平成30年3月6日(火曜日)16時~18時
文部科学省 18階 研究開発局会議室1
佐藤座長 井上委員 来馬委員 樋口委員 村上委員 山口委員
増子大臣官房審議官 明野もんじゅ廃止措置対策監 奥野研究開発戦略官(新型炉・原子力人材育成担当) 国際アドバイザー スティーブ・ベキット英国ドーンレイサイト復元会社最高原子力責任者 日本原子力研究開発機構 伊藤理事 櫻井高速増殖原型炉もんじゅ副所長 荒井もんじゅ運営計画・研究開発センター廃止措置体制準備室長
○国際アドバイザーから高速炉の廃止措置の経験から得られた知見・教訓などを聴取。
ベキット氏(英国・ドーンレイサイト復元会社;DSRL)説明内容:
○聴取内容を踏まえ、もんじゅの廃止措置を安全・確実に進めるにあたっての課題や注意点などについて意見交換を実施。概要は下記のとおり。
Q:マネジメント体制について留意すべき事項を具体的に聞かせてほしい。またマネジメントしていく上で重要な予算との関係はどうか?
A:廃止措置では日々問題が生じてくるため、個々の作業の責任者を明確にすることが必要。またドーンレイでは許認可を受けたDSRLが全責任を負うようにしている。規制当局に対するカウンターパートが明確で分かり易く、当局にも安心してもらえる。予算に関しては、英国政府が資金的な後ろ盾を約束しており、我々もしっかりとプログラムの計画を立てることができるし、規制当局や現場で働く人へ安心感を与えている。
Q:ナトリウム処理の方法はどのように決定したのか?2次系ナトリウムを金属のまま他の用途に使うという選択肢はなかったのか?
A:まずクリーンなナトリウムで実証し、そのあと2次系、1次系の順で処理したが、各段階をおって実証し、処理できることを規制当局に示しつつ、その都度決断し進めた。大規模なナトリウム処理は初めてであったため、処理作業に自信をつけ、規制当局へも安心感を持ってもらうために、段階を踏むことが必要であった。ナトリウム処理により発生する食塩水については、英国・環境省に対しセシウム除去後のデータを示しつつ協議し、海に排出することの許可を得た。なおナトリウムについては、利用先を見つけることはできなかった。
Q:解体や機器取出し作業に対する線量率制限はあるか?また、廃棄物区分のガイドはあるのか?
A:作業員の被ばくを減らすために、高線量率の機器などを解体するときには遠隔操作で行った。廃棄物の区分けは、放射線レベルのアセスメントをし、測定値によって区分している。クリーンであるもしくは該当外という廃棄物については、これを施設外に出す時には非常に慎重である必要があった。基準値以上となる疑いが少しでもあるものは、低レベル廃棄物としてドーンレイサイト内の保管所にて保管している。
Q:原子炉や配管内部のナトリウム残留箇所をどのように確認したか?
A:カメラを入れて検査した。カメラは放射線の影響も受け、また以前は高価であったことから運用が難しかったが、最近はカメラも安くなっており、非常に素早く検査もできるとともに、使い捨てもできる。
Q:原子炉容器の底に残った最後の少量のナトリウムを出す際、リークジャケットに穴を開けるとのことだが、この方法は規制当局に認可された方法か?
A:サイト外に地元企業と共に実験施設を作り、モックアップのヒーター装置で金属ナトリウムを融解させることができるか確認した。規制当局にもステップごとに見てもらった。規制当局が事業者と同じ歩みを経てもらうのが有効である。
Q:線量の高い原子炉容器の底にアクセスする方法として、リークジャケットに穴を開けるよりもっと安全な他の方法はないのかという議論はなかったのか?
A:規制当局の許可を得るため、新しい作業では、データを集め、予測し、それに当てはめて計画を立てている。まず格納容器の底部まで測定器を下せるかというところで規制当局の合意を得て、その次に測定し、その測定値を確認してもらう。次にドリルで穴を開け、その際の各種数値も規制当局に報告した。このように全てのタスクの全てのステージごとに情報を規制当局に開示して、次の作業を提示するということをしている。
Q:廃止措置における意識改革をどうしたら実現出来るか?
A:運転に携わっていた経験豊富な人と新たに採用した人をうまく組み合わせて廃止措置プロジェクトに配置したことで、一つのチームとして作業でき、次世代を担う新人への技術の伝承もできた。また作業の進捗に従い、廃止措置は毎回違う問題・課題が出てくることが認識でき、それが元運転員のマインドを変えていくことにつながった。
以上
研究開発局 研究開発戦略官(新型炉・原子力人材育成担当)付