中島章夫
研究仲間の大半が国際学校(広い意味での)の仲間であるため、MYPプログラムを日本語で実施することに強い抵抗があった。しかし、IBプログラムの中で最も遅く開発されて、しかも八つの教科の内容については縛りをかけず(むしろ各国・各地のプログラムに任せて)、中心をなすパーソナルプロジェクトや相互作用の領域を重視した考え方からして、1. むしろ英語でいきなり実施しようとすることよりも、哲学を明確に理解してカリキュラムと指導方針を共有することの方が大切な要求であると直感した。また、2. わが国自身の中等教育特に中学校教育が大きな問題を抱えているために、MYPを活用する必要があると考えた。3. 中学校年代の子供に英語の学習を強いることによって、半面失われる可能性のある豊かな文学的・人間的素養の教育の方を重視したいと考えた。
2006 | 2007 | |
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学校数でみると: | DP 66%(1452校) MYP 22%(501校) PYP 12%(279校) |
63%(1593校) 22%(548校) 15%(369校) |
生徒数で見ると: | DP 33% MYP 43% PYP 24% |
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学校数を国家の所得形態別でみると: | 高収入国家 73% 中の上国家 13% 中の下国家 10% 低収入国家 4% |
2004年以来 From Growth to Access をIBOの政策方針としている。
“Access is enabling more students to experience and benefit from IB education,
regardless of personal circumstances”
1)どのような発達段階と課題をもった子どもをどのような方向に育てるか
2)学校としてどのような組織体制でその課題に取り組むか
3)最終的な到達目標は何か
教育目標をできるだけ分かりやすく簡素化して列記した。ここでは、仮に「IBを学ぶ人の人間象」の10の目標を取り上げた。それらを次のようにカテゴライズした。
(1) 知的独立への道筋に関するもの
(2) 社会的に活用するに際しての道筋に関するもの
(3) 国際社会で責任あるリーダーとなるための道筋に関するものに
特にこれら重要な目標を実現するに際しての、各教科等の役割分担の在り方について、学年・学期・特別プロジェクト毎に教職員の間で共通理解を得ておくことの大切さを記した。
この目標の設定については、各学校ごと地域ごとあるいは教育委員会単位等で使いやすく焦点化しやすいように整理してみるとよい。
道徳教育の目標を実現するに当たっては、各教科等が協力体制を組んで、学期重点目標や学年重点目標を立て、事前にどのような指導展開をしていくかについての調整を行うことの大切さを記した。指導要領に示された道徳の目標の活用と、その中の「主として集団や社会とのかかわりに関すること」の各徳目の実現のためには、社会科や国語などの教科と連携を図ることの大切さを記した。
特に現在の中学校教育において見過ごされている重要な指導上の課題を列挙してみたもので、学校によって様々な強調点の示し方があろう。
教師の労働条件平等のための割り振り時間表の排除。とくに、カリキュラム編成戦略会議と週1回程度の指導計画会議の重要性。
2008‐08‐19
大臣官房国際課国際協力政策室