「もんじゅ」廃止措置方針決定後の立地自治体と関係について

平成28年12月21日
内閣官房
文部科学省
経済産業省

1.地元自治体との関係

高速増殖原型炉もんじゅ(以下「もんじゅ」という。)の研究開発は、国の核燃料サイクル政策に則って進められてきたが、この国策たる「もんじゅ」を支えてきたのは、ひとえに福井県及び敦賀市をはじめとした地元自治体、地元住民の方々による長年にわたる多大なる協力であり、「もんじゅ」は地元とともに発展してきたといっても過言ではない。
今般の政策の見直しによって、「もんじゅ」については原子炉としての運転再開はせず、今後、廃止措置へ移行するとともに、「もんじゅ」を含む周辺地域において高速炉研究開発を実施していくこととなるが、これらの取組を通じて、地域雇用・経済の観点を含め、地元がともに発展するよう、政府として最大限に応えていく必要がある。このため、今般の「もんじゅ」に係る政策変更に伴い、地元に大きな影響が生じないよう、また地元が共に発展していけるよう、必要な地域振興策等に政府として取り組むこととする。

2.今後の「もんじゅ」を含む周辺地域の位置付け ~新たな拠点化構想~

「もんじゅ」は今後、廃止措置の手続きに入ることになるが、廃止措置準備中、廃止措置中においても、「もんじゅ」を活用して得られる知見は将来の高速炉開発に大きく貢献する。また、「もんじゅ」を含む周辺地域には、原子力関係機関・人材が集積していることから、今後の高速炉開発のためにこれらを有効に活用していくことが求められる。
このため、「もんじゅ」を含む周辺地域を、今後の高速炉開発における、我が国の高速炉研究開発の中核的拠点の1つとして位置付ける。
また、将来的には「もんじゅ」サイトを活用し、新たな試験研究炉を設置することで、「もんじゅ」周辺地域や国内外の原子力関係機関・大学等の協力も得ながら、我が国の今後の原子力研究や人材育成を支える基盤となる中核的拠点となるよう位置づける。

3.「もんじゅ」を含む周辺地域の新たな拠点化構想

「もんじゅ」を含む周辺地域を、(1)「もんじゅ」の活用研究拠点、(2)新たな高速炉開発拠点、(3)「もんじゅ」サイトを活用した新たな原子力研究・人材育成拠点と位置づけ、新たな拠点化構想として取組を推進する。これらについては、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(以下「原子力機構」という。)のみならず、プラントメーカー、電気事業者の専門家集団、あるいは全国の大学・研究機関も参画して実施することとする。

(1)「もんじゅ」の活用研究拠点

「もんじゅ」は、ナトリウム取扱い技術の高度化、ナトリウム炉の解体技術等、今後、我が国が高速炉開発を進めるにあたって必要となる技術・知見について、大規模な実機を用いて蓄積することが出来る唯一の施設であり、上記のとおり、「もんじゅ」を活用して得られる知見は将来の高速炉開発に大きく貢献する。このため、「もんじゅ」を活用し、将来の高速炉開発のために必要な研究開発を原子力機構が中心となり実施する。

(2)新たな高速炉開発拠点

高速炉の実証、実用化に向けては、「もんじゅ」の建設・運転を通じて得てきた知見を含め、これまでに獲得した知見を集約し、今後獲得される新たな知見と併せ、今後の実証炉のプラントデザイン決定に活用していく作業が重要となる。そのため、「もんじゅ」周辺地域において、当面は「もんじゅ運営計画・研究開発センター」にある「ナトリウム工学研究施設」等を利用して、実証炉のプラントデザインを決定するために重要となる要素技術の知見を獲得するため、最重要拠点として体制を整備し、東日本の茨城・大洗地区と並び、技術開発や人材育成等に取り組む。
本拠点における研究開発の内容に関しては、今後の実証炉開発プロセスの進捗に応じて適宜拡充を図っていく。

(3)「もんじゅ」サイトを活用した新たな原子力研究・人材育成拠点

「もんじゅ」を含む周辺地域や国内外の原子力関係機関・大学等の協力も得ながら、今後の原子力研究や人材育成を支える基盤となる拠点を構築していくよう、全国の大学・研究機関が参画するコンソーシアムが運営する試験研究炉を「もんじゅ」サイト内に新たに設置する。
新たな試験研究炉の詳細については、平成29年1月以降に有識者会議での議論等を経て決定することとし、国内外から研究者や研究機関が集結するようなニーズのある試験研究炉の在り方や、コンソーシアムの構築等について検討を実施する。また、平成29年度においては、試験研究炉に係る調査・検討を実施することとする。

4.「もんじゅ」廃止措置の着実な実施

「もんじゅ」の今後の廃止措置については、安全かつ着実に進めるため、新たな「もんじゅ」廃止措置体制を構築することとし、1 政府一体となった指導・監督、2 第三者による技術的評価等を受け、3 国内外の英知を結集した体制を整えた上で、原子力機構が安全かつ着実に廃止措置を実施する。その際、原子力機構においては、これまでの運転再開に向けた体制から、その知見を活かしつつ、廃止措置に向けた新たな体制を構築する。今後、原子力機構において、平成29年4月を目処に基本的な計画を策定するとともに、国内外の英知を結集出来るよう、外部の協力を得た新たな体制を構築し、計画的に廃止措置を実施する。あわせて、廃止措置において先端的な技術を取り入れるよう技術開発の体制・施設の充実等を図ることとする。
なお、廃止措置作業の開始にあたっては、安全確保に必要な観点から、事前に福井県や敦賀市の十分な理解を得た上で、進めることとする。
また、使用済燃料は安全に炉外に取り出した上で、「もんじゅ」サイト内で管理し、高速炉研究に活用しつつ、将来的には海外を含め、再処理のために搬出することとする。更にナトリウムに関しては、安全かつ早期に対処することを大前提に、ナトリウムの取扱いに知見を有する外部の協力を得て適切に処理処分を行う。

5.立地自治体との関係

今般の政策変更に伴い、特に地域雇用・経済への影響が生じることが想定されるが、国が高速炉研究開発や原子力人材育成の取組を進めるにあたっては、これらの取組が福井県や敦賀市等の発展にも貢献するものであるべきであることから、そのようなことを通じて、引き続き福井県のエネルギー研究開発拠点化計画を県とともに進めていくとともに、敦賀市が県域を越える6市町を圏域とする一体的な経済圏・生活圏形成を目的として進めているハーモニアスポリス構想に対して、政府として必要な支援を行っていくこととする。そのため、「3.「もんじゅ」を含む周辺地域の新たな拠点化構想」の具体化とあわせ、以下のような地域振興対策を行う。

(1)地元経済等との関係

現在「もんじゅ」を含む周辺地域では原子力機構職員と請負企業職員をあわせ、約1,000名が業務に従事している。これら職員は、「もんじゅ」の保守・点検やナトリウムの管理技術、施設等の評価・評価手法の整備などに関する業務に従事しているところ、今後、「もんじゅ」の活用研究や新たな高速炉開発、「もんじゅ」サイトを活用した新たな原子力研究・人材育成を実施するとともに、「もんじゅ」廃止措置を着実に実施することにより、地元雇用や経済に大きな影響を与えないよう、各関係者においては最大限努力する。
また、廃止措置技術の開発等において、原子力機構は、地元の企業と連携する体制・施設を充実させるとともに、その取組を通じて、地元の企業に対して、今後、全国的に必要となる廃止措置の取組においてニーズの高い技術の集積を図る。

(2)電源三法交付金の活用

「もんじゅ」については廃止措置に移行することとなるが、廃止措置に伴い直ちに交付金が減少することがないよう措置することとする。

(3)敦賀市ハーモニアスポリス構想への支援

敦賀市は、同市を中心とした県域を越える6市町を圏域とする、一体的な経済圏・生活圏を形成することを目的とするハーモニアスポリス構想を策定している。当該構想の一部事業として、圏域6市町を水素社会形成に向けたコンソーシアムとし、産学官の連携の中で、水素エネルギーの要素技術の普及促進及び住民意識の啓発、並びに当該圏域の産業面等の強みを活かした水素サプライチェーン構築実証等に関する方針及びロードマップを定めた計画の策定を目指しているが、こうした敦賀市の取組に対し、政府として必要な支援を行っていく。

お問合せ先

研究開発局 研究開発戦略官(新型炉・原子力人材育成担当)付

(研究開発局 研究開発戦略官(新型炉・原子力人材育成担当)付)