木村委員提出資料

外国人児童生徒の現状について

木村 孟

 この問題については、全国都道府県教育委員長・教育長連合会でも深刻に受け止め、21年度の総会の分科会において議論を行った。

○外国人児童生徒数

 全国都道府県教育長協議会の調査によると、公立学校に在籍する外国人児童生徒数は、平成17年69,824人、18年70,936人、19年72,751人と増加傾向。その中で、日本語指導が必要な児童生徒数は、平成17年20,692人、18年22,413人、19年25,411人となっており、これも確実に増加。比率的には、日本語指導の必要な生徒児童数の増加が顕著。

○各都道府県の現状と予想

 日本語指導が必要な外国人児童生徒数が、「今後増加傾向にある」と見ている県は26、「殆ど変わらない」は18、「減少傾向にある」は3。特に、製造業が盛んで外国人労働者の流入が多い県が増加を予測。

○就学支援について

  外国人児童生徒に関わる教育指針の策定については、「策定している」が8、「策定していない」が37、「検討中」が2。対応の遅れが目立つ。

 就学相談窓口の設置については、「設置」が9、「未設置」が34、「教育委員会以外で設置」が4。設置を急ぐべき。

 就学ガイドブックの作成については、「独自で作成している」が12、「作成していない」が34。早急に作成すべき。

○適応指導・日本語指導の取組状況について

 日本語指導を終了する際の判断については、「特定の基準は設定していない」が22で最多、次が「学校や教育委員会の担当者と本人の面接等で判断」が19。全国統一基準の速やかな設定が必要。→ 入管法の改正とも関連(後述)

 日本語指導終了後も必要な支援があるかについては、「ある」が28。日本文化・風習、学習支援、進学・就職ガイダンス等。

 支援員(相談員)等の配置については、「市町村へ配置している」が12、「配置していない」が35。早急な配置の拡充が必要。

 日本語指導用テキストについては、「作成している」が11、「作成していない」が31、「検討中」が5。

○指導に当たる教員・支援員の研修について

 教員については、「実施している」が21、「実施していない」が26。

 支援員については、「実施している」が8、「実施していない」が38、「検討中」が1。教員についても少ないが、支援員については極めて少ない。

○高等学校への進学・就職支援について

 相談会の実施については、「実施している」が10、「実施していない」が37。都道府県立高等学校の入試において、外国人生徒のために一定の枠を設けているのは14。

 支援員(相談員)等の都道府県立高等学校への配置については、「配置している」が9、「配置していない」が37、「検討中」が1。

 就職支援については、「実施している」が3、「実施していない」44。

○入管法の改正に向けて

 第5次出入国管理懇談会では、報告書の審議を終了。近々法務大臣に提出の予定。

 報告書の提案の一つの大きなポイントは、日系人の入国の条件として、「独立して生計を営む能力」を付加したこと。二番目が、「日本語能力」を入国、在留、永住許可等における考慮要素とするとしたこと。法務省では、報告書を受け取り次第、基本計画の策定に着手し、今年度末までに完成させる予定と聞いている。

●全体的コメント

 外国人児童生徒に対する取組状況は、各地方自治体によってかなり異なるが、全国的にみると極めて遅れている。知事会、市町村長会、教育委員長協議会、教育長協議会等で早急に、対応策を検討する必要がある。ただ、日系人については、入国等の条件が厳しくなるので、今後問題が緩和される可能性はある。

 いずれにしても、現状把握のため、全国的な精密な調査が必要。

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