている実務実習というのを入れる大学は、それを入れてもいいし、余り入れてないところもあることになります。それは自分の大学の教学の方針、目標により左右されるものであるかと思うのです。あるいは、基礎を非常に大事にする大学は、そっちが多くて実務が少なくなるかもしれませんけれども、大きな概念としては、そういう形で、この整理をしていったということであります。
 先ほど少し申し上げた研究のところが何とかというグレーゾーンのところは、7割のところに入るのはこういう研究で、残りの3割はこういう研究にしたらどうであろうかということで、実務実習に関しては、モデル・コアも決まっているし、アドバンストはここで提案されているアドバンストとなって、そういうものは大学独自が選択をして、あるいはもっと違うものもあるかもしれないけれども、そういうものを施設との間に話合いをして作っていけばいいという、松原先生がおっしゃったようなところだと私は同じだと思います。
【望月(眞)委員】  それで、そうしますと、先ほど望月正隆委員が御質問されていた通常の実務実習は、このコアの範囲の中で終えて、その後、6年次とかにアドバンスト実習という形で、もっと更に深いものを実習するというような形もあり得るということですよね。
【市川副座長】  はい。私はそのように理解しています。6年次に限らないと思うけれども、5年次で、そのまますぐやっていくとかいう、一応モデル・コアのところで、今は20単位で実務実習がありますけれども、その20単位に対しての評価はしてもらいますということにしないと、共通にはなりませんね。その評価の対象になるモデル・コアは、ここに書いてあるということで、それはこれから方略を含めて、別途、委員会を開いて、そこはやってもらう。アドバンストに関しては、この例示を基に各大学が自分で作って、何単位にするかは決めていただくというようなイメージを私は持っています。
【望月(眞)委員】  もう1点確認させていただきたいのですが、各大学に応じて、Aであり、Bであり、Cであり、Dであり、それぞれ全てにアドバンストな科目等を用意する必要はなく、あるいはそういう教育を用意する必要はなく、アドバンストな部分は、それぞれの大学の個性に応じて用意すればよく、また一つ学生はそれぞれの個性に応じて、自由に自分の求めるところを履修していくという形を用意しても構わないということでよろしいでしょうか。
【市川副座長】  はい、私はそのように理解しています。
【永井座長】  ほかに、いかがでしょうか。今の「別記アドバンストの目標を参考に更に進んだ学修」と、これは字が違うんですけれども、これは何か使い分けているのですか。今の16ページです。真ん中辺。上には「習う」で、こっちは「修める」ですけれども。
細かいことで申し訳ないんですが、何か使い分けの意味があればあれですけれども。
【丸岡薬学教育専門官】  こちらについては、学修、学び修めるということで、学んで、かつその成果を得るというところまで視野に入れて使っている場合は、このような形にさせていただいております。2行上に、学習内容というところで、違う「学習」で使っておりますけれども、こちらは、まさに学ぶという行為について書く場合に、このような形にするということで、大体そのような考え方で分けさせていただいております。
【永井座長】  この別記アドバンストというのは、あくまでも参考だという位置付けですね。それはよろしいですね。これをどう書くかですが、そういう理解でよろしいでしょうか。各大学が、またそれぞれに工夫してよろしいと、そういうことでしょうか。
【望月(正)委員】  そういうことですね。
【永井座長】  そういたしますと、特に大きな修正がないということで、この案のとおりに決めたいと思いますが、よろしいでしょうか。はい、ありがとうございます。
 続いてコアカリ改訂の概要、コアカリ改訂に伴う実務実習の在り方等を検討する会議の設置、及び今後のスケジュールについて、事務局から御説明をお願いいたします。
【丸岡薬学教育専門官】  資料8を御覧ください。こちらにつきましては、各大学、特に学内で各教員に対して、このコアカリの改訂について説明をしていただく際に使えるようなものをということで、その改訂の概要というものを事務局で整理させていただきました。これにつきましては、改訂のコアカリとともに各大学にお示ししたいと考えております。
 内容としましては、まず左側でございますけれども、現在使われているコアカリのこと、改訂の体制につきまして三つの委員会で連携して行ったということ、改訂の基本方針として、この三つの方針で行ったということを記載しております。
 また、右側に行きまして、改訂のポイントとしまして、まず医療人としての薬剤師の基本的な資質というものを定めているということ、この基本的な資質を前提とした学習成果基盤型教育の考え方で作っているということ、そのためにGIOやSBOを明示したということを記載しております。また、三つ目としまして、特に医療人としての薬剤師を養成するために、Aの「基本事項」、Bの「薬学と社会」のところを充実したということ、四つ目としまして、薬学臨床のところについては大幅に見直しをしまして、その前にあるAからEのところまでは、この「薬学臨床」と体系的につながるように見直したということ、最後に、先ほど来出ております7割と3割ということについて記載しております。
 また、次のページでございますけれども、コアカリの内容ということで、各大項目、それから中項目ごとに内容を簡単にまとめさせていただいております。こちらにつきまして、もし何かお気づきの点がございましたら、後で御指摘いただければと思います。
 それから、続きまして資料9でございます。薬学実務実習に関する連絡会議についてでございます。こちらは、先ほど来、話が出ておりますけれども、このコアカリ改訂を受けまして、実務実習を円滑に行っていくために、いろいろと検討しなければならない事項がございますので、関係者に集まっていただいて検討する場を設けるという趣旨で、右肩にありますように、新薬剤師養成問題懇談会、いわゆる「六者懇」と言われておりますけれども、こちらで了解いただきまして、その下にこの連絡会議を置くことになりました。
 目的としまして、ここにありますけれども、実習の在り方ですとか、体制の大枠や方針について、関係機関間の調整を図るということ、あるいは各関係機関の役割等を明確化して、各機関で検討してもらうための協議の場を設けるというものでございます。
 検討事項としまして、まず実習の在り方、それから、新しいコアカリにつきましては、薬局実習と病院実習の区分が今のところ明示されておりませんので、その辺りをどのように分担していくかという整理、三つ目としまして、方略をそもそも作るかどうかというところの議論が必要になってくるかと思います。また、四つ目としまして、実習施設の確保として、今ある施設が改訂コアカリの実習をきちんと行えるかという、そういった質の担保のところについても検討していく必要があろうと思っております。
 3番の実施方法としまして、会議の構成でございますが、裏面に構成ということで、この六者懇の関係団体、それからオブザーバ機関から実習やコアカリに関係するところに出ていただくということ。それから、専門研究委員会の委員や大学関係者にも加わっていただくということを考えております。
 表に戻っていただきまして、期間としましては、平成27年3月末まで、とりあえず置いて、それまでにまとめたいというふうに考えております。
 続きまして資料10でございます。こちらは今後のスケジュール等でございますけれども、本日決定いただきましたら、この後、先ほど説明しました実習の関係の検討を進めさせていただくということ、各大学で導入に向けた準備を行っていただきまして、平成27年4月から新しいコアカリでスタートしていただく。それから、平成30年度の共用試験、それから平成31年度の実務実習については、この新しい改訂のコアカリで行われるというようなことになってまいります。
 資料の説明は以上でございます。
【永井座長】  ありがとうございます。それでは、御質問、御意見を頂きたいと思います。
【北澤委員】  一つだけ質問いいですか。この資料8の改訂の概要で、平成マルマルと、ブランクになっているんですけれども、これは、今日をもって改訂することになるのですか。
【丸岡薬学教育専門官】  今日御了解を頂いて、今日の日付を入れたいというふうに考えています。
【永井座長】  ほかにいかがでしょうか。
 既に大分御議論いただいたところでありますので、よろしければ、御承認いただきたいと思います。ありがとうございます。それでは、これは決定ということにしたいと思います。
 続きまして、議事の(2)にまいりますが、薬学部及び大学院における研究・教育等の状況に関するフォローアップについてであります。フォローアップ・ワーキンググループの検討状況について、御報告いただきます。主査をお務めになられている井上委員からよろしくお願いいたします。
【井上副座長】  前回の検討会でも、このフォローアップを引き続き行った方がいいのではないかという議論がございました。そういうことで、引き続き、この4年制博士課程の問題、それから質の高い入学生を確保するというような問題についてフォローアップを引き続き行うということで、第10回目のフォローアップ・ワーキンググループを11月18日に開催いたしました。これは通算でございまして、一部メンバーを入れ替えておりますけれども、大部分のメンバーは前回と同じということで、継続性は十分あるというふうに考えております。
 三つのテーマがございます。一つは、4年制博士課程の中間評価ということ。2番目が、6年制薬学部への編入学を行っている大学があるということで、この編入学の妥当性を検討しようというもの。三つ目が、質の高い入学者の確保という問題でございます。
 まずは、4年制博士課程の中間評価でございます。この机の上の資料の、第12回検討会の資料、その中に資料2というのがございます。そこを御覧いただきますと、「平成24年度に行われた『大学院4年制博士課程』における研究・教育などの状況に関する自己点検・評価について」というのがございます。これは、まだ大学院が発足する前に、どういう計画で導入をするのかということを各大学にアンケート調査を求めて出してもらったものを基に、このワーキンググループで検討いたしました。そして、この結果を、この検討会に報告させていただいたと、そういう経緯でございます。
 その時点では、まだこの大学院が発足していないという状況であったわけでありますので、その段階でも中間に1回フォローアップをした方がいいんじゃないか、更に4年たった段階で、最終的なフォローアップをしたらどうかというようなことでございましたので、まずは中間の時期にちょうどなります平成26年度ということなので、問題点、それから変更点、あるいは大学によって改善するために少し変えているというようなことについての自己点検・評価を行って、その結果を各大学ホームページで公表していただくとともに、それをまとめまして、このフォローアップ・ワーキンググループでもって問題点を更に検討し、まとめてこの検討会でご報告させていただきたいということでございます。
 何を各大学が検討してもらうかということ、この中間の時期に何を評価してもらうかということで、一応考えたのが、この資料11でございます。1ページ開けていただきますと、入学者の数ですとか、在籍の学生数、学年ごとに進行中でございますので、数を入れていただいて、さらに、もともと理念あるいはミッション、それからアドミッションポリシー以外にカリキュラムポリシー、ディプロマポリシー、この三つのポリシーがそれぞれの大学によって事前にも書かれているわけでありますが、これと実際に行われている教育との整合性が取れていますかという質問項目が一つ。
 次が、それに当たって、入学者の選抜はどういうふうにしているのか。具体的に、もう既に始まっておりますので、その選抜者の方法、それから実際行われているカリキュラムの内容、そして、学生数が比較的少数ですので、全学生の研究テーマを求めても、そんなに難しくはございませんということで、全学生の具体的な研究テーマも伺うというのが一つです。
 最後のページを見ていただきますと、医療機関あるいは薬局等の関連施設と連携した教育・研究体制。なかなか難しい問題でございますので、もう少し広げて、注のところに、他職種との連携なども含むと、研究テーマと関連づけて、できるだけ記載することというのが、この項目です。それから学位審査の体制、あるいは最終的な学位を出す修了要件。これが具体的にどういうふうになっているかということ。そして、最後のところは、まだこれは卒業生、修了生が出てはいませんので、なかなか書きにくいところはあるかと思いますけれども、修了者の進路の基本的な考え方、どういう修了生をイメージして教育をしているのかということを最後の項目で書いていただくというような項目でやったらどうかということで、ここで御検討いただいて、場合によっては更に修正し、最終的には各大学に提出を求めるというような段取りでございます。
次に、2番目の、6年制薬学部への編入学についてということです。これは資料12を御覧ください。
 6年制薬学部において、編入学あるいは転学部を実施している大学があります。その受入れ年次、出身の学部、あるいはどれだけの人数がいるのかというような実態が今のところ不明でございます。この実態を把握するとともに、受入れの基準、あるいは受入れ後の教育が本当に適切かどうか等の確認が必要であるというふうに思われます。そういうことで、各大学の編入学あるいは転学部の実態調査を実施することにいたしまして、資料12のとおり調査項目の検討を行い、各大学に依頼してございます。その調査結果が近く戻ってきますので、これをまとめまして、編入学あるいは転学部の状況について検討を行って、また、この検討会で報告させていただきたいと考えております。
 3番目が、質の高い入学者の確保でございます。これは、机の上の資料の、第12回検討会資料の資料1から資料1-3を御覧いただきたいと思います。昨年度のフォローアップにおいて、ヒアリング調査の対象となった九つの大学から、今後改善すべき事項に対する改善計画等が提出されております。この改善計画等につきまして、ワーキンググループにおいて、問題点あるいは今後の対応について現在検討を行っております。
 ワーキンググループでの主な指摘としましては、例えば、改善計画をそれぞれの大学が出しておりますけれども、必ずしも体制が十分ではない、PDCAサイクルの実効性に疑問のある場合もある。定員の問題も、教育の質を確保するという観点からすると、このままでいいんだろうかという問題がございます。それから、途中で進路を変更するというようなケースがあるんですが、こういう場合のサポートを十分しなければいけないんじゃないか。それから、改善計画は各大学とも三つのポリシーに基づいて考えなければいけないんだけれども、必ずしもそれが十分ではないように思われる場合がある。それから、第三者評価というのが一方で、現在進行しつつあるわけでありますけれども、それとこのフォローアップの実施が重複するというようなことがないようにしなければいけないだろう、すみ分けをした方がいいだろうというようなことも議論になっております。
 資料13でございます。これは平成21年度から平成25年度の受験者数、入学者数、学年進行に応じた修学状況、さらには国家試験の合格状況も一覧として付いております。これを眺めつつ、薬学教育全体としての課題等を取りまとめて検討会で報告していきたいと考えております。
 以上でございます。
【永井座長】  ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に御質問、御意見を頂きたいと思います。
【太田委員】  資料11についてですけれども、これは前回やった自己点検・評価をアップしたときと項目として違っているのが、最後の修了者の進路の基本的な考え方、ここが付け加わっただけでしょうか。
【井上副座長】  これは実際に始まっているわけですので、前回出したのは、あくまで計画的な、これからこうするつもりというものだったと思うんです。これは、もう既に始まっていますので、研究テーマも決まっているはずです。
【太田委員】  実態を把握したいためでしょうか。
【井上副座長】  実態を把握したいためと、はい。
【太田委員】  ですから、各大学の負担感というのは、要するに前回やっているのと計画が変わらないというのであれば、それを修正して、変わったところだけを変えて、それでアップすればいいというようなイメージでしょうか。
【井上副座長】  まあ、そう簡単に考える大学は、それでもよろしいかと思いますけれども。
【太田委員】  はい。分かりました。
 それから、もう一つ、資料12ですけれども、これ、あくまでも対象は編入学と転学部で、転学科は対象になっていないんですか。
【丸岡薬学教育専門官】  対象からは外れています。
【井上副座長】  外してある。
【丸岡薬学教育専門官】  はい。
【太田委員】  転学科は、いろいろな実態があるだろうと思うんですが、やはり転学科に比べて編入学とか、それから転学部の方が、6年制教育を考える上においては、かなり問題かなというところがあったので、ちょっとそういう質問しました。
【永井座長】  ほかにいかがでしょうか。
【乾委員】  資料11の調査ですけれども、新しい項目は一番最後のところだけということだったんですけれども、ごく最近、文部科学省の調査で、大学院の状況の調査が来たと思います。あの中では、自大学と他大学の人数を書くようにすることが記載されていたと思います。そういうことは、もうここでは一切関係なしで、4年制の大学院の実態だけを書くという、そういう調査ですよね。
【井上副座長】  別に自大学でも他大学でも。
【乾委員】  私が申し上げたいのは、今の博士課程の実態がどうかということが、もう少しまた別の切り口でも分かるかなと思って、それで文部科学省が今調査されているのが、そういう分け方をされているので、ある程度整合性を持たせた、そういうのもいいのかなと思ったので発言をさせていただきました。
【井上副座長】  あくまで4年制の博士課程の在るべき姿というものを、それぞれの大学がどこまで考えているかということを聞くのが主目的ですので、必ずしも先生がおっしゃったような項目はなくてもいいのかなとは思っています。
【乾委員】  はい。
【永井座長】  ほかにいかがでしょうか。
【勝野委員】  三つ説明された最後ですけれども、分野別の第三者評価とかなりこれは重なると思うんですよね。
【井上副座長】  ここでやるのは、あくまでトータルで見たときに全体的にどういう傾向があるか、それぞれの個別の大学に対して、例えば警告をするとか、そういうことが目的ではありませんので、全体的に見たときにどうであるかというのが、このフォローアップの目的だとは思うんですが。
【勝野委員】  それは非常によく理解できるんですけど、実際に調査を受ける側とすると、同じことですよね。つまり、大学全体の認証評価があるし、分野別評価は薬学の場合ありますよね。それから、更にこれに加わる形で、確かに全体の状況を把握するということと個別の大学の、例えば薬学分野の質保証がどうかということとはちょっと別だとは思うし、両方情報は要るとは思うんですが、受ける側の大学は一つですよね。そうすると、非常にそういう作業が重なってきて、そこに非常に労力を取られるということはあるんですね。
【井上副座長】  第三者評価に対する負担と、それから、ここにかける負担とで考えたら、はるかに軽くないですかね。それと、第三者評価というのは、やはり7年に1回しか回ってきません。全部の大学のものを把握するというのは、すごく大変なわけですね。ですので、そんなに待っていられないというところもありますので、こういう調査は必要なのではないかと思います。
【勝野委員】  必要だと思いますけれども。
【井上副座長】  各大学に大変御負担をかけるというのは確かにそうなんですけれども、先ほど太田委員がおっしゃるように、できるだけ負担がないようなつもりで、このフォームをまとめたつもりではあるんですけれども。確かに負担なことは負担だというのはよく分かります。
【永井座長】  はい。ほかにいかがでしょうか。
 資料13は、どう考えて、どういうところに問題があるとしたらよろしいんでしょうか。非常に合格率の低い大学がありますね。これは、このままでいいんだろうかと思いますが。
【松原委員】  我々、生出委員もそうですけれども、卒業者を取る側とすれば、これだけ低いと就職案内も出せないですよね。求人案内を出せないわけで、もう全国に広がっていますが、例えば合格率3割のところに求人案内して、応募してきて、採用したとしたら、3人に一人しか合格できなかったら、結局そこの人材養成として、もう成り立たないわけですから、そういった状況が出てきているので、やはりこれは薬学全体として、いくら何でも雇用計画が立たないような合格率を出している大学に対しては何らかの措置が必要ではないかと思います。
【永井座長】  事務局、いかがでしょうか。このままよいのかということですけれども。
【丸岡薬学教育専門官】  すみません、御注意いただきたいのは、この合格率というのは、受験者に対する合格率でございますので、必ずしも最初の入学者に対してどうなのかというところを表わしたわけではございません。
【井上副座長】  いや、そうすると、もっと悪くなっちゃう。
【永井座長】  はい、どうぞ。
【袖山医学教育課長】  今回のこのフォローアップの取組ということについては、全体の状況を把握するということのほかに、やはり個別に非常に大きい課題があるというところについては改善を促すということを、この委員会として、きちんとしていくということも大きな目的としているわけでございますけれども、まずそこで、ある意味、繰り返し改善を促していくことによって、状況の改善を図っていただくというのが、まず第一の取組であると。なかなかその先の部分について改善が見られないときにどうしていくかということは難しい問題が出てくるわけでございますけれども、こういった状況を広く我々としても、この状況をホームページに載せたりすることによって広く周知をするということもしておりますし、そうした中で、どういった取組が可能なのかということを、なかなか強制的に措置をするということというのは非常にハードルも高いということがございますので、そういった中で、まずは継続的にその指導をしていくことによって改善を図っていただく。そのために、やはり継続的にフォローアップをしていくということを、まず一義的に取り組む第三者評価、第二者評価の取組と併せて、そういったところを実証していくということを、まずはそこからしっかりとやっていきたいというふうに思っております。
【永井座長】  いかがでしょうか。
【松原委員】  第三者評価は、さっき言った7年に1度しか回ってこないですから、これは全体の問題ですので、なるべくどこかで、井上委員のフォローアップでもいいと思いますが、早急にそういったところに対して御指導いただくようにしていただかないと、これは社会の問題で、医療の中における薬剤師の問題になってきますので、格好よく薬剤師の在り方を検討して作ったとしても、それが生まれなかったら何にもならないわけですから、やはりそれは早急に改善をしていただくように検討していただきたいと思います。
【永井座長】  学生が気の毒ですね。卒業して、薬剤師になれないまま大学を去るとか、卒業しても資格が取れないとなると。これは教育する側の責任もあるでしょうから、やはり何らかの手を打つ必要があるのではないかと思います。特に合格率の非常に低い大学、そして進級率の非常に低い大学ですが。
【井上副座長】  それぞれの大学が、本当に努力はされてはいるんですが、その努力が必ずしもうまく実っていませんし、それからPDCAサイクルがうまく回るような改善計画というのは、きちんとしてはいると思うんですけれども、その先、本当にこれでいいかというのをきちんと考えているかというようなあたりも少し疑問のところも確かにあります。これは9大学だけの問題ではなくて、そこまでひどくなくても、余りよくない大学というのは、それなりにあるわけですので、どういうふうにしていくべきなのかということは、このフォローアップの委員会としても更に検討して、こちらにお諮りするということにはさせていただきたいと思っております。
【永井座長】  よろしいでしょうか。そのほか、何か御意見等ございませんでしょうか。
 中間評価に係る様式については、御提案のとおりでよろしいでしょうか。
 御意見ございませんでしたら、今御議論いただいた内容を踏まえて、引き続きフォローアップをお願いしたいと思います。また、4年制博士課程の中間評価につきましては、ワーキンググループで再度御検討いただいて、各大学に自己点検・評価を御依頼いただければと思います。
 そのほか、全体を通じて御意見を頂ければと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 では、早めでございますが、本日はここまでとしたいと思います。これまで御検討いただいてきましたコアカリキュラムの改訂につきましては、本日、最終決定をしていただいたということになります。委員の皆様におかれましては、これまで熱心に御討論いただきまして、ありがとうございます。
 事務局から何か御発言があれば、お願いしたいと思います。
【袖山医学教育課長】  それでは終了に当たりまして、文部科学省を代表いたしまして一言御挨拶を申し上げたいと存じます。
 先生方におかれましては、年末も押し迫った中、大変お忙しい中にもかかわらずお集まりいただき、熱心に御討議いただきまして、大変ありがとうございました。このコアカリキュラム改訂につきましては、平成23年5月に開催されました本検討会の第7回において改訂するということで作業開始以来、2年半という長きにわたりまして御検討いただき、また本委員会の下部委員会でも様々な形で熱心に議論を頂いた結果、本日、最終的に取りまとめていただいたところでありまして、これまでの御尽力に大変感謝を申し上げる次第でございます。
 特に本検討会におきましては、医療人としての薬剤師という視点から、薬剤師の果たすべき役割や、薬剤師に求められる倫理観といった、まさに根幹に関わります議論を熱心に頂きまして、その内容がこのコアカリキュラム改訂に反映されたということで、この改訂の最も大きなポイント、また目玉として今後の教育に生かされていくものというふうに考えています。6年制の薬学教育、医療の担い手としての役割を果たします薬剤師の養成ということを目的としているものでございます。このコアカリキュラムの改訂の方向に従いまして、今後、各大学において、更なる教育の充実が図られることを期待するところでございます。各委員におかれましては、是非、本日御議論いただきましたフォローアップと併せまして、このコアカリキュラムの実施に向けましても、引き続き御協力を賜りますようお願いを申し上げ、また御礼を申し上げまして、簡単ではございますけれども、御挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。
【永井座長】  それでは、本日はこれで閉会といたします。どうもありがとうございました。

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