「もんじゅ」廃止措置評価専門家会合(第3回) 議事要旨
1.日時
平成30年1月25日(木曜日) 10時~12時
2.場所
文部科学省 15階 15F1会議室
3.議題
- 「もんじゅ」廃止措置計画認可申請について
- 燃料取出し期間におけるリスクマネジメントについて
- 1次系及び2次系ナトリウムの抜き取り作業について
- 「もんじゅ」廃止措置の準備実施状況について
- その他
4.出席者
委員
佐藤座長
井上委員
橘川委員
野口委員
樋口委員
山口委員
文部科学省
増子大臣官房審議官
明野もんじゅ廃止措置対策監
奥野研究開発戦略官(新型炉・原子力人材育成担当)
日本原子力研究開発機構
伊藤理事
池田もんじゅ運営計画・研究開発センター長代理
櫻井高速増殖原型炉もんじゅ副所長
奥田高速増殖原型炉もんじゅプラント管理部長
5.議事要旨
原子力機構から上記議題に係る説明を受け、委員より意見をいただいた。主な意見は下記のとおり。
<燃料取出し期間におけるリスクマネジメントについて>
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これまで知見、経験のある事象に対する再発防止分析だけではなく、これまで起きていない若しくは起きないとされている、または全く別の視点から新たなリスクをいかに見つけ出すかが問題。
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対策だけではなく、リスクが顕在化した時の対応も併せて考えておくこと。また、洗い出しに漏れたリスクが顕在化した際の対応も決めておくこと。
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「リスクが顕在化した際は、安全、工程進捗への影響が最小限となるよう取組む」という考え方は捨てること。予算や期間を縛ると、現場は兆候を認めても作業を止めなくなる。
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固化したナトリウムが有するリスクも忘れないこと。また燃料やナトリウムは最終形、ゴールを明確にした後、作業や機器設計、処理方法などの検討を行うこと。
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廃止措置段階のリスクマネジメントは、放射線影響や事故の重大性に着目しがちな運転中のものとは異なるはず。また、社会的信頼性が重要であり、機構は、どのようにリスクマネジメントを行うのか、それを行う組織に能力が備わっているか、具体的かつ第3者に分かりやすく説明できなければいけない。
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リスクマネジメントの考え方、進め方、重要な項目など、国際的な指針などを参考にすべき。
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リスク分析をし、重要度分析、効果分析、VIA(Value Impact Analysis;影響・効果分析)などをしないと、効果のないところにリソースをつぎ込むことになり不適切。留意すべき。
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政府のガバナンスは明確なのか。ガバナンスに問題がある機構に廃止措置を任せてよいのか。機構との質疑応答という枠組みでよいのか。
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機構の役割を相対化するしくみ(ステークホルダーの一部を廃止措置の主体として取り込むしくみ)がいるのではないか。
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ガバナンスに問題があるから廃炉になったと言われた機構の人たちが、廃止措置を行えと言われてやる気を持って取り組めるのか。
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機構全体で見た場合、ほとんど体質が変わっていないように感じる。「もんじゅ」がこのようになった機構の課題を「もんじゅ」サイト以外の部署(東海、大洗等)にも共有しなければ、体質は変わらない。
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セキュリティの問題をもっと意識すべきではないか。例えば情報の公開、発信していくというのがある一方で、燃料を扱う上ではセキュリティに対する配慮が必要。しっかりと判断すべき。
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最先端の廃炉技術ということ自体は大きな研究成果。立ち上げから廃炉に至るまでのマネジメントを含めた技術をノウハウとして組み入れてほしい。
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高速炉の廃止措置は事業者と規制側双方にとって最初の取組であることから、モチベーションを維持してこれを進めるための重要なポイントは、どのような考え方が適切なのかというものを意識した事業者と規制側との対話である。
<1次系及び2次系ナトリウムの抜き取り作業について>
- ナトリウムは様々な手法を使えば抜けないことはないことは分かっている。慌てずじっくりと様々な工法を比較検討し、その上で安全・着実な方法を選択すること。
- 廃止措置を通じて得られた知見・経験を将来に確実に残すために、ナレッジマネジメントのプログラムを立ち上げるべき。これは廃止措置における最重要のワークであり、廃止措置の計画とあわせて、将来につなげるナレッジマネジメントの計画を構築しなければならない。
<「もんじゅ」廃止措置の準備実施状況について>
- 新たな体制をとるときは、外部からの助言を受け入れられる状況にしておくことが大事。
- 教育・訓練は実施状況とともに未実施状況も確認すべき。また責任者は運転員と同等以上に機器操作や作業の流れを理解していなければならない。
- 準備段階で様々な事象(例えば機器操作中にわざと電源を落とすなど)全てを確認したほうが良い。
<1次系ナトリウム漏えい検出器の誤停止による運転上の制限の逸脱について>
- ヒューマンエラー対策は再発防止対策にとどまらず、更にもう一歩踏み込んだ本質的なものを考える必要がある。
- 人の手を介さないシステムに変更していくことも必要。人の手でやるときはあらかじめ決めた責任者が責任をもって操作するといったような体制作りを考えるのも有効(予め操作者を特定しておくなど)。
以上
研究開発局 研究開発戦略官(新型炉・原子力人材育成担当)付