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グローバル化と教育に関して議論していただきたい論点例

1.本懇談会の趣旨について

 文部科学省においては、従来より初等中等教育分野、高等教育分野、国際教育協力分野、その他個別の分野におけるグローバル化への対応や国際化について、中央教育審議会を始めとする様々な場で議論が行われてきた。本懇談会は、いかにグローバル化に乗り遅れないようにするかというこれまでの観点に加え、グローバル化がもたらす問題を含む諸課題に対する教育分野における日本型の対応を横断的に探り、政策の選択肢を増やすことに資する検討を行っていただき、提言を得ることを目指す。

2.グローバル化に関する整理

(1)グローバル化とは

 「グローバル化」とは、情報通信技術の進展、交通手段の発達による移動の容易化、市場の国際的な開放等により、人、物材、情報の国際的移動が活性化して、様々な分野で「国境」の意義があいまいになるとともに、各国が相互に依存し、他国や国際社会の動向を無視できなくなっている現象ととらえることができる。特に「知」はもともと容易に国境を越えるものであることから、グローバル化は教育と密接な関わりをもつ。さらに「国際化」はグローバル化に対応していく過程ととらえることができる。教育分野では、諸外国との教育交流、外国人材の受入れ、グローバル化に対応できる人材の養成などの形で、国際化が進展している。

(2)グローバル化と市場主義

 グローバル化の進展とともに、政策上の課題や社会問題に対する対応策は政府によるものよりも市場原理に任せた方がよいとする動きも広がった。これにより市場開放と自由貿易が進展し、競争主義が浸透するとともに、小さな政府や地方分権が指向されるようになった。我が国では、教育分野において、高等教育における評価に基づく競争主義的施策が導入されたのに続き、初等中等教育分野においても評価の導入が進んできている。また初等中等教育の行政面において地方分権が進んだ。さらに高等教育においては、国立大学の法人化や競争的資金の拡充といった変化をもたらした。

(3)グローバル化と教育の関係

 知識基盤社会化やグローバル化は、アイディアなどの知識そのものや人材をめぐる国際競争を加速させるとともに、製造業等の海外移転による国内雇用の変化をもたらしている。また、異なる文化との共存や国際協力の必要性を増大させている。
 また、事前規制社会から事後チェック社会への転換が行われており、社会経済の各分野での規制緩和や制度改革が進んでいる。これらを背景に進展している競争社会において、自己の能力を発揮し社会に貢献するためには、基礎的・基本的な知識・技能の習得やそれらを活用して課題を見いだし、解決するための思考力・判断力・表現力等が必要である。しかも、知識・技能は、陳腐化しないよう常に更新する必要がある。生涯にわたって学ぶことが求められており、学校教育にはそのための重要な基盤づくりの役割も期待されている。
 同時に、「共存・協力」も必要である。国や社会の間を情報や人材が行き交い、相互に密接・複雑に関連する中で、世界や我が国社会が持続可能な発展*1 を遂げるためには、環境問題や少子・高齢化といった課題に協力しながら積極的に対応することが求められる。このような社会では、異文化を背景に持つ者や自然と共に生きることができる寛容な精神を涵養することが求められる。
 また、グローバル化の中で、自分とは異なる文化や歴史に立脚する人々と共存していくためには、自らの国や地域の伝統や文化についての理解を深め、尊重する態度を身に付けることが重要になっている。

3. 具体的な論点例

(1)グローバル化が進展する中で日本で教育を受ける利点

 グローバル化が進展する中、我が国で教育を受ける利点とは何か。日本の教育の強みと課題は何か。それは、日本で生まれ育つ者や留学生にとってどのような意味をもつものなのか。日本で教育を受けた者はグローバル化する世界でどのような役割を担うのか。

(2)グローバル化する世界の中で文化の多様性を尊重し受け入れる寛容な姿勢を育むための国際教育交流・協力

 グローバル化に伴い、地球規模での相互連結性が高まり、異なる文化・文明の接点が大規模に広がっていく。このことは異なる倫理観・価値観の間での摩擦を生み出す危険性が高まっていくことを意味している。このため、異なる文化・文明を理解、尊重し受け入れる寛容さが国際的な摩擦を緩和し、平和な国際社会を維持する上で重要となる。また、たとえ、文化・文明が異なる国や地域に属していても、共有できる倫理観や価値観があることに気づくことも同様に重要である。このような精神的寛容さを培い、共通の倫理観・価値観を確認するためには、実際に異文化・文明に属する人びとと接触する機会を増やすことが重要であり、国際教育交流を通じた取り組みが必要である。このような観点からどのように国際教育交流を進めるべきか。

(3)世界共通の価値観や世界規模の課題に対応する姿勢を育むための国際教育交流・協力

 グローバル化が進展する中、世界共通の価値観や世界規模の課題に対応する姿勢を育むことが重要である。特に、地球温暖化問題をはじめ、様々な環境問題が複雑化、深刻化し、環境面からの持続可能性への配慮が大きな課題となる中、持続可能な社会の構築に向けた教育の理念がますます重要になっている。
 こうした状況の下で、我が国が提唱し、ユネスコの主導により国際的に推進されている持続可能な発展のための教育※1(ESD(持続発展教育))の意義はますます大きくなっている。我が国が、ESDの地球規模での推進に貢献できるよう、どのように国際教育交流・協力を進めるべきか。

(4)世界における日本の人材育成の役割

 グローバル化の進展は、経済発展を促し、人々に新たな機会をもたらす一方、富の偏在化や国境を越えた気候変動、感染症、テロ、経済危機の拡大といった地球規模の課題への対応も迫るものである。それらは、世界の資源に依存する日本を含む国際社会の安定と繁栄を脅かし、開発途上国ではより深刻な脅威となっている。グローバル化に伴って途上国が直面する多様な課題の解決に、日本が行っている教育の強みを生かした人材育成はどのように貢献できるのか。

(5)国際教育交流・協力を推進する上での中長期的指針

 これまでの国際教育交流・協力政策の中には、相手国からの要請に基づいて実施されてきているものも多く、必ずしも我が国の中長期的な政策に沿って展開されてきているわけではない。限られた人的・財政的資源の中で有効な国際教育交流・協力を推進していくためには、グローバル化の進展への対応も含めて我が国として、どのような方針の策定が必要か。

(6)グローバル化が教育に投げかける課題と対応の方向性

 グローバル化に伴う市場主義や競争主義の進展とともに、教育分野にどのような影響や課題が生じているか。課題の一つと考えられる機会の平等の確保と格差の是正を日本の教育においてどのように実現することができるのか。
 ※1 2004年(平成16年)の国連総会において、持続可能な発展のためには、教育が極めて重要な役割を担うとの認識の下、我が国の提案により2005年(平成17年)より始まる10年間を「国連持続可能な発展のための教育の10年」(ESD:Education for Sustainable Development)とすることが全会一致で決議された。なお、持続可能な発展とは、「環境と開発に関する世界委員会」が1987年(昭和62年)に公表した報告書で取り上げられた概念であり、将来の世代の欲求を満たしつつ、現在の世代の欲求も満足させるような発展を指し、環境の保全、経済の開発、社会の発展を調和の下に進めていくことを目指している。なお、ESDは当初「持続可能な開発のための教育」と訳されていたが、日本ユネスコ国内委員会の提言(2008年2月)を受け、国内におけるESDの普及促進のため、「持続可能な発展のための教育」と訳し、「持続発展教育」の略称を用いている。

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大臣官房局国際課国際協力政策室

(大臣官房局国際課国際協力政策室)

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