薬学系人材養成の在り方に関する検討会(第10回) 議事録

1.日時

平成23年12月13日(火曜日) 14時30分~16時30分

2.場所

文部科学省東館3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 4年制博士課程のフォローについて
  2. 質の高い入学者の確保について
  3. 今後の薬学教育モデル・コアカリキュラムの在り方について
  4. その他

4.出席者

委員

永井良三座長、市川副座長、井上副座長、生出委員、太田委員、北田委員、倉田委員、高柳委員、竹中委員、橋田委員、平井委員、正木委員、望月正隆委員

文部科学省

奈良大臣官房審議官、村田医学教育課長、伊東薬学教育専門官、大林技術参与ほか関係官

オブザーバー

厚生労働省 医薬食品局総務課 中井課長補佐

5.議事録

【永井(良)座長】
 それでは、時間になりましたので、第10回の検討会を始めさせていただきます。
 まず、事務局から、本日の委員の出欠状況並びに事務局の交代があったということですので、御紹介、また配付資料の確認についてお願いいたします。
【伊東薬学教育専門官】
 本日は大変お忙しい中お集まりを頂きまして、ありがとうございます。
 本日のまず委員の出欠状況でございます。委員19名中、本日は13名が出席でございます。欠席は北澤委員、小林委員、永井博弌委員、長野委員、村上委員、望月眞弓委員の6名でございます。また、前回以降、事務局に異動がございましたので御紹介させていただきます。高等教育局担当大臣官房審議官の奈良でございます。
【奈良審議官】
 よろしくお願いします。奈良でございます。
【伊東薬学教育専門官】
 医学教育課長、村田でございます。
【村田医学教育課長】
 村田でございます。よろしくお願いいたします。
【伊東薬学教育専門官】
 それではここで、奈良審議官から御挨拶をさせていただきたいと思います。
【奈良審議官】
 ただいま御紹介にあずかりました官房審議官の奈良でございます。事務局が変わりましたですけれども、引き続きよろしくお願いいたしたいと思います。本日、お忙しい中、皆さん本当にいつも熱心な御議論を頂いているということで、どうもありがとうございます。特に、薬学教育につきましては、医療系全体の議論としても非常に重要な位置を占めていると私ども認識しております。特に、今、学部の問題、6年制の問題ということで、在り方そのものを少しきっちりと御議論していただきたいと思っておりまして、単に薬学のみならず、医療系も全部含めて、国のありよう、将来のありようの非常に重要な部分かなと思っております。医療分野のみならず、創薬分野もあります。したがって、国全体として、薬学というのは一体どういう方向でどのようにやっていくのが、国として本当に大事なのかということが、単に薬だけの問題ではないと考えておりますので、是非人材育成という観点から、本当に重要な問題だと私ども認識しております。なかなか難しい問題もあって、簡単には結論が出ないということもあるとは思いますけれども、ここで全体をちょっとよく考えて、私ども仕事をちゃんとやっていきたいと思いますけれども、薬学という、もう1回、最初の在り方ありようから御議論いただければ非常に有り難いと思っています。ワーキンググループから今、提言が上がっておりますが、また皆さんの御議論を頂きまして、私たち、きちんと行政的にフォローしていく所存でございます。ただ、非常に難しい問題でございますので、是非忌たんのない御意見を頂きまして、きちんとした御議論を頂いた上で、私たち受けとめて、しっかり仕事をしていきたいと思っております。非常に大事な分野の御議論と私は思っておりますので、よろしくお願いします。
【永井(良)座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは、本日の議事に入らせていただきます。前回の検討会では、平成24年4月に開設予定の4年制博士課程教育の基本的考え方と、質の高い入学者についての御議論を頂きました。フォローアップ・ワーキンググループを設置して検討いただくということを決定しまして、メンバーにつきましては、座長、副座長に一任いただいていたところであります。また、薬学教育モデル・コアカリキュラムの改訂につきましては、第7回の委員会で改訂を進めるということを決めさせていただきましたけれども、現在、具体的な検討に入っているところでございます。
 本日は、これらの検討状況を踏まえ、御報告を頂き、その内容について御議論を頂きたいと考えております。
 まず、4年制博士課程教育の基本的考え方でございますが、これまで4回の会合を重ねまして、4年制博士課程の教育のフォロー及び質の高い入学者について、御議論を頂いていると伺っておりますけれども、まず、4年制博士課程のフォローについて、その進捗状況につきまして、ワーキンググループ座長の井上委員から御説明をお願いいたします。
【井上副座長】
 それでは、今までの検討の状況について説明させていただきます。
 資料1をごらんください。ここで、6月27日の薬学系人材養成の在り方に関する本検討会で、フォローアップのワーキンググループを設置するということが決まりました。それからワーキンググループの活動を始めたという段階でございます。ワーキンググループの委員は永井先生が指名するということになっておりますけれども、それ以外に、この委員以外のメンバーからも適当な人をピックアップして、12名で構成しました。設置者別、国公立私立、それから単科大学、総合大学、あるいは6年制のみを有する大学、それから両方を併設する大学、これまでの基礎系の教員、それから実務家教員、附属病院を有する大学とそうでない大学と、いろいろなバランスを考えて1二人を選ばせていただいたということになります。
 既に歯学の方では似たようなワーキンググループがもう動いております。それを見ておりますと、個別の大学の教育内容等に踏み込む可能性もあるということが予想されます。したがって、委員の氏名及び具体的な審議の内容については、これは非公開とさせていただくということにいたしました。
 これまで4回会議を開催しております。その内容につきましては、ごく簡単には資料2にございます。
 資料3を次にごらんください。資料3のところに、これも前回6月の時点でこの検討会で、なぜこのフォローをすることになったのかというようなことが、ここには書いてあるわけでありますけれども、ざっと言いますと、薬学系4年制の博士課程の大学院は、まさに初めての設置であると。そして、臨床薬学・医療薬学の研究者あるいは教育者の養成等を担う、新たな大学院に国民の期待が高まっていると。これに応えるためにはどうすればいいかということで、届出設置の大学が非常に多くて、これまで必ずしもチェック機能が働いてはいなかったのではないかということで、フォローアップということも必要なのではないかということになったと理解しております。いろいろと検討して、結果的に、場合によっては必要に応じて、それぞれの大学のヒアリングということも必要であるかもしれませんというふうに、今の段階でこのフォローアップを考えているということでございます。
 先ほど申しました届出設置ということで、各大学からの届出の書類がございます。これは基本的にはオープンの、公開されるべき資料と伺っておりますので、この届出していただいた資料をメンバー12名で5大学ずつ分担しまして、この資料を読ませていただきました。その問題点について、問題点を共有した上で議論を開始したと、そういうやり方で今日まできております。
 問題にされました主な点というのは、次の資料4をごらんください。各大学それぞれに極めて多様性のあるといいますか、理念にしても極めて多様であって、余り収束されてはいないと。大学院の設置の理念、あるいは基礎と臨床のバランスが各大学、非常に異なっております。極端に異なっていると言ってもいいかもしれません。4年制と6年制の区別というのが、どこまでつけなければいけないのかというのは、これは御議論のあるところだと思いますけれども、余りない。最終的に、学位として博士(薬学)というのと、博士(薬科学)というのとの区別が余りついていないというような大学も、たくさん見受けられました。したがって、医療系薬学を広く捉える、これはよろしいかと思うんですが、しかしながら何をやってもいいと、4年制6年制のことを何も、その区別も全く考えないでいいわけではないのではないかという委員の御意見が強くございました。4年制の博士課程がどのような人材を養成して、その成果はどうなるのかということに関するビジョンが余り見えないということではないかと思います。
 現状の体制につきましては、これはなかなか難しいところなんですけれども、臨床現場をよく知っていて、研究能力に優れた人材というのが、現在の段階では大学にも極めて少ないと、こういう状況で、どういうふうに4年制の大学院を考えていくのかと、なかなか無理なところもあるんだなというような御意見が多かったと思います。それにしても、大学教員の意識改革というのがまだまだ必要なのではないかという御意見であったのではないかと思います。
 そして、博士論文の研究の質の問題、これも極めて深刻なところがございまして、病院等での実習あるいは研修というんでしょうか、そういうものでほとんどの時間を割いてしまうような計画の大学もあるというようなこともありまして、博士論文の審査の基準というのが非常に曖昧であるというような問題点などが、多く指摘されました。
 そういうような御意見を伺い、かつ薬学系人材養成の在り方に関するこの検討会の第1次報告書がございますけれども、その内容も踏まえまして、今回、もしフォローアップするとすればどういうふうなところをフォローアップすればいいのか、あるいはなぜフォローアップすることになったのかというようなことについて、提言――これは資料5でございますが、提言をまず前文として考え、その後で、じゃあどういう点で自己点検、研修を行っていただくかという、そのフォーマットを作成したという、これまでの経緯でございます。
 この資料5と6について、簡単に御説明いたします。この資料5と6につきましては、既に委員の先生方にはあらかじめお送りしてございますので、御意見をいろいろといただけるのではないかと考えております。
 資料5をごらんください。ただいま申し上げましたような、実際の届出の書類等から浮かび上がってきた問題点などを整理して、ここに提言の案を考えさせていただきました。これ、一々、もう既に先生方にはお読みいただいていると思いますので、余りここで申し上げることはないんですけれども、第1次報告、この委員会の第1次報告に「医療の現場における臨床的な課題を対象とする研究領域を中心とした高度な専門性や優れた研究能力を有する薬剤師など」、「など」というところも重要でありまして、「などの養成に重点を置いた臨床薬学・医療薬学に関する教育研究を行う」というのが、この4年制の大学院であろうというのが、これが第1次報告であります。したがって、従来の薬学のドクターコースとは、人材像の明確な区別が当然要求されるだろうということから説き起こしまして、このたび発足することとなった大学院がどういう人材を育てようとしているのかということに関して、今、必ずしもビジョン、理念が明確ではないと。想定される人材像も極めて多岐にわたっていまして、これだと受入れ側、あるいは受験生、一般社会人にも十分理解されないのではないかと。それから、理念、ミッションに伴ってつくられるアドミッションポリシー、カリキュラムポリシー、あるいはディプロマポリシーも、必ずしも理念、ミッションに沿ってはいないように見受けられるというような、これは今までの届出の書類から読み取ったものでございまして、これではまずいのではないかということで、これからどういう人材を養成しようとしているのかと、Pharmacist-scientistというのも、今回の教育学部で育成すべき人材像の一つであるということを考えますと、この大学院の果たすべき責務は非常に重いんだと。「医療分野でリーダーとなる人材の養成」、ここも「医療分野」としておりますので、必ずしも臨床の現場のみを指すわけではありません。「医療分野でリーダーとなる人材の養成には、大学・医療現場いずれにおいても教育研究能力に優れた人材養成が緊急の課題であり、社会からも国際的に求められている」としました。
 先ほどから申し上げておりますように、医療の分野、臨床の分野において非常に精通していて、かつ研究教育能力に優れた人材というのは、現在の段階での薬学には、必ずしも多くない。ここをきちっと、そういう人材を育てるということは緊急の課題であるということに関しては、皆様の認識は一致しております。そういうことで、あとは後ろの方に書いてあることは、「大学と医療機関の連携を深めて、大学における優れた研究・教育と医療現場の実務が融合し、効果的に成果を上げることが期待される」、これは医学等の教育のカリキュラム等でもうたわれていることで、同じことを言っております。
 そういうことで、こういうことを踏まえて、この検討会において、4年制博士課程を設置する大学に対して、平成24年度に発足する大学の4年制博士課程の教育研究について、当初の計画そして実施の状況、もし変更したとすればどこを変えて何が問題点なのか、改善計画、成果などについて、自己点検、自己評価を行い、ホームページを通じて公表していただくということにいたしました。これはこのワーキンググループの案であります。当然、平成24年はスタートするばかりですので、当初の計画、実施の状況、何人ぐらい実際の受験生があったのか、何人入学したのか等々。で、中間の時期には、問題点あるいは変更点、改善計画。完成年度の翌年には、平成28年に4年制が卒業生といいますか、博士号を持った卒業生が出るということになるわけですけれども、それで成果を含む総括を公表することにしたいということであります。これを、この検討会あるいはワーキンググループで、自己評価指標を場合によっては精査させていただき、問題があるようであればヒアリング、フォローアップをするというような予定でやりますというのが、この前文であります。
 そして、資料6が、自己点検・評価にはどういうような内容で自己評価をしていただくかということが書いてありまして、これをフォーマットにしてあるというのがその次のページからであります。理念とミッションからスタートし、アドミッションポリシー、それから受験資格と。この受験資格に関しましては、かなり細かいことをいろいろと要求いたしておりまして、6年制の薬学部を卒業した者、これは自動的といいますか、問題なく受験資格があるわけであります。それから、旧薬学、従来の薬学の修士を修了した人間、これも基本的には、薬剤師免許を持っている場合には、これはもう全く問題ないだろうということで、そういう人たちを除いて、それ以外の課程の学生たちを受け入れる大学が極めて多いものですから、そういう学生さんたちに対しては、どういうポリシーでどういう受入れ体制、さらにはどういうことを将来的に考えているのかということを記述していただくようなフォーマットになっております。それから入学者選抜の方法。それから旧薬学教育課程、4年制の薬学部を卒業し、修士を必ずしも出ていない、古くからこういう卒業生の方々というのは非常にたくさんおられるわけです。こういう方々が、社会人入学であるとかあるいはこの新たな大学院に入学したいという希望を持っている方も、相当おられると想定されます。こういう場合に、そういう方々を受け入れるに当たっては、どういうことに注意しどういうことを考えるのかというようなことも、記載していただくようになっております。
 それから、次はそういうポリシーのもとに行う実際の内容、カリキュラムポリシー、カリキュラムは一体どういう具体的な内容なのかということも書いていただきますし、博士論文の研究テーマ、これは当然今の段階では予定にすぎないですし、研究テーマというのは恐らく進展の途中でどんどん変わっていくであろうと思いますが、博士論文はどういうような内容の研究をさせるつもりなのかということを書いていただくということも求めております。
 それから、最後の5ページのところに、博士論文の研究を推進するために医療機関等関連施設との連携体制をどのようにとるかと。これは100%そういうことが要求されるとは思いませんけれども、医療機関等と――この医療機関は必ずしも、これも薬局あるいは病院だけを示すわけではないと捉えていただいてもよろしいんですが――連携体制をどうとるつもりなのかということについて記載していただく。これは、届出を読ませていただきますと、病院等で活躍する薬剤師、高度な技術能力を持った薬剤師の養成ということをうたっていながら、現実問題としては全く100%、大学で教育を行うというような、そういうケースも見られましたので、そういう点もあってこういうふうなことを求めているということになります。それから、学位審査の体制、例えば英文の学術雑誌、ピア・レビューのある雑誌に学位論文の内容が掲載されている、あるいは掲載の予定ということを条件にするというような、これは相当厳しい条件、学位審査要件ということになると思いますが、できることだったらそのぐらいのつもりでやってほしいなということで、こういうような点もつけ加えてあります。ディプロマポリシーというのは、これはその後、卒業した後でどういうふうな進路を考えるか、どういう人材を世の中に送り出すつもりなのかというようなことを、そこに書き加えていただくというようなことで、全体をまとめて各大学から御提出いただきたいという、そういうことだと思います。
 あとは、皆様方からの御質問等を待ちたいと思います。
【永井(良)座長】
 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明にありました御提言、それから平成24年度の自己点検・評価について、その内容について御意見があればお聞きしたいと思います。いかがでしょうか。
 評価の仕方、何か一定の書式はあるのでしょうか。それぞれで自由記載ということでよろしいんでしょうか。
【井上副座長】
 基本的には自由記載です。それはこのワーキンググループなり何なりで読ませていただくということも当然あろうかと思います。その結果によっては、中間の段階で出していただくのはもう少し具体的なものになるのかもしれませんし、今の段階ではちょっと、余り細かいことまでは考えて……、評価という意味での、多段階評価だとか、そういうようなことを今の段階で考えているわけではございません。
【永井(良)座長】
 いかがでしょうか。
【竹中委員】
 ちょっとお伺いしたいんですが。
【永井(良)座長】
 では、竹中委員から。
【竹中委員】
 これは自己評価であるんですよね。
【井上副座長】
 そうです。自己点検。
【竹中委員】
 これ、委員の方がこれを見て、この大学がいいとか悪いとか評価することではないですね。
【井上副座長】
 ありません。
【竹中委員】
 分かりました。
【望月(正)委員】
 同じことですけれども、コメントも一切つけずに、ただ出させるだけですか。
【井上副座長】
 ですから、例えばこのワーキンググループで、あるいは文科省の方で当然それは読むと思うんですね。それによっては分からない、これでは幾ら何でも何を言っているか分からないなというようなことがあった場合には、場合によってはいきなりヒアリングということもあるのかもしれません。
【望月(正)委員】
 要するに、適切なレスポンスはあるということですね。出しっぱなしではないということですね。
【井上副座長】
 一つは、公表されますので、本来届出の書類も公表はされるんですけれども、実際にはほとんど、誰の目にもとまるものではないんですが、今回のこれは各大学がホームページにも出しますし、かつ文科省の方のどこかでもまとめた形で出てくるわけですから、余りいいかげんなことは書けないはずだとは思いますが。
【望月(正)委員】
 分かりました、何となく。
【永井(良)座長】
 正木委員、どうぞ。
【正木委員】
 自己点検・評価様式(案)の2ページ目になりますが、理念とミッションの説明のところに、「医療の現場における臨床的な」うんぬんで、この「4年制博士課程の主たる目的に照らし合わせ、ふさわしいものとなっているか自己点検・評価すること」、ここがかなり重要な部分かなと思いました。それで、この自己点検・評価を自分の大学が行う場合に、ふさわしくないとは言わないと思うんですね。ただ、この目的に照らしてふさわしいということを、どの視点から言うのか、あるいはこのふさわしいと考えられる基準がどこかに明示されているんでしょうか。
【井上副座長】
 いや、ありません。あえてしていません。
【正木委員】
 そうですか。
【井上副座長】
 そうすると、多分余りにもぎちぎちに縛ってしまう。一番心配なのは、6年制しか持っていない大学も私立の場合は非常に多いんですね。そうすると、私立の場合に、余りに4年制6年制を明確に区別してしまうと、ちょっと窮屈になり過ぎちゃうだろうなということで、少し全体的にはぼかしてあるということにどうしてもなっちゃっているんです。本来はもう少し、正木先生がおっしゃるように明確にした方が、多分社会の一般の方にも分かりやすいとは思うんですね。ただ、そこまでしちゃうとちょっと余りにもというところで、少し何となく、どうにでも書けるような感じになっちゃっているという御批判はもっともなんですけれども。意図するところはちょっとそういうところがございます。
【正木委員】
 先生が御懸念されるように、やはり兼ね合いではないかと思います。各大学の独自性を尊重するか、あるいはある一定基準を明示するか、余りに明示し過ぎると各大学を縛ってしまうことになる。一方で、独自性を優先する余り、恐らく基準が合ってないようなものになるという可能性があり、その中間をとることができないのかなというのは思います。例えば、臨床薬学ということを考えますと、薬を使う患者さんとか対象者の立場にかなり近いことを考えることができる、そこの視点を持ちながら、研究倫理とかを踏襲していくことができるということが、どうしても必要であると考えられますし、社会一般の方々もそれは、薬害の問題等を考えると、必ず高度な薬剤師等には求めたい部分ではないかと思います。そのあたりが、縛るという形ではなく、どこかに明示できないものかなということを、意見として思いました。以上です。
【井上副座長】
 多分、どちらかというと薬学以外の先生方からは、今のような御批判がどうしても出ちゃうだろうなというのは、よくよく分かってはいるんですけれども、なかなかそこまで……。当初はどちらかというと、正木先生の期待に応えるような内容だったんですが、やはり何となくそれだと余りにも縛るなということで、少しずつ柔らかくなっているというのが実態なんですね。
【竹中委員】
 よろしいでしょうか。
【永井(良)座長】
 どうぞ。
【竹中委員】
 これの資料6の大学院4年制博士課程ということに関しては、Pharmacist-scientistを目指しています。したがって私はPharmacistの資格がないと4年制の博士課程はその意味がないと、理解しています。募集要項を見ますと、ほかの学部などの卒業生でPharmacistでなくてもオーケーなわけですね。もう一つは、二重構造という言い方は恐縮ですが、4年制の博士課程と3年制の博士後期課程がある。もし、ほかの学部から薬学を勉強したかったら、3年制の後期博士課程にいけばいいじゃないかという考え方にもなります。4年制の博士課程に、薬剤師の資格がないと入れないというぐらいな考え方はないものでしょうか。
【井上副座長】
 もちろん、そういう考え方は当初はあったわけですし、本来の姿からすれば、竹中先生がおっしゃるようなことだとは思うんですね。ただ、ここで「Pharmacist-scientistが今回の教育改革で育成するべき人材像の一つ」という、最初は「育成するべき人材像」だったんですけれども、その一つであるというふうに、少しトーンダウンしました。それと、先生のことに直接答えるとすれば、例えばレギュラトリーサイエンス、これは統計学とかいろいろなものが入ってきます。そういう人を今、薬学の中からピックアップしようとしても、ほとんどいません。相当外に、例えば理学部の人とか数学をやっている人とか、相当幅を広げて求めていかないと、そういう人を養成することはちょっと不可能だと思うんですね。そういうこともある。ただし、その場合でも、飽くまで我々が目指すものはPharmacist-scientist、質の高い薬剤師、臨床の現場で役に立つ薬剤師の養成に関わるような人。その場合には、今の理学部を出た人の方々は、そういう意識を持って大学で研究をし、教育をすると、そうなってほしいという視点から考えると、3年制である必要はなくて、4年制のこの大学院に入って、ポリシー、理念をよく理解した上で薬学の教育に関わってほしいと、そういう思いからこういうような内容になったということなんですが。ちょっと無理があるとは思います。
【竹中委員】
 わかったような、ちょっと理解したような、そして十分理解し切れない気持ちがありますね。
【永井(良)座長】
 ほかにいかがでしょうか。
【生出委員】
 文科省の方に基本的なことをお尋ねしたいんですが、73大学全て4年制の博士課程を設置されているんでしょうか。それと、少ないところで例えば二人であったり三人であったり、多いところで何人ということを、分かる範囲で結構ですので教えていただければと思います。
【伊東薬学教育専門官】
 今回、対象となるのは66大学、6年制の学部が完成年次を迎えられるのが66大学ございますが、今のところ、既に事前伺、それから設置認可等が済んでいる大学、外向けに設置が認められている大学が53大学ございます。
【生出委員】
 定数については分かりますか。
【伊東薬学教育専門官】
 定数は、3から5人というところが多うございますが、一番多いところでも15名でございます。
【生出委員】
 ありがとうございます。
【永井(良)座長】
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。もし、大きな御意見ございませんでしたら、御提案いただいた自己点検・評価内容、これを原案どおりお認めいただいて、検討会……。
【井上副座長】
 すみません。ごめんなさい。今日御欠席の長野委員からコメントを頂いていまして。
【永井(良)座長】
 お願いいたします。
【井上副座長】
 長野先生は、この養成する人材像で、4年制と6年制とは明確に区別が必要であるというふうな表現というのは、若干抵抗感があると。共通点も当然あって――まあ、それはそうだと思います――共通点と相違点というのは明確である必要があるというような表現にした方がいいのではないかと。養成する人材像において、共通点と相違点の明確化が当然要求されるというような文章の方が、薬学全体を考えた場合には、当然4年制だろうと6年制だろうと共通の部分があるはずなので、そういうところを明確、共通点と相違点の明確化というふうな表現の方がいいのではないかというコメントを頂いております。
【永井(良)座長】
 最初の提言の前文の……。
【井上副座長】
 そうです、前文のところです。ただ、学部の学生の場合には、共通点と相違点というのがいいんだと思うんですけれども、何となくこれ、大学院の方でも共通点と相違点というような言い方がいいのかどうか、ちょっと私も、よくその辺は分かりません。御意見をいただければと思いますが。
【永井(良)座長】
 いかがでしょうか。第1パラグラフの最後のところですね。これを、「養成する人材像の共通点と相違点の明確な区別が当然要求される」と、このような形でまとめたらどうかと。
【井上副座長】
 はい。
【永井(良)座長】
 いかがでしょうか。どうぞ。
【望月(正)委員】
 何か、かえって難しくなるのではないですか。共通点と相違点の明確な区別といいますが、共通点の明確な区別というのがよく分からない。それからもう一つ、この文章で、私が気になったのは、ちょうど真ん中ぐらいで「理念、ミッションに沿って設定するはずが、その点も不明確さが指摘されている」、とありますが、誰が指摘したのですか。また、一番下から5行目も「懸念が示された」、とありますが、誰が懸念を示したのか。この二つが何か、「されている」「示された」ということで、何となく主体が逃げているような気がしますけれども、いかがでしょうか。
【井上副座長】
 それは、この人材養成の在り方に関する検討会が懸念を覚えたということ。まあ、ワーキンググループが実際は覚えたということですけれども、ワーキンググループというのは表に出ませんから、それの責任を持っていただくのは本検討会なので、本検討会として懸念を持ったというふうな表現に。
【望月(正)委員】
 ですからここの検討会で指摘したり懸念を示さなければいけないのではないですか。
【井上副座長】
 懸念の具体的な内容ですか。
【望月(正)委員】
 いえいえ、このように書かれるのでしたら、この検討会が主体になるのですね、ワーキンググループではなくて、この検討会が、その不明確さを指摘し、あるいは、この検討会が懸念を示すということをまず確認しないと、この文章はおかしい。それからもう一つ、その真ん中ぐらい、「教育研究能力に優れた人材養成も緊急の課題であり」、この「も」というのは「が」ということをはっきり言った方がいいと思います。
【井上副座長】
 どこでしょうか。
【望月(正)委員】
 ごめんなさい、下から11行目です。「も」と言うからには何か緊急の課題があって、これもというようにとれます。人材養成が一番緊急の課題であるという気がします。
【井上副座長】
 これは、「大学・医療現場いずれにおいても教育研究能力に優れた人材養成」というのは、医療分野でリーダーとなる人材養成とは別に、教育に関わる大学の教員とかそういうような人も、緊急の必要性があるということで「も」にしたんですけれども。
【望月(正)委員】
 その前にそういう意味が入っているということですね。
【井上副座長】
 はい。
【望月(正)委員】
 すみません、読み切れませんで。可能だったら入れていただいた方が分かりやすいと思います。
【永井(良)座長】
 どうぞ。
【生出委員】
 今の次の段落ですが、「4年制大学院の教育研究を通じて、大学と医療機関の連携を深め」とありますが、医療機関に薬局は何となく読めないような気がするんですが、「医療機関・薬局」とか「医療機関等」とか。「薬局」で入った方がもっと、我々としてはいいんですが。
【井上副座長】
 でも、この「医療機関」の中には、ある意味で言えば、製薬会社の研究所とかそういうのまでも、無理して読み取れば読み取れなくはないというような。余りそうしたくはないんですけれども、でもやはり、6年制しか持っていない大学にとっては、そのぐらいまでのある程度の幅を持たせないと、なかなかというところもちょっとあって……。
【生出委員】
 よくお気持ちは分かるんですが、文章にやはり明確に書いていないと、変な誤解とかそごを生じるのではないかと思いまして。
【井上副座長】
 だって、医療機関の中に薬局は入りません?
【生出委員】
 まあ、医療提供施設ということになっていますが。ただ、製薬企業は入らないんじゃないですかね。
【井上副座長】
 まあ、それは入らなくても、別にそれは皆さんがどう思うかの問題で、まあ、普通は入らないと思うでしょうね、きっと。そこまでは、必ずしもそう思わなくてもよろしいかとは思いますけれども。ただ、今の薬学、6年制の教育の結果として、非常に人を、患者さんをよく見るという、そういうような人材が育ってきて、そういう6年間を卒業した人がやはり薬の開発に関わりたいというようなことを思ったときに、この4年制の大学院でもそれを受け入れられる、そういうことは必要だろうなということで、もうちょっと少し柔らかな表現になってはいるんですけれども。
【生出委員】
 医療機関というのをちょっと何か別な、もうちょっと、全てを抱合するような表現にしていただければなと思うんですが。
【井上副座長】
 「医療機関・薬局」というと、ちょっとなと思いますので、もし何か……。どうぞ。
【伊東薬学教育専門官】
 すみません。資料6の5ページのところに、一番上に、「博士論文の研究を推進するために」のところは、「医療機関等関連施設」という書き方をしておりますが、そごがあるような気もいたしますので、御議論いただければと思います。
【永井(良)座長】
 こっちの「医療機関・薬局」とか。
【井上副座長】
 ああ、なるほど。
【生出委員】
 これだったらいいと思うんです。
【竹中委員】
 製薬企業、CROなどで活躍するPharmacistも多いので、医療関連産業みたいな言い方をどこかに入ってきた方がいいのかもしれませんね。
【井上副座長】
 じゃあ、その辺はちょっと考慮させていただくことにします。
【永井(良)座長】
 そのほかございますか。先ほどの、「共通点と相違点の明確な区別化」というのも、何かやはりおかしいですね。共通点と相違点があるから区別になっているわけですから。この辺は少し、井上先生と座長の方で相談させていただいて……。
【高柳委員】
 ちょっといいですか。
【永井(良)座長】
 高柳委員。
【高柳委員】
 ちょっとお尋ねしたいんですけれども、私立の4年制学科を持っているのが全部で12校だけですよね。
【井上副座長】
 13校。
【高柳委員】
 13校ですか。それと関連して、ほかの大学は6年制しかないわけですから、6年制を卒業して薬剤師免許を取って、4年制の博士課程にいって、前から問題になっている臨床、必ずしも臨床じゃないけれども基礎的な方を学びたい、研究したいと、そういう人がいると思いますが、4年制博士課程の教育の内容で、いわゆる臨床の病院で実習や研修をしないで、すぐ研究に入ってしまうというカリキュラムをとっている大学というのはあるんですか、かなり。
【井上副座長】
 たくさんあります。
【高柳委員】
 たくさん。
【井上副座長】
 はい。
【高柳委員】
 だから、そこがちょっとどうなのかなということなんでしょうね。そういうことだと、卒業して免許を取って、臨床経験がなくてすぐ研究に入ってしまうと。そうすると、4年制学科と何ら変わりないみたいな感じになっちゃうわけですよね。そこのところが、臨床を目的としたという趣旨がなくなってしまう。2年間は4年制学科よりはやっていますし、学生、学部学生のときに半年間実務実習もやっていますが。ただ、卒業して病院での、あるいは医療関連機関での臨床研修をやらないで、すぐ研究に入ってしまうということになるわけですよね。その辺で、4年制との明確な区別というか、その辺のところがなかなか出しにくいんじゃないかなと。
【井上副座長】
 そうですね、だから、医療機関との連携とかそういう言い方をあえてしているんですね。なかなか病院での研修だけで、今度は逆にドクター論文とか博士というような今度は資質を求めたときになかなか、結局バランスだと思うんですね、両方の。ですから、かなりの大学が医療機関に、今先生がおっしゃったような形で、病院の研修とかそういうようなものを義務づけているところというのは、そんなに実は多くないんですね。病院も持っていないし、何も持っていないという大学が圧倒的に多いわけですから、そういう大学に今の段階で余り強くそこを求めても、なかなか無理があるかなということで、何となくこういうような曖昧な表現になってはいるんですけれども。現状からしたら、なかなか難しいところがあるんですね。
【永井(良)座長】
 よろしいでしょうか。
【井上副座長】
 まあ、それにしても、ともかくこれだけの一応要求といいますか、こういうふうなこと、そういう視点を少なくとも入れた形で自己点検、自己評価をするわけですから、今までみたいに少なくとも届出の段階で見ますと、もう何の考慮もないような感じのする大学すらあるわけですので、そういう点では少しは考えてはもらえるんじゃないかなという気はしますけれども。
【永井(良)座長】
 はい。
【平井委員】
 ちょっとお尋ねしたいんですけれども、さっきお話があったかもしれないんですが、私、ちゃんとうまく理解できなくて。今、自己点検・評価をされて、例えばホームページ等で公表されると。それに対して、何らかの評価とか指導とか、そういうことは考えておられるんですか。
【井上副座長】
 それは文科省がやることですので。
【村田医学教育課長】
 先ほど申し上げましたとおり、ほとんどが届出設置になり、審査が入らなくなった。そこで、その中で、どうもちょっと、本来の趣旨がきちんと考えられているのかどうか心配だということで、対応の一つとしては、まずそれを大学側に自己点検していただいて、もう1度見直していただいて、どういう対応をするかということを、大学の責任において確認していただき、それを対外的にも社会的にも公表していただくことがまず第1であろうと思います。ただ、問題は、その結果、全体的な目で眺めてみて、何かやはり言うべきことがあるんだろうかと、そこはフォローアップの中で、またワーキンググループの先生方にも見ていただいた上で、全体的に何か改善の努力を呼びかけるのか、それとも全体的なということだけではなくて、個別的に少しアクションをとらなければいけないのか、そのあたりはこれからフォローアップする中で考えていく必要があるのかなと思っております。
【平井委員】
 ありがとうございます。ようやく分かりました。で、そのときに、この提言の文言はやはり前文なのでいいと思うんですが、その前の資料4のところに、ここに箇条書で書いてありますけれども、これ、非常に問題がいっぱいあって、これに対する対応というのをどういうふうにされていくのかというのが、実はそれが一番、私には関心があるので。これはどうなさるんでしょうか。
【井上副座長】
 どこのところですか。
【平井委員】
 この資料4に書いてある。
【井上副座長】
 資料4。
【平井委員】
 はい。ここ、全体的に非常に、問題点をずっと挙げておられるので、特に、その他の問題点というところの中には、とても大事なことがいっぱい書いてあるので、これを解決しないと、自己点検しました、はい終わり、では済まないなと思うんですが。
【村田医学教育課長】
 確かに、ここで示されているのは個別の大学に対して心配を投げかけている部分と、そうではなくて、制度的な部分について全体的にこういうところについては整理していくことが必要だという、両方あると思います。そこは、先ほど申し上げましたとおり、個別に自己点検をやっていただいて、それを全体的に集めて眺めてみると。その中で、制度的な整理がまだ少しという部分については、場合によってはそこで御検討いただいて対応を考えていくということも、当然あろうかと思います。
【太田委員】
 先ほど、井上先生のお話ですと、今度の8月31日にこの自己点検・評価の内容が公にされると。そうすると、もう既に、当該大学は大学院の設置届というのを出しているわけですよね。それで、良くなることはもちろんいいことなので、それは問題ないとは思うんですが、著しく設置届と、それから公開されたものが違った場合、これは文部科学省としてはどういう取扱いをするんでしょうか。要するに、良くなるということであれば、それは問題ないと。そうすると、今度、設置届の方が、あれは一体何だったんだろうかということになるかと思うんですが。
【村田医学教育課長】
 これも個別の話でございますので、なかなか言いにくい面があるんですけれども、基本的には、良くなる方向であればそれをけしからんとか駄目とかは言えませんが、ただ、余りそれが極端になると、じゃあ確かに届出は何だったんだという話になるのはもちろんなんですが、ただ、気持ちとしては、結局届出設置がほとんどだったと、審査の対象になっていないということも踏まえて、少しそういう趣旨がきちんとされているかどうかというのを見ていこうという趣旨ですので、その範囲で必要な対応をとるしかないのかなと思っております。
【太田委員】
 いや、そういうお答えを期待していたんですが、そういうことでよろしいんですよね。分かりました。
【生出委員】
 関連なんですが、ということは、設置基準があって、自己点検が設置基準を上回るものだというふうな位置づけでいいんですか。
【伊東薬学教育専門官】
 設置基準は基本的には、修了要件である単位数があるかとか、教員が設置基準の数いるかというような面で、受理をする段階では見ておりますので、そのプログラムがどういうレベルであるかとか、そういうことの審査がないということでございます。
【生出委員】
 ということは、文科省で決めているのはハードであって、こちらで自己点検で求めるというのは、ハードプラスソフトという捉え方でいいということですね。
【正木委員】
 薬学領域で専門分野別評価に関しては、検討段階にあるんでしょうか。それが恐らく関係してくるのかなと思っているんですが。
【井上副座長】
 専門分野別評価は飽くまで6年制の学部の段階での評価で、それを非常に急いでやれればいいんですけれども、結局7年かかって全ての大学を一巡するというようなスケジュールになっていますので、なかなか歩調がそろわないですし、大学院まではとてもじゃないけれども、能力的といいますか、とても無理という状況です。
【永井(良)座長】
 ほかにいかがでしょうか。倉田委員、どうぞ。
【倉田委員】
 先ほど頂きました資料4にありますような、箇条書に書かれているようなものをどういうふうに自分の大学としては思っているかというのを、自己点検表に入れながら仕上げるという感じですか。
【井上副座長】
 この資料4の内容を踏まえて、前文に書き込んだつもりですので、基本的にはこの前文をしっかりお読みいただいて自己点検をしていただければ、うーん、ちょっと足りなかったかなと思ってはいただけるのではないかなと期待はしているんですが。
【高柳委員】
 この8月31日までにホームページに公開するということですけれども、要するに来年4月から始まって、すぐ公開するわけでも、実績が当然出ていないわけですよね。ですから、改めてむしろ、こういう資料を見て、修正しながらこういうふうにしたいという、何ていうか、大学の方針をカリキュラムも含めて書くことになるのではないかと。全然実績はないわけですから。
【永井(良)座長】
 そうですね。ですので、中間の段階、2年ぐらいたった段階で、少し実績ができつつあるわけですから、更に反省点といいますか、細かい……。
【高柳委員】
 届出を出したときに比べて、もう1年近くたつわけですよね。そうすると、その間で、いろいろ議論している間でまた修正しようというふうなのが、むしろ出てくるんじゃないかと思うのですが。スタートする時点でですね。
【永井(良)座長】
 よろしいでしょうか。はい、どうぞ。
【望月(正)委員】
 資料4というのはワーキンググループで出た主な意見ということで、要するに、個人的な意見をただ並べただけですね。ワーキンググループの意見ではないですね。ましてや、検討会の意見でもない。
【井上副座長】
 ない。
【望月(正)委員】
 これはここで終わると思います。これを展開したのが資料5になっているという理解だと思います。
【井上副座長】
 そうです。
【望月(正)委員】
 分かりました。
【永井(良)座長】
 よろしいでしょうか。
【竹中委員】
 よろしいですか。でも、資料4をつけた方が、大学からいい答えがくるんじゃないでしょうか。
【倉田委員】
 そう思いました。
【高柳委員】
 こういう具体的な意見が書かれていると、非常に考えやすいですよね。やはり、問題点が非常に明瞭になりますので。
【永井(良)座長】
 どういたしましょうか。
【井上副座長】
 いや、しかしこれ、そのままというわけにはなかなか……。まあ、これはそれぞれの委員の先生方が個人的にこういうのを出されて、それをピックアップしただけですから、1個1個について委員会で十分もんで、残したというわけではないんですね。なので、全体的にこんなことが議論されて、それを集約したということにどうしてもならざるを得ないんじゃないかなと思うんですけれども。
【永井(良)座長】
 よろしいでしょうか。もし、御意見ございませんでしたら、今まで頂いた御意見を踏まえて、少し修正を行った上で、この検討会としてアンケート調査をお出ししたいと思います。具体的な最終的な修正については、井上先生と私にお任せいただければと思います。よろしいでしょうか。
【伊東薬学教育専門官】
 先生、よろしいでしょうか。資料4でございますが、本日の会議の資料ということで、ホームページ上にはこの資料自体は出ることになりますので申し添えます。
【井上副座長】
 ああ、なるほど。
【永井(良)座長】
 そうしますとこれは、フォーマットが決定次第、各大学に送付して、自己点検・評価を行っていただきまして、その結果をホームページで公表させていただくと、いわばそのリンクを――各大学がまずホームページで公表していただいて、そのリンクを文部科学省のホームページ内のこの検討会のページにリンクさせていただくと、来年の秋に公表ということになりますので、御了承いただきたいと思います。よろしいでしょうか。
 では、議題2に参ります。このワーキングでは、質の高い入学者の確保についても御議論を頂いております。これまでの御議論についての御紹介をお願いいたします。
【井上副座長】
 資料7しか、今のところ用意しているものがございません。この検討会でも既に説明を頂いています歯学や法科大学院での取組状況について、これは御説明いただきました。それと同じような方法でフォローしていくということが必要なのかどうかということについて、これまで議論をして参りました。この資料7を見ていただきますと、幾つかの問題点が浮かび上がってきます。
 例えば、6年制1期生の入学状況、定員に満ちているかどうかというようなこと、あるいは実質倍率がどうなのかというようなこと、あるいは進級状況、更に一番最後のところに出ています、実務実習修了率と、これは結局5年生まできて、5年生でしかも実務実習が終わっているという人が、入学した学生の何%ぐらいになっているのかというようなデータでございます。
 こういうようなデータを見てみますと、かなり大きな問題が浮かび上がってくるわけでありまして、更にもしかすると、実務実習が終わった後で、今度は国家試験というのがございますので、場合によっては更に落ちこぼれていく危険性もあるということになろうかと思います。そういうようなことから考えますと、本当に問題点がたくさんあると。入学者の質の確保と、これは結局は入学者の質の確保ができていないと、結果的にはこの進級率というのがどんどん悪くなるということにもなるわけでありまして、この辺に関しては、歯学それから法科大学院の場合と同様に、極めて深刻な問題があるわけであります。
 したがって、どういう大学にお願いするか、全ての大学にお願いするかどうかというところもありますけれども、特にこの進級状況とか、あるいは入学定員に極端に満ちていない大学等に限って、絞ってということの方が、多分実質的にはいいんだろうと思いますが、自己点検、自己評価をしていただいて、その内容をこのワーキンググループあるいはこちらの委員会等で精査して、問題点を浮き彫りにし、改善を促すというような段取りが考えられるのかなという状況ではないかと思います。
 今後は、卒業生も出ますし、それから実務実習を現実にしている学生とか、そういうものを受け入れている職能団体などからも、いろいろなお考えがあるかと思いますので、そういう団体からのヒアリング等もしていきたいと考えておりまして。この大学院の方に関しては、今まで4回、かなりきちっと議論してきたんですが、この後ろの方の6年制の学部学生の定員問題に関しては、まだまだこれから議論を深めていかなければいけないという、そういう段階でございます。以上です。
【永井(良)座長】
 ありがとうございます。御質問あるいは御意見、今後の議論の方向性などについて、御発言をお願いできればと思います。
 この実習修了率が非常に低い大学は、留年しているということでしょうか。
【井上副座長】
 そうだと思います。国公立大学の場合には、もしかすると途中で医学部に進学、要するに進路を変えてしまったとか、そういう学生が多い場合には、この修了率が低くなっていますけれども、これはまあ例外として、特に問題なのは私立大学で修了率が極めて低いというところには、かなり問題点はあるわけで、その大学がどうするつもりなのかということも含めて、ヒアリングが必要なのかなとは思っております。
【永井(良)座長】
 いかがでしょうか。どうぞ。
【正木委員】
 確認になるんですが、この5年次進級率と実習修了率がほぼ同じということで、進級できないために実習修了が滞っているという解釈だと思うのですが、この間に別の要因はないのでしょうか。進級はしているけれども実習確保等の問題や、実習指導者の問題とか、そのあたりはほとんど考慮しなくてもよい状況でしょうか。
【井上副座長】
 多分、その問題よりは共用試験。要するに、大学の中では進級は一応できるという状況になったとしても、共用試験で落ちちゃう。いわゆる、共用試験に受からせる自信がないといいますか、この子はきっと駄目だろうというので、共用試験を受けさせないというようなことが、もしかしたらあるのかもしれません。そうすると、当然……。
【正木委員】
 実習に行けない。
【井上副座長】
 ええ。
【正木委員】
 分かりました。
【永井(良)座長】
 いかがでしょうか。
【高柳委員】
 私も今の実務実習の場の確保とか、そういうことはほとんどないだろうと思います、この数字の中には。共用試験は4年生の終わりにやりますので、そこで合格すれば5年生に進級して、その進級した学生は実務実習を全員やるだろうということで。そういう状況ですよね。あとはまあ、途中で病気で退学するとか、そういうのがありますね、今、最近。
【伊東薬学教育専門官】
 このデータについてちょっと補足をさせていただきます。5年次進級率につきましては、先ほど井上先生がおっしゃったとおりでございまして、共用試験に合格不合格関係なく大学が上げてしまっており、大体一般的には5年次進級率イコール実習修了率がほぼ同じ数にはなるんですが、共用試験に落ちてしまっても5年に上げている大学もございます。そこは隣の数字とかなり乖離(かいり)している大学ということになっております。学年は上がっているけれども、共用試験に落ちてしまっているという場合の数も、実際確認はできております。また、今回の実習修了率のところは、この会議で使用するに当たりまして、改めて大学へ数を確認しておりますので、6年次に実習をされた方も一部入っております。
【永井(良)座長】
 何か御質問御意見ございませんでしょうか。まさにこれが今回の自己点検の課題でもあるということでしょうか。
【井上副座長】
 そうですね。問題は、自己点検をしていただいてそれを精査して、恐らくそれだけでは足りなくてヒアリングをするとすれば、ヒアリングの内容で何をヒアリングすれば一体効果が出るのかなというあたりは、ちょっと非常に心配なんですけれどもね。どういうふうなことを求めていけばよろしいのかというのは、もし御意見伺えればと思うんですが。
【永井(良)座長】
 従来、4年制のときはどうだったのでしょうか。こういうことは起こっていなかったとか。今回、急に定員が増えたがために起こっているということでしょうか。
【井上副座長】
 いや、多分4年制のときにも、国家試験を受けさせないとか、そういうような意味で言えば、卒業の段階で非常にわずかな人しか卒業させていないという大学はあったかと思うんですけれども、これ、非常にそれが派手に、今まで以上にもっと明確に出ているという感じはいたします。
【高柳委員】
 この5年次までの進級率が基本的に前の国家試験の合格率、旧課程の、それとほとんど比例しているんですよね。
【永井(良)座長】
 はい。
【太田委員】
 5年次進級率というのは、要するに平成18年度の入学定員に対する5年次の進級率、あるいは実習修了率というのも、今出ているのはもちろん平成18年だけですよね。それで、でありながら、かなり明確にこうやって数字が出ているということは、非常に重く我々は受けとめなければいけないと思うんですね。ただ、先ほどから議論になっている、じゃあ、何をもって自己点検をするかということなんですけれども、入学時にどういう学生をどういうふうに入れたかということと、入学させた学生をどう教育していたかということが自己点検に求められると解釈するべきなんでしょうか。
【井上副座長】
 はい、いいんじゃないですか。
【村田医学教育課長】
 この場合の自己点検は、先ほどの大学院、これからスタートするものとはちょっと性格が違うように思います。この場合はむしろ、自己点検ということもありますけれども、むしろ今後どう、そういう状況を改善していくのか、そのあたりの、仮にヒアリングとかそういうことになるとすれば、大学のお考え、方針をお伺いすると。場合によっては改善のためのアドバイスをまた頂くということかなと思っております。もちろん、過去の、そういう意味では点検をしていただくことは大切ですが、むしろ、それを、どう今後の改善に考えていくのかということを検討していただくのかなというふうに思っています。
【永井(良)座長】
 よろしいですか。どうぞ。
【高柳委員】
 法科大学院の方でもこういう数字があって、いわゆる定員割れとか合格率が悪いという場合に、いわゆる定員削減とか何とか勧告しておりますよね。それは、具体的には文部科学省の方からどういうふうな文言で勧告しているんでしょうか。
【村田医学教育課長】
 そこのところは非常になかなか難しいところでございまして、直ちに今の時点で具体的に何かということまで私どもとして決めているわけではありません。ただ、少なくとも言えるのは、ここの今のデータを見ると、本当に真にふさわしい入学者が選抜されているのかどうか、あるいは大学としてそういう体制になっているのかどうかというのが、少しというか、かなり心配があるということです。そのことについて改善をお願いしていかなきゃいけないし、大学として自覚を持ってやっていただかなければいけないと、そのことをどう対応するかということでございまして。それを受けて、全体的な流れを受けて、定員をどう考えるかというのは、正直言ってまだ、それから少し先の話かなと思っています。まだ現在の時点では、何か方針を私どもとして決めているわけではありません。
【太田委員】
 法科大学院のときは外部の評価が入っていますよね。それで、何か要するに削減の勧告みたいな、勧告というか相談というか、そういうことがあったように聞いているんですが、今回の場合それがないので、そういう意味では間接的というか、少しマイルドかなと思うんですが、指標としては、5年次進級率とか実習修了率というのと、それから入学定員に対する、要するに定員充足率というのの経時変化みたいなものも、当然出てくると考えてよろしいんでしょうか。
【村田医学教育課長】
 その指標は、当分必要な指標だと思っています。
【井上副座長】
 あと、国家試験の合格のデータも、ここには多分入ってくるんだと思う。
【伊東薬学教育専門官】
 机上にファイルを置いておりますが、第9回の資料5なども既に出しております。本日は添付を省かせていただきましたが、既に前回お出しさせていただいています。
【永井(良)座長】
 国家試験はいつになるのですか。3月ですか。
【伊東薬学教育専門官】
 3月初旬に行う予定になっています。
【永井(良)座長】
 発表は末?
【中井厚生労働省課長補佐】
 3月末です。
【永井(良)座長】
 是非、次回、そのデータをこれに追加して配付していただければと思います。よろしいでしょうか。そうしましたら、ワーキングではただいま頂いた御意見を踏まえて、また新しいデータもごらんいただいて、引き続き検討をお願いしたいと思います。
 では、3の議題に参ります。薬学教育モデル・コアカリキュラムの改訂に着手するということにつきましては、第7回検討会で決まっておりますが、その後、検討体制が整って検討が既に始められているということでございます。この件につきまして、専門研究委員会の座長でいらっしゃいます市川委員から御説明をお願いいたします。
【市川副座長】
 それでは、薬学教育モデル・コアカリキュラムの改訂に関する検討委員会について、今までの経緯とそれからどこまでいったかという現状について、簡単に説明させていただきます。資料は一応8と9とそれから10という3枚であります。
 まず、専門研究委員会を立ち上げるということは決定されたわけでありますが、それに基づいて、委員のメンバーについて、座長の永井先生とも相談させていただいて、資料8の裏にありますが、そこのメンバーの方々15名を決定させていただきました。このメンバー、大学の先生に関しては所属とか分野を少し考慮させていただいたし、また職能団体関係者、あるいは薬学以外の、医学・医療系の分野として、医学・看護学の教員も参加している構成になっております。それから、オブザーバーと下に書いてありますが、オブザーバーの先生は後で言いますが、ヒアリングに出られた方ということで、引き続きそのまま委員として残って入っていただいて、オブザーバーとして委員会の論議に参加してもらうということで、そこに氏名が入っております。
 資料9にありますように、薬学教育モデル・コアカリキュラム改訂に関する専門研究委員会として、4回開催しております。第1回は9月、それから順次4回行ったわけですけれども、それについて簡単に触れさせていただこうと思います。第1回の委員会というので、一般的な自由討議で、この改訂に対する委員の意見を自由に述べていただきました、一番大きなポイントは、現在のモデル・コアカリキュラムというものが必ずしも、6年制教育あるいは4年制教育ということが決まる前に策定されたカリキュラムであったということですが、それに基づいても、今度改訂するからには、基本理念を明瞭にしていく必要があるのではないかということで、いろいろ議論をした結果、今度の改訂は現在のモデル・コアは、6年制の薬剤師養成教育のコア・カリとして改訂していくということを、委員としてお互いに意見集約しました。しかし、もちろん、4年制の教育というのは、薬学の従来の教育の根幹をなしている部分がかなりありますので、そういう意味で、その重要性は十分に認識されているわけですが、改めて別途検討してのことで、今回の改訂に関しては、6年制を対象とする薬剤師養成教育にするということになったわけであります。
 そのほか、いろいろな議論がありましたけれども、第2回目以降、ヒアリングをさせていただきました。それが第2回目の医学教育の立場から、看護教育の立場から、あるいは薬害被害者の立場からです。それから次に、第3回目に、職能団体、日本薬剤師会、日本病院薬剤師会、そして学術団体の日本薬学会、そして第4回目で薬学教育協議会からの代表の人に来ていただきまして、この改訂に関する御意見を伺いました。
 いろいろな御意見を頂きまして非常に参考になりました。特に最初の医学教育の立場からということで、御承知のように医学部のモデル・コアカリキュラムというのは平成13年に、薬学モデルよりも1年前に完成されていて、そして平成19年に第1回目の改訂をされております。それで、今年平成23年に第2回目の改訂ということで、非常に充実したものができ上がっています。それは私どものモデル・コアカリキュラムを改訂するときに、いいモデルになるという意識がございます。それで、実際に今度の改訂に携わった奈良委員の方から説明があったわけですが、参考になった部分は、最初に、19年に改訂した部分は、それぞれの分野の内容の見直しとともに、医師国家試験との整合性をとるものであったということです。それから、あるいは医療安全とか地域医療とか予防安全など、そういう項目を非常に重視して追加され、それに基づいて今度の23年度の改訂では、基本的診療能力の確実な習得と地域の医療を担う意欲とか、あるいは使命感の向上とか、あるいは基礎と臨床の有機的な連携ということなどをポイントとしたという話を伺いまして、これが今後の改訂の一つのいいモデルになるのかなと感じたわけであります。
 それとともに、次の看護学のところでは、中山委員の方から、今、看護学におけるモデル・コアの導入に関しての調査研究をしているけれども、そこで学士力というものと看護のコアカリキュラムとの間にどう整合性をとっていくかということで、今、一生懸命努力されているということで、要するに学士力というものも薬学教育の中でしっかりと基盤を置いて、いろいろやられる必要があるんじゃないですかという御意見を頂いたわけであります。
 薬害被害者の立場、花井十伍様は、全国薬害被害者団体連絡協議会の代表世話人でいらっしゃいますけれども、薬害被害というものを薬学教育の中でしっかり取り入れていって、今後進めていっていただきたいというような話であったわけです。
 あと、第3回目のところの職能団体、日本薬剤師会、日本病院薬剤師会の方々からたくさん御意見を頂いたわけですけれども、少しかいつまんで言うと、実務実習のモデル・コアカリキュラムに関する問題点がポイントでありました。そこでは、実務実習のモデル・コアカリキュラムには理念がないという強い指摘がありました。これはそのとおりであって、そのとおりという言い方はおかしいけれども、最初に理念が書いてあるというわけではなかったわけだと思うんです。当時、平成15年、その当時、薬学の実務実習というのは、御承知のように、病院実習というのは大体2週間がせいぜいのところで、それもしていない大学もありましたし、それから薬局実習というのが1週間ないし2週間であった、そういう時代のときに、全部の実習施設で、ここまでできるかなというところのモデルをつくったというところが正直な話です。現場の方々はもちろん、医療の方々にも相談に乗っていただいたのですが、どこまで全学生ができる実務実習としてコアカリキュラムができるかというのが、お互いに分かりませんでした。今度の改訂では、実習が始まったことで、その体験を生かしていかなければいけないということだと思います。だから、将来にわたって必要とされる薬剤師像をまずしっかりつくって、その上に基づいてコアカリキュラムの改訂をしていく必要があるわけです。それで、特に薬剤師に求められる基本的な資質、あるいはその資質を習得するのに必要なカリキュラムというような手順で、ちゃんと追っていく必要があるというような意見も頂きました。
 それから、病院の方の、日病薬の立場からは、基本的には患者中心とした実習にできるだけ切りかえてほしいという意見が強く述べられました。さらに、そういう観点から、病院実習と薬局実習を一本化して、その中で病院が担う部分と薬局が担う部分の実習に分けるのが良いとの指摘がありました、一つのカテゴリーの中に一つの実習体系を全体でつくって、その中で病院での業務の特徴、あるいは薬局の業務の特徴を理解させるという記述の仕方に変えてほしいという意見があり、これも今度の改訂にも生かしていきたいと思っております。特に具体的な問題としては、病院実習では、ベッドサイドで学ぶ部分、薬局ではカウンターで学ぶ部分と、服薬指導、在宅医療、セルフメディケーションなどが現在の実習では非常に不足しているので、その辺の部分を強めていただきたいという意見もございました。
 それから、あと三角印というのが実習のところはついているわけですけれども、これは病院実習と薬局実習とで、調剤関係の実習は特にそうでありますが、どちらで先にやってもいいということで、どちらかで習得したら片一方はしなくていい内容です。そういう三角印がある実習項目が、病院と薬局の両方の方略中に書き込まれているために、非常にSBOsが多くなっているという問題点がありました。今後の改善が必要ということになりました。
 それからあと、事前学習という、実務実習に行く前に大学で実施する実習の部分について、現場からは、できるだけ多くのことをしてほしい、膨らませてほしいという意見がありましたが、大学サイドからは、なかなかそれは現実的に、人的な配置の問題、それから環境の問題、それからその教育効果を考えたときに、大学で多くのことをやっていくことがいいのかという問題が指摘されました。
 日本薬学会の方からのヒアリングの中においては、薬剤師の養成に特化したカリキュラムというよりも、これまでの薬学は多様な人材を輩出してきたのだから、そういう経緯を大事にして、将来どの分野に進んでも、そこで100%力が発揮できるような基本的な能力を醸成できるモデル・コアカリキュラムであるべきではないかという意見が出ておりました。
 あと、薬学教育協議会の方からは、実務実習の実施における問題点とか、あるいはコアカリの内容での、どの程度実際にそれが全施設で実施できるかとか、あるいはそれのできないものの区別、あるいは教育環境の均質な整備の問題とか、あるいは指導薬剤師の問題、その他に関しての御提言を頂きました。
 これらのヒアリングを通して得られたことをまとめますと、三つになるかと思います。
 一つ目は、今度の改訂においてのポイントとして、薬剤師養成教育としてのコアカリを改訂するということであります。二つ目は、現在は薬学教育のモデル・コアカリキュラムと実務実習のコアカリキュラムが別々のバージョンとして存在していますが、一つにジョイントすることによって、薬剤師の養成教育に必要なモデル・コアカリキュラムが明らかにされる。医学部の今回の場合に、基礎と臨床の有機的な連携というのを組み込まれた格好になったわけですが、それに対応するような形での改革をしていくということです。三つ目は、非常に多く指摘があるのは、SBOsが細か過ぎることでした。どうしても到達目標のSBOsにみんな目がいってしまって、GIOの方に余り目がいかないので、SBOsだけ見ていくと、1,000個ぐらいあって、わあ、大変だという話になるわけです。そういうことを含めて、多過ぎるという声もあるので、GIOの記述の仕方と、SBOsの数をできるだけ精選していくことです。記載の仕方も十分考えてSBOsを削減する作業を行うことにしています。これに基づいて、委員会では素案を今後つくっていくということになります。
 そして、実際にこれを作業するチームというのが必要です。これについては、文部科学省から、大学における医療人養成推進等委託事業の公募があり、日本薬学会が応募して、それを受託しました。今後、日本薬学会が改訂作業チームの主体になって、日本病院薬剤師会とか日本薬剤師会、あるいは薬学教育協議会等関係団体と協力しながら、今後実際の具体的な作業に当たるという手順が決まりました。
 今年度は、可能ならば、ここの研究委員会の方からアンケート、モデル・コアカリキュラムの改訂は、こういう理念のもとに、このように改訂にしたいけれども、どう思うかとかのアンケートを大学に向けて発信して、大学の方々が改訂に対して意見を述べていただく機会を設定して、それらの意見を集約して、それを実際に作業チームの方の今後の作業に生かしていただくということを考えております。
 あと、資料の10になりますけれども、今後の想定される検討スケジュールというのがあります。これについては、もしよろしかったら、文部科学省の方からちょっといいですか。
【伊東薬学教育専門官】
 はい。資料10でございます。こちらの資料は、4回目の専門研究委員会で提出して御議論を頂いた資料となってございます。まず、案の1と案の2ともに、まず23年度はコアカリを改訂するということを決定し、専門研究委員会が立ち上がり、作業チームも一応設置されたということになっております。実際の作業、具体的な改訂作業としては24年度に着手をするということになるかと思いますので、そのスケジュールを入れております。左側の列ですけれども、25年度のいずれかの時期、時期は書いておりませんが、これまで最初に薬学教育のコアカリキュラムを作成したときに、大体2年間ほど要しているということも考えまして、また医学教育のコアカリの改訂のマイナーチェンジをしたときに1年間で作業しておるということを考えますと、大体1年から2年の間と考えられますので、一応25年度のいずれかの時期に新コアカリが決定できるのではないかということで、25年度中ということで入れております。
 それで、右側に案の1と案の2を入れておりますけれども、こちらは25年度にコアカリが決定したとして、大学側がシラバスやカリキュラムの準備を行い、どこで新コアカリをスタートさせるかということで、案の1と案の2ということでお示しさせていただいたものでございます。案の1につきましては、シラバス・カリキュラムの準備を1年以上かけてやっていただくというスケジュールとなっておりまして、新コアカリがスタートする1年生は27年度入学生というような形となります。案の2でありますと、シラバス・カリキュラムの準備の期間が多少短くなり、26年度入学者から適用するというようなこととなっております。なお、共用試験改訂準備作業でありますとか、旧コアカリで学んでいる学生さんがどのような形で並行しているかというのも見ていただくために、こういった形の表としてございます。なお、丸1丸2というのは学年、新コアカリの適用学年というということで見ていただければと思います。
 また、その他の動きといたしまして、左から2番目に、薬学第三者評価を入れておりますが、平成24年度から7年間かけて1巡目を回しますので、新たなものは、2巡目は31年度以降、2巡目に入るということになっております。薬学第三者評価、また共用試験の改訂準備作業、それとコアカリの改訂なども見据えながら、今後のスケジュールをお決めいただきたいということで示したものでございましたが、専門研究委員会当日はまだ案の1にしようか案の2にしようかということは、特に決まったというわけではございません。以上でございます。
【市川副座長】
 そういうことで、コアカリ改訂検討委員会としては、一応26年度あるいは27年度を目標として、決して焦らず慎重に、今後審議を進めていきたいと思っております。以上です。
【永井(良)座長】
 ありがとうございました。いかがでしょうか。SBOs、GIO、これは何の略でしょうか。
【市川副座長】
 ごめんなさい。モデル・コアカリキュラムの中に一般目標と到達目標があります。項目を達成するための方法、一種の方略に近いものですが、それがSBOsという表現になっています。一つ一つの項目に、その一般目標GIOがあって、それを達成するための方略SBOsがつきます。
【永井(良)座長】
 GIOというのは、その目標の方ですか。
【市川副座長】
 はい。
【永井(良)座長】
 分かりました。いかがでしょうか。
【高柳委員】
 このモデル・コアカリキュラム、今始まる、本当の端緒ということですけれども、実習期間ですね、あるいは卒業研究とか、その辺のところでは、もちろんまだ意見が出ていませんね。
【市川副座長】
 はい。
【高柳委員】
 ただ、6年制のあくまでも薬剤師養成を主たる目的とするという、その目的を明確にした改正にするということですね。
【市川副座長】
 はい。薬剤師養成といえども――いえどもという言い方は非常にあれですけれども、研究マインドを醸成することが重要です。カリキュラムでは、5年次6年次のところです、おっしゃった卒業研究の部分は非常に重要なポイントであって、それをどう考えていくかとの議論、意見は非常に多かったです。
【永井(良)座長】
 ほかに御意見いかがでしょうか。どうぞ。
【橋田委員】
 ちょっと質問でございますけれども、これまでのコアカリキュラムは、日本薬学会の方でおつくりいただいてそれを用いていたと。それに対しまして、医学部等は文部科学省のしかるべき検討会か、そういったところでオーソライズされたものを運営されていると思うんですが、今回のこのコアカリキュラムの改訂というのは、そういう意味では、実際の作業はまた日本薬学会がされるという、今、御説明でございましたが、全体としては文部科学省のしかるべきところ、会議で最終的に検討してオーソライズされると、そういう手順で決まるものと考えてよろしゅうございますでしょうか。
【市川副座長】
 一番上はここになっています。この薬学系人材養成の検討会があって、そこからこの改訂委員会になっていって、そこから下が薬学会。逆向きに今度上がってくるという格好で、最終的な決定はここでやって、それがさらに、新六者懇談会に出るということになります。そんな手順でよろしいですね、理解としては。
【伊東薬学教育専門官】
 はい、ただいまのとおりでございまして、最終的にはこちらの委員会の方でオーソライズしていただくという予定としてございます。また、コアカリの委員会、専門研究委員会につきましては、常設委員会ということにさせていただいておりまして、任期2年で置かせていただくということにしてございます。以上です。
【永井(良)座長】
 そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。そうしましたら、今の件につきましても、御意見を踏まえて更に御検討を続けていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 その他に参ります。何かございましたら御発言をお願いいたします。よろしいでしょうか。何かよろしいでしょうか。
 もしございませんでしたら、本日予定した議題は以上でございます。
 事務局から、今後の予定等について御連絡お願いいたします。
【伊東薬学教育専門官】
 次回につきましては、ワーキンググループ、専門研究委員会の進捗状況を踏まえまして、また調整をお願いしたいと思います。
【永井(良)座長】
 では、ちょっと時間が余りましたけれども、本日はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。

 

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