資料2 歯学教育モデル・コア・カリキュラム改訂に向けた検討状況【調査研究チーム(歯学教育)】

2010年11月16日

歯学教育モデル・コア・カリキュラム改訂に向けた検討状況

調査研究チーム(歯学教育)
チームリーダー 荒木孝二 

 

1.第3回専門研究委員会(9月30日)以降の進行状況

1)平成22年10月13日、第3回調査研究チーム(歯学教育)を開催。

2)共用試験実施評価機構CBT委員、OSCE委員からの歯学教育モデル・コア・カリキュラム改訂に向けた意見調査の結果を集計。その結果も踏まえ改訂内容を検討。

3) 全国29歯科大学・大学歯学部、日本歯科医学会専門分科会・認定分科会へ歯学教育モデル・コア・カリキュラム改訂に向けた意見調査を依頼し、集計中。

4)在宅関連、チーム医療関連の教育内容について、積極的に取り組んでいる大学の資料収集と専門領域の先生からの意見聴取を実施。

2.歯学教育モデル・コア・カリキュラム改訂に向けた検討状況(概要) 

1)歯科医師として必要な臨床能力の確保(臨床実習の系統的・体系的な充実)

【資料2-1:調査チーム委員からの提言】

2)優れた歯科医師を養成する体系的な歯学教育の実施(医学・医療との連携を含む)

【資料2-2:「在宅関連」に関する専門家からの意見】

3)未来の歯科医療を拓く研究者の養成

  • 学部教育のあらゆる機会を通じて、研究マインドの育成に努めるべきであることを前文に明示すべきではないか。
  • 研究マインドの育成のための実践例(研究室配属等)をコアカリ本体の別添資料とすべきではないか。

4)その他(様々な社会的ニーズへの対応など)

  • 医療安全、医療倫理、チーム医療、児童虐待防止など

 

【資料2-1】臨床系科目 コアカリ改訂の方針案 

・総量を増やすことには反対

 「総量を規制した中で、改定を行わなければならない」ということで意見はほぼ一致している。

・臨床系科目間の温度差. 

 科目間での記載内容にレベル差があり(特にSBOのレベル),それを統一する作業が必要である。一部では科目間で重複内容の理解や用語の統一なども図る必要がある。

・臨床実習の項目立て

 医学教育のコアカリのように臨床実習の項目立てを行い、現在知識、技能、態度が一緒にな っている到達目標から技能に関する一般目標、到達目標を切り離すことが必要ではないかと いう意見があり、検討に値すると思われる。

 臨床実習は各大学とも独立して教育が行われていることからすると、その一般目標、到達目標がコアカリに記載されているのが自然であると思われる.

・臨床実習の水準の見直しが必要.

 例示としながらも水準を明確にしたことは多くの方が評価している。しかしながら,「診療参加型jの定義があいまいで,各大学で見解が異なっており、そのことが水準の評価に多大なばらつきをちたらしている。

・内科的知識をもった歯科医師の養成

  医学教育,特に内科学をもっと取り入れ、全身状態の把握できる歯科医師,全身からロ腔を診ることのできる歯科医師を養成する必要があり,それに応じてモデルコアカリを改変する必要があるとする意見は数多くみられる.

・社会的ニーズの変化に対する対応

 新しいがしかし重要な学問分野(インプラント歯科学、摂食嚥下リハビリテーション,スポーツ歯学など)や、社会構造の変化により重要視されるようになった学問分野(医療安全,チーム医療,在宅医療など)をコアカリにも取り入れ、社会のニーズに応えることが必要であるとする意見が複数みられる。

 

臨床実習の項目案

臨床実習

1.診療の基本.

  良好な患者一歯科医師関係を築くとともに、患者の情報を聴取し、診断をして治療計画を立てるための知識、技能および態度を身につける.

1)医療面接

到達目標

1医療面接における基本的なコミニュケーシヨンができる。

2患者の病歴(主訴、現病歴、既往歴、家族歴)を聴取できる

3患者の身体的・・精神的・社会的苦痛に配慮し問題点を抽出、整理できる。

4患者の不安、不満や表情。行動の変化に適切に対応できる。

5診療録に得られた情報をPOMR形式で記載できる。

6患者のプライバシーに配慮できる。

7患者に診断結果と治療方針を説明できる。

8必要に応じて他科への対診ができる.

 

2.診察の基本

一般目標

 口腔・顎顔面領域の基本的な診察技能についての知識、技能および態度を身につける。

1)回腔内診査

到達目標

2)バイタルサイン

到達目標

3)頭頚部の診察

到逮目標

 

3.画像検査

一般目標

診断に必要な画像検査の選択ができ、放射線の人体に対する影響と放射線防護について理解し、実践できる。

到達目標

1放射線検査の必要性について説明

2ロ内法エックス線撮影

 

4.予防・治療の基本

一般目標

口腔疾患の予防についての知識及び技能を身につける

到達目標

1ブラッシング指導

2保護者へのブラッシング指導

3予防填塞

4フッ化物塗布

 

5.救急処置

一般目標

歯科診療を安全に行うために、必要な救急処置に関する知識および技能を身につける。

到達目標

心肺蘇生

 

6.臨床技能

1)保存系実習(歯と歯周疾患(保存修復、歯内治療、.歯周疾患)

一般日標

患者さんを受け持ち、保存系疾患の病態、診断、治療および予後についての知識および技能を身につける。

 (1)う蝕治療

  1レジン充墳                         、

 (2)歯内治療

  1ラバーダム防湿、根管治療

 (3)歯周疾患

  1歯周病の説明

  2スケールリング・SRP

2)補綴系琴習

一般目標

患者さんを受け持ち、歯質欠損に対する歯冠修復と歯列の一部欠損あるいは全部欠損に対するる修復の診断、治療および予後についての知識及び技能を身につける。

到達目標

1補綴物の説明、

2概形印象

3歯冠修復

4テンポラリークラウンの作成

3)口腔外科系・歯科麻酔科系実習         

患者さんを受け持ち、口腔外科系疾患の病態、症候、診断および治療についての知識及び技能を身につける。

到達目標 

1 手洗いと滅菌手袋着用

2 浸溜麻酔

3 単純抜歯

4 縫合

5 埋伏智歯の説明?

4)小児・青成系実習

患者さんを受け持ち小児の歯科疾患、病態、診断、治療および不正咬合の病態、診断および治療についての知識および技能を身に付ける。

到達目標

1 治療方針の説明

2 矯正装置め説明

3 小児の歯科疾患の簡単な症例を処置できる。

 

7.地域医療

歯科診療を適切に行うために、地域医療、病診連携、医療連携についての知識、態度および技能を身につける。

お問合せ先

高等教育局医学教育課

企画係
電話番号:03-5253-4111(内線2509)