歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議(第16回) 議事要旨

1.日時

平成26年7月31日(木曜日)14時~16時

2.場所

文部科学省7階 7F1会議室

3.議題

  1. フォローアップの実施
  2. 分野別認証評価について
  3. 今後の歯学教育の在り方について

4.出席者

委員

江藤座長、秋山委員、荒木委員、一戸委員、川添委員、越川委員、小森委員、齋藤委員、西原委員、前田委員、俣木委員、三塚委員、山口委員

文部科学省

佐野高等局審議官、平子医学教育課企画官、島居医学教育課課長補佐、小野医学教育課課長補佐、關医学教育課技術参与、竹本医学教育課医学教育係長

オブザーバー

厚生労働省医政局歯科保健課 和田歯科医療専門官

5.議事要旨

(1)フォローアップの実施

(座長)それでは、フォローアップ小委員会の設置でございますが、先ほど事務局からの説明のとおり、本協力者会議は21年2月に第1次報告を取りまとめて、22年、24年と2年置きに第1次報告に対する各大学の取組状況をフォローアップしてまいりました。今後のフォローアップ調査の実施につきましては、本年2月の「提言・要望」において既に方向性が示されておりますので、まず、事務局からそのことについて説明いただきたいと思います。
また、続けて、過去2回のフォローアップで設置しておりますフォローアップ小委員会を今回も設置するかどうかを御審議いただきたいと思いますので、事務局から説明をお願いいたします。

(事務局)資料4につきまして、御説明いたします。資料4は、参考資料5の「提言・要望」に付いております別紙をそのまま抜粋したものでございます。平成26年度以降のフォローアップ調査の方向性といたしまして、調査の目的でございますけれども、従来の調査では、こちらのマル1、マル2にありますように、第1次報告の提言に対する取組状況のフォローアップであるとか、それを踏まえた課題の指摘と改善の促進ということであったのですけれども、それに加えまして、各歯学部の強みや特色を生かした優れた取組や成果の把握、また、それの積極的な発信による、歯学教育に対する社会の御理解・信頼の確保であるとか、歯科医師の活躍の場の拡大に向けたPRというものを調査の目的とするということになってございます。実施サイクルとしましては、2年ごとを目安に実施ということになってございまして、調査の対象は、平成26年度は全歯学部を対象とするということになってございます。おめくりいただきまして、調査の方法ですけれども、書面調査、ヒアリング、実地調査ということで三つの方法が示されてございまして、ヒアリング・実地調査の対象には、優れた取組を行っている歯学部に対する先進事例の調査を含むとされてございます。
  資料4につきましては、以上でございます。
  続きまして、資料5につきまして、御説明させていただきます。フォローアップ小委員会の設置について(案)でございます。「協力者会議の下に、フォローアップ小委員会を次のとおり設置する」ということで、所掌事務につきましては、第1次報告のフォローアップを書面調査により行うとともに、必要に応じてヒアリング又は実地調査を行う、としてございます。委員等につきましては、「小委員会の委員は、協力者会議の座長が指名する」とさせていただいておりまして、「小委員会に主査、主査代理を置き、委員の互選により選出する」としてございます。設置期間は9月1日から平成28年3月31日までということで、終わりの時期は親会議の協力者会議と同じということで設定させていただいてございます。4にございますように、「小委員会は、適時に審議状況を協力者会議へ報告するもの」としてございまして、小委員会の会議につきましては原則非公開とさせていただきたいと考えてございます。以上でございます。

(座長)ありがとうございました。
  ただいま御説明があった2点でございますけれども、まず資料4の26年度以降のフォローアップ調査の方向性についてでございますが、これは既に2月に決められたものでございます。これについて、何か御質問等ございましたら。
  ただいまの説明でお分かりだと思いますけど、第1次報告で提言して、それを実際に守られているかどうかを見ようと、フォローアップしてみようと、そういう趣旨でございます。提言はすれども解決しないということのないように。
  いわばフォローアップというのは評価でございますから、先ほど出ました認証制度、認証制度というのは恒常的な、いわば分野別の評価でございます。このフォローアップというのは、認証制度につなげていく一つの道筋であるというふうに御理解いただきたいと思っております。
  何かございますか。
  また、資料5の方の小委員会の設置でございますが、従前どおりこういった形でフォローアップ小委員会を設置したいということでございますが、これもよろしゅうございますか。
  それでは、フォローアップ小委員会の設置については、お認めいただいたということにさせていただきます。この小委員会の委員は座長が指名することになっておりますので、今後、この協力者会議の中から数名、それから協力者会議でない方々数名を指名させていただくことになろうかと思います。よろしゅうございますか。これも従前どおりでございます。
  じゃあ、今までフォローアップしてきたわけでございますが、どういった改善をするのかといった形でございますけれども、その進め方について、事務局の方から説明をお願いいたします。

(事務局)資料6をごらんいただけますでしょうか。フォローアップ調査実施要領(案)でございます。目的につきましては、先ほど御説明しました資料4の調査の目的と同様の記載でございます。調査の対象としましては、書面調査は全ての歯学部を対象としまして、ヒアリングにつきましては小委員会が必要と認めるところ、実地調査につきましては、書面調査の結果、第1次報告を踏まえた対応が極めて不十分であるなど、特に確認すべき重大な問題がある歯学部。また、こちらも書面調査の結果、診療参加型臨床実習の現状の確認が特に必要である歯学部、特に成果の確認が必要である歯学部、その他小委員会が必要と認める歯学部というところにさせていただくことになります。
  おめくりいただきまして、2ページ目、書面調査の進め方につきましては、フォローアップ小委員会委員は、各歯学部から提出された調査表の書面審査を分担して行って、シートを作成していただきます。調査表につきまして3名で見ていただく予定にしてございます。フォローアップ小委員会を開催しまして、各委員から提出されましたシートを参考に、合議審査によりまして書面調査結果(案)ということでまとめる予定でございます。その書面調査の結果を踏まえまして、ヒアリング又は実地調査の対象歯学部を決定するということにしてございます。
  ヒアリングにつきましては、事前に各大学に質問事項を示した上で、各大学は書面で質問事項に対する回答を提出していただきます。ヒアリング出席者は、委員会側は、当日出席可能な委員としまして、2名以上で御参加いただきたいと思います。手順につきましては、1学部当たり30分から60分程度で、質問事項ごとに質疑応答を行うということで、ヒアリングと同日に小委員会を開催しましてヒアリング結果(案)を取りまとめるということにしてございます。
  5の実地調査ですけれども、こちらもヒアリングと同様に、小委員会側は当日出席可能な委員2名以上で伺うということにしてございます。調査の手順につきましては、下にモデルを示してございますけれども、1学部当たり180分程度、3時間程度で進めたいと考えてございます。こちらにつきましても、あらかじめ整理できる質問等については大学に事前に示しておいて準備を頂くということで考えてございます。また、これにつきましては、後日、フォローアップ小委員会を開催しまして、合議の審査により実地調査結果(案)を取りまとめるとしてございます。
  6でございますけれども、書面調査、ヒアリング、実地調査の具体的な内容・方法については、小委員会において決定するとしてございます。
  フォローアップ調査報告書の作成ですけれども、小委員会を開催しまして、書面調査、ヒアリング、実地調査の結果を踏まえたフォローアップ調査報告書を取りまとめ、親会議に報告するとしてございます。
  おめくりいただきまして、4ページです。8でございますけれども、委員については、利害関係者につきましては当該大学の調査には参加できない等を案として定めてございます。
  御審議のほど、よろしくお願いいたします。

(座長)ありがとうございました。
  資料6でございますが、今までのフォローアップとどこが違うのかというところですが、1点目は、資料3でございますけど、全大学ではなくて、黒丸が付いているところを主にしてヒアリングをするのであります。その中から更に必要に応じて実地調査をするのが今までのやり方だったのですが、もう一回、全体的に見直してみようということで、今回からは全ての歯学部を一応、書類審査をすると。それで、ヒアリングは労多くして効果は少ないのではないかという話がありますので、ヒアリングはやらないで書面審査の次の段階で実地調査を行うと。ヒアリングをやらないでというのではないのですが、ヒアリングのウエイトを少し小さくして、実地調査にウエイトを置くと。といいますのは、実際に見てみないと、申告どおりじゃないということが今までの経験であったものですから、そういった方向を今回からはとってみようではないかということであります。
  御意見ございましたら、どうぞ。

(委員)小委員会での書面調査、ヒアリングについては分かったのですが、例えば、書面調査が駄目でヒアリングをして、なおかつ、その結果、改善が最終的に見られなかったような場合は、文科省としては、例えば、ここは改善が見られておりませんよということにとどまってしまうのか、それとも何らかのアクションを起こすつもりがあるのか、その辺のところは実際どうなんですか。

(座長)どうぞ。

(事務局)従来、このフォローアップ調査を用いて、その結果を公表するということをしており、その結果、それぞれの大学でどういうふうな形でそれを生かされるのかということを中心にしてきております。一方で、今回少し重点的にお話をさせて、流れとして考えているのは、分野別の評価ということを将来的に何らかの形で導入していかないといけないのではないかという問題意識もあって、そことどうつながっていくのかというところは、この会議の中で今後議論をしていただく重要な論点ではないかというふうに考えてございます。

(座長)補足をさせていただきますと、ただいまの御発言は、資料2の7ページ、教育活動等に関する情報の公表、これは多分、平成23年度からであったと思います。平成19年に学校教育法113条の改正が行われまして、大学の教育活動に関する情報は全部開示せよと。ですから、今の文科省の大学に対する指導の範囲としては、私学助成うんぬんの話がありましたけど、法的には、私学助成を減らすとか、そういう話は無理だと思います。それから、学生募集停止とか、そういう権限もございません。大学の教育研究活動については全部情報を開示して国民の審判を仰ぐと、そういった方向でございます。こういった公表をされれば、志願者の方としては、その大学を志願するかどうかの判断材料になるわけです。

(委員)今のお話は、つまり、各大学が公表するのであって、国として公表するということはないわけですか。

(座長)大学ホームページ上に掲載すると。文科省のホームページじゃないですね。

(事務局)ここは、今のところはそういうふうに考えていますが、例えばその調査結果についても、これは評価をやるときによくあるのですが、大学側はこう思っているけれど、評価する委員と認識がずれることがあります。逆に言うと、調査結果について委員と認識が一致したものについてはどこで公表するかということは余り問題にならないことが多いのですが、私どもとして一番考えているのは、大学が自らそういう情報については積極的に開示を行い、そして自らの教育あるいは運営の改善に役立てていっていただくということがやはり基本だと考えています。したがって、そういったところの大学が公表する、そして、それらのリンクを例えば文科省のホームページに張るとか、そういったことも当然、やり方としてはあると思います。したがって、文科省のところで公表するのか、しないのかというのは、今後、議論であっていいと思いますし、基本としては大学がまず自らやっていただくということを中心に据えながら、考えていただけたらと思っております。

(委員)国民の審判を仰ぐとおっしゃったのですけれども、一国民が歯学部のホームページを見に行くというのは通常あり得ないことではないかと思いますが……。

(座長)その大学を受験するときには調べるそうです。それから、高校予備校の受験指導もそういった形でもあると。
  ただいまの御議論ですが、参考資料2と3をお持ちですか。これは、フォローアップの結果でございまして、文科省のホームページに掲載されています。
  御参考までに申し上げますと、中国は歯科大学が2004年に36から136になっており、教育の質が非常に問題になっております。やはり教育部の下に大学評価委員会がありまして、その委員会の答申によって3校が来年度から学生募集を停止すると、そういった話がございますが、委員会の委員長に聞きましたところ、委員会はそういう募集停止というような権限はないと。教育部としてはそういった法的権限を持っているのだそうであります。日本国としては、そういった権限は、文科省は持ってございません。
  ということでよろしいですね。

(事務局)持っていないというのは、どういう面に関してでしょうか。

(座長)学生募集を停止するという。要するに、質の評価をして、質の評価があるレベル以下であれば学生募集を停止すると。そういったことは今までかつてなかったと思います、ほかの学部についても。

(事務局)質がある程度あればということだと思います。これまでの例ですけれども、歯学関係ではないところで、これはどう見ても学生教育にひどく支障を来したといったようなケースもやはりあります。そういったときに何も全く措置をしてないかということではありませんので、そういったところの評価といったところ、様々な面であると思いますけれども、そこの点は今までのところではないけれどもということではないかと思います。

(座長)今の話は、認証制度について将来的にどういうふうな判断を認証する側がするのかと。その場合にどういった権限があるのかということは、これからの議論でございます。
  ほかに何かございませんか。どうぞ。

(委員)資料6の2ページに「書面審査評価シートを作成する」と書いてございますが、これは、オンサイトビジットなさったときにもこの評価シートのようなものを持っていって評価するというふうな考え方でよろしゅうございますか。

(事務局)回答いたします。書面調査でまとめられた結果を基に実地調査を行うということになってございますので、これは携行していただいた上で、事前に質問事項等を整理いたしまして、それぞれの実地に向かうということになろうかと思います。

(委員)その評価項目、認証評価もそうですけれども、かなり細かく決めますよね。それはどこかにモデルが、今回の資料に入っていますか。

(事務局)今回の資料には含めてございません。

(委員)厚労関係の臨床研修病院の機能評価でもそうですし、大学の認証評価でもそうですけれども、かなり細かく最初に決めてございますが、そういうふうな考え方というのはどうでしょう。ここの場では必要ないのでしょうか。

(事務局)現時点でお示ししている案の中では、書面調査であるとか実地調査における評価の項目等につきましては、小委員会に委ねることにしてございます。

(委員)これまでにフォローアップなさっていらっしゃるわけですから、そのときはそういう評価シートができていたと考えていいですか。

(事務局)はい。

(委員)私、今までの経験で言いますと、先ほどの資料3でございますけれども、これを基とすると、各大学に書面を出して、そしてヒアリングをさせていただきました。かなり細かいところまで尋ねて、そこで問題があるようなことを中心にヒアリングをしておりました。そこでまだ解決しないというところに合議で実地調査をすると。実地調査に行く前に会合を持って、そして、何を質問するかというような形でさせていただいておりました。

(委員)こういう会議で、こういうことについて評価をしましたという報告があると、なおいいですね。

(委員)基本的には、第1次報告書の4つの項目に関して一応大きな項目を立てて、ヒアリング等々をさせていただいておりました。

(委員)それから、先ほど、できなかった場合にどうするか、ペナルティー的な考えがございましたけれども、よかったことというのももっと公表してもいいのではないかと思うのですが、それはどうですか。

(委員)今まで2回やりましたときには、数値データだけでヒアリング及び実地調査のところを選んでいたのですね。そうしますと、同じ大学ばかり行っていて、結局、いいところが何も見えてこないと。だから、今度からは各大学のいいところをみんなで情報を共有して発信していこうということで、今回、フォローアップの方針を変えたということがあります。

(委員)大賛成です。よかったことをもっと公にしてあげた方がいいのではないでしょうか。

(座長)これは国立大学の話だけではないと思うのですが、資料2の30ページの上段の方に国立大学のミッションの再定義とありますが、「客観的データに基づき」って、これは実績に基づいて各大学の強み・特色・社会的役割を今までよりも強調しろと。要するに、これは国立大学の中に今までよりも強い競争原理が導入されたわけでありまして、いわば自分のところの特徴を出して国内的にも国際的にも競争に勝ちに行けと、そういうふうにも解釈できるということです。そういう形ですから、今御発言の、悪いところばかり見ないで、いいところを見なきゃいけないじゃないかというのは御指摘のとおりで、いいところをもうちょっと各々が主張して、それで切磋琢磨(せっさたくま)しようと、その方向も必要じゃないかという御指摘でございます。特色を出すと、伸ばすと、そういったことはもう既に第1次報告書の中に記載されております。それを今回からは少し強調してみようと、そういったことでございます。
  何か、ほかにございませんでしょうか。
  それでは、ほかの議題もございますので、フォローアップの進め方につきましては、ここの御意見を一応頂いた上で、事務局で整理をいたしまして、今回からのフォローアップに反映をさせていただこうと思っております。最終的な決定につきましては、先生方の御意見を入れて、座長一任とさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
それから、どういった方向で行くかといったことでございますが、先生方の御意見を入れたものを各委員に御報告させていただきます。


(2)分野別認証評価について

(座長)次に、現在の歯学教育認証評価の取組状況につきまして、荒木委員から御説明を頂きたいと思います。
  荒木委員、よろしくお願いいたします。

(委員) 東京医科歯科大学の荒木でございます。先ほど来御説明がありましたが、現在、歯学教育の認証評価制度の構築に向けて、文科省の大学改革推進等補助金を頂きまして、事業を展開しておりますので、それにつきまして御説明させていただきます。また、2月に説明したときよりも少し開示できるものが多くなりました。新しく資料を入れてありますので、前回お聞きになった方も、それよりも情報は増えていると思いますので、聞いていただけると有り難いと思います。
  2ページ目でございますけれども、我々が今やっている事業の目的でございますが、「日本の医学部・歯学部が国際標準の教育を実施していることを証明するとともに、国際標準を超えるグローバルかつ優れた医師・歯科医師を養成するため、日本における国際標準の医学・歯学教育認証制度等の基盤を構築することを目的として実施」と、本事業の大きな目的がありまして、この中で私たちが矢印の下に書いたような内容で応募いたしまして、補助事業として採択され、現在までに、2年半ぐらい活動してきました。
  次のページを見ていただきますと、歯科医師の養成の教育内容が国際水準に比較して我が国は遜色ない水準であるということを、どうやって証明するのかということを確かめるために、1年目に、米国とか英国等の欧米で実施されている歯学教育の認証の評価基準というのが参考になると思われまして、それらを調べに行きました。それらを参考にして、今、トライアルとしての歯学教育の認証評価基準(案)が作られております。また、さすがに欧米の基準をまねしても、国によっていろいろな制度が違うのでそのまま通用することはできません。そこで、我々が作っていくものにつきましては、最終的には連携5大学全部でトライアルをやらせていただきまして、その結果を踏まえて、日本独自の医療制度、人口構成の変化、社会的な要請などに対して一定の考慮をしながら、しかし国際的なものと比較しても遜色のない内容の制度を作りたいと思っております。現在、認証評価ワーキンググループには14大学しか委員が入っていません。すなわち我が国の29歯科大学中、半分ぐらいしか委員が入ってないので、委員のいない半分の大学にも広めなければいけないし、当然、我々の取組内容を共有していただかなければいけないと思っています。そこで、取組内容を常に共通認識として拡充し、将来全ての大学が認証評価基準に到達して、我が国の歯学教育の国際的な質の担保を図っていかなければいけないということで、常に29歯科大学・大学歯学部で必要性の認識・理解・協力が得られるように努力するということをやってきています。すなわち、報告書、ホームページ、また、年に1回、1年間やってきた取組内容を公開シンポジウムという形で公にして、そのときに来ていただいた方々から御意見を頂くということを行っております。
  4ページ目は、平成24年度、最初の年の最終実績報告でございまして、まず、東京医科歯科大学、新潟大学、九州歯科大学、東京歯科大学及び大阪歯科大学の5大学が連携し、東京医科歯科大学が中心となって、この5大学から幹事委員を選出して、歯学教育認証評価検討ワーキング幹事会を立ち上げました。次に、この5大学が一応いろんな案を出しまして、それを実行に移すための最終的な協議機関として、ここに書かれています10大学から11名の委員を選出しまして、歯学教育認証評価検討ワーキングを立ち上げて、協議・活動をしてきました。3番目は、先ほど言いましたとおり、まず1年目は諸外国の認証評価についていろいろ調べてきまして、最終的にはイギリスとアメリカの歯学教育認証評価基準を参考にするということになりました。イギリス、アメリカでは歯科大学に対して歯学教育に関する認証評価を従来から行っていますので、非常に示唆に富んだ認証評価基準だと判断しました。また、幹事委員を含めますと16名のワーキング委員がいますが、ほとんどの委員が初めてのことで、認証評価自体について余り理解してない部分がありましたので、共有するために、24年の年末にワークショップを開催して、委員全員が同じような考え方を持つための努力をいたしました。最後に、平成25年3月5日でございますが、24年度の事業につきましては、公開シンポジウムを新潟市で開催しました。その報告書は5ページにありますように、このような形で、ホームページにも載っておりますし、冊子としても作成し、日本の各歯学教育機関、そして一般の参加者の方々にも、お送りさせていただきました。
  昨年25年度の事業活動報告が6ページ目に書いてありますが、この年は活発に幹事会や全体ワーキングを開催いたしまして、最終的に、トライアルの認証評価の基準(案)を完成しました。この基準(案)を用いて、平成26年1月から、幹事大学である大阪歯科大学と九州歯科大学の2大学に自己点検評価の作成依頼を行いました。また、平成26年2月8日には、平成25年度の事業成果の報告と、国際認証評価の関係者をお呼びしまして、講演、シンポジウムを開催いたしました。この記録報告書は、今、ようやく印刷に回っているところなので、近々、発行するとともにと、ホームページに載せられると思います。
  次のページは、平成26年2月8日に開催しました事業報告プラス国際認証評価についてのシンポジウムのメニューでございまして、講演の1から4を見ていただきますと、最初の2つは、私たちが平成24年度に現地に直接確認しに行きました、イギリスのGDCという認証機関、それからアメリカのCODAという認証機関、この2つの認証機関の責任者の方を1人ずつお呼びしまして、直接各機関の実態を講演してもらいました。講演3は、医学系の方も同じように国際基準に基づく医学の認証評価の質保証が行われていますので、これの責任者であります東京医科歯科大学の奈良教授にお願いしまして、医学教育の質保証の進捗状況につきまして御説明いただきました。そして、講演4としましては、もう少し大きな意味で高等教育の質保証というものについて何たるかを知り、今後どういうことをしなければいけないかということを理解するために、独立行政法人大学評価・学位授与機構特任教授の川口先生に来ていただきまして、大変高尚な講演をしていただきました。最後に、我々が作ったトライアル用の認証評価基準と認証評価の実施要項を、今ここにおられます新潟大学の前田歯学部長から御説明させていただきました。
  さて、具体的な歯学教育認証評価基準ですけれども、イギリスのGDCは29項目の基準がありまして、アメリカのCODAは55項目あります。これを見ますと、確かにこのとおりでも日本の歯学教育は全部調べられると思います。しかし、その国の地域差、文化、医療制度、政策などがGDCとCODAにはそれぞれ反映されていますので、そのまま日本語に訳して日本で使うということは無理があることが分かりましたので、日本独自の歯学教育認証評価基準を作っていきました。それが10ページにあります。GDC、CODAと同じように項目では、七つの大きな評価項目と、それぞれの項目に対して合計で15の基準を作りまして、その15基準の中を更に細かく、47の観点というのを作りました。次のページは、非常に細かい文字なので申し訳ありません。さらに、観点の数が非常に多いので細かく全部は説明できませんが、書式としては一番左側に七つの評価項目がありまして、1番目は、教育の理念及び目標という評価項目でありまして、基準は1つだけです。この基準に対して観点を4つ作りまして、 少なくとも4つの観点を全て満たしていることが、この基準を満たしたことになるということです。ただ、この観点自体は、よく読んでいただきますと分かりますが、少し大きな内容なので、一体どういうことを自己点検しなければいけないのかということが明確でないので、視点というのを入れまして、最低でもこのようなキーワードですね。視点についての情報あるいはデータを出していただくということで、最終的に一つ一つの観点が成り立っていると判断され、観点が全部成り立てば基準が成り立っているという発想で全ての基準を構築しました。評価項目を見ていただきますと、2番目が学生の受入れ、3番目が歯学教育課程の内容・方法・環境、4番目が患者への配慮と臨床能力の確保、5番目が成績評価と卒業認定、6番目が教員組織、7番目が点検・評価と、という評価項目でございまして、大変済みませんが時間的に説明することが無理ですので、細かいことにつきましては、お時間のあるときにお読み取りいただきたいと思います。
  次のページでございますが、私たちが作った歯学教育の認証評価項目の特徴は、外国、特にイギリスとアメリカの先行分野の評価項目を網羅しつつも、我が国の歯科医学教育の独自性・特殊性、文化、社会制度などを考慮しながら、各種施策に対応したものを作ったつもりでございます。特に、先ほどの基準の資料に戻っていただきますが、3章を見ていただきますと、評価項目としましては歯学教育課程の内容・方法と書いてありますが、非常にたくさんの基準と観点があります。実は当然臨床教育というのも当然この3章の中に入るのですが、私たちとしましては、臨床実習あるいは臨床の技能の充実を図るということのためにいろいろ努力している部分がありますので、患者への配慮と臨床能力の確保という評価項目を独立して、技能教育としての歯学教育の独自性を明示しました。内容的には、診療参加型臨床実習の推進、卒業時の臨床能力の確保ということについて、この基準の中でかなり強く確認できるということを目指しております。
  それから、歯学系の大学は、特に国立大学は総合大学が多いのですが、私立大学は単科大学が多い結果、機関別認証制度については、国立は学位・授与機構によって、私立は大学基準協会によって評価を受けるのですが、実際は単科大学なので機関別評価がそのまま分野別評価になる可能性が非常に高いと思われます。その辺のことを少し配慮しまして、先ほどの14ページの最後の評価項目であります点検・評価、この内容の中に、今後行われる分野別の評価の中に機関別の評価が行われていることについては評価するという形で、機関別評価で既に評価されていれば、そのことについては改めて評価しないというようにしてあります。特に、例えば経営面等については、歯学教育の認証評価の方で評価はしないというようなことを配慮しております。
  次のページ、これは今行われているトライアル2大学の実施スケジュールでございます。これも少し文字が細かくて申し訳ありませんが、日付が入っているのはもう確定した内容であります。すなわち現時点で、現地実地調査の日程までは全部確定しております。2大学とも10月半ば過ぎに行うということで、今それに向けて準備を進めている最中です。既に各大学の自己点検評価書につきましては、評価実施委員会委員の評価が済みまして、現在は、主任が最終的な評価を取りまとめている状態で、今後、現地調査に備えていくというところまで来ております。
  次のページを開けていただきますと、私たちが考えている現地調査のスケジュールの実施案でございまして、何分初めてのことですので、アメリカとかイギリス、それから他の認証評価でやっていることをかなり参考にいたしまた。現地調査は2日間かけて行うこととしました。赤で書いてありますが、基本的に教育されている学生さんとの面接の時間を非常に多くとって、できる限り1年生から最終学年の6年生までの学生さんと全て面接させていただくという日程にしてあります。もちろんそれ以外の自己点検評価の内容も大学の関係者の方々から確認する作業も行います。今、それぞれの大学と最終的な日程を調整しているところです。
  次は、平成26年度歯学教育の認証評価事業の今後の予定でございますが、現在、連携2大学にトライアルを実施して、10月に現地調査を行います。それらの結果を踏まえまして、評価項目をブラッシュアップしていく予定です。現在実施しているのは、あくまでもトライアルでして、実施内容全体に不備な部分が少なからずあると思っています。それから、国際水準に対してずれていってしまうのはよくないので、GDCとかCODAなどの外国諸機関と常に意見をすり合わせるとともに、全国の歯科大学・歯学部の方々の意見も頂いてよりよいないようにしていきたいと思っています。それから、今、評価実施者は10名いますが、今後、どんどん認証評価事業を広げていくと、評価実施者が10名しかいませんと、同じ人が常にやらなければいけない状態となってしまい、とても円滑に評価実施が行えませんので、評価実施者を養成していくということも今後考えなければいけないと思っています。平成26年度は、今回のトライアル2大学の結果を踏まえまして修正した基準ができると思いますので、27年1月頃を考えておりますけれど、この修正した認証評価基準で次の連携の2大学に、自己点検評価をお願いすることを予定しています。さらに、平成26年度の実績報告のための公開シンポジウムを平成27年2月か3月に開くことを準備しております。
  最後になりますが、なぜ歯学教育認証評価が必要なのかということにつきましては、先ほど来御説明してきましたが、1ページにまとめますと、我が国の歯科医学人材養成の質の向上が図れるとともに、日本の歯学教育が国際的に信頼されるための重要な要素になると思います。今後も教育研究水準が高度になっていきますので、どうしても臨床技能の担保が課題になりまして、学生のうちから臨床実習の充実を図り、臨床技能を高めていくということが、非常に大きな目標になってきております。的確な情報発信、これは、先ほども話題になりましたけど、第三者機関から発信される評価の情報にもなるということでございまして、最終的に歯学教育の質の保証は職業教育の質の保証になりますが、国民の方々や、ステークホルダーの方々の強い期待があるということを私たちは常に感じながら、この歯学教育認証評価を充実させていきたいと思っております。我が国の歯学教育の国際的通用性、優位性の担保のためには、現在行っております歯学教育認証評価基準を確立しまして、制度としてその基盤を確立して、最終的に実施していくということが必要なのではないかと思っております。
  以上でございます。

(座長)ありがとうございました。
  ただいまの御説明で、御意見、御質問ございましたら。どうぞ。

(委員)今、荒木先生から御説明ありましたように、歯科医師の質の担保という意味から言うと、これは重要なことで、今、トライアルで先生方が展開している中で、トライアルが終わった後、できれば全歯科大学・歯学部で同じように取り組んでもらえれば質の担保ができるというふうに思っているのですが、今後の見通しとして、トライアルが終わった後、まだ全く手を付けてないところが大部分ですけれども、そこに対してはどんなアプローチの仕方をしていって全国展開に広げていくというふうに考えているのか、ちょっとその辺をお聞かせ願えますか。

(委員)まず、今、私たちがやっていることを開示することによって、広げる方法が2つあると思います。1つ目は、年に1回ですがその年において行ったことを報告するためのシンポジウムを開くということです。全国の大学の方々に、招待状や案内状を出しますと、例えば今年も2月にやったのですけど、多くの大学から来ていただきました。2つ目は、やはりそこに来る方々というのは各大学の一部の方々のみなので、私たち認証評価委員が大学の教員研修などに直接呼ばれて大学の多くの教員に対して、本事業の取組を話して広めていくことです。さらに、先日、私が呼ばれたのですが、歯科医学教育学会という教育の関係者が一堂に会する学会で、教育講演の講演者として、学会会員にできる限り紹介するというような方法で広めていけると思います。この5年間の間に作ったものをいろいろな方法で開示していく必要があると思います。ですから、私たちが本事業の最終的な報告書を出したときには、その報告書の内容は29歯科大学の方々には、少なくとも理解して共有されているというような形に持っていきたいと考えております。このことが実現できれば、最終的に認証評価制度としてどのように実施していくかということは、実は今の時点では未定なのですが、我々が認証評価制度として作ったものがそのまま認証評価制度として移行できれば、29大学の方々も皆さん分野別認証評価制度にある程度抵抗なく入っていっていただけるのではないかという期待を持っています。

(座長)今の御質問の答えに補足させていただきますと、今、荒木委員が説明した資料7の9ページ目の、イギリスのGDC(General Dental Council)、それからアメリカのCODA(Commission on Dental Accreditation)、GDCというのは、実は評価だけの機構ではなくて、歯科医療の質、歯科医学教育の質の保証等をするところでありまして、これは、いわば政府機関とは表向きは、「表向きは」と言うと問題があるのですが、表向きは独立したところであります。このGDCみたいな機関があるのは、例えばマレーシアにあります。マレーシア・デンタル・カウンシル。それから、タイ・デンタル・カウンシル。タイはイギリス圏じゃないのですけれども、あります。
  それから、CODA、これは独立した評価機関ですね、前田先生。

(委員)いや、米国歯科医師会の外部機関で、建物は一緒です。

(座長)外部機関になっております。両方とも、会費を払っているのですか。

(委員)GDCの方は完全に会費です。

(委員)会費というか、登録料です。

(委員)レジスターというか、登録料を取っています。

(座長)登録料。

(委員)はい。

(座長)そうすると、評価費用というのは別に払う必要ないわけ?

(委員)いや、評価費用は払います。

(座長)評価してもらうときには払うんですね。

(委員)その通りです。

(座長)例えば大学基準協会が仮にやるとすると、1大学700万とか、そういう形で、例えば、CODAにしても、GDCにしても、審査費用を取っているはずですね。
  それで、資料2の25ページの薬学教育評価機構の方は、私、ちょっと把握してないのですが、1大学幾ら取ってやっているか、御存じですか。文科省は把握されていますか。
(事務局)定かではないのですが、300万程度だったかと思います。

(座長)300万。それは、会費ですか、それとも評価を受けるときですか。維持会費というのがあると思います。全会員が払う費用と、評価を受けましたときに払う費用と。

(事務局)そのことについては承知しておりません。

(座長)それで、24ページの医学の方は、全国医学部長病院長会議の中にある委員会が、日本医学教育認証評価評議会という、これは組織で、評価は今、文科省の補助金でトライアルをやっているというわけですが、こういった組織から、Japan Accreditation Council for Medical Educationを将来的には立ち上げたいという意思表示をしております。
  歯科がどういった組織を作っていくかというのはこれからの議論でございまして、先生方の御意見をここでお伺いしたいと思います。お伺いしたいと思いますといっても、組織の問題ではなくて、方向性の問題でございます。ですから、先ほどの三塚先生の御質問というのは、そういった組織の構築に関わることであると。それで、恒常的な分野別評価をやっていくという、そういうことでございますね。

(委員)私も三塚委員と同じで、全大学できちんと認証されるようになれば、認証を受けた大学で学んだ歯科医師を選ぶという一つの指標ができ、患者としても非常に安心できると思います。今、歯科医師をどう選ぶかということが患者としてはとても課題である中で、教育自体が認証制度を取り入れられるというのはとても意義があることだと思いますし、できれば全大学に広がってほしいというふうに思いました。
  今はまだ始まったばかりで数を少しずつ増やしていかれる段階だと思うのです。初めは2つの大学でやって、五つの大学が幹事になって、今、10の大学に声を掛けたということが書いてあるのですが、ということは、その後、入りたいと手を挙げてくるところを待つのか。例えば、これが一定の実績を積んできたときに全大学に広げるとしたら、どういうふうなことが必要になってくるのか。これからの議論かもしれないのですけれども、そのあたりのお考えをお聞きしたいことと、イギリスのGDC、アメリカのCODA、これはどれぐらいの教育機関を評価し、100%近い実績があるのか、そのあたり、現状はどうなのでしょうか。

(委員)後の方の御質問から言いますと、GDCも、アメリカも、自分の国の少なくとも歯学教育機関については全て、たしか6年か7年に1回は必ず受けなければいけないという制度になっています。

(委員)7年。

(委員)7年ですね。特にアメリカの場合、CODAは最終的に強い権限を持っていまして、もし本当に歯学教育認証評価結果が駄目だということになると、日本で言うところの歯科医師国家試験が受けられないところまで強い権限を持っています、ただし、今までそういうことで米国の大学歯学部がつぶれたということはなかったのではと思います。

(委員)過去にはあります。

(委員)あったのですか。

(委員)大分前です。

(委員)数校つぶれました。

(委員)結局は、卒業しても歯科医師国家試験が受けられない大学ということになると、当然入学者が入ってきませんね。その結果、経済的に大学経営が成り立たなくなってつぶれていくというのもあると思います。このようにCODAの認証評価自体がかなり強い権限を持っていますので、認証評価を受ける大学側もきちんと、下手すると2年ぐらい前から準備を進めていってその日を迎えるということは、過去に評価を受けた米国の大学の先生たちが、現地訪問したときに言っていました。

(座長)誤解のないようにしていただきたいのは、法的に大学を閉鎖するということではなくて、この機関が勧告を出すことによって社会的な制裁を受けて学生が来なくなって閉鎖に追い込まれてしまうと。ですから、その辺の手順は先ほどの学校教育法による教育研究の情報の開示と同じ趣旨となると思われます。

(委員)江藤先生、これは当たり前ですけが、例えば、1回問題があると評価を受けたら、それでその評価が決定ということではなく、必ずフォローアップというか、例えば、改善策を出してもらって、何年後に本当にそれが改善されたかどうか確認作業が行われます。多くの大学はそこで改善されていますから、結局、それで認証されるというのが普通のようです。ただし、1回の認証評価実施で即認証不適とされる大学があるということは制度としては存在しています。すなわちペンディングという形で評価されることですが、基本的に、GDCやCODAで、そういう形で止められるという大学はほとんどないとのことでした。

(座長)この認証につきましては、この前にフォローアップの話題が出ましたけど、フォローアップというのが歯学教育における分野別評価のいわばトライアルでありまして、もう2年やってきております。それで、その2年の延長上に、一つは臨床のトライアルがあると。さらに、フォローアップを今までよりもきめ細かくやる。そうすると、フォローアップの評価のいわば効果を見ながら、認証制度という恒常的な制度に移行させていく筋道でございます。ですから、ほかの分野に比べますと、フォローアップといういわば一つの実績を残しながら認証に進んでいくということでございますので、その辺のところを御理解いただきたいと思います。

(委員)これをやる大きな問題点は、各大学での意識の差がまだ非常に大き過ぎます。これに興味のあるところは、私と荒木先生がいろんなところでFDとしてこれをやって、教員からこういう問題を共用していって自己改善に使おうということで、私は4校ぐらい回りましたが、荒木先生も何校か回っている。ただ、こういうのをやりたくないというような御発言を全国大会でされるような先生も何人も、何人もと言うとちょっとあれですけれども、いらっしゃると。これの重要性ということも、全国の歯科大学長・歯学部長自体、御認識されてない先生も非常に多い。医科の場合は、医学部長、附属病院長で、みんなでやりましょうというふうにやってきたと。しかし、今回、歯科は土台がなくて下からボトムアップしてきたので、それに対する不満というのがあって、まだ共有化されてないというのは非常に大きな問題だと思っています。ただ、こういう時代のクオリティー・アシュアランスという考え方は高等教育の中で当然の考え方ですけれども、それに対する意義というものをまだ御理解できてない歯科大学長や部長先生が少なからずいらっしゃるということが大きな問題点だと思います。

(座長)その辺でございますけれども、まず一つは、共用試験を立ち上げるときに、医科の方は、80校のうち、多分、最初は20校ぐらいが参加するだろうと。歯科の方は、29校のうち、12、3校だろうというふうに、我々は予測していたのであります。2003年に共用試験を立ち上げて、翌年の2004年には、歯科の1大学以外は、その1大学は国家試験の漏えいで入れないという方針だったので、歯科大学28校、医科大学80校、全部参加いたしました。そういう経緯からしますと、自発的であれ、みんなが入るからバスに乗り遅れまいとして入ったのか、そこら辺は定かじゃないのですが、そういったことがございますので、先ほどの山口委員の御指摘のどれぐらい入るのかということに関しましては、みんなでこういう組織を作って社会的に質を説明していこうという組織でございますから、入らないと損じゃないかというような形になるのではないかと予想しております。

(委員)今までのフォローアップでは、少し言い方が悪いですが、問題のある大学だけを何回も見に行くということをやっていたのが、今回からは、先ほど御説明されたように、各大学の持っているいい面も見に行きましょうということをやることになっています。アメリカやイギリスも同じですが、各基準や観点について最終的な評価を付けるときは、実はいいことの方が多いのですね、問題点も当然指摘しますけれども、全部問題があるような大学はほとんどないと思います。先ほど言われたように、その大学がすごく、自分たちを売り込むとか、特殊なものとか、得意にしているとか、そういうことは私たちが現地調査で見に行ったときに見られます。そういう部分についても、報告書や最終的な評価書には、正しく評価してすごくいい取り組みであるとか、いうことが載るわけですね。それをホームページ等で開示すれば、御自分たちの大学のすごく得意のもの、評価の高いものが掲載されることになります。ですから、どちらかというと御自分たちの大学の宣伝にもなるのではないかという部分はあります。第三者評価として自分たちがやっている授業とか教育の内容がすごく高く評価されたという内容になりますので。だから、そういう点では、教育内容に自信のある大学はこの認証評価制度はすごくプラスに使えるのではないかと、私は思います。だから、そういう点では、今、江藤先生が言われたように、将来認証評価制度が確立したときには、最終的に29歯科大学すべての皆さんが参加してもらえるのではないかということを期待して、今、一生懸命やっています。

(委員)入学のときの質の担保と学生教育の質の担保、これは文科省マターになっている。この後になってくると国家試験の問題があるのですけれども、今、荒木先生とか前田先生がおっしゃったように、江藤先生もおっしゃったように、学生教育の質の担保から言うと、ここでしっかり先生たちの熱意を各大学が受け止めてやっていただければ、そこで学生教育のところの質の担保はできたのではないかというふうに解釈できます。何年か先にそういう方向に先生方が進めるに当たって、文科省としてはどういうふうに考えているのですか、これを受けて。

(事務局)まずは、今の段階でも、先ほど来見ていただいているように、フォローアップをやり、そして、荒木先生を中心として、こういった認証評価のトライアルを進めていっているというところに支援をしています。最終的にどうするかというのは、これからの出来上がりぐあいというところは当然見ていく必要はあるのですが、先ほど見ていただきましたように、これまでの中教審などの各種答申あるいは提言などにおいても、こういった分野別の評価ということは積極的に取り入れていってくださいといったことがやられていますので、こういったことをなるべく前に進めていくという立場とお考えいただくのが一番良いかなというふうに思います。

(座長)それでは、認証はこれからも何度かこの協力者会議で話題になりますので、そのときにまた御意見を頂戴したいと思います。


(3)今後の歯学教育の在り方について

(座長)続きまして、議題(3)でございますが、歯科医療と歯科医学教育というのは表裏一体をなすものでございます。本日、厚労省歯科保健課から厚生労働省においでいただいておりますので、歯科医療を取り巻く状況を資料8に基づいて御説明いただこうと思います。
  よろしくお願いいたします。

(厚生労働省)それでは、資料8をごらんいただきたいと思います。簡潔に御説明をさせていただきたいと思います。
  まず初めに、少しデータを交えて御説明をさせていただきたいと思いますか、スライドの2ページ目をごらんいただきたいと思います。こちらは6年に1回実施をしてございます歯科疾患実態調査という調査でございまして、年齢階級別の一人平均現在歯数の推移をまとめたものでございます。色が一番濃いところが直近の調査でございまして、それぞれ40歳から85歳以降まで年齢階級別にまとめたものでございますが、調査を重ねるごとに一人平均現在歯数は増加傾向にありますよというデータをお示ししてございます。
  1枚おめくりいただきまして3枚目の資料でございますが、こちらは子供の虫歯の数の年次推移を見たものでございます。青の棒グラフは3歳児、ピンクの棒グラフは12歳児という形でまとめてございますが、このデータで一番古い平成元年のところを見ていただきますと、3歳児が2.90本、12歳児は4.30本であったものが、23年の調査の時点ではそれぞれ0.74本と1.20本に減少していますというデータでございます。
  少し切り口は変わるのですけれども、スライドの4番目の資料をごらんいただきたいと思います。こちらは3年に1回実施してございますけれども患者調査という調査でございまして、右側の棒グラフをごらんいただいた方が分かりやすいと思うのですが、全体の患者数を100%とした場合のそれぞれの年齢階級別の構成割合の推移を見たものでございます。赤のところが75歳以上、オレンジのところが65~74歳ということで、調査を重ねるごとに、歯科診療所を受診される推計患者数でございますが、患者数が増えているという状況をお示ししてございます。
  今申し上げました子供の虫歯の減少ですとか、あるいは歯が残っている高齢者の増加、また患者に占める高齢者の割合が増加をしているという実態を踏まえまして、歯科治療の需要のイメージ図としてお示ししたものが、スライドの5番目の資料でございます。左上の青の実線で囲まれたところがいわゆる健常者型、従来どおり外来に来られて虫歯の治療をされて詰められるという患者さんを想定してございます。他方で、右下の赤の点線で囲まれた部分が歯科治療の難度あるいはリスクが高い高齢者型という患者さんを想定したものでございまして、先ほど申し上げました傾向を踏まえますと、これから歯科医療ないしは歯科治療の需要といったところはこういうところが少し増えてくるのであろうというふうに考えてございます。また、その中でも右下の三角形のところでお示ししてございますが、例えば、自立度が低下した寝たきりの方ですとか、あるいは全身的な何らかの疾患をお持ちの方に対する歯科医療の介入といったものも、非常に重要になってくるのではないかというふうに考えてございます。
  6ページ目以降は少しヘルスの部分をまとめたものでございますけれども、平成23年に成立いたしました歯科口腔保健の推進に関する法律の概要を1枚でまとめたものでございます。基本理念というものが上ほどにありますけれども、このマル2番目のところで乳幼児期から高齢期までのそれぞれの時期における口腔の機能といったところがうたわれてございまして、こういったところに注目をしていくのもこれからの歯科医療ではないかと考えてございます。
  1枚おめくりいただきまして、7枚目でございます。先ほど御説明しました歯科口腔保健法の中の基本的事項というものがございまして、枠に囲ってございますけれども、赤字の部分ですが、「乳幼児期から学齢期にかけて、良好な口腔・顎・顔面の成長発育及び適切な口腔機能を獲得し、成人期・高齢期にかけて口腔機能の維持・向上を図っていくことが重要である」ということがうたわれてございます。真ん中にイメージとしてお示しをしてございますけれども、乳幼児期から学齢期にかけて口腔機能が獲得・成長発育して、高齢期になってやや衰えていくという、そういったものを赤の実線でお示しをしてございますが、この途中の過程で例えば歯科の疾患があれば、乳幼児期・学齢期であれば口腔機能の獲得、成長発育に至らないケースもあるということで、それぞれのライフステージで歯科が介入をしていくということが非常に重要であるということをお示ししてございます。
  8ページ目から10ページ目までは、診療報酬においてもこれからの歯科治療の需要を見据えて様々な対応を行ってございまして、8ページ目は在宅歯科医療を推進していただくための評価、こういったものを重点的に記載させていただいてございます。また、次のページ、9ページ目でございますが、全身的な疾患をお持ちの方に対する歯科医療、あるいは医科と歯科の連携といったものもすごく重要な分野というふうに捉えてございますので、9ページにお示しをしてございますが、これは一つの例でございますけれども、例えば、がんの術前・術後の口腔機能の管理、あるいは口腔ケアといったところも、きちんと評価をさせていただいているというところでございます。また、下のスライド、10ページ目でございますけれども、中ほどにございますが、例えば、成人期以降というふうに書いてございますが、これまではやや形態回復を主体とした評価が中心だったのですが、少し口腔機能といったものに着目をした評価というものも、徐々に診療報酬の中で評価が導入されつつございます。
  11ページ以降でございますけれども、在宅歯科医療に関しましては、先ほどの診療報酬の中で手当てをさせていただくと同時に、私どもの方で持ってございます補助金の中でも手当てをさせていただいてございます。具体的には、4つほど書かせていただいてございますが、例えば平成20年度から開始をしてございます歯科医師や歯科衛生士の養成の講習会であるとか、あるいは上から2つ目の在宅歯科医療に使用する機器の補助制度、こういったものを設置いたしまして、診療報酬あるいは補助金という両面で手当てをして推進を図っているというところでございます。
  また、12番目のスライドでございますが、住民の方からは、在宅歯科医療がどこで提供されているのか分からない、どこに相談していいか分からないという御要望が多かったものですから、これは平成22年度から私どもの方で事業として実施をさせていただいてございます在宅歯科医療連携室整備事業という事業でございます。これは、窓口を各都道府県に置いていただきまして、それぞれ、在宅歯科医療に関する相談とか、そういったものに対応していただいているという状況になってございます。
  最後の資料、13枚目の資料でございますが、平成23年に成立いたしました歯科口腔保健法に伴う補助金を25年度に予算化をしてございます。この中で、ウ)のところになりますけれども、先ほど在宅歯科医療を推進するための養成のための講習会といったものは予算化をしているという話を申し上げましたが、例えば、ここに書いてございますような、障害者など、いわゆる歯科治療の難度が高い方に対する養成といったものも、こういった口腔保健推進事業のメニューの中の一つとして取り組んでいるという、そういった実態になってございます。
  いずれにいたしましても、私ども、補助金ないしは診療報酬等々を用いまして、これから歯科医療の需要が増えてくるところに今手当てをしているという、そういった実態について御説明をさせていただきました。
  以上でございます。

(座長)ありがとうございました。
  ただいまの御説明で、歯科医療の需要の将来予測とか、在宅高齢者への歯科保健医療対策、それから今後の高齢化の進展を見据えた取組等の御紹介がございました。こういった歯科医療の将来的な予想に対して、教育の方、文科省の方はどういった対応をしているのかと。いわゆる団塊の世代が75歳以上になるのは、2025年頃と言われております。これに対して、今からどういった教育の布石を打っていくのかと。その辺のところを、資料2をごらんいただきたいと思うのですが、御説明いただけますか。

(事務局)資料2の37ページから、御紹介させていただきます。先ほどの説明でも少し触れましたけれども、本年度からの補助事業としまして、課題解決型高度医療人材養成プログラムというものを開始してございます。こちらは、背景に書いてございますとおり、健康長寿社会を実現するための疾患克服が課題と捉えまして、高度な教育力・技術力を有する大学が核となって、我が国が抱える医療現場の諸課題等に対して、科学的根拠に基づいた医療が提供できる優れた医師・歯科医師・看護師・薬剤師等を養成するための教育プログラムを実践・展開するというのが、事業の概要でございます。医師・歯科医師と看護師・薬剤師のテーマに大きく分けてございまして、この中で、歯科につきましては、背景課題のところの青囲みの三つ目、高齢化に伴う歯科医療ニーズの変化というところでテーマを設定しまして、口腔疾患と全身疾患の関わりに関する領域を担う高度な歯科医師の養成ということに取り組んでございます。
  具体的な内容につきましては、41ページをごらんください。健康長寿社会の実現に貢献する歯科医療人養成ということで、急速な高齢化に対応するためには健康長寿社会の実現が喫緊の課題ということで、また、右側ですけれども、生涯を通して正常な口腔機能の維持、口腔疾患と全身疾患の関わりに関する領域の高度化、超高齢社会に対応した歯科医療等への対応が必要ということで、今回の補助事業におきましては、国公私を通じた歯学部間、歯学部を有する大学間の連携によりまして、健康長寿社会の実現に貢献する優れた歯科医療人養成モデルを構築し、全国に普及するというテーマを設定しまして、事業を開始したところでございます。
  本事業につきましては、つい先日、事業の選定を行いまして、選定大学につきましては、48ページにございますように、今後、東京医科歯科大学、岡山大学の方で取組を開始していただくという予定にしてございます。
  以上でございます。

(座長)ありがとうございました。
  今、厚労省それから文科省に説明を頂きましたのは、医療の将来をにらみながら、それに対応できる人材の育成を今後もこの協力者会議としては検討を続けていきたいと、そういうことでございます。
  ちょっと時間がなくなりましたけれども、ただいまの厚労省の御説明、それから文科省の御説明について、何か御質問ございましたら。この話題につきましては、今後もまた御議論いただくことになろうかと思いますが。

(委員)共用試験といいますか、モデル・コア・カリキュラムのときも似たような状況だったと思うのですけど、医科の方はもう既にそちらに向かってどんどん走っていると。歯科の方も、このチャンスといいますか、この機会に後れをとると、後々困ると思います。

(座長)認証の話ですか。

(委員)そうです。認証評価とフォローアップを併行して、それを是非進めていかないと。また、薬学の方にも認証評価が今後広がるでしょうし、看護の方もあると思います。ですから、今までのフォローアップの結果、これは本当に通信簿のように点数で改善されるのが目に見えてくるわけですから、どんどんこれを進めると同時に、これら2つを両輪のようにして進めていけば、医療も含めての歯学教育の改善に向かうのではないかと思います。
  以上です。

(座長)ありがとうございました。
  俣木委員に調べていただいたところ、ちょっと下世話な話をいたしますが、薬学教育評価機構は会費が1大学80万円で、評価を受ける場合には315万円だそうです。

(委員)今、324万円だと思います。

(座長)この会議、余り予算の話はしないのですけれども、これは各大学にとっては非常に大事な問題なので、要は、各大学の総意でもってこういう組織を作るものですから、こういった財源についてはかなり明確な方向性を出しておかないと、いざ作ろうとなったときにうちは予算がないから出せないなんていう話になりますと、せっかくの質の保証も絵に描いた餅になりますので、御参考までに申し上げました。高等教育評価機構、それから、大学評価機構も、大学基準協会も、各々、評価料を取って評価をしております。ですから、質の保証のために、国民に説明するためにはそれだけコストが掛かるということでございます。
  よろしゅうございますか。
  それでは、時間も押してまいりましたので、本日の御議論はこれまでにさせていただきまして、今後のスケジュール、事務局の方からお願いします。

(事務局)資料9をごらんください。本日、第16回の調査研究協力者会議を開催させていただきました。今後、座長に委員を御指名いただきまして、フォローアップ小委員会を開催ということで進めてまいります。来年夏ぐらいまでに実地調査等を終えまして、実地調査結果(案)を取りまとめるという予定にしてございます。その間に、親会議でございます調査研究協力者会議につきましては、2、3か月に1回程度を目安に適宜開催しまして、フォローアップの状況報告でございますとか、今後の歯学教育の在り方についての議論を頂くという予定でございます。
  以上でございます。

(座長)ありがとうございました。今後のスケジュール、よろしゅうございますか。よろしくお願いいたします。
  それでは、特にございませんようでしたら、今後は資料9のとおり小委員会を開催させていただきます。それから、この協力者会議につきましては、今後、2、3か月に1回程度開催するというスケジュールで議論を深めていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
  以上で、本日は長時間にわたりましたけれども、終了させていただきます。ありがとうございました。

以上


お問合せ先

高等教育局医学教育課

医学教育係
電話番号:03-5253-4111(代表)(内線3306)