歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議(第14回) 議事要旨

1.日時

平成24年12月11日(火曜日)15時~16時45分

2.場所

文部科学省5階 5F1会議室

3.議題

  1. 小委員会から「平成24年度フォローアップ調査まとめ」の報告
  2. 歯学教育の質向上のための施策の方向性
  3. その他

4.出席者

委員

江藤座長、井出委員、川添委員、佐々木委員、丹沢委員、中原委員、西原委員、福田委員、前田委員、俣木委員、宮村委員

文部科学省

山野審議官、村田医学教育課長、渡辺企画官、岩瀬課長補佐、小野課長補佐、原田技術参与、菊池係長 ほか関係官

オブザーバー

厚生労働省医政局 上條歯科保健課長

5.議事要旨

(1)小委員会から「平成24年度フォローアップ調査まとめ」の報告

(座長)事務局及びフォローアップ小委員会主査の前田委員より平成24年度フォローアップ調査まとめの御報告をお願いしたい。

(事務局)(資料1に基づき説明)

(委員)資料1に書ききれなかったことやフォローアップ小委員会の中で出た意見などを中心に御発言させていただきたい。まず、3ページ(2)「1.募集人員の大幅な超過等」についてだが、「編入学試験による募集人員の未充足の解消を行っている大学もみられた」という点について、一部の大学で編入学入試のアドミッションポリシー等を考慮せず、欠員募集という考え方で編入学入試を行っている大学がみられた。当該年度で募集人員以上に入学させているにもかかわらず、総収容定員で欠員があるため、編入学試験を実施し入学させていた。当該大学については、国立の場合は編入学定員、アドミッションポリシーを明確化して募集していることを説明させていただいた。
 次に、4ページ目の上から6行目、「加えて、大学や教員の取組姿勢によっては、~」のパラグラフについてなのだが、小委員会で問題になったのは、現場の意識と執行部の意識がかい離している例が多かったということである。現場は改善を試みていたが、執行部は経営面を前面に出して、その改善取組にブレーキがかかり学部・大学全体での取組が進んでいない例があった。
 その次に、4.優れた入学者の確保についてだが、各大学のシラバスを拝見したところ、中学校レベルの補講から始めている大学も散見された。まとめの中でも、学生の学力がないので、最後に留年させるというロジックではなく、入学時の学力を担保して学生を確保するような入試を行わないと、アドミッションポリシーやカリキュラムポリシー等を自己否定することになるのでは、ということを説明させていただいた。高大連携のためのリメディアル教育を実施している大学もあったが、中学校前半レベルの内容をやっている大学も散見され、このような状況を受けて、フォローアップ委員からは、米国のように、ある程度の基礎学力を持った人だけしか医療系大学に入学できないような仕組みが必要なのではという指摘があった。具体的には、センター試験である一定以上の得点がないと入学できない等の仕組みが必要なのではということだった。
 その次に、フォローアップでは、特段問題がなかったため記載はしていないが、ある大学について、外国人留学生を一割以上入学させており、このこと自体が、必ずしも悪いわけではないが、全く日本語ができない留学生を入学させ、1年間母国で日本語教育を行い、単位互換を利用して、2年目から来日して教育しているという大学もあった。当該大学には、CBTや国家試験では日本語能力も大事なので、ある程度日本語教育についていける学生を選抜していただきたいという話をさせていただいた。
 最後の本文まとめのところについてなのだが、臨床実習に関して、一般開業医の委員から、国民の観点から見ると、歯学部の入口、出口が緩いのではないか、という御意見があった。特に臨床実習の評価が甘く、そのまま卒業してしまうということはいかがなものかということだった。「臨床研修時にゼロから教えるのは大変であり、臨床研修医が何もできないのは国民の期待に応えていないように思えるということであり、リスクを伴う手技は臨床実習の中で教えておくべきである。大学教育は大学の責任で、卒後は個人の責任で学ぶことになり、だからこそ大学は責任を持って臨床実習の教育を行う必要がある。」という厳しい御意見を頂戴した。加えて、卒前、卒後の臨床実習、臨床研修のつながりを知りたかった、という御意見もあった。

(座長)御質問等はどうか。

(委員)若手の先生と大学の執行部のお話をもう少し具体的に伺っても良いか。

(委員)大学の執行部は、国家試験至上主義になっていて、若手の先生は、もっと臨床実習を充実したいが、国家試験合格率向上のために、座学
の時間が多い状況であった。フォローアップ小委員会の中で意見は出なかったが、歯科医師国家試験の臨床実地問題において臨床実習をちゃんとやっていないと解けない問題を入れるなどの制度面の検討があった方が良いと思った。特に若い先生は、研修医の面倒も見ており、ある程度の卒前臨床実習の到達目標、臨床研修の到達目標をたてて、長いスパンで、歯科医師の研修を考える必要があると思う。

(委員)3ページ目の募集人員の件はそのとおりだと理解しているが、例示を出すと、ある大学は募集人員96名で一昨年度の入学者50名だった。それを受けて、昨年度は96から60名に募集人を下げたところ、80名ほどの合格者が出て、最終的には78名が入学した。来年度も募集人員を60名で募集要項を作成したが、来年度、受験生がどの程度集まるかの予想がつかない。毎年予想はつかないが、この5年間ぐらいは、それまでにないぐらい乱高下が激しい。そのために、募集人員を前年度までの状況に併せて設定をしてもなかなかあわない。そういう極端な例がある。これは、私立の歯学部に共通する問題であり、今後しばらくは乱高下がやまないのではという悲観的な状況におかれている。理由としてはいろいろあると思うが、医学部入学者定員増が大きな要因であり、学納金を変更する大学も大きな理由の一つである。それから、10年ぐらい前までは17校の私立の受験者は一万人をはるかに総数で超えていたが、だんだん減ってきて、5年前から五千人ぐらいになってきた。私立大学歯学部全体で割ると2倍程度である。他学部と違い、いろいろなPRをしてもなかなか受験生は増えない。翌年努力して増やすべきだと言われても難しい面がある。やはりしばらく五千人ぐらいの数は続くだろうと、そして受験倍率は変わらない状況が続くだろう。ここでの御指摘は、その通りだが、どういうふうにすればよいのか教えてほしい。4ページで学力の問題が出ているが、これは歯学部に限ったことではないと、先生方も御理解いただいていると思う。
 本学の初年度の補習教育について、最近は文系生徒も入ってきているので、生物、化学をとっていない場合は、そういった教育を行っている。理科でいえば、高校の生物Ⅰぐらいの教育、国語については、文章をまとめる能力が非常に低下しているので、「まとめ」という授業科目を設け、文章をまとめる授業を行い、学力低下を補完するようにしている。ただ、やはり、どうしても時間的制約があり、歯科医学に必要な物理学、化学、生物学にしぼって授業をやらざるをえない。これは、高校3年生の受験人口の学生レベルが全体的に低下しているためと考えている。そういう見方で見ていただかないと、なかなか認識がいただけないと思う。

(委員)確認をさせていただきたいのだが、「自験」とは何かの略なのか。そういう言葉があるのか。どういう意味なのか。

(座長)3ページにあるように、一連の治療の流れを1人の患者で学ぶことということである。言葉のとおり、自分で経験するということである。

(委員) 自分でやるということなのか。過去に自分が学生時代にやっていたが、そういうことか。

(座長)その下にあるが、一連の治療の流れを非常に細かく区切って、その一部分だけで自験と言っている場合もあるから、定義付けをしている。

(委員) 資料1別添5に用語の定義の記載がある。俣木委員に先導的委託事業でまとめていただいた。

(委員)これを初めて知ったと言うことは私が知らなかったということか。

(座長)そういうことである。

(座長)委員の御発言について確認なのだが、受験生の乱高下が激しいから難しいということだが、共通で10%、20%削減という話が通じにくくなっているということか。

(委員)そうである。

(事務局)他学部も同様に、毎年でこぼこがあるのはおっしゃるとおりだが、歯学部については、過去の閣議決定があり、各私立大学についても、私立歯科大学協会でもルールを定めている。歩留りが難しいことは知っているが、定員管理は慎重にしていただきたい。読みにくいという事情はわかるが、特に慎重を期していただきたい。今年定員の超過の幅が大きく、定員管理が緩い大学もあったので、注意喚起としてこういう形でとりまとめいただいた。

(座長)前回の会議で、委員から定員120人ちょうどにするには、4月ぐらいのぎりぎりまで非常に難しいという御意見があった。歯学部共通で減らそうということで、ぎりぎりの努力をしているという御意見があった。委員は、乱高下が激しいので、なかなか難しいという意見だが、課長の御趣旨は、公平性を保つという意味で、この協定は守りましょうということである。

(事務局)各大学非常に努力をされて募集人員管理をされている。きちんとやっている大学が損をするということがあるのは良くないとフォローアップ小委員会の先生方も思われたのでこのような指摘となったと思う。

(委員)第3者的な観点であるが、入り口の説明は非常にわかる。教育の観点では、最終的に国家試験を受験させないといけないので、出口に対する責任という考え方をすると大学ごとに目標があるはずであり、出口に応じた適切な教育環境、定員があるはずである。そのあたりを自主的に御判断いただくという話なのではと思う。波があろうと、何があろうとも、各大学の教育目標等を学生が見て、判断して受験する、そういった面があるということを出口については理解する必要がある。また、今度歯科衛生士法が改正され、歯学部卒業した人も受験資格が得られる。歯学部の養成する人材が歯科医師だけでないと考えるとすると、各大学のアドミッションポリシーにのっとった教育目標をしっかり設定すべきである。

(委員)委員の報告でも、一般の方からの御意見とあったが、一般の方は入り口、出口について、教育の中でリスクを避ける手技、知識、判断力等も大学の責任で教育すべきだと思うはずである。私も歯科医師会にいて、歯科医師会も数のことばかり言っていたが、実は一般の方は、数のことは言わない。多くいたってよいわけなので。卒後本当に大丈夫かが、関わっている人間の責任であり、最後は行政のお覚悟がもっといると思うが、大分深刻になってきたと思う。

(座長)委員がおっしゃっていることは、数の問題から質の問題が極めて深刻であるということで、それをどうするか。
 数の問題で議論をしているときは、質は一定だという前提で進めていたが、そうではなく質は下がってきたとすると、共用試験、国家試験ともに実施自体を考える時期にきている。なので、一つはフォローアップの課題がそういったところに焦点をあわせて、受験生数に乱高下があるにしても、閣議決定を踏まえて、入学定員の削減と募集人員内での受験生受入れを今後も遵守すると、そういうふうに読むことになると思う。その後の編入学の扱いがまだはっきりしていないところがあると、一種の抜け道とまでは言わないが、編入学をしたところが得したようになることはよくない。扱いとしては不十分なのでは。この扱いについては、今後検討してつめていくことが必要である。それは、関係各方面の御意見を聞いた上で、編入学の扱いをきちんとして、募集人員内での受験生の受入れを遵守するということである。

(委員)医師・歯科医師は計画養成という話を聞いている。計画は年度ごとに決まっている考えであり、編入学は年度ごとの計画養成であるという考えを各大学が理解、再確認する必要がある。

(座長)年度ごとの計画養成、定員削減については、共通認識事項は従来通り守っていくということでよろしいか。

(委員)今の委員の御発言に追加して、聞きたいのだが、編入学する学年はどうなのか。

(委員)大学によってばらばらであり、2年生もあれば、3年生もあり、5年生というところもある。国立は全部で10人ぐらいの定員枠しかない。

(委員)我々の大学は2年で編入させている。3年で編入すると、カリキュラムを変更しないといけないので無理である。

(委員)違う学年で入学しているのは、他の歯学部を退学した学生を入学させているということであろう。

(委員)そういったことは表に全然なっていない。

(委員)そうでないとありえないことであると考える。

(委員)単位の読替えなどしないと厳しいだろう。

(委員)根本的に難しいところだが、経営的に、国立、私立どうしようもないところがある。大学として、質を落とさないようにするためには、学生からの学納金という収入があるから、退学した人をいれながら、ある人数を抱え込まないと、経営的には絶対成り立たない。この点については、国立の先生方と話があわない。国立は歯科医師養成に一人当たりの費用が私立大学以上かかっている。私立大学は効率的に税金を使用していると言える。また、私立大学が歯科医師の7割以上を養成している。今の学生は昔に比べて知識が豊富であり、勉強している。よって、国民のために、私立に補助金を今以上に投入してくれれば、定員を減らしてもよい。

(座長)委員、その論点は何か。

(委員)定員を簡単に学年ごとに減らしたからといっても、ある一定人数は確保したい。

(座長)年度ごとの計画養成は医師・歯科医師に定められていることである。入学者の受入れについては閣議決定により決まっている。法的な拘束力はないが、私大協でも紳士協定があった。ここ数年、18歳人口減により、受験生が減ってきたが、紳士協定もこの形で守ろうということはよいか。(委員了)

(座長)編入学については、定員と同じで、ずるいという話が一方からでるとフェアではない。公正性が保(たも)てないので、編入学について、あるルールが必要であるという考えだがどうか。減らせということを言っているわけではない。

(委員)年度ごとの計画養成人数は、最終的に厚生労働省も、国家試験で数として、定員より少ない調整になるから、何人とっているかわからないところがある。もちろん合格基準もわからない。毎年、計画的に歯科医師を何人作るかということも出ていない。

(座長)そういうことではなく、閣議決定に基づき、国立も私立も定員・募集人員を守ってきた。

(委員)計画的というところにひっかかっている。

(座長)閣議決定はある程度の拘束力はあるが、これを破ったからといって罰則があるわけではないが、年度ごとの計画養成という話でないと、免許のある職種は、国民から負託された仕事なので、国としては、数を管理しないといけない。経営のためにたくさん入学させる、させないという話ではない。編入学がまちまちだから、共通認識が持てる書きぶりでよいか。今回のフォローアップでわかったので、定義づけしましょうということである。これも、法的拘束力のあるものが最初からできるわけではなく、飽くまで紳士協定である。
 歯科の中だけで検討しても、国民目線で見たときに、質が落ちているのではないかと言われないように引き締めていくのが、この会議だろう。

(委員)私立大学17大学は、昭和61年からの申合せで、20%の削減は、25年間厳守している。間違って多くとった大学はその後の年で調整しており守っている。ただ、それ以上の削減ということもあったが、協会としては、その後の申合せはない。ただし、今年度の17大学の総数で、定員割れが20%出ている。したがって、20%プラスの20%は削減ができている。ただ、今までの話のとおり、昨今の乱高下により、どうなるかわからない現状である。

(座長)これまでの閣議決定を踏まえて、遵守するということでよいか。編入学もきちんと規定していこうということでよいか。

(委員)委員の発言で気になるのが、総量規制のようなものだが、自分の常識にかからないような大学がある。例えば、定員が100名だと、6年間で600名であり、3年間0人だったから、翌年400人とるというのは駄目だと思う。ある程度の取決めは、単年度でやるべきだと思う。

(委員)委員の発言にあったとおり、オーバーした場合は、翌年度調整している。それは、総量の中の数%である。編入学は総数が少ないので、それで補うとしても、わずかな数なので、その分は考慮していただきたい。

(委員)委員の話で20%は厳守すると言うことだったが、さらなる10%は遵守しないとうことか。

(委員)ディスカッションはあったが、協会として、申合せの形までにはいたらなかった。

(事務局)事実関係を確認させていただくと、昭和57年9月に「歯科医師については、全体として、過剰を招かないように配意し、適正な水準となるよう合理的な養成計画の確立について政府部内において検討を進める」と閣議決定されたことを受けて、昭和61年に、厚生労働省の「将来の歯科医師需給に関する検討会」にて、歯科医師の新規参入を最小限20%削減すべきであるとまとめられている。その後、平成10年には、さらに、10%程度抑制することが厚生労働省の「歯科医師の需給に関する検討会」で報告されているところである。

(委員)本当に、質が心配で数の話ができない。

(座長)では、入学者の質の確保に入りたい。4ページ目である。

(委員)委員からの質問を説明したい。高校と大学の接続のためのリメディアル教育と明らかに大学入学の学力を伴わない学生のための教育の2パターンがあった。例えば、AO入試、推薦入試の状況をみると後者の方が多い。そういった大学は基礎学力の担保が行われていないのではないかと言うことで発言させていただいた。各大学苦労しているのだが、データを見ると、とある大学では、AO入試、推薦入試の最低修業年限での国家試験合格率は10%程度と極端に低かった。それは、入学時に基礎学力の担保を行っていないためにこういう結果なのではということだった。

(座長)フォローアップ小委員会主査からの発言だが、入試の種類が大学によって6種類ぐらいある。入試区分によって、留年率や国家試験合格率、共用試験再試験率がかなり違う。質の担保の過程でそこに踏み込まないといけない。経営の話はあるが、そういう問題があるにしても、国民目線から見たときに、ある程度、説明ができないといけない。今回は入試区分ごとのデータは出していないが、外から指摘される前に対応が必要であると思う。今回は、そこまでに留(とど)めておく。

(委員)AO入試、推薦入試は定員の半分以上とってはいけないとあったが、今はどうか。それと、推薦入試で学科試験を課すのはこのましくないと指導されたが、今どうか。
指定校推薦を落としたときに注意を受けたことがあるが、指定校推薦の学生も、一定の学力の担保が必要である。このような理由から、ある程度の学力試験はやってもよいと言ってくれないと困る。本学も統計をとっており、どの試験区分が良くないのかはわかっている。

(事務局)今年度の入試要項に基づくと、推薦入試は、「原則として学力検査を免除し」、とあるが、飽くまで原則である。「推薦書や調査書だけでは、入学志願者の能力・適性等の判定が困難な場合には、筆記試験や面接試験も実施できる。」こととなっている。

(委員)いろんな入試方法があって、その方法がよくなかったから、やめるような仕組みがあれば、何をやってもいいのではと思う。

(座長)結論までおっしゃったが、4ページ7.のとおり、教育活動を公表して、国民に審判を仰ぐということで、各大学が自立的な取組をしていただきたいということだろう。

(委員)フォローアップまとめの中でも、募集人員の問題で、2020年に18歳人口が、激減するにもかかわらず、今さえよければよいと思っている学長、学部長が多かったように思われる。専門職を養成するということを、もっと意識して、学生募集、教育を行っていかないといけないと思う。

(委員)質の問題は2つに分けて考える必要がある。まず、国家試験で質は担保されているということである。国民の皆様については、心配は不要であるということだと思う。もう一つは在学生、入学生の質である。これは、個々の大学の問題と言わざるを得ない。入学時は成績が悪いが、6年間何とか合格させたいと考えていると思うが、一生懸命やって6年後駄目だったら、大学と本人の問題であり、そういう部分では担保されていると認識している。なので、入学時のレベルが低いと、各大学が一生懸命努力をしていて、その結果として駄目だった、6年間勉強させての結果論と言わざるを得ない。各大学としては入学時に成績が悪かったとしても、6年間の教育によって歯科医師国家試験を合格し、立派な歯科医師を養成したいという教育的な立場もあろうと思う。 余り一面からだけ見ると問題があると思う。

(座長)国としては、国家試験や共用試験により標準化を行い、平均値を上げる努力はしている。しかし、具体の部分については、各大学にある点では委託されている。

(事務局)最終的にどの学生を入学させるのかは飽くまで大学の責任である。ただ大学は社会的・公的な存在であり、6年間学ぶということは本人にとって、とても大変なことである。6年間きちんと学べば卒業し、国家試験に合格できる学生を選抜することが重要である。人の命を扱う医療人の養成について、最終的に社会に対し、大学が責任を持つということに、対応していただくことが大切なのではないか。

(委員)20年前の歯科医と今の歯科医を比べると、今の歯科医が質の方が良いと思う。今出ている歯科医が質の悪い歯科医師が多いと、社会的に問題になっているかどうかというと、そうではない。そのような理由から、今卒業している歯科医の質が悪いとは思っていない。

(委員)国家試験で担保されているということでよいと思うが、ただ問題は、教育の観点で考えたときに、大学は学生が入ってきたときにある教育を提供するわけで、国家試験に受かって、一人前のしっかりした歯科医師になる基礎を作るために、いろんな入試を行い、いろんな人材を確保するわけだが、そのときに、その教育を受けて目標を達成できる人はよいが、達成できない人はかわいそうである。歯科医師、医師は卒業できなければ、高卒と同じである。金融を見てみると、収入が一定以上ある人にお金を貸すわけであり、返済見込みがない人に貸すのは悪徳業者である。教育のコースに対して、この学生なら大丈夫と思って確保し、アドミッションポリシーを公表して評価されればよいと思う。

(委員)ただ最後に質を保証している国家試験が、人数で切っているため、毎年合格基準の点数が違う。どうやってチェックしているかわからない。質が良い国家試験受験者がいっぱいきたらどうなるのか。そこがよくわからない。質をどのように担保するのか、数字が出ていないから、毎年国家試験の点数が違う。

(座長)国家試験の議論はここではできないが・・国が行う試験は法律の裏付けがある。各大学は入学者選抜試験、教育、卒業試験の三つは、大学で保証している。国民の負託を行政が受けて、税金を使って、歯科医師を養成している。学校法人は、そういった付託を受けているため、優遇措置があり、各大学の努力もあってしかるべきである。それを踏まえて落としどころを考えたい。

(厚生労働省)今、国家試験の話もでたが、通常同じ基準でやっている。昔は絶対評価でやっていたが、医師国家試験と同様に、ある程度、相対評価を導入した。一定の標準偏差の基準で保たれているものと必修問題をクリアしているというところにしたので、絶対評価に比べると多少でこぼこが年によって、出やすいことになっていると思う。

(座長)ここでは議論ができないので、お聞きするに留(とど)めておく。

(委員)少し話が変わるかもしれないが、別添1に国家試験に関する項目が二つある。Eは総数での合格率、Fは最低修業年限での合格率だが、Eの総数について、既卒の人がなかなか合格できない。例えば、10年ぐらい国家試験が受からなければ、もう受験できないという議論が昔あったと思うが、総数での合格率を大学の責任にするような形はいかがなものかと思う。既卒者を加えるのであれば、どの程度責任があるのかということを明確にしてほしい。例えば、不合格3年ぐらいまでは、大学がフォローできるが、5年、10年たっている卒業生のフォローは難しい。

(座長)国家試験受験の回数制限については、認めないということになっている。1回目と10回目の合格者の違いについて、良い歯科医師か、悪い歯科医師かというデータはないという見解だった。

(委員)最低修業年限での国家試験合格率は大変良いと思うが、入学時のレベルや各学年のレベルも見えてくるので、新卒と既卒を分けるべきで、Eの国家試験合格率(総数)については、要らないのではないか。このまま公表したら2重に欠陥があるように強調されて見えてしまう。

(座長)大学の責任ということであれば、国家試験合格率総数を新卒の合格率に修正させていただくことで検討させていただく。公表により、国民のジャッジを受けるが、誤解を招きやすいので、今の御意見を踏まえて検討させていただくということでよろしいか。(委員了)

(座長)何かほかに御指摘いただく点等あるか。

(委員)一つ思うのだが、歯科医師の成功例を宣伝するようなものがこういったフォローアップまとめと並んで、必要なのではと思う。研究者や教育者として成功している人も資質向上のための良い材料になるのではと思う。プロゴルファーの世界のように、限られた人たちが活躍しているが、あこがれてもらえるように、宣伝していただければと思う。

(座長)日本歯科医師会のお話になると思うが、いかがか。

(委員)良い話だと思う。なりたくないというイメージよりは良い。成功例を出したときに、そもそもお前たちの話は信用できないとなると困る。基本的な信用、歯科医師の質を持たないとやりにくいということがあり、イメージとしての質を高めていく必要があり、両輪で対応していく必要があると思う。

(座長)文部科学省が行うことではないと思うが、是非、そういうことを歯科医師会として進めていただきたい。

(委員)学会等でも対応していただけると良いのではと思う。

(座長)他にいかがか。

(委員)高校の指導要領が変わったことにより、理科の内容が変わり高度になった。大学改革実行プランで、入試の在り方について、高校で修めるべきことを明確にすると、提言の中に書かれているが、現状はどうか。わかる範囲で結構なので、インフォメーションがあれば教えてほしい。

(事務局)具体的には、中教審の高大接続特別部会の中で、大学側、高校側両方の先生方に入っていただいて、検討しているところである。

(委員)そのときに、文系、理系の大学の先生方が入っていると伺っているが、医療系で歯学部から審議会に入って現状の話ができているかが、少し不安である。

(事務局)個別分野すべてを入れるわけにはいかない点はあると思うが、分野によって状況が違うことは事実なので、分野の違いや特性を踏まえて、検討する必要はあると思う。

(座長)それでは、そろそろ時間なので、今までの御意見をふまえ、修正をさせていただき、最終的には主査一任ということでよいか。(委員了)

(2)歯学教育の質向上のための施策の方向性

(委員)診療参加型臨床実習についてなのだが、フォローアップ小委員会の用語の定義を受けとめるということで良いか。

(座長)資料1の別添5に準拠するということで良いか。(委員了)
        歯学教育の質向上のための施策の方向性はこれで良いか。(委員了)

(3)今後のスケジュール

(座長)資料3の日程については、お認めいただくということでよいか。(委員了)

以上

お問合せ先

高等教育局医学教育課

医学教育係
電話番号:03-6734-3306
メールアドレス:igaku@mext.go.jp