モデル・コア・カリキュラム改訂に関する連絡調整委員会(平成27年度~)(第3回) 議事録

1.日時

平成29年3月24日(金曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省13階 1~3会議室

3.議題

  1. 医学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂案について
  2. 歯学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂案について
  3. 薬学教育の動向について
  4. 看護学教育モデル・コア・カリキュラムの策定に関する検討状況について
  5. 卒後教育との一貫性やチーム医療の充実に資する卒前教育等を目指した今後の医学及び私学教育の在り方について
  6. その他

4.議事録

【永井委員長】  それでは定刻になりましたので、ただいまからモデル・コア・カリキュラム改訂に関する「連絡調整委員会」を開催いたします。
 議事に入ります前に、委員の異動について、事務局から御紹介をお願いいたします。

【佐々木企画官】  事務局の医学教育課、佐々木でございます。1月の人事異動に伴い、医学教育課長に森孝之が着任しておりますので、御紹介いたします。

【森医学教育課長】  森でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

【永井委員長】  続きまして、本日の委員の出席状況について、事務局から御説明お願いいたします。

【佐々木企画官】  参考資料の1をごらんください。参考資料の1の2枚目に委員名簿がございます。本日は全ての委員に御出席を頂いております。
 なお、今回の改訂につきましては、専門研究委員会及び調査研究チームにおいて改定案を御検討いただいたことから、医学の専門研究委員会の委員長である齋藤委員、また、医学調査研究チームのチームリーダーである北村委員、そして歯学の専門研究委員会の委員長である前田委員、歯学の調査研究チームのチームリーダーである嶋田委員、また、オブザーバーとして議論に御参加いただきました厚生労働省の武井医事課長、田口歯科保健課長にもお越しいただいております。
 また、前回に引き続き、チーム医療を担う医療人材の養成の観点から、薬学教育及び看護学教育の有識者として市川厚参考人と、菱沼典子参考人に御出席いただいておりますので、併せて御紹介いたします。
 事務局からは、以上でございます。

【永井委員長】  それでは、お二人の参考人におかれましては、薬学教育、看護学教育のお立場から適宜御意見を頂きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 本日の配付資料について、事務局から説明をお願いいたします。

【佐々木企画官】  お手元に資料の1から6といたしまして、資料の1-1は医学教育モデル・コア・カリキュラムの今回の改訂案です。資料1-2は、この後齋藤委員からプレゼンテーションを頂きます医学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂の概要です。
 資料2-1は、同様に歯学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂案。資料2-2は、歯学教育モデル・コア・カリキュラム改訂の概要、この後前田委員から御説明いただく資料です。
 資料3は、前回、医師、歯科医師は診療だけではなく、予防も含めて広く保健に関わるべきではないかという御指摘を頂いております。そこで、母子保健から老人保健までの様々な保健の中で、私ども文部科学省が担当しております学校保健の分野を例に取りまして、「卒前教育における学校保健分野の充実について」という資料を御用意いたしました。
 参考までに、先日中央教育審議会委員の改選がございましたが、その中で、日本学校保健会の横倉会長が中教審委員に選任されたことを報告いたします。
 資料4が、薬学教育の動向について。
 資料5が、現在検討が進んでおります看護学教育モデル・コア・カリキュラムの策定についての資料です。
 資料6は今後のスケジュール案です。
 参考資料は、この後適宜御紹介いたしますが、1から6までございます。
 なお、委員のお手元には、委員限り資料として1から7まで御用意しております。
 事務局からは以上でございますが、もし、落丁等ございましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局までお知らせいただければと思います。
 事務局からは、以上です。

【永井委員長】  ありがとうございます。
 それでは、議事に入りますが、カメラでの撮影はここまでとさせていただきます。
 本日は、議事次第にありますように、医学教育、歯学教育、それぞれのモデル・コア・カリキュラムの改訂案を御審議いただき、最終的には、本委員会として成果を得たいと思っております。
 その前に、事務局から本日の議論の前提として、前回の会議以降の動きについて、御説明をお願いいたします。

【佐々木企画官】  資料6と参考資料の6をお手元に御用意ください。
 まず、資料6の関連ですが、前回11月16日の専門委員会との合同会議において、改訂案について御審議を頂きました。その後、12月14日から1月12日まで、改訂案に対するパブリックコメントを実施するとともに、医学、歯学、それぞれの関連する大学、学会にも併せて意見照会を行いました。その頂いた御意見を踏まえて、医学、歯学それぞれの調査研究チームにおいて、改訂案の修正作業を行っていただいたところです。取りまとめに当たっては、それぞれ北村委員、嶋田委員に御尽力を頂きました。
 その後、医学、歯学、それぞれの専門研究委員会を1回ずつ開催いたしました。特に、2月22日の医学の専門委員会は、厚生労働省の医師臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループとの合同開催をしたところでございます。
 医学教育の関連事項といたしましては、参考資料6のとおり、今週に入りまして、JACME、日本医学教育評価機構が、WFME、世界医学教育連盟から正式に認証されたとのことです。
 参考資料6の真ん中よりちょっと下の、「The period」のセンテンスにございますように、10年間ということで、まずは認められたところです。
 そして、歯学教育の関連事項ですが、現在厚生労働省において、国家試験出題基準の改定が大詰めとのことですので、本日御審議いただきますモデル・コア・カリキュラムと国家試験出題基準とで、最終的には文言調整を行いたいと考えております。
 事務局からは以上でございます。

【永井委員長】  ありがとうございました。
 では最初に、医学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂案について、医学専門研究委員会でおまとめいただいた案を、説明いただきたいと思います。
 齋藤委員から改訂案の説明をお願いいたします。

【齋藤委員】  齋藤でございます。
 資料としては、1-1の医学教育モデル・コア・カリキュラム。大変分厚いものでございますので、資料1-2にその改訂の概要をごく簡単にまとめてみました。これは北村先生をはじめとするワーキンググループの構成員の方々の、言ってみれば血と汗の結晶でございます。このハンドアウトに従って御説明を申し上げます。
 今回の改訂に当たっての考え方としては、キャッチフレーズとして、「多様なニーズに対応できる医師の養成」というキャッチフレーズでございます。「国際的な公衆衛生や医療制度の変遷に鑑みて、国民から求められる云々」と書きました。こういうようなことが、今回の骨子となっております。
 それと同時に、社会の変化、高齢化、少子化、あるいは疾病構造の変化。そういったことに基盤するところの国民の医療に対する意識の変化ということにも対応いたしました。
 スライドの3でございますが、今回の改訂に当たっての考え方として、もう一つは、卒前医学教育から卒後の研修への一貫性。つまり、卒前の学修では、診療参加型臨床実習がメインになってまいりますけれども、それから国家試験を経て臨床研修、さらには、専門研修から生涯学習に至るまでのこの一貫性を鑑みて、モデル・コア・カリキュラムというものを考えなければいけないということでございました。
 それから、医師として求められる基本的な資質・能力。これについては、後ほど申し上げることにいたします。
 改訂の概要でございます。スライドの4番です。縦のつながりとしては、先ほど申し上げましたようにモデル・コア・カリキュラム、医師国家試験出題基準、あるいは臨床研修到達目標、それから日本医師会の生涯教育カリキュラム等々がございますので、その整合性をとるということが必要でございました。
 横のつながりとしては、広く医療人という意識で、医学と歯学のモデル・コア・カリキュラム等の一部共有化でございます。
 それから、先ほど申し上げましたように医師として求められる基本的な資質・能力。これを実質化しなければならない。
 4番目は診療参加型臨床実習を充実させる必要がある。
 5番目は、地域包括ケアシステムの教育。地域医療がベースになります。
 6番目は「腫瘍」の部分の充実化を図ると。
 それから、スライドの5番でございますが、まず、指導の方略について、目標だけではなくて方略についても言及しなければならない。それから、教養教育と準備教育の統合的な整理が必要である。
 9番目としては、目標そのものを整理いたしまして、表現が変わりました。「一般目標」・「到達目標」という従来の表現から、「ねらい」と「学修目標」というふうにいたしました。これは、主としてoutcome-basedというような考えがベースにあります。
 次に、これまでのモデル・コア・カリキュラムについておりましたアスタリスクをとりました。これは、アスタリスクは臨床実習開始前に、なるたけここまでは到達させてはいかがであろうかという趣旨の項目でございましたけれども、それが外れました。
 総量的にはスリム化いたしました。
 それから、卒前の方では、今まで例えばBabinskiは横文字で外国語表記にして括弧を付けましてございますけれども、もうそれも外してよかろうということでございます。
 12番目としては、世界へ発信していくために、英語版のモデル・コア・カリキュラムも作らねばならんだろうということでございます。
 スライドの6番でございますが、どういうふうに変わったかというところで、先ほど来申し上げておりました、医師として求められる基本的な資質・能力。そこをこれまでは基本事項として載っかっておりましたけれども、それをもう少し踏み込んで、詳しくこれまでの4項目から9項目にわたって、ここにお示ししていますように、項目が増えましてございます。
 そのほかの主なところとしては、スライドの7番でございますけれども、社会と医学・医療という視点。それから倫理規範、実践倫理、あるいは臨床研究。最近問題になりました臨床研究と医療における倫理の話。あるいは統計学の話。それから行動科学、社会科学、国際保健・スポーツ医学、そういうところも踏み込みましてございます。
 医学一般のところでは、行動心理学について言及をいたしました。もちろんそこでは基礎栄養学と腫瘍の話を。この腫瘍の基礎的な部分でございます。
 Dにまいりますと、今度は腫瘍性疾患といって、臨床的な部分が含まれましてございます。そのほかの改訂の概要として、今回言及されたいろいろなところ、たくさんございますけれども、全身に及ぶ生理的変化というところでは、ここでもう1回腫瘍を取り上げる。それから最近の高齢社会になりまして、フレイル、あるいは、サルコペニアの問題がここで出てまいります。
 また、グリーフケアなどもこれまでの版にはございませんでしたけれども、それを加えました。
 診療の基本のところでは、臨床推論。随分このあたりは前の版と比べていただきますと、変わったことがお分かりいただけると思います。
 もちろんEBMとかポリファーマシーなどの言葉も入ってまいります。
 臨床実習のところでは、臨床推論に加えて、entrustableという言葉に代表されるEPA。entrustable professional activity。
 それから、シミュレーション教育というところが入ってまいりまして、それがごく大ざっぱに申し上げまして言うと、資料1-1の主な変更部分でございます。
 詳細につきましては、これから北村先生から御追加を頂くことになっております。
 以上でございます。

【永井委員長】  ありがとうございました。
 それでは、医学調査研究チームリーダーの北村委員から補足説明、あるいはコメント等お願いいたします。

【北村委員】  チームリーダーをさせていただいた北村です。
 この厚いファイルの5ページをお願いします。
 変わったところだけ御説明します。今までにはなかった言葉で「国民の皆様へのお願い」という文章のひな形を付けております。臨床実習を充実させようということで、そうするとどうしても、国民、患者さんの協力がないといけないということで、是非国を挙げて国民、患者さんへ御協力をお願いしたいという意思の表れであります。
 13ページ。これが、いわゆるポンチ図です。全体の流れを見るんですが、薄いピンク色が患者さんと学生が接触する期間です。1年生から少しずつ増えて、共用試験、CBT、OSCEの後は、ほとんど臨床実習があると。一番上というか、一番右に、国家試験の隣にPOST CC OSCE。臨床実習後OSCEと略しておりますが、共用試験が一部問題を提供し、各大学がそれを用いてさらに大学独自の課題を足して、卒業要件の一環として、POST CC OSCEをやっていただくことを期待しております。
 14ページ。これがアウトカムと呼ばれる到達目標。ここでは、基本的な資質・能力としておりますが、9項目に整理しました。詳しいことは、齋藤先生からもありましたように、このA項目15ページ以下に、こういう項目がそれぞれに相当するというふうに書かれております。
 少し飛びますが、82ページを見ていただけますか。Gが臨床実習です。臨床教育の中心的な役割と捉えて、臨床実習の充実。すなわち診療参加型臨床実習の資質と期間の充実を心掛けてあります。
 82ページの一番下のパラグラフ。学生を信頼し任せられる役割。これは英語がentrustable professional activityなんですが、略してEPA。これをあえて日本語で訳したのが、「学生を信頼し任せられる役割」。これを13項目あります。これを臨床実習中に具体的に学生にやらせてほしいと。いろいろ書いてあります。
 パブリックコメントで一番問題があったのは、10番、11番。10番、緊急性の高い患者さんの初期対応を1人でできるのかと叱られたんですが、別に1人ではなくて、そのチームとして、学生としての対応を行うと。
 インフォームド・コンセントも学生がとれるのかというと、「あした採血の検査があります」とか、「あしたは食事をしないで待っていてください」とか、そういう極めて初歩の初歩のインフォームド・コンセント等、学生としての役割はあるということで、決して外科手術のインフォームド・コンセントをとらせろというようなことではありませんが、簡単なものもこうやって経験させたいということで、13項目にまとめてあります。
 次めくっていただきまして、83ページから、G-2-1)発熱などと書いてあって、その項目数が87ページ、外傷・熱傷まで、37のいわゆる症候が書いてあります。今までの医学教育は、病名があって、その病気がどんなものであるというような病気から教育をしていたんですが、ここの部分は症候から発熱から考える。あるいは全身倦怠感から考えるというような、そういう方向を作りました。
 最初は、症候だけをやったのですが、それだと具体的に何をどう勉強していいか分からないということで、かなりチャレンジャブルなんですが、代表的な疾患を書きました。これを覚えてくれということでは全くありません。これを覚えて試験勉強にするようなことは、絶対にやめてほしいと。これ以外の疾患もたくさんありますし、ここに書かれているのでも長計いろいろあります。例えば、書いたらこんなものが出るという程度で、ある方向性を見てもらうだけです。これに関しては、いろいろな諸文献を当たって、国際的にも大体こういう症候でやっているのではないかと思います。
 これの大多数が、さっき申し上げました臨床実習終了後OSCEの課題になると。学生が診ると「熱が出ました」という患者さんが来ていて、それを診察しながらこの病気、あるいはその他を鑑別し、検査計画を立てるというような試験の流れになると思います。
 あとは、余り大きくは変わっておりません。あと、頭出しだけですが、92ページ。従来は本体の外にあったのですが、今回はG、臨床実習の中に入れました。診療参加型臨床実習実施ガイドラインということで、参加型実習にするためのノウハウがかなり細かく書き込まれています。
 それから、その次。評価というか、学生手帳のイメージですが、129、130ページです。これ以降が臨床実習の言ってみれば学生手帳というか、学生ファイル。ポートフォリオのひな形です。自分の目指す医師像を自分で書き込んでから実習が始まり、どんな症例を経験したか。そのときにどんな評価を受けたかというのを延々に書きとどめていくと。そういうようなことになります。
 うまくこれが機能すれば、全国ほぼ似たようなファイルを全学生が持っていて、研修のマッチングのときとか、専門医の採用のときとか、そういうときにも「僕はこういう疾患を診ました」というようなことに使えるのではないかというふうに、夢のようなことですが、そういうことも考えて作りました。
 簡単ですが、以上です。

【永井委員長】  ありがとうございました。
 続きまして、歯学教育コア・カリキュラムの改訂版について、歯学専門研究委員会の前田委員から御説明をお願いいたします。

【前田委員】  前田でございます。資料2-2をごらんください。本文は資料2-1となっております。
 歯学教育のモデル・コア・カリキュラムの改訂の考え方にありましても、今ほど御説明ありました齋藤委員のスライドの2、3にあるようなことと全く同じということでございます。
 今回の改訂におきましては、スライド2にございますように、構成を大きく変えさせていただきました。左側が28年度版で、右側が22年度版でございますけれども、A領域に関しましては、医科と同じような形にさせていただきました。
 B領域に関しましては、法律の改正に伴いまして用語等々を改正させていただきました。
 新たに、F領域として、今までOSCEが実施されてきましたが、きちんとモデル・コア・カリキュラムの中で、到達目標等々が明記されておりませんでしたので、技能教育、態度教育に関することとして、相互実習、模型実習、シミュレーション実習という項を新たに置きました。
 そして、Gの臨床実習のところでは、今まで臨床実習の水準表と呼ばれるものがありましたけれども、これの見直しをさせていただきまして、内容と分類という形に大きく分けさせていただきました。
 1枚、おめくりいただきたいと思います。スライド3にこのモデル・コア・カリキュラム改訂版の概要のポンチ絵を載せさせていただきました。大きく変わりましたのは、赤枠で囲まれているA領域。そして下にあります新設いたしましたF領域でございます。その他、二重丸がついていますものが、社会情勢等々に鑑みて、大きく手を加えさせていただいたものでございます。
 改訂の概要でございますが、基本的には、以下と同じようでございますけれども、初めが縦のつながり。
 2番目が医科と歯科の横のつながり。これはモデル・コア・カリキュラムの共有化ということです。
 そして3は、A領域にあります「歯科医師として求められる基本的な資質・能力」の実質化ということを考えてあります。
 そして、診療参加型臨床実習の充実は、医科と同じです。
 歯科の特有的な問題としまして、歯科診療が健常者型から高齢者型に変化している中で、超高齢化社会への対応ということで、ここも大きく直させていただきました。
 そして、先ほどお話ししていましたように、F領域に臨床実習開始前までの基礎模型実施を含めた技能教育に関する学修目標の新設ということを挙げさせていただきました。
 改訂の概要、次のスライド5枚目を見ていただきますと、7番目は以下と同じように教養教育と準備教育の融合ということで、医科と同じでございますけれども、内容に関しましては、医科と少し内容が異なりまして、歯科に学んでいくための必要な準備教育ということに関してまとめさせていただきました。
 その次に、「目標」の整理。これは、医科と同じように学修の目標とのねらいというような形にさせていただきました。
 歯科の特有なこととして、平成22年度版まではアスタリスクが付けられていましたが、これを廃止することにしました。詳細は後程お話させていただきます。
 総量のスリム化でございますけれども、今までの準備教育のコア・カリキュラムと専門教育の方のコア・カリキュラムと合わせまして、今回の改訂版では、全体で184項目の減ということにさせていただきました。専門の内容に関しましては、項目数の数は同じでございます。
 11番目としまして、歯学用語の表記の整理がございますけれども、歯学用語の表記の整理をするための用語集が、まだ、歯科の場合は未完成でございますので、同時改訂でございます平成30年版の歯科医師国家試験出題基準の用語に準拠させるということで、統一をさせていただいております。
 そして、次年度の英文翻訳により世界への発信ということが、改訂の概要でございます。
 各概要についてお話をさせていただきます。1番目にスライドの6番目の縦のつながりでございます。モデル・コア・カリキュラム、国家試験の出題基準、臨床研修の到達目標への整合性をとるようにいたしました。歯科の場合は、本年度モデル・コア・カリキュラムと国家試験出題基準の同時改訂の年に当たっております。そこで、嶋田委員も私もそちらの方の委員になっていますので、連絡を密にとるような形で改訂を進めさせていただきました。
 特にその国家試験の出題基準との乖離が大きかったBの「社会と歯学」の大幅な見直し。そして、これは医科の先生に随分お世話になりましたけれども、Eの6のところで、医師と連携するために必要な医学的知識という項目を起こさせていただきました。今までは医師の研修医でも見たことのないような疾患が記載されていましたけれども、医学の先生と御相談をいたしまして、歯学部の学生が臨床実習終了までに学んでほしい疾患ということで、例示をさせていただきました。
 そして、臨床実習の水準表の見直しというところは、後ほどお話をさせていただきます。
 スライドの7枚目で2番目の横のつながりです。キャッチフレーズは医科と同じ共通のキャッチフレーズを付けさせていただきました。その内容に関しましては、地域包括システム、地域医療、高齢者の歯科診療、個人識別、薬剤耐性、アレルギー耐性、慢性の痛みなどをきちんと歯学の今回の改訂版では、そこに書いてある項目のとおりに書かせていただきました。
 3番目、医師と同じような基本的な資質・能力の実質化でございますけれども、スライドの右側に書いてありますように、平成22年度版では、歯科医師と求められる基本的な資質と、A領域の基本的な資質というものが、2つに分かれていて、2段構成になっておりました。これを医学と同じように左側にございますように、9項目にまとめてきちんと評価ができるような体制に直させていただきました。
 その次の9枚目でございます。診療参加型臨床の充実でございますけれども、臨床実習、臨床研修、そして生涯研修のシームレスな流れということを念頭に、各大学の意見も聞きながら改訂をさせていただきました。
 特に歯科の場合、技術教育、技能教育というのが、医学と違う点でございますけれども、学位の質や職業資格の質を担保するという概念、英文化を見込んだグローバルスタンダートということからも、ここを大きく直させていただきました。ここのところは、今までは診療科ごとのコンテンツベースといいましょうか、というふうな記載でございましたけれども、ここは思い切ってコンピテンスベースで整理をさせていただきました。
 そして、医科と同じようにポートフォリオの例示を4種類ほど載せさせていただきました。その下のところに、臨床実習の内容と分類の概略の表がございます。大きく指導者の下で実践する、いわゆる自験のもの。指導者の下で実践が望まれるもの。指導者の介助をする。指導者の下で見学・体験が望ましいというふうに4段階に分類させていただきました。
 縦のつながりに行きますと、今度はこの改訂では、シンプルに4つに分類させていただきました。今までは診療科ごとの内容で書かれていただいたのですけれども、診療の基本。基本的診察法。基本的臨床技能。チーム医療・地域医療という形の4つに分類させて、それぞれ1から4段階作らせていただきました。
 PCC OSCEに関しましては、初めの「指導者のもと実践する(自験を求めるもの)」ということが、出題範囲になろうかと考えております。
 その次、スライドの10枚目でございますけれども、超高齢社会への対応ということで、多職種連携、多職種共同、チーム医療ということを具体的にイメージできるように落とし込みを進めました。内容と項目に関しましては、その下に書いてあるような形でまとめてございます。
 次、11枚目でございます。臨床実習開始前の技能教育に関する学修目標の新設ですけれども、今まで、全くここが、記載がございませんでした。実際臨床実習でやる高頻度診療に向けて、模型上等々で学ばなければならない学修項目を挙げて、到達目標を記載するということにさせていただきました。
 7番目の教養教育と準備教育の融合でございますけれども、今まで独立して記載してありました準備教育内容を本文の中に組み込みました。
 いろいろございましたけれども、歯学部の場合、単科大学が多いということで、今までの準備教育、全てできるわけではないということで、大事だと思われる準備教育の中に組み込みました。例えば、今までの「人の行動と心理」ということだと、「歯科疾患の予防と健康管理」の中に組み込むとか、「統計の基礎、統計手法の適用」というものは、「保健医療統計」の中に書き込む。「生体を構成する物質の化学的基礎」は、「基礎自然科学」というような形に組み込ませていただいて、発展的に融合させていただきました。
 スライド13番目は同じものでございますけれども、9番目のところのアスタリスクの廃止でございます。これが今まで付いていることによって、付いていない項目は臨床実習開始してから学修すればいいと随分誤解されていて、モデル・コア・カリキュラムが共用試験、CBTの出題基準というイメージを持たれていたということで、このアスタリスクを廃止しました。
 以上が、私の方で御説明させていただく概要でございます。

【永井委員長】  ありがとうございました。
 続きまして、歯学調査研究チームリーダーの嶋田委員から補足説明、あるいはコメントがありましたらよろしくお願いします。

【嶋田委員】  嶋田です。よろしくお願いいたします。
 スライドの14と資料2-1の15ページからごらんいただければと思います。細かいところで重複することもあるかと思いますけれども、A領域の改訂の概要について、先ほど前田委員が言われたように、医科と同様、基本的な資質と能力は、基本的な事項と統合しました。そして具体的には、ここの記載のとおり、研究マインドのこととか、様々な情報云々と記載のとおりでございます。
 実際には、資料2-1の16ページの方に記載があります。例えば、様々な情報を客観的に批判的に取捨選択して、統合整理し、表現する基本的な能力です。知識、技能、態度、習慣、リベラルアーツを身に付けるといったようなものは、16ページの24行、25行あたりに記載があります。
 それから、多職種との連携とか、地域での保健医療、福祉・介護、そういったところは同資料の18ページを中心に、チーム医療も含めて記載があります。
 医療安全につきましては、同じく18ページのAの6、医療の質と安全の管理ということころで、危機管理も含めて今回は修正を行っております。
 スライドの15ページをごらんください。B領域は資料の22ページからです。22ページは「社会と歯学」ということで、ここでは再び地域包括ケアシステムについて歯科医師の役割というのが、22ページの3行目も含めて記載があります。
 それから23ページの方に移っていただければ、12行目をごらんください。ここでは、個人識別と死因究明について、歯科医師における身元関連や関連する死因究明の制度を説明できるということを今回追加しております。そういったところで、Bの領域を25ページまでごらんいただければと思います。
 26ページからは、生命科学について、今回は大幅な改訂ということで、我々歯科医師が将来患者さんを診るときに、医科疾患、全身疾患を持っている患者さんをどのように、この口腔との関係で学ぶべきかということを基本として、その基礎となる生命科学を修得するために、その内容をC領域で充実させました。26ページから33ページにかけて、その記載があります。
 その他、前田委員がおっしゃいましたように、準備教育の中の基本的な自然科学について、26ページの基礎自然科学というところに組み込んであります。
 次にスライドの17ページをごらんください。ここはD領域で、資料では34ページから記載があります。ここでは医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律、すなわち旧薬事法を意識しまして、歯科医療に使う機器の所要説明をしています。それから材料の方を組み替えて、このように2つの項目に分けて記載をしております。
 それからE領域について、ここは35ページからなっております。ここは前田委員がおっしゃったように、医師と連携するために必要な医学的な知識を、これは北村先生に非常にお世話になりましたけれども、どのような疾患を例示しておけばいいかということを、この45ページから46ページにかけて記載しております。特に46ページをごらんいただければ、具体的な代表的な医科疾患、病態をこのように例示しております。
 それから、ちょっと戻りますけれども、44ページの方には、歯科医療の展開ということを充実させるために、矯正歯科、小児歯科、あとは高齢者、障害者、及び精神・心身医学的疾患の項目を変更しております。
 スライドの19ページをごらんください。ここは新しく組み込んだシミュレーション実習です。臨床実習の開始までの基礎模型実習を含めた技能教育について、学修目標を新たに作成しました。ここを中心として、診療参加型臨床実習に入る前に、実際に技能教育で学習すべき項目を記載してあります。
 それから、51ページの方に移っていただければと思います。51ページからは臨床実習です。先ほど前田委員が言われたようにコンピテンスベースで今回は記載をしております。大きな項目としては、診療の基本、基本的な診察法、基本的臨床技能、チーム医療・地域医療、及び患者中心の医療の5つに分けて構成しております。診療の基本については、各科共通で行えるように医療情報から臨床診断、治療計画、さらに全体を通じて、医療安全、感染対策の項目も具体的に51ページの方から記載をしております。
 さらにチーム医療、地域医療に関しての病診連携、多職種連携、在宅、地域包括ケアシステムの項目については52ページから53ページにかけて具体的に記載をしております。
 以上が、スライドの説明です。資料2-1の54ページからは、先ほど前田委員が説明されましたけれども、臨床実習の内容と分類ということで、縦の軸は臨床実習の項目、1、2、3、4に合わせ横の項目は、1は指導者のもとで実践する、2は指導者のもとで実践が望まれる、3は、指導者の介助をする、4は、指導者のもとで見学・体験することが望ましいということで、シンプルに4つずつに分けて、臨床実習のG項目に合わせて記載をいたしました。
 それから56ページからは各代表的なポートフォリオを記載しております。新潟大学、東京医科歯科大学、北海道医療大学、それから東京歯科大学の4つの代表的なポートフォリオを例示しております。
 以上簡単ですけれども、説明を終わります。

【永井委員長】  ありがとうございました。
 では、ただいま御説明いただきました医学教育及び歯学教育のモデル・コア・カリキュラム改訂案につきまして、どの点からでも結構でございます。御意見、御質問を頂きたいと思います。
 いかがでしょうか。どうぞ。

【髙久オブザーバー】  私が自治医大にいましたときに、アメリカから、永井先生も御存じだと思いますが、エリック・ジョンソンという内科の教授が来まして、彼が学生を教えたときに最初に言ったことは「日本の医学生は臨床推論ができない」ということでした。それが、今回の改訂で、スライドの8の診療の基本と、それから臨床実習で臨床推論がキーワードとして挙げられるというのは、非常にすばらしいことだと思いました。

【永井委員長】  ありがとうございます。
 はい。新井委員。

【新井委員】  新井でございます。
 この資料1-1の分厚い冊子で、例えば151ページとか、152ページに実際的な周期の評価が、自己評価と指導医評価と、1から5まであって、それぞれが自己評価、指導医の評価で最終的にこの実習が完結するということになると思うんですけれども、例えばこの一つ一つの手技について、どのレベルが望ましいとか、そういうことに関しての推奨というか、リコメンデーションとかそういうものは何かございますでしょうか。

【北村委員】  ございません。実はこれ、研修とかなりオーバーラップしています。研修でやった表と似たような表があって、学生時代はこういうものをやって、それも1のレベルであったとか、2のレベルがあった。それで研修になったら3のレベル、4のレベルになったというふうに使えたらと思って書いたのですが、それぞれのレベルはこうであるというような定義書が、まだ時間もなく、力及ばず、できておりません。

【新井委員】  多分後ほどの議論で、卒前・卒後教育のシームレス化ということを考えた場合には、卒前でどの程度までできて、卒後でどの地点からスタートするのかというのが、ある程度明確になっていた方が、望ましい部分もあるようにも思いましたので、これは多分今後の課題ということになろうかと思うんですけれども。是非その辺は継続的に検討いただければなというふうに思っております。
 以上です。

【永井委員長】  よろしいでしょうか。
 齋藤委員。

【齋藤委員】  今、卒後の臨床研修の方の到達目標が作ってらっしゃいますから、それが出てからそのあたりのレベル設定というのは、これは卒前の委員と卒後のグループとが一緒になって、考えていくべきものだろうと思っております。

【永井委員長】  そのほか、いかがでしょうか。
 寺野委員、どうぞ。

【寺野委員】  大変なカリキュラムを作られて、御苦労様でしたということなんですが、基本的に13ページの図の中で、結局全体として、今さっき新井先生が言われたのと共通しているんですけれども、全体としてのモデル、グランドデザインというものを考えていくわけですよね。1年生から6年生。それから卒後というのはあるのでしょうけれども、少なくとも6年生に関して。そこの中で、どういうふうにこれを持っていくのかということによって、教育の段階でそれぞれ違ってくるわけなので、そこの辺は一応考えに入れて、この図を作られたと思うんですけれども、どうにも僕が心配なのは、少なくともこの中の技術的なものというのがちょっとよく分からないですけれども、知識的集約的なものから言うと、1年生から4年生の間に大体やらなくてはいけないという形のもので、しかも1年生から2年生に関しては、そういうふうな教養的なものから基礎的なものをかなりやらなくちゃいけない。そうすると3年4年ぐらいで、2年の途中からかもしれません。3年、4年ぐらい。その二、三年でやらなきゃいけないという膨大な知識が。その中に入っていって、しかもこの共用試験が将来的には国家試験に持っていこうかという話もあるわけなので、そこの辺まで考えた形での配分というか、そういうのをお考えになっているのでしょうか。

【北村委員】  よろしいですか。
 はい。これのいろいろなものを加味したんですが、この作る時期に一番影響を与えたのは、WFME、世界教育機関が出している教育のスタンダード、ベーシックスタンダードです。そこに掲げられているのは、教育機関の3分の1、日本で言えば6分の2、2年間は臨床実習をしなさいということ。
 週数にすると60週とかそれぐらいになるんですが、それを入れ込むのが1つと、もう一つ、学年の最初から患者さんに触れるチャンスを用意しなさいと。我々もearly exposureということで、1年生のときからエスコート実習をしたり、介護施設に行ったり、幼稚園行ったりとか、そういうようなことを試みてはいたんですが、それを入れるということ。この2つが大きな要素です。
 そうすると、実習を2年間やると、いわゆる座学の部分は4年しかなくなってしまうと。そういうとちょうど軌を一にしてCBT、知識面の試験が4年生の終わり頃。多くの大学は4年生の終わりとか12月くらいにやるということで、それを取り入れるとこういうふうになったという次第です。
 おっしゃるとおり、医学の知識が膨大になってきているので、これこそまさにコア・カリキュラムで、全部教えるのはもう無理なので、自分で勉強するという癖を付けて世に出すしかないかなと思っております。

【寺野委員】  それは全く正しいので、やっぱり勉強の……、僕らもゲザンケンガンクなどという懐かしい言葉があるので、そういう考え方を教えていただければ、自分でやるしかないんだろうなというふうには思いますが、しかし、やはりこれこの全体の図から見ますと、図から見ますとってどこの図でもこうなっているんですけれども、やはり4年生の終わりの共用試験でほぼ知識集約的なもののテスト。あれは終わりということはないけれども、そこで大きな一段落を迎えると。その後は、実習。その知識を持って実習をしようということなんですよね。
 これは多分この流れでもそうだと思うし、もちろん5年、6年でも知識は当然入ってくるわけだけれども、主にはそうだということになると、ゲザンケンガンクはいいんだけれども、本当にこれだけのもの。膨大な僕らのときとは全く違う膨大な内容が、どうはめていくのか。あるいは内容そのものを、ある程度セレクトした、先生言われたようにスリム化したというような、僕すごくいいと思うんですよ。
 スリム化していくということが非常に重要で、そのことをやっぱり考えてやらないと、3分の2は当然これの形でやるけれども、一番下に3分の1は大学独自のカリキュラムと書いてあるが、実際そんな余裕なんかほとんどないですよね。だからそこの辺のことを全体として考えるときに、将来、今回これはできて非常にすばらしい。でもスリム化したのでいいと思うんですけれども、将来的に見ると、これまた7年後ぐらいになるんですか。その段階で、毎年か2年に1回は、これのアウトカムというか結果を1回1回検証して、それを生かしていくというふうな、そういう形のものを何かとられないと。また7年後に同じようなことになっちゃうので、僕はもうちょっと何か知識として、自分が勉強しなかったからというわけじゃないんですけれども、それは北村先生同じだから。

【北村委員】  同じです。

【寺野委員】  同じですね。
 だけれども、何かこう、そこの辺は、余り重くし過ぎるというのも問題かなというのは、最初から感じてはいたんです。これはこれでいいんです。それはいいんですけれども、考え方として、そのアウトカムを今から調べていくときには、そういうふうな見方というのは必要なんじゃないかなと。

【北村委員】  ちょっと論点が違いますけれども、臨床研修の方をやっていらっしゃる福井先生とのディスカッションでも似た会話がありまして、それが一番妨害なのが、一番右側の方に、武井課長がいる前で言うのは何なんですが、「医師国家試験(知識)」と書かせていただいて、ここで知識を問うと。そこが、せっかく臨床実習で技術や知識の使い方を学んだのに、そのまま研修に流れ込めばいいのに、そこに何か月間ブランクを置いて、知識の再復習をすると。ここがどうも流れを悪くしていると。

【寺野委員】  そこなんですよ。ポイントは。実際。そこなの。

【北村委員】  ということで、是非、国家試験も変わっていただいて、臨床実習を一生懸命やったらすっと通るような試験がもしできるのであれば、それをお願いしたいと思っています。

【寺野委員】  多分ドイツなんかそれに近い形とっていると思いますよ。

【北村委員】  そうですね。

【寺野委員】  だからそういう形のものにしないと、 6年生は全部知識になってしまう。知識の復習しちゃうわけで。そういうことになるから、是非、これ今私立医大協会でも、佐々木先生なんかもお呼びして、いろいろグランドデザイン検討しているんですけれども、国家試験は、やっぱりこれは実習、技術でやるなら、技術的な国家試験にすべきだというのが前提ですよね。だから隠して知識ってわざわざ書いてあるから、「え、これは何だい」と思って。

【北村委員】  消してもいいんですけれども。

【寺野委員】  済みません。余計なことを。

【永井委員長】  どうぞ。

【井出委員】  歯科コアカリの最後のところにポートフォリオが付いていますが、これはコアカリと何か関係がありますか。
 ここに出ている例題とは、どういうことでしょうか。

【前田委員】  医科と歯科のコアカリを見ていただきますと、医科の場合は臨床実習のガイドラインがきちんと書かれています。歯科の場合は、まだ全国的な合意ができていないので、臨床実習ガイドラインは載せませんでした。
 しかし、医科と同じような臨床研修制度が始まっている中、ある程度振り返りをするために形成的な評価を見るために、各大学でどういうふうなポートフォリオを使っていいのかも分からないという声もございましたので、こういう代表的な4つの例示をさせていただいたということになってございます。

【井出委員】  このポートフォリオを各大学で何か統一することを考えていますか。

【前田委員】  いや、各大学の内容によってある程度変わってくると思いますけれども、将来的にはやはり統一していった方が、臨床研修をしていくにはよいのではないかなと思っていますけれども、なかなか道は遠いんじゃないかなとは思っています。

【永井委員長】  そのほかいかがでしょうか。
 特に何か修正の御意見等ございませんでしょうか。

【寺野委員】  済みません。もう1点。
 前のときに、僕、薬害とかあるいは医事法制的なものとか、それからあと語学かな。何かの3つの点を指摘したつもりなんですけれども、僕もよく読めていないので分からないんですけれども、それはどういうところで表現されていますか。

【北村委員】  前のとき、先生から指摘された、恐らく国際性と医事法制と薬害とかそういうのだったと。

【寺野委員】  よく覚えていていただいてありがとうございます。

【北村委員】  いえいえ。意識してちゃんと、どこかに入っているはずです。

【寺野委員】  はい。大丈夫ですね。

【永井委員長】  よろしいでしょうか。
 もし、修正の御意見ございませんでしたら、本日御報告いただいた医学教育及び歯学教育のモデル・コア・カリキュラムの改訂案を今回の改訂内容として決定するということで、御賛同いただけますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)

【永井委員長】  ありがとうございます。
 それでは、本日御報告いただいた改訂案を、今回の改訂内容として決定したいと思います。
 なお、先ほど事務局から御説明ありましたけれども、歯学教育につきましては、国家試験出題基準との文言調整を行い、改訂モデル・コア・カリキュラムとして確定したいと思います。ありがとうございました。
 それでは、続いて議事の3にまいります。薬学教育の動向について、事務局から御報告をお願いいたします。

【亀井技術参与】  医学教育課で薬学教育を担当しております技術参与の亀井と申します。よろしくお願いいたします。
 では、お手元の資料4をごらんください。薬学教育の動向について、簡単に御説明させていただきます。まず全体となる背景ですけれども、薬学部は平成18年4月に6年生教育がスタートいたしました。これに先立ちまして、最初薬学教育のコアカリは、日本薬学会の取りまとめで策定。実務実習のコアカリを文部科学省の取りまとめで策定され、その後平成17年に両者は一本化されました。その上で、平成25年。4年前ですか。薬学教育。コアカリ改訂版が策定され、平成27年4月の入学の学生から適用されています。
 このような背景を基に、本日は薬学教育の改訂コアカリの概要、改訂コアカリに準じた新しい薬学実務実習、そして薬学教育で実施されています第三者評価について、順に紹介させていただきます。資料4のスライド番号2番をごらんください。このスライドは薬学教育モデル・コアカリキュラムの改訂の概要を示したものでございます。
 改訂のポイントは主に4つございます。右側をごらんください。1つ目は、薬剤師として求められる基本的な資質を設定いたしまして、これに基づいて学習成果基盤型教育、OBEとして編成したということでございます。
 学生が、学修し、身に付ける成果について、10の資質を設定いたしましたことで、学生、教員、そして国民の皆様に対しましても、薬学部卒業後の到達目標が明確になりました。
 2つ目は医療人としての薬剤師養成を意識した点です。薬剤師として、患者中心の医療に貢献できるように、生命医療の倫理、チーム医療、そして地域における保健、医療、福祉、また、コミュニケーション能力などが充実されました。これらはA領域、B領域というところで、6年間継続して学修いたします。
 3つ目は、実務実習。薬学教育の場合は、薬学臨床と申しますが、この内容をより充実させ、見学型から参加型、体験型実習になるように編成し直したことです。将来の薬剤師業務の進歩を想定いたしまして、実務実習の内容を、再構成して充実させました。基礎科目と臨床科目のつながり、そして参加体験型でより実践的な能力が養えるように、改訂されております。
 4つ目は、大学独自のカリキュラムを推奨した点でございます。改訂コアカリでは、旧コアカリと比較して、学修項目等を効率的に整理して、約30%のスリム化を行いました。その上で、薬学教育課程の70%はコアカリ、30%は各大学のポリシーに基づいた独自のカリキュラムになるように推奨しております。
 これらが平成25年12月のコアカリ改訂の主なポイントになります。
 ページをめくっていただいて、スライド番号3番が、薬剤師として求められる基本的な資質を具体的に定めたページになります。お時間があるときに見ていただければ幸いです。
 その下の4番のスライドが、コアカリキュラム改訂の基本方針とポイントの概略図になります。薬剤師に求められる基本的な資質を基にいたしまして、学習成果基盤型教育として構成されたポンチ図になっております。A、B領域が、先ほど申しました倫理とか、チーム医療教育、コミュニケーション等が含まれている領域。C、D、E領域は主に基礎科目。そしてF。薬学臨床が実務実習に関する内容になっております。
 なお、薬学部では、G、薬学研究で、研究倫理から統計手法、そして研究の実施と成果のプレゼンまでが含まれております。
 ページを開いていただいて、スライド番号5番。これが薬学教育モデル・コアカリキュラムのポンチ図になっております。このポンチ図で見ていただきたいのは、F、薬学臨床のところでございます。薬学臨床では、早期体験実習、実習準備教育、そして実務実習が含まれております。実務実習では、薬局、病院の2施設で合計22週間の実習が実施されます。この改訂コアカリでは、現行の実務実習と比較して、薬剤師に求められる職能を意識して、より実践的な能力が養える内容になっております。
 なお、このような改訂コアカリに準じた新しい薬学実務実習は、平成31年度よりスタートいたします。その下に今後のスケジュールがお示ししてあります。スライド番号6番になります。平成31年度から実施される改訂コアカリキュラムに基づく実務実習に対しまして、きちんと準備して、実施体制を整えるということが、非常に重要な課題となっております。
 この背景には、薬学部では、医学部や歯学部と異なり、附属病院が必置ではないということがございます。ですので、具体的な課題といたしまして、大学と受入れ施設である病院や薬局が協力しながら新しい運営体制。また、情報共有方法として、評価の観点などを協議してまいります。
 また、受入れ施設の確保や割り振り。そして実務実習の教育の質の確保等も問題となっております。薬学教育では、これらの課題を解決するために、薬学実習、実務実習に関する連絡会議というものを設置しております。
 1枚、おめくりください。スライド番号7番に示しておりますのが、薬学実務実習に関する連絡会議の概要でございます。薬学実務実習の在り方や、実施体制の大枠。また、関係団体との調整などを目的として、大学、病院、薬局、行政と多くの関係者で構成されております。検討課題といたしましては、31年度の実施のための準備、また、準備の際の施設間の連携や評価方法などが幅広く協議されております。
 その下のスライド番号8番では、こうした実務実習の充実に先立ちまして、平成27年2月に先の連絡会議のクレジットで、薬学実務実習に関するガイドラインが策定されました。このガイドラインでは、平成31年度からの実施に際し、実習のための指針に基づいて、現在、大学、実習施設、関連団体にて準備が進められております。
 1枚おめくりください。スライド番号9番。最後に薬学教育の第三者評価の動向について、御紹介いたします。薬学教育では、大学関係者が中心となり、分野別の評価を行っております。質の高い教育の維持、向上を目的として、平成20年12月に評価機構が設立され、平成25年度から第三者評価が開始されております。これは、医学や歯学より少し早い取組かと思われます。
 毎年10校程度の評価が実施されておりまして、全74学部が、7年に1回は評価を受けるように実施しています。現在35学部の評価が終了しており、平成31年度に第1サイクルの評価が終了する予定でございます。なお、平成32年度からの第2サイクルの評価に向けて、現在新しい評価基準の改定作業が進められております。来年度はパブコメまでが実施される予定になっております。
 以上、改訂コアカリの概要。そして、新しい薬学実務実習。そして、第三者評価について、御説明させていただきました。
 繰り返しになりますが、薬学教育では、2年後の平成31年度の改訂コアカリに基づいた薬学実務実習が最重要課題となっております。是非同じ医療人を育成する立場として、本日お集まりの先生方にも御理解と御協力をお願いしたいと思っております。
 私の方からは、以上です。

【永井委員長】  ありがとうございました。
 続いて、市川参考人からも御発言をお願いしたいと思います。

【市川参考人】  市川でございます。よろしくお願いします。
 薬学教育の動向に関しては、ただいまの文科省からの説明どおりでありますけれども、せっかくのこの機会なので、薬学教育モデル・コアカリキュラムを取りまとめた視点から、私の方から少し補足をさせていただきます。
 今回の、医歯コアカリ改訂においては、その内容を拝見して、また、その構成に関しても高度に洗練化されたものということで、大変私も、これからのいろいろな教育カリキュラムの改訂に参考になることが大変多く感じます。その中にあっても、2つのポイントで大変興味深く、拝見したことを申し上げます。
 1つ目は、医師、歯科医師の養成キャッチフレーズの設定や、国民、各関係者、医学生へのお願い等、コアカリのメッセージ性を意識した点であります。学修者はもちろん、教育者、現場の医療人、そして国民に対して、今後の医師や歯科医師のあるべき姿を教育の立場から発信されており、大いに感銘を受けました。薬学教育に携わる大学人として、臨床現場における公衆衛生の向上、増進、そして国民の健康な生活の確保に対して、教育現場からすぐれた医療人を育成することを、これまで努力してきました。
 その立場から、薬剤師のあるべき姿をコアカリを通して広く発信することにより、教育から臨床を支えるということができるということが分かり、またそのメッセージを、社会に発信することによって、理解してもらえるということが分かったという確信と、そしてそれに共感をいたしました。
 2つ目は、卒前・卒後のシームレスな教育と、その一貫性に伴う診療参加型臨床実習の充実について改訂した点が、興味深く感じました。医療全体を取り巻く情勢変化も含めて、多様なニーズに対応できる人材を育成するために、卒前教育、国家試験、臨床研修。そして生涯教育と、シームレスな教育を見据えての改訂は、とてもすばらしい取組で、是非薬学教育でもお手本にさせていただきたいと思っております。
 また、診療参加型臨床実習の充実については、薬学教育でも同様の改訂が平成25年になされたところであり、その概略に関しては、ただいま文科省の亀井技術参与の動向紹介であったところであります。薬学教育では、コアカリの改訂版に基づく新たな実務実習が平成31年度から実施されることになりました。
 さて、近年医療現場では、薬剤師の病棟配置や、かかりつけ薬局、薬剤師機能強化など、薬剤師と患者との接点がかつてないほど増えつつあります。それに伴い、薬剤師に求められる職能が、薬中心の業務から患者中心の業務にシフトするに当たり、薬学教育でも薬物療法や、地域医療における実践的能力、そして倫理観やコミュニケーション能力などに一層の充実が図られているところであります。
 その意味で、平成31年度からの実務実習は、現行の実務実習と比較して、参加体験型で、より実践的な能力が養える実務実習となっています。それゆえに、薬学実習生は今後も医師、歯科医師、看護師をはじめ、多くの医療者と、そして何より患者への関わりがより密になると思います。この場を借りて、是非チーム医療を担う多職種の医療人、そして患者さん、国民の皆様にも、平成31年度からの新しい薬学実務実習に対する御理解と御協力をお願いしたいところであります。
 薬学教育でも、今回の医学、歯学コアカリ改訂のプロセスを参考に、次期改訂に向けて準備し始める時期にきたことを、強く実感いたしました。そして、将来的には、医師、歯科医師、看護師、そして薬剤師、医療人のあるべき姿を共有して、すぐれた医療人を共に育成していきたいと思っております。そのためにも、医療人のコアカリのコアというようなことも一緒に議論できる場が、今後できるということが、非常に望ましいのではないかと、お願いをしたいと思います。
 また、今回、医学、歯学コアカリの改訂の検討会の場に呼んでいただけたことを、心より感謝を申し上げます。併せて、次の薬学教育コアカリの改訂の際には、是非皆様のお力添えをお願いしたいと思っております。
 以上でございます。

【永井委員長】  ありがとうございました。
 続いて、議事の4でございますが、看護学教育モデル・コア・カリキュラムの策定に関する検討状況。これも事務局から御報告をお願いいたします。

【斉藤看護教育専門官】  医学教育課の斉藤でございます。看護学教育モデル・コア・カリキュラムの策定に関する検討状況ということで、資料5と参考資料3を御用意いただきますよう、お願いします。
 看護系大学は、この4月で255校になります。大学がこのように多様になる中で、大学における看護学教育の水準を明らかにすることの必要性から、このたび、看護学教育モデル・コア・カリキュラムの策定することになりました。
 資料5の一番上にありますスケジュールを見ていただきますと、平成28年11月に5年ぶりに大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会を立ち上げました。検討会の概要は、参考資料3を御参照いただきたいと思いますが、齋藤委員にも、委員に御就任いただいております。これまで検討会とワーキンググループをそれぞれ2回行いました。本年8月には最終案を取りまとめ、10月以降に大学へ周知、平成31年、2019年の4月から、コアカリを踏まえたカリキュラム開始の予定です。
 作業の途中段階ではありますけれども、現状で決定していることについて、御説明申し上げます。コアカリの概要ですけれども、資料5を1枚おめくりください。3月13日の検討会時点での作業経過報告となっております。さらに1枚めくっていただきますと、目次になっております。初めにコアカリの考え方、概要と、コアカリの前提部分がありまして、AからGの項目と続きます。これらにつきましては、文言の微修正はありますけれども、大筋合意が得られたところです。今後、コアカリの内容が定まるまでに、加筆修正をしながら、記載内容をさらに充実していく予定です。
 1枚おめくりください。右側からページ数を振っておりますが、コアカリの考え方。方向性は現状の看護学教育の課題を踏まえて考えていくことになります。課題としましては、幾つかございまして、1つには、医療提供体制や地域包括ケアシステムといった医療社会の進展を踏まえること。また、250を超える各大学が、きちんとコアカリの内容を把握して教育につなげられること。さらに看護系大学だけが分かるのではなく、国民から見て分かりやすいこと。その点で、医学、歯学、薬学との横並びで比較しながら、チーム医療について意識した内容とすること。
 また、看護実践能力の修得に向けた教育の充実、工夫が必要で、これは学生だけではなく教員も実践能力を身に着けることも課題としてあげられております。看護師とか医療人というような、ある前に1人の社会人としての高い倫理観、教養を身に付けること。さらに生活者として、成長し続けることが、看護者としての能力育成にもつながるので、そういった生活者としての成長ということ。
 また、医学的知識の充実。さらに将来的に実施される第三者評価における評価項目としての機能といったことが挙げられておりまして、これらを踏まえてワーキングにて作業を進めていく予定となっております。こうした点を11ページまで、現時点での案が記載されているところです。
 12ページを開いていただきますと、看護系人材として求められる基本的な資質・能力として、1のプロフェッショナリズムから9の生涯にわたって研さんし続ける姿勢と、9項目を立てて考えております。これはこれからの医療提供体制や地域包括ケアシステムといった社会のニーズに対して、どういう人材を目指すことが必要かを考えだされたものです。その過程では、医学教育や歯学教育のコアカリ改訂を参考にし、看護の特徴を踏まえて考えられております。
 この内容についても多少の文言の修正は入ることにはなりますが、先日の検討会で御了承いただいたところです。コアカリの各項目につきましては、14ページ以降ということで、そちらがコアカリの中身になります。検討会で合意を得られました大項目について、少し御説明させていただきますと、恐縮ですが目次に戻っていただきまして、Aの看護系人材として求められる基本的な資質・能力。Bに社会と看護学。C、看護学一般。D、看護の実践の基本となる専門基礎知識。E、多様な場における看護実践に必要な専門知識。F、臨地実習。G、看護学研究と専門性の発展という項目を立てております。この大項目を立てる考え方ですが、看護実践能力は段階的な学修と、プロセスの中で修得するものですので、看護実践能力を修得していく段階的な過程を軸にして立てるということで、合意をしたところです。各項目の教育内容につきましては、まだどの項目で何を学修する内容を示すかというところで十分に整理されておりませんので、先日の検討会でも整理が必要であるという御指摘を頂いたところです。
 また、先ほど申しました課題にも含まれておりますが、ケアの受け手の人を中心にした考え方、看護師としてきちんと解剖、生理、病態、薬理といった医学的知識をしっかり身に着けること、地域包括ケアシステムへの対応はもちろんのこと、多死社会に向けての在宅での看取りなどを想定して、必要な知識、学修内容をそろえていくことになります。
 その際、看護教育は、2011年にコア・コンピテンシーと到達目標が既に策定されておりますので、その内容を土台として、学習内容は、コンピテンシーベースドで書いていくこととしています。
 また、看護の場合、全てが4年生大学で養成されているわけではありませんので、厚生労働省との共同省令である指定規則との整合性も考える必要がありますが、内容としては、指定規則の内容も網羅されるものになります。
 以上です。

【永井委員長】  ありがとうございます。
 それでは、菱沼参考人からも御発言お願いいたします。

【菱沼参考人】  恐れ入ります。菱沼でございます。よろしくお願いいたします。
 看護学教育は、医、歯、薬、看と今回並んで出席させていただいておりますけれども、非常に違うところがございまして、教育機関が大学のみではないことと、それから職種が3つあることと、それから年間6万人ぐらいの人材教育をしていることでございます。
 その看護師の育成におきまして、大学教育へのシフトが平成4年ぐらいから始まりまして、それが現在も続いていまして、今斉藤専門官から御案内がありましたように、255という、医・歯・薬合わせてもならないかもしれないぐらいの数の大学教育になってしまっているという現状がございます。
 しかも学部教育の中で、薬学部とか医学部、歯学部というのは、その学部で成り立っているのが皆さん同じなんですが、看護に関しましては、看護学部とは限りませんで、いろいろな学部の中に学科としてあったり、あるいは専攻のレベルであったり、非常に教育がばらついているというのが、現状でございます。
 この中で、看護学教育のレベルを保つということが、それぞれの大学の自助努力だけでは難しくなってきている現状がございまして、今回、文科省の主導で、コアカリというのを考え始めているというところでございますが、今、御説明ありましたようにA項目というところで、看護師、看護系人材の能力、どういう人材を養成したいのかという能力を示し、その能力達成のためにBからE、及びG項目で、どういう教育内容を入れていくかということの検討の途中段階にあるというところでございます。
 コアカリができましたときには、もともと看護系の大学の協議会というところで、コア・コンピテンシーという考え方もいろいろやっておりまして、このコアカリと連動して、薬学等でなさっているような、評価機構による教育の評価も併せて進めていかなければいかないということがございまして、そちらとの連携をとりながら看護教育界として取り組んでいる現状でございます。
 もう一つ、実習の点で、項目を別個に挙げているんですけれども、看護も薬学と同様に、実習病院を必ずしもといいますか、医学部の看護学科ですと医学部に病院があるという形で、自前の教育の実習の場があるんですが、そうでないところは、御承知のように、ありとあらゆる現場を開拓して、そこに学生を送り込んでいます。そのときに教育する人間、教員の方をどうするかという課題が常に付きまとっております。場所の確保と教員の確保という非常大きいに問題がございまして、医療界全体で看護師を育成するということに協力を頂く体制と、看護の大学の方も、病院等の看護のレベルを学生が行くことによって、共に上げていく努力が求められているところでございます。以上を踏まえて、実習の在り方も、もう一度検討したいと考えているところでございます。
 以上でございます。

【永井委員長】  ありがとうございました。
 それでは、今御報告いただきました議事の3と4、薬学教育と看護学教育について、御意見、御質問ございましたら、御発言お願いいたします。いかがでしょうか。
 何か、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

【北村委員】  よろしいでしょうか。

【永井委員長】  では、北村委員どうぞ。

【北村委員】  コアカリができているというので、非常に感銘を受けておりますが、医学の方でも、多職種連携教育というものを設けておりますが、まだ具体的なのを余り書き込んではありません。是非書き込んでいただいて、我々を巻き込んでいただくと、また、次回の改訂のときにも、同じものが出てくると思いますので、多職種連携教育について、よろしくお願いしたいと思います。

【永井委員長】  よろしいでしょうか。

【亀井技術参与】  はい。

【永井委員長】  もし、御質問、御意見ございませんでしたら、では、最後の議事にまいりたいと思います。
 議事の5でございますが、卒後教育との一貫性やチーム医療の充実に資する卒前教育等を目指した今後の医学及び歯学教育の在り方について、まず事務局からこの議題の趣旨について御説明いただき、その後意見交換をしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【佐々木企画官】  資料2-2と参考資料の4、5を御用意ください。資料2-2は、先ほど前田委員からプレゼンテーションがあった内容ですが、この中のスライド4にございますとおり、これは齋藤委員のプレゼンテーションにもございましたが、今回の医学教育、歯学教育のモデル・コア・カリキュラム改訂の非常に大きな軸になりましたのが、スライド4の1番、縦のつながり。卒前から卒後へのシームレスな動きをどう一貫性を保っていくのかについてです。
 そして2の横のつながりは、医学教育と歯学教育のモデル・コア・カリキュラムを相互乗り入れ的にという内容ですが、先ほど、薬学教育、看護学教育でもプレゼンテーションいただきましたとおり、今の時代はチーム医療、また多職種連携というのが現場では不可欠でございますし、場合によっては研究においても横のつながりが不可欠な時代になっております。
 そうした中で、今回のモデル・コア・カリキュラムはそれを意識した内容になっているわけですが、参考資料4と参考資料5は、医学の例です。例えば参考資料の4にありますとおり、縦軸に卒前の医学部教育。そして医師国家試験、臨床研修、専門教育、生涯教育。横軸が2000年、平成12年からのこれまでの制度を含めた近年の動きを整理しているところです。
 こうした、既に卒前・卒後、この資料がかなりビジーに映るぐらい、細かい資料に映るくらい取組を進めているところですが、一方で、卒前・卒後を今よりもっとシームレスにという御要望を多く頂いております。
 こうした中で、参考資料5にございますとおり、これは先ほども、齋藤委員から御紹介ありましたが、卒後の臨床研修の到達目標と、卒前の医学教育モデル・コア・カリキュラムを、まず何を目指していくのかを合わせていく。そして、例えばポートフォリオを共有化することによって、一人一人の医学生、医師がどういう症例を経験し、どういう手技を修得していったのか。それを共有するということの動きが既に始まっております。
 なお、右側の臨床研修の到達目標につきましては、昨日厚生労働省で開催されました医道審議会医師臨床研修部会において、基本的に了承を頂いたところでございます。また、方略と評価まで臨床研修の到達目標は記載しようということですので、こちらは年度内をめどにさらに検討を進めていく状態になっているという状況です。
 以上から、もう一度議事次第をごらんいただきたいと思いますが、議事の5では、改めて卒後教育との一貫性、つまりシームレスにどう医師、歯科医師を育てていくのか。そしてチーム医療を目指した多職種連携を卒前教育の段階でさらにどう改善をしていけるのか。また、その在り方をどうすべきなのかということを、今回のモデル・コア・カリキュラムの御了承をいただきましたので、4月から各大学でのカリキュラム策定、そして、来年平成30年4月からの新たな医学教育、歯学教育に向けて、現時点で様々な御意見を頂ければと思い、議事を設定したところです。
 事務局からの説明は以上でございます。

【永井委員長】  ありがとうございます。
 それでは、ただいまの御説明を踏まえまして、今後の医学、及び歯学教育の在り方について、御意見を頂きたいと思います。

【新井委員】  よろしいですか。

【永井委員長】  はい、新井委員、どうぞ。

【新井委員】  医学教育の卒前・卒後のシームレス化については、先ほどもちょっと触れましたけれども、この資料5で北村先生と福井先生の大変な御努力によって、卒前と卒後の到達目標がある程度整合性をもってそろえられたというのは、大変すばらしいことだと思いますが、これをどういうふうに実際活用していくかということになりますと、やはりこの到達目標に深度、深さの設定が必須ではないかというふうに思う次第です。
 もちろん、個人のポートフォリオで個別に対応するというのもあるかもしれませんけれども、ある程度一定のレベルを、卒前ではここまで。そこから今度は卒後の初期研修、臨床研修がスタートするというようなことにしないと、どうしてもそこでオーバーラップがあって、無駄が生じるように思うところでございます。
 ですから、そこは今後是非、昨日の初期研修の部会でも私申し上げたんですけれども、是非深度設定をうまく、整合性をもってとっていただくような検討をお願いしたいと思います。
 2点目は、もしそれをやる場合に、やはり我々医学部が相当の覚悟を持って卒前教育を担当する必要があるだろうと。現時点でもかなり80の医学部で臨床実習の質に差があったりとかございますので、ただJACMEがWFMEに認定されたということで、これは非常に強い力になって、各大学の卒前教育の均斉化に大きな力になるだろうというふうに思っております。
 3点目は、やはり先ほど話題にもなりましたけれども、寺野先生もおっしゃいましたが、やはり国家試験が非常に大きなネックになりますので、国家試験を是非変えていただきたい。イメージとしては12月ぎりぎりぐらいまで臨床実習をやって、1月ちょっと準備をやって、2月に国家試験を受けるぐらいの、そのぐらいのイメージで、6年生が学生生活の最後を終えられるぐらいの国家試験に是非していただきたいなというふうに思います。
 以上3点でございます。

【永井委員長】  ありがとうございます。
 いかがでしょうか。今のことにも関して。
 江藤委員、どうぞ。

【江藤委員】  卒前・卒後の一貫性の前に、2点ほど、確認をさせていただきたいんですが、これ文科省でございます。
 1つは、共用試験実施評価機構において、共用試験と医学教育、歯学教育の現状について、国際的な発信を現在検討しております。専門委員会を設置しまして、共用試験の冊子、実施要項。それから共用試験の紹介のパワーポイントの英文版の作成を計画しております。これをもって会員大学の先生方に海外で共用試験の紹介をしていただこうというもくろみでございます。ついては中心となるコアカリの英文化は、新年度に計画されているというふうに聞いておりますが、そういった理解でよろしいかどうかというのが1点目でございます。
 それから、歯学の方のコアカリの診療参加型の臨床実習実施のガイドラインが、先ほどからの御指摘のように、医学と比べて十分ではないと認識しておりますので、新年度に改めて、整備を図るという理解でよろしいか。
 この2点をまず文科省に確認をさせていただきたいんですが。

【永井委員長】  事務局お願いします。

【佐々木企画官】  江藤委員、御指摘ありがとうございます。
 資料2-1を御用意ください。まず1点目が世界に発信をしていくに際し、英訳を来年度具体的にどのように進めるのかという御指摘でした。資料2-1の10ページをごらんください。11行目に世界への発信、「日本の歯学教育を世界に広報するために、今改訂版の英文翻訳を、文部科学省の委託事業により進める予定である」と。これは、現時点では、来年度のうちには英訳を完成させる。その際には、まず日本語の方を今回せっかく国家試験出題基準などと合わせたわけですから、是非今の共用試験実施評価機構等で進められている英訳と内容、また用語の使い方も併せて進めたいと思っております。
 2点目は、同じ資料2-1の4ページをごらんください。2行目、3行目で、診療参加型臨床実習実施ガイドラインについて、「早急にガイドラインの合意可能なものを策定することが望ましい」とありますが、これも基本的には少なくとも来年度着手をし、できることなら、来年度のうちに合意を得たいと考えております。
 その際には、先ほど井出委員の質疑の中にもありました56ページからのポートフォリオ、現在4校の事例もありますので、先ほどの新井委員からの、何をどうする、それをどう評価する、それは必ずしもポートフォリオだけでもないだろうという御指摘の観点も踏まえて、ガイドラインの作成、そしてポートフォリオとの関係も、基本的には来年度整理をしたいと考えております。
 以上です。

【永井委員長】  はい。どうぞ。

【江藤委員】  もう1点は、厚労省にお伺いしたいでございますが、今回の歯学コアカリにおいて、国家試験の出題基準との調整が図られました。これは、歯学の卒前教育のシームレスな連続性という意味から、非常に重要なことでございます。
 それから、2016年の3月に出ました、歯科医師国家制度改善検討部会の報告書の中に、臨床実習終了時の態度・技能評価の重要性が指摘されてございます。これを受けて、新年度から臨床実習後、客観的臨床能力試験のトライアルが開始されます。
 これら歯科における卒前教育の改善事項と、それから卒後の臨床研修の到達目標とのシームレスな連続性について、どのような形で今後検討されるのかをお伺いをさせていただきたいと。

【田口歯科保健課長】  ありがとうございます。今、江藤委員から御指摘がありましたように、歯科大学におきます臨床実施を含む教育、卒後の臨床研修、生涯研修といった一貫性のある研修を行うということは、国民の方々に質の高い歯科医療を提供できる歯科医師の養成あるいは確保のためには、非常に重要であろうというふうに考えてございます。
 その中で、御指摘がありました臨床実習終了時の態度、技能評価の部分と、それから臨床研修の到達目標との整合性という部分ございましたけれども、実際にトライアルが行われるということですので、そういった実施状況も踏まえつつ、私ども臨床研修の部会がございますので、そういったところでもし検討できるようであれば、少し考えさせていただきたいというふうに考えています。

【江藤委員】  ありがとうございます。

【永井委員長】  齋藤委員。

【齋藤委員】  縦のつながりについては、各分野とも粛々と進んでいるのではないかと思っておりますが、問題は横のつながりだと思います。例えば、臨床研修の指導医養成講習会に行って、多職種連携のテーマでカリキュラムプランニングをやっていただくと非常にいいものができます。そういう意識を考えてみますと、両省がコアになっていただいて、広い意味での医療人教育に関する連絡調整委員会というような、仮称でございますが、そういったものをお作りいただいて、ちょうど4部門がコアカリを作るといういいチャンスでございますから、そういうふうなことが、今後の将来的な視野としてあってもよろしいのではないかというふうに思います。

【永井委員長】  今の点。

【寺野委員】  いや、別の。またちょっとピント外れなことを言いますけれども、このモデル・コア・カリキュラムを考える場合、我々どうしても臨床医をどう育てるかということで、ほとんど全てがそれにおりてきているわけで。もちろん歯科、薬剤等々も同じかもしれませんけれども。今、教育の中で最大の問題は、基礎教育がどうするかという問題が、これが本当に危機的状況に来ているわけで、恐らくこのまま行ったら日本の基礎教育は崩壊してしまうという状況に来ているし、外国でも何か心配してくれているみたいなんですけれども、そういうところの視点が、少なくとも僕が見たところでは、この中にそれほど出ていないのかな。つまりそういうところへ目を向ける方向性というのが、我々の意識としても足りないのではないかということ。
 ノーベル賞をもらった大隅先生が言っていたみたいに、今のノーベル賞は昔のバブルのときの成果であって、現在、これから10年20年30年経ったときには、悲惨なことになるという。これは僕は当たっていると思いますね。
 だからそういうふうな状況も、これはもちろんカリキュラムだけじゃなくて、日本の研究費がどんどん減ってきているというのは、今ネイチャーにも出ていたぐらいらしんですけれども、そういう要素もあるので一概には言えないんですが、そのことを意識したカリキュラムというのは、今後必要になってくるんじゃないか。
 だから、これから何年か後、5年か7年か知りませんけれども、その先に作られるという段階に至る過程において、さっき新井先生も言われたような、一つ一つの過程を評価しながら行く中で、基礎というものを考えに入れて、意識に入れていただきたいなと思います。
 今回のことでどうこう言うことはございません。

【永井委員長】  いかがでしょうか。齋藤委員。

【齋藤委員】  ありがとうございます。
 実は、私ども、共用試験の臨床実習前のCBTなんかでは、ベーシックサイエンスの問題というのはかなりたくさんございます。結局たくさん抱えてはいるんですけれども、例のWFMEの実習期間の問題でもって、だんだん前倒しになってきて、学年の若いうちにあれをやると。そうすると、臨床教育を早くから始めなきゃならんと。そこでやっぱりベーシックサイエンスの先生方が一様におっしゃっているのは、基礎医学系の学修時間が圧縮されるという問題がございます。それについては、確か2週間ぐらい前の読売の論壇みたいなところで、広島大学のイナイ先生が投稿されていらっしゃいました。
 それと同じことは、やっぱり医学部の教員はみんな一様に考えていらっしゃるのではないかと思っておりますから、私ども共用試験でCBTのベーシックサイエンスの問題というのは、かなり慎重にくみ上げていく必要があると思っています。

【寺野委員】  ありがとうございます。

【永井委員長】  そのほか、御意見、御発言ございませんでしょうか。
 はい、どうぞ。

【内木委員】  内木です。よろしくお願いいたします。
 今回のコアカリ、アウトカムベースの教育を目指し非常によくできていて、同時にこの資料1-1の92ページ以降にガイドラインが正式に添付されたというのが、大きなことだと思います。
 これから我々がコアカリを実際に運用するに当たって、ガイドラインを検討してみて、多くの先生が言及されたポートフォリオ、学修と評価の記録ということに関して、ちょっと問題点といいますか、感想というか意見を申し上げたいと思います。104ページを見ますと、いろいろなガイドライン、診療参加型臨床実習の学修目標、方略、評価というところで、ラーニング・ポートフォリオという項目があります。
 読んでみますと、各段階で必要な実習内容や技能等の実施履歴や評価を記録、蓄積できるシステムを構築し、その後、北村先生が夢とおっしゃった卒業認定や、臨床研修の採用選考時に積極的に活用する。こういうものを構築するというのが、目標として上げられております。
 次のページの説明を見てみますと、10行目ぐらいから、記録は臨床実習の全期間を通して記録する部分と、それから各診療科で実習中に記録する部分等があって、それで、実際の使い方としては、シラバスや臨床実習手帳等に追加したり、あるいは小型で携帯できるもの、あるいは電子版というように提案がなされております。
 このガイドラインの具体的なひな形が例示として載っていると思います。134ページあたりを見ていただきますと、実際の評価表のひな形というのが載っておりまして、この部分に関してなんですけれども、例えば134ページからしばらくの間は133ページに書いてある9つの医師として求められる基本的な資質・能力が、コアカリの項目そのものがチェック項目となって載っております。あるいは、141ページを見ますと、EPAの13項目が記載されております。
 これを実際に臨床教育の場で運用するとすると、これらの項目というのは、ある特定の科を回れば数週間、せいぜい4週間で、そこでもう完結するというものではなくて、72週の間、ずっとこう少しずつ上達、進歩していくものだと思われます。そうしますと、例えば1回自己評価して終わるものではなくて、経時的に自己評価が変化していく、あるいは、それに伴って指導医の評価も上昇していくというようなことが予想されると思うんですけれども、このような経時的に72週全体で評価すべきものというのを、具体的にどう評価していいかということになると、なかなか名案が浮かばないというか、例えば手帳に収まるようなコンパクトなものにしてしまうと、そういうことができない。あるいは、学生と教員との間のインターアクション、総合的に評価が行ったり来たりするという作業がなかなかうまくいかないのではないかと予想されるんですけれども、その辺の運用のノウハウ等に関して、何かモデル的なものがありましたら、教えていただきたいと思います。

【北村委員】  ありがとうございます。まさに悩ましいところであります。おっしゃるとおり、こういう2年間掛けて徐々に積み上げていくものをどう評価するかというのは、非常に難しいと思います。一番簡単なのは、電子媒体で、これを何回も2か月に1回ずつやって、2年間で12枚集まるとか、そういうふうにしてもいいかなとは思います。
 恐縮ですが、今の冊子の95ページを見ていただくと、一応提案はしてあります。それは、2、実習統括分門の整理ということで、多くの大学は今まで各診療科に、言葉は悪いですが、丸投げと。この2週間はそこに任せたという感じでしたが、そうではなくて臨床研修で言えば、研修センターみたいな、臨床実習のための、臨床実習総括部門に専従の教員を配置していただいて、その教員がロングトゥディな部分というか、どの科を回っていてもその1人というか、学生をフォローしていただいて、その学生の今言ったような能力。経時的に2年間掛けて培うものを評価していただくというような仕掛けを考えて、ここに総括部門を設置した場合のミッションを、例えばということで、20ぐらい挙げてあります。
 一番考えたのは、この実習についていけないとか、アンプロフェッショナルな学生の対応とかいうのを各科に任せるわけにいかないので、それを考えましたが、今先生がおっしゃったようなこともこのセンターで扱うべきかと思ってはおります。

【内木委員】  ありがとうございました。

【永井委員長】  よろしいでしょうか。
 ほかに、御発言ございませんでしょうか。
 もし、ございませんでしたら、予定の時間になってまいりました。意見交換はここまでとしたいと思います。
 本日は、常盤高等教育局長にお越しいただいております。一言、お言葉を頂ければと思います。

【常盤高等教育局長】  ありがとうございます。
 モデル・コア・カリキュラム改訂に関する「連絡調整委員会」の取りまとめに当たりまして、永井委員長はじめ、委員の先生方、そしてオブザーバーの、もう御退席になりましたけれども、髙久先生におかれましては、昨年3月から精力的に御審議を頂きまして、本日医学教育と歯学教育のモデル・コア・カリキュラムの3回目の改訂内容を御決定いただいたということでございます。この間の御尽力に対して、感謝を申し上げたいと思います。まことにありがとうございます。
 本日御出席の専門研究委員会の齋藤委員長、前田委員長、さらには、調査研究チームリーダーの北村委員、嶋田委員におかれましては、昨年より改訂内容の原案作成に御尽力を頂いたと承知をしております。また、厚生労働省の医事課、歯科保健課からも多大な御協力を頂いたことに、感謝を申し上げたいと存じます。
 今回の改訂内容につきましては、国際的な公衆衛生や医療制度の変遷を鑑みまして、医学教育については、卒後の臨床研修到達目標との整合、地域包括ケアシステムの教育、腫瘍に関する内容の充実。歯学教育につきましては、診療参加型臨床実習の充実、超高齢化社会への対応、シミュレーション実習。こうした観点を柱といたしまして、その上で多様なニーズへの対応という観点から、医師や歯科医師として求められる基本的な資質・能力、国民から求められる倫理観、医療安全、チーム医療といった、今後の医学教育、歯学教育における非常に重要なテーマに対応いただいたものと認識をしてございます。
 今、各大学において、様々な大学教育の質的充実に向けた取組がなされております。ちょっと横にそれてしまいますけれども、私、今高等教育局長させていただいておりますが、実は20年前に高等教育局に大学課という課がございまして、そこでいろいろ議論をしたことを覚えております。どういう議論をしたかと言いますと、平成3年に大学設置基準の大綱化ということがございまして、従来の一般教育について、一般教育を大学教育全体の124単位の中で、何単位やらなければならない。そして、狭い意味での一般教育36単位、それから外国語教育8単位、保健体育4単位、というような細かい縛りが当時はございましたけれども、それを大学設置基準の大綱化ということで、各大学の自主的、自発的な創意工夫の中で、大学教育の124単位を組み立てていただくというかなり抜本的な規制緩和を行ったわけでございます。
 それが平成3年でございましたが、その後の様々な状況、変化の中で、一方で規制緩和をするのだけれども、他方で大学教育の質的な充実を図るためには、何かもう一歩新しい工夫がいるのではないかというような議論がございまして、その中で是非専門教育の各分野で、124単位を見渡した中で、質的な充実に取り組むためのコア・カリキュラム的なものを御検討いただくと非常によいのではないかというような議論をして、実は、今日御議論いただいた分野だけではなくて、全部で確か5分野だったと思うんですけれども、こういう何か共通理解ができないのだろうかというようなことで、文部科学省の予算を少し財務省から獲得をしてまいりまして、幾つかの分野にお願いをしたということを覚えております。
 その中で、最も真摯に受け止めていただいて、こういうモデル・コア・カリキュラムという形で整備をしていただいたのが、まさに医学、歯学、そして薬学、看護と、今回に至るまでのこの一連の流れの中で、取り組んでいただき、かつ精緻化をしていただき、かつ共用試験とか、CBTであるとか、そういうことも含めて、非常に先進的であり、かつ充実し、かつ議論を重ねるに従ってどんどん高度化をしていただいて、卒後まで見通して、こういう形で進めてきていただいているということだというふうに、私自身としては受け止めておりまして、20年間に及ぶ関係の先生方の御尽力に本当に感謝を申し上げたいと思っております。
 こうした中で、今回こういうモデル・コア・カリキュラムをさらに発展をさせていただいているわけでございます。これを是非、私どもといたしましては、本当にいい指針を示していただいておりますので、先生方の分野の進展はもとよりでございますけれども、全体としての大学教育のいい事例として、参考にしていただくようなことも考えていきたいというふうに思っているところでございます。
 ちょっと余計な駄弁を弄しましたけれども、委員の先生方におかれましては、これで1つの区切りを付けていただいているわけでございますが、引き続き御協力を頂き、御指導御鞭撻を賜りたいということを申し上げて、この会を締めるに当たっての文部科学省のサイドからの御挨拶とさせていただきたいと思います。
 まことにありがとうございます。

【永井委員長】  ありがとうございました。
 それでは、本日の委員会は、これで終了いたします。どうもありがとうございました。


―― 了 ――

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