高速増殖炉サイクル実用化研究開発(FaCT)プロジェクト評価委員会(第2回) 議事要旨

1.日時

平成22年12月16日(木曜日)8時~10時

2.場所

文部科学省17階第1会議室

3.議事要旨

(1)原子力委員会の性能目標への達成状況

原子力機構より、資料1 に基づき説明があり、その後、意見交換、質疑応答を行った。主な意見、質疑応答は以下のとおり。

【委員】
 実証炉の安全審査について、実証炉であってもかなりの信頼性がないと許認可が通らないのではないかと考えている。

【委員】
 もうそろそろ実証炉の建設段階を考えなければいけないので、それについての経済性がなぜ出ないのかがわからない。その辺は十分検討されているのか。あるいはそういうデータがあるのか。

【原子力機構】
 まず実用炉でどこまで達成できるかということを示すというのがこの5年間の目的である。実証炉については2011年から概念設計に入るが、今の段階では概念検討という段階で、実用炉よりも深みが少ない。そういう意味で、実証炉の経済性の目標等は、この5年間は、設定せずにやってきた。
 今後の5年間については、その概念設計を進める上で、どういうところを目指していくのかを設定していく必要がある。今後の5年間のコメントとして実証炉に関して指摘していただければよいと考えている。

【委員】
 廃棄物について、分離変換により大半のTRUは炉心に入っていくが、TRU燃料製造や繰り返しの再処理で、TRU廃棄物には随分負担がかかる。処分後まで考えて、その負担がどの程度か見積もる必要があると思う。つまり、分離変換した場合としない場合で、それぞれの長所・欠点を議論するスタンスでないと、分離変換の効果が見えてこない。廃棄物については、ガラス固化体とTRU廃棄物の処分まで及んでほしい。

【原子力機構】
 TRU廃棄物の問題等については、現状の概念検討の深さではなかなか数値的に示すのが難しいところがある。例えばガラス固化体にしても、普通の設定で言うと50年間ガラス固化体を置いてから処分するというような考えがあるが、そこを少し延ばしたらどうなるのか、また、廃棄物についてもいろいろなパラメータがあり、そういうところを総合的に考えていく必要があるという認識である。現状ではそこまで完全には検討が進んでいないので、今後検討していきたい。


(2)高速炉サイクルの国際動向

原子力機構より、資料3に基づき説明があり、その後、意見交換、質疑応答を行った。主な意見、質疑応答は以下のとおり。

【委員】
 今後、国際協力という視点でいろいろな活動をしていくと思うが、いろいろなフレキシビリティはあると思うが、実証炉開発に向けて、どういうポイントが国際間で協力し合えるのかというところは、はっきりと方針は決まっているのか。

【原子力機構】
 炉に関しては、いわゆる安全性とか核拡散抵抗性などもトライしようとしているところであるが、そういう設計のクライテリアをある程度共通化していきたいと思っている。まず設計基準、クライテリアというものの共通化を第1ポイントにして、それらのポテンシャルを持っている国で、フランス、アメリカを中心に3か国での議論をまず先行させようと思っている。それに加えて、共通のコンポーネントなりの共同開発とか材料の開発とか燃料とか、そういったところに関して共同でやれる可能性を、今議論している最中である。そこである程度の方向性が見えるようなったら、例えば、安全の設計クライテリアなどに関しては、インドや中国、ロシアの安全設計論拠の中で確認すべき部分があり、日仏米のクライテリアをベースに、GIFで中国やロシア、韓国といったところとも共有化していきたいと考えている。2年とか3年のタイムスパンで、ある程度了解をしていきたいと考えている。

【委員】
 安全設計のクライテリアは国際共通を目指すということだと思うが、それはむしろ、規制の方がどういう要求をするかということに極めて強く依存する。そのため、御紹介のあったGIFのグループは、MDEPに対してどうなっているか。国内において軽水炉の方はいろいろなところでコミュニケーションをとっているが、FBRもMDEPの対象になっているはずなだが、それについて規制側とのコミュニケーションが不足しているのではないか。国際関係をやるときには、国内でまずコミュニケーションを取ることが大事だと思う。


(3)金属燃料サイクルの研究開発進歩状況

 原子力機構より、資料5に基づき説明があり、その後、意見交換、質疑応答を行った。主な意見、質疑応答は以下のとおり。

【委員(主査)】
 金属燃料サイクルについては、各国が必ずタッチしており、それぞれの国がそれぞれの国の思わくで技術的関心は持っているというような技術である。これをある種のポテンシャルと見ているのか、性能目標を違うところに重点を置いているのか、その辺の分析は非常に重要だと思う。各国がいかなる思わくで金属燃料に対して取り組んでいるか、その辺の分析は進んでいるのか。

【原子力機構】
 米国は、1994年にIFR計画を中断したが、その後も燃料処理という名目で、この技術を温存させてきていて、2006年からはまたリサイクル技術という観点に復して開発を再開しているというふうに認識しており、今後我々が技術開発を進めていく上で、当然協力相手として考えていくべきところだと考えている。インド、中国については、将来に金属燃料をターゲットに挙げているわけだが、それらの国々は非常にアグレッシブな電力需要を想定しており、やはり高増殖率を期待しているということで金属燃料を考えているのだと思う。

【委員】
 副概念の位置付けが、特に炉側にとっては、これが主概念になってしまうと今までやってきたものが半分ぐらい、もう1回一からどこかでやり直さなければいけなくなるようなイメージがある。一応オプションとしてとっておくけれども、今回のタスクとしては考えなくてもよいということだけを明確にしていただけると有り難い。

【事務局】
 あくまでも、オプションだということである。副概念という言葉が何を意味しているのか、もう1回整理したいと思う。

【委員】
 今、日本はすごく不透明な中で走っている。したがって、やはり常に、お金がかかっても、これも限度はあるのだろうが、代替法というものを常に、ある程度失わないで展開するというのが、リスクに対する向き合い方なのだろうと。それは非常に大変なのだけれど、やはりそういうものがこれからの基本的な流れなのではないかと考える。

【委員(主査)】
 この点は報告書にも金属燃料サイクルについて言及する章を設けている。今回の我々の評価のタスクは、FaCT主概念に対する技術判断に対する意見を出すことだが、副概念というのはあくまで、FBRサイクル実用化戦略調査研究の結果として、主に経済性と増殖性を重視するかの違いから、副概念に置いている。大型炉心を組んでいくというサイクルでいえば酸化物炉心の方が優れているという判断をされたというふうに理解している。ただし、増殖比やサイクルインベントリとしては金属の方が小さいというメリットもあると。そのメリットのポテンシャルは継続的に着目していこうという位置付けに置いた。

── 了 ──

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