国際教育交流政策懇談会(第4回)議事要旨(案)

1.日時

平成21年4月15日(水曜日)15時~17時

2.場所

文部科学省3F2特別会議室

3.議事

(1)「定住外国人の子どもの就学支援に関する提言」について
(2)グローバル化時代における日本の初等中等教育
(3)その他

4.配付資料

資料1 国際教育交流政策懇談会(第3回)議事要旨(案)
資料2 定住外国人の子どもの就学支援に関する緊急提言
資料3 笄小における国際教育の取り組み(港区立笄小学校提出資料)
資料4 青年海外協力隊における活動:日本の教育の強みと帰国後の活動(新潟大学教育学部附属新潟小学校清野教諭提出資料)
参考資料1 国際教育推進プラン
参考資料2‐1 小学校における外国語活動の導入について
参考資料2‐2 英語教育改革総合プラン2009
参考資料3 青年海外協力隊・日系社会青年ボランティア「現職教員特別参加制度」
参考資料4 「科学技術の状況に係る総合的意識調査(定点調査)」2008年度調査の結果について
参考資料5 日本人学生の留学に関する意識調査結果(8大学工学教育プログラム・グローバル化推進委員会)

5.出席者

(委員)
金澤座長、田村座長代理、池上委員、池田委員、織作委員、川勝委員、佐藤委員、角南委員、田中委員、牟田委員、渡辺委員

(有識者)
萱野港区立笄小学校長、浅田同小学校教諭、同小学校保護者、清野新潟大学附属新潟小学校教諭

(文部科学省)
塩谷文部科学大臣、銭谷事務次官、玉井文部科学審議官、木曽国際統括官、芝田大臣官房国際課長、藤原大臣官房会計課長他

6.議事概要

(1)「定住外国人の子どもの就学支援に関する提言」について

  • ブラジル人学校等の教育に関するワーキング・グループ座長である池上委員より、資料2により「定住外国人の子どもの就学支援に関する緊急提言」について説明があった後、池上委員より塩谷文部科学大臣へ本提言を手交した。
  • 塩谷文部科学大臣より本提言を受けて以下の通り挨拶があった。

【塩谷大臣】

 ブラジル人の子どもの日本語教育や日本の生活への適応支援などの充実のために補正予算で対応したい。また、補正予算で、日本の研究者と学生等の留学を促進するための経費も計上しており、今後その具体的な実現方法や、国際化において教育をどうするかといった点について、御意見や御提言をいただきたい。

(2)グローバル化時代における日本の初等中等教育

  • 事務局より、参考資料1~5に基づき説明が行われた後、萱野港区立笄小学校長他から、異文化を背景にもつ子どもが一定数学校にいることが日本の子どもに与える影響、小学校における外国語活動、外国人の保護者が敢えて選ぶ日本の学校の魅力等について発表があった。
  • 続いて、清野新潟大学教育学部附属新潟小学校教諭より、資料4に基づき青年海外協力隊における活動を通じて実感した日本の教育の強みと帰国後の活動について発表があった。その後、自由討議が行われたところ、概要は以下の通り。

【委員】

 学内行事案内が日本語だけで作成されているため、外国人の児童及び保護者は不便を感じることがあるということだが、大学でも同様の悩みを有している。文書を英語化するのは労力を要する。今後笄小学校ではどのように取り組もうとされているか教えていただきたい。

【萱野校長】

 学校便りの大事な部分を英語に直したり、重要な通知文書は別刷りで英語版を作成している。全てのものを英語で作成するというところまでは至っていないが、いろいろな形で発信する必要があると感じている。

【委員】

 笄小学校では日本語学級や国際教育への取り組みを積極的に行っているが、他の学校ではなかなか同じ水準ではできない。もし他の学校においても新たに同様の取組を行う場合、最低限どの程度の行政的な援助が必要か。

【萱野校長】

 港区では、全ての小学校に2~3名の英語ネイティブ・スピーカーが配置されている。予算化されることは大事である。また、本校では外国籍の方や英語のできる日本人の保護者が多く、また、通訳を呼ぶことができる制度もある。このような制度が全国的に普及するとよいと思う。地域によっては、中国語や韓国語など英語以外の言語で同様の対応が図られることも考えられるのではないか。

【委員】

 学校間で国際交流を開始する時に、使用言語をどうするか解決しておかなければならない。私の学校の場合、中国の学校と交流しているが、中国側は日本にとって中国語で交流することはメリットがあると考えている。どの言語で交流しているのか。

【萱野校長】

 日本語で交流している。日本の学校に入学してきている外国人の子どもたちは、日本語や日本文化を学びたいという意識があると考えている。

【委員】

 昨年7月にとりまとめた「外国人児童生徒教育の充実方策について(報告)」では、教育の場における多文化共生社会に最終的に言及しなかった。日本の教育の場で、日本の指導要領に基づき教育を実施し、日本語を覚えて参画してもらうことは当然のことである。笄小学校では、その中でできるだけ外国人の方に入ってきてもらう努力をされていると思う。よく、外国人から日本の教育には論理性を鍛えるためのディベートやロールプレイング形式の授業などが不足していると言われるが、笄小学校ではどうされているのか。

【浅田教諭】

 論理性についての教育は、国語教育の中で行っている。

【委員】

 道徳教育に関連して、日本の学校では日本の価値観を中心に教えるということは当然であるが、笄小学校のように国際的な環境で子どもたちが多様な価値観を共有することは、より他者を理解したり、尊重することにもつながり、道徳や徳育、礼儀作法を自然に体得できるのではないかという印象を持った。徳育や道徳教育について、特別に実施されていることはあるか。

【萱野校長】

 日本籍、外国籍の児童にかかわらず、日本の教育のすばらしいものは定着させ、礼儀なり身につけさせなければならないことは指導していく。その中で、多様性や、多文化的なものを理解させていくことが大事である。

【委員】

 日本のことを知るには日本だけを知っているのではいけないのではないか。例えば、論理的なことを伝えるときに、日本語より英語の方が早く伝わる場合がある。そのように、新しい言葉を知ると教育が変わる面があるはずである。

【委員】

 青年海外協力隊に参加した教員を、日本の学校における国際教育に活用することは重要である。
 パソコン入力は、大半が「かな入力」ではなく「ローマ字入力」によるものである。日本語をローマ字でわかりやすく外国人に伝え、コミュニケーションの深化を図ることができるのではないか。
 学校の国際化においては校長の明確な方針など、校長が果たす役割は極めて大きい。

【委員】

 海外での教育実践では、算数、数学という普遍的な科目が教えやすいのか。

【清野教諭】

 JICAの派遣事業では、体育、音楽、図工分野も多いが、多くの途上国では国語と算数が重視されているので、算数での協力は大きい。

【委員】

 笄小学校のような取組は清野先生のいらっしゃる新潟県でも可能か。

【清野教諭】

 新潟では、中国、韓国、ロシアとのつながりが強くなってきているので、特に都市部では、アジア圏に近いことを生かして、東アジアの近隣諸国と連携した取組ができるのではないか。

7.次回以降の日程

  • 次回は日本の教育の特徴を生かした国際交流・協力などをテーマとして、6月2日(火曜日)13時~15時に開催予定。

以上

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大臣官房局国際課国際協力政策室

(大臣官房局国際課国際協力政策室)