佐久間委員提出資料

定住外国人の子どもの教育等に関する政策懇談会 

2010年1月6日 佐久間孝正

1.日本語科科目を教職科目に入れる

 教員になるには、教員免許状を取得していなければならず、教員免許は、教育職員免許法で規定されている。現在、日本語は教育職員免許法にない。大学(短大を含む)で日本語科目を履修・修了した場合、当科目を教育職員免許法に加えることはできないか。外国人が増え、日本語科目の資格を取得し日本語教育に関心があっても、それで教員採用試験を受けることはできない。教員採用試験は他の科目で受験し、当該科目で合格した後、面接のような所で日本語科目に関心があることを伝えなければならない。二重の負担である。

2.日本語力を測定できる基準の開発ないしは日本語力を正確に判定して受け入れを

 外国人はよく転校する。前の学校でどのレベルまでの日本語力を身につけてきたかの判断は、日本語教員による専門家の判断と本人の学力を判定する基準(の開発)が重要である。外国人児童生徒の不登校化は、しばしば転校などが引き金になっている。その理由の1つに、前在籍校での日本語力が受け入れ校で正しく把握されていないため、十分なケアがなされていないことがある。転校生の日本語力の正しい把握には、日本語教員の専門家による判断と並んで、学校間での日本語力に関する基準の明確化が必要である。

3.日本語指導員やバイリンガル相談員の雇用の安定化

 子どもの学力をあげるには、親の学校への関心を高め、学校行事に参加させることが不可欠である。これには、学校と子どもの家庭の間に入って相談にのる日本語指導員やバイリンガル相談員の役割が重要。しかしかれらの身分保障がなされておらず、多くが臨時雇用・嘱託扱いであり、採用期間はほとんどが半年や1年ごとの更新である。外国人児童生徒が増大するなかにあって、このような人々の仕事や呼称がまちまちで、臨時職員なり外部委託という形で行われている現システムは、もっと議論されてもいいのではないか。

4.スクールソーシャルワーカーの設置と資格の制度化

 文部科学省は、08年度に試験的に不登校対策としてスクールソーシャルワーカー(SSW)を全国約350の自治体に設置した。08年度は、調査研究事業としての委託であったが、今年度(09年度)は自治体がする事業への補助に変わった。外国人の多い自治体は、日本語教員やバイリンガル相談員をSSWの職員として制度化することはできないか。いろいろなSSWを学校に設置するのは無理。国よってはじめられた事業を外国人集住地区の日本語指導員やバイリンガル相談員と一本化する方法を検討してはどうか。また将来の資格には、大学のカリキュラムから考える必要がある。

5.留学生の多様化とその支援

 日本の留学生の大半がアジア系。欧米圏の学生には日本語が壁になっている。日本語教育の充実もさることながら、大学の授業を英語で履修・修了できる制度の拡充。江戸川区にはインド系のコミュニティがあるが、日本の学校には行かずに小学校はGIISに通う。その後中学生の時期には、その多くが帰国か海外に。これは大人も含め二重の損失である。

 

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