歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議(第2回) 議事録

1.日時

平成20年8月29日(金曜日) 10時~12時

2.場所

文部科学省 5F4会議室

3.出席者

委員

(協力者)
 江藤座長、江里口、葛西、金子、古谷野、福田(仁)、福田(康)、前田、前野、俣木

文部科学省

戸谷審議官、新木医学教育課長、小林大学病院支援室長、樋口課長補佐、三枝課長補佐、ほか関係官

オブザーバー

厚生労働省医政局 日高歯科保健課長
  1. (1)委員からのヒアリング及び質疑応答
    1. 前田 健康 新潟大学歯学部長
    2. 金子 譲 東京歯科大学学長
    3. 俣木 志朗 東京医科歯科大学教授
    4. 葛西 一貴 日本大学松戸歯学部教授
    5. 江里口 彰 社団法人日本歯科医師会常務理事
  2. (2)その他

5.配付資料

  • 資料1 前田委員提出資料
  • 資料2 金子委員提出資料(PDF:440KB)
  • 資料3 俣木委員提出資料(PDF:1,186KB)
  • 資料4 葛西委員提出資料(PDF:273KB)
  • 資料5 当面のスケジュール(案)

6.議事録

(1)前田委員、金子委員からそれぞれ「入学者選抜する立場からみた課題」について説明後、質疑応答。

  • 国立大学は、志願者数・偏差値の推移に変化はないが、私立大学は下がっている。入学者の質に関する今後の見通しは、どのようになるのか。
  • 国立大学の入試志願倍率の傾向をみてみると前年度高いと翌年度落ちるようである。例として新潟大学の歯学部を医学部と比較すると、平成16~20年度の間、両者の最低点の差は同じ幅で推移している。
     国立大学は、面接試験の導入が、かなり進んでいる。入学後に問題を起こすのは前期試験者が多く、原因を調べてみると、推薦と後期試験は面接をしっかり行っているため、何年か前に面接試験を導入してからは、トラブルを起こす学生が減っている。質の面では、学力を担保するためにセンター試験と個別学力試験をするのが国公立大学の傾向である。
  • 私立大学の志願者数・偏差値が下がっており、国立大学が下がっていないのは学納金の違いなのか、金子先生と前田先生のデータの差の原因は。
  • この件は、やはりサラリーマン世代の家庭が多くなってきたためと思われ、大学としては学納金をさげたいと考えている。
  • 病院収入を含めた大学全体の総収入に占める授業料収入の割合が医科と歯科で全然違う。医科の場合は、授業料収入の割合が低いので学納金をさげることができるが、歯科の場合は難しい。
  • 入学定員は国公立が4分の1だが、志願者の占める割合は、国公立は3割以上で推移している。歯科に行きたい人はコンスタンスにいると思うが、各大学の実施倍率と偏差値のデータがでればわかると思う。

(4)俣木委員から「学部教育に携わっている(共用試験、臨床実習を実施する)立場からみた課題」について説明後、質疑応答。

  • 医学系では、臨床実習はどのように実施されているのか。
  • 医学系では内容はまちまちである。臨床実習と臨床研修の摺り合わせは、形の上ではできるが、国試対策で卒前臨床実習の時間がとれない。またマッチングを7、8月に実施するため、卒後臨床研修に関心が移り学生が浮き足だってしまう。

(5)葛西委員から「臨床研修を実施する立場からみた課題」について、説明があった。

(6)江里口委員から「歯科医師が従事する診療所の立場からみた課題」について説明が下記のとおりあった。

  • 開業医の下で卒後臨床研修を実施する場合、指導歯科医師の影響を受けやすく、メリット・デメリットの両方がある。また指導する方、指導を受ける方双方とも精神的圧迫になり得る。
  • 卒後臨床研修がうまくいかない原因の一つに卒前実習での経験不足がある。
  • 単独では卒後臨床研修施設の基準に満たない施設が集まってグループで研修を行い、歯科医師を受け入れられるようにしてはどうか。
  • 歯科医師会では、生涯教育を重視。大学でも実施していく必要があるのではないか。
  • 本日の話題を考えても、臨床医養成に偏りすぎていると感じる。基礎的研究が困難になっている一因ではないか。

(7)各委員のヒアリングに対して自由討議が行われ、江藤座長より今後の議論のためにどのような調査、資料が必要なのかを提案してほしい。

  • これから、ゆとり教育を受けた入学者がはいることで学力低下が危惧されるのではないか。高校に関するデータがほしい。
  • 今の学生は、指導者の下でしか動いていないため、知識量があるが、考える力はまだまだ足りない。自立のさせ方が重要。
  • チュートリアル教育で個々の学生の考える能力に差がでている。
     少人数教育だと出来不出来が明確であり、偏差値は無関係だとわかる。未熟でも社会へ出さなければならず、高レベルの医療を求める患者のニーズとの乖離が難しい問題。
  • 入学者の質の確保と卒業時及び卒後臨床研修終了時の臨床能力の確保が問題である。
  • 大学入学時と卒業時の成績についての相関性について知りたい。偏差値至上主義に風穴をあけるのが、面接だと思うので、面接の導入でどうかわったのか。面接対策の受験マニュアルもでてきているので面接に代わる方法も必要ではないか。面接のあり方・有効性について各大学に聞きたい。面接試験では、教授ではなく実際に教えている講師が実施し、自大学では志望動機等は聞かずに、どれだけコミュニケーションできるかどうかをみている。
  • 卒後臨床研修で受け入れている歯科研修医150名程度は診療所等に移譲したい。
  • 学部教育が卒後臨床研修の質を左右している。モデル・コア・カリキュラムが導入されてから、詰め込み教育から脱却し、ゆとりができたのではないか。教員が学生の能力を引き出すようにしなければならない。
  • 大学教員の質にも問題がある。
  • 教員の意識改革が必要である。FDだけでは難しい。
     なわ張り意識が濃く、基礎と臨床が乖離している。臨床の現場のニーズをどうやって学部教育に生かすかが現実的である。

(8)事務局より次回の会議日程案について9月18日(木曜日)15時30分より文部科学省 17F1会議室で開催する旨、説明がされた。

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高等教育局医学教育課