(機関等名)東京医科歯科大学
1 事業の内容等について
(1)事業の概要
専門職業人たる歯科医師の養成と歯科医療・歯学の発展を担う研究者等の養成を担う大学の歯学教育の質の保証と向上を図る観点から、国内外事例の収集と関係大学・団体の意見聴取を踏まえ、第3者評価の基準のモデル等を提示し、第3者評価システムの導入のための基盤となる調査研究を行う。
(2)事業の内容(目標等も含む)
(趣旨)
歯科大学や大学歯学部における歯学教育は、歯科医師国家試験の受験資格要件として、修了者の8割近くが歯科医師となる専門職業人養成課程であるとともに、歯科医療・歯学の発展を担う研究者等の養成をも併せ担っている。
歯学教育を巡っては、詰め込みや記憶に偏った教育、個々の教員の専門や関心に偏った内容などの弊害が叫ばれ、平成13年の文部科学省の医学・歯学教育の在り方に関する調査研究協力者会議報告によるモデル・コア・カリキュラムの作成をはじめ、診療参加型の臨床実習の充実のため実習前の学生の能力を評価する共用試験の導入、歯科医師の臨床研修の必修化などの方策が進められている。
しかしながら、歯科大学や歯学部卒業生の知識や技能には、依然として大学間や個人間で格差があると指摘され、また、大学全入時代を迎える中、入試による学生の選抜機能が低下し、入学生の資質の低下が懸念される。さらに、歯科医療の需給の見通しから歯科医師の過剰は一層増すことが想定される中、歯科大学・歯学部の定員の削減が求められている。
こうした状況の中、文部科学省は昨年度、モデル・コア・カリキュラム改訂に関する恒常的な検討組織を設置するなど、さらなる歯学教育改革のための検討に着手しており、歯学医師養成機関として将来の歯科医療の質に直結する歯学教育の質の保証は待ったなしの課題である。
本調査研究は、こうした背景を踏まえ、歯学教育の質の保証と向上のための第3者評価の導入について、国内外事例の収集と関係大学・団体の意見聴取を踏まえ、第3者評価システムの導入のための基盤となる調査研究を行おうとするものである。
(検討方法)
検討は、東京医科歯科大学医歯学教育システム研究センターを中心に、国公私立大学歯学教育関係者、大学評価専門家その他学識経験者からなる研究推進委員会を設置し、専門的かつ広範な意見を集約して行う。
検討に当たっては、法科等の専門職大学院、工学や薬学などの国内先行事例について情報を収集・分析するとともに、欧州歯科医学教育学会主導のDENTEDネットワーク、全米歯科医学教育学会のアクレディテーションなどの海外動向を分析し、さらに、各大学の自己点検・評価や学生による授業評価の実施状況などを把握する。その上で、モデル・コア・カリキュラムの導入や共用試験の結果、歯科医師国家試験の合格状況などを活用しながら、各大学の教育目標を踏まえた教育課程、教育組織、成績評価等の教育活動を評価する項目や基準のモデルを検討し、関係大学や団体の意見を聴取しながら評価方法及び実施体制等を含めた第3者評価システムの導入のための基礎的な提案を行う。
(3)事業の実施計画
平成20年7月 研究推進委員会を設置
東京医科歯科大学医歯学教育システム研究センターを中心に、国公私立大学歯学教育関係者、大学評価専門家その他学識経験者で構成し、国公私立大学それぞれの特性を踏まえた第3者評価の在り方を検討する。
平成20年8月 国内先行事例等分析
法科等の専門職大学院、工学や薬学などの他分野の事例について情報を収集・分析するとともに、歯学部へのアンケート調査を通じて、大学の自己点検・評価等の実態を把握する。
平成20年秋 海外調査
アクレディテーションが定着するアメリカやEU内の歯学教育ネットワークが形成されつつある欧州などを中心に大学や学会などの調査を実施する。
平成20年末目途 評価項目・基準の骨子を検討
上記の資料をもとに。研究推進委員会で第3者評価項目・基準の骨子を検討する。
平成21年 関係大学・団体等の意見聴取
シンポジウムを開催し、上記骨子を周知するとともに、関係大学・団体等の意見を聴取する。
平成21年3月目途 評価項目・基準モデル案の提示と実施体制等の提案
研究推進委員会でとりまとめ。
参考
平成20年度 大学評価研究委託事業 公募要領(抜粋)
1 事業の背景・目的
国際的な通用性、信頼性のある高等教育の質を確保するため、自己点検・評価、認証評価等の各般の制度は極めて重要な役割を担っています。
認証評価(機関別、専門職大学院専門分野別)については、それぞれ複数の評価機関の創意工夫による多元的な評価が行われ、自己点検・評価については、適正な評価項目等による評価が行われ、これらの評価結果等を、大学等自らが教育研究活動の質の維持・向上に資することが重要です。
このため、機関別評価、分野別等評価における具体的な評価基準・評価方法等に関する参考となる多元・多様な事例を集積・提供し、大学等が利活用することにより、自ら行う自己点検・評価の一層の充実を図るなど、大学評価の質の向上に結びつけることを目的とします。
2 事業の概要
(1)対象とする事業
認証評価機関、認証評価を行おうとする機関、大学等、学協会等を対象として、機関別評価、分野別等評価における評価基準、評価方法、判定基準、評価員の研修方法等の参考となる事例の集積・提供などを行う事業。
【事業・テーマ(例示)】
○評価機関が、相互に連携して大学評価の質の向上を図るため、評価基準、評価方法、判定方法、評価結果、評価員の研修方法等について調査・分析を行うなど評価制度の充実・発展に資する事業
(テーマ)
・各大学が多様な評価機関を容易に受けることができるよう、大学における作業の効率化・円滑化に配慮して、認証評価機関が共通に活用しうる資料・データ等を整理したデータベースの研究開発
・教育研究活動等における成果を重視した、教育成果・研究成果に関する多面的な評価方法や、大学等の目的・規模・個性・特徴等の様々な構造・条件等を考慮した、多様な評価指標・評価方法等の研究開発
・各認証評価機関が共通して活用しうる評価員の研修方法や研修教材等の研究開発
・各認証評価機関が行う認証評価の公正性・適確性・透明性を確保するよう、大学評価基準に基づく判断の水準やあり方等に関する研究
・評価機関が行う評価の質の高さや適正さを担保する仕組み等に関する研究
・諸外国の大学評価制度に関する調査
○認証評価機関による評価結果の社会における活用状況等を調査し、大学評価の社会への定着と評価文化の醸成に資する事業
(テーマ)
・大学、学習者、社会に対する説明責任を果たしうる、評価結果(報告書)内容のあり方や、大学、学習者等による認証評価機関が行った評価結果の活用状況等を踏まえた、認証評価機関による評価結果の公表・情報提供のあり方等に関する研究
○学部・大学院における分野別等評価の参考となる多元・多様な事例を集積・提供し、外部評価、第三者評価の実施に資する事業
(テーマ)
・評価機関が新たに専門職大学院の分野別認証評価機関となるための、関係職能団体等との連携・協力による評価基準、評価方法、判定方法や、評価機関が学部学科・大学院専攻の分野別第三者評価機関となるための、関係学協会等との連携・協力による評価基準、評価方法、判定方法等の研究開発
(2)申請要件
1 委託期間終了後も自立的かつ発展的な運営を行っていくための計画が明確であること。
2 フォーラム、シンポジウムの開催等多様な方法により、事業の開発・実施を通じて得られた成果を普及させるための方策が明確であること。
(3)申請件数・申請者等
1 申請件数については、原則1機関等1件とします。
2 本事業の申請は、事業を実施する者が所属する機関等の長が文部科学大臣宛に行うこととします。
3 申請内容の詳細については、「大学評価研究委託事業申請書作成要領」を参照してください。
(4)実施期間
事業の実施期間は、平成20年度とします。
(5)事業の実施結果報告等
事業終了時には、終了した日から10日以内もしくは平成21年3月31日、いずれか早い日までに「事業実施結果報告書」及び「事業完了決算書」を速やかに提出をしてください。
(6)事業規模及び選定予定件数
事業規模は概ね1千万円を範囲内とし、選定件数は10件程度を予定しております。
3 選定方法等
事業の選定は、有識者からなる「大学評価研究委託事業選定委員会」において行います。
選定方法等については、1事業内容、2事業の実施計画、3事業の有効性、4事業の評価体制、5委託期間終了後の方針について、本事業の目的に照らし、事業内容が適切であるかを判定し、その判定を踏まえ総合的に判定し選定することとします。
参考
「平成20年度大学評価研究委託事業」の選定結果
|
申請機関名等 |
申請事業名 |
1 |
特定非営利活動法人 THE ALLIANCE ON BUSINESS EDUCATION AND SCHOLARSHIP FOR TOMORROW, a 21st century organization |
多元・多様な事例の集積・提供と国際的な認証評価システムモデルの開発 |
2 |
特定非営利活動法人国際会計教育協会 |
会計大学院の評価の質を国際アコードにより担保する仕組みに関する調査・研究 |
3 |
社団法人情報処理学会 |
IT専門職大学院の認証評価モデルの研究開発事業 |
4 |
財団法人大学基準協会 |
内部質保証システムの構築-国内外大学の内部質保証システムの実態調査- |
5 |
財団法人短期大学基準協会 |
短期大学機関別評価における学生の学習成果及び達成度評価の評価基準、評価方法の実証的調査・開発 |
6 |
東京医科歯科大学 |
歯学教育の質の保証と向上のための第3者評価システムに関する調査研究 |
7 |
日本看護系大学協議会 |
看護学専門領域の評価システム構築に関する研究事業-看護系大学・大学院の認証評価を目指して- |
8 |
日本技術者教育認定機構 |
理工農系を中心とする大学等の分野別評価の高度化と普及事業 |
9 |
日本教育大学協会 |
教職大学院認証評価機関設立と認証評価マニュアル作成に向けた調査研究 |
10 |
財団法人日本高等教育評価機構 |
評価の効率性と大学改革への有効性を高めるための大学評価基準の比較研究並びに大学機関別認証評価後のフォローアップ体制の構築に関する調査研究 |
11 |
特定非営利活動法人日本助産評価機構 |
助産分野における就職3年未満の実践家能力評価-大学院修士課程と大学課程の比較- |
12 |
龍谷大学 |
公共政策専門職大学院の認証評価制度の構築に関する研究 |
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