資料3 これまでの「連絡調整委員会」及び「専門研究委員会(医学・歯学)」における主な意見(案)

これまでの「連絡調整委員会」(第1回・第2回)及び
「専門研究委員会(医学・歯学)」(第1回~第3回)における主な意見(案)
<ワークショップ(グループ別全体報告会の総合討論・講評)における関連意見を含む>

 

平成22年11月15日

1.モデル・コア・カリキュラムの基本理念

○ モデル・コア・カリキュラムの位置付け・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

2.今回の改訂に係る検討内容

○ 臨床実習の系統的・体系的な充実・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2

○ 地域医療・研究マインドの涵養・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

○ 地域医療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

○ 研究マインドの涵養・研究者の養成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4

○ 医学と歯学等の連携・チーム医療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4

○ 在宅医療(高齢社会への対応)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5

○ 心の教育等(プロフェッショナリズムの取扱いなど)・・・・・・・・・・・・・・・6

○ 準備教育の取扱い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8

○ 医療安全・薬害関係・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8

○ 男女共同参画・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8

3.今回の改訂に際しての留意点

○ 量的過剰状態への対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9

○ 卒前・卒後の一貫性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9

○ 用語の取扱い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10

○ 周知等の工夫・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10

4.今回の改訂後の対応

○ 評価システムの在り方(ポートフォリオなど)・・・・・・・・・・・・・・・・・11

○ 共用試験の取扱いなど・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12

 

1.モデル・コア・カリキュラムの基本理念  

<モデル・コア・カリキュラムの位置付け>

○ 統合的なモデル・コア・カリキュラムは、基礎・臨床融合的、学問分野横断的という面でシームレスな形をとるので理念的には美しいが、実際の教育現場では、オロジー派と統合派でいろいろと賛否の議論があるので、今回の見直しで調整することが必要ではないか。

○ モデル・コア・カリキュラムはコアを示すのが目的であって、どういう方法をとるかは、各大学の方法論で実施すればいいのではないか。

○ 歯科では、できる限りオロジーより統合の方が良いといった意見が多いが、オロジーの考え方は特に基礎系の先生に多いので、その辺の意見を聞くことも必要。

○ コアカリは最初に学体系で原案を作ったが膨大になり、コア・カリキュラムにならないということで約1,400項目に圧縮。その程度に濃淡があり、もう少し簡単にすべきという課題もあるが、現行のコアカリは、前文にも書いてあるが、統合型として提示し、各大学の授業科目や授業の順序を意味するものでなく、各大学の判断で実施すればよく、学習指導要領のように授業科目として設定すべきものでないことを改めて周知することは必要。

○ 目標だけ提示し、教育や評価の方法をきちんと提示しなくて、カリキュラムと言えるかといった意見もある。教える順番は大事だと思うが、現行のコアカリは、そういうことを何ら規定しておらず、記載された何百個の項目を卒業までにとりあえずチェックすれば良いといった形になっている。それをカリキュラムと言っていいのかといった原理的な批判もあるので、歯科と医科できちんと合わせられればとも思うが、なかなか大変ではないか。

<ワークショップの総合討論・講評における関連意見>

○ コア・カリの各項目の到達度明示は、項目によって可能な場合とそうでない場合があるが、ある程度可能なものは明示が必要ではないか。

○ 自治医大では最初に統合科目でやったとき、基礎の先生からオロジーを教えられなくなるという疑問が出たので、総論はオロジーで、各論は統合という形を取った。

 

2.今回の改訂に係る検討内容

<臨床実習の系統的・体系的な充実>

○ 電子カルテについて、学生がアクセスできる範囲はレポートを書く担当患者さんだけか、回った診療科のカルテは指導医の許可のもとに全てアクセスできるのか。患者さんから興味本位に見られたのではと訴えられるトラブルも想定され、アクセス記録は医療情報部門で打ち出せば、学生や指導医が何を見たか、履歴はすべて明らかになる。臨床実習を強化していくとき、何らかのトラブルが起きる可能性もあるので、深刻に検討すべき。

○ カルテについては、電子カルテの方が流出することが多くても、紙媒体の頃から当然あった問題であり、個人情報保護に対する担保をより一層強化していけば良いのではないか。

○ 臨床実習で侵襲的な医行為をどこまで許容するかは、国民の目との関係を配慮すべき。許容範囲は広げた方がいいが、社会的、法律的なサポートが必要であり、今後の重要な問題。

○ 歯科では、ほとんど侵襲性のある治療行為になる可能性が高く、侵襲性のある程度高いものが現行のコアカリでは水準1として、学生自らが行うべきとなっているが、患者さんの理解がなかなか得られない。また、違法性の阻却がかなり問題になってくる。一定の条件が整っていれば大丈夫と報告されているが、全国の歯科大学のコンセンサスがなかなか得られず、学生のうちから侵襲性のある治療行為を行わせることができない状況で、歯科の場合、基本的に全部見学となり、臨床技能の教育にならないのが一番の悩み。

○ 実際に身につく知識というのは、経験しないと獲得できない。いろいろな社会的事情はあるが、シミュレーション教育を入門的に行った段階で患者さんに接するようにするなど、学び方もいろいろ工夫されてきているので、臨床実習を推進する、学生が参加するという方向で、国民への訴えかけも含めて進めていく方向で検討すべき。

<ワークショップの総合討論・講評における関連意見>

○ 基本的診療能力の確実な習得には、準備教育段階、プレメディカル、入門段階、プレクリニカル、臨床実習という形の継続的な取り組みが必要。クリニカルクラークシップとしての臨床実習が一番肝ではないか。

○ 技術的な問題だけでなく、例えば公衆衛生学的な視点を持って地域で生活している患者さんをケアするといった、マネージメント能力をもう少し考えていかなければいけない。実際に患者さんを支援していくときの能力も基本的診療能力の中に入っていくことを少し強調したい。

○ (基礎・臨床融合型の)統合教育に関して、コーディネーターのリーダーシップが大事。医学では教育専任の教員、教授のポストがほぼ全ての大学に配置されているが、歯学では、ほとんどできていない状態。そういったことも統合教育の推進に影を落としているのではないか。

○ 学生が自分の到達目標が非常に見えにくいというのは、統合講義のデメリットであり、歯科のグループの中には統合講義をすべて廃止したという大学もあった。基礎と臨床が有機的につながっていくという観点からの統合講義のあり方を少し考えないといけない。

○ 臨床実習に関しては、結局のところ、卒業時の診療能力の到達目標をどう設定するか。初期研修との整合性、その間の国家試験、それでいろいろと悩んでいる大学もあるようだが、そこら辺の設定の仕方は、各大学の取り組みではちょっと届かないところがあるのではないか。

○ 現行のコアカリは、策定した頃から、臨床実習のところが最大の課題。卒業時のことがやや空白になっており、重複部分もあるので、今後、その辺を詰めていく必要がある。

○ 大学によってスキルスラボの利用度に非常に差があるのも事実。医学教育学会などで、スキルスラボの責任者の集まりをもって、利用方法などに関するシンポジウムのようなものを開いて、ある程度統一化しないと非常に勿体ない。

○ プライマリーケアの教育というのは、基本的には一次機能病院や二次機能病院でトレーニングを受けないとできない。必要なことは、診療所や二次機能病院の指導医に対するFD。また、統一的なカリキュラムを作って、それに従って教育してもらうことが必要。

○ 将来的には、臨床実習は限りなく現在の初期研修に近いレベルや内容に持っていくのが理想。今の医行為の範囲内でも、問診や診察手技により、臨床実習のレベルをより高くしていくことが重要。その上で、各大学で大学病院は学生を教育する施設であるというメッセージが患者さんに伝わるよう、全国的・組織的に医学教育学会などで、社会にキャンペーンすることが非常に重要。

○ 臨床実習に係る患者さんや家族への協力の働きかけについては、診療科、大学病院全体、地域全体、厚労省、文科省という形で働きかけていくことが、患者さん、家族の方にも理解されるのではないか。実際に学生がついたほうが患者さんは満足されるので、そういうことをほんとうに働きかけていくことが大事。

○ 電子カルテについては、担当患者さんだけにアクセスが許されるのか、広く指導医の許可のもとにアクセスが許可されるのか、少しあいまいになっているのではないか。指導医の許可のもと、できるだけ広く勉強することが非常に重要。実際に病棟のカンファレンスなどでは、学生の前にすべての回っている診療科の患者さんのカルテがスライドでプレゼンテーションされるので、そこら辺の現実との整合性も含め、電子カルテについては早急にいろいろなことを全国的に統一化していかなければいけない。

○ 電子カルテについては、できればうまく工夫して学生専用の電子カルテを作って、それを教員がチェックするといったシステムを作れば、少し負担は増えるが良いのではないか。

<地域医療・研究マインドの涵養>

○ 「地域の医療を担う意欲・使命感の向上」、「研究マインドの涵養」については、コアカリの各項目で整理するのは難しい。コアカリの前文にある「臨床前医学教育の内容とその在り方」といった大きな枠の中で、地域医療を担う意欲を向上させる診療所の実習、研究マインドは基礎配属とか自主研修といった事例を具体的に触れる。コアカリ本体の事項としては馴染みが薄いし、コアカリなので基本的なものに限っていくべき。

○ 地域医療、研究マインドに関して、コアカリ本体に書き込むのは非常に難しいので、具体的に参考となる事例を挙げていくことが一つの方法。多くの大学で実施しているので、全国共通に参考になる事例を挙げていく方法もあるのではないか。

<地域医療>

○ 地域医療は、「F 医学・医療と社会」と「G 臨床実習」にあるが、その記載は「保健・医療・福祉・介護」と「医療・保健・福祉・介護」となっているので整合させるべき。地域医療ということで医療が最初なので「医療・保健・福祉・介護」にした方が良いのでは。

○ 保健も学生は当然勉強すべきだが、普通は「保健・医療」。保健は予防的な事で、それから医療があって、その後、介護、福祉となるので、常識的には保健の次に医療ではないか。

<ワークショップの総合討論・講評における関連意見>

○ 地域医療を担う意欲・使命感の持たせ方については、学習方略が未知なところが多い。いろいろと工夫されている大学もあるが、地域によって自治体の姿勢、地域病院の姿勢・意識が違うので、成功例などを参考にしつつ、各大学でバラエティーに富んだ方法を考えることが必要。

○ 地域医療に関しては、国民が求めている医療ニーズを学生が知るチャンスが必要。大学や大学附属病院の中だけで教育をしていった場合、学生たちが実際に地域の人や市民がどういう医療ニーズを求めている、あるいは、どういった医療があるかも知らないで、プライマリーケアや地域医療を考えるように言っても無理。学生が実際の医療ニーズに触れる感覚というのは極めて重要。

○ 地域枠に関しては、県によっても地域枠の縛りというか、待遇もいろいろあるが、段々と女子学生が増えてくると地域に残る確率が増えてくると思われる。そういう意味では、地域枠の学生、少なくとも県に残る学生の割合は高くなってくるのではないか。

○ 大学附属病院が臨床実習の中心ではあるが、コミュニティーでの実習で得られるものは大学病院とは違う。コミュニティーを含めた臨床実習の場について、学生が得るアウトカムとともに考えるべき。

○ 海外当地での地域実習は大いにやるべき。日本の場合、留学生の行える医行為は制限されているが、アメリカだとチーフレジデントとレジデントが学生と一緒になってディスカッションするが、日本は少ない。最近は学生が症例についての臨床推論に参加できていないケースもあり大きな問題。僻地の診療だと、ドクターと患者さんとの間は非常に密接であり、地域にある、なるべくドクターの少ない診療所などに行けば、ドクターの指導を受けながら、かなり実質的なことができるのではないか。

<研究マインドの涵養・研究者の養成>

○ 医科では関連施設も多く、若い研究者を研究施設や関連病院に置いておけるが、歯科の場合、クリニックを開業してしまうことが多く、いったん開業するとなかなか大学へ戻ってこない。医学と歯学では研究者の母集団がかなり違う。歯科としては、その辺が課題。

○ 研究マインドは「A 基本事項」「4 課題探求・解決と学習の在り方」にほぼ相当するが、「(1)課題探求・解決能力」の一般目標のところに「能力を身につけ、研究マインドを涵養する。」と一言加えれば、キーワードは入るのではないか。

○ 研究マインドは「A 基本事項」の「4 課題探求・解決と学習の在り方」で対応しているが、ほとんど認識されていない。1年次から卒業時までに教育しなければならないものと位置付けており、冒頭の「医師として求められる基本的な資質」にも医学研究の記載があり、臨床実習中でも研究マインドの涵養は必要。

○ ドイツでは国家試験もあるが、それ以外に例えばテーシスを提出する制度がある。研究マインドの涵養に向けては、そうした取組を見習い、日本でも、研究したい学生を基礎配属させ、研究論文を出させ、それを評価することが有用ではないか。

○ 基礎配属は、コアカリ本体に入れるというより、各大学の選択制に任せるものではないか。

○ リサーチマインドの涵養に当たり、単に基礎配属云々より、成果として蓄積し、目に見える形にすることが必要。論文を書かせるのは、かなり大事な視点。基礎に限らず、臨床も含めてリサーチの根底。選択制カリキュラムの中でうまく使っていけばいいのではないか。

<ワークショップの総合討論・講評における関連意見>

○ 研究マインドに関しては、入り口をつくることが非常に大事。全員必修はなかなか難しいが、そこを用意しておけば、学校によってはモチベーションを維持できると思うので、各大学において、意欲のある学生は行けるといった工夫をしてもらうのがいいのではないか。

○ 卒後に研究という志がある者も、歯科の場合は卒後研修が1年で終わり、大学にポストがないと開業医として就職し、全くアカデミックな環境から離れてしまうのがほとんど。入り口も大事だが、何とか大学の周辺に、研究マインドのある人を引きとめておく仕組みが必要ではないか。

○ 基礎医学者養成に関して、昔は基礎医学の教室に一定数の学生が入ったが、最近、ゼロになってきている。その原因は基礎医学自体にあるのではといったことを大学自体で考えていかないとならないのではないか。基礎医学でも夢があることを大学の中で表現することの方がもっと重要。昔のよき道筋はどこへ行ってしまったのかについて、少し考えた方がいいのではないか。

○ 慶応大学の取組(4年次に1学期間の研究室配属)、東京大学の取組(MD研究者養成プログラム)にしても、どういう結果になるか、今後、フォローアップすることが必要ではないか。

○ PhDの教員が増えていることは確かだが、PhDの研究者でも、糖尿病や高血圧といった病気に関連した基礎的な研究者もいるので、そういった人を優先的にリクルートすると、PhDの先生が立派に医学部生に必要な教育をしてもらえるのではないか。

<医学と歯学等の連携・チーム医療>

○ 長寿社会に伴い、国民の健康への関心が高まり、全人的に医療を診るという意味でも、医学と歯学の連携の必要性が指摘。特に歯学では、全身に及ぼす影響という面がクローズアップされ、患者のQOLの面でも大切。今回、少なくとも全人的な、全身を診るという意味での歯学、医学の共有する領域をバックグラウンドに据えるという点を共通の認識にすべき。

○ 病院横断的、地域横断的なチームとして、医師と歯科医師を中心として医療スタッフが機能分担、協働しながら連携するのがチーム医療。そのリーダーは、少なくとも医師だと思うが、現場という意味でチーム医療の専門家がいないのならば、医学と歯学のある大学で最初に院内横断的なチーム医療を進めてもらうべき。チーム医療と在宅高齢歯科医療をコアカリの中にもう少し濃厚にすべきだが、チーム医療は、ぜひ大学に頑張って欲しい。

○ 大学として、医学部と歯学部の連携による取組を積極的にやっている事例は、ほとんどないというのが現実。歯学部附属病院は診療が主なので、歯科が医科と協力して在宅で何かやるとか、そういった経験はほとんどない。東京医科歯科大でも、医科と歯科がもう少し融合したカリキュラムをつくる努力をし、学生のうちからチーム医療を経験させようとしているが、それをオープンにして他大学の参考にしてもらい、モデルになると一番良いのでは。

○ チーム医療は、インター・プロフェッショナル・エデュケーションということで、いろいろな看護師等を含んだ教育という環境が考えられているので、そうしたことを盛り込んでいくべきではないか。

○ 歯周病については、共用試験の耳鼻咽喉・口腔系にも入っていないが、かなり現実的な話なので、今後、具体的に検討していけばいいのではないか。

○ 高齢者人口の増加に伴い、全身疾患のある患者の歯科治療が非常に大きな問題。既に歯学の中には隣接医学として医学の科目はあるが、不十分という声がかなり大きいので、今回の改訂においては、歯学教育における医学教育の見直しを図るべき。

○ 医科と歯科の連携方策が新たな視点として不十分。医科と歯科の連携がもう少し見えるように、医科・歯科のベースにできるような領域を検討していくべきではないか。

○ 医学の中でも、口腔等の関わりがあるが、その内容はもう少し検討すべきかもしれない。逆に歯学の方へも医学の内容を取り入れていくという形になるのではないか。

○ 歯科では全身疾患への関心がかなり高まっているが、医科に関しては、歯科に対しての関心が薄いのではないか。そこをもう少し高めるような方向で検討すべき。

○ 医科・歯科が連携して、一緒になって検討するようなことがあってもいいのではないか。

○ 口腔疾患の全身への影響は、必要に応じて必要なものを取り上げる形で検討すべき。

○ 医科と歯科の連携は、歯科との連携だけでなく、もっといろいろな医療関係の職種との共通カリキュラムという形でとらえていくべき。講義などではなく、いかに実践的にやるかについては、地域医療などに、ある程度重点をおけば、在宅医療は歯科と医科が連携してやっている最前線なので、そのような方法が一つの組み込み例になるのではないか。

○ 歯学では、従来、隣接医学という形で、内科学、外科学等の教育をしていたが、文字どおり隣接しているだけで、歯学の中になかなか入り込めなかったのが現状。歯学生も外科、内科学を聞いても、興味を持っていかないことも問題。歯学生に必要な内科学、医学についての趣旨がわかる内容のコアカリでないと、元の隣接医学に戻ってしまうのではないか。

<在宅医療(高齢社会への対応)>

○ 歯学で大切なのは、社会の環境変化と社会ニーズに合わせること。高齢社会になったことで、高齢歯科医療、特に在宅診療については、是非もう少し濃く進めていくべき。

○ 歯学の現行コアカリ上、高齢者歯科医療は非常に薄い。在宅医療について、学生に知識だけでなく、実践も経験させる取組を行っている大学も、地方大学を中心にあるが、コアカリに書いてないと、やらなくてもいい、教えなくていい、薄くていいといった考えを持つ者もいるので、是非ここは今回の改訂ではかなり強く入れるべき。

<ワークショップの総合討論・講評における関連意見>

○ 超高齢社会での歯科医療は、時間数等がまだ少ない。講義だけでも増やしていかないといけない。実際は現場が大事。現場での臨床教育なり医療をどうやっていくかが非常に重要。医と歯と両方の面で、そういった気持ちを少し高めていくこと、特に現場の教育が必要。

○ 全身疾患を持った患者の口腔治療といった、医学領域の歯学領域への導入、歯学教育における医学教育を見直さないといけないところが、今回のコアカリ改訂の非常に大きな問題。

○ 全身がわかる歯科医師という視点で、コアカリには内科系授業科目がちりばめられている。それを少し整理統合した形で、歯学でも、内科学総論なり、しっかりした形で医学も教えるべき。

○ 歯学における内科、医学における口腔の取扱い、これらはコアカリにあまりきちんと位置付けられていない。内科の件は、医学部も時間がなく過密という状況もわかるが、医学部から歯学部に対して、出張というか、サポート体制をつくることが大事。

○ 学生が実習で登院した時、全身管理というのは侵襲的な歯科治療を行うときの全身的な医療安全であり、その対象は大体が有病者、高齢者、障害者。その安全性となると、モニターを使って逐次監視となる。もともと口腔外科、歯科麻酔、障害者歯科、高齢者歯科、口腔顔面の痛み外来といったところは、医学的な手法が歯科医療の中に持ち込まれている。今後の高齢者医療では、歯科医師に必要な医学的なことについて、臨床に医科のサポートを得ていかないと身についたものにはならない。最近、全身状態を勘案した一口腔単位の治療といった概念で実施となっている。

○ 医科と歯科の連携については、コーディネーターというのが非常に重要。また、連携の例となる歯周病と一番関係するのは神経・血管障害。もしコアカリに入ってなければ、是非入れるべき。

<心の教育等(プロフェッショナリズムの取扱いなど)>

○ 現行のコアカリは、後で試験できることを挙げているが、評価できることでなく、医者、医療人としての根本的な、いわばプロフェッショナリズム、「医師として求められる基本的な資質」の部分がコアカリ本体に入っていない。そのため、これをガイドに教えると一番根本的なことが抜けてしまい、試験できるような、表層的なことに教育が行ってしまう。試験できないこと、試験しにくいことでも、人間、医療人としての根本を必ず教えるということは必要で、場合によっては、コアカリに記載してもいいのではないか。

○ コアカリの策定当初から、内容の全部が試験に出せるものでなく、一部には、非常に大事で理解や学修が必須だが、技能試験や選択式試験で評価できない領域もある。

○ 医学のコアカリの基本事項Aは極めて重要なことで、必ず教えなければならない。

○ プロフェッショナリズムについては、伝え方が大事。チーム医療にしても、講義だけでなく一同に介して議論するとか、最近はIPE(インター・プロフェッショナル・エデュケーション)といった、様々な職種に携わろうという学生が一同に集まって、情報共有、ケーススタディーをする。そうしたことにどのように踏み込んでいくかを各大学で考えていくことが必要ではないか。

○ カリキュラムを考えるとき「形」と「心」という二側面がある。「形」を変えても「心」を入れないと駄目で、地域医療でも、姿勢、意欲、使命感をどう育むかという「心」の問題がある。リサーチ・マインドであれば教室配属、臨床マインドであれば臨床実習の強化など、「形」を整えることも非常に重要だが、教授自身の意識改革など「形」でないところの意識改革も必要。マインド、メンタリティ、プロフェッショナリズムなどと言われるものについて、どのように「形」と「心」を調和させてカリキュラムを立てていけば良いのかは重要。

○ 心を入れていくというのは非常に難しく、コアカリに「心を入れていく」と記載しても心は入らず、心が入っていくような方策を幾つかとっていくことが1つの手法ではないか。

○ 一番問題なのは、現場で教育する指導者の気持ち。マインドの育成には、各大学が全体として心を入れながら教育していかないと無理。各研究室に配属し、日夜真剣に研究している先生方の姿を見て、学生がそれを心で感じるものがあって自ら変わっていくとか、師の背中を見て育つといったこともあるが、今の若い人達は教員側がもう少し気持ちを強く伝えないと、なかなか答えてくれないというのが現状。何とかうまく実現できる方法を考えなければいけない。

○ 医の心、プロフェッショナリズムの教育は極めて大事だが、カリキュラムに書き切れるかどうかは冷静に考えるべき。カリキュラムに落とし込むと、評価、到達目標に達したかどうかを考えるような内容になってしまう。良い心になったかをどうやって判断するか。評価すらできないことをカリキュラムに書くと、かえってカリキュラムが空文化してしまう。コアカリでは、そういったことを前文にきちんと記載すべきで、何々ができるとかと本体には書き切れないのではないか。心の教育が一番大事なことは世界的に論をまたないが、カリキュラムというか到達目標にできるかは、別途検討が必要。

○ どのようにカリキュラムに書くかというテクニカルな問題はあるが、プロフェッショナリズムという心の問題は、技術とか知識に走り過ぎというところで出てきているテーマでもあり、今回の1つの大きなテーマに据えることが必要。

○ プロフェッショナリズムについて、医学では掲げる目標が既に示されているが、もう少し洗練されたものにすべき。歯学も同じようなつくりなので、十分かどうかの検討が必要。

<ワークショップの総合討論・講評における関連意見>

○ プロセスで手技的なことやあいさつのことを学び、コンテンツで特に知識を習得、マインドでメンタリティとかプロフェッショナリズムを涵養するということで、この3つは非常に重要。特に病棟実習や研究室の基礎配属において、働いている臨床医や研究者の姿を見ることで、将来頑張ろうという気持ちが出てくる。そういった、人から入っていく教育が今の学生には必要。

○ 筆記試験はわりといいが、口頭試問はちょっと不得手、筆記試験でもマルチプルチョイスは強いけれども、筆記問題になると弱くなる、復習をすることが少なくなるとか、そういったことにも配慮した、良い意味での企画型の教育というのが求められているのではないか。

<準備教育の取扱い>

○ 準備教育コアカリは、基礎医学系、基礎歯学系、即ち生命科学系とのバランスが課題。コアカリの基礎部分には「準備教育モデル・コア・カリキュラム参照」とあるが、6年一貫の医学・歯学部の教育体系において、教養的なものをどのように有機的に盛り込んでいくか、洗練されたものにしていくことが必要。最近、アメリカの医科大学協議会が、フューチャーフィジシャンのためのサイエンティフックファウンデーションに関する提言をしているが、そうしたものを参考にして、コアカリの基礎部分について、もう少し洗練されたものにしていく必要があるのではないか。

<医療安全・薬害関係>

○ 19年改訂時に基本事項Aの「医療の安全性」に薬害や医療過誤を加え、共用試験CBTを介して出題していく方向を検討しており、出題すると学生に直接内容が提示される。共用試験では基本事項Aを一番大事な位置付けにしており、十分に周知できるように努めていくことが必要。

○ 本当に薬害の被害者の思いが伝わらない面もあるので、できるだけ被害者の人たちの中でも生の声を一度聞くような機会も持ってもらい、いろいろな意味で被害の背景とか、そうしたものを知ってもらう形の医学教育なども是非検討すべき。

○ 医療安全やチーム医療は、どう具体化するか難しいが、共用試験では基本的にコアカリに記載されたものは出題していく方向にあり、そうすることで、より現実的に学生や先生方へメッセージが伝わる。

○ 医療安全について試験問題として出題すると、各大学の教育に反映される。自分で考えられるような問題をCBTでは今年ようやく出題したが、OSCEでも患者確認や基本事項に関しては優先してやっているので、各大学にうまくフィードバックされることを期待。

<男女共同参画>

○ 男女共同参画について、前回(H17~18年度)の協力者会議では、女性医師の増加は社会的にかなり大きな戦力になってきているので、出産・育児を終わった後、仕事へ復帰してもらうにはどうしたらいいかを議論した。コアカリには直接盛り込まれていないが、最終報告(H19.3)には、関連した議論の結果がまとめて入っている。夜勤のこととか、セミナーを医局の中で遅くやるとか議論されたが、夜間などでは参加できない者もいて、そういうところは全体として、各大学が策定する特定事業主の行動計画できちんとやらなければいけないことになっているので、そこで対応していただくことが必要。

○ 出産育児を終わって復帰するという表現は、医師の世界ではほとんどない。育児を終わってという長期間の休みがあってはいけない、出産は女性しかできないが育児は男性の問題でもあることについて、これからの社会、医師だけでなく、社会全体が女性の労働力を必要としている中で、医学教育の中でも是非とも再認識させるべき。

<ワークショップの総合討論・講評における関連意見>

○ 社会的ニーズはどんどん変化していくもの。医療安全、医療倫理、チーム医療、男女共同参画以外にも、例えばディスアビリティーを持っている人も働けるという形も、そのうち出てくる課題。もっといろいろ変化していくので、医者が医療者として働いていく環境を作っていかないとならないが、そういった点にも視点が行くと良いのではないか。

○ 例えば国立大学だと、医学と歯学で、ほとんどの病院が統合なり、研究科が一緒になっているが、医療安全、医療倫理、その他の社会的ニーズへの対応は、おそらく医学部と歯学部が一緒に取り組んでいるところが多い。歯学の単科となると随分意識が違うので、社会的ニーズへの対応の仕方をそろえることは、設置形態によって重要になってくる。

○ 日本のドクターは、コストパフォーマンスとか、コストエフェクティブネスということをほとんど考えていないといった指摘がある。こうした医療学というものについて、もう少し教える必要があるのではないか。

 

3.今回の改訂に際しての留意点

 <量的過剰状態への対応>

○ 現行のコアカリは、いわばチェック項目ということでは、既に十分揃っているのではないか。メソッドのようなところで、ヒアリングでの意見(薬害やチーム医療、薬剤など)のようなことをもう少し具体化し、膨らませていくという方向で考えてはどうか。

○ 現行のコアカリは、ぎりぎりいっぱいでカバーしており、内容を増やすことは難しい。必要なことは加えるべきだが、既に基本的なことはほとんど網羅されているのではないか。

○ 学生生活がかなり忙しいと言われる中、項目追加を無制限にできることはなく、スクラップ・アンド・ビルド念頭に置くべき。現場の大学にあまり膨大なものを押しつけ、教えられないということでは、コアカリのコアという言葉が泣いてしまうのではないか。その辺はバランスのある議論をしながら、取捨選択していくことが必要。

○ 現行のコアカリは、情報的に非常に多い。医学領域ではヨーロッパの統合を目指したチューニング・プロジェクトがあるが、日本のコアカリに相当する領域は、卒業したときに身につけるべきコンピテンシーということで表現され、非常にすっきりしている。今回のコアカリ改訂では、要望を1つずつ加えていくと、マキシマムのカリキュラムになってしまうおそれがある。エッセンスをきちんとまとめて、時代に対応した洗練されたものにしていくのが原則ではないか。

○ 項目としては、現行のコアカリにかなり盛り込まれていて、何をどういうふうに伝えるかという部分が重要。項目の列挙はもう十分で、ヒアリングの内容も、文言はともかくとして、かなり盛り込まれているのではないか。

<卒前・卒後の一貫性>

○ 卒前医学教育と医師国家試験との整合性への疑義、医師国家試験で重視されているウエートとコアカリで強調されている内容とに少しディスクレパンシーがあるのではといった現場の声がある。コアカリの項目とCBTや医師国家試験との整合性が十分であるかについて検証し、コアカリの見直しにフィードバックしていくことが重要ではないか。

○ 卒前と卒後の接続性、連続性については、項目が重複している部分を削っていいのかという点。今のコアカリでは到達目標という形で示しているが、卒後臨床研修のガイドラインでは臨床経験ということで、同じような項目があっても、どこを目指していくかというエンドポイントの部分が違うので、項目が重複していても構わないという考えもあるし、整合性を保つべきという意見もあるので、そうした意見を踏まえて検討すべき。

○ 歯科の場合、歯科医師国家試験出題基準とコアカリは、ほとんど重なっている。さらに、歯科医師国家試験に共用試験CBTと同じような問題が数問出るような時代がきている。両者の基準でも重なっているものがあるので、同じような出題がされても仕方ないが、それぞれの改訂のときに歩調を合わせて直していくしか方法がないのではないか。

○ 19年改訂時の歯学のコアカリには「原則として歯科医師国家試験出題基準との整合性を確保しつつ」という表現があるが、実際には用語を統一し、整合性をとったような感じ。

○ 歯学系には、歯科医師国家試験の出題基準とコアカリ、歯学教授要綱という3つの方針があるが、ある程度の整合性がないといけないといった意見もある。実際はどれを使ってもいいが、現実には各大学ではどれも使うので、整合性を十分意識して改訂する必要がある。

<用語の取扱い>

○ 現行のコアカリには「一般目標」と「到達目標」という形で書かれているが、基本的には「一般目標」も「到達目標」であり、到達目標に「一般目標」と「行動目標」があるのではないか。臨床研修では、到達目標として「一般目標」と「行動目標」があるという形ですべてプログラムが書かれており、各学部のシラバスもそのような形をしていることが多いが、コアカリの書き方との整合性はどうなるのか。

○ 臨床実習では、一般目標、到達目標といった形を必ずしも示さなくても、最低限やっておいて欲しい項目が並んでいることが重要。形式的な文言にとらわれる必要はないのでは。

○ 実際のカリキュラムの作り方については、国際的にもいろいろ議論があり、一般目標、行動目標、個別目標といった言い方もあるが、原理的に固執すると細かな目標づくりになって、臨床医の能力、コンピテンシーと表現されることが必ずしも出てこないという面がある。

○ 医学教育のプロセスの考え方にGIOとSBOという用語があり、そのまま使うと非常にカリキュラムが作りにくく細かくなってしまうので、コアカリでは、より一般的な、今の言葉で言えばアウトカムというところと、到達時に何ができるというコンピテンシーをきちんと分けて記載することになった。「一般目標」はアウトカムに近いもので、「到達目標」はコンピテンシーに相当するという理解をした方が無難ではないか。

○ 「一般目標」、「行動目標」については、例えば「小さい目標」、「大きい目標」としても良いぐらいだが、現在、コンピテンシーを中心として、教える過程はどうであれ、卒業時の能力はどういうものかを重視するアウトカム・ベースト・エデュケーションがイギリスを初めとして主流。そうしたことを含めて考え直せばいいので、あまりGIO、SBOにとらわれる必要はない。

○ 実習などは基本的にアウトカムになるが、あまり言葉に拘る必要はないのではないか。

○ 説明できる、列挙できる、概説できるとは、どの程度ができるのか漠然としている。これはできるという必要最低限のキーワードがあれば、非常に使いやすいのではないか。

○ コアカリのどこまでを各大学がやらないといけないかは大変難しい問題だが、どこまでコアカリに規定しないといけないのかという問題もある。最終的には、各大学において、授業時間との関係で決めてもらうしかない。共用試験の作問に際して、いろいろな大学の先生に、臨床実習前はこのぐらいのレベルで良いのではないかと検討してもらっているので、具体的には共用試験の内容が各大学の参考になるのではないか。

<周知等の工夫>

○ 各大学へのコアカリの周知状況が十分でない。医療関係者に周知・配付しているが、学生も教員も、意識の上において、きちんとどの程度認識されているのか疑問。どういう形で趣旨を徹底するかがかなり大事なので、今後、文科省、厚労省にも協力してもらい、周知を徹底していくことが重要。

 

4.今回の改訂後の対応

 <評価システムの在り方(ポートフォリオなど)>

○ 臨床実習に関するポートフォリオ。非常に大事な定性的評価の手段。各大学では実習手帳などを作っているが、学生に活用されていないことも結構ある。卒後臨床研修とリンクさせて、学習ポートフォリオになるとかなり違ってくるのではないか。

○ 医学でも歯学でも、臨床技能教育は非常に重要だが、評価システムが確立していない。評価の1つとしてはAdvanced OSCEの確立が望まれる。各大学がばらばらでは困るので、標準化されたものを作ると同時に、ポートフォリオで評価するシステムをつくることは大事。

○ ポートフォリオ、Advanced OSCEは極めて重要。今回の改訂に入れるのか、コアカリ改訂後、何らかのワーキングでも作ってやるのか位置付けを決めた方が良いのではないか。

○ 今回のコアカリ改訂と評価をどうするかについて、委託先の調査研究チームでは、時系列として、まずコアカリの改訂内容を固めて、後半で評価を検討するという形。ポートフォリオなども、コアカリ改訂後、もう少し後半で検討する予定。

○ Advanced OSCE、論文提出もアイデアとして重要。6年生は研修病院の選択もあり、国家試験もあり、あまりにも過重になるおそれがあり、そうした点を含め、総合的に考えるべき。

○ 今回は、まず何をやらなければいけないかの課題を整理して、具体的なことは調査研究チームで検討いただき、それを踏まえた上で、今後どうするかの計画をきちんと立てた上で、順序良くやっていくことが必要。短期間に一気に全部は、とても無理ではないか。

<ワークショップの総合討論・講評における関連意見>

○ イギリスの卒業試験などでは、一番の表題が「あなたは研修1年目の内科の研修医です。こういう症例が来ました。さあ、どうしますか。」といった、はっきりとしたもの。臨床研修1年目を迎えるのに、これだけの実技というか、持っていて欲しい能力が卒業試験OSCEに出ている。「あなたは研修医1年目です。さあ、どういう能力を求めますか。」ということを明確化することが、臨床実習の出口評価としては極めて重要。

<共用試験の取扱いなど>

○ コアカリに基づいて共用試験の問題は作られているので、コアカリの内容が変わった後では共用試験の問題が変わる可能性は高いと思うが、変わるまでは現在のままとなる。

○ 現在でも共用試験を通ることで臨床実習に入って良いというプロセスがあるが、それをさらに社会的にはっきりと発信していくことにより、社会から見ても、共用試験を通ることで医学生が臨床実習に入って良いことがより見えるようにしていくことが重要。

○ 全国医学部長病院長会議では、共用試験の準国家試験化ということを考えているが、これは決して法律で縛るとか、本格的な国家試験ということではなく、各大学がかなり自主的な運用でもって学生を認定し、合格した後は臨床に入っていい、そういうことが社会に示される形を求めていきたいと考えているが、基本的診療能力の確実な習得については、今後、正に実効的に実現されていくようにすべき。

○ 現在、共用試験CBTが行われ知識が試験されており、その点数が各大学の学生評価という意味では非常に有効になっているが、教育の質を上げるという意味では、現場では出題問題をフィードバックすることが非常に重要。

○ 医も歯も共通だが、共用機構では、CBTもOSCEも全体の成績と各大学の成績を返却しており、振り返ってみて、各大学がどういうことを検討すべきかの参考になっている。一方、どういう問題を出すかは、公開問題をなるべく増やすようにしている。今後必要になってくる課題については例題を提示して、問題の公開も含めて検討している。

<ワークショップの総合討論・講評における関連意見>

○ 6年次の教育が疎かになっているということがあるが、国家試験とコアカリの整合性、CBTの国家試験化、卒業後の国家試験というシームレスな形で、初期研修の改善という方向に進んでいくことができれば良いのではないか。

○ 例えばスチューデントドクターという称号を付与するかどうかは、全国医学部長病院長会議で、ある程度オーソライズしてもらうことが必要ではないか。

○ 最近の国家試験は、臨床に則した内容になり非常に良くなっているが、3日間で500題というのはあまりにも多い。少し問題数を減らして、CBTから以後の問題について国家試験で問うということについて、全国医学部長病院長会議の方で提案していただければいいのではないか。

○ 臨床研修のマッチングについては、6年生のときにやらなくても、元々人柄とか成績はわかっているので、5年生、というか6年になる春休みぐらいに行ったほうが、6年生の臨床教育に与える影響は少なく、人間性は5年生と6年生であまり変わらないと思うので、その点を懸念する必要はあまりないのではないか。

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