片山 信彦
ストリート・チルドレンや孤児など最も困難な状況にある子どもたちに対するアプローチと、スラムに暮らす極貧家庭の子どもへの教育支援が最も高いニーズである。ストリート・チルドレンへの支援は初等教育だけの支援では不十分であり、家族との和解を進めるためのカウンセリング、職業訓練、意思決定スキルなどのライフ・スキル教育、更には家族への支援が必要になる。スラムにおいては貧困から抜け出すための各種支援を複合的に実施する必要がある。
農村部における優先課題は、食糧・医療・保健衛生・収入増加であるケースが多く、初等教育だけを推し進めても教育効果や住民の積極的な参加を得ることが難しい。初等教育の支援に限定することなく他のセクターへの支援も同時並行的に実施していく必要がある。特にアフリカにおいてはHIV/AIDSへの対応なくしては教育支援が成り立たない。更に、村落部の小学校は、コミュニティーにおける唯一の公的ネットワークの場である場合が多く、近代知識や村の変革の拠点としての機能を有している点を考慮し、その役割を強化することも重要である。
社会インフラが破壊された状態の中では、まずは校舎建設、教科書・教材の支給等のハード面への支援が優先課題であるが、教育制度の建て直し、教師の配置、トラウマ・ケア-などのソフト面での支援が重要となる。
デイケア-センター等の運営を通して、就学の機会を逃した子どもへの就学のチャンスを与えると共に、幼い子どもに対しては基本的な行動様式や社会性を身につける機会を提供し、小学校入学の準備を行う。また、親に対して就学の重要性を啓発し、子どもの小学校への就学を確実なものとする。
学校のカリキュラムや教育内容にNGOが直接係ることは難しいが、教育環境の整備(学校建設、机・いすの支給、トイレの設置、給食等)や教師の再教育への支援、貧困家庭の子どもたちへの予防注射・健康診断の実施、制服、教材の支給などを行う。
学校外において補習クラス(日本での学童保育)やストリート・チルドレンのための施設を運営し、学習の習慣を身に付けさせ、学力アップを図り、ドロップ・アウトを防ぐ。また、ライフ・スキル教育を行う。
成人への識字、職業教育を実施し、収入増加のための各種の活動に生かせるようにする。
大臣官房国際課国際協力政策室