国際教育交流政策懇談会(第2回)議事要旨(案)

 1.日時  

平成21年2月27日金曜日 16時から18時

2.場所  

文部科学省16階特別会議室

3.議事

(1)グローバル化における日本の教育の課題

(2)その他

4.配付資料

資料1  国際教育交流政策懇談会(第1回)議事要旨(案)

資料2  参考基礎データ

資料3  角南委員配付資料

資料4  高橋委員配付資料

5.出席者

(委員)金澤座長、田村座長代理、池上委員、池田委員、川勝委員、佐藤委員、角南委員、高橋委員、田勢委員、田中委員、恒川委員、牟田委員、渡辺委員

(文部科学省)銭谷事務次官、木曽国際統括官、芝田大臣官房国際課長、藤原大臣官房会計課長

6.議事概要

(1)グローバル化における日本の教育の課題

•   事務局より、資料2について説明があった後、角南委員より資料3に基づき高度人材とイノベーションについて、高橋委員より資料4に基づきグローバル経済と求められる人材について、それぞれ発表あった。

•   自由討議の概要は以下の通り。

 

【委員】

外国人留学生について、日本の観点からはせっかく来た優秀な人材を日本社会に取り込みたいが、企業の採用は少なく、留学生が大学教育を受けても出口がないことが問題である。

 

【委員】

日本は国際社会において規模の確保よりも知恵や説得力の獲得を目指すべきである。そのためには知恵や説得力をもつ人材を大量に育成することと、有能な人材に日本に来てもらい定着してもらうことが重要である。奨学金制度は、国費、民間ともに、当該国との友好関係の維持や日本に既に来ている留学生の生活補助といった、消極的な目的のものが多く、積極的に外国にいる人材を日本に呼び寄せるための資金という発想にとぼしい。国費留学生は大使館推薦にくわえて、各大学に留学生を呼び寄せるための奨学金としてかなりの部分を配分すべきではないか。世界の有力大学は奨学金を使って有能な学生を集めている。

【委員】

教育交流は、言語の問題に帰着する。日本では圧倒的に日本語で教育がなされているが、大学院での日本語の勉強は留学生にとって負荷が大きい。英語のウェイトを上げるべきである。

日本人学生を出す場合も、ユニバーサル・ランゲージの英語に加え、数学をどう教えるかが重要である。英語は、日本語をしっかり教えた上で教えるべきである。

 

【委員】

日本人の若者は先進国のみではなく、途上国にも積極的に行くべきである。青年海外協力隊で途上国の生活を経験した若者は、人間的に成長して戻って来る者が多い。

 

【委員】

国内のブラジル人等外国人の子どもは経済危機で苦しい立場にあるが、人道支援の観点から手厚くサポートしていく必要がある。

JICAの青年海外協力隊の活動は貴重な留学経験のために奨学金を出しているようなものである。新しい留学の形として学位を与えるような仕組みができないか。

日本の農業の品種改良技術は優れており、日本の一次産業は成長分野である。一次産業に留学生を取り込んでいくべきである。国際化は日本列島全体を活性化する。

 

【委員】

若者が外国に無関心であることが問題である。より早い段階、できれば高校レベルで外国へ行かせて、違う生活があることを体験させることが大事である。学問を発展させるためには、国際交流は不可欠である。

米国には、奨学金が受けられ、しかもTOEFLの点数が低くても入れる大学がある。外国人留学生の入口を狭めるのではなく、来てもらってから日本語教育をしても遅くない。

 

【委員】

理工学系のポスドクは安定した職が確保できておらず問題である。研究者を養成することと、彼らのその後の進路についても留学生の問題と同時に考えなければならない。

 

【委員】

企業の採用が減っている中で、学生の就職口として、公益法人、NPO、ソーシャル・エンタープライズ等これまでとは違う「受け皿」を社会インフラとして整備する必要があるのではないか。これまで、公に対する教育が十分ではなく、個人の尊厳と対になる公共の精神が失われてきた。お金がすべてではなく、公益の推進にチャレンジする若者が増えてほしい。これからの時代に利益追求の一辺倒では持たない。

 

【委員】

志を育てる教育が重要である。内向きの若者は出て行かないだけでなく、外のことを知ろうともしない。外国人留学生の受入れに係る予算に比して、日本人の若者を「外」に出すための予算措置が少なすぎる。米国では留学を大学の卒業要件に加える大学もあるが、日本でも、卒業認定のプラス要素とするなどの工夫はできる。

65歳以上人口のイニシャルな教育投資が終わっている人材の活用が日本の将来を左右する。例えば、日本企業で定年を迎えた人が近隣国で企業活動の支援をしている。国際交流に係る要素の一つとして、国内でもこのような人材を適切に活用していくことが重要である。

 

【委員】

早すぎる就職活動が学生を留学や学問から遠ざける一因なのではないか。外どころか内にも関心がない若者が多い。

 

【委員】

社会人学生を積極的に受入れるべきである。社会人が、大学で勉強するメリットを見出すことができるよう魅力ある大学作りが大切である。

ODAで途上国の大学教員の受入れを更に促進すべきである。共同研究の促進や、途上国の教員が自らの学生を日本に送り出したりと、長い目で見て日本との交流に資する。世代を超えた留学生のリピーターを増やしていくべきである。

 

【委員】

日本の大学では、学長もほとんど日本人であるが、教育の国際化のためには、教員の国際化が必要である。日本の先生による日本の青年のための日本語の教育ではなく、内外の先生による内外の若者のための教育にパラダイムシフトしなければならない。

 

【委員】

留学生30万人計画では、英語による学位取得プログラムが一人歩きしている。大学院レベルでは英語だけで学位がとれるプログラムを増やすのは重要であるが、学部レベルでは「英語だけで」にとらわれる必要はない。学部時代に4年間も日本にいて英語しかできない学生を育てるのは問題。学部では、日本人、英語圏からの留学生は日本語・英語のバイリンガルに、英語圏以外の留学生は、日本語・英語・母国語のトリリンガルになれるというのが理想ではないか。増やすべきプログラムは、入学時に日本語が十分できなくても学部受験ができ、卒業時には高等教育に加え日本語と英語が習得できるというのが、日本社会や留学生のニーズとも一致し、日本で行う教育としてあるべき姿ではないか。

 

【委員】

高等教育レベルだけでなく、他の世代の教育についても今後、議論したい。

 

7.次回以降の日程

•   次回は3月17日火曜日10時から12時、次々回は4月15日水曜日15時から17時に開催する予定である旨事務局から説明があった。

以上

 

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(大臣官房国際課国際協力政策室)