資料2-1 医学教育モデル・コア・カリキュラム改訂に向けた検討状況【調査研究チーム(医学教育)】

平成22 年11 月15 日

文部科学省 平成22年度先導的大学改革推進委託事業
「医学・歯学教育の改善・充実に関する調査研究」委員会 

医学教育モデル・コア・カリキュラム改訂素案の取りまとめに向けた検討状況

<今回の改訂に係る検討内容>

1.基本的診療能力の確実な習得

→ EとGの統合、Gの「症例」の削除:資料2-1「臨床実習E-G」(p1~22)

2.地域の医療を担う意欲・使命感の向上

→ 今回の改訂では修正等を行わない方向:資料2-2「地域医療F、G」(p23)

3.基礎と臨床の有機的連携による研究マインドの涵養

→ Aでの新設:資料2-3「研究マインド」(p24)

→ Bへの準備教育項目移動:資料2-4「準備教育-B」(p25~28)

4.その他(社会的ニーズ等):検討中

<今回の改訂に際しての留意点>

1.現行のモデル・コア・カリキュラムに盛り込まれている内容の量的過剰状態への対応

→ Eの一部とGの統合、Gの「症例」の削除
→ A、D、Fの整理:資料2-5「人の死」(p29)

2.臨床実習前教育、臨床実習、臨床研修等、卒前・卒後の一貫した医師・歯科医師養成の視点

→ Gの「症例」の削除、語句統一:資料2-6「語句等」(p30~37)、その他検討中

3.各大学等における取組実績や意見等への配慮、全体構成(表記の調整を含む)や周知等の工夫

→ 80大学(校)と108医学会に「ご意見伺い」を実施
→ 資料2-7「意見 集計結果」(p38~39)

4.諸外国における先進的な取組事例との比較、学問・医療技術の進歩等への対応

→ 文献を通じて諸外国におけるカリキュラムの内容や教育現場での工夫を検証
→ 12月初旬にカナダ・マギール大学に訪問予定

■医学教育WG開催状況

第1回WG:平成22年 8月 2日(月曜日)15時~17時

第2回WG:平成22年 8月23日(月曜日)15時~17時

第3回WG:平成22年 9月 3日(金曜日)10時~12時

第4回WG:平成22年 9月24日(金曜日)10時~12時

第5回WG:平成22年10月18日(月曜日)16時~18時

第6回WG:平成22年11月 1日(月曜日)10時~12時30分

第7 回WG:平成22年12月中旬(予定)

その他、随時、メーリングリストで議論

・・・

【資料2-1】臨床実習卒業時到達目標改訂案(EとG)

今回の改訂においては、モデル・コア・カリキュラムG における卒業時までに修得すべき項目の設定が最重視されているため、

1.現行モデル・コア・カリキュラムの「E2,3」と「G1,2,3,4」の学習目標を見直し、改訂案においては、卒業までに習得すべき目標をG にまとめて示す。

2.現行のE2(2)臨床検査の「検査手技」に関する学習目標はG と重複するため、本改訂案においては削除する。

3.現行のE3(1)~(6)の記載もG と重複するため、本改訂案のE3(1)~(6)においては見出しのみを記載し学習目標を削除する。

4.上記2,3の削除部分には「学習項目についてはG を参照」と書き込む。

5.改訂案のG では、現行G2、3の実習形態と症例に関する記載を削除する。

また、「注意書き」として、「G とE3(1)~(6)の学習目標は同一である。一般に、G では、入院あるいは外来病棟における臨床実習において、実際に患者に接しながら指導医の指導・監督のもとに実施すべき目標となる。一方、E3 では、臨床実習開始前に、学生が卒業時の目標をめざして診察や実技等に関する基本知識を習得し、シミュレータ、模擬患者、学生同士の相互実習等により学ぶべき内容となる。本方針は、G とE2(2)臨床検査の「検査手技」にも適用される」と記載する。

モデル・コア・カリキュラム「G 臨床実習」改訂案

1.診療の基本

一般目標**********

現行E3

記載無し

現行G

一般目標:

受持ち患者の情報を収集し、診断して治療計画を立てることを学ぶ。

改訂案

一般目標:

患者情報の収集、記録、診断、治療計画について学ぶ。

【問題志向型システムと臨床診断推論】と【科学的根拠にもとづいた医療】**********

現行E3(1)

(1)問題志向型システム

一般目標:

模擬症例について基本的診療計画を立てる。

到達目標:

1)基本的診療知識にもとづき、症例に関する情報を収集・分析できる。

2)得られた情報をもとに、その症例の問題点を抽出できる。

3)病歴と身体所見等の情報を統合して、鑑別診断ができる。

4)主要疾患の症例に関して、診断・治療計画を立てられる。

現行E3(4)

臨床判断

一般目標:

臨床的な判断に関する基本的な考え方を学ぶ。

到達目標:

1)臨床判断の概念を説明し、考慮すべき要素(病態生理学的・臨床疫学的事実、患者の意向、社会的要因)を列挙できる。

2)科学的根拠にもとづいた医療〈EBM〉を概説できる。

現行G1(1)

【問題志向型システム・科学的根拠にもとづいた医療】

到達目標:

1)基本的診療知識にもとづき、情報を収集・分析できる。

2)得られた情報をもとに、問題点を抽出できる。

3)病歴と身体所見等の情報を統合して、鑑別診断ができる。

4)診断・治療計画を立てられる。

5)科学的根拠にもとづいた医療〈EBM〉を実践できる。

改訂案

【問題志向型システムと臨床診断推論】

到達目標:

1)基本的診療知識にもとづき、症例に関する情報を収集・分析できる。

2)得られた情報をもとに、その症例の問題点を抽出できる。

3)病歴と身体所見等の情報を統合して、鑑別診断ができる。

4)主要疾患の症例に関して、診断・治療計画を立案できる。

改訂案

【科学的根拠にもとづいた医療】

到達目標:

1)感度・特異度を考慮して、必要十分な検査を挙げることができる

2)科学的根拠にもとづいた治療法を述べることができる。

【診療記録とプレゼンテーション】**********

現行E3(3)

診療記録

一般目標:

問題指向型診療録(POMR)と各種診療記録の書き方を学ぶ。

到達目標:

1)診療録をPOMR 形式で記載する方法を説明できる。

2)診療経過をSOAP で記載する方法を説明できる。

現行G1(1)

【診療記録とプレゼンテーション】

到達目標:

1)診療録をPOMR 形式で記載できる。

2)毎日の所見と治療方針をSOAP 形式で記載できる。

3)受け持ち患者の情報を診療チームに簡潔に説明できる。

改訂案

【診療記録とプレゼンテーション】

到達目標:

1)適切に患者の情報を収集し、POMR を作成できる。

2)診療経過をSOAP で記載できる。

3)症例を適切に要約する習慣を身につけ、状況に応じて提示できる。

2.診察法

(生殖器診察は【産婦人科実習】参照、小児診察は【小児科実習】参照)

一般目標**********

現行E3(5)

身体診察

一般目標:

シミュレーションなどを通じて基本的な身体診察を学ぶ。

現行G1(2)

身体診察

一般目標:

受持ち患者の基本的な身体診察ができる。

改訂案

一般目標:

患者との信頼関係に基づいた医療面接と診察法を学ぶ。

【基本事項】**********

現行E3 とG に記載なし。

改訂案

【基本事項】

1)患者の立場を尊重し、信頼を得ることができる。

2)患者の安全を重視し、有害事象が生じた場合は適切に対応ができる。

3)患者のプライバシー、羞恥心、苦痛に配慮し、個人情報等を守秘できる。

4)感染を予防するため、診察前の手洗いや器具等の消毒ができる。

5)挨拶、身だしなみ、言葉遣い等に気を配ることができる。

6)患者の状態から診察が可能かを判断できる。患者の状態に応じた診察ができる。

【医療面接】**********

現行E3(2)

医療面接

一般目標:

医療面接に関する基本的な考え方と技能を学ぶ。

到達目標:

1)適切な身だしなみ、言葉遣いや礼儀を実践できる。

2)医療面接の目的・意義(情報収集、良好な医師-患者関係、治療・教育的効果)を説明できる。

3)医療面接における基本的コミュニケーション技法を実践できる。

4)病歴情報の種類(主訴、現病歴、既往歴、家族歴、社会歴、システムレビュー)とそれを聴取する際の手順を説明できる。

現行G1(1)

【医療面接】

一般目標:なし

到達目標:

1)礼儀正しく患者(家族)に接することができる。

2)プライバシーに配慮し、患者(家族)との信頼関係を築くことができる。

3)医療面接における基本的コミュニケーション技法を実践できる。

4)病歴聴取(主訴、現病歴、既往歴、家族歴、社会歴、システムレビュー)を実施できる。

改訂案

【医療面接】

到達目標:

1)適切な身だしなみ、言葉遣い、礼儀正しい態度で患者に接することができる。

2)医療面接における基本的コミュニケーション技法を用いることができる。

3)病歴(主訴、現病歴、既往歴、家族歴、社会歴、システムレビュー)を聴き取り、情報を取捨選択し整理できる。

4)診察で得た所見、診断、必要な検査を説明、報告できる。

【全身状態とバイタルサイン】**********

現行E-3(5)

【全身状態とバイタルサイン】

到達目標:

1)バイタルサインを説明できる。

2)血圧測定の原理を説明し、正しく血圧を測定できる。

3)脈拍のチェックポイントを説明し、正しく脈拍をとれる。

4)呼吸数を測定し、呼吸パターンを観察できる。

5)体温測定の方法と注意点を説明し、測定できる。

現行G1(2)

【全身状態とバイタルサイン】

到達目標:

1)身長・体重を測定し、栄養状態を評価できる。

2)血圧・脈拍を測定できる。

3)呼吸数を測定し、呼吸パターンを観察できる。

4)体温を測定できる。

改訂案

【全身状態とバイタルサイン】

到達目標:

1)身長・体重を測定し、BMI の算出、栄養状態を評価できる。

2)上腕で触診、聴診法により血圧を測定できる。

3)両側の橈骨動脈で脈拍を診察できる。

4)呼吸数を測定し、呼吸の異常の有無を確認できる。

5)腋窩で体温の測定ができる。

6)大腿動脈の触診、下腿の血圧測定(触診法)、大腿の血圧測定(聴診法)を実施できる。

・意識レベルについては神経診察を参照。

【頭頸部】**********

現行E3(5)

【頭頸部】

到達目標:

1)頭部の診察ができる。

2)眼(視野、瞳孔、眼球運動、結膜、眼底)の診察ができる。

3)耳(外耳道、鼓膜、聴力)の診察ができる。

4)口腔・鼻腔の診察ができる。

5)甲状腺を含めた頸部の診察ができる

現行G1(2)

【頭頸部】

到達目標:

1)頭部の診察ができる。

2)眼(視野、瞳孔、眼球運動、結膜、眼底)の診察ができる。

3)耳(外耳道、鼓膜、聴力)の診察ができる。

4)口腔・鼻腔の診察ができる。

5)甲状腺を含めた頸部の診察ができる。

改訂案

【頭頸部】

到達目標:

1)頭部(顔貌、頭髪、頭皮、頭蓋)の診察ができる。

2)眼(視野、瞳孔、対光反射、眼球運動・突出、結膜)の診察ができる。

3)耳(耳介、聴力)の診察ができる。

4)耳鏡で外耳道、鼓膜を観察できる。

5)音叉を用いて聴力試験を実施できる。

6)口唇、口腔、咽頭の診察ができる。

7)鼻腔、副鼻腔の診察ができる。

8)鼻鏡を用いて前鼻腔を観察できる。

9)甲状腺、頸部血管、気管を診察できる。

10)唾液腺、頭頸部リンパ節の診察ができる。

・眼底検査については神経診察を参照。

【胸部】**********

現行E3(5)

【胸部】

到達目標:

1)胸部診察で確認すべき項目を列挙し、視診、触診、打診と聴診ができる。

2)乳房の診察の要点と診察の手順を説明できる。

現行G1(2)

【胸部】

到達目標:

1)胸部の視診、触診、打診、聴診ができる。

2)呼吸音を正しく聴診できる。

3)心音と心雑音を正しく聴診できる。

4)乳房を診察できる。

改訂案

【胸部】

到達目標:

1)胸部の視診、触診、打診ができる。

2)呼吸音の聴診ができる。

3)心音と心雑音の聴診ができる。

4)背部の叩打痛を確認できる。

5)乳房の診察をシミュレータで実施できる。

【腹部】**********

現行E3(5)

【腹部】

到達目標:

1)腹部の区分を説明できる。

2)腹部診察で確認すべき項目を列挙し、視診、聴診、打診と触診ができる。

現行G1(2)

【腹部と泌尿生殖器】

到達目標:

1)腹部の視診、聴診、打診と触診ができる。

2)反跳痛と筋性防御の有無を判断できる。

3)直腸(前立腺を含む)指診ができる。

改訂案

【腹部】

到達目標:

1)腹部の視診・聴診ができる。

2)区分に応じて腹部の打診・触診ができる。

3)腹膜刺激徴候の有無を判断できる。

4)腹水の有無を判断できる。

5)直腸(前立腺を含む)指診をシミュレータで実施できる。

【神経】**********

E3(5)

【神経】

到達目標:

1)意識状態が判定できる。

2)脳神経の診察ができる。

3)深部腱反射の診察ができる。

4)小脳・運動機能の診察ができる。

5)感覚系の診察ができる。

6)髄膜刺激所見を説明できる。

G1(2)

【神経】

到達目標:

1)意識状態が判定できる。

2)脳神経を診察できる。

3)腱反射、病的反射、筋トーヌスを診察できる。

4)小脳・運動機能を診察できる。

5)感覚系の診察ができる。

6)髄膜刺激所見がとれる。

改訂案

【神経】

到達目標:

1)意識状態を判定できる。

2)脳神経を診察できる(眼底検査を含む)。

3)腱反射の診察ができる。

4)小脳・運動機能を診察できる。

5)感覚系の診察ができる。

6)髄膜刺激所見を確認できる

【四肢と脊柱】**********

E3(5)

【四肢と脊柱】

到達目標:

1)四肢・脊柱の診察の要点と手順を説明できる。

G1(2)

【四肢と脊柱】

到達目標:

1)四肢と脊柱を診察できる。

2)関節(関節可動域を含む)を診察できる。

3)筋骨格系の診察ができる。

改訂案

【四肢と脊柱】

到達目標:

1)四肢と脊柱を診察できる。

2)関節(関節可動域を含む)を診察できる。

3)筋骨格系の診察ができる。

【高齢者の診察】**********

現行G1(2)

【小児と高齢者の診察】

到達目標:

2)高齢者を診察でき、総合機能評価(CGA)ができる。

改訂案

【高齢者の診察】

到達目標:

1)高齢者特有の身体・精神の変化をふまえて高齢者を診察できる。

2)高齢者の総合機能評価(CGA)ができる。

3.基本的臨床手技

一般目標**********

現行E3(6)

一般目標:

基本的臨床手技の目的、方法、適応、禁忌と合併症を学ぶ。

現行G1(3)

一般目標:

基本的臨床手技を学ぶ。

改訂案

一般目標:

基本的臨床手技の目的、適応、禁忌、合併症と実施法を学ぶ。

【一般手技】**********

現行E3(6)

【一般手技】

到達目標:

1)静脈採血の手順、部位と合併症を列挙し、正しく採血できる。

2)血液型判定と交差適合試験の手順を説明し、実施できる。

現行G1(3)

【一般手技】

到達目標:

1)静脈採血の手順、部位と合併症を列挙し、正しく採血できる。

2)末梢静脈の血管確保を見学し、介助ができる。

3)中心静脈カテーテル挿入を見学し、介助ができる。

4)動脈血採血・動脈ラインの確保を見学し、介助ができる。

5)腰椎穿刺を見学し、介助できる。

6)胃管の挿入と抜去ができる。

7)尿道カテーテルの挿入と抜去ができる。

8)ドレーンの挿入と抜去を見学し、介助ができる。

9)注射の種類、各々の特徴と刺入部位を説明できる。

改訂案

【一般手技】

到達目標

1)体位交換、おむつ交換、移送ができる。

2)皮膚消毒、包帯交換ができる。

3)外用薬の貼付・塗布ができる

4)気道内吸引、ネブライザーを実施できる

5)ギブス巻ができる。

6)静脈採血を実施できる。

7)末梢静脈の血管確保をシミュレータで実施できる。

8)中心静脈カテーテル挿入を見学・介助してシミュレータで実施できる。

9)動脈血採血・動脈ラインの確保を見学・介助してシミュレータで実施できる。

10)腰椎穿刺を見学・介助してシミュレータで実施できる。

11)胃管の挿入と抜去ができる。

12)尿道カテーテルの挿入と抜去をシミュレータで実施できる。

13)ドレーンの挿入と抜去を見学し、介助ができる。

14)注射 (皮下、皮内、筋肉、静脈内)を、シミュレータで実施できる。

【外科手技】**********

現行E3(6)

【外科手技】

到達目標:

1)清潔と不潔の区別を説明できる。

2)器具の清潔操作の注意点を説明できる。

3)創の一次的閉鎖、遅延一次閉鎖、二次的癒合とデブリドマンを説明できる。

現行G1(3)

【外科手技】

到達目標:

1)手術や手技のための手洗いができる。

2)手術室におけるガウンテクニックができる。

3)基本的な縫合ができる。

4)創の消毒やガーゼ交換ができる。

5)骨折時の良肢位と外固定を見学し、介助できる。

現行G3(1)

外科

一般目標:

基本的外科疾患を受け持ち、病態と、治療としての外科処置を学ぶ。

到達目標:

1)外科的処置の適応を判断し、リスク評価ができる。

2)外科の基本的診療手技を実施できる。

3)基本的な術前術後管理ができる。

改訂案

【外科手技】

到達目標:

1)清潔操作を実施できる。

2)手術や手技のための手洗いができる。

3)手術室におけるガウンテクニックができる。

4)基本的な縫合ができる。

5)創の消毒やガーゼ交換ができる。

6)手術に参加し、介助ができる。

【検査手技】**********

現行E2(2)

臨床検査

一般目標:

検査の方法、適応と解釈を学ぶ。

到達目標:

1)臨床検査の基準値・カットオフ値の意味を説明できる。

2)検査の特性(感度、特異度、偽陽性、偽陰性、検査前確率・予測値、尤度比)を説明できる。

3)血液学的検査の目的と適応を説明し、結果を解釈できる。

4)尿検査の目的、適応と異常所見を説明し、結果を解釈できる。

5)便検査の目的、適応と異常所見を説明し、結果を解釈できる。

6)生化学的検査項目を列挙し目的、適応と異常所見を説明し、結果を解釈できる。

7)免疫学的検査の目的、適応と異常所見を説明し、結果を解釈できる。

8)心電図検査の目的、適応と異常所見を説明し、結果を解釈できる。

9)動脈血ガス分析の目的、適応と異常所見を説明し、結果を解釈できる。

10)呼吸機能検査の目的、適応と異常所見を説明し、結果を解釈できる。

11)脳脊髄液検査の目的、適応と異常所見を説明し、結果を解釈できる。

△12)検査の誤差や生理的変動を説明できる。

△13)正しい検体採取の方法が説明でき、不適切な採取を行ったときの検査値の異常を判断できる。

△14)小児・高齢者の検査値の特徴を説明できる。

△15)一般細菌の塗抹・培養の目的、適応と異常所見を説明し、結果を解釈できる。

現行G1(3)

【検査手技】

到達目標:

1)12 誘導心電図を適切に記録できる。

2)尿検査(尿沈渣を含む)を施行し、観察できる。

3)末梢血塗抹標本を作成し、観察できる。

4)微生物学検査の検体の採取と保存ができ、グラム染色を行い、観察できる。

5)妊娠反応検査を施行できる。

改訂案

【検査手技】

到達目標:

1)尿検査(尿沈渣を含む)を実施できる。

2)末梢血塗抹標本を作成し、観察できる。

3)微生物学検査(グラム染色を含む)を実施できる。

4)妊娠反応検査を実施できる。

5)血液型判定を実施できる。

6)視力、視野、聴力、平衡検査を実施できる。

7)12誘導心電図を記録できる。

8)脳波検査を介助できる。

9)心臓、腹部の超音波検査を介助できる。

10)X 線撮影、CT,MRI,RI 検査、内視鏡検査を見学・介助できる。

4.診療科実習

臨床実習を行うに当たっては、個々の臨床実習を独立して行うのではなく、体系的に遂行させる統轄責任者が必要である。

【内科実習】**********

現行G2(1)

内科

一般目標:

基本的内科疾患を受け持ち、病態、症候、診断、治療と予後を学ぶ。

到達目標:

1)主要な疾患、症候や病態を診察し、診断と治療計画の立案・実施に参加できる。

2)他科へのコンサルテーションが必要かどうか判断できる。

3)複数の疾患をかかえる患者を診察し、診断と治療計画の立案・実施に参加できる。

改訂案

【内科実習】

一般目標:

基本的内科疾患を受け持ち、症候・病態、診断、治療と予後を学ぶ。

到達目標:

1)主要な内科疾患を診察し、診断と治療計画の立案・実施に参加できる。

2)他科へのコンサルテーションの必要性について説明できる。

3)複数の疾患をかかえる患者を診察し、診断と治療計画の立案・実施に参加できる。

【精神科実習】**********

現行G2(2)

精神科

一般目標:

基本的な精神症状の評価の仕方、面接法を学ぶ。

到達目標:

1)精神科以外の一般診療科においても診療機会が多い精神障害に対する診断と治療の初期対応ができる。

2)精神症状をもつ患者の診療を行う上での、法と倫理の必須項目を列挙できる。

3)精神症状・精神障害の初期症状と、どのような場合に専門医へのコンサルテーションが必要か判断できる。

改訂案

【精神科実習】

一般目標:

基本的な精神症状の評価の仕方、面接法、治療を学ぶ。

到達目標:

1)精神科疾患の診察に立ち会い、診断と治療計画の立案・実施に参加できる。

2)精神症状をもつ患者の診療を行う上での、法と倫理の必須項目を列挙できる。

3)精神症状・精神障害の初期症状と、どのような場合に専門医へのコンサルテーションが必要か説明できる。

【小児科実習】**********

現行E3(5)

身体診察

【小児の診察】

到達目標:

1)新生児・小児の全身診察の手順を説明できる。

現行G1(2)

身体診察

【小児と高齢者の診察】

到達目標:

1)新生児と小児の全身診察ができる(発達状況の評価も含む)。

現行G2(3)

小児科

一般目標:

基本的小児科疾患を受け持ち、症候、診断、初期治療を学ぶ。

到達目標:

1)新生児、乳・幼児期、学童期、思春期の患者およびその家族と良好な関係を築いて、漏れのない正確な情報を取ることができる。

2)小児の身体診察を適切に実施できる。

改訂案

【小児科実習】

一般目標:

基本的小児科疾患を受け持ち、症候・病態、診断、治療と予後を学ぶ。

到達目標:

1)小児の診断・治療に必要な情報を保護者から聴き取ることができる。

2)主要な小児疾患の全身の診察ができ、診断と治療計画の立案・実施に参加できる。

3)正常新生児の診察ができる。

4)乳幼児健診に立ち会い、小児の成長・発達と異常の評価に参加できる。

【外科実習】**********

現行G3(1)

外科

一般目標:

基本的外科疾患を受け持ち、病態と、治療としての外科処置を学ぶ。

到達目標:

1)外科的処置の適応を判断し、リスク評価ができる。

2)外科の基本的診療手技を実施できる。

3)基本的な術前術後管理ができる。

改訂案

【外科実習】

一般目標:

基本的外科疾患を受け持ち、外科的治療を学ぶ。

到達目標:

1)外科的処置の適応を判断し、リスク評価を説明できる。

2)基本的な術前術後管理に立ち会う。

【産婦人科実習】**********

現行G3(2)

産科婦人科

一般目標:

基本的産婦人科疾患を受け持ち、女性の健康問題、疫学、予防、病態、診断、治療と予後を学ぶ。

到達目標:

1)正常の妊娠、出産と産褥の基本的な管理ができる。

2)主な疾患、症候や病態を診察し、診断と治療計画の立案・実施に参加できる。

改訂案

【産婦人科実習】

一般目標:

基本的産婦人科疾患を受け持ち、女性の健康問題、症候、診断、治療と予後を学ぶ。

到達目標:

1)基本的な婦人科診察をシミュレータで実施できる。

2)主要な婦人科疾患の診察に立ち会い、診断と治療計画の立案・実施に参加できる。

3)妊婦の診察と出産に立ち会う。

【救急実習】**********

現行E3(6)

【救命処置】

到達目標:

1)一次救命処置(脳心肺蘇生)をシミュレータで実施できる。

現行G4

救急医療臨床実習

一般目標:

緊急に対応すべき疾患の病態、診断と治療を学ぶ。

到達目標:

1)救急病態の救命治療を介助できる。

2)初期救急病態を鑑別し、初期治療を介助できる。

3)外傷の処置を介助できる。

4)救急医療体制を説明できる。

改訂案

【救急実習】

一般目標:

診療チームの一員として救急医療に参加する。

到達目標:

1)救急病態の救命治療に参加できる。

2)初期救急病態を鑑別し、初期治療に参加できる。

3)外傷の処置に参加できる。

4)一次救命処置(脳心肺蘇生)をシミュレータを用いて実施できる。

【資料2-2】

医学教育モデル・コア・カリキュラム【地域医療関係】

F 医学・医療と社会

(2)地域医療

一般目標:

地域医療の在り方と現状および課題を理解し、地域医療に貢献するための能力を身に付ける。

到達目標:

1)地域医療に求められる役割と機能および体制等、地域医療の在り方を概説できる。

2)へき地および離島における地域医療の現状と課題について概説できる。

3)医師の偏在(地域及び診療科)の現状について説明できる。

4)地域における、保健(母子保健、老人保健、精神保健、学校保健)・医療・福祉・介護の分野間の連携及び多職種間の連携の必要性について説明できる。

5)地域医療の基盤となるプライマリ・ケアの必要性を理解し、実践に必要な能力を身につける。

6)地域における、救急医療、災害医療、在宅ターミナルの体制を説明できる。

△7)災害救急医療におけるトリアージを説明できる。

△8)地域医療に積極的に参加・貢献する。

G 臨床実習

5 地域医療臨床実習

一般目標:

地域社会(へき地・離島を含む)で求められる保健・医療・福祉・介護の活動について学ぶ。

到達目標:

1)地域のプライマリ・ケアを体験する。

2)病診連携・病病連携を体験する。

3)地域の救急医療、在宅医療を体験する。

4)多職種連携のチーム医療を体験する。

5)地域における疾病予防・健康維持増進の活動を体験する。

実習形態:

学外の地域病院、診療所、社会福祉施設など

症 例:

地域病院あるいは診療所などの状況に応じた症例

【資料2-3】研究マインド関連

A 基本事項

4 課題探究・解決と学習の在り方

(1)課題探求・解決能力(無修正)

(2)学習の在り方(無修正)

(3)研究マインドの涵養(新設)

一般目標:

生命科学や医療技術の成果を生涯を通じて学び,病因や病態を解明するなどの研究マインド

を涵養する。

到達目標:

1)研究は、医学・医療の発展や患者の利益の増進に行われるべきことを説明できる。

2)生命科学の講義・実習で得た知識をもとに、診療で経験した病態の解析ができる。

3)患者や疾患の分析をもとに、教科書・論文などから最新の情報を検索・整理統合し、疾患の理解・診断・治療の深化につなげることができる。

4)検索・検出した医学・医療情報から新たな課題・仮説を設定し、解決に向けて科学的研究

(臨床研究、疫学研究、生命科学研究等)に参加することができる。

(4)生涯学習への準備(項目番号3 から4への変更のみ)

(5)医療の評価・検証と科学的研究(項目番号4 から5 への変更,「科学的研究」を削除,「研究マインド」として項目設定)

一般目標:

医療の改善のために不断の評価・検証と倫理的および患者の利益と安全に配慮した科学的研究が必要であることを学ぶ。

到達目標:(従来の項目3)と4)を(3)へ移動)

1)科学的根拠にもとづいた医療の評価と検証の必要性を説明できる。

2)患者による医療の評価の重要性を説明できる。

 

【資料2-4】

準備教育関連

B 医学一般

1 生命現象の科学(準備教育モデル・コア・カリキュラムより移動し,体裁微調整)

(1)生命現象の物質的基礎

一般目標:

生体内の有機化合物の構造、性質および反応について学ぶ。

【有機化合物と共有結合】

到達目標

1)単結合、二重結合と三重結合を説明できる。

2)炭素原子を例にとり、混成軌道を説明できる。

3)環状構造とその性質を説明できる。

4)主な官能基を列挙し、その性質を説明できる。

5)有機化合物の命名法を説明できる。

【立体化学】

到達目標

1)光学異性体、立体異性体と幾何異性体の性質と特徴を説明できる。

2)高分子の立体構造を説明できる。

【有機化合物の反応】

到達目標

1)電気陰性度と電子の動きによる官能基の反応性を説明できる。

2)置換反応、脱離反応と付加反応を説明できる。

【生体内の低分子物質】

到達目標

1)アミノ酸の種類と性質を説明できる。

2)塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチドの種類と性質を説明できる。

3)単糖類、二糖類、グリセロールと脂肪酸の種類と性質を説明できる。

【生体高分子の構造と機能】

到達目標

1)炭水化物の基本的な構造と機能を説明できる。

2)脂質の基本的な構造と機能を説明できる。

3)タンパク質の基本的な構造と機能を説明できる。

4)核酸の構造と機能を説明できる。

【反応速度論・酵素反応速度論】

到達目標

1)一次反応、二次反応などの反応速度や速度式を説明できる。

2)ミカエリス・メンテンの式が説明できる。

(2)生命の最小単位-細胞

一般目標:

細胞の構造とそのさまざまなはたらきを学ぶ。

【細胞の構造と機能】

到達目標

1)細胞の観察法を説明できる。

2)細胞の全体像を図示できる。

3)核とリボソームの構造と機能を説明できる。

4)小胞体、ゴルジ体、リソソームなどの細胞内膜系の構造と機能を説明できる。

5)ミトコンドリア、葉緑体の構造と機能を説明できる。

6)細胞骨格の種類とその構造と機能を概説できる。

7)細胞膜の構造と機能、細胞同士の接着と結合様式を説明できる。

8)原核細胞と真核細胞の特徴を説明できる。

【細胞内の代謝と細胞呼吸】

到達目標

1)酵素の構造、機能と代謝調節(律速段階、アロステリック効果)を説明できる。

2)ATpの加水分解により自由エネルギーが放出されることを説明できる。

3)解糖、TCA 回路、電子伝達系、酸化的リン酸化によるATP の産生を説明できる。

【細胞周期】

到達目標

1)細胞分裂の過程を図示し、説明できる。

2)細胞周期の各過程、周期の調節を概説できる。

【減数分裂】

到達目標

1)減数分裂を説明できる。

2)遺伝的多様性を減数分裂の過程から説明できる。

【遺伝子と染色体】

到達目標

1)メンデルの法則を説明できる。

2)遺伝子型と表現型の関係を説明できる。

3)染色体を概説し、減数分裂における染色体の挙動を説明できる。

4)性染色体による性の決定と伴性遺伝を説明できる。

【DNAとタンパク質】

到達目標

1)DNA の複製過程と修復機構を説明できる。

2)セントラルドグマを説明できる。

3)転写と翻訳の過程を説明できる。

(3)生物の進化と多様性

一般目標:

生物の進化と多様性を知り、比較生物学的な見地から動物の体のつくりとはたらきを学ぶ。

【生物の進化】

到達目標

1)進化の基本的な考え方を説明できる。

2)生物種とその系統関係を概説できる。

3)アミノ酸配列や塩基配列の比較による分子系統樹を概説できる。

【生物の多様性】

到達目標

1)消化吸収系の系統発生を概説できる。

2)ガス交換と循環系の系統発生を概説できる。

3)神経系の系統発生を概説できる。

4)内分泌系の系統発生、各器官と分泌されるホルモンを概説できる。

5)体温と浸透圧調節機構の系統発生を概説できる。

6)生体防御機構を概説できる。

7)生殖系の系統発生と個体発生を概説できる。

8)精子形成、卵形成の過程を概説し、有性生殖と寿命の関係を概説できる。

9)代表的な動物の発生過程を概説できる。

(4)生態と行動

一般目標:

地球上における生物個体間の関係と相互作用を理解する。

【生物圏と生態系】

到達目標

1)生物圏の生物要因と被生物要因を概説し、主な生物群系を例示できる。

2)生態系における個体群の関係と、栄養素、エネルギーと化学物質の循環を説明できる。

3)ヒト個体群の成長の特殊性、生態系、多様性に対する危険性について概説できる。

【動物の行動】

到達目標

1)動物が示す行動は遺伝的要因と環境要因により規定されることを説明できる。

2)学習によって行動を変容できることを、例をあげて説明できる。

3)動物の認知行動について中枢神経系の機能と結びつけて概説できる。

2 個体の構成と機能

(1)細胞の構成と機能

一般目標:細胞の微細構造と機能を理解する。

(以下の文章消去)

【細胞の構造】

(準備教育モデル・コア・カリキュラム参照)

以降項目番号のみの変更

3 個体の反応(2 から3 への変更)

4 病因と病態(3 から4 への変更)

「人の死」変更点

A 基本事項

2-(2)-4)病理解剖,司法解剖,行政解剖の役割と相違点について概説できる。(削除しF-(6)へ移動)

D 全身におよぶ生理的変化、病態、診断、治療

7 人の死

一般目標:

個体の死について理解する。

到達目標:

1)死の概念と定義や生物学的な個体の死を説明できる。

2)植物状態と脳死の違いを説明できる。(5)より移動)

3)脳死判定について説明できる。(新たに作成)

4)死後変化を説明できる。(「8.死と法」より移動)

5)内因子と外因死の違いを説明できる。(「8.死と法」より用語を整理して移動)

6)外因死の種類を列挙し、内容を説明できる。(「8.死と法」より用語を整理して移動)

7)突然死の定義を説明でき、突然死を来しうる疾患を列挙できる。(「8.死と法」より用語を整理して移動)

8)ターミナルケアについて説明できる。(用語を整理)

9)尊厳死と安楽死の概念を説明できる。(4)より移動)

8 死と法:(「F 医学・医療と社会」へ移動)

【資料2-5】

F 医学・医療と社会

(6)死と法(D8 より移動)

一般目標:

死後変化と異状死体の検案について理解する。(死後変化は「人の死」へすべて移動)

到達目標:

1)異状死について説明できる。

2)異状死体の取り扱いと死体検案について説明できる。(一般目標を項目化)

3)死亡診断書と死体検案書を作成できる。(従来は「説明できる」だった)

4)個人識別の方法を説明できる。

5)病理解剖,司法解剖,行政解剖,承諾解剖について説明できる。(A2-(2)-4)より移動)

(7)診療情報(項目番号を6 から7 へ変更)

(8)臨床研究と医療(項目番号を7 から8 へ変更

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