資料2 第5回国際協力推進会議における報告書骨子案に関する議論のポイントについて

○ASEANのODA卒業国やODAを活用できない中東産油国に対して人材育成を行うには、すべての省庁が集まるような場で大きな政策を提言する、新たなODAの枠組みを作る必要がある。グローバル人材、インフラ輸出、成長戦略等との関係を踏まえて国際教育協力の戦略を練り、省庁で実行に移す仕組みを作るべきである。新たな枠組みができれば、そのオフィスが作られてしかるべきで、そういうことも政策決定過程で決められていくべきである。 

○日本の外交や日本の産業界のニーズを踏まえて、限られた資金の中で、日本が重点を置く国・分野の判断をしなければならない。判断するためには、文科省、大学、高専、企業がそれぞれ行っている国際教育協力の情報が必要であり、それらをうまく組み合わせ、重複を排除し、予算を無駄なく使うことができれば大変効果的である。それを行うためには、情報や人のネットワークが必要である。日本が教育協力戦略をどのように相手側のニーズに合わせて構築していくか検討するためには、相手側のニーズをリサーチする人材や組織も必要である。分野別にニーズとサプライ、人材、政策ツールを組み合わせることが重要である。

日本の教育協力の強みについて、報告書に書き込む必要がある。それにより、どういうものが共通の教育協力のシーズになるかが見えてくる。これまで蓄積したノウハウで、他国に比して優れた部分を売るべきである。高等教育については特に工学、初等中等教育では、生徒中心・実験中心で動機付けを考慮した理数科教育、授業研究、しつけ教育が優れている。また、高等専門学校も評価されている。

JICAやJICEなどが有してきたノウハウをODA卒業以降も生かしながら産官学で連携することは可能か。そういったことを支援する環境づくりが、大学あるいは組織でできないか。

オールジャパンで取り組むには、産官学をコーディネートするハブ組織が必要である。それをどこの組織が行うのか。コンソーシアムがある事務局などの機能を活用するのか。ハブ組織は、日本でも必要であるし、現地のコーディネートオフィスでも必要である。 

コーディネートする人材をいかに養成するか。大学の中にプロジェクトオフィスを設置したり、企業、JICA、JICEが連携しても良い。大学の場合、国際協力に参画する体制の整備(人事、評価、給与を含む)や人材の確保が重要である。 

○国際協力を推進する人材として、対象国に長く居住し、ネットワークを築いて、対象国のニーズがどこにあるかを的確に理解して発信できる人が必要である。また、帰国した留学生や研究者をどう活用するかが大事である。国際機関を経験して、日本だけの観点だけではなく、当該国のニーズや気をつけるべき点、言語的、宗教的、社会的な面を良く知っている人を大事にする必要がある。 

○中東で、しつけ教育、理数科教育、授業研究などを実際に行う人については、協力隊のOBで現役を終える教員など、シニア人材にいるかもしれない。海外を経験したシニア人材を国際協力の中で活用することが大事である。 

既存のODAの枠組みの中で、どのように人材育成の方に割り振っていくのかという政策的な議論と提案が必要である。 

○各国における教育状況を分析した上で、自発的な教育の発展を支援することが重要である。日本の教育にとってどういうメリットがあるのか、国際協力を推進することがどのような意味を持つのかという視点も重要である。 

ODA受益国とODA卒業国をどのように組み合わせながら協力していけるかという視点も長期的には必要である。 

○ミャンマーは、資源もあり人口も多く、やることがたくさんある。カンボジアは理数教育、技術教育に強いニーズがある。戦略的に重点的に応えていくとしたら、そういうところも一つあるのではないか。 

○サウジアラビアは、しつけ教育や、理数科教育、スーパーハイスクール制度に関心がある。 

○中東では、アラビア語で高等教育を行うことが求められているため、現地の言語を習得しながら国際協力を行う日本人の人材の育成が必要である。 

○グローバル人材育成について、報告書に更に書く必要がある。 

中東の場合、パッケージ型インフラで特例は出てきているので、大学や研究施設のインフラなども含めたパッケージ協力という形を考えられないか。どの国で特例を設けて実施するかも含めて産官学で議論し、戦略を決める必要があり、プロジェクト・マネジメントを担えるJICEのような組織が重要になってくる。

 

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