資料1 文部科学省における対南米諸国教育協力の現状と課題

平成24年9月
大臣官房国際課
                        

1.教育協力の現状

(1)定住外国人への支援(1)定住外国人への支援
    文部科学省では、近年の経済不況等により就学困難に陥っている日系ブラジル人等定住外国人の子供への支援を図るため、平成21年12月、「定住外国人の子供の教育等に関する政策懇談会」を設置し、次の基本方針を提言。
 
  〈初等中等教育分野〉
    1 「入りやすい公立学校」の実現
    ・日本語指導体制の整備
    ・定住外国人児童生徒が、日本の学校生活に適応できるよう支援体制を整備
    ・公立小中学校へ入学・編入学する定住外国人児童生徒の受入れ体制について、制度面の検討を含め、環境整備を行うとともに、上級学校への進学や就職に向けた支援を充実
     
    2 外国人学校における教育体制の整備
    ・ブラジル人学校等の経営を安定させ、充実した教育内容を提供できるように、各種学校・準学校法人化を促進。認可権を有する都道府県に対して、適切な範囲での基準の適正化を引き続き求めていく。
 
 
  〈学校外〉
    1 学校外における学習支援
    ・標準的なカリキュラム案及び教材例集等を作成するとともに、これらの周知・活用等により日本語学習支援を充実。
    ・公立学校の授業についていくのが困難、外国人学校に在籍していて日本語学習の機会が不十分、あるいは不就学・不登校になっている子供に対して、補完的な日本語学習の機会を提供する「虹の架け橋教室」事業を実施。
 
(2)高等教育分野での支援
○ ブラジルでは、大学の国際化や科学技術発展の促進等を図るため、理系分野における学部生、大学院生等約10万人をブラジル政府奨学金で国外に留学させる「国境無き科学」プロジェクトを実施(2011~2015年)。2012年7月、当該プロジェクト実施に関し、日本側(日本学生支援機構:JASSO)とブラジル側(ブラジル高等教育支援・評価機構:CAPES、国家科学技術発展審議会:CNPq)とで双方の役割を定めた覚書を締結。
  
○ アルゼンチンでは、米州開発銀行から留学生派遣のための資金を得て、科学技術分野における日本への留学生派遣を希望しており、現在受入れ方法等について検討中。

2.課題

○ 最近の超深海油田の発見と開発の石油石化業界、再生し始めた造船業界、拡大する自動車産業界などのブラジル産業界ではエンジニアが不足してきており、工業学校や大学工学部の拡充の必要性が叫ばれている。
  
○ ブラジルを始め南米諸国からの日本への留学生は、2011年度には前年比マイナス18.1%と大幅に減少しており、ブラジルやアルゼンチン国等における日本への留学生派遣プロジェクトの活用等により受入数の増を図ることが必要。
  
○ 日系ブラジル人等定住外国人の子弟が母国に戻った場合、また日本大学等への留学等で長期間日本で生活をした後、母国に戻った場合、現地学校や社会への適応が円滑にいかないケースが多く、将来の両国の架け橋となる存在である彼らに対する適応支援を目的としたきめ細かなケアが必要。

お問合せ先

大臣官房国際課国際協力企画室

(大臣官房国際課国際協力企画室)