資料6 別添3 今後の各大学の取組の参考になると思われる改善の取組事例および特色ある取組(案)

1.歯科医師として必要な臨床能力の確保

(臨床実習終了時の臨床能力の評価)※OSCE以外の例

○大学間連携により、総合模型を用いた新たな評価法を開発。(東北大学・新潟大学・広島大学)
○臨床実習終了時に実技試験(iOSCA)により、コンピテンシーの到達程度を評価。(昭和大学)
○診療科をローテイトしながら、班ごとに臨床能力到達試験(OSCAT)を実施。(日本大学松戸歯学部)
○テストケースを設定し、患者を対象にした自験を評価。(日本歯科大学、日本歯科大学新潟生命歯学部)
○患者での実地技能試験により技能を評価。(鶴見大学)

(学生の実習履歴の把握とフィードバック)

○診療参加型臨床実習・臨床研修連携手帳(案)※1を発展させた電子ログブックを開発・活用。(大阪大学・岡山大学・鹿児島大学)
※1文部科学省平成23年度大学改革推進委託事業により作成
○連携ログブックや電子版ケース表の活用。(九州歯科大学)
○ルーブリック評価表の導入。(明海大学)
○ポートフォリオの活用・振り返り。(日本歯科大学新潟生命歯学部・昭和大学)
○臨床実習評価のデジタル化。(福岡歯科大学)

(実習協力患者獲得への工夫)

○診療費用のうち自己負担分の減額。(東京医科歯科大学・岩手医科大学)
○患者に協力を依頼するための同意書や広報用パンフレット、説明用リーフレット、ポスター等の作成。(新潟大学・鹿児島大学・北海道医療大学)
○口腔の健康の必要性を呼びかける広報誌を作成。(広島大学)
○来院患者を増やすため、附属病院にPR委員会を設置。(愛知学院大学)

(その他 臨床能力向上に向けた工夫)

○学年を超えた屋根瓦方式による臨床体験実習や、予後までフォローした自験症例に関する症例発表会(臨床推論能力試験)を実施。(東京医科歯科大学)
○歯科医師国家試験終了後に、臨床実習を実施。(東京医科歯科大学、奥羽大学)
○スキルスラボの活用。(東京医科歯科大学・北海道医療大学・日本歯科大学新潟生命歯学部・朝日大学)
○学生を担当医の一人と位置づけ、インストラクターの元で治療方針・計画の立案から実施までを一貫して実施。(新潟大学)
○コミュニケーション能力を高めるための段階的な臨床教育を実施しているほか、口腔の検査・診断を通じて科学的思考を教育。(広島大学)
○臨床実習専用設備、インストラクターの充実。(徳島大学)
○診療室での実習時間を増やすため、診療科ローテイトを減少。(長崎大学)
○全患者の配当制を導入し、チーム医療の一員として実習に参加。(北海道医療大学)
○大学独自に、Student Doctor※2制度を導入。(日本大学松戸歯学部)
※2臨床実習前の共用試験をクリアした学生が、実習に参加するにあたって与えられる称号。

2.優れた歯科医師を養成する体系的な歯学教育の実施

(体系的な教育の実施)

○医歯学融合教育の実施。(東京医科歯科大学)
○獲得が期待される学習成果と各授業科目との関連をカリキュラムマップで提示。(新潟大学)
○歯科医学教育関連の分野やセンター等の立上げや専門教員の配置。(九州大学・九州歯科大学・北海道医療大学・神奈川歯科大学・福岡歯科大学)
○臨床の流れに沿ったコース別学習の導入。(神奈川歯科大学)

(FDの充実・教員の意識改革)

○様々なFDの開催
・震災後の学生・教員のケアや男女共同参画、研究活動の自己評価など(東北大学)
・教員相互による授業参観・授業評価やCBT作問に関する研修会など(鹿児島大学)
・臨床実習の効果的なカリキュラム作成のためのWS(東京歯科大学)
・TBLの基礎と現状や、教学IRの現状についての報告検討会(神奈川歯科大学)
・歯学教育の現状と未来を見据えた教育理論と方法及び実践(愛知学院大学)
・学生支援、臨床実習の評価や職場のハラスメント、大学院及び研究活性化(福岡歯科大学)

(幅広い歯学教育の実施)

○口腔と全身の関わりに関する教育や、救命救急ICU体験指導等を実施。(北海道大学)
○災害歯科学や、歯科法医学の取組を充実。(東北大学・岩手医科大学・奥羽大学・神奈川歯科大学)
○倫理に関する科目の中で薬害被害者の声を直接聞く授業を実施。(東北大学)
○1年次の早期に、学外の社会福祉施設やハンセン病療養所等を見学。(岡山大学)
○医療倫理や薬害、インフォームドコンセントなど、医歯薬保健学共同の医療系統合教育を実施。(九州大学)

(学外機関の活用)

○多職種連携を含めた臨床能力修得のため、病院歯科や保健所等で実習。(東北大学)
○特別養護老人ホームでの見学・体験実習や、リハビリテーション施設での歯科治療実習の実施。(大阪大学)
○全学生が在宅・訪問歯科診療実習を実施。(岡山大学)
○個人宅や高齢者施設などへの往診・訪問診療の見学や、歯科を有する学外病院に入院している患者の歯科診療の見学。(徳島大学)
○他学部との共修プログラムとして五島保健所等で離島医療・保健実習を実施。(長崎大学)
○奄美大島、種子島、与論島において、離島歯科医療実習を実施。(鹿児島大学)
○歯科医師15名を臨床教授・准教授として委嘱、診療参加型の学外歯科医療機関実習を実施。(北海道医療大学)
○地域医療体験実習、介護体験実習、高次臨床実習等の多様な経験。(岩手医科大学)
○山梨県歯科医師会と連携し、1年生が歯科診療所の見学実習を実施。(昭和大学)
○リハビリテーション施設等において実習。(日本歯科大学)
○市中病院の退院時カンファレンスに参加(在宅医療)。(日本歯科大学新潟生命歯学部)
○障害者支援施設等への巡回診療に同行し、診査や処置を補助。(松本歯科大学)
○名古屋市の保健所において、乳幼児検診実習を実施。(愛知医科大学)
○社会福祉体験学習や在宅歯科医療に関する講義・実習の実施。(大阪歯科大学)
○キャンパス内の老人保健施設や老人福祉施設において、口腔ケアを実施。(福岡歯科大学)

(英語教育)

○学部の講義・実習を全て英語と日本語で行うDual Linguistic Education方式を導入。(広島大学)
○専任の外国人教員が歯科英語講義を担当。(徳島大学)
○歯学研究コースの学生は、英語による学内発表会を実施。(長崎大学)

(その他)

○高学年が低学年に教えることで、学習に対するモチベーションを維持・向上。(明海大学)
○低学年から、段階的かつ継続的に、コミュニケーション能力向上のための教育を実施。また2年次から4年次に、ホームルームの中で定期的なテストを行い、フィードバックや補習授業を行う等により、継続的な学習習慣を形成。(東京歯科大学)

3.歯科医師の社会的需要を見据えた優れた入学者の確保

(入学者選抜の工夫)

○入学定員の一部に総合入試を導入し、理系入試により1年間主にリベラルアーツを学んだ学生の中から歯科医師になる意欲が高く優秀な学生を、2年次から確保しているほか、AO入試や後期入試において、総合問題、討論、プレゼンテーションを導入。(北海道大学)
○AO入試に、優れた学力とともに、使命感や探究心、生命への関心と深い愛情などの資質を選抜基準とする総合評価方式を導入。(九州大学)
○地域の歯科医療ニーズに応える人材を養成するため、特別入試を実施。(鹿児島大学)
○一般入試に理解力・論理的思考力等を総合的に評価する形式を導入しているほか、AO入試に集団討論を導入。(九州歯科大学)
○学生負担金の軽減や特待生選抜入試の導入など入学者選抜を工夫。(奥羽大学)

(学習支援の充実)

○1・2年次の在学年限を定め、適性等に欠ける者に早めに対応。(北海道医療大学)
○チューター制などによるきめ細やかな指導。(岩手医科大学・昭和大学・日本歯科大学・朝日大学・愛知学院大学)
○5・6年生の成績不振者に対しては、クラス担任の他に、学務委員会に下部組織を設置し、学生1人に対し複数の教員が指導。(日本大学松戸歯学部)

(高大連携)

○高大連携の積極的な実施。(岩手医科大学・明海大学)
○年間延べ500校以上の高等学校を訪問し、中学3年生を職場体験で受け入れ。(福岡歯科大学)

(その他)

○入学前に自主学習を求め、大学で学習成果の確認テストと解説授業を行う等により、入学前に学力とモチベーションを向上。(東京歯科大学)

4.未来の歯科医療を拓く研究者の養成

(研究マインドの涵養)

○5年次に一連の研究課程を経験する科目を設け、「プレ大学院」としての機能を持たせているほか、大学院では特色ある教育を展開。(東北大学)
○4年次に8~9週間にわたって毎日主に学内(学外や外部も可)の研究機関で実習を行っているほか、東南アジアからの学生と合同で成果発表会を実施。(東京医科歯科大学)
○日本歯科医師会主催のStudent Clinician Research Programに参加。(新潟大学・岡山大学・日本歯科大学・昭和大学)
○最先端歯学研究コースを設置し、指導者を養成。(広島大学)
○国立感染症研究所等の学外組織の研究室配属や臨床研究デザインワークショップの開催。(岡山大学)
○口腔科学フロンティア推進室を設置し、分野横断的に研究者を養成。(徳島大学)
○地域の特性を生かし、産業医科大学、九州工業大学、北九州市立大学と連携して、医歯工学連携による学際的職業人を養成(単位互換有り)。(九州歯科大学)
○4年生以上に大学院履修科目受講を認め、最先端の研究に触れる機会を提供。(昭和大学)

(研究費等の配分)

○3年次の基礎研究室配属後、学生がテーマを申請し研究経費を獲得できる制度を実施。(大阪大学)

5.その他

(グローバルに活躍する歯科医師の養成・国際交流)

○デンマークの大学とダブルディグリー制度を導入、海外歯学部への派遣等。(北海道大学)
○大学として実施している様々なプログラムに加え、歯学部独自で四川大学華西口腔医学院と国際交流サマーキャンプを実施。(東北大学)
○全学的に国際交流に取り組んでおり、多くの歯学部学生に海外研修の機会を提供。(東京医科歯科大学)
○短期派遣により、海外での臨床実習を体験。(大阪大学)
○海外の大学との間に学生の相互交流を実施。(岡山大学・大阪歯科大学)
○若手研究者の海外派遣、国際会議の企画運営への参加。(広島大学)
○学生を海外に派遣するなど、国際交流を活発に実施。(明海大学)
○「難民申請者のための無料歯科治療支援」に取り組み、5年次の学生が国際貢献について考える機会を提供。(鶴見大学)

(産学連携)

○企業の担当者から、歯科企業の製品開発を学習。(東京医科歯科大学)
○シムロイドなど、産学連携による研究開発を積極的に実施。(日本歯科大学)
○地域産業技術と連携した歯科医療機器を開発。(鶴見大学)

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