原子力損害賠償紛争審査会(第55回) 議事録

1.日時

令和4年1月31日(月曜日)16時00分~18時00分

2.場所

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンラインにて開催

3.議題

  1. 原子力損害賠償紛争審査会による現地視察結果について
  2. 地方公共団体等からの主な要望事項について
  3. 東京電力ホールディングス株式会社による賠償の現状及び今後の対応について
  4. 住宅確保損害に係る福島県都市部の平均宅地単価の取扱いについて
  5. 損害賠償請求の集団訴訟の状況について
  6. 原子力損害賠償紛争解決センターの活動状況について
  7. 賠償の請求を促す広報等の取組状況について
  8. その他

4.出席者

委員

内田会長、樫見会長代理、明石委員、織委員、鹿野委員、古笛委員、須藤委員、富田委員、中田委員、山本委員

文部科学省

田中文部科学副大臣、真先研究開発局長、堀内原子力損害賠償対策室長、仙波原子力損害賠償対策室室長代理、川口原子力損害賠償対策室次長

オブザーバー

【説明者】
弓岡東京電力ホールディングス株式会社福島原子力補償相談室長、古谷原子力損害賠償紛争和解仲介室(原子力損害賠償紛争解決センター)室長

5.議事録

【内田会長】 それでは、時間になりましたので、第55回原子力損害賠償紛争審査会を開催いたします。
 本日はお忙しいところ、ウェブ開催にはなりましたけれども、御参集いただきまして、ありがとうございます。
 新たに着任された委員のうち、前回御欠席でした山本委員が今回は御参加いただいておりますので、山本委員から一言お願いできますでしょうか。



【山本委員】 ただいま御紹介にあずかりました一橋大学の山本であります。私自身は民事訴訟法あるいはADR法、紛争解決手続を専門としております。原子力損害賠償との関係では、紛争解決センターの創設当初から数年間、総括委員という立場で関与し、その後、原子力委員会で原子力損害賠償法の改正の作業等にも関与いたしました。
 今回は久しぶりにこの原子力損害賠償の問題に関わる機会を与えていただき、勉強しながら精いっぱい力を尽くしてまいりたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。



【内田会長】 どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは初めに、事務局に異動があったということですので、事務局から報告をお願いします。併せて資料等の確認をお願いいたします。



【川口原子力損害賠償対策室次長】 事務局でございます。前回審査会以降の人事異動につきまして、御紹介させていただきます。
 まず、研究開発局長に真先が着任してございます。



【真先研究開発局局長】 1月より研究開発局長を拝命しました真先でございます。どうぞよろしくお願いいたします。



【川口原子力損害賠償対策室次長】 また、開発企画課長、原子力損害賠償対策室室長代理に仙波が着任してございます。



【仙波原子力損害賠償対策室室長代理】 仙波でございます。よろしくお願いいたします。



【川口原子力損害賠償対策室次長】 なお、原子力損害賠償対策室次長といたしまして、私、川口も新たに着任しておりますことを御報告申し上げます。
 続きまして、資料につきましては、事前にお送りしているものを御覧いただければと思います。また、御発言の際は、パソコン画面上にございます挙手ボタンを押していただきまして、会長などから御指名をさせていただくという形になります。御発言の度にミュートの解除をお願いいたします。発言が終わりましたら、各自ミュートに戻していただきますようお願いいたします。
 なお、本日でございますけれども、過半数以上の委員の皆様に御出席をいただいており、会議開催の要件を満たしておりますことをあらかじめ御報告させていただきます。
 以上でございます。



【内田会長】 ありがとうございました。続きまして、本日は、田中文部科学副大臣に御出席いただいておりますので、田中副大臣から御挨拶をいただきたいと思います。
 田中副大臣、どうぞよろしくお願いいたします。



【田中文部科学副大臣】 皆さん、こんにちは。昨年の10月に文部科学副大臣を拝命いたしました田中英之でございます。本日は御多忙の中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。原子力損害賠償紛争審査会の開会に当たり、一言御挨拶申し上げます。
 内田会長はじめ、委員の皆様方におかれましては、迅速、公平かつ適正に被害者の方々が被った損害の賠償が進むよう、賠償状況や被災地の実態のフォローアップに御尽力いただき、感謝申し上げます。
 特に、昨年の11月には、大熊町、富岡町、浪江町、双葉町を御視察いただき、地元関係者との意見交換を行うなど、精力的に活動をいただいており、心から御礼を申し上げます。
 地元の方々からは、地域の実情を踏まえた賠償の実施等について、その強い思いをお伺いしていると承知しており、文部科学省としては、こうしたことも踏まえ、引き続き被害者の方々に寄り添いながら、迅速な賠償が進むようにしっかりと取り組んでまいります。
 本日は、現地視察の結果に関する議論、賠償に関する東京電力の取組についての報告、住宅確保損害に係る宅地単価の取扱いに関する審議等がなされると伺っております。委員の先生方におかれましては、有意義な御議論をよろしくお願い申し上げます。



【内田会長】 どうもありがとうございました。
 ここで、田中副大臣は御退席されます。どうもありがとうございました。



【田中文部科学副大臣】 失礼いたします。
(田中文部科学副大臣退席)



【内田会長】 それでは、議事に入りたいと思います。
 まず、議題1でございます。原子力損害賠償紛争審査会による現地視察結果について、でございますが、これについて事務局から説明をお願いいたします。



【川口原子力損害賠償対策室次長】 事務局でございます。お手元の資料1に基づき御説明させていただきます。
 昨年、令和3年11月1日に原子力損害賠償紛争審査会によります現地視察を行いましたので、その結果について御報告をいたします。
 「2.目的」にございますとおり、中間指針等に基づく賠償の実施状況を確認するため、被災地域の現場を視察することを目的とし、行ったものでございます。
 「3. 視察委員」とございますが、内田会長、樫見会長代理をはじめといたしまして、計8名の委員による視察となりました。
 「4. 視察先」でございますが、大熊町、富岡町、浪江町、双葉町の4町に御視察をいただいたというものでございます。
 大熊町におきましては、大野駅周辺の帰還困難区域の商店街、特定復興再生拠点区域外の住宅などの視察、そして、吉田町長、吉岡議長らとの意見交換を行っております。
 富岡町におきましては、未解体大規模店舗を視察するとともに、山本町長らと意見交換を行ってございます。
 浪江町におきましては、道の駅なみえ、棚塩ラック式カントリーエレベーター等の視察を行った後、佐藤副町長から御挨拶をいただきました。
 最後、双葉町でございますが、まず、双葉厚生病院を御視察いただき、その後、帰還困難区域でございます鴻草地区を視察してございます。その後、伊澤町長、伊藤議長らとの意見交換を行ったものでございます。
 資料1の2ページ目でございますけれども、原子力損害賠償紛争審査会の現地視察におきまして、被災自治体の方々からの主な御発言を抜粋したものを作成してございます。
 このあとの議題2にもございます、要望事項の御説明ともかなり重複するものもございますので、主にそこで触れられていないような部分を中心に御説明させていただければと思います。
 まず、大熊町でございますが、1点目のポツでございます。令和4年春に、特定復興再生拠点区域の避難指示が解除されたとしても、今後も多くの町民は避難生活が継続し、長期化に伴う精神的苦痛はまだ増すばかりであるという御指摘がございました。
 また、2点目のポツの最後のところ、「さらに」のところでございますが、営業損害に対する賠償について、農業と商工業に差があるのではないかという御指摘もございました。
 続きまして、富岡町でございます。2ページ目の下のほうでございますが、1つ目のポツ、審査会として、被災地の実情を正確に把握した上で、現場主義を貫き、そして今後も活発に議論が展開されることを期待しているという御発言をいただいてございます。
 ページ変わりまして、3ページ目でございます。浪江町でございます。浪江町ADRセンターにおける和解仲介手続、これは町として申立てを推進しているという話ではあるのですが、高齢者や、避難により心身の病気になった方など、申立てが困難である方も少なくないという御意見がございました。
 2点目のポツでございますが、東京電力は被災者に寄り添うと常に言ってきてはいるけれども、現実の対応は、被害に見合った賠償が実現されていないという御指摘もございました。
 次のポツでございます。東京電力に原因者としての責任を果たすよう、引き続き指導をお願いしたいという御発言もございました。
 続きまして、双葉厚生病院でございます。ここにつきまして、1つ目のポツでございますが、営業損害に係る一括賠償後の超過分というのがございまして、こちらについて東京電力に請求しているものの、東京電力のほうからは事故発生前から赤字であるし、事故発生後は赤字が縮小していることから、損害そのものは発生していないという言われ方をしているということで、自分たちとしては納得できないという御発言がございました。
 また、病院の建物解体費用につきまして、土地の所有者であります双葉町からの要請を受けて実施するものであり、自らの判断で行うというものではないということ、この点についても、東京電力からはあまり良い返事をもらえていないという御説明がございました。
 また、事故発生から10年以上が経過して、東電の賠償基準が被害の実態に見合っていない状況ではないかと。病院の特殊性と地域の現状に合わせたような形で、中間指針の見直しを行ってほしいという御要望もございました。
 最後、双葉町でございます。最初のポツでございますけれども、最近の訴訟の中におきまして、被告側である東京電力から原告側に対する書面回答を目にして、不適切な表現や主張されていることに強く憤りを感じているという御発言がございました。
 一つ飛ばしまして、3つ目のポツになります。一刻も早く被害者の救済のために、中間指針以上の賠償も認めない加害者である東京電力の対応を踏まえ、唯一全町避難を続けている町の被害実態を十分に認識して、実態に即した内容となるよう指針の見直しに努めてほしいという御指摘もございました。
 一つ飛ばしまして、最後のポツでございます。審査会への被害者側の出席についてということで、東京電力からも話を聞いているというのであれば、被害者側からも意見を伺うべきではないかという御指摘がございました。
 資料の5ページ目以降、意見交換の場におきまして、その場で手交されました要望書を参考として添付してございます。先刻、御説明させていただきましたけれども、こちら資料2にも同様のものでまとめてございますので、そちらのほうで説明をさせていただきたいと思います。
 事務局からは以上でございます。



【内田会長】 ありがとうございます。ただいまの御報告についての御意見、御質問等につきましては、議題3の説明後にまとめていただきたいと思います。特にこの議題1については、現地視察に参加された委員の皆様から一言ずつ御発言を頂きたいと思っております。
 それでは、先に議題2のほうに進みたいと思います。地方公共団体等からの主な要望事項について、事務局から説明をお願いします。



【川口原子力損害賠償対策室次長】 事務局でございます。資料2を御覧ください。
 地方公共団体等からの主な要望事項について、というものでございます。この資料につきましては、昨年6月に開催いたしました第54回審査会以降、現時点までに我々のほうに寄せられた要望をまとめたものでございます。以下1から5という形でカテゴライズした上でまとめてございますので、順に報告をさせていただきます。
 まず1点目、中間指針等に係る部分でございます。最初の丸でございますけれども、事故に伴う損害賠償請求訴訟において、判決が確定する前でも指針を改めるべきではないかという御要望がございました。
 2つ目の丸でございますが、裁判の結果を十分に考慮した上で、共通する事例や類似事例については指針に示すべきではないかという御要望もございました。
 次の丸でございます。避難生活が続く間、また帰還又は移住をしても、精神的な損害等が発生している場合は、その個別の事情に応じた賠償が確実に実施されるように指針に示すことという御要望をいただいてございます。
 4つ目の丸でございます。営業損害、就労不能損害について、一括賠償後においてもなお損害が継続又は発生している場合は、個別の状況に応じた賠償が実施されるよう指針を見直すべきではないかという御指摘がございました。
 次の丸でございます。原子力損害賠償紛争解決センター、すなわちADRセンターにおける和解仲介におきまして、指針を超えた和解が成立しているということも踏まえまして、被害者・被害自治体に共通する事例、類似事例につきまして、ちゃんと賠償が実施されるよう指針に示すべきではないかという御要望がございました。
 最後の丸になりますけれども、継続的な被害、特に、高齢者等の避難弱者や風評被害が継続する事業者の被害実態調査をし、中間指針の改定を行うことという御要望をいただいてございます。
 2点目でございますが、東京電力の賠償への対応でございます。1つ目の丸でございますが、事故に伴う損害賠償請求訴訟において、東京電力が中間指針を超える賠償を認めるべきではないとの主張がなされていると。東京電力に対して、指針の理解を再度図ってほしいという御要望でございます。
 ページ変わりまして、次の丸でございます。一律に終期を定めることなく、指針の本旨を尊重した賠償を行うよう、東京電力に強く申入れをしてほしい。
 次に、東京電力に対して損害がある限り最後まで賠償を行うよう指導することという御要望をいただいてございます。
 3点目、地方公共団体に係る賠償でございます。放射性物質対策に要した経費や財物損害等について、国及び事業者の責任により完全賠償することという御要望をいただいてございます。
 4点目、ADRセンターによる和解の仲介でございます。先ほども書かせていただきました部分の再掲となってございますけれども、最後の「なお」のところでございます。共通する事例や類似事例を分かりやすく公表することという御要望をいただいてございます。
 最後、5点目でございます。ALPS処理水の処分に係る風評対策でございます。
 1つ目の丸でございますが、十分な賠償及び速やかな賠償、損害に関する立証負担を一方的に被害者に寄せることのない、被災者に寄り添った視点を持った調査・審議を行うこと。
 2点目の丸でございますが、風評被害に対しまして、あらゆる業種において損害の範囲を幅広く捉え、簡易かつ柔軟な手法により、被害の実態に見合った賠償を迅速かつ確実に行うよう、東京電力に強く申し入れることという御要望でございます。
 最後の3点目でございますが、紛争審査会を含めて国においては、ALPS処理水の処分に関する基本方針の決定による様々な状況変化を捉えて、具体的な調査等により福島県の現状把握を行ってほしいという御要望でございます。
 私からは以上でございます。



【内田会長】 どうもありがとうございました。それでは、続いて議題3でございますが、東京電力ホールディングス株式会社による賠償の現状及び今後の対応について、という議題につきまして、東京電力から御説明をお願いいたします。



【弓岡東京電力ホールディングス株式会社福島原子力補償相談室長】 東京電力ホールディングスの弓岡でございます。
 まず、今もなお福島の皆様はじめ、広く社会の皆様に大変な御負担と御心配をおかけしておりますこと、改めて深くおわび申し上げます。本当に申し訳ございません。
 それでは、賠償の状況につきまして、御説明させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 当社といたしましては、福島の復興が私たちの原点と位置づけており、3つの誓いに掲げる、「最後の一人まで賠償貫徹」、「迅速かつきめ細やかな賠償の徹底」、「和解仲介案の尊重」
を引き続き遵守し、適切な賠償を進め、福島復興の責任を最後まで果たしてまいる所存です。至らない点もまだまだあろうかと思います。本当に申し訳ございません。適切な賠償に向け、引き続き取り組んでまいりますので、何とぞよろしくお願いいたします。
 それでは、資料の説明に入らせていただきます。
 資料3-1、原子力損害賠償のお支払い状況等について、御説明させていただきます。
 1ページ目につきましては、賠償金のお支払い実績等について、でございます。中ほどのお支払い総額のところを御覧いただきますと、昨年10兆円を超えまして、昨年12月末時点で総額約10兆1,878億円お支払いをさせていただいております。
 前回審査会にて御報告させていただいた昨年5月時点のお支払い総額と比べ、約1,627億円の増加となっておりますが、そのうち約914億円が除染等にかかった費用でございます。
 下のグラフが、賠償のお支払い額の推移でございます。グラフの一番右側ですが、下から2番目のグレーの部分、個人の方へのお支払いが累計で約3.2兆円、その上の法人、個人事業主の方へのお支払いが約6.5兆円となっております。
 ここ数年の傾向としましては、個人の皆様の賠償の伸びが緩やかになっていることに比べまして、法人、個人事業主などの皆様の伸びが大きくなっております。これは先ほども申し上げましたとおり、除染等にかかった費用を法人、個人事業主様などの項目に計上しているためでございます。
 2ページ目以降は参考資料といたしまして、個人の方に対する賠償の合意状況。
 3ページ目が賠償項目別の合意金額の状況。
 4ページ目に、原子力損害賠償請求訴訟等の状況を掲載しております。そして、その下部にございます原子力損害賠償に向けた組織体制につきまして、1点、御説明させていただきます。
 仙台事務所という組織を昨年9月、従来、補償相談ユニットの中にありました東北補償相談センターを改め、設置しております。これまで以上に地域に根差したきめ細やかな賠償に向けて取り組んでまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 当社といたしまして、まだまだ至らぬ点もあり、昨年は農業における風評賠償において、一部の農家様へ適切に賠償額がお支払いできなかった事例もあり、本当に申し訳ございませんでした。至らぬ点、いろいろございますが、今後とも適切な賠償に向けてしっかりと取り組んでまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 引き続きまして、未請求の方々への取り組みについてお話をさせていただければと思います。
 まず、これまでの取組の項目を御覧ください。当社は昨年1月以降、御請求をいただいていない方々に対して、電話や戸別訪問、ダイレクトメールの送付など、様々な方法を組合せの上、請求の御意向を確認するとともに、請求の御支援を行わせていただいております。
 昨年10月以降は新型コロナウイルス感染症に関する福島県のまん延防止等重点措置の解除を踏まえ、戸別訪問を重点的に実施いたしました。そして、御請求をいただいていない方々へ直接御説明をさせていただいております。
 その結果、請求の御意向を確認中の方々は、取組を開始した昨年1月には400名ほどおられましたが、昨年12月時点で44名まで減少することがどうにかできました。これにより大分実態に迫ることができたのではないかと考えております。
 その上で、昨年12月末時点で、精神的損害の御請求をいただいていない方の人数は716名となっております。これは前回審査会にて御報告させていただいた昨年5月末時点での人数723名より7名の減少となりまして、全体といたしましては、99.6%の方々にお支払いをさせていただいております。
 なお、このほかに14名の方は、現在、請求書を作成支援中まで来ておりますので、速やかに御請求いただけるよう引き続き御支援を実施してまいりたいと考えております。また、いまだ御請求をいただいていない、716名の方々における請求の御意向の確認結果を中ほどに記載しております。冒頭で申し上げた内容もございますが、御覧ください。
先ほど申し上げたような当社の取組により、請求の御意向を確認できた方々は228名、続いて現時点では、請求の御意向がない旨を表明された方々や、地元自治体様に御協力いただいてもなお御連絡先を確認できない方々、当社との連絡を控えられている方々などを合わせまして444名おられます。最後に請求の御意向を確認中の方々は44名となっております。
 今後の取り組みについて御説明申し上げます。まず、御請求の御意向を確認することができた228名の方々につきましては、お一人お一人の御事情を十分に考慮させていただきながら、円滑に御請求いただけるよう賠償内容や請求書の記載方法について、丁寧に御説明を行うなどの御支援を行い、御請求につなげてまいりたいと考えております。
 続いて、請求の御意向を確認中の44名の方々につきましては、先ほど御説明させていただいたように、引き続きお電話や戸別訪問を実施し、御意向を確認させていただきながら、丁寧な対応を進めてまいりたいと考えております。
 一方、現時点では請求の御意向がない旨を表明された方々や、地元自治体様に御協力いただいて接触を試みたものの、住所や連絡先を確認できない方など444名の方につきましては、当社から御請求を御案内することが実質的に大変難しい状況ではございますが、当社に直接御連絡をいただいた場合や、自治体様を通じて御連絡いただいた場合などに、御請求をいただけていないことを改めて御説明し、丁寧な対応を行ってまいりたいと考えております。
 当社といたしましては、これまで同様、賠償についてお問合せをいただいた機会を捉え、損害の状況を丁寧に伺いながら、御請求いただける損害項目について御案内をすることも継続して取り組んでまいりたいと考えております。
 最後に当社は消滅時効に関し、これまでのプレスリリースに加え、昨年8月4日に変更認定されました総合特別事業計画でも、消滅時効に関する当社の考え方を記載いたしました。時効完成後も3つの誓いに掲げておりますとおり、最後のお一人まで賠償を貫徹するべく、御請求者様の個別の御事情を踏まえ、消滅時効に対して柔軟な対応を行わせていただきたいと考えております。
 被害を受けられた方々、皆様への賠償はこれからも当社の使命であると改めて認識し、引き続き親身、親切な、丁寧な賠償に取り組んでまいりたいと考えております。
 私からは以上です。



【内田会長】 どうもありがとうございました。それでは、ここまでの議題1から3について、まとめて御意見、御質問等をいただきたいと思いますが、その前にまずは現地視察に参加されました委員の皆様から所感をいただければと思います。
 それでは最初に、明石委員からお願いできますでしょうか。



【明石委員】 東京医療保健大学の明石でございます。よろしくお願いいたします。
 今回、視察をされた委員の中で、私自身が恐らく唯一の法律等の専門家ではない人間かなと思っております。特に私自身が感じましたのは、やはり双葉厚生病院でもそうなのですけども、専門的なことというのは、やはり理解しにくいということで、誤解があったり、それから必ずしも理解が進んでいなかったりする点が、やはりいまだにあるような気がいたします。
 特に法律的な部分というのはなかなか分かりにくいですし、法律の専門家でない人たちは、弁護士の先生とか普段接する機会もないことが多いので、やはり何らかのセンターもいろんな形で接触をされているかと思うのですけども、できる限り難しい言葉を使わないように、それからもう駄目だ、こんなのはできないのだと思っているようなことについても、きめ細かに御説明できるようなシステムが必要かなというのを特に病院等で見学させていただいた時に感じました。
 以上でございます。



【内田会長】 ありがとうございます。では、続いて織委員、お願いできますでしょうか。



【織委員】 ありがとうございます。現地視察におきましては自治体の皆様、関係者の皆様、十分な準備を取っていただいて、コロナ禍でもありましたが、いろんな現場を見せていただくこと、大変感謝しております。
 先ほど明石先生がおっしゃったように、やはり現場を見ることによって、また、双葉厚生病院などすごく生々しい現場を見せていただくことによって、私たちもまた新たに気持ちを引き締めて、真摯に向き合わなければならないと思った一方、今回、非常に時間がタイトで、何か駆け足で終わってしまったような気がするのです。私たちもこの問題に関わってきてもう何年か経っております。その間にずっと当事者間の話合いの中でやはり行き違いや、納得できない部分というのは、実は随分前から同じような話が繰り返されているなと思っているところなのですが、そういったものの何が擦れ違いになっているかというのは、やっぱり現場に行って、皆さんともっとざっくばらんに意見交換をしないと、なかなか根本的な解決というのはできないと思っているのです。
 そうした中、今回のようにちょっとタイトだと、やっぱり駆け足で割とさっと眺めてしまって、すごく本当に生々しくて気持ちは引き締まるものの、やはりできれば当事者の皆さんや自治体の皆さんともっと1か所でも構わないので、じっくり話をして、会議や書面では分からないような現場感覚というものを私たちも得たいと今回の現地視察で思いました。ハードな視察を苦労してつくってくださったことは非常に感謝しているのですけれども、できましたらもうちょっと実を取って、話合いをさせていただければと思いました。
 以上です。



【内田会長】 ありがとうございます。では続いて、樫見委員、お願いします。



【樫見会長代理】 樫見でございます。今回の視察につきましては、日にちも限られておりまして、今回は帰宅、帰還困難地域として、住民が自由に立ち入れない大熊町、富岡町、浪江町、そして双葉町ということで、10年の月日を経過してもなお、町の多くの中に帰宅、帰還困難地域を抱え、住民が帰還できず、また、住民が生活を維持するために必要な医療や生活物資の調達の確保もままならないという状況、これを目の当たりにしたということでございます。
 ほかの皆さんもおっしゃるかと思いますので、1点、特に私の方から特に印象を受けた点をお話ししたいと思います。視察の中では、特定復興再生拠点区域のうち、国道6号線沿線に、取り壊されないまま放置された大型店舗の現状ですとか、それから、東電の第一原子力発電所から約5キロの位置にありました双葉厚生病院など、まさに大型施設が震災のまま復興から取り残された状態で、その反面、土地の所有者等からは解体の要請が来ているということをお聞きいたしました。
 建物は本来、相当期間の使用後、多くはその設置者によって解体され、その使用用途が一応達成されるわけでありますが、震災という突発的な事態のためにその使用目的、その中には収益も入ってくるかと思いますが、将来の利用も未定のまま放置され、復興再生区域に廃墟となっている状況を目の当たりにいたしました。
 こうした状況は、当該の土地所有者、自治体、それから企業にとっても負担でありまして、町にとっても、復興を目指す地区におけるこのような建物の存在というのは、非常に景観上望ましいものとは言えません。やはりこの解体費用の負担を含め、どのようにこの問題を解決するのか、この点がまだ大きく残された検討課題であろうと感じました。
 私の方からは以上でございます。



【内田会長】 どうもありがとうございます。では続いて、鹿野委員、お願いいたします。



【鹿野委員】 私自身は今回初めて被災地の視察に行かせていただきました。そして、視察を通して被災地の実情と残された課題等について、深く実感を持って認識することができました。改めまして、真摯にこの問題に向き合わなければならないということを自覚した次第でございます。
 なお、1点、先ほど事務局からも御紹介があったところで少し気になった点がありましたので、一言申し上げたいと思います。
 視察の中で、訴訟等において東京電力から、中間指針を超える賠償を認めるべきではないという主張がなされることがあるということを伺いました。これは、依頼を受けた法律家としては、依頼者の利益となることを主張するという趣旨で、主張がなされているのであろうとは思います。しかし、中間指針の趣旨がこのような賠償の上限を定めたものではないということは、今まで審査会から既に指摘がされてきたことと思います。東京電力におかれましては、中間指針の趣旨を十分に理解して、その趣旨に沿った運用が行われるように努めていただきたいと希望いたします。
 以上です。



【内田会長】 どうもありがとうございます。続いて古笛委員、お願いいたします。



【古笛委員】 私は今回全く初めての視察だったのですけれども、やはり10年経ったということを実感しました。10年も経ったのかという思いと、まだ10年しか経っていないのかと、いろいろなことを思いました。
 賠償実務に携わる弁護士としましては、従来、法で保護される生命、身体、財産といったことでは割り切れないような利益というものもあると感じましたので、この賠償の問題がなかなか難しいということを改めて実感しました。中間指針に基づく賠償、少なくともそれは早く皆さんに実現していただきたいということも強く実感した次第です。
 以上です。



【内田会長】 どうもありがとうございます。では続いて、富田委員、お願いいたします。



【富田委員】 一つには今、他の委員からも話がありましたように、帰還困難区域がまだなお多く残る形で、被災地の復興がなかなか難しいということについては、本当に大変なことだと改めて思った次第ですが、私はADRを担当している関係もありまして、直接請求で認められ、あるいは直接請求での結果に不満のある方がADRセンターに申し立てて、さらに適切な賠償を得るという仕組みになっているのですけれども、なおADRセンターへの申立てが十分にされているとは言えないということで、広報を続けてきたわけです。
 今回現地の町長の方々とも、できる限りその点について議論もさせていただきました。従来、理解も深まっている部分もあれば、なおかつADRセンターへの申立てに何らかの壁なり抵抗がある現状も感じたところです。
 しかしながら、後でセンターの方から説明があると思いますが、本年度は10年目の時効の問題もあったことと、それから、ある町では積極的に健康診断や税務申告の際に、ADRのPR及び相談を並行してやっていただいているおかげで、結構、新たな申立てが増えております。
 令和2年度に比べても予想以上に事件が伸びていると。さらにADRセンターに対する初回申立てが相変わらず、全体の約40%から50%という現状を踏まえると、なおADRセンターに申し立てて、適切な救済を受けていただける方が多数おられると考えております。
 今回の視察を通じて、地元の自治体の御理解を得ていけば、さらに広報が進むということが実感できましたので、その点をさらに地道に続けていくべきだということがよく分かった次第です。
 私の方から以上です。



【内田会長】 ありがとうございます。それでは、山本委員、お願いいたします。



【山本委員】 私も今回初めて現地を見させていただくことができました。まさにその3月11日の直後の状況のままになりながら、その外観は、木や草に覆われてしまっているような住居であるとか、あるいは正に生々しい病院の状況等を見させていただいて、大変大きな衝撃を受けました。やはり現地に行って、自分の目で見て、自分の足で歩いて、お話を直接伺うということは非常に重要なことであるということを実感した次第であります。
 他方でいろいろなお話を伺う中で、私自身、センターで業務をしていたときと比較して、やはりこの10年という歳月が経つ中で、問題が非常に深刻化してきているということを一方で実感しました。
 他方でこの年月の流れの中で、その事業者の方々あるいは個人の被害者の方々の状況というものが様々な形で変わっていって、問題がより個別化しているという印象も受けた次第であります。
 そういう中で抽象的ではありますけれども、一般的な基準である指針の役割と、それから個別的な問題、紛争の解決を役割とするセンターの役割というものをどのような形で分担していけば、最も適切に賠償を実現していくことができるのだろうかということ。私自身まだ頭の整理が十分にはできておりませんけれども、考えていく必要があるかなと思った次第であります。
 私からは以上です。



【内田会長】 どうもありがとうございます。それでは、最後に私からも一言感想を申し述べたいと思います。
 今回の現地視察で、まず大熊町では大野駅前の閉鎖されたままの病院とか、雑草に覆われた町長の御自宅などを拝見しまして、10年を経てなお癒えない傷の大きさというものを感じました。富岡町では、荒廃したままの大型店舗などを見学しまして、復興がなお進んでいない実情を目にいたしました。浪江町では各所を見学いたしましたけれども、例えば復興公営住宅がきれいに整備されているという様子も拝見したのですが、やはり住宅が造られても、事故前のコミュニティーを再建することは容易ではないのだということを感じました。双葉町では、避難当初のまま時間が止まったように残されていた双葉厚生病院の現状はやはり他の委員の皆様と同様衝撃的でしたし、また、全町避難が続いて、全国300以上の自治体に分散して避難している町民の苦しさを町長さんから直接様々お伺いをし、大変強く記憶に残りました。
 こういったことを様々拝見し、強い印象を受けたのですけれども、一つだけ各町で共通にお伺いした話で、先ほど鹿野委員がご指摘されたことと同じことを感じましたので、最後にそのことを申し上げたいと思います。
 それは、指針を超える賠償を認めるべきではないという主張が、訴訟において東京電力の代理人からされているということで、それに対する地元の反発が大変強いということに強い印象を受けたということでございます。個別事情があれば指針を超える賠償が認められるというのは、これは中間指針の立場でありますし、東京電力も中間指針を上限としないという立場をかねてから表明しておられます。また、実際に裁判で、個別事情があるのに指針を超えた賠償を否定するという判断がなされる可能性は、まず考えられないと思います。
 訴訟の戦略として当事者がどのような主張をするかというのは、これは基本的には当事者の自由でありまして、自分に有利な主張をするということは権利でもあると思いますが、どの町でもこの点について被災者の反発が非常に強いということを考えますと、もし本当にそのような主張がされているのであれば、被災者から受ける反発の強さというマイナス面の考慮をされた上で、訴訟での主張を御検討されてはどうかと感じました。
 以上でございます。
 以上、今回の現地視察の結果について、事務局からの御報告と参加された各委員からの所感、意見をいただきました。なお訪問した各町では、中間指針の見直しについての御要望もいただいたわけですが、この点について御参加の委員から特に何か御意見はございますか。もしありましたらお聞かせいただければと思いますが、いかがでしょうか。特にこの点についての御意見というのはございませんでしょうか。
 では、各町から指針を見直してほしいという御要望はいただいたのですが、直ちに指針の見直しにつながるような類型化の可能な新たな損害項目とか、あるいは賠償の範囲などについて特段の事実が現時点では確認されなかったと理解してよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)



【内田会長】 ありがとうございます。それでは、そのような理解に立って進めたいと思います。
 それでは、今回の現地視察に参加されなかった委員も含めまして、以上につきまして、御意見、御質問をお受けしたいと思います。何かございますか。議題1から3を通して御意見、御質問ございましたらお願いいたします。
 それでは、中田委員お願いいたします。



【中田委員】 ありがとうございます。私は今回授業の関係があって参加できませんで、申し訳ありませんでした。現地視察とは別ですけれども、東京電力からの御説明について1点お伺いしたいことがございます。
 資料3-2、未請求の方々への取り組みについてという資料の中で、請求の意向がある方が228名いらっしゃるとなっています。ところで、前回の報告から8か月の間で、7人の方が新たに請求され、さらに先程のお話ですと14人の方が請求の書面を準備中であるということなのですけれども、228名に対してやや数字が少ないような感じがするのですが、今後どのぐらいの期間で、この228名の方の請求を受けるということを考えておられますか。これは御質問でございます。



【内田会長】 ありがとうございます。それでは、東京電力の方からお答えいただけますでしょうか。



【弓岡東京電力ホールディングス株式会社福島原子力補償相談室長】 東京電力、弓岡でございます。御質問ありがとうございます。
 どのくらいの期間でというお話でございます。本当にありがとうございます。228名、ようやく去年1年間、400名の方に戸別訪問等々して、どういう風なお考えかということが大分分かってまいりました。228名の方の中には、やはり多忙により請求する時間がない、あるいはコロナ禍によって窓口へ来所できない、なので当社の方は戸別訪問をという風に、昨年10月以降、強化しているところでございます。また、中には請求するタイミングを少し考えたいので、また改めてほしいと言われる方々がおられます。
 先ほども触れていただきましたとおり14名の方は、ようやく請求書を作成する支援をさせていただくところまで来ておりますので、先様の御事情等々もありますので、いつというふうには申し上げられませんが、早い時期に何とか請求へつなげてまいりたい。また228名の方、さらにコロナ等の状況もありますが、戸別訪問をさらに加速させて、228名のうち何とか請求へつなげていく方の数を増やしていくとともに、この請求確認中の44名の方につきましても、数を減らしていく動きをして、最終的には極力今も御請求意向なしの方々については、ちょっと難しい面もありますが、ここも加えて対応はしてまいりたいと思っております。
 従いまして14名の方をまず最優先で、また、さらに御請求の意向あり、また、請求確認中の方々にアプローチを、戸別訪問できればしてまいりたいと思っておりまして、早期に積み増しをしてまいりたいと考えているところでございます。至らぬ点等々ありまして、本当に申し訳ございません。引き続きよろしくお願いいたします。



【内田会長】 ただいまの御回答について中田委員、いかがでしょうか。



【中田委員】 御苦労はよく分かりましたけれども、やや抽象的な感じがいたします。228名の方について、できれば次の時には、うんと少なくなっているということになればいいなと願っております。よろしくお願いします。



【弓岡東京電力ホールディングス株式会社福島原子力補償相談室長】 ありがとうございます。頑張って努めてまいります。よろしくお願いいたします。



【内田会長】 ぜひよろしくお願いいたします。ほかに御発言はございますか。御意見、御質問ありませんでしょうか。
 明石委員、どうぞ。



【明石委員】 1点お伺いさせていただきたいのですが、請求の意向無しという方がいらっしゃると思いますが、この方たちとお話をした感じでは、例えばもう全く話したくないというのか、それから、内容についてここが改善できればとか何かそういう手掛かりみたいなものは、何か得られなかったのでしょうか。



【内田会長】 ただいまの御質問に対して、東京電力の弓岡室長からお願いできますでしょうか。



【弓岡東京電力ホールディングス株式会社福島原子力補償相談室長】 御質問ありがとうございます。やはりそもそもの賠償の制度に、あまり賛成できないとおっしゃられる方や、また、そもそも弊社の本当に反省すべき問題で、本当に申し訳ございませんが、弊社との関係というものを考えるわけにいかないという御指摘をいただくことも中には正直ございました。
 しかしながら、少しでも賠償の意思というものが感じられれば、そこへ何とかつなげてまいりたいという活動はさせていただいております。ただ、なかなかこの賠償金額等々について、そもそもあまり賛同できないという方もおられまして、現時点では再度できるところはアプローチをして、ヒントがあるところについては、動いてまいるという形でやらせていただいておりますが、現状としては、そのままその取組をさらに積極的に継続してまいりたいと申し上げたいと思います。至らぬ点、本当に申し訳ございません。できる限り動いてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。



【内田会長】 ありがとうございます。明石委員、よろしいでしょうか。



【明石委員】 もう一点、何かシステムでこういうところが変わればできるとか、こういう考えが少し変わればできるとかという多少前向きとは言わないですけども、そういう駄目な理由みたいなものが感情論ではないところで、何かヒントというのは得られなかったのでしょうか。



【内田会長】 いかがでしょうか。



【弓岡東京電力ホールディングス株式会社福島原子力補償相談室長】 当社の体質とか問題とかいう話については、もう何度か通って信頼を得るような動きをするしかないと思っております。今150名の方の中で、直ちにこのヒントで次へつなげられそうだという方が、すぐには、今は見当たらない状態でございます。本当に申し訳ございません。何とか誠意を持って前へ進めてまいりたいと思っております。



【内田会長】 ありがとうございます。明石委員、よろしいでしょうか。ほかに御発言はございますか。
 樫見委員、どうぞお願いします。



【樫見会長代理】 資料3-1の4ページ目のところで、組織体制についての御説明があるのですが、そこで2021年の8月31日に、東北補償相談センターを廃止し、同年9月1日に仙台事務所新設とありますが、以前の資料にあったかもしれないのですが、この東北補償相談センターというのはどこにあって、仙台事務所とどういう形で、一方は廃止で、新たに新設となったのでしょうか。その辺の事情を伺えればと思います。お願いいたします。



【内田会長】 これも東京電力の方からお願いいたします。



【弓岡東京電力ホールディングス株式会社福島原子力補償相談室長】 御質問ありがとうございます。弓岡でございます。
 東北補償相談センターと申しますのは、今の御覧いただいている、資料3-1の4ページ目で申しますと、補償相談ユニットというところの上から2つ目に補償相談センターという位置づけのものがございます。もともと現時点でも福島や南相馬、いわきなどに補償相談センターを置いて、相談窓口や戸別訪問等をさせていただいております。8月31日まではこの中に、東北補償相談センターとして存在をしておりました。
 しかしながら、この東北全体、また、北海道も含めまして、これまで以上に地域に根差してきめ細やかな賠償をするために、少し組織を拡充しながら、また、ALPS処理水の関係もございます。地域の皆様の声をしっかりと受け止める体制をつくろうということで、この補償相談センターの中の一つでありました東北補償相談センターを仙台事務所に改編したという次第でございます。
 私からは以上でございます。



【内田会長】 という御説明ですが、樫見委員よろしいでしょうか。



【樫見会長代理】 ありがとうございます。



【内田会長】 ほかに御発言はございますか。特にありませんでしょうか。
 それでは、この点については、以上とさせていただきます。
 審査会としては、地元の御意見を伺うということは大変重要なことと考えており、引き続き現地視察の機会や、あるいはこの審査会の場などを活用して、地元の被災者の皆さんの不安や意見にも十分耳を傾け、賠償の状況をしっかりと今後もフォローしていきたいと思います。
 東京電力におかれましては、引き続き3つの誓いを遵守し、被害者の方々の事情を踏まえつつ、公平かつ適正な賠償を進めていただきますようお願いいたします。
 先ほど質疑の中で、未請求者の問題について議論があり、なぜ請求してくれないのかといった意見交換がございましたけれども、その点で私が現地視察で一つ思い出しますのは、双葉町に参りました時に、双葉町の町長さんがおっしゃったのですが、額じゃないのだという言葉がありました。つまり、いかに被害者に寄り添うかというその誠意といいますか、態度というか、そこがやはり被害者の心情にとっては非常に大きい面があるのだろうと思います。そういった点もぜひ御考慮いただければと思います。
 また、消滅時効につきましても御説明をいただきましたけれども、この点についてもしっかりと御対応いただければと思います。よろしくお願いいたします。今、申しましたように、未請求者の方々への取組も今後ともしっかりと御対応いただきますよう、よろしくお願いいたします。
 それでは、以上で議題1から3については終わりまして、続いて議題4に入りたいと思います。
 議題4は、住居確保損害に係る福島県都市部の平均宅地単価の取扱いについてということで、これは当審査会の審議事項でございます。事務局及び東京電力からの説明を聞いた後、審議をさせていただきたいと思います。
 まずは事務局から説明をお願いいたします。



【川口原子力損害賠償対策室次長】 事務局でございます。資料4-1を御覧いただければと思います。
 住居確保損害に係る福島県都市部の平均宅地単価の取扱いについてというものでございます。
 まず、1ポツに関しまして、第41回の紛争審査会における検討結果というものでございまして、こちらは、平均宅地単価の見直しの検討の考え方につきまして方針を取りまとめたものでございますので、まず、これを御紹介させていただきます。
 毎年、地価の動向等を確認した上で、これまでの日本全国等の地価の変動幅を勘案しつつ、必要に応じて、指針宅地単価を見直すこととするとされてございます。
 具体的な地価の確認方法につきましては、1つ目のポツでございますが、国土交通省土地鑑定委員会における地価公示、また、都道府県による地価調査を基にいたしまして、専門機関が行った調査結果を確認するという形でございます。こちらにつきましては、中間指針の第四次追補策定時のやり方でございます。
 その上で、見直し検討の際の基準となってございますけれども、この調査結果を基準として、見直しをするかどうかというのを検討していくというものでございます。
 最後のポツでございます。見直し後の指針宅地単価の適用時期となってございますけれども、見直し決定日から適用することが基本であると。ただし、単価が減額となる場合におきましては、被害者は手続途中で賠償上限金額を減額されることがないように、東京電力は改定後の指針宅地単価の適用時期に配慮することが望まれるとされてございます。
 今回の調査については、2ポツでございます。中間指針第4次追補策定時と同様の方法により、専門機関に調査を委託してございます。この調査結果の詳細につきましては、参考資料2ということで、報告書をまとめてございますので、適宜御確認いただければと思います。
 その結果をまとめましたものが、この表になっているところでございます。前回改定時、平成30年の数字が4万5,373円/平米、今回、令和3年の調査結果につきまして、4万6,680円/平米ということでございまして、変動といたしましては、1,307円/平米の増、割合にいたしまして、プラス2.9%となっているところでございます。3ポツの検討事項でございますけれども、この数字を基にいたしまして、中間指針第4次追補に示されている指針宅地単価を見直す必要があるかどうか、また、見直すということでございましたら、指針宅地単価はいくらとすべきか、ということについて御審議いただければと思います。
 次のページで参考1と書いてございます。これまでの調査結果と指針宅地単価の状況でございまして、これまでの経緯を取りまとめたものでございます。直近の改定が平成30年となってございますが、このときはプラス5.5%ということで改定をしてございます。その後、令和元年、令和2年とプラス1.3%、プラス2.3%という状況でございまして、この時には反映せずという形になっているところでございます。さらに、その下に日本全国等における平均宅地単価の変動率というものもまとめてございますので、御参照いただければと思います。
 事務局からの説明は以上です。



【内田会長】 ありがとうございます。では、引き続き、東京電力から御説明をお願いします。



【弓岡東京電力ホールディングス株式会社福島原子力補償相談室長】 改めまして、東京電力ホールディングス、弓岡でございます。
 それでは、持ち家に係る住居確保損害の賠償の概要につきまして、資料4-2、「住居確保損害に係る算定方法について」という資料に沿って御説明させていただきます。
 まず、住居確保損害に係る賠償につきましては、従来の財物に対する賠償だけでは、避難先から御帰還される際に必要な建て替えや修繕の資金が不足する、あるいは移住しようとしても新たに宅地や住宅を購入する資金が賄えないといった状況に対する改善の御要望にお応えするため、中間指針第4次追補を踏まえ、2014年7月に御案内を開始し、お支払いさせていただいております。なお、賠償の対象につきましては、弊社事故発生時点において、避難指示区域内の持ち家に居住をされていた方とさせていただいております。
 資料を御覧いただきますと、まず、資料上段に記載のとおり、対象となる費用は住宅の再取得、修繕費用、そして宅地・借地権の再取得費用及び諸税や登記費用等の諸費用となっております。資料の中段にございますイメージ図のとおり、住居確保損害に係る賠償は、既に宅地、建物、借地権の賠償としてお支払いしている賠償金額を超過して、住居確保に要した費用につきまして、賠償上限金額の範囲内でお支払いをするものとなります。資料下段に、その賠償上限金額の算定方法をお示ししておりますが、宅地、建物、借地権の賠償金額と算定式により計算した対象資産ごとの賠償可能金額の合計額を賠償上限金額として設定しております。
 次のページにまいります。2019年1月の第49回審査会におきまして、移住先標準宅地単価が平米4万3,000円から4万5,000円に見直された際の、弊社の対応の概要を記載させていただいております。この際は、単価改定日、つまり第49回審査会開催日の2019年1月25日でございますが、単価改定日以降に初めて住居確保損害の賠償を御請求いただく方、または、既に御請求はいただいているものの、改定日時点で確定された賠償金額が見直し前の賠償上限金額に達しておられない方に対しまして、新しい見直し単価を適用させていただいた経緯がございます。
 私からの御説明は以上でございます。



【内田会長】 どうもありがとうございます。ただいま御説明がありましたが、事務局説明のとおり、資料4-1に検討事項が示されているところでございます。
 今回の調査結果を踏まえまして、中間指針第4次追補で示されております住居確保損害に係る福島県都市部の平均宅地単価についてどうするかですけれども、まずは、2つに段階を分けまして、まず、第一に、先ほどの御報告を踏まえて単価を上げるかどうかについて御議論いただき、第二に、もし上げるのが適当であるとされた場合には、では幾らにするか議論するということで、二段階で議論をしたいと思います。
 それでは、まず、第一の段階ですが、見直す必要があるかどうかにつきまして、委員の皆様の御意見をお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。特に御発言はありませんでしょうか。
 これまで、おおむね変動率5%程度という線で、それを超えたら見直しとしてきたかと思いますが、今回について、いかがでしょうか。2.9%という数字が出ておりますが、御意見はございますか。これまでの例からしますと5%に達していないので、今回については、見直しはしなくてもよいというのが大方の御意見と理解してよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)



【内田会長】 ありがとうございます。それでは、そのように取り扱わせていただきます。
 では、幾ら上げるかという審議の必要はなくなりましたので、今回は見直しをしないということで取り扱います。引き続き、今後も毎年、地価の動向等を確認した上で、必要に応じて、審査会において検討させていただきたいと思います。
 以上で、議題4を終わりまして、続いて、議題5に入ります。議題5は、損害賠償請求の集団訴訟の状況について、でございますが、時間の関係で前回の審査会では説明を伺えなかった、前々回の審査会、これは令和3年、昨年の2月8日だと思いますが、前々回の審査会以降に言い渡された判決の概要について、事務局から説明をお願いしたいと思います。それでは、事務局、よろしくお願いいたします。



【川口原子力損害賠償対策室次長】 事務局でございます。資料5を御覧いただければと思います。
 東電福島原発事故に伴う国家賠償請求訴訟につきましては、第53回審査会以降、地裁で3件、高裁で2件の判決の言渡しがございました。いずれの判決についても上訴されておりまして、判決は確定していないところでございます。
 委員の皆様には、机上配付資料の1から5のPDFファイルを御覧いただければと思います。これから御説明いたします判決文につきましては、機微な情報を含みますため、委員の先生方のみ御覧いただけるようになってございます。説明の中で判決文の該当ページを申し上げますけれども、PDFファイルの左側に出てございますしおり機能により、当該ページをすぐに御参照いただけるようにしているところでございますので、そちらを御利用いただければと存じます。
 各判決におきましては、国の責任の有無やその理由等の責任論についても述べられているところでございますが、本日、御説明いたしますのは損害論の部分、その中でも特に精神的損害に関する部分を御説明差し上げる予定でございます。
 まずは、地裁判決3つでございます。最初は福島地裁いわき支部でございます。令和3年3月26日に判決が言い渡されておりまして、最終的な原告数は1,471名でございます。原告らは精神的損害への賠償のみを請求しているところでございます。主な判決内容につきましてですが、損害論については、479ページからとなってございます。判決におきましては、属性により、原告らをA原告からD原告まで分類いたしまして、具体的にはA原告、事故当時子供であった者、B原告、事故後に出生した者、C原告、事故当時、妊婦であった者、D原告、事故当時子供・妊婦ではなかった者、以上のように4分類いたしまして、この中で、B原告、事故後に出生した者につきましては、損害の発生が認められないといたしまして、請求を棄却した上で、残った3分類の者につきまして、いわき市のうち、自主的避難等対象区域及び旧屋内退避区域につきまして、被害の内容、程度を検討した上、既払い額を控除した額を算定しているところでございます。この結果、自主的避難等対象区域におきましては、A原告、事故当時子供であった者に22万円、C原告、事故当時、妊婦であった者に22万円、D原告、事故当時子供・妊婦ではなかった者に14万円、また、旧屋内退避区域におきましては、3分類のいずれの者につきましても、15万円が相当と判断されているところでございます。このように福島地裁いわき支部判決におきましては、東電による精神的損害に対する賠償額を控除した上で、各原告に生じた精神的損害を認め、全体といたしまして、合計約2億円が認容されているところでございます。
 次に、新潟地裁となります。令和3年6月2日に判決が言い渡されて、最終的な原告数は801名でございます。原告らは精神的損害への賠償のみを請求しているところでございます。主な判決内容につきましてですが、損害論は431ページからとなります。原告らは居住地決定権及び平穏生活権の侵害により多様な精神的苦痛を被っており、その侵害の程度については、避難指示の内容等を基礎としつつ、その他の事情をも併せ、考慮するのが相当といたしまして、裁判所が区域及び属性に基づき設けた区分ごとの類型的な慰謝料額を示した上、最終的には、個々の具体的事情を勘案して慰謝料額を算定しているところでございます。
 区域及び区分ごとの慰謝料額につきましては、574ページからとなります。まず、帰還困難区域につきましては、1,500万円。旧居住制限区域及び旧避難指示解除準備区域は、850万円。旧緊急時避難準備区域は、子供、妊婦であれば200万、それ以外であれば180万円。旧一時避難要請区域、これは南相馬市でございますが、子供、妊婦であれば70万、それ以外であれば60万円。自主的避難等対象区域は、子供、妊婦であれば50万、それ以外であれば、25万円。県南区域は、子供、妊婦であれば20万、それ以外であれば5万円。その他の区域は5万円が相当と判断されているところでございます。そして、本地裁判決におきましては、各原告に生じた精神的損害の総額から、東電による精神的損害に対する賠償額をそれぞれ控除し、全体として、合計約1.8億円が認容されているところでございます。
 地裁の最後は福島地裁郡山支部となります。令和3年7月30日に判決が言い渡されてございまして、最終的な原告数は640名でございます。原告らは精神的損害への賠償のみを請求しているところでございます。主な判決内容につきましてですが、損害論については、139ページからとなってございます。
 判決要旨によりますと、事故当時の生活の本拠が津島地区にあった原告らは、本件事故により、津島地区からの避難を余儀なくされ、津島で長年築き上げてきた人と人との結びつき、豊かな自然や文化から切り離され、コミュニティーを喪失したこと、日常生活では経験することがない被ばくへの不安が生じていること、長期間にわたり帰還困難区域に指定されたことにより、社会通念上は帰還が困難となったと評価されることなどからすると、東電から支払われた慰謝料額では不十分であるとしているところでございます。
 慰謝料額につきましては、191ページからとなります。事故当時の生活の根拠が津島地区にあった原告らにつきましては、まず、事故当時、津島地区に居住していたことをもって合理的に算出される基準となる額を算定した上で、原告各個人につきまして、特別に考慮すべき事情がある場合には、その事情も加味するといった手法で慰謝料額が算定されているところでございまして、基準となる額といたしましては、1人当たり1,600万円又は1,570万円が相当と判断されているところでございます。そして、福島地裁郡山支部判決におきましては、東電による精神的損害に対する賠償額を控除した上で、各原告に生じた精神的損害を認め、全体として、合計約10.6億円が認容されているところでございます。
 以上が地裁判決3つとなります。
 続きまして、高裁判決2つであります。まずは、東京高裁千葉地裁判決控訴審でございます。原審となる千葉地裁では、平成29年9月22日に判決が言い渡され、その控訴審である東京高裁では、令和3年2月19日に判決が言い渡されました。一審原告らの総数は最終的に43名でございます。一審原告らは精神的損害及び財産的損害の賠償を請求しております。
 これらのうち、精神的損害に関する主な判決内容でございますが、損害論は162ページからとなってございます。慰謝料の額につきましては、避難生活に伴う精神的苦痛に対する賠償、避難生活に伴う精神的損害以外の精神的損害に対する賠償に分けて算定されているところでございます。避難生活に伴う精神的苦痛については、避難生活の継続に従って増加するとして、基本的に月額10万円、慰謝料の発生期間は、本件事故当時の居住地に設定された帰還困難区域、旧居住制限区域等の区域ごとに異なるとし、201ページから205ページにありますように、区域ごとの終期の目安を示しております。その上で、最終的な慰謝料額、これにつきましては、212ページから388ページに記載のとおり、世帯ごとの具体的事情を勘案し、算定しているところでございます。
 また、避難生活に伴う精神的損害以外の精神的損害につきましては、原告らの置かれた状況によって異なるといたしまして、212ページから388ページに記載のとおり、世帯ごとに具体的事情を勘案し、算定しているところでございます。そして、東京高裁判決におきましては、各原告に生じました精神的損害のほか、財産的損害も加えた損害の総額から東電が既に各原告に対して賠償した金額をそれぞれ控除し、全体として、合計約2.8億円が認容されているところでございます。
 最後に、高松高裁松山地裁判決控訴審でございます。原審となる松山地裁では平成31年3月26日に判決が言い渡され、その控訴審となる高松高裁では、令和3年9月29日に判決が言い渡されたところでございます。一審原告らの総数は最終的に22名です。一審原告らは精神的損害への賠償のみを請求しているところでございます。
 主な判決内容でございますが、損害論は467ページからとなってございます。慰謝料の額につきましては、原告らの旧居住地ごとに、強制的な避難を余儀なくされたことなどに対する避難慰謝料、避難生活の継続を余儀なくされたことに対する避難継続慰謝料、実質的に故郷を喪失したことに対する故郷喪失慰謝料、この3つに分けまして、類型的な慰謝料額を示した上で、最終的には世帯ごとの具体的事情を勘案して算定しているところでございます。
 区域ごとの累計的な慰謝料額は596ページからとなってございます。旧避難指示解除準備区域におきましては、避難慰謝料といたしまして200万円、避難継続慰謝料として1,020万円、故郷喪失慰謝料として100万円、これら合計1,320万円。また、旧緊急時避難準備区域におきましては、避難慰謝料として150万円、避難継続慰謝料として216万円、合計で366万円。さらに、自主的避難等対象区域においては、避難慰謝料として原則10万円、子供、妊婦につきましては20万円、避難継続慰謝料として原則60万円、子供、妊婦については126万円、合わせまして、合計70万円、又は、子供、妊婦の場合は146万円という形になってございます。なお、旧緊急時避難準備区域及び自主的避難等対象区域におきましては、故郷喪失慰謝料の発生は認められないとしているところでございます。
 そして、高松高裁判決におきましては、東電による精神的損害に対する賠償額を控除した上で、各原告に生じた精神的損害を認め、全体として、合計約4,600万円が認容されているところでございます。なお、高松高裁判決におきましては、中間指針の位置づけに対しまして、以前、第53回審査会において議論がございました仙台高裁判決、これは令和2年9月の判決でございますが、仙台高裁判決とも類似した見解が述べられている箇所がある点、補足させていただきたいと思います。
 事務局からの説明は以上でございます。



【内田会長】 どうもありがとうございます。
 それでは、ただいま御説明のありました判決例につきまして、御意見、御質問等いただきたいと思います。いかがでしょうか。



【樫見会長代理】 よろしいでしょうか。樫見でございます。



【内田会長】 樫見委員、どうぞお願いします。



【樫見会長代理】 審査会におきまして、度々、委員のほうからも述べられたことでございますが、繰り返しになろうかと思いますが、私の意見を述べさせていただきます。
 まず、中間指針が策定された段階ということについて、でございますが、これは原発事故が発生した平成23年3月11日から、政府による避難指示等の対象となった住民だけでも十数万人規模であり、被害を受けた住民は生活の糧を奪われ、事業者は生産活動や営業活動の中止や断絶を余儀なくされ、被害はさらに拡大するという非常に大変な状況において、審査会として、同じ年の8月に多数の被害者への迅速、公平かつ適正な賠償を図る目的で策定されたという事情がございます。
 そうした状況の中で、中間指針は、一般の不法行為の賠償に関するルールとしては判例上、既に構築されております事故と相当因果関係のある損害、あるいは、社会通念上、当該の事故から当該損害が生ずるのが合理的かつ相当であると判断される範囲にある損害が、損害賠償の対象となるという考え方がありました。他方で、先ほど述べました当時の状況の下では、このルールに則して、被害を受けた住民、お一人お一人が個別に自らの損害を主張し、それらを証明することによって、具体的な損害額を算定し、賠償するということが被災者に対しては、いかに不可能なことを強いるものであるか、それは極めて明らかなことであります。
 その点では、紛争審査会が策定しました中間指針が、それぞれの被災者の個別事情等を捨象して、これは高松高裁判決が言われていることでございます。また、被災者の個別事情等を捨象して、当該地域に居住していた全住民に共通する損害項目を考慮に入れた点は仙台高裁判決が述べているところでございますが、このように述べている両判決の指摘は、先ほど述べました事情のとおりで、まさに御指摘はそのとおりでありますけれども、審査会として、以上のような背景をもって、個人の事情を捨象してきたということでありまして、この点については、繰り返し審査会において意見が述べられてきたところであります。
 中間指針等の定める賠償基準額は、過去の不法行為となる事故事例に関する裁判例を踏まえつつ、審査会として、事故当時の実態も調査することで、合理的な損害額を策定することに努めた基準額であります。そこには、従来の事例では必ずしも賠償されるかどうか、まだ分からない損害項目であった住宅確保損害でありますとか、自主的避難者の損害等、様々な損害等が原発事故に特化した、新たな損害項目の基準化として行われたものであります。
 そして、先ほど申し上げましたとおり、被災者の個別事情を捨象したわけでありますから、この基準額を超える現実の損害額が、個別の被災者の方によってADR上、あるいは訴訟上主張され、証明された場合には、必要かつ合理的な範囲で増額されることがあり得るということも、中間指針が策定当初から認めていたことでございます。高松高裁判決が、答申の口頭弁論終結時までの一切の事情を基に、本件事故と相当因果関係にある損害額、これは慰謝料額のことでございますが、それを定める場合に、中間指針における基準賠償額より高額になることは、ある意味で当然の結果であるといった判示部分、あるいは、仙台高裁では、ある意味では、自然な結果であると判示される点につきましては、審査会としましては、被災者の方の個別事情が、損害額の算定において十分にしんしゃくされ、それが相当因果関係の範囲内にあるということが認められる場合には、基準額の増額はあり得るとの中間指針の趣旨を前提とする理解ということであるならば、先ほど述べました、判決の上記の判示部分は、中間指針の趣旨からあり得る裁判所の御判断かと思います。
 原子力損害の賠償に関する法律に基づいて、原子力損害賠償紛争審査会の下に設置されました、原子力損害賠償紛争解決センターでの解決事例においては、指針の基準、賠償額を踏まえつつ、被災者の個別事情等が増額事由として認められる場合には、賠償額が当然増額されております。2つの判決が第1審被告、東電も納得した上で、被災者に対する任意の支払いを早期に実現するという和解金的な色彩があるといった判示や、あるいは、一審被告、東電側も任意の支払いを拒否することのないように、合理的と考えられる額として定められたといった判示部分につきましては、一審被告、東電による任意の支払いを期待する要素を考慮に入れなければ、損害額が基準額より高額になるとの判示部分は、私どもが策定してまいりました、中間指針の意義を適切に御理解いただいておられないのではないかと、私としては考えております。
 以上でございます。長くなりまして、申し訳ございません。


【内田会長】 ありがとうございます。
 ただいまの樫見委員の御意見は、高松高裁判決の中で述べられています、中間指針の位置づけについての判示に関する御意見と思いますけれども、高松高裁が中間指針の位置づけについてどう述べているかという、その箇所について、事務局から説明を補足していただけますでしょうか。



【川口原子力損害賠償対策室次長】 事務局でございます。
 ただいま会長から御指摘ありました部分でございますけれども、高松高裁の机上配布資料を御覧いただければと思いますが、その中の592ページの記載になっているところでございます。592ページの上から4行目、「中間指針等には、被災者の個別事情等を捨象して、簡易迅速に被災者の損害を回復する(第一審被告東電でも納得した上で、被災者に対する任意の支払いを早期に実現する)という和解金的な色彩があることは否定できないから、中間指針等の定める賠償基準額が控え目な金額にとどまっていることも否定できない。」また、「本件において、当審の口頭弁論終結時までの一切の事情を基に、本件事故と相当因果関係のある損害額(慰謝料額)を定める場合に、中間指針等における基準賠償額より高額になることは、ある意味では当然の結果であるといえる。」このように判示されているところでございます。



【内田会長】 ありがとうございます。ただ今御紹介いただいた判示のうち、個別事情を考慮して、中間指針よりも額が多くなるのは、これは、ある意味当然であるという部分については確かにそうかもしれない。しかし、指針の金額そのものが、和解的な色彩のあるもので額が抑えられている、本来あるべき額よりも小さな額になっているという部分については、おかしいのではないかという御意見を、ただいま樫見委員からいただいたものと思います。
 それでは、ほかの委員の皆さんから御意見いただければと思います。いかがでしょうか。



【織委員】 織です。よろしいでしょうか。



【内田会長】 織委員、どうぞ、お願いします。



【織委員】 樫見委員、過去の経緯ですとかいろいろ教えていただいて、非常にクリアでよく分かったと思うし、ありがとうございます。それを含めて、実はこのことは再三、審査会のほうから各自治体の長にも、中間指針の性質ですとか、決してそれを抑えるものではないと。あくまでも指針であるということは、私がこの審査会に参加してからも、随分先生方がお話をしているにもかかわらず、地元の方を含め、あるいは自治体の方がそうとは受け取ってもらえない。そこは一体何なのかと、そこが一番問題なのだと思うのです。なぜ、あるいは、一旦、たとえこれは指針にすぎず、考慮するだけであって、個別的により高いものを、高額を請求しても構わないと言っても事実上、拘束力があるという事例があるのか、あるいは事実上、拘束力があると思ってしまって、ストップがかかってしまうものであるとなると、事実上の拘束力みたいなものをどうやってなくしていくのかというと、やはり情報提供とかコミュニケーションぐらいしかないと思うのですけど、根本的には、何回かお話ししても、なかなか性質がこうであるものというところに御理解いただけないというところがなぜなのかということを少し分析して、それに対応していかないと、この問題はなかなか解決できないのではないかという印象を持っております。



【内田会長】 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。特に御意見ございませんでしょうか。
 本日、紹介された判決例のうち、特に高松高裁判決の判示について、樫見委員から詳細な御意見がありましたけれども、そこで指摘されたとおり、中間指針で示している損害額の目安というのは、審査会として実態を調査した上で、過去の裁判例も踏まえながら、裁判をすればどのくらいの金額になるだろうかという合理的な額を定めたものであって、東電が受入れやすいように、本来あるべき賠償額を減額して策定したという事実はないと思います。
 これを踏まえますと、和解金的な色彩があって、東電が受け入れやすいように、少し額を小さくして定めているというニュアンスの高松高裁判決の解釈は、中間指針に対して正しい理解とは言えないのではないかという感想を私も持ちました。樫見委員が指摘されたとおりですけれども、中間指針というのは、大量の被害者に共通の、そして類型化が可能な損害について、裁判で一人一人の被害者が個別に立証するとなると、これは大変な時間を要するわけで、そういう負担を負わなくてよいように、あらかじめ専門家が裁判手続と同様な観点から判断をして、賠償の基準を示して、迅速な救済を可能にするというところに目的があったのだと思います。
 その意味では、個別紛争の和解手続で、当事者がお互いに譲歩しながら妥結できる額で賠償額を決めるという類いの一般の和解とは意味が違うわけで、審査会で定めている中間指針というのはそういうものではないということが十分理解されていないように見えました。この点は仙台高裁でも似たような判示があったのですが、高裁判決でそういうことを言われる判示が出てくると、きちんと理解されていないという不安が大変強くなるのですが、実は、昨年は高裁判決だけを見ても東京高裁で2つ判決が出ています。今日、御紹介のあった令和3年2月19日の判決と、それから、前々回の審査会で御紹介があった令和3年1月21日、この2つの東京高裁判決が出ているのですが、東京高裁判決が中間指針をどのように位置づけているかを少し御紹介させていただきたいと思います。
 東京高裁の令和3年1月21日の判決は、中間指針について、「裁判でいけば認められるであろうという賠償を一応念頭に置き」ながら策定されたものであるということを認定し、中間指針等はその内容において、「特に不合理なものとは認められない」と述べています。そして、一審原告らに中間指針が定めている平均的な損害というものの額を超える「精神的損害の発生を基礎づける個別具体的な事情が認められるのであれば、裁判所は中間指針の定める賠償額を超えて慰謝料額を定めることができる」という判示をしています。これはごく当然のことが述べられていると思います。
 また、東京高裁の令和3年2月19日、今日紹介された判決ですが、その中では、中間指針について、「その内容をみても、その策定経緯に照らしても、基本的に不法行為による損害賠償請求において一般的に採用されている考え方に立脚するものであって、合理性を有する」と認定されています。そして、個別の損害賠償の賠償額を定めるに当たっても、中間指針に示された考え方を、合理性を確認しつつ参酌することとするとして、賠償額を定めています。このように、東京高裁の2つの判決は中間指針について、審査会の理解とも一致する解釈を示した上で判断をしていると言えるわけで、高裁の中でも中間指針についての判断は分かれています。仙台高裁、高松高裁のような判断だけではないということは御紹介しておきたいと思います。
 いずれにせよ、これまでの各判決は、いずれも確定前のものでございまして、各裁判所において、判示されている賠償すべき損害の範囲とか項目、あるいは金額等について、それぞれ異なった判断がされております。いずれも現在係争中ですので、引き続き状況を注視してまいりたいと考えております。
 私の意見は以上ですが、特にこの点、何か御発言はございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、議題5については、以上で終了させていただきます。
 続いて、議題6、原子力損害賠償紛争解決センターの活動状況について、でございますが、ADRセンターから説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。



【古谷原子力損害賠償紛争和解仲介室長】 ADRセンターの古谷でございます。ただいまから、原子力損害賠償紛争解決センターの令和3年の活動状況につきまして御報告をさせていただきます。なお、数字は速報値になっております。
 それでは、資料6を御覧ください。表紙をめくっていただいて1ページ目になります。センターの人員体制でございます。令和3年末時点の人員は、仲介委員が227名、調査官84名、和解仲介室職員109名でございます。令和2年末と比較いたしますと、調査官につきましては21名の減、仲介委員につきましては43名の減となっております。今後、申立ての件数の推移等を見ながら、人員規模については検討してまいりたいと考えております。
 なお、総括委員の3名につきましては、本年1月7日で任期満了を迎えました。3名のうち、富田善範委員長及び橋本副孝委員につきましては、引き続き総括委員に御就任いただきました。高田裕成委員につきましては、御退任されました。新たに、東京大学大学院法学政治学研究科教授の沖野眞己委員に、紛争審査会会長により御指名をいただきまして、本年1月8日付で総括委員として着任いただきました。なお、御退任いただきました高田先生につきましては、総括委員会顧問に御就任いただいております。
 2ページ目になります。申立件数と人数の推移でございます。令和3年の申立件数は全部で1,144件ございまして、令和3年末までの累計申立件数は2万7,551件、累計申立人数は11万7,417人となっております。ピークでありました平成26年と比較いたしますと、近年の申立件数は減少傾向にありましたけれども、令和3年は事故から10年ということもありまして、特に2月と3月に申立件数が昨年よりも大きく増え、令和2年の申立件数862件と比べますと、282件増加しました。
 3ページ目になります。これは平成23年からの申立件数の推移の内訳を記載してございます。御参考までにということで、説明は省略をさせていただきます。
 続きまして、おめくりをいただいて、当センターへの初めての申立てを初回申立てということで整理してございます。2回目以降の申立てにつきましては、複数回申立てと分類をしております。令和3年の申立てのうち、初回申立ての割合は昨年よりも増加して、45.8%となっております。御覧いただいているように、約半数の方が初回の申立てという状況になっておりまして、賠償される可能性があるにもかかわらず、ADRへの申立てをされていない方がまだいらっしゃると思われますことから、引き続き、しっかりと広報活動をしてまいりたいと考えております。
 1ページおめくりいただきまして、和解仲介の状況でございます。令和3年末までに、累計で2万6,634件の和解仲介手続が終了しております。うち約80%に当たる2万1,267件が和解成立で終了しております。なお、令和3年末時点における、現在進行中の未済件数は917件になっております。
 続きまして、1枚進んでいただきまして、和解仲介状況の各年の詳細でございます。令和3年中に手続が終了した件数は942件です。うち、およそ75%となる705件が和解成立で終了しております。一方、和解打切りとなったのは126件、取下げで終了した案件は111件となります。打切りの理由を見ますと、申立人の請求権を認定できないことを理由とする和解打切りとなったものが一番多く、126件中86件となっており、打切件数中の6割以上を占めております。また、被申立人である東京電力が和解案を拒否したために和解打切りとなった案件につきましては、令和3年はございませんけれども、改めて東京電力におかれましては、和解仲介案の尊重も含む3つの誓いに従いまして、センターの実施する和解仲介手続に真摯かつ柔軟に御対応いただくように求めたいと思います。
 続きまして次のページですが、これは和解状況の推移の詳細を記載してございます。これも説明は省略させていただきます。
 1ページ進んでいただきまして、最後、広報につきましての御報告となります。広報につきましては、関係団体や関係地方公共団体と連携し、これらが主催する説明会などで説明を行ってきたところでございます。令和3年は、例えば浪江町で実施されました、2月、3月の確定申告、8月から10月まで開催された健康診断など、自治体で行われるイベントに合わせまして、コロナ対策としてオンラインも併用しながら申立説明会に参加をさせていただいて、ADRセンターの調査官などが、センターの業務概要や申立て方法について説明を行っているところです。確定申告や健康診断の際のADR説明会での当日の申立受理件数を見ますと、合計192件に上っておりまして、大変効果的であったと考えております。この点につきましては、先ほど富田委員から御指摘がありましたけれども、来月からの確定申告につきましては、浪江町のみならず、大熊町、南相馬市などでの確定申告の場も利用させていただいて、ADRの説明をしていきたいと考えております。
 また、地域ごとに、個人ないし事業者向けのチラシを作成、配布等したことに加えまして、「広報おおくま」、「広報なみえ」といった地方公共団体や、避難者支援をしておりますNPO法人等が発行する広報誌にも、センターの案内記事を掲載させていただいております。令和3年につきましては、今回初めて富岡町の広報誌である「広報とみおか」にADR紹介の記事を掲載させていただきました。先ほど御説明いたしましたように、現在でも初回申立ての方が一定数いらっしゃる実情がございます。いまだ賠償請求をされていない方もいらっしゃるものと考えられますことから、当センターといたしましては、今後もより一層広報を強化しながら、紛争解決機関としての役割を果たすことができるよう、引き続き努力してまいりたいと考えております。
 駆け足になってしまいましたけれども、センターからの御報告は以上でございます。



【内田会長】 古谷室長、どうもありがとうございました。御意見、御質問等につきましては、次の議題7の説明の後、併せていただきたいと思います。
 それでは議題7、賠償の請求を促す広報等の取組状況について、事務局から説明をお願いします。



【川口原子力損害賠償対策室次長】 事務局でございます。資料7を御覧いただければと思います。東電福島原発事故に関する損害賠償の請求を促すための広報・相談等の取組でございます。
 枠囲みで「全体方針」とございますけども、下線の部分、「被災自治体に御協力いただきながら広報・相談活動を更に実施し、必要な情報の周知に努める」というところを全体の方針としているところでございまして、この方針を踏まえまして、令和3年7月以降、前回の審査会以降以下の活動を実施しているところでございます。
 まず、1番の早期の請求を促す広報活動ということでございまして、まず(1)番、被災12市町村等向けのものでございまして、丸1番にありますが、新しいチラシを作成いたしまして、関係機関への送付、掲示等を行っているというところでございます。配布先を羅列してございますが、例えば、1番に被災自治体となってございます。福島県をはじめとする各市町村に配っているというところ、または、(ⅱ)にありますが、福島県内自治体、商工会連合会などというところに幅広く配布をしているところでございます。
 一番下の行、丸2とございますが、被災自治体が発行する広報紙への記事掲載ということでございまして、被災自治体の広報紙に、我々のほうから記事を掲載するために御協力をいただくということを今後、予定しているというところでございます。
 ページが変わりまして、丸3とございますけれども、これは東京電力の取組でございますが、被災者に向けた情報発信というところでございまして、先ほど御報告がございました未請求者への対応、その他もろもろのことをやっているところでございます。
 (2)が幅広い福島県内向けのものでございまして、例えば丸1でございますが、復興公営住宅全戸に1つ前のバージョンのチラシを配布するとか、丸2、丸3とございますが、地元新聞への広告掲載、またはチラシの折り込みといったところをやっているところでございます。
 (3)が全国向けというところでございまして、これは政府広報を活用いたしまして、例えばラジオCM、またはヤフーバナー広告の掲載などをしているというものでございます。
 2番目とございまして、被災者の御要望に応じた個別相談活動、請求手続支援というところでございまして、例えば丸1、NDF、原子力損害賠償・廃炉等支援機構でございますが、請求漏れチェックシートの活用促進であったり、東京電力で問合せの対応をいただいていたり、相談窓口の対応をしていると5番目に書いてございます。丸3で無料法律相談の実施ということで、NDFや法テラスが対応しているというところ、丸4で、先ほども説明がございましたが、説明会への調査官の派遣ということをADRセンターでやっているというところでございます。
 3番の今後の予定とございますが、これら御説明させていただきました取組について継続して実施していくとともに、自治体からの御意見等を踏まえまして、広報・相談活動を進めてまいりたいと考えているところでございます。
 次のページの資料は、先ほど御説明した内容を、かなりポイントを絞って書いたものでございます。説明は省略させていただきたいと思います。
 事務局からは以上でございます。



【内田会長】 どうもありがとうございます。
 それでは、ただいまの議題6と7につきまして、まとめて御意見、御質問等をお受けしたいと思います。どうぞ御自由に御発言ください。御発言ありませんでしょうか。
 明石委員、お願いいたします。



【明石委員】 毎回聞かせていただいているのですが、申立て件数の推移で、令和3年はコロナ禍にありながら、平成29年以降の中では一番絶対値が多いと、また、先ほどの御説明からは、もしかすると健康診断だとか確定申告時の直接接触という、いわゆる面接ができるようなところが多いような印象を受けております。今年度につきましては、コロナ禍もあって、そういう対応は難しいのかなと思うのですけども、やはり実際に直接お話をするというのは、かなり有効な手段なのでしょうか。



【内田会長】 これは古谷室長にお答えいただくのがよろしいでしょうか。いかがでしょうか。



【古谷原子力損害賠償紛争和解仲介室長】 どうも御質問ありがとうございます。
 明石委員の御指摘のとおり、直接お話を聞くというのは、これに越したことはないというのが率直な実感でございます。
 ただ、今年2月以降、確定申告の説明会を、大熊町などにも広げる予定ではあるのですけれども、誠に残念ながら、オミクロン株の感染拡大の問題が今ありますので、初めのうちはオンラインでの開催を考えております。感染状況が好転すれば、こちらから調査官を現地に派遣して、直接お話を承りたいと考えております。
 以上でございます。



【内田会長】 ありがとうございます。確かに、やはりオンラインと実際に対面で話をするのとは随分効果が違うのだろうなという感じはいたします。ありがとうございました。
 ほかに御発言はございますか。特にありませんでしょうか。
 それでは、議題6と7については、これで終了ということにさせていただきます。
 次、議題8でその他となっておりますけれども、議題8については、特に今日は議題が設定されていないと聞いておりますので、本日の議事は以上となります。
 最後に本日の審査会を通しまして、委員の皆様から何か御発言がありましたらお伺いしたいと思います。何かございますか。特によろしいでしょうか。どうもありがとうございます。
 それでは、大変長時間にわたりましたが、本日はこれで議事を終了いたします。本日は現地視察の結果に関する議論を行い、また、東京電力やADRセンターなどから賠償の状況の御報告をいただきました。活発な御議論をいただきありがとうございました。今後も審査会としては、しっかりと賠償状況をフォローアップし、指針の見直しの検討等を行う必要が生じた場合には、審査会において審議してまいりたいと思います。
 最後に、事務局から連絡事項をお願いいたします。



【川口原子力損害賠償対策室次長】 事務局でございます。
 次回の開催につきましては、改めて御連絡をさせていただきたいと思います。
 また、議事録につきましては、事務局のほうでたたき台を作成いたしまして、委員の皆様等に御確認の上、次回開催までにホームページへ掲載させていただきます。



【内田会長】 ありがとうございます。
 それでは、本日はこれで閉会いたします。長時間ありがとうございました。
 
―― 了 ――
 

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