北脇委員提出資料

定住外国人の子どもの教育等に関する政策提言

平成22年1月29日
東京外国語大学 多言語・多文化教育研究センター長
北脇保之

1 新たな外国人政策基本方針の打ち出し

◎出入国管理政策と並ぶ、外国人政策の柱として「社会統合政策」を打ち出す。

    ・社会統合(integration)=外国人(あるいは「移民」)の経済・社会的、文化的、政治的平等の実現を図り、外国人の完全な社会参加を可能にすることにより、その社会的底辺化を防止あるいは阻止する過程。この過程は、外国人と受入れ社会における継続的かつ双方向的過程として理解されなければならない。

    ・ヨーロッパでは外国人政策の共通概念  ○(例)ドイツの統合コース

    ・日本では、「外国人労働者問題関係省庁連絡会議」の「「生活者としての外国人」に関する総合的対応策」が策定されるも、不十分

    ・一部地方自治体が「多文化共生」の標語のもとに、実質的な社会統合政策を実施

    ・主要政策分野 

     ○言語教育 ○子どもの教育 ○雇用・職業訓練 ○社会保障 ○住宅

2 社会統合政策の一環としての教育政策の実施

◎日本語学校を活用した定住外国人のための日本語教育の実施

    ・日本語学校または有資格日本語教師の団体に、国が一定時間の日本語教育を委託

    ・財源は全額国庫負担

    ・地方自治体が日本語学校等と外国人受講者の間をコーディネート

    ・ハローワークと地方自治体が協力して、受講修了者を職業訓練または再雇用に橋渡し

    ・日本語能力評価基準および共通カリキュラムの作成

    ・日本語教育受講履歴を、在留資格更新、永住者資格賦与等の際に有利な要素として考慮

◎外国人学校に対する認証制度の創設と公的助成の実施

    ・外国人学校に対する認証制度を法定

    ・施設、教員、カリキュラム等について、学校教育法よりも要件を大幅緩和

    ・法律に基づき、地方自治体が外国人学校に対する認証・指導を行うことで、憲法89条(公の支配に属さない教育に対する助成の禁止)をクリア

    ・国および地方自治体が運営費助成

◎公立学校における外国人児童・生徒教育の標準化

    ・日本語教育の必要性の判断のためのスケールの作成

    ・公立学校編入時の年齢、日本語能力、出身国での教育履歴等による教育カリキュラム(在籍学級への完全な編入に至るまでの日本語教育、適応教育、教科教育等の構成を示すもの)および職員配置体制のモデル化

    ・上記の点を含む、外国人児童・生徒教育の指針を学習指導要領等において明示。

    ・学校教育における日本人児童・生徒と外国人児童・生徒の対等な立場を政府指針として明示。

    ・日本の「学校文化」の特殊な部分を、多文化社会の観点から見直し

◎外国人児童・生徒の多い学校に配置する外国人児童・生徒支援員への助成

    ・国籍を問わず、学校教員を補佐し、児童・生徒に母語で対応できる者を地方自治体が採用

    ・外国人児童・生徒の在籍者数に応じて、支援員の定数をルール化し、定数内の支援者の人件費は義務教育費国庫負担と同様に、国・都道府県が負担

◎義務教育就学年齢超過者に対する教育機会の柔軟な提供

    ・夜間中学の充実、学齢超過者の受入れの拡大

◎外国人コミュニティによる母文化・母語保持活動に対する支援

◎「虹の架け橋事業」の継続

 

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