令和3年5月12日(水曜日) 14時00分~16時00分
Web会議
遠藤 守 【主査】
青木 一彦
渥美 正博
石田 真康
稲谷 芳文
大貫 美鈴
小川 厚
新谷 美保子
竹森 祐樹
津田 佳明
中須賀 真一
永田 晴紀
福島 康仁
牧野 隆
武者 智宏
研究開発局長 生川 浩史
大臣官房審議官 長野 裕子
宇宙開発利用課課長 福井 俊英
宇宙開発利用課企画官 笠谷 圭吾
宇宙開発利用課課長補佐 渡邉 真人
宇宙開発利用課課長補佐 岡屋 俊一
(説明者)
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
理事 張替 正敏
研究開発部門
第四研究ユニット ユニット長 沖田 耕一
【遠藤主査】遠藤です。
それでは、皆様お集まりのようですので、ただいまから文部科学省研究開発局主催の革新的将来宇宙輸送システム実現に向けたロードマップ検討会の今回第9回でございますが、開催させていただきます。
委員の皆様には、御多忙のところをお集まりいただきました。ありがとうございます。
まず、事務局から事務的な確認をお願いいたします。
【笠谷企画官(事務局)】文部科学省事務局でございます。
本日は、革新的将来宇宙輸送システム実現に向けたロードマップ検討会に御所属いただいている16名の委員のうち、15名の委員に御出席いただく予定でございます。
次に、本日の資料ですが、お手元の議事次第4ポツのとおりです。
オンラインの状況について、音声がつながらない等の問題等がございましたら、事務局へメール、電話等で御連絡ください。オンラインシステムの運用上の注意事項等は事前送付いたしました運用手引きを御参照ください。
事務連絡は以上です。
【遠藤主査】ありがとうございます。
それでは、早速議事に入りたいと思います。
議題は、「革新的将来宇宙輸送システム実現に向けたロードマップ検討会中間取りまとめ(案)」についてでございます。
前回、事務局から中間取りまとめ案の骨子の説明がございました。これに対して、委員の皆様からは活発な御意見を頂いております。ありがとうございました。それを受けまして、事務局の方で今回御提示しております中間取りまとめ案を作成しております。
ではまず、事務局から、本日の資料について御説明をお願いいたします。
【笠谷企画官(事務局)】文部科学省事務局です。
それでは、中間取りまとめ案について御説明させていただきます。
私から説明させていただく資料でございますが、まず、資料9-1、これは中間取りまとめ案の報告書的なものでございます。ワードの20ページものになっているものです。資料9-2がパワーポイントになっておりまして、これはある種、概要的なものでございます。資料9-3が正にロードマップの概念を図で示したものでございます。
(資料9-1、9-2及び9-3について説明)
【遠藤主査】ありがとうございます。
今の事務局からの資料説明を基に、中間取りまとめ案について、委員の皆様の御意見、御議論を頂きたいと思っておりますが、順序としては、前回もそうだったと思うのですが、第1章から主に第4章の役割分担のところが議論の中心になると思います。この役割分担に関連して、稲谷委員に以前、プレゼンしていただいておりますが、その事業化に向けた推進の考え方ということで、先ほども事務局からの説明で少し触れていただきましたが、宇宙旅客輸送推進協議会の構想がほぼまとまっているようでございますので、まず稲谷委員から今お手元にある資料の御説明を頂いて、それも踏まえて皆様の御議論をお願いしたいと思います。
それでは、稲谷委員、御説明をお願いできますか。
【稲谷委員】はい。資料9-4で説明させていただきます。
私のプレゼンの内容は、この数年間、次の輸送の目標設定、あるいはそれに向かってどういう活動をしていくかという議論の中で、結果として今日の議論のように、国と民間の両輪という議論もありましたが、民間の側にそういうボディーをしっかりつくるということが重要であろうということで、それに向けていろいろな活動をしてまいりました。幸いにして賛同する方も出て、民間の側にそういう固まりをつくっていくということについて動きができてきていますので、その状況についてお話をさせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
それから、この活動に至る前段で、私と東京大学の中須賀先生が発起人になって勉強会を始めた結果として今日の状況があるということですのでこの二人の名前で書いておりますが、この二人のみならず多くの協力者、賛同者の方がおられてこの状況になっているということも最初に申し上げさせていただきたいと思います。
それから、内容については、先ほど笠谷さんの御説明にありましたように、
大きな議論のできる目標設定をどうするかということ、それから、民間による体制の構想といいますか、コンセプト、それと、この協議会の準備状況という三つの内容についてお話をさせていただきます。よろしくお願いします。
一つは、先ほど申しましたが、宇宙活動というものは国中心でやってきたという時代から、次の展開をどうするかという状況になっているので、中期、長期の10年、20年という時間のスケールを踏まえた大きな目標を設定して世の中を前へ進める、そういうスコープで活動していきたいものである、そういうことを考え方の基としてやりました。
そのときに、大きなマーケットポテンシャルというものがどの辺にあるかということになりますと、航空輸送の世界、あるいは地上の輸送の世界もそうですが、人を運ぶという世界に接することで生まれる大きなマーケットポテンシャル、そういうものを将来の巨大市場と考える、例えば現在の民間航空輸送の世界は100兆円という規模の市場があるわけです。いきなりそこまで行くことはなかなか難しいかもしれませんが、桁の意味では、例えば10兆円とか、そういう規模のマーケットをイメージしつつ、それぐらいの収入予測があるとある種の大規模な投資もされるであろうということとセットで、人を運ぶということを考えることが良いと。
それから、航空輸送の世界は出来上がっている世界があるわけですが、やはり我々は宇宙への輸送ということを考え、地球を出る、それから地球を出て更に月や火星という議論もあります。そういう活動が現在は輸送のコストが高いため非常な制約を受けています。そこを解消するために、宇宙への輸送のコストを大幅に下げる、あるいは人が乗るぐらい安全になる、極端に言えば一般の人が切符を買って行ける、そういう世界をつくることができれば宇宙の活動は飛躍的に広がる。そういうことをイメージしてやりたいということが1点目です。
それから、事業として行う「有人輸送」を考えますと、そのマーケットが求める輸送体系、機体システム、そういうものを構築していくということになりますので、マーケットが獲得できることからバックキャストしていろいろな開発体制とか、そういうものをつくっていくこと。それから、その出来上がった体系が輸送事業あるいはサービスも含めて可能であれば日本の基幹産業となっていくということを10年、20年かけてやっていくということを考えてはどうかと、そんなことを考えます。
それから、一方では、アメリカの民間などがある種先行して、再使用等を始めています。それよりもより高い技術あるいはゴール設定をすることによって、10年、20年の時間のうちにそれらに比べてより優位性あるいは差別化することのできるソリューションを導くことをする、後追いの開発ではなくて先に進んだことをやって先行他者を置き去りにするといいますか、後から彼らがついてくるというぐらいの大きな高い目標設定することを考える。
そういうことをやるためには、これも先ほど来、笠谷さんがおっしゃっていたと思うのですが、国の宇宙開発という主導体制がこれまでできていたわけですが、逆に、民間主導で推進するような事業計画に国が貢献したり支援したりしていくという新しい国と民間の関係をつくっていくということが求められます。そのために民間側にどういう体系をつくったらいいかということを具体化することを頭に入れてやっていこうと思っています。
これは目標の一例ですが、高速の大陸間輸送事業、これは航空輸送の世界では1.5億人/年ぐらいの旅客がいます。その中の1%でも獲得することができればということになりますと年間の輸送客というのは100万人ぐらいを想定することになり、チケットプライスを幾らにするかとかいろいろな議論がありますが、ある調査によれば、その人たちで非常に大きなマーケットが構成できると。同様に、一般大衆の「宇宙旅行」もスタディーがされている例がありまして、どちらも数兆円から10兆円というような規模のマーケットを期待することができる。これを詳細に御説明することは省きますが、そういう規模の人を輸送するという世界をつくろうということを基本にしてはということが今回の提案であります。
それをゴールにして、ここにあります「宇宙旅客輸送推進協議会」を立ち上げてはどうかということで、その準備をしてきています。その設立の趣旨は、今申し上げたことの繰り返しになりますが、革新的な宇宙輸送システムによって抜本的な低コスト化と旅客輸送と言えるほどの体系をつくって大きなマーケットを構成する。その実現のための段階的な発展も含めて、サブオービタルから宇宙空間を利用した二地点間飛行、低軌道輸送、それらの実現によって更に地球周回から月以遠への輸送を自在に、経済的な重要性をもって培っていけるようにする、そのための体系をつくっていく、その準備をするための活動をすることが設置の趣旨であります。
少しビジーな絵で申し訳ありませんが、横軸は時間で、先ほど来申しました大きなマーケットが中ほどにあって、これが成長するさま、民間によるビジネス拡大と旅客輸送マーケットの成長があって、上の段にあるような赤い箱の民間のボディーと国が連携をすることによってこの活動を進めていこうと考えています。その中で、この「宇宙旅客輸送推進協議会」は、少しこれは後で申しますが、実行するボディーそのものをどうやってつくるか、あるいはそういうボディーが出てくるための環境整備、準備活動というものをしましょうということがこの位置づけであります。
黄色い階段のところは段階的な発展のプロセスということで、先の最終目標の有人輸送機、どういうシステム形態か、どういう技術か、どういうエンジンかということはここでは議論いたしませんが、優れた技術によって差別化するということを条件にすることは先ほど申しました通りですが、そのためにやはり高いレベルの技術を段階的に実証しつつ、その各実証段階で可能であれば事業化しビジネスとして発展させていくという形の階段を進んでいく。
またそのときの投資規模のイメージとしては、第一段階としては100億円の規模、第二段階ではその10倍、第三段階は更にその10倍というような段階的に非常に大きな規模の投資を獲得していかないと先ほどの最終ゴールにはたどり着けない状態ですが、逆に一足飛びにそこまで行くということもまたなかなか困難な話でありますので、先行するアメリカ民間などとの差別化をどの段階でやっていくかということも意識しながら、こういう段階的な発展をしていくのであると。
一番下の段には、その過程で国の先端的な高度な研究開発、制度整備等の支援、それから資金的に、アメリカなどでは「完成したら国が使う」というような保障の下で民間支援をする仕組みが動いておりますので、そういう資金的な支援等を国側から獲得できることでその黄色の階段を民間主体で進めていった結果として赤い成長するマーケットが生み出されるという流れです。
こういう図柄を描いた上で、「協議会」がそういう流れをスタートさせることになれば幸いです。このようなイメージで協議会の位置づけと全体図式の御説明をさせていただきました。
P6の図ですが、民間側の赤い枠の中の「宇宙旅客輸送推進協議会」が活動して、青い箱の「実行事業体」が生まれてくる、あるいはそれを生み出す、それを構成するという準備あるいは環境整備を行う。ということで事業体が生み出されれば、その事業体が投資を集めたり、自動的にビジネスを展開したり運用したりする、そういうイメージを描いてあります。
また下半分は先ほども御説明したような形での国からの支援です。推進協議会としては、最初の段階で、できれば1年という短時間でやりたいと考えておりますが、民間・国の関係構築、環境整備ということを、国側と相談しながら、あるいは連携しながらやっていく、そういう図式でこの民間の推進協議会が機能すればよいのではないかと考えています。
それから、青い箱の事業体ですが、これは先ほどの実証あるいは段階的発展の何段階かということに応じて、その事業体の形態も一体として最後まで動くのか、途中で変わるのかというようなことも含めて、何段階かの事業体、一つのものかもしれませんし、プログレッシブに発展するかもしれませんが、いずれにせよ、協議会としては大きな最終ゴールである「有人輸送の大きなマーケット」をつくる、そういうものを目指すということを共有した上で、この青い箱が機能していける形がつくれればよいと考えています。この青い箱がそれぞれの目的あるいはそれぞれのやり方でばらばらに動くのではなく、大きな目標を共有してやっていくことができればよいと考えておりますが、具体化をこれから考えたいと思っているところです。
一方で、一番下の欄には、協議会の守備範囲ではありませんので少し薄いグレーで箱を書いておりますが、国は独自の基幹ロケットの発展ということを同時にやっていくことを示しています。ただし、この国の独自活動の箱と上半分の民間活動の箱はいずれ長い将来、このゴールにたどり着く途中を見ると一体で考えるというような連携を当然視野に入れるべきであると考えておりますが、そこは協議会の守備範囲外での議論である、そんな考えで少し色の濃淡をつけて描かせていただいています。
それでは当座、この協議会がどういう活動をするかということをp7に書いてあります。設置の趣旨、目的の達成に資すること、実行企業体が早期に立ち上がることを促すために次の活動を行うということで、まずシナリオであるとかマーケットの定量化などをしていく。それから、旅客輸送の実施体制や制度整備。高度な技術が要るということで、それについての目標をマーケットドライブで示していく。同時に、そこに国との関係をつくっていくというようなことも、個別の民間事業者としてやるというよりも、環境整備の一つとしてこの協議会がつくっていく。それから、そういう活動をやっていくことで世の中に対する発信をして、世の中にムーブメントを醸成したり、サポート、世の中からの支援を獲得したりするための発信作業を行う。このような活動を今考えているところで、早期に実行できればと思っています。
P8は実施体制ですが、協議会の体制としては一般社団法人としてまず発足します。事業等を起こすということになりますと違う形態でやることになると思いますし、それは事業体が考えることになりますが、この協議会としては一般社団法人として立ち上げて、まず内部的には今のような活動を行うためのタスクチームというものを構成して、意思決定、それから有識者、アドバイザリーとその実行事務局体制を決めていきます。
それから、一般社団法人としての立てつけとしては、会員から構成されるメンバーで合意を得て実行していくという形を取りますので、そういう会員、賛助会員、特別会員というような会員を基盤として実行体制を構築していくイメージを考えています。
いろいろと状況が許せば来月を目標にこの法人の設置の準備を現在行っているところであります。説明は以上です。ありがとうございました。
【遠藤主査】稲谷先生、ありがとうございます。
それでは、先ほども申し上げましたが、事務局から提案の中間報告の資料で言いますと、1章から4章、特に4章の役割分担、ここを中心に皆様の御意見をまずお伺いしたいと思います。
例によりましてウェブ上で挙手をしていただきまして、私が指名をいたしますので御意見をお願いしたいと思います。
それでは、どうぞ御意見のある方は挙手をお願いいたします。
牧野さん、挙手されていますか。
【牧野委員】はい。よろしいですか。
【遠藤主査】はい、お願いします。
【牧野委員】笠谷さんの資料について、少しお願いというか、変えた方がいいのではないかと思うところが1点ございます。笠谷さん、丁寧な説明、本当にありがとうございました。
パワポの資料の12ページで少しだけ気になったのですが、一番下の「有人飛行実施に際しての安全規制・法制度等の対応」は、やはり「有人」は国際的にやっていかなければいけないということが現実的であって、そういう意味では「国は民間での高頻度往還宇宙輸送システム事業化に先立って」まではいいのですが、「安全基準」や「認証」という単語がきっと大事ではないかと思うのですよ。機体を造っても認証システムがなければ乗って運航できないので、「有人飛行の実施に際して、安全基準の認証に関する国際的議論に主体的に参加し、法制度等の検討を進めておく」とか、問題がなければそういう書き方の方が僕はいいと思いますが、笠谷さん、いかがでしょうか。
【笠谷企画官(事務局)】実はそこはむしろ私の方から宇宙のメーカーの皆さんにお聞きしたいぐらいでございまして、その「国際的議論に主体的に参加」ということは、国際的議論の場、私が今少し慎重に思っていることは、例えば、そうは言ってもやはり航空当局で強いところは米国ですとかEUの機関なので、EU、米国に対してこういうところの交渉をしなければいけないのかなと思っていますが、国際的議論は、イメージとしてはバイではなくて、つまりマルチの場というか、そういう国際機関的なところで議論するという意味で。
【牧野委員】今はバイだと思いますが、必ずマルチにならなければいけないはずなので、それも含めて「国際的議論に」と書くことはいかがかなと思います。まずはバイ対応ですがね。
【笠谷企画官(事務局)】そうであればやはり米国、EUという理解でよろしいですね、まずは。
【牧野委員】はい。FAAとEASAというところがまずは基本になっていると思います。
【笠谷企画官(事務局)】そうですね、ありがとうございます。
【牧野委員】是非そういう国際的なルールに従って、「安全基準」、「規制」と書くより「基準」ですね。そういう認証ということをやらないと、結局、今、宇宙旅行ができているのは、インフォームドコンセントで「私、死んでも一切文句を言いません」と宣言する国連ツアーみたいなものだよね。「死んでもいいさ、訴えません」というのではなくて、一般的な航空機的宇宙機を造りたいという気持ちで「認証」という単語をわざわざ入れてほしいと申し上げました。
以上です。
【笠谷企画官(事務局)】了解いたしました。御指摘の点を踏まえて対応したいと思います。
【遠藤主査】ありがとうございます。
そのほか、皆さん御意見ございませんか。永田先生、お願いします。
【永田委員】ありがとうございます。パワーポイント資料の10ページ目で、これは以前からも選択肢として検討が続いているものですが、システムA、B、Cとあって、いろいろとメリット、デメリットがあるのですが、従来、ある程度は規模が見込める事業としてはP2Pを中心とした有人ミッションがあるだろうということと、それから、有人ミッションということは人間ごと落下させないといけませんので必然的に再使用になりますから、これは再使用型の打ち上げ機と親和性が高いのではないかという議論もあります。したがって、これを組み合わせて発展させていくことが本質的なのではないかという議論があったと思うのですが、このA、B、Cを見ると、AはデメリットとしてP2Pには対応できないとあり、他のBとCは対応できる選択肢になっているのですね。一方で、今一番有力になっているものは、今朝の読売新聞でもシステムAでいくのだというような記事が載っていましたが、システムAだとP2P等のある程度の市場規模が見込める需要には対応できないということで、この辺をどう進めていくのかという段階的なステップがなかなか描きにくいのではないかと思います。今の検討としては、システムAが一番有力という理解でこの資料は作成されているのでしょうか。今朝の読売新聞の件を含めて少しお伺いしたいです。
【遠藤主査】私も読売新聞の記事を見ましたが、もともとこれまでの議論では飽くまでも例示であるということで、特にここには優先順位をつけていないと思うのですが、資料を作成された文科省事務局からも少しお答えいただきましょうか。
【笠谷企画官(事務局)】読売新聞の記事の解説を私がすることは、本当はよろしくないかもしれませんが、一応、読売新聞の記事を見ますと次世代ロケット再使用型という記述はあるのですが、恐らく読売新聞はこの資料9-3の基幹ロケット発展型の宇宙輸送システムでいわゆる縦打ちの1段目再使用型を2030年頃に運用開始すると書かれていて、それは限りなくシステムAに近い話ですが、そこで「システムAだ」と記述されているものと思います。
我々の中間まとめ案も基本的にはシステムAの形で、まずこちらの「基幹ロケット発展型宇宙輸送システム」を実行していくと考えております。ただ、この下にある「高頻度往還飛行型」、つまりP2P市場に関してはこのシステムでは取れないので、別のシステム、それはBかCかは分かりませんが、BかC等のシステムを民間主導でこの「高頻度往還飛行型」として開発しなければいけないと考えております。
もちろん読売新聞は、「基幹ロケット発展型宇宙輸送システム」として、いわゆるシステムAということを念頭に置いたもので実行しようとしていると書かれたのではないかと思われます。
【永田委員】なるほど、理解しました。ありがとうございます。
それでは、今のH3の高度化でブースター段を最小化するということ等、それはそれとして検討をするということでよろしいのですね。
【笠谷企画官(事務局)】「基幹ロケット発展型」とP2Pを取るための「高頻度往還飛行型」で二本立ての開発をやっていくと思っておりますし、そういうような議論になっていたかと思います。永田先生の理解でよろしいと思います。
【永田委員】ありがとうございます。
【遠藤主査】そのほかの方、御意見ないですか。石田委員、お願いします。
【石田委員】ありがとうございます。
先ほど牧野さんがコメントをされたパワーポイント資料の12ページについて確認をさせていただければと思います。
先ほどの文科省の御説明で、私も言葉を聞いただけでちゃんと理解ができているか分からないのですが、最初の段落において、今回の開発プロジェクトの進捗について、5年ごとに文科省によるレビューを行い、継続するか否かを含めた見直しを行うと書かれているのですが、一つは、この5年ごとということは、今回が2021年とすると次のレビューが2026年、その後は2031年と理解すればいいのかという点です。何でそう申したかというと、輸送システムの開発は競争環境変化も非常に早く激しいときだと思うので、例えば、今から5年前というとロケットログなんてほとんど世の中で認知されていなかった時代ですし、SpaceXでも有人輸送機をまだ持っていなかった時代であって、5年間という期間が公式のレビューのタイミングとしてスピード感的に間に合うのかなということが気になったので、ここでのレビューというものが一体何を指すのかということをお教えいただければと思ったことが1点目です。
あと、継続か否かを決めると書いてあるのですが、往還飛行型宇宙システムは、先ほどの稲谷先生の御説明も含めて、「協議会」の中から出てくる、あるいは協議会外から誰かが開発提案してくるのかもしれませんが、いずれにせよ開発主体が民間であるということを考えると、開発自体をやっていくかやっていかないかとか、やりたいかやりたくないかを含めて民間企業自身が基本的には決めていく話だと思うのですが、ここでおっしゃっているプロジェクトの継続か否かの「プロジェクト」の定義は、政府としてそこに対して資金提供する、あるいは技術提供する、アンカーテナンシーを提供するといった、先ほど御説明をされたような政府として公式に支援をしていく「プロジェクト」としての継続か否かを決めるという理解でいいのかというところです。
以上の2点を、文字だけでは少し分からなかったので、御説明いただければ助かります。
【遠藤主査】では、事務局お願いします。
【笠谷企画官(事務局)】事務局文部科学省でございます。石田委員、御質問ありがとうございます。
これは正に官民の役割分担といいますか、まずレビューを5年に1回というところは、今から5年後というと2026年ですが、確かに5年ごとというと次の節目は2026、31というところまでは、現在決め切れておりません。
それはなぜかというと、まず一つ目のマイルストンとして2025年頃までに要素技術の絞り込みを行いたいということがありまして、これは何かといいますと、2030年初めに飛行実証をやるとなれば、正に推進系はエアブリージングでやるのか、それともロケットエンジンでやるのかというところは見極めないと2030年代初めの飛行実証とはできません。そうなると5年ぐらい前までにはどのマイルストンに注力するのか、重点的にやっていくのかということを決めなければならないので、2025年頃というマイルストンが要素技術の絞り込みということでまず一つあります。
次にこのレビューには二つの意味があると思っていて、この絞り込みという内容は、まずJAXA側、官側が要素技術をちゃんと獲得できているかというところがあると思います。正にエアブリージング技術等は大変難しい技術であったりします。また再突入の技術も簡単な技術ではないと思います。これらも一応、2030年までには獲得できるように頑張りたいと書いていますが、そこもちゃんとうまくいっているかどうかということの確認も必要だと思います。
あと、稲谷委員が「推進協議会」をつくられるという部分で、民間事業者の間でも機運が高まっているといったこともあるのですが、やり手の民間事業者が立ち上がらないことには飛行形態もなかなか決まらないですし、どの要素技術を使うかということが最終的に定まらないと思うのです。
したがいまして、レビューには二つの意味がありまして、官側は研究開発が順調に進んでいるのかという話と、民間側の体制の整備が進んできているのかどうかというところの確認の意味があると思います。
石田委員がおっしゃったように、これは民間主導の開発なので、民間が開発するとなればそれ自体は別に国がどうこう言う話ではないと思います。ただ、国もこれの支援のために、例えば要素技術の研究開発にはある程度のお金を使って実行しますし、またこれは「要素技術」なのでまずは幅広く対応できるように間口を広げて始めなければいけないことになります。またアンカーテナンシーですとかそういうところも国はやらなければいけないと思います。どういう話になるか分かりませんが、2040年というある程度の目標がありますので、すごく極端な話として、例えば2030年頃までに民間事業者が全然立ち上がらないとしたら、国としてもそれまでの要素技術研究開発の受け手がない状況となるわけで、将来が見えない中で要素技術の研究開発をやり続けるということはやはりないと思います。そうなると「高頻度往還飛行型宇宙輸送システム」に関する官側の必要な支援、要はお金ですね、そういうものも、実験ができなければアンカーテナンシーも当然ない話ですし、そうなると国の支援はなくなりますね。
石田委員がおっしゃったように、民間事業者としてやるかやらないかは確かに民間事業者様の話ではございますが、少し書きぶりが足りなかったようで誤解のないように言いますと、そこは民間事業者の任意のタイミングで始めていただくのだと思いますが、民間事業者側に動きがないとすると国もいつまでも要素技術を受け手がないままはやってはいられないということで、民間側の体制ができているか、JAXA側も技術が獲得できるかということで計画を見直すポイントとなります。5年後ということで必ずしも今、2026年ということを決めているわけではありませんが、例えば2025年かもしれませんし、そこは状況によると考えられます。ただし、5年前には今の状況は形もなかったことですし、レビューの頻度についてはもう少し考えてみたいと思います。
これは民間が立ち上げるということが肝でございますので、民間側の体制とJAXAの技術体系、そこをある程度定期的に決めていかなければならないというところもあるので、レビューは取りあえず5年ごとということで書かせていただきました。
【石田委員】理解しました。
まず、後者に関しては、民間の開発そのものに対して文科省が何かするということではなくて、民と協力して資料9-3のチャートに書かれている官としての支援パッケージを継続するかどうかと理解すればいいですかね。要素技術を展開します、アンカーテナンシーを提供します、何らか事業化を支援していきますと今回の政策文書としてまとめられる、ある種、民との「協業パッケージ」を政策として継続か、否かということを御判断されるというように理解をしました。ありがとうございます。
また前者に関しては、少し気になったことは、政策文書的に5年という期間を明記することに何か深い意味があるのかどうかと思ったところですが、特に確定的なものではないということでしたら、何となく5年という数字だけが独り歩きして、レビューは5年後で良いのだみたいな話にはならないでほしいと思いました。
【笠谷企画官(事務局)】ああ、そうですね。
【石田委員】5年後だと人が結構入れ替わってしまっている可能性もあると思います。世の中のスピードによっては速くサイクルを回す人が出てくるかもしれないし、何かの開発の状況とか民間企業の立ち上がり具合によってその時間軸は柔軟に対応した方が官民スムーズな連携かなと思ったので、「適切なマイルストンごと」にとか、「市場競争関係を踏まえて」とか、定性的な表現の仕方も一案ではないかと思いました。そのような文言の追加ということはありえないのかなと思った次第です。
【笠谷企画官(事務局)】ありがとうございます。正にこの官民共創のところは他の民との競合という世界でもありますし、逆に民間が動けば一気に事業が動くということもありますので、5年と書いてあると逆に5年間は特に変化がないとか、また5年間という数値が独り歩きしては困ります。今御指摘いただいたコメント等も踏まえて、文言については対応したいと思います。
【石田委員】ありがとうございます。遠藤主査ありがとうございます。
【遠藤主査】ありがとうございます。今回の中間まとめの議論はこの範囲だと思うのですが、恐らくこの後になると、具体的に官民の役割というか、開発の役割分担と、開発プロジェクトまで行かなくても構想みたいなものの中での民間の役割、それから国の役割、具体的な支援パッケージというものがどういう形で実行されるのかというようなところをもう少し深掘りしていかないと今の御質問には十分答えることはできないと思います。それは今後の課題として残しておくといいのかなと今の御議論を聞いて思いました。
【笠谷企画官(事務局)】文部科学省事務局でございます。
正にそれもございますし、今後の後半における議論の対象になってきますので、一応、6ポツのロードマップ検討会における今後の検討事項に正に高頻度往還飛行型宇宙輸送システムでの官民での役割分担、官の支援方策等というようなこと、更にそれらの具体化ということも含めて引き続きやっていきたいと思っております。
【遠藤主査】よろしくお願いします。
それでは、そのほかの委員の方、御意見をお願いします。武者委員、お願いします。
【武者委員】ありがとうございます。
今までの議論でいろいろなことがあったと思いますが、分かりやすく御説明いただきありがとうございました。
高頻度往還飛行型システムのところでは、事業化に至るには足が長く、ロードマップで示していただいているように段階的に進めていくということもあるし、その中でアンカーテナンシーという話も過去にあったと思います。これは必要だと思っているのですが、6番の今後の検討課題になってくるのかもしれませんが、「物流」、つまり物を動かすことであると官のアンカーテナンシーというものをイメージできたのですが、「輸送」、つまり旅客のところでアンカーテナンシーは過去、私の記憶では議論がなかったように思います。何か具体的なことは今までにあったのかなということがまず質問として一つ目です。
それから、二つ目は、このような高頻度往還飛行型宇宙輸送システムでは、その形態によって違うかもしれませんが、民間航空機だと旅客スペースの下に貨物スペースというものがあって、貨物の輸送というものも非常に重要な収入源になったりするのですが、システムBとかシステムCといった場合に、そういうような物を動かす、つまり「人流」と「物流」を両方カバーするということが可能なのかどうか。打ち上げる重量の制限がある中、多分いろいろな制限があるのだと思うのですが、そこら辺をもし教えていただければ将来を考える上で助けになるかと思って質問させていただきたいと思いました。
よろしくお願いします。
【遠藤主査】これをどなたに答えていただくのかですが、まずは事務局からお願いします。
【笠谷企画官(事務局)】武者委員、御質問ありがとうございます。
この審議会でP2Pは大きい市場としてあるということで議論されていますので、高頻度往還飛行型宇宙輸送システムは基本的には人を運べるということがメインの要求にはなるのでしょうが、貨物を運ぶということは、正に今、現行の航空会社もコロナ等もあって貨物輸送が意外に大きいシェアを占めているところもあり、どう稼ぐかというところの民間事業者の考え方いかんで用途も決まると思います。また物も運べるものを造るのならば、そのためにはお金もかかります。つまり開発費もかかります。ただ、そこは売上げを増やす要素にもなるということであれば、まずは民間事業者がどう考えるのかというところかと思います。
またこれが技術的に可能かどうかということは、技術者ではないので確たることは言えませんが、パワーポイント資料の10ページにもシステムBの絵がありますが、この左側のものは有翼機の上にロケットが積んであるということなので、例えば、このロケットには人工衛星を乗せて、飛行機で打ち上げた後にこのロケットで人工衛星を軌道に入れるということとか、人と物を同時に運ぶということは技術的にはあり得ると思います。今「あり得るのではないか」という言い方をしているのは、本当にできるかということに関しては、そもそも人をどれぐらいのサイズの機体で運ぶのかという話もありますし、さらにオプションとしてロケットをつけて打つということまでやるかどうかということで開発費にも跳ね返る話でございます。
次に政府のアンカーテナンシーについてですが、この検討会でアンカーテナンシーとして議論されたことは、前回、アンカーテナンシー等での官の支援も必要ではないかということを書かせていただいておりますが、具体的中身はどうかということの検討はまだありませんでした。ただ、例えば先ほど、物ではないですが、官の小型衛星のようなものを打ち上げる際にこのような輸送システムを活用するということは正にあり得ると思っております。アンカーテナンシーの中身という意味ではまだ具体的に定まってはおりませんし、この検討会でも中身の議論はまだされていないということでございます。
【遠藤主査】ありがとうございます。
恐らく「貨物」か「人」かということは航空機のアナロジーだと思うのですが、航空機に貨物と客を混載するというタイプのものは、貨物のサイズに制限もありますし、効率という面でも若干落ちるということがあろうかと思うのですね。したがって、それぞれある程度効率とか、サイズとか、特殊な要求がある場合には、有人輸送の場合と貨物輸送の場合とにシステムを若干変えるというようなことも含めて対応するのではないかと思います。
【武者委員】多分、高付加価値のものでないとそれはペイしないと思うので、輸送するものが何であるかということによるかもしれないですね。
【遠藤主査】そうですね。
【武者委員】分かりました。ありがとうございます。
【遠藤主査】ありがとうございました。それでは、新谷委員、お願いします。
【新谷委員】ありがとうございます。
中間取りまとめ、どうもありがとうございました。パワーポイント資料9-2の13ページの参考についてお伺いさせてください。
知財戦略のところは非常に大事なところかと思っておりまして、前回でもその名目が日本でも特許を出願している部分があるということはお伝えしたところですが、この13ページでオープンイノベーションによる共創体制が書かれています。オープンイノベーションは非常にはやっていますし、他社からのアイデア、非宇宙からのアイデアを共有して一緒にやっていくということは非常に大事なことだと思っていて、新しいイノベーションが生まれる可能性はあると思うのですが、左下のところに「知財は原則非独占、ただし自社投資は除く」と書かれています。この「非独占」ということは、例えば、A社のいい技術を使ってB社という宇宙輸送事業者が何かを開発した場合に、AとBで成果を共有していくという意味の非独占なのか、それともJAXAが関連ならJAXAに巻き上げてもらうという意味なのか。どういう意味の非独占なのかというところと、自社投資は除くということなので、基本的には宇宙輸送事業者は知財を持っておく必要はあると思うのですが、投資をしていたらその分は独占するというアイデアなのか。知財戦略でこの絵に書かれているアイデアはどのようなものなのか、この辺りを教えていただきたいと思います。箱の上のところにオープンイノベーションとクローズドイノベーションの両方とも共同研究開発という記述があって、契約の中でどう権利を定めていくかというところだと思うのですが、その辺り、オープンイノベーションでのアイデアが少し理解し切れていないので教えていただけたらと思います。お願いします。
【遠藤主査】ありがとうございます。事務局お願いします。
【笠谷企画官(事務局)】文部科学省事務局でございます。
例えばですが、JAXAと技術を持っているメーカーが何か宇宙で使えるものを開発したといたします。少なくともそれらの技術は、例えば地上で使っているA社が独占するものではなくて、基本的にはその貢献等に応じてJAXAとA社で分かち合うということになり、宇宙で使う分についてはJAXAが持っていますので、将来的に基幹ロケット発展型ですとか高頻度往還飛行型宇宙輸送システムに使う場合はそれらの機材を提供していくことになります。例えば、A社が「これはいい特許だから、宇宙で開発するメーカーにこの技術を使わせないでくれ」ということにはならないように契約を行い、獲得した技術はちゃんと出口として基幹ロケット発展型宇宙輸送システムなり高頻度往還飛行型宇宙輸送システムに確実に活用していくという意味で言っております。
ただし自社投資分は除くということは、A社が更に自社で自ら相当投資した分については少し考慮するということではありますが、基本的には培った技術は基幹ロケット発展型宇宙輸送システムとか高頻度往還飛行型宇宙輸送システムに確実に使っていくということを考えております。
【新谷委員】ありがとうございます。そうすると、今おっしゃっていたA社とJAXAで何かいいものができたときは、貢献度に応じて、半々であれば半々で知財は持っておく、JAXAが宇宙で利用する部分については、JAXAがほかのB社、C社という宇宙に利用する会社にライセンスアウトすることについては、A社は最初から同意をするというような形で契約を締結しておくというようなイメージの「非独占」という意味でしょうか。
【笠谷企画官(事務局)】そういうことですね。
【新谷委員】理解しました。ありがとうございます。
【遠藤主査】よろしいですか。それでは、福島委員、お願いします。
【福島委員】ありがとうございます。
資料9-1の中間取りまとめ案の本文について、細かい点ですが拝読していて少し気になった箇所が三つほどありましたので、せっかくなのでお伝えしておきたいと思います。
一つ目は、1ページ目の「はじめに」の最初の一文なのですが、この中に「安全保障」という言葉が出てくるのですが、安全保障という言葉は、この文脈での場所としては、「気象観測、測位、衛星通信」と並べるよりは「国民生活や社会経済活動・安全保障の活動を支えるため」とした方が良いのではないかと思います。というのは、国民生活や社会経済活動と同じように、衛星通信であるとか衛星を用いた測位、気象観測を使って安全保障上の活動を行うということになりますので、場所としては、「国民生活や社会経済活動」と並べる形で安全保障上の活動を置いた方がいいのかと思います。
二つ目ですが、7ページの中の(2)低・静止軌道のところに「状況把握」という言葉が出てくると思います。これはノーザンスカイリサーチ社の中のレポートから出てきた言葉を日本語で使われていると思うのですが、恐らく今回の中間取りまとめ案を初めて読む人は「状況把握」というのが何を指しているのか少し分かりにくいのではないかと思っておりまして、例えば、「宇宙状況把握」と勘違いする人もいるのかと思います。
実際にNSR社のページを見てみたのですが、“Situational Awareness”と“Space Situational Awareness”は別のセグメントとして位置づけているということを考えてみてもSSAではないということだと思いますので、この「状況把握」が具体的に何を指しているのかという説明を中間取りまとめ案の本文にも少し加えておいた方が親切ではないかと思いました。
3点目ですが、8ページの一番下と9ページに当たるところですが、「商業月・火星経済圏」という言葉が出てくるのですが、これは前の検討会で笠谷さんに御質問した点とも関わってくるのですが、火星についてはどのような市場になるかという予測は現時点では難しいということはおっしゃるとおりだと思います。ただし、月だけではなくて火星も含めた経済圏という言葉をこの文章の中に残しておくとすれば、やはり本文中でも月だけではなくて火星についても何らかの説明がないと中間取りまとめ案を読んだ読者は少し唐突に感じるのではないかと思います。例えば、この本文の中に月を超えた深宇宙についても何らかの市場の創出が期待されるとか予測されるといった一文が入っていた方が「商業月・火星経済圏」という言葉がしっくり来るのかなと思います。それがもし難しいということであれば、火星という言葉を落として「商業月経済圏」という言葉だけにしておいた方がいいのかなと思いました。 以上です。
【遠藤主査】ありがとうございます。御指摘の点は少し事務局の方で御検討をよろしくお願いします。
【笠谷企画官(事務局)】文科省事務局でございます。
福島委員、御意見ありがとうございます。御指摘の点を踏まえまして事務局の対応等をさせていただきたいと思います。
【遠藤主査】お願いします。津田委員、お待たせしました。お願いします。
【津田委員】ANAの津田です。
個別の指摘とか質問ではなく、先ほどの石田さんのお話も踏まえた感想ですが、最初のプレゼン3ページの冒頭で、「国際競争力激化の中で日本も戦っていくためには海外との勝負が不可避である」と、かなり高いトーンで盛り上がっていてこれはすごくいいことだと思います。一方で、4番以降では、石田さんから時間軸の指摘もありましたが、他の技術開発や資金力での競争力など、あらゆる面での海外との競争に対する意識が、冒頭のトーンの割にはロードマップでは余り見えていないです。もう少し海外との競争というものを意識できるような形になるといいかと思います。
H3ロケットからコストを10分の1ぐらいまで落としていくという具体的なものが入っているのはすごくよいですし、これが国際競争力の一つにもなるのかもしれないのですが、更にもう少し国際競争力を意識した内容になっているといいかなと思いました。6番の今後の課題でも議論になるかもしれませんが、感想としてコメントさせていただきました。
以上です。
【遠藤主査】ありがとうございます。今後の課題について言及がありましたので、それでは、今後の課題のところを含めて御意見を伺いたいと思います。よろしくお願いします。
今日は渥美さんの御発言がないようですが、どうでしょうか、今後の課題も含めてお願いします。
【渥美委員】1点言わせていただくと、今開いていただいている国際協業の在り方のところですが、最初に牧野さんが質問されていた関係の話で、ICAOの動きの話で、どうやら最終的に航空機としての「型式証明」だとか「耐空証明」に相当するようなものが必要であるというようなことが議論の中で欧州から出されたりしているような動きがあるようです。今後の活動の中ではこの辺りを丁寧に調査されて充実させておくことが重要ではないかと思います。一度、国際的なICAOでの議論が重要になると思います。
ただ、一番進んでいるものはFAAの中の動きで、FAAでは500番台の規定が出てきたりもしていますので、一度、この辺りを調べて、言葉として記述されてはどうかと思います。以上です。
【遠藤主査】ありがとうございます。
【笠谷企画官(事務局)】事務局でございます。
こちらの国際的な状況は一度、JAXAからこの検討会の中で少し報告をさせていただいているのですが、そこをもう少し、渥美委員が言われたようななるべく最新の状況というのを調査いたしまして、今後の検討会における議論の中である程度整理した形で御説明したいと思います。
【渥美委員】よろしくお願いします。
あともう一点ですが、有人輸送のところにいきなり飛ぶ前に、物流の話はどうだという話があったのですが、人を扱うというところはまた輸送機とは少し違った面での技術の話があるので、もう少し細かい議論の中で技術のレベル等を再整理しておいて入れ込むことがいいのではないかと思います。まず物流のところから始めて、次に人を運ぶというようなステップが最終的には恐らく必要になるのではないかという気がしています。以上です。
【遠藤主査】ありがとうございます。
どうでしょうか。それでは、よろしいでしょうか。
本日頂いた御意見については、事務局で再度検討して本文に反映をしていただきたいと思います。
それから、最終的な中間取りまとめ案の確認をしていただくために、次回、もう一回、検討会を開催させていただきたいと思います。既に御案内のとおりですが、6月9日に開催をさせていただきますので、委員の皆様、御出席をよろしくお願いいたします。
それでは、少し時間は早いですが、事務局からの連絡事項をお願いいたします。
【笠谷企画官(事務局)】文部科学省事務局でございます。
御協力ありがとうございました。
会議資料と議事録の公開について申し上げます。本日の会議資料は公開となっておりますので、既に文科省のホームページに掲載させていただいております。また、議事録についても公開となりますので、委員の皆様に御確認いただいた後、文科省のホームページに掲載させていただきます。よろしくお願いいたします。 事務局からの連絡は以上でございます。
【遠藤主査】ありがとうございます。
それでは、若干予定の時刻より早いですが、大体議論も尽くされたと思いますので、本日の議事はこれにて終了とさせていただきます。本日は御議論ありがとうございました。
―― 了 ――
研究開発局宇宙開発利用課