平成28年1月28日(木曜日) 16時00分~17時30分
文部科学省 3階 1特別会議室
有馬座長 井川委員 櫻井委員 高橋委員 丸委員 宮崎委員 宮野委員 山本委員
馳文部科学大臣 富加文部科学副大臣 豊田文部科学大臣政務官 土屋文部科学事務次官 戸谷文部科学審議官 田中研究開発局長 加藤もんじゅ改革監 板倉大臣官房審議官(研究開発局担当) 信濃開発企画課長 岡村原子力課長 髙谷研究開発戦略官(新型炉・原子力人材育成担当) 次田「もんじゅ」の在り方検討対応室次長 (説明者) 電気事業連合会 尾野原子力部長 日本原子力研究開発機構 青砥理事/もんじゅ所長 荒井もんじゅ運営計画・研究開発センター計画管理部長
ただいまより「もんじゅ」の在り方に関する検討会の第2回を開催いたします。本日はお忙しいところを御出席いただきまして,誠にありがとうございます。
第2回の検討会開催に当たり,馳文部科学大臣から御挨拶をお願いいたします。
皆さん,お疲れさまです。それぞれお忙しい中をこうしてお集まりいただき,ありがとうございます。近々視察にも参りますが,皆様からいろいろな御指摘を頂きながらより良い結果を得られるように頑張っていきたいと思っておりますので,御指導よろしくお願いいたします。
また,傍聴の皆さんやマスコミの皆さんにも,十分にこの議論の経過を聞いていただいて,思いを持っていただきたいと思います。
本日もどうぞよろしくお願いいたします。
それでは,事務局から出席者の御紹介をお願いいたします。
委員の先生方ですが,本日,中尾委員が御欠席です。
また,文部科学省からですが,今回から初めて出席される方を御紹介させていただきます。豊田真由子文部科学大臣政務官です。
よろしくお願いいたします。
次田彰検討対応室次長です。
よろしくお願いいたします。
開発企画課長の信濃正範は,遅れておりますが,後ほど参加させていただきます。
また,本日は,説明者といたしまして,電気事業連合会から尾野昌之原子力部長。
尾野です。よろしくお願いいたします。
日本原子力研究開発機構から青砥紀身理事/もんじゅ所長。
よろしくお願いします。
荒井眞伸もんじゅ運営計画・研究開発センター計画管理部長が出席です。
荒井です。よろしくお願いします。
それでは,事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
それでは,お手元の配付資料につきまして確認をさせていただきます。議事次第の4番に「配布資料」と書いてあります。本日は,資料といたしまして4種類,資料1-1原子力発電所の保全について,資料1-2ナトリウム炉としての技術的特徴及び研究開発段階炉としての特徴,資料2「もんじゅ」に係る課題の検証における論点,資料3高速増殖原型炉「もんじゅ」の視察についてです。
また,これ以外に,机上配付資料として,前回の議事録を配付してあります。委員の皆様には既にメールで御確認いただいていますが,再度御確認いただき,修正ありましたら,2月1日までに事務局までお知らせください。事務局では,2月1日以降ホームページにこの第1回の議事録を公開させていただきたいと考えています。以上です。
どうもありがとうございました。
それでは,議題1の「もんじゅ」の運転管理に必要な技術的能力について,御議論いただきたいと思います。前回「もんじゅ」が研究開発段階の発電炉であることの特殊性についての御発言がありました。また,軽水炉でも品質保証の問題があったとの話もありました。これから「もんじゅ」の検討を進めていくためには,この特殊性を理解することが必要です。「もんじゅ」の技術的な説明とともに,比較対象として発電用軽水炉の実情や問題解決の御経験を一度お伺いしておくことが有益であると考えております。
そこで,今回は御専門として,電気事業連合会の尾野原子力部長にお越しいただいております。それでは,尾野部長,御説明をお願いいたします。
ありがとうございます。座長から御紹介いただきました,電気事業連合会の尾野です。「原子力発電所の保全について」ということで,私どもの経験について御紹介させていただくことが何らか少しでもお役に立てばということで,御紹介をさせていただきます。
今,お話があったとおり,私ども電気事業者で運転しているのは,軽水炉と呼ばれる,水を冷却材,減速材に使った原子炉です。これらの原子炉につきましては,米国で1960年代から長い運転経験を有している中でこれまで保全も行われてきました。最近,品質保証の観点から業務のより一層の向上ということが行われてきている中で,業務の変革になかなか対応し切れないで問題を起こしたという事例を御紹介させていただきます。
1の(1),平成22年島根原子力発電所における点検漏れの事象です。3ページ,原子力発電所の運営の体制ですが,当然のことながら,発電所の運営においては電気事業者が一義的な責任を負っているということで,施設の運営,そして,維持も我々が行っています。しかしながら,電気事業者の進める仕事の中では,専門的な業務も個々の機器によっては出てきますので,工事会社,プラントメーカーと協力して進めていきます。
4ページ,原子力発電所の保全プログラムについて簡単に御紹介させていただきます。平成21年頃から保全プログラムという考えが出てきました。なぜこういう考え方が出てきたかと申しますと,それまでは個々の発電所の中で保全の経験,点検はどのようにするかということ,例えばどの機器に対してどのような内容をどういう周期で行うかということについて,私どもの発電所でも個々の部署ごとに管理してきたということがあります。経験的にずっとそのように行われてきた中で比較的安定した運転を続けてきたということで,ある意味,こなれてはいましたが,しかしながら,より良い改善が進まないという面もありました。
そうしたことから,この保全プログラムでは,下に絵が描いてありますが,保全の計画,現状の計画をまずここにのせて,保全の実施,実施した結果の評価,そして,その評価を受けて,点検周期が適切であるか,あるいは項目が適切であるかというようなことにフィードバックを掛けていく, PDCA(Plan,Do,Check,Action)サイクルを回していくという考え方が全国一律で導入されました。こうした動きに伴いまして,これまで持っていた個々の保全のプログラムを最初の出発点である保全計画に焼き直していく作業が発生してきました。
5ページ目以降を御覧ください。事象の経緯ということで,平成22年ですが,島根原子力発電所の1号機において,点検計画表上は点検済みとなっていた機器,具体的にはバルブを動かす電動機器の部品が点検されておらず,自ら定めた点検期日を超過しているということが分かりました。この個別の事案についてはよく調べて対策を採りましたが,では,同じようなことがないかどうか調べてみると,123機器について点検が適切に行われていないことが分かりました。
そこで,これは重大な問題であるということで,平成22年3月に,原子力安全・保安院からも,しっかり調査をするようにという指示文書を頂き,総点検をする必要が生じました。そして,それらの調査をした結果,平成22年6月に,点検時期を超過しているものが511機器あったことが分かり,非常に多くの機器で点検漏れがあるということが分かりました。
では,このようなことがなぜ起きたのかということについて,簡単に御紹介します。6ページを御覧ください。この511点の点検されていない機器おいて,不安全なところがないかどうかということを確認する必要がありますから,至急それらの機器についてまず代替点検を行い,そして,その次に本来の点検を行い,機器として現状が安全であるということを確認しました。
その上で並行して調査を進めて,7ページですが,調べていくと,直接的な原因が幾つか浮かび上がってきました。問題1,点検計画表の一部に妥当でない点検内容や記載の誤りがあった。これは機器の配置や構造から点検できないような内容が含まれていたり,あるいは誤った記載があって,そのまま作業すると間違ってしまうというような部分が幾つかあったりということです。それから,問題2,点検計画表の要求に対して点検が実施されていないものがあった。点検計画表から工事仕様書に取り込んで工事を発注するわけですが,そのプロセスがうまく動いていなかったということです。問題3,点検していない機器を点検計画表に点検済みと記載していた。これは発注したものは,きちんとできませんでしたという報告が来なかったら,済んだものとして整理していたという仕事の仕方にまずさがあったということです。
こうしたことがありましたので,これらについては,再発防止対策として,点検計画表の作成・変更,工事仕様書の作成手順,あるいはこうしたことの手順書類の整備・見直しを行ってきたということですが,上の直接原因を少し簡単に整理しますと,1点目として,そもそもの計画の作り込みが適切にできていなかったという問題,2点目として,その計画を実行する実行手段が十分に整えられていなかったという問題,それから,3点目として,実際に実行した現場でうまくいかなかったときに,それをフィードバックするためのコミュニケーションがうまく通じていなかったという問題が見えてきました。
そうしたことから,根本原因の分析,仕事の仕組みがなぜそのような状況になってしまっていたのか,そのような状況がなぜ放置されてしまったのかについて分析をしました。こうした原因分析の専門の方の協力も得て,この分析を行ったわけですが,三つほど指摘があります。
一つ目は,不適合管理というのは,本来の要求事項に対して合致していないことがあった場合,それを組織として吸い上げて管理するということですが,これを確実に行うための仕組みがその時点において成熟していなかったということ。二つ目として,今回の場合は大きな変更があったことの取り込みの中で起こったことですが,規制要求の変更に速やかに対応してマネジメントできる仕組みが十分でなく,対応が遅れていたということ。これは計画を直すということはできましたが,仕事の作り込み,仕事のプロセスまで作り込みができていなかったということで,現場に近いところに行くほどその準備の遅れが出てきているということかと思います。そして,三つ目として,何か変更した場合にすぐに対応し切れない部分があったとしても,うまくマッチングしていない部分については上流側に報告して修正をしていくべきですが,そうした視点が欠けていたというようなところがあったということ。こうしたことが厳しく指摘されたというところです。
9ページ以降,再発防止対策ということで,根本原因も含めた再発防止対策を採っています。不適合管理に関しては,業務運営プロセスの改善として,不適合管理の業務プロセスをより的確なものにし,報告が確実に行われるようにしました。マネジメントということでいいますと,原子力部門の業務運営の仕組みを強化して,規制要求の変化などが現場に分かりやすく確実に伝わっているかどうかといったことを整えております。そして,組織の風土ということでいいますと,原子力安全文化の醸成ということで,自分たちがしている仕事の重要性を改めて確認するということをしています。
具体的に10ページ以降に業務プロセスの改善について示しております。不適合管理が適切,確実に行われ,また不適合の判断が限られた場所で決定されてしまわないように,組織としてしっかり管理するようにプロセスを改善するということで,不適合判定検討会が設置され,そこで処置が決定される。そして,不適合管理を専任で行う担当を用意する。そして,不適合管理の必要性や基準に関する教育を実施する。EAM(統合型保全システム)ですが,これは保全の情報をシステムに入れることによって,点検の頻度や周期といったものをアナログではなくデジタルで管理できるシステムですが,こうしたものを活用していくということをしています。
そうしたことをすることによって,11ページですが,不適合の判定検討会にしっかりと現場の不具合が入っていくというところが重要です。担当者が迷うことなく適切に持ち込めるように,不適合管理の必要性についてしっかりと理解を深める教育を行うこと,上げたものがたなざらしにならないようにしっかりと専任で管理が行われること,そして,報告自体が簡単に行えるようなシステムを整えるといったことを進めてきました。
12ページ,業務運営の仕組みについてです。規制変更など,要求の状況変化に速やかに対応し適切に管理できる仕組みが必要であるが,今回はそれができなかったということです。原子力部門戦略会議の設置,原子力安全情報検討会の設置,部制の導入ということで,ここは組織的な対応,組織の構成の対応ということになっています。
13ページを御覧ください。原子力部門戦略会議というのは,本社部長級,発電所長等管理レベルのところですが,部門の課題を統括して全体計画を策定し,必要なリソースを現場に与えるということを検討するわけです。そして,原子力安全情報検討会というのは,これは実務ラインになっていますが,こうしたところは実際の改善活動等が実行可能で合理的なものであるかどうかということを見て,ワークするものを現場から提案していくという内容です。
14ページ以降,安全文化の醸成活動についてです。これは様々あろうかと思いますが,会社を挙げての安全文化の醸成活動を推進してきて,そして,そのことに関して社内で経営・現場の対話をすること,あるいは地域とのコミュニケーションを取っておくことをしておく。そして,原子力安全文化の日の制定ということで,中国電力においては,6月3日,これはこの問題についての報告書を取りまとめた日ですが,この日を忘れないという活動をしています。
今私が言葉で説明したようなその活動の概略を15ページに簡単に示しています。
16ページ,17ページですが,これは保全計画の中身の少し細かい話を参考で書いています。後ほど参考にしていただければと思います。
18ページを御覧ください。このように取り組んできたのでしっかりしてきたということはもちろんあるわけですが,実はこうした点検に関してはどうしても完全ということにはなかなかないということです。つい昨年,平成27年のことですが,再び点検関係で大きな問題が生じました。低レベル放射性廃棄物のモルタル充填に用いる流量計における不適切な取扱いです。
低レベル放射性廃棄物というのは,ドラム缶に固化して入れるわけですが,そのときにコンクリートを入れて固めます。コンクリートを混ぜるときの水の量を量っている流量計,これは安全上重要な機器かというと,本設プラントに付いていない機器で,従前の対策における網の目からこぼれていた部分があったということです。
この機器の校正点検を発注し忘れたというところに端を発しまして,19ページですが,LLW(低レベル放射性廃棄物)の受入先である日本原燃株式会社が受入れに先立ち行った監査で,校正記録が適正なものでないということが確認されるに至ったわけです。そして,この問題が明るみに出ました。
問題点1,なぜ組織としてこのようなことが未然に防げなかったのか,問題点2,なぜ担当者はこのように抱え込んでしまったのかというところについて,改めて深い検討がなされました。実はこの流量計,問題点1のところにありますが,先ほど申しました対策でシステム的に管理するということにしましたが,これは定期検査で見られるような本設の設備についている主要な機器を全て網羅したということで,機器の数としては1プラント当たり3万件ぐらいが入っているわけですが,今回はプラントに直接付いていない,固化体を作るときだけに使う機器に付いている検出器ということだったので,その管理から外れていました。そうしたこともあり,十分な管理からこぼれてしまったということです。そこが出発点です。
ただし,そうしたことがあったとしても,発注管理というようなことでいいますと,業務の管理の中でマネジャーがしっかりとチェックすべきところがあったと思いますが,そうしたことが抜けてしまうような業務プロセスになっていたというところが組織として未然に防げなかった要因ではなかったかと思います。担当者は恐らく非常に悩んだと思いますが,自ら抱え込んでしまったということで,本来であれば,不適合管理のプロセスにのせてもらえれば,その中で組織としてしっかり解決できる問題であったと思います。
再発防止対策としては,やはり業務管理の仕組みの中でシステム的に管理できていない機器をもう1回総ざらいして,適切な管理ができるように見直していくこと,それから,業務運営の改善,マネジャーの業務です。そして,意識面の改善に取り組んだということです。こうしたことから,現場の管理には,もうこれでいいというところはないということで,油断をしたところから失敗が出てくるということかと思います。
まとめです。私ども,保全プログラムに基づく保全活動をしてきたわけですが,検査制度は平成21年から保全プログラムによる制度が導入されてきたということで,各社,その制度にのっとり保守管理を実施してきているところです。各社とも,その出発点である最初の保全計画は,これまでの点検実績を基に点検計画を作成し,ある程度こなれたものをつけているということはありますが,今回のように制度変更に伴う問題点というのは経験しているところです。
中国電力の報告の中では,地域・社会からの信頼があってこその原子力発電所であるということが考え方の原点であるとされています。各社とも,この発電所を大事にしながら運営していくということに取り組んでいくという考えです。くどいようですが,もうこれでいいと思ったところで劣化は始まりますので,PDCAを回しながら,現場に即した安全確保の維持・向上に向けてより一層の努力を積み重ね,地元・社会の皆様から安心していただけるように運営していかなければならないということです。私どもの失敗の例ということで大変恥ずかしいですけれども,御参考としていただければ有り難く思います。以上です。
どうもありがとうございました。
続いて,日本原子力研究開発機構から,「もんじゅ」について,研究開発段階の発電炉であることやナトリウム炉であることの特徴を中心に説明をお願いいたしまして,その上でいろいろ御質問いただきたいと思います。では,日本原子力研究開発機構,よろしくお願いいたします。
日本原子力研究開発機構の荒井です。よろしくお願いします。今,座長からお話ありましたように,「もんじゅ」はナトリウムを冷却材に使った炉であるということ,そして,先ほど尾野部長からお話のありました,現状,電力会社で使われている原子力発電所である実用炉とは異なり,その手前の研究開発段階炉であることを踏まえて,それぞれの技術的特徴に対して設計や建設,そして,運転,保守において対応しております技術的事項について,御説明させていただきます。
1ページに目次を掲載しております。ここに書いてありますように,高速炉の特徴,ナトリウムの特徴と運転上・保守上の考慮事項,高速炉のシステム構成,研究開発段階炉の役割,そして,その特徴を御説明させていただきます。
2ページをお願いします。最初に高速炉の特徴,軽水炉との比較について御説明します。皆様も御存じのように,主要な点は3点あります。燃料にプルトニウムを使用すること。軽水炉でもプルサーマルでプルトニウムを入れて燃やすというところもありますけれども,「もんじゅ」の場合は全ての燃料がプルトニウムとウランの混合酸化物燃料であるということ。高速中性子,スピードの速い中性子を使うこと。そして,冷却材に液体金属のナトリウムを使うということの3点があります。そのほかに,1次系の出口温度が高いとか,出入口温度差が大きい,あるいは1次系の圧力が低いというような特徴もありますけれども,まずは,ナトリウムを使用しているということについて,その特徴を踏まえた運転上と保守上の対応について御説明させていただきます。
3ページ目です。表の左側にナトリウムの特徴,右側にその考慮事項をまとめております。全部で7点ありますが,主要なものを三つ御説明します。
一番上の行ですが,ナトリウムは沸点が高いということ。約881度まで液体です。右側の考慮事項の一つ目ですけれども,原子炉の運転温度範囲が圧力を掛けないでも液体のままで使えること。システム全体の圧力を低く設計できるので,万が一ナトリウムが漏れたときにも冷却材が沸騰することはなく,したがって,ナトリウムの液位を確保することによって事故時に炉心の冷却に対応するという考慮をしております。
上から三つ目ですけれども,小さい比熱と高い熱伝導率ということです。沸点に加えて,伝熱性能が非常に高いです。そして,原子炉の入り口と出口の温度差を大きくとれるので,自然循環,風呂と同じように温かいものが上,冷たいものが下に来るという自然の物理現象でナトリウムが流れるわけですけれども,これを容易に発生させることができます。したがって,これを利用して原子炉を停止した後の炉心の中の余った熱,崩壊熱を除去することが可能です。
上から四つ目,化学的に活性で,水,酸素と反応しやすいというものに対しての考慮も三つ書いておりますけれども,このうちの3点目,蒸気発生器で水とナトリウムが伝熱管という管を介して熱を受渡しして蒸気を発生しますが,万が一蒸気発生器で事故が発生したときに,ナトリウムと水が反応して出たエネルギーが1次系の原子炉の方に影響を与えて,1次系の放射性ナトリウムが施設外に漏れていくということが起きないように,中間系の2次系を設置するという考慮をしています。ここに挙げたような考慮事項に対応した設計を行っております。
4ページでは,今お話をしたようなナトリウム冷却炉の設計上の特徴について,系統構成図を用いて御説明させていただきます。上にある絵が「もんじゅ」です。左の繭型のところの真ん中に原子炉容器があります。ここで発生した熱をその横にある1次冷却系,次の2次冷却系,そして,水・蒸気系タービン発電機というように右の方に熱を移動させていき,最後は発電機で電気を起こすという仕組みになっています。このうち1次冷却系と2次冷却系にはナトリウムを使っており,このナトリウムを使うシステムが高速炉に特有な機器と考えていただければと思います。
このようなナトリウムを冷却材に使った炉の主な特徴として,その下に三つ書きました。一つ目は,原子炉停止後の崩壊熱について,先ほど自然循環で回ると話をしましたけれども,この最終の放出先は空気になります。2次冷却系の真ん中の空気冷却器で,原子炉が停止した後の炉心の余った熱を空気の方に逃がす,放熱するという特徴があります。
二つ目は,1次系と水・蒸気系の間に中間冷却系(2次系)を設置しているということ。
三つ目は,万一冷却材が漏えいしたときに,その液を確保して炉心が空炊きにならないように,原子炉容器の周りを覆ったカバーのような容器,冷却材液確保のためにガードベッセルを設置しているということ。こういうものがナトリウム冷却炉の主な特徴,「もんじゅ」の特徴と考えております。
5ページです。ここから,研究開発段階炉の話をさせていただきます。まず研究開発段階炉の役割について,上の四角にまとめました。原子炉施設は,実験炉から原型炉,実証炉,実用炉というように段階的に開発していきます。「もんじゅ」は国産技術で開発したナトリウム冷却型の高速増殖炉であり,そのうちの原型炉であり,そして,研究開発段階炉であるというのがポイントです。
研究開発段階炉ですので,設計に裕度を持たせております。その設計の妥当性や裕度を確認し,発電炉のシステムとして実証できるかの検証を行います。そして,運転を通じて安全性・信頼性を実証するとともに,運転・保守技術の基盤を確立します。一方,法律の体系も,試験研究炉,研究開発段階発電用原子炉,そして,実用発電用原子炉というように3本,別の法律で規制されています。
6ページをお願いします。今話をしたような研究開発段階炉の役割を踏まえて,研究開発段階炉の特徴をまとめました。「もんじゅ」は,設計・建設,試運転,そして,本格運転というように段階を踏んで進めますが,各段階で研究開発を行いながら進める,そして,それが全て「もんじゅ」のプロジェクトです。そのうち,「もんじゅ」は,二つ目,試運転段階の40%の出力試験まで進めてきました。今後,75%,100%,本格運転,そして,本格運転段階での運転・保守を通じて成果を上げていくというのが「もんじゅ」の使命で残されたものです。
この次のページから,運転・保守における対応例について3点御説明します。
7ページで,運転体制の確立について御説明します。「もんじゅ」の運転体制については,日本原子力研究開発機構が大洗に有しているナトリウム機器の運転経験者,「ふげん」という重水炉の研究開発段階の運転経験者,そして,電力会社の軽水炉の運転経験者,この三者が参集して初期の運転体制を立ち上げました。
その後も,「もんじゅ」にある専用の運転訓練シミュレーターでの訓練,軽水炉の運転訓練センター(NTC(株式会社原子力発電訓練センター),BTC(株式会社BWR運転訓練センター))での研修,「常陽」に派遣して実機の運転操作,これらの取組を通じて,運転技能の維持・向上を図っております。このように,運転体制については準備を着実に進めてきているところです。
8ページでは,ナトリウム機器の開発に関する例を御説明します。ナトリウムの機器には,ナトリウムポンプや蒸気発生器というものがあります。また,ナトリウム漏えい検出器や水漏えい検出器は,蒸気発生器でナトリウムと水が伝熱管を介して存在していますが,ここで水が万一漏えいしたときにそれを検出する装置です。ナトリウム漏えい検出器や水漏えい検出器といったナトリウム炉特有の計測設備を大洗で開発をしてきました。これらの開発した機器については,運転方法や保守方法を確立することが必要です。
さらに,原子炉容器などの検査をする技術が必要になります。右側にロボットの写真を載せていますけれども,このようなナトリウム炉に特有な検査技術を開発してきました。これを「もんじゅ」という実機に適用して,更に信頼性や確実性向上を目指した開発を実施していくことが必要です。
9ページでは,運転・保守管理技術の対応例を御説明する前に,保安規定と,最近「もんじゅ」の保守管理不備で話題になっています保全計画・点検計画の関係について資料にまとめました。保安規定とは,運転管理あるいは燃料管理,保守管理,放射線管理など,原子炉施設の保安のために必要な措置や災害の防止策を定めたものです。その中に,保守管理という章があり,そこで,保全計画などから成る保全プログラムを策定し,保守管理をすることを定めています。保全プログラムでは,保全計画としての点検計画とか保守・取替え計画などを定めております。
このように保安規定と保全計画の関係があります。10ページでは,保安規定の見直し・整備をしていくことが,正にナトリウム冷却型高速炉増殖炉の運転管理技術を確立していくことという例の一つですので,御説明させていただきます。
実際の運用経験を踏まえてこれまでも保安規定の見直しを行ってきております。保安規定の見直しの一例として,ナトリウム漏えい監視に関する見直しの例をここに挙げています。ここに挙げたように,ナトリウム漏えい監視とか蒸気発生器での水漏えい監視など,今後もナトリウム冷却高速炉に特有な運転上の制限を,実際のプラント運用の経験を積んで,より適正化していくことが「もんじゅ」で実施していかなくてはならないことだと考えております。これがひいては我が国の規制体系下において,ナトリウム冷却型高速増殖発電炉の運転管理技術のベースを確立するものになると考えています。
11ページは保守管理技術の確立の例です。「もんじゅ」では平成20年度に保全計画を作り,平成21年1月から施行していますが,これを作った際には,「もんじゅ」についての十分な技術根拠や点検・保守の実績のデータがなく作ったものですから,平成20年度に作った保全計画が問題を内包していると考えております。
この問題については,遅まきながら平成26年度から全面的な見直しに着手し,技術的根拠に基づくより科学的・合理的な保全計画への抜本的な見直しを現在も実施しております。今後も運転・保守経験を積み重ねながら,点検内容や点検周期等の最適化を図り,そして,我が国の規制体系下でのナトリウム冷却型高速増殖発電炉における保守管理技術のベースを確立していきたいと考えております。
最後,まとめです。本日御説明したことをここに書かせていただきました。ナトリウム炉あるいは研究開発段階炉に対する技術的な対応というのは,御説明したように,日本原子力研究開発機構で確実に実施してきました。日本原子力研究開発機構だけがこれらの経験知を有している,蓄積していると考えております。今後,「もんじゅ」による研究開発を実施していくためには,これらの経験の蓄積,経験知の活用が不可欠だと思います。そして,これらの研究開発を更に継続し,蓄積して,成果として取りまとめていくことがこの高速増殖炉の技術を実用化するためには必要だと考えております。したがいまして,これらの技術的な知見の活用あるいは蓄積,取りまとめというのは我々日本原子力研究開発機構が担っていける,担っていくことが必要ではないかと考えております。以上です。
どうもありがとうございました。
それでは,ただいまの2件の説明につきまして,御意見,御質問があれば,お願いしますが,どなたからでもどうぞ。
宮野です。どうも詳しい御説明ありがとうございました。私は,この資料を見させていただきまして,質問事項をたくさん準備しております。本日は特にそれに一つ一つお答えいただくつもりはありませんが,是非それを準備していただきたいと思っております。
原子力発電の事業者,尾野部長の説明の中では,このように起こったことは非常によく似ていることで,非常に参考になると思います。ということで,参考にするためには,データ,定量化をどうしたのかということを是非教えていただかなければいけないのではないかということで,私,コメントを準備したのが,尾野部長のところには全部で31項目あります。
それで,その中にも一つのデータではなくていろいろなことを聞いておりますけれども,そういうデータを用意していただいて,それが「もんじゅ」ではどうなっているのかという対比を是非していただきたい。先ほど検査の項目で30万点という話がありました。「もんじゅ」はどれだけなのかというのが当然あってしかるべきですし,そういう同じような発電所,規模が全然違いますから,どれぐらいの態勢でどれぐらいの規模でやっているのかということに対して,「もんじゅ」はどのようにやっているのかというのは,定量的なデータでどのように管理していくべきかという問題の比較になるのではないかということで,是非御準備いただければと思います。
特に重要な点だけ幾つか御質問を述べさせていただきたいのですが,事業者とプラントメーカー,それから,工事会社が一体となったという記述があると思いますが,どのように一体としているかということが極めて重要な問題で,それは「もんじゅ」でも参考にしなければいけませんが,それはかなり違っているのではないかと思います。要するに,安全管理,それから,日常の保全活動だけではなくて,品質問題も含めてどのように一体化した管理体制ができているのかということが非常に参考になると思いますので,是非その辺は明確に示していただいた方がよろしいと思います。
それから,幾つかの例がありましたが,対策としてその後どうなっているかという問題もあると思いますが,それが定量的にどのように変化しているのかということ。それから,なかなか難しいのは,表に出てきたのはこれだけですけれども,表に出なかったのがどれだけあるのですかということ。要するに,当然普通の民間の中では,内部検査を行って,その結果を基に外の監査を受けるわけですけれども,中でどれだけ見つけて外へどれだけ出てきたのかは非常に参考になりますが,ただ,「もんじゅ」の場合はどうなのかというと,ほとんどオープンになっているような気がしますけれども,その辺をしっかりと,どのようにして潰していけばいいのかということを含めて参考になるのではないかなと思います。
多くのスローガン,体系がありました。報告する文化とか問い掛ける姿勢とかありますけれども,これは「もんじゅ」でもさんざん理事長が毎週行って話をするとかやられたようです。そういうことがあったそうですけれども,それだけで本当にどれだけできたのかというのはわからないので,定量的にどのように文化が上がったということを定めているのか,その辺りを,常に外からは安全文化が低い低いと言われていますが,どうすれば測れるのかということも重要なポイントになるのではないかと思いますので,もしやられているのであれば,そういうことも必要だろうと思います。
それから,会議体としていろいろ設けておりますが,「もんじゅ」でも会議体を作って改善をしてきたと思っています。ラインだけではなくて,会議体を作って決めていると思います。その辺の違いですね。どのぐらいの権限がどのようにあって,部制を敷いたとかという話もありますけれども,その辺の関連で参考になるところがあるのではないかと思います。
関連して,地域の有識者の声とありますけれども,こういう委員会もそうですけれども,声を聞いて実際どれぐらい反映されて,どれぐらい成果を得たと定量的に判断するのは非常に難しい問題があって,その辺はどのようにされているのかというところが示されるとよいのではないかと思います。
それから,今は島根の例だけでしたが,指摘されているのは,運転管理を持つ資格がどうなのかと問われているわけですけれども,それでは,今,ほかの電力会社はどのようになっているのかと。全部横並びでどのようにされているのですかというのが一つ。
もう一つは,新たにJ-POWER(電源開発株式会社)が電力会社,原子力発電所が電力会社,こうありますけれども,品質管理というのはどうやって検査して基準を設けてそれを超えようとされているのか,事業者としてそれを捉えているかということですけれども,今,そういう指摘を原子力規制庁から受けたときにどのようにしてそれを示していくかというところは同様な問題があるのではないかと思いますが,どのようにされているのか,もしされているところがありましたら,示していただいた方がよろしいと思います。
それから,「もんじゅ」の話です。「もんじゅ」については,ナトリウムループとの違いというのはよく分かるのですが,それでは,運転管理上何が違うのですかという説明はよく分からないことがあります。どのように運転管理上違いがあるのですか。ナトリウムを使うことによって何が運転管理上違うところがあるのか。基本的には,ナトリウムが流れているところ以外は設備としては全く同じだと思います。ただし,運用上何が違うのか,どのように影響するのかという問題はあるかもしれませんが,その辺を明確にしないと,ナトリウムループだからというわけでは必ずしもないのではないかなというところで,そこを明確に説明していただいた方がよろしいと思います。
幾つかありますが,それで,最終的に,軽水炉の運転管理で明確になった事柄を「もんじゅ」に当てはめて,同じようにどのように対応していったらよいでしょうかということを考えてみるのが,本日御説明いただいたものを反映するには非常によい事例だったと思いますし,そこを何となくではなくて,定量的にきちんと当てはめて,「もんじゅ」の場合はこのようになっていたのだと。ただ,研究開発炉としての位置付けとしてどこが違うのかというところをそこから明確に出してくることが必要だろうと思います。
でなければ,この場にそういった比較が出てきていなければ,なかなか判断はできなくて,何となく感覚的に物事を決めていっているというのが,これまでほかのところでもあるのではないかと思いますが,きちんと社会に理解していただいて,原子力規制委員会にも提示するためには,機能として定量的にどういうものが必要なのだと。それで,「もんじゅ」についてはこういう考え方でここは定量的にこのようにした方がよいのだというところがあって,全体の体制なりの仕組みに関する話に持っていくべきではないかなと思いますので,是非そこをまとめて定量的なものを提示していただいて,特に考え方をそれに付け加えていただくのがよろしいのではないかと思いますので,是非御検討いただきたいというのが私の最初のコメントです。
非常にたくさんの質問がありましたので,手短にお答えいただきます。
まず電気事業者から,今の範囲の中でお答えしたいと思います。
まず点検関係の数量ですが,私,もしかすると30万と言ったかもしれませんが,1プラント3万そこそこということです。
3万ですね。失礼しました。
島根の場合ですと,2プラントですから6万強ということになろうかと思います。6万から7万ぐらいの間,数え方にもよりますが,そのぐらいかと思います。
それから,事業者,メーカーの関係というのは,これは契約に基づいてしっかりと仕事をしていくということが基本ですけれども,どこの発電所でもそうですが,電気事業者も,この発電所が自分の発電所だということ,当たり前のことですが,そう思って,地元の人も採用されていますし,自分の発電所ということでしっかり管理していこうというマイプラント意識があります。メーカーの方も,あるいは工事会社の方も,その発電所で設備を運転管理し,その発電所がしっかりと運転されていくということに対して意気を感じてやっていただいているということがありますので,契約に基づくつながりと,そして,意味のある仕事を一緒にやっているということ,両面あろうかと思います。
そして,不適合管理のプロセス等から言いますと,これは実際に現場で工事をしている中で機器の不調を発見するということが最も多い発見機会ですから,企業からの報告というのが極めて重要な情報ソースになってくるということです。先ほど紹介したシステムの入力あるいは不適合管理でもそうですが,実際には我々の職員が発見する不適合の数よりは,企業が発見する不適合の数の方が多いということがあります。そうしたことを,要は,一緒に取り組んでいくということがポイントなのかと思います。
それから,内部監査うんぬんということがありましたが,これは,今すぐには分かりませんけれども,不適合管理の中で様々報告されています。数量的にはどのぐらいかというのは,会社によって,あるいは定期検査の有無によって相当変わってきますが,昨今の例で,島根の場合ですと,半期で800件ぐらいの不適合の処理が行われているということで,年間千数百となります。会社によって,定義によって裾野をどこまで広げるかによって数は変わってきますが,年間1,600件ぐらいを平均的に処理しています。これは最近,定期検査がないので,数が減っています。検査をしていたときはもっと多かったかと思います。
それから,スローガン等ということですが,もちろんスローガンだけではということですけれども,まずはしっかりと意識を付けていくということはとても重要なことですので,その意味でスローガンというのも意味がある。それは何を意味するかというと,経営トップの意思として,そういうところが大事だということをしっかりアナウンスしているということかと思います。ただし,おっしゃるとおり,それを実現するためのツール,手段を現場に与えておくということが同じく重要ですので,その両面が大事だというのはおっしゃるとおりかと思います。
様々今頂きましたが,おおよそそのようなことであったかと思います。全体の処置については,事務局と相談させていただきます。
日本原子力研究開発機構から御回答させていただきます。今,宮野委員からありました,軽水炉,電力会社でどうなのか,それに対して「もんじゅ」ではどうなのかということは,我々として別に説明,御回答させていただきます。
メーカーとの関係においては,日本原子力研究開発機構,「もんじゅ」においても同じように契約で実施しておりますけれども,その中でどのようなところが違ってきているのかというのは,また分析をしたいと思います。
あと,機器数ですけれども,「もんじゅ」は,今の自前で持っている保全プログラムの中には約5万の機器があります。ただし,水・蒸気系と発電機の設備は,次の40%試験をするまでに保全計画,点検計画の中に入れるということで,それは含まれていませんので,今後もう少し増えます。
電力への質問はそれが一つとして,あと,「もんじゅ」の方で御質問のありました,運転管理上何が違うのかということについてです。ナトリウムが入っていることで,配管をヒーターで予熱をしなければならない,かつ配管,機器の上面の自由液面よりも上のところの空間をアルゴンガスで封入しなければならない,そういうことで空気の混入を防がなければならないというようなところが,保守をするときにも,あるいは運転をするときにも必ず入ってきます。点検をするために系統の中のナトリウムを排出しなくてはなりません。また,点検が終了すると,ナトリウムを系統の中に入れることが必要で,ナトリウムを入れるためには空の配管のところから電気ヒーターで温めて,そしてナトリウムを充填するということがあります。
あと,1次系の部屋は放射性のナトリウムが系統の中に入っているということで,大きな部屋の中を窒素ガスで封入しています。したがって,点検をするためには,その窒素ガスを抜いて,空気に置換していかないといけないとか,そういう点検の工程を管理するところでも異なってきます。
あと,今言ったように,予熱ヒーターやアルゴンガスといった設備については,定期検査をしているときでも一括して全てを停止するわけにはいかないので,これらの一部を運転したり停止したりという運転管理の負担も比較的大きいと思っています。
ほかの御質問については,事前に頂いていますので,また御回答させていただきます。以上です。
ありがとうございました。
ほかに御発言ありませんか。
丸委員。
日本原子力研究開発機構の資料で,具体的に9ページから保安規定の問題や保全計画の問題,それで,最後にまとめのところで強調されていた点,私は「もんじゅ」の役割として非常に重要なのは,前例のないプラントの運転ですから,運転に先立って保全計画を確立するということが,「もんじゅ」の役割として,研究開発段階炉の役割として非常に重要なのではないかと思います。確立できればそれ自体が立派な開発成果だとも思います。これは個人の感想ですけれども。
具体的には,11ページに書いてあるように,今その見直しを,原点に返って自主的なプロセスチェックをするという宣言をされているわけですね。これ自体は様々な研究開発段階から実用化に至る段階の中間段階で前例のない中で,ソフト面の開発になると思います。機器,プラント,ハードの開発と併せてというか,並行してソフトの開発をしていると思いますが,これは是非奏功すればよいと思います。
それで,質問ですが,これを実際に実行する上で,つまり,保全計画を根本から見直して,原点に立ち返ってというところですが,ここの問題というのが,前回の御説明でもチームの話がありましたけれども,これが実行できるのかどうかという点が問題だと思いますが,そこで感じておられる問題なり課題なりがありましたら,補足で御説明いただきたいと思います。
ありがとうございます。今,委員がおっしゃったように,確かに正にソフト的な部分の開発です。特に保全計画につきましては,今,行っていますのは,劣化メカニズム,原理的にどういうところが弱くて,どういうところを押さえなければいけないのかという分析をしております。これに加えて,実際に実機として運転して,例えば500度の高温で運転して,それでその機器を点検して,どうだったのかということをフィードバックすることが,保全計画,保全プログラム,点検がどうあるべきかということを考えるときに非常に重要なことですので,これはやはりしっかりとやっていき,高速増殖炉を商業炉として,実用炉として使っていくためには非常に重要な研究開発課題だと思っています。
それで,今取り組んでいるところの課題ですけれども,5万ぐらいの機器が今,保全プログラムの中にありますとお話をしました。これを一つ一つ作っていくので,やはり時間がかかります。今,我々は,重要度に応じて順番に作っていきましょうと考えています。安全重要度の高いクラス1とクラス2については,今年の夏前ぐらいまでに仕上げましょうと。これが5万のうちの7,000ぐらい,クラス1とクラス2を足すと7,000弱ぐらいです。まずこれをしっかりとやっていきたいと思っています。ですから,困っているというか悩んでいるところという御質問に対しては,やはり一定程度の時間がかかる。しかし,重要なところからまずやり始めている,手を入れていると考えています。
少しだけ補足させてください。一番難しいのは,基本的には記録がないというところです。経験がないですから,いろいろなところに記録がない。そのために,今から記録を作るわけにいきませんから,基本的な流れは,軽水炉の方々と一緒に最初のドラフトを作っています。今やっているのは,それに対して,実際に点検をしてきたメーカーの方々の視点を入れる。そのことによって,まずは第1段階の仕上げをする。それが今,荒井の申し上げたことです。その第1段階の仕上げを作った後に,本当の経験を入れて確実なものにしていくステップを踏む。ですから,ただいまは記録がかなり薄い中で,その中を妥当なものにしていく,そういう工夫が必要だというところです。
ありがとうございました。
まだ御質問もあろうと思います,御意見あろうと思いますが,時間が参りましたので,私から一つお願いがあります。私も幾つか御質問申し上げたいことがあって,これをメモにしました。御質問がある皆さんもメモを御提出いただけませんでしょうか。そして,それを改めてまた担当の方に御質問申し上げて,お答えいただいたものをお配りするということで,本日は終わらせていただきたいと思います。そういうやり方でよろしいでしょうか。
次の案件に移ります。事務局では,これまでの皆様からの御意見を踏まえ,前回資料として出された論点を再整理いたしました。これにつきまして,事務局から説明をお願いいたします。また,この検討会では,この場での議論だけではなく,早期に「もんじゅ」の現場の調査を行う必要があると考えておりました。今回その準備が整ったようですので,併せて事務局から説明をお願いいたします。
それでは,お手元の資料2を御覧ください。「もんじゅ」に係る課題の検証における論点(例)として,これは前回第1回の会議のときに出した論点の資料に,第1回の先生方の御意見,それから,その後に事務局に直接頂きました先生の御意見をそれぞれ反映させてみた,記載をしてみたというものです。新しく追記をしたところは青字で書いたところです。まだ整理中ですので,いろいろ重複しているところ若しくはほかのカテゴリーの方が適切だというところもあろうかと思いますが,とりあえず事務局で取りまとめました。委員の先生方には事前にお配りしていますので,この場では項目だけ簡単に御紹介させていただきます。
まず1ぽつ,「もんじゅ」の運転管理に必要となる技術的能力というところです。矢羽の青字の1番目です。研究開発の特殊性を明確にすべし。2番目,勧告を明確化して,何を指摘されたのかを正確に理解する必要があるということ。3番目,現状の安全性についてしっかり確認する必要があるということ。4番目,これまでのノウハウの活用,外部人材の登用などが奏功してないとされるのはなぜかということ。最後です。「もんじゅ」の運転に係る人的・資金的リソースの制約がどういう影響を与えてきたかということ。
次に,2ぽつ,「もんじゅ」における品質保証・保守管理の在り方です。現場における運転管理の現状と致しまして,目標管理とPDCAの仕組みもしっかり現状を把握すべしというお話。それから,矢羽の1番目です。背後要因を含めた深掘りが必要であるということ。2番目,勧告の原因が,報告書の内容の不徹底なのか,それとも新たな原因によるものか明確にすることが必要であるということ。
2ページに移って,一番上です。当初指摘を受けた違反と直近で指摘を受けた違反というものは違うのではないかということ。2番目,「もんじゅ」運転に係る人的・資金的リソースの不足に対して,規模感を考えるということが重要であるということ。3番目,保全計画自体に問題はないが対応が悪いのか,それとも保全計画自体が稚拙だったということなのか。4番目,安全確保にとって重要である保全計画を自律的に適切に設定できていないということが,保守管理を軽視していたことの現れではないのか。5番目,現場の声をどのように反映させるかということが大事であるということ。6番目,QMS(品質マネジメントシステム)が適用できる組織体系になっているか。7番目,品質保証・保守管理の問題は,いわゆる安全問題とは切り離して議論する方が議論しやすいのではないか。8番目,「手続的安全性」と「実質的安全性」を区別して議論することが必要なのではないか。最後です。研究開発段階炉において「意味のある」保全計画の策定について検討する必要があるのではないかということです。
それから,前回の第1回の会議でお示しした論点から,先生方から多数御意見を頂きましたので,新しい項目を一つ付け加えました。3ぽつとしまして,「もんじゅ」における研究開発と運転管理の関係,これを新しく視点として入れました。1番目,「もんじゅ」は,研究開発段階炉であるものの,発電プラントに近い。この点がきちんと認識されることが必要であるということ。2番目,研究開発と安全確保は異なるが,「もんじゅ」の在り方について,飽くまで安全確保に絞るのか,研究開発も踏まえるのか。3番目,再掲です。大震災という大きな環境変化の中で,まず研究開発の特殊性をしっかり踏まえる必要があるということ。3ページに移って,日本原子力研究開発機構は研究開発法人として研究開発成果の最大化が要請されていることから,「もんじゅ」の安全確保への取り組みが十分リスペクトされていないのではないかということ。
4ぽつ,「もんじゅ」の組織運営における課題。現場の技術・技能の継承と人材育成。矢羽の2番目です。電力事業者からの支援について,産業界の考えとしてどれだけ協力してもらえるか,何を依頼するのか議論していく必要がある。3番目,研究開発成果の最大化を要請される研究開発法人において,運転管理を行うことは難しさが存在するのではないか。再掲のところは飛ばして,5番目,仕事のやりがいはどのように実現されているのか。6番目,日本原子力研究開発機構のプロパー職員が,今回の問題に対してどのような形で自律的に対応を行おうとしているのか。7番目,どのように構成員の処遇に反映されているのか。8番目,人的・資金的リソースについて。4ページ目,最後です。日本原子力研究開発機構,それから,私ども文部科学省に,きちんと対応していくという本気度が余り伝わってきていないのではないかというような御指摘を頂きました。
またあわせて,資料3についても御説明をさせていただきます。現場での声をしっかりと反映させることが必要,現場をしっかりと把握する必要があるということで,「もんじゅ」の視察について事務局で準備が整いましたので,御紹介させていただきます。
2月9日12時より17時20分まで「もんじゅ」を御視察いただきます。概要説明,それから,現場視察では,原子炉格納容器のほかに,2次主冷却系配管室,それから,4番目,圧縮空気供給系室,これはいずれも保守管理について規制委員会から指摘を受けた箇所です。それにあわせて,中央制御室を御覧いただいた後,最後,意見交換という予定です。
既に委員の方々には日程を御確認させていただいております。何名か御参加いただけないという方がいらっしゃいますので,この日御参加いただけない方には,別途個別に御希望をお伺いして日程を調整させていただく予定です。以上です。
ありがとうございました。
ただいまの2点の説明について,御意見,御質問等ありましたら,お願いいたします。
高橋委員。
本日電気事業連合会からの御説明があって,幾つかキーワードがあったと思います。例えば見える化とか,EAM(統合型保全システム),不適合検討会,どこの発電所でも皆苦労してやっていることだと思いますので,現場へ行ったときにそういったことが見られたらということでお願いをしたいと思います。
ありがとうございました。
ほかにありませんか。
まだ御発言のない山本委員。
御指名ありがとうございます。私,この視察,この日には参加できませんが,是非,現場の特に若手の方と意見交換をできるような機会を設けていただきますと大変助かります。
ありがとうございました。
宮崎委員。
できれば論点に加えていただきたい点が一つありまして,それはやはり経験知の蓄積をどのようにしていくのかということです。例えば情報の共有とか,それから,問題が起きたときに解決する手段,方法とか,情報の伝達手段がどうなっているのかとか,それから,暗黙知をどうやって形式知に変えるのか,そして,それをまたデータベース化していく過程。ですから,経験知をどうやって蓄積していくのかという,そういう課題にどうやって取り組んでいるのかとか,これからどうやって取り組んでいこうとしているのかと,そういうことも一つの論点としてもしできたら加えていただければと思います。
ありがとうございました。 櫻井委員。
本当は御質問したいこともありましたが,またそれは後日に。
いいですよ。今お願いします。
そうですか。それでは,この論点に絡めて申し上げますが,本日のお話も踏まえて思うことは,特に日本原子力研究開発機構の関係で大きいところでは,研究開発段階炉であるということを大変強調されている。それはそれとしてもちろん理解できますが,この会議そのものは,原子力規制委員会の勧告に対してどのように応えていくのかということがそのミッションだと思っておりまして,そうすると,勧告と大分ニュアンスが違うのですね。
勧告を見てみると,「もんじゅ」というのは,高速増殖炉であることに伴う固有のリスクがあるという指摘があって,かつ研究開発段階とはいえ,出力の規模は商用の原子炉に近いという言い方をしていて,それから,勧告の最後のところでは,発電用原子炉施設の在り方を抜本的に見直すということなので,少し視点が違っており,つまり,「もんじゅ」自体についての性質決定のところでずれがあるように思います。
それは多分,文部科学省としてこのずれについてどのように理解をして,そこをどうやって埋めるのかという形で答えを出していかないと,勧告に応えたということに恐らくならないだろうと思います。そこのところは,日本原子力研究開発機構の経験知を生かすというのは,これは生かさない手はないので,それはそのとおりだと思いますが,それをどのような形で生かすのかというのが正にここでの課題なのだろうと思うので,そのことがこの論点の中にもう少し明確に出るとよいのではないかというのが1点です。
それから,もう一つは,これも部分的には出ていますが,この勧告を踏まえると,日本原子力研究開発機構に問題があるということも指摘していますが,もう一つは,監督官庁の監督もきちんとできていなかったということがはっきり書かれているわけです。したがって,そこはやはり別立ての問題として,監督の在り方としてどういうものがあり得るのか,従前の問題は何だったのかということを,もう一つ項目を意識的に作っておかないと,固有の問題が出てこないのではないかと思います。書き方はお任せしますけれども,どこか明確に構図が分かるようにしていただきたいと思います。
それから,3点目,これは電気事業連合会への質問と少し関わりますが,本日の御報告の中で,現場と本社の経営層との関係という問題が幾つか出てきていたと思いますが,その段階というのは,例えば計画を作る段階とか,検査制度が変わったということが現場に伝わっているかということを問題にするときには,これは本社と発電所ベースでの話という局面が問題になると思います。
ところが,今度それを実際に実行に移していくということになると,発電所の中の所長から始まって,それから,工事会社やメーカーがいて,工事会社は請負の問題があり,協力会社が複数いらっしゃいますので,そこの全体のマネジメント,そこの流れのところが具体的に分からないと,どこのレベルで,本当は点検しないといけないのに点検をしなかったとか,誰かが書類をそのように書いてしまったというのが段階的に違うと思うので,現場とトップのところの関係の相対性をもう少し具体的にしていただけるとよいと思ったところです。
あと,「もんじゅ」の場合には,メーカーの話は出てきましたが,工事会社の話は出てこなかったので,そこはどういう関係でやっておられるのか,これも実態はどういうことなのかについて教えていただけると有り難いです。全体のアクターがたくさんいるので,これまた論点の方に戻りますが,出てくるアクターを一応網羅的に出していただいて,その全体の関係を考えるということが必要ではないかと思います。以上,3点です。
ありがとうございました。
それでは,御質問への回答お願いします
御質問がありましたので,ごく簡単にお答えさせていただきます。土俵の違いというのが幾つかあるということだったと思いますが,おっしゃるとおりかと思います。まずこの問題,現場の中での仕事というところからしますと,現場の仕事をしていたときにうまくいかなかったことが,仕事の仕方を変えるという上流側にフィードバックがうまく入らなかったというのは,これは発電所の中の業務運営の話です。
しからばそのような業務運営がうまくいかなかった要因をもう少し深く掘っていったらどうであろうかというと,大きな制度変更があったので,その制度変更に伴って現場の仕事の仕方が変わっていくわけですけれども,実際は,現場はイナーシャを持っていますから,今までうまくいっていたことを変えていくということの中でうまくはまらないようなところが出てきます。したがって,それは本社と現場の関係の中で,実行手段としてのリソースや,それをしっかり作り込むための時間の与え方とかという観点のレベルの問題があります。
それから,もう一つ大きくは,やはり文化ということでいうと,企業の文化醸成というのは企業トップの考えですから,よくよく見ていくと,今回の話の中の,もっと安全意識を高めなければいけない,地元意識を高めなければいけないという文化の問題も内包しています。これは経営トップの思いが現場に届くこと,現場の思いが経営トップに届くことということで,これは大きな意識の問題ということで三つのステージがあると思っています。
よろしいですか。
一応承っておきます。
それでは,井川委員。
御指名いただき,ありがとうございます。それで,私も質問は後で書いてということですので控えておいて,論点に,今,櫻井委員がおっしゃったので少し気になったので申し上げておくと,原子力規制委員会の勧告なるものが絶対的に正しいという観点から我々が解釈する必要は全くないと思われます。それで,櫻井委員があえて御指摘された,「もんじゅ」は発電炉であるので,したがって,リスクを内包しているので特別に厳しくやっているというような物の言い方をされているのを絶対的に受け止めるかというと,原子力規制委員会がそう言うと,それでは,小さい炉は適当に検査すればよいのかと。規模によって原子力規制委員会が考え方を変えるというのは逆に言えばおかしな話なので,全てリスクの大小に基づいて合理的に本来的には安全性を確保する,それができているのかというのを確認するのが原子力規制委員会の仕事であると。
原子力規制委員会をほかのことで見てみると,例えば近畿大学の運転後に炉心を手で持てるような原子炉も,発電していないから原子炉も,活断層調査から含めて1年以上にわたり審査をして,いつ運転再開できるかめども到底立たないというような現状に置かれていて,規制委員会のリスクの考え方というのが必ずしも全面的に正しいと思って受け止める必要性はない。
その意味では,この論点の中に,勧告の中でおっしゃっていることについて,我々として妥当性がこれは余り当たらないのではないかというところについてははっきり申し上げてもよろしくて,そこは別に原子力規制委員会が絶対だということはあり得なくて,私どもの新聞ではよく原子力規制委員会は独善性がすごく高いと書いているのです。その観点から申し上げると,やはりそこは自由に論じた上で組織論を論じないと,より安全にし,より良い組織をつくる,考えるということには条件を満たさないので,もしよろしければこの論点の中に,原子力規制委員会の勧告の妥当性について全般にわたって検討するということをあえて入れておいてもいいのではないかというのを今感じました。
それからもう1点だけ。この「もんじゅ」の視察,見ていると,メニューの中で機器類のことばかり書いてありますが,今回論点になっているのは,我々,構造を見て,いや,これはよくできていますね,立派ですねなどと見てもしようがないので,それの点検がどうなっていて,どういうところに留意してやられていて,例えば今回,原子力規制委員会で言うところの違反,原子力規制委員会の言う違反2とか3とかは,いろいろ付けていてこれがよく意味が分からないのですが,原子力規制委員会はここは悪質だと。恐らく違反3になると悪質なのかどうかよく分かりませんが,そういうものに対する,ここが規制委員会にすごく怒られたところですとか,何かそういったところを是非とも重点的に見せていただけると,原子力規制委員会の考え方が分かって,それをどう踏まえて新しいことを考えなければいけないのかというのが理解できるということがあると思いますので,それについて是非お伺いしたい。
もう1点だけ。この全般について,保全プログラム自体の基本的な考え方についても,是非とも現地でもお伺いしたいと思います。本日電気事業連合会の御紹介の中では参考になっていますけれども,本来的にはその保全プログラムというのは,より合理的でよりリスクを見極めてやる保守点検のためのプログラムであって,私の理解では,今回のように違反を言い立てて発電所を潰すとか研究組織を潰すための考え方でもともと設計されたものではないと理解しています。こう申し上げるのは,私,当時,原子力安全・保安院で仕組みを検討していたときの委員でしたので,根本的に私の理解とは,現状原子力規制委員会がこれを使われている考え方とは,私には当時の考え方とは少し違った方向に来ている感じもするので,その辺の考えも現地でお伺いできればと思っています。以上です。
ありがとうございました。
宮野委員,御意見があったらどうぞ。それから,今のことについて。
質問については別途たくさんお伺いしておりますし,是非お答えいただきたいのですが,今の質問に関連して,規制委員会がどうあるかという問題は,私も先ほど申し上げましたけれども,実際運用していこうという日本原子力研究開発機構若しくは「もんじゅ」をやっておられる方がきちんと提案をしていただきたいと。自分たちはこう考えるのだということを出していただかなければ,ここの中で議論することには非常に抵抗感があります。それはそれだけの情報をきちんと私たちが持たなければ,議論できないので,そういう意味ではきちんと提案をしてください。そうでなければ始まらないと。
ですから,こういう指摘があったけれども,こういうふうにして考えていくのだという指摘をしていただければよくて,原子力規制委員会が間違っているということを言っても余り意味がないので,このように考えるという指摘をしていただければ,それが原子力規制委員会が今言っていることとどれぐらい違うかということが分かってくるのではないかと思いますので,是非それをしていただきたいと思います。
ありがとうございます。
今の宮野委員のお話がしっかりと分からなかったので確認させていただきたいのは,今おっしゃったことは,我々の,自分たちがもともと作ってきて,今作り直そうとしている以前の保全計画について,その保全計画の中身の履行について違反監視をとられているところを,その考え方に自分の考え方がどうだったかということを言えと,そうおっしゃったのですか。
原子力規制委員会が勧告している中身について,今,「もんじゅ」の運用を考えると,自分たちはこういうふうに考えて,その勧告は妥当なのか妥当でなかったのかということを踏まえて返事をしていただきたいということです。
私たちが勧告の中身についてどう思っているかを整理すると言われたのですか。
はい。どういうことで勧告を受けているかということを自分たちがしっかり分からなければ,何をやっていいか分からないのではないかと思います。それをしっかり理解をしていただきたいと。
勧告自体は我々の監督官庁である文部科学省に出されていて,その中身について自分たちのおもんばかりを考えた上で整理して出せと,そう言われたのですか。
いや,そうではなくて,監督官庁についての勧告はそれなりに監督官庁が答えればいい。そうではなくて,「もんじゅ」の運営管理について体をなしていないという指摘についてはきちんと応える必要があるのではないですか。運営母体として自分たちはこのように考えてこういう運営をしているということを答えていただかなければいけないのではないかということです。研究開発炉というのが先ほどもありましたけれども,研究開発炉としてどう考えるかも併せてで結構だと思いますが,その辺の考え方も全て含めてお答えいただくのがよいのではないかと思います。
分かりました。
非常に重要なポイントありがとうございます。
櫻井委員。
関連なのですが,私も原子力規制委員会の勧告自体の妥当性についてここで議論するのは,必ずしも適切でないと思っています。それは,原子力規制委員会については,組織論を含めて幾らでもそもそも論というのが出てくるわけですが,行政の在り方としてはつかさつかさでやっておりますので,勧告が投げられたということをまず重く受け止めなければいけないし,これは論点のところに書かせていただきましたが,正に何が指摘されているのかということを客観的に理解するというのが出発点でなければならないので,そのことをまず前提作業としてきちんとすべきだと考えております。
ですから,経験知のことを言いましたけれども,経験知が仮にあるとしても,体質の問題なのだ,資質の問題なのだと言われているわけですから,そこのところどのように合理的に理解をし,指摘された問題についてどのように対応していくのかという,そこに正に問題があるのであろうと考えております。
それでは,時間が迫ってきましたが,ここでもう1問だけ,質問という方がおられたらお願いいたします。
井川委員。
原子力規制委員会のことについて論じるのはけしからんという御意見もあるようですけれども,原子力規制委員会の勧告について私の考えているのは,例えば新しい組織を考えるときにも,ここで保全計画プログラムが達成できていないということが今回指摘されているわけですけれども,その内容について,新しい組織に変わったとしても,もし変わるとしても,この保全プログラムなるものがそのまま平行移動で行って,同じ規制体系の同じ考え方の下でやれと言われた場合,新しい組織に変えたとしても同じことが全く起こり得る。それはなぜかというと,保全プログラム自体の細部の妥当性とかそういったものを合理的に見直すということをやらせてくれないとすれば,どんな組織に行っても同じことを指摘され,組織を変えろとまた言われる,勧告で変えろということを言われるわけです。
したがって,原子力規制委員会を別に批判する気ではなくて,正におっしゃったように,勧告の中で言われていることについて現状と合理性がどのぐらい適否があるのか,それについてどう対応すべきものなのか,する必要がないものなのか,あるいは考慮すべきものなのか,それについて対応しなければいけないものなのかという仕分のようなものは当然のことながら要るし,何らかのまとめをするときも,それについての重み付けというものは我々がしないと,全部に対して,そのとおり,はい,そうですねというように対応するというのは不可能ということも考え得るので,勧告の内容について全て正しいという解釈でやるというのは,そこはある程度我々も柔軟性を持って考えなければいけないという趣旨で申し上げました。
ありがとうございました。まだ御意見あろうかと思いますが,本日頂きました御意見につきましても,事務局作成の論点に追加して再整理をしていただくようにお願いしたいと思います。
本日予定されている議題は以上です。
事務局より事務連絡をお願いいたします。
それでは,最後,事務局から連絡させていただきます。
本日の議事録ですが,事務局で作成しました後,皆様方に御確認していただくことを第1回と同じ手続で進めさせていただきます。
また,本日の配付資料ですが,後日郵送させていただきます。なお,参考資料は次回以降も使用しますので,机上に残しておいていただければと思います。
また,先ほど座長からもお話がありました,今回に関する質問事項や追加の意見等ありましたら,事務局宛てに御連絡を頂ければと思います。
なお,次回ですが,現地視察の後,2月19日頃を予定していますが,日程はまだ調整中です。調整が整い次第,正式にお伝えしたいと思っています。以上です。
本日は皆様お忙しいところ,大変熱心に御議論賜りまして,ありがとうございました。また,御臨席の方々,本当にありがとうございました。大臣,特にありがとうございました。
それでは,本日はこれで閉会いたします。ありがとうございました。
研究開発局 研究開発戦略官(新型炉・原子力人材育成担当)付