資料5 新制度の『大学院4年制博士課程』における研究・教育などの状況に関する自己点検・評価の提言(案)

薬学系人材養成の在り方に関する検討会

 薬学教育改革の柱である6年制の薬学部薬学科に直結する大学院として4年制博士課程が2012年4月からスタートする。6年制学部教育においては医療人として質の高い薬剤師の養成を主とした目的としており、その上に設置される大学院の設置目的も薬学系人材養成の在り方に関する検討会第一次報告に『医療の現場における臨床的な課題を対象とする研究領域を中心とした高度な専門性や優れた研究能力を有する薬剤師などの養成に重点を置いた臨床薬学・医療薬学に関する教育研究を行うこと』と明示されている。 薬学部に併設される薬科学科(4年制)を基礎とする大学院博士前期課程(2年)、博士後期課程(3年)とは設置の目的、理念、方略、養成する人材像の明確な区別が当然要求される。
 この度発足することとなった大学院がどのような人材を育成しようとしているのか、これまでのところビジョン、理念が明確でなく、想定される人材像も多岐にわたっているため、医療社会、行政、企業など修了生の受け入れ側、受験生、一般の社会人に十分理解されない懸念がある。アドミッションポリシー、カリキュラムポリシー、ディプロマポリシーも本来は、理念、ミッションに沿って設定されるはずが、その点も不明確さが指摘されている。
 6年制学部を卒業して薬剤師の免許を得て、さらに研究能力を培い、博士の学位を得たPharmacist-scientistが今回の教育改革で育成するべき人材像の一つであるとすると、6年間の学部教育だけでは達成が困難と思われ、本大学院の果たすべき責務はきわめて重い。医療分野でリーダーとなる人材の養成には、大学・医療現場いずれにおいても教育研究能力に優れた人材養成も緊急の課題であり、社会からも国際的にも求められている。
 4年制大学院の教育研究を通じて、大学と医療機関の連携を深め、大学における優れた研究・教育と医療現場の実務が融合し、効果的に成果をあげることが期待される。
 薬学系人材養成の在り方に関する検討会においては、この度の4年制博士課程について届出設置の大学が多く、本来の設置目的に適合し、かつ博士課程に相応しい教育研究が実施されるかについて懸念が示された。
 以上のとおり、懸念を払拭するためにも、それぞれの大学が、どのような人材を、どのような理念のもとに、どのような方略で、育成し、社会に輩出してその質を保証するかについて自己評価を通じて社会に示すことが必要である。これにより統合的な薬学研究教育のイメージが形成されて行くことが期待されよう。
 これらの点を踏まえ、薬学系人材養成の在り方に関する検討会においては、4年制博士課程を設置する大学に対して、平成24年度に発足する大学院4年制博士課程の研究教育について、当初の計画、実施状況、変更点と問題点、改善計画、成果などについて自己点検・評価を行い、ホームページを通じて公表するとともに、結果を報告いただくこととした。
 平成24年度は、当初の計画、実施の状況を、中間時期に問題点や変更点、改善計画などを、完成年度の翌年度である平成28年度に成果を含む総括を公表することとしたい。
 それぞれの公表内容によっては薬学系人材養成の在り方に関する検討会などによるヒアリング、フォローアップを予定することとする。

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