原子力損害賠償制度の在り方に関する検討会(第5回) 議事録

1.日時

平成20年9月8日(月曜日)15時30分~17時30分

2.場所

文部科学省東館17F1会議室(文部科学省17階)

3.議題

  1. (1)原子力損害賠償制度の改正事項について
  2. (2)その他

4.議事録

【野村座長】
 それでは、ただいまより第5回の原子力損害賠償制度の在り方に関する検討会を開催いたします。 
本日は委員13名のうち8名の方にご出席いただいております。また、本検討会の顧問として谷川先生、下山先生にもご出席いただいております。
 では、早速、本日の議題に入りたいと思います。まず配布資料の確認をお願いいたします。

【山野原子力計画課長】
 はい。議事次第があると思いますが、今日も従来からの議論の繰り返しで恐縮ですが、まず法律とか政令事項を中心に、5-1から5-5までの資料を用意してございます。過不足等ありましたら、その都度言ってもらえればと思います。また席上だけですが、前回の議事録を配っております。何か修正等ございましたら今週中に連絡いただければと思います。
 以上です。

【野村座長】
 それでは議題1に入ります。議題1は原子力損害賠償制度の改正事項についてということで、制度改正が必要な事項について、第4回までにまとめ終えていない課題を整理したいと思います。これまでの議論と重なるところもありますが、事務局の説明をお願いいたします。

【山野原子力計画課長】
 まず資料の5-1でございます。賠償に関する紛争処理の在り方の見直しについてということでございます。これまでも説明してございますように、原賠制度における紛争処理の位置づけとして特に原子力損害賠償紛争審査会が、和解の仲介を行う機関として明確に法律上位置づけられているということでございます。現行の審査会の性格とか所掌事務につきましては、紛争について和解の仲介を行うこと、それとその事務のため必要な損害の調査及び評価を行うこと、と法律上規定されてございます。
 それで、そういう機能があるということの第三者機関としての意義ということにつきましては、ここにありますように、この和解の仲介というのは大臣が自ら行ったりするのでもなくて、職権により自律的に仲介を行い、調停案を提示するというような仕組みでございます。その観点からは、中立性、専門性、特に中立性ということが重要だということで、何で中立性かといいますと、補償契約の場合には政府もその保険者として当事者になり得るということですから、そこから離れた立場にある第三者機関としての審査会が行う必要があるということでございます。専門性のほうは、法律・原子力等の色々な専門的立場からもろもろの高度な知見を要するということで、こういう機能が位置づけられておるということでございます。
 それでは、JCO事故の際の経験を踏まえてどうだったかということにつきましては、今までもご議論がありましたように、当時は最終的には8,000件以上の案件が出てきて、賠償額も約150億円ぐらいにのぼったということです。ただし実際上は、当時は色々な仮払いであるとか行政の支援とか色々あって、実際上はほとんどのものが半年間で和解が成立して、結果的に審査会に持ち込まれたのは2件で、裁判まで行ったものは11件であったということでございます。
 それで2ページ目に行きますと、やはり当時の特に1つの事例を見てみますと、当時はJCOが自ら補償の考え方と基準というようなものを提示したところ、当然ながら当時の状況で言うと、JCOは加害者の立場ですから、地元側には受け入れられなかったということです。
 そこで重要な機能を果たしましたのは「原子力損害調査研究会」で、下山先生がヘッドでやられていたんですが、そこで損害費目ごとの因果関係であるとか、そういう色々な損害の額についての算定方法等の考え方をまとめるというようなことが当時やられたということです。
 そこでまとめた内容がある程度賠償交渉の目安になったというほか、それ以上に実際上交渉が始まるトリガーとなり得たという意味も非常に大きかったということです。それでその後、県とか村とかが窓口となるとか同席するとかで、交渉が進むというようなことがあったということでございます。
 こうした経験を今後どう考えたらいいかということでございますが、やはり原子力損害の特殊性、真ん中のほうにありますけれども、やはり当事者間で処理をやってくれということだけではなかなか難しく不十分なこともあるということから、当時の教訓を生かすという意味で、そういう紛争が生じた場合の処理に加えて、その前段階の当事者間の自主的な解決を促進するようなスキームが考えられないかということでございます。
 まず全体を簡単に説明する意味で、一番最後のページにイメージ的な流れ図があります。まず原子力損害が起きましたということになれば、やはり最後はそれぞれ当事者間で交渉してくれということになるんですが、原子力の場合の特殊性という意味では、まず非常に多数案件が――JCOでも8,000件だったわけですから案件がものすごく出てくるだろうということと、当然ながらもう大混乱に陥っておるというようなこと。それとか、実際上色々な損害というのは、例えば病院へ行って健康診断を受けるとかそのようなものも含めて、同一案件による類似性というのはかなりあるということ。そのようなことを考えると、実際上動くスキームとして考えた場合には、まずそういう損害賠償の参考となる基準のようなものを誰かが提示したらいいのではないかと。それで今日の提案は、そこは紛争審査会がやったらどうかという提案を後でやろうと思いますが、そういうことをやって、色々な交渉開始の目安を示すとともに、トリガーになっていくと。
 それで、その後は国とか地方公共団体が、例えば交渉の場所を提供するとか、交渉の場への同席をするとかで協力しながら、そういう自主的な解決を進めるような努力をするということ。それで、こういう事項はマニュアルとかできちんと書き込むべきではないかと思う。そういうことで、自主的な解決を導いていって、それでも解決に至らない場合の手段の1つとして和解の仲介という紛争審査会としての従来の役割と、それでもだめな人は裁判まで行くというスキームかなというような気がします。そういう意味で、ここで言うところの、そういう賠償の参考となるような基準の策定みたいなことをきちんと位置づけたらどうかという提案でございます。
 それで、2ページ目に戻っていただきまして、今言ったことと同じようなことを書いているわけですが、真ん中のほうにありますように、原子力損害の特殊性ということでは、繰り返しになりますけれども、ここにありますように大混乱の中の心理状態という意味では、自主的な解決といっても、やはり原子力事業者は加害者みたいな感じですから、やはりどうしても住民と冷静な議論なんかできるような状況ではないというようなこと。また短期間に膨大な数の請求事案がおそらく出てくるでしょうということ。それと、そういう多数の事案は内容的にかなり同じような内容の類似性があるものがたくさんあるでしょうと。そういう中で、公正な賠償の確保が非常に重要であるということでございます。
 それで、次に当事者間の交渉による自主的な解決の促進の必要性ということでは、やはり色々な混乱もあって当事者間に委ねているだけでは進展しないというようなことで、一定の行政的措置で支援するということが現実的ではないかということ。また実際上、膨大な請求案件が来たときに、例えば当事者同士というのを越えて、例えば和解の仲介でも裁判でもそうなんですが、そこでも何百件、何千件の請求案件がそこに持ち込まれても、実際上はなかなか処理できずに機能不全に陥るということなので、その前段階で自主的な解決ができるような環境を整備していくということが重要であろうということでございます。
 そういうことで、じゃあ、そういう機能を持つという意味で、審査会の活用ということが考えられないかということでございます。やはりそういうときには中立性とか客観性というのが非常に重要でございますので、そういう機能を既にある組織を活用するという意味で、審査会に担わせることが適当でないかということでございます。ただ、そのような基準というのは、ここにありますような法的な拘束力の付与を目的とするのではなくて、自主的な解決につながっていくような観点から提示されるものであるということで考えたらどうかということでございます。
 それで3ページ目へ行きますと、条文を改正するときのイメージがこの四角に入っているところでありまして、今の紛争審査会の設置目的というのは和解の仲介を行わせるためだけの目的になっているものなんですが、それを改正して、紛争の自主的な解決を促進するためというのを加えるということ。そういう目的を1つ加えて、実際上の所掌事務として「原子力損害の賠償の実施の参考となるべき賠償の範囲等に関する一般的な基準を策定すること」ということを加えたらどうかということです。こういうことで、紛争審査会の機能をちょっと強化というか、追加するということを考えたらどうかということでございます。
 それで、このあたりの細かな条文の詰めは別にして、参照とするようなものという意味では、例えば5ページ目にありますが、少し違いますけれども、同じような機能を持たせているような用例はあるということで、ここらの条文を参考にしながら、紛争審査会にそういう機能を付加するということを考えるべきではないかというのが、このペーパーの趣旨でございます。
 それでまた3ページ目に戻りますと、こういうことをやることの策定の効果という意味で、このことも繰り返しになりますからもう簡単にしか説明しませんが、効果としては、こういうことがあることによって冷静な話し合いを開始するためのトリガーとなるとか、不公平な状況が回避されるというようなこととか、類似性のある多数の案件の交渉が非常に円滑化されるであろうというようなこと。また、被害者にとっても、内容による相場観に関する不安がある程度解消されるとか、因果関係の立証負担等も軽減されていくのではないかということで、結果的には、そういうことで自主的な解決を促していく、こういうことによって最終的に審査会であるとか裁判とかというような全体を含めた紛争処理の短縮・円滑化にも資するであろうということです。
 それで、何で審査会がということについては、ここにありますように、もう既に中立性があるとか、専門性があるとか、今、既にある組織ですから、それを少し改良することによってできるということで効率性もあるというようなこと。それとか、あまりここに書いていませんけれども、こういうことをやることによって、またもう1つ新しい組織を作るというのはあまりリーズナブルではないだろうとか、そういうことも踏まえて、今の紛争審査会をこのような形で業務を付加して強化していくということはどうかという資料でございます。
 説明は以上でございます。

【野村座長】
 それでは、以上の説明につきまして、ご意見、ご質問ございますでしょうか。ご発言の方、手を挙げていただいて。

【谷川顧問】
 基本的に言おうとしていることはわからんではないんだけれども、よくわからんというところがあって、ここで活用しようとしている審査会というのは、現行制度のもとでは個別事案について、事件ごとにアドホックに作られるものなんですよね。前提としているのは。

【山野原子力計画課長】
 はい。そうです。

【谷川顧問】
 そうすると、その基準策定というのは事件ごとの基準という格好になるわけ?

【山野原子力計画課長】
 そういうことです。

【谷川顧問】
 そうすると、さっき例として挙げられた他の法律で挙がっている例、鉱業法とか住宅品質確保促進法とかいうのは、これは個別事案とは関係がない話だよな。だから例にならないんじゃないか。一般的な基準の話だ。

【山野原子力計画課長】
 いや、違います。おそらく鉱業法とかも、一般原則だけではなくて、やはりどこかの炭鉱の何とかとか、それに対応したこういう基準だと思います。

【谷川顧問】
 そうですか。そこのふるい分けがきちんとできて理論構成されているのかどうかというのが、基本的な認識としてよくわからなかったので、まずそれを聞いていた。それとの関連において、この3ページの四角の中にあるんだけれども、「紛争の自主的解決を促進し、又は和解の仲介を行わせるため」というのは、「促進し」というのは、今の説明によると「促進するため」というんだけれども、紛争が生じた場合に紛争の自主的解決を促進するという機能と、「又は」で並んでいる和解の仲介を行わせるということが並列に並び得る要件なのかなというのが、何かちょっと引っ掛かりが。これは言葉の問題だと思うんだけれどもね。個別事案を考えているとすると、事案ごとの基準ですよとはっきりさせておかなきゃならない。何かこれだと一般的な基準があるみたいで、それを審査会が作るんだと言わんばかりに、それで中立性とか何とか言うものだからわからないなという、それが質問です。

【四元委員】
 あれですよね。だから、昔、下山先生が原子力損害調査研究会でされたことを、審査会を使ってやらせようと。

【山野原子力計画課長】
 そうです。だからイメージといってもワーディングの詰めはちょっと別にして、当然紛争審査会はやはり案件ごとにできるアドホックなものなんです。

【谷川顧問】
 案件ごとなんだ。うん。

【山野原子力計画課長】
 だから基準というのも、そのとき起きた事案に対する一般的な原則をまとめるということです。だからそういうゼネラルな原子力災害の一般論とかではなくて、あくまでも事案の都度立ち上がって、それでその事案に対応して、当然事案によっては大きいときもあれば小さいときもあれば色々とあると思うので、それにタイムリーに対応した、とりあえず一般原則みたいなものを定めると。そういう機能はおそらくあったほうがよかろうと。発想的にはあったほうがよかろうで、それをやはり、その火事場のくそ力でそのとき考えましょうというのではなくて、やはりある程度システマティックにやろうとしたら、今の紛争審査会があるのだからそこにやらせるのが一番いいのではないかと。
 ただ、実際やるメンバーが違うので、実際上はその和解の仲介をするのと、そういうこの基準を作るというのは、おそらく違う部会になるんだと思うんですけれどもね。アンブレラとしては紛争審査会ということではあるんですが、おそらくそのようになるようにちょっと考えておかなければいけないかなというのがあります。

【下山顧問】
 関連してなんですが、私はちょっと違うイメージを持ってしまったのは、確かに事案ごとにやらなければならないこともあるだろうけれども、一般原則的なもので決めておいたほうがいいことが幾つかあるのではないかという感じがする。それで、どこかに何かマニュアルではなく何かを作るとありました。どこにありましたっけ。書いてありましたね。

【山野原子力計画課長】
 おそらくそういう下山さんが作ったようなものをある程度一般化するような話というのは、おそらく指針に書いておくんだと思うんです。指針で、あのときの事例はこうでしたみたいな感じで書いておくんだと思うんですが、それを実際有事で何か事案が起きたときに、やはりモディファイしないといけないわけですね。その機能は、そのアドホックで立ち上がった紛争審査会がやると。

【下山顧問】
 もちろんそうなんですけれども、例えばここにも出ていたけれども、保険プールが作ったような事業者用とか何とかいうの、あれはその都度じゃなくて、どの事件でも当てはまるようなことが出ているわけですね。あのようなものを何か作っていただけるんだろうと思って楽しみにしていたら、これでは何か起こらないと何もアクションがないということ?

【山野原子力計画課長】
 いや、両方ですよ。だからないものはマニュアルで作るんですよ。

【谷川顧問】
 ガイドラインはガイドラインで作るんだろう?

【下山顧問】
 作るの?

【山野原子力計画課長】
 ええ。マニュアルで作るんですよ。

【谷川顧問】
 作ることはこの前決まっているから、ここには出てきていないと。

【下山顧問】
 ああ、そういう意味。

【野村座長】
 まだ合意がきちんと形成されていない問題を今日出しているということで、そのマニュアル、指針についてはこれまでに一応の合意は得ているということで。

【下山顧問】
 なるほど。それで、そのどこにでも通用するマニュアルは誰が作るんですか。文科省が作る?

【山野原子力計画課長】
 そうです。

【下山顧問】
 それはそれで置いておいて、事案ごとのものは紛争処理で当然やる。こうなるわけですですね。

【山野原子力計画課長】
 そうです。

【下山顧問】
 ああ、そう。こっちはもう済んでいると。

【山野原子力計画課長】
 済んでいるというか、作りましょうというのだけは……。内容はこれからですよ。

【下山顧問】
 中身はいいんだけれども、それをやるということはいいんですね。

【野村座長】
 方向性は一応コンセンサスが得られているということです。

【下山顧問】
 それなら結構です。

【谷川顧問】
 それにもかかわらず、2ページの一番下の(3)のところでわざわざかぎ括弧して「中立的・客観的に賠償の一般的な基準」なんていうのが大上段に振りかぶってくるものだから。

【下山顧問】
 そうなんだな。だからこれがちょっと迷ってしまう。

【谷川顧問】
 これが一般原則を言っているのかというような意味にも取られるので理解しにくい。

【四元委員】
 昔の下山先生の委員会で作った、これは委託調査という何かちょっと位置づけがよくわからないんですけれども、結局それは世の中にはどういう形で知らしめたんですか。単に委託調査の結果なので参考にしてくださいということでしょうか?

【山野原子力計画課長】
 委託調査の結果というか、委託はしたんだけれども、ちゃんとした研究会ができて、専門家を集めて作りましたということで、それは最初は中間レポートができて、それを現場に提示して、それで賠償交渉のトリガーにしたんです。

【四元委員】
 あまり役所自体はコミットしていないということなんですか。

【山野原子力計画課長】
 役所は当時コミットしていたんですか。いや、そこはどうなんでしょうか。役所としては。

【天野委員】
 いや、僕は後でちょっと発言しようと思ったんですが、今、その話とも関連して、要するに基準を作ったわけでは必ずしもないわけですよね。

【山野原子力計画課長】
 ええ、そうなんです。

【天野委員】
 要するにあれは何をしたかといったら、皆が問題になっていることをきちんと整理をして、こういう問題点があって、こういう問題点については一般的に司法界の人はこう見えているよということを意見としてまとめたんですよ。それをまとめたら、それを見てユーザー、請求者側も被請求者側のほうも、これが一般的な物の見方なんだろうとそう想定をして、それを前提に話し合いをしたというのがレポートの考え方であって、これに従って何かをやりなさいと必ずしも書いているわけでは、言っているわけではないんですね。だからそういう意味では、公表はもちろんプレスを使って広く公表しましたけれども、何を公表したかというのは、今整理するとこういう問題があって、これが解決の方向ですよということを書いたということです。

【下山顧問】
 その前、それが中間確認事項というのを出さざるを得なくなったその理由というのは、最初に加害者のほうが作った基準があって、それに被害者のほうが怒ったわけですね。それで中間確認事項として、今、言われたのを出してほしいというわけで、急遽作ったんです。私は会長としてはあんなもの出したくなかった。もっとちゃんとしたものを最後に出したかったんです。

【天野委員】
 その辺は色々事情があって。

【下山顧問】
 紛争処理が先行しましたからね。だからやはりやむを得なかった。

【山野原子力計画課長】
 でも、やはり当時の時系列だけを見ると、その中間レポートでもやはりある程度こういうものが範囲――そのとおりに最後はなっていないですけれども、10キロエリアぐらいにしましょうとか、やはり期間はそれこそ何日までの間を対象にしましょうとか、やはりそれが現場ではだんだん一般原則になっていっているわけです。

【下山顧問】
 だから一般的に一番大事なことは、空間的、時間的な両方の範囲。細かいことは後で勘案というか別にやるとして、そこの2つだけをやることで十分に収束のほうには向かったと思います。

【山野原子力計画課長】
 だから国側から言うと、やはり当時の動きを見ると、やはりああいう機能があったからある意味では動き出しんじゃないかと。それでああいう機能があったほうがいい、あるべきだというのであれば、ちゃんとシステマティックにしようとすればこうなるんじゃないかということなんです。

【天野委員】
 だからそこが僕はやはり引っかかりが実はあって、基準というものを定めようとするとそれに対する議論になってしまうんです。要するにそれが求められているわけではないんですよね。要するに損害賠償がうまくいくことが求められているのであって、いい基準ができること、全員が納得する基準ができることが実は求められているわけではないんだと私は思うんです。
 これをこう見てしまうと、基準を定めないと何も前へ進まなくなってしまうのではないかと。それでその基準を作るためにものすごい議論が起こって、そこも前へ進まないということになってしまうのではないかというのが、実はちょっと気になる。何か考え方を示すことは必要あると思います。ただ基準を策定すると書いた途端におかしくなってしまうと僕は思うんです。

【下山顧問】
 だから基準というものは何かその都度色々やるということなんしょう。だけどこれで重要なことは、私は何か起こったときの手続というのは、これはその事案ごとではなく決められることだと思うんです。自治体はどういうことをするとか、被害者はここへ持っていけとか、そういう手続ですよ。それは一般論として、事故が起こったときのために一番大事なことなんじゃないか。そうすると、そういう手続は事件の内容に関係なく、保険プールの作成したマニュアルじゃないけれども、それぞれの事業者なら事業者、被害者なら被害者、そういうのはできるので、それはできるけれども賠償の中身を決める一般基準というのは、これはおっしゃるように、とてもじゃないけれどもそれはケース・バイ・ケースでないとできないだろうと思う。
 そうだからといって、手続についても、じゃあ、もう何にも外へ出してしまうのかって、そうじゃなくて、今のお話だとそれはもう前に議論して、それはやることになっているということなんですよね。

【山野原子力計画課長】
 そう、そう。だから今おっしゃったようなものは、まさにマニュアルで書けるところまで書いておくということなんです。

【下山顧問】
 それは文科省で。

【山野原子力計画課長】
 それで事案ごとに決めないとしようがないというものを審査会がやる。

【天野委員】
 何かやらなくてはいけないと、僕もそのとおりだと思うんです。だから要するにそれは多分、基準というか、一般的基準という書き方の言葉がやはり悪いのではないかと思うんです。何か考え方とか、あるいはそうですね、解決の方策。

【下山顧問】
 どこまでそこを書けるか。

【天野委員】
 ええ。そういうようなことなんだと思うんです。

【伊藤委員】
 一般的な基準というのは役所のほうでまず一応作られるということ?

【山野原子力計画課長】
 そうなります。マニュアルはそうです。

【伊藤委員】
 マニュアル的なものを作って、それをもとに実際に個別に審査会のほうで、紛争解決のために基準を作るということになるんですか。

【山野原子力計画課長】
 そう。だからマニュアルの基準というのは、もうかなりブロードで一般原則だと思うんです。それでやはり実際の内容は事案によって違うわけです。大きな事案もあれば、それこそ10キロぐらいの世界のものがあったり、100メートルぐらいの世界とはやはり全然違いますよね。やはりその事案に応じて、下山さんの言葉を借りればやはり空間的な範囲をどれぐらいが適当かとか、そういうものは事案ごとにこの紛争審査会で決めるということなんです。

【伊藤委員】
 国だとその紛争当事者になり得るかもしれないので、中立的ということで、紛争審査会というのがあると思うんですけれども、そうするとその一般の基準のマニュアルは国が作るということになるのが果たしてどうなのかなという気がちょっとしたんですけれども。

【谷川顧問】
 誰が作るんですか。

【山野原子力計画課長】
 いや、国が作るといっても、勝手に作るのではなくて、まさに今後この場で作っていくわけですから、ちゃんと客観的な意見を聞いて、その時々に有識者の議論をもって、なるべく客観的なものを作るということではないかなと思うんですけれども。

【伊藤委員】
 審査会というのは、何か起きたときに事案毎の基準を決めるということですか。

【山野原子力計画課長】
 そうです。

【谷川顧問】
 これは細かいことを言っていくと難しい問題が出てくると思うよ。例えば、下山さんは手続的なものはあらかじめ決めておけるだろうと言うんだけれども、個別具体的な事案によって、規模、適用される範囲、程度というものは皆違うわけだから、手続的要件の中で、例えば一番わかりやすく言えば何日以内に提出させるとかいうのを限ってしまったりすると事件によって皆違うでしょうと、こういう話になってくるから。

【下山顧問】
 それはあると思いますよ。

【谷川顧問】
 その辺のところをどう仕分けて、2つに分けて表現しておくかというのは相当神経を使って整理をしておかないと、後で混乱のもとになりますよ。それだけです。

【野村座長】
 大体中身についてはご了解いただけているのかと思いますけれども。

【天野委員】
 もう1点だけいいでしょうか。すみません。

【野村座長】
 どうぞ。

【天野委員】
 調査機能をきちんと書いておく必要があると思うんですよね。やはり紛争審査会が重要なことは、やはり直接、例えば当事者から話が聞けるとか、データを確保できるとか。あのときは、確かに保険プールさんの、その何というか、好意でデータを出してもらっているけれども、やはりそうでない可能性もあるので、きちんと調査をする権利、権限みたいなものを書いておいてほしいと思います。

【谷川顧問】
 機能を書くのだったら、それをサポートする組織についても書いておく必要がある。手足なしで何もできないですよ。私はやってみて思う。

【下山顧問】
 そう。それは思う。それは会長さんの悩みでもある。

【谷川顧問】
 手足がなければ何もできないです。

【野村座長】
 そうすると、ここのところは今日、ある程度方向性をまとめておきたいと思うんですけれども、1つはその紛争処理の前段階を含めて、紛争解決の支援システムみたいなものを作るということが必要だということ。これは大体よろしいのかと思います。それを先ほどの資料のほうは「一般的な基準」というふうに表現しているんですけれども、ここがちょっと従来議論してきたマニュアル、あるいは指針というものとの関連と、個別事案の解決にとって必要な考え方、あるいは解決の方向性みたいなものですか、そういったものを決めるという、あるいは議論する、まとめるとか整理するとかそういったことで、内容はおそらくよろしいのではないかと思うんですが、その辺はちょっとワーディングの問題として、事務局でもうちょっと検討していただくと。

【山野原子力計画課長】
 はい。

【野村座長】
 それから、今の調査機能ですか。天野委員から出ました。これについてもちょっと事務局のほうでうまく入れられるのかどうか。

【山野原子力計画課長】
 そうですね。この所掌事務としては、1の事務を行うための調査・評価というように、条文としてはこんなものかと思うんですけれども。

【野村座長】
 どこまでブレイクダウンするかということですね。特に法律の中で。それから、その仕事をするのが効率性の観点から、あるいは専門性・中立性といった観点から、紛争審査会が担うというこの点についても特にご異論はないということでよろしいでしょうか。
 そうしますと、あとはこの、今、整理したところを制度化するということで、それにふさわしい紛争審査会の設置の目的とか所掌事務というものをもうちょっと明確にすると。現行の制度を改めるということになりますが、この5-1については大体そんなところでよろしいでしょうか。
 どうもありがとうございました。
 それでは、その次に「原子力損害賠償補償契約に係る業務の一部委託について」ということで、これも最初に事務局からご説明をいただくということにしたいと思います。

【山野原子力計画課長】
 本件につきましても、前回、当然こんなことも考えられないかといって議論をお願いしたものでございます。それをもうちょっとペーパーとしてきちんとまとめたということでございます。
 ここの表にありますように補償契約で実際に適用事案があったときに想定される業務を時系列に並べるとこれぐらいのことがあるということでございます。それで、ここでこういうことをやるに当たって、下に「しかしながら」と色々書いていますけれども、非常にわかりやすく言うと、こういう業務を突然我々がやれと言っても、まず実績もなければ経験の蓄積もないということと、保険金支払いとかの実務経験を継続的に我々職員として抱え込んでいくかというのはちょっと非現実的であろうということがあるわけです。
 ただ、ここにありますような想定される業務の中でも、本当に賠償金を支払うとか、額を確定するとか、そのような重要な話というのはおそらく保険会社に任すことはできなくて、国が自らやらないといけないのでしょうけれども、かなり定型的な業務であるとか、かなりこれが何千件とあるようなものを相手にしながら色々なことを整理していくというような業務については、基本的に保険会社の知見を得るということが現実的ではないかということでございます。
 それで、前回村上村長が利益相反みたいな話をしました。これは補償契約のほうの話なので、保険プールさんが直接利害関係に当たるということはないので、補償契約だけに限れば問題ないのではないかというようなことでございます。
 前回も言いましたけれども、保険業法というのがあって、そこでは保険会社の他業の制限というのがあって、基本的にはここにありますようにちゃんと他の法律で位置づけない限り、色々な業務はできないという仕組みになっているわけでございます。それで、他の法律によって個別法で位置づけられている事例というのは、今は1件だけでございまして、ここにありますように自動車損害賠償補償法に基づく受託業務だけがあるということでございます。
 そういう自賠責の規定も参考にしながらということで、条文イメージとしてこういうことを考えたらどうかということで、「政府は、政令で定めるところにより、補償契約に関する業務の一部を保険会社に委託することができる」と。それで文部科学大臣は、委託したときは、その委託をした保険会社の名称とか、あらかじめ明確にした事項なんかを定めた上で、それを告示しなければならないというようなこと。このような立法措置をこの際やっておいたほうがいいのではないかという提案でございます。
 説明は以上でございます。

【野村座長】
 それでは、ただいまのご説明について、ご質問、ご意見がございましたらご発言をお願いしたいと思います。
 原委員、どうぞ。

【原委員】
 保険プールですけれども、一応前回から出ていたお話でございまして、業界の中の担当委員会にて議論しました。最初のほうは、一般的に考えたときに、地震の状況を考えたらおそらく保険会社もアップアップで、こういった事務は引き受けられないんじゃないかというような話がほとんどだったんですけれども、個別につぶしていくことと、あとは現実的に日本の産業界を見渡しても、こういうことを実務的にやれるのは損害保険会社しかないんだろうということを含めまして、できる限り、何というのか業務処理能力とかノウハウを活かしてご協力したいということはやぶさかではないということになっておりますが、ここに書いてあるとおり、保険業法上はまだこれがクリアではないと。ここのところ、まだ最終的に監督官庁と我々が折衝しなければならない点が1つ残っているというのと、あと内部的にも、現実にはこの仕事をやっている皆さん、現場の責任者のご意見を聞いた上で、そこそこご協力できるということにはなっているんですけれども、最終的に業界として正式な決定はしていないということで、方向性についてはこれで結構だと思いますので、最終的な決定はお待ちいただきたいというのが、プール、業界のお願いでございます。
 以上でございます。

【野村座長】
 他にご発言はいかがでしょうか。

【谷川顧問】
 確認なんだけれども、委託する先というのは保険会社なのか。個々の保険会社になるわけ?

【山野原子力計画課長】
 個々の保険会社というか、現実的にはおそらく保険プールさんになるんじゃないかと。

【谷川顧問】
 そのプールとの関係がどうなのか。

【山野原子力計画課長】
 というか、そのときの状況で考えなくてはいけないんですけれども。

【原委員】
 どちらかには。

【谷川顧問】
 その辺によって書き方が違ってくるだろうという気がしたものだから。
 それと、費用はもちろん払うんだよな。

【原委員】
 それはもちろん。一般のお客様から文句が出ると問題ですから。

【野村座長】
 今の保険プールというのは、これは保険会社の間の民法上の組合ですか。

【原委員】
 そうです。

【下山顧問】
 だから個別にしか引き受けようがないんじゃない。法人格もないし。

【原委員】
 と思うんです。正式に委託されるとしたら、個別保険会社でやるしかないと思います。

【下山顧問】
 だからプールの中身は全部連名で、受け入れるのは保険プールではないのね。

【谷川顧問】
 プールが取りまとめてやるという事務はやるんだろうけれどもね。

【原委員】
 実際の事務はそうでしょうね。契約主体にはなり得ない。

【谷川顧問】
 どういう形になるのかというあたりを、もうきちんと詰めておかないと文章は書けませんよということで。

【山野原子力計画課長】
 そうです。はい。

【下山顧問】
 もう1つ保険会社の役割という面で、今のお話が保険プールからあったように、従来の保険会社というか、プールさんのおつき合いから考えると、色々と各社さんの意見があったりしていて、わりあい消極的なんですね。それで1つ、これは海外の例なんかからすると、保険会社の役割は非常に重要だし、大きな役割を持つ。JCOのときは賠償する金額はたった10億円だったから、保険が対応する分と上の140億円は別だったから、ここでどうするか。この10億円のときにはかなり保険会社からの知恵を色々お借りしたけれども、実際に理屈だけの話として、16条の国の措置が要るようになったときは、じゃあ、賠償措置額だけは保険が色々対応するけれども、その先はもう関係なしということになるのか、そこで引き続いて全体の枠として、何というか、そこに保険会社が一気貫通で全体を色々考えて、どうするかということについて知恵を借りられるのかどうなのか。額の問題としてではなくて、範囲が当然額を決めていくわけですから、その点は何もJCOの個別事情としても考えなくていいのかなという気がしている。難しいですよ。だけど、何かその辺で保険会社の役割をもう少し強化し、かつ色々としていただくことはないんだろうかと。海外の例から見てですよ。

【山野原子力計画課長】
 まあね。

【谷川顧問】
 ただ、ここで問題になるのは、でも保険会社は断ることに習熟している分野なんだよな。もともと。だから、「それは地震ですから」と言って逃げる。逃げるというか「違います」と言うことには習熟しているけれども、それをどうやって払いますということは経験ないんだものな。

【下山顧問】
 補償契約だけじゃなくて、費用はお払いしますからと言って、色々お手助けいただけるとかないものだろうかという感じがする。

【原委員】
 マンパワーの問題だと思います。

【下山顧問】
 何かそこは調整会などをやって。

【山野原子力計画課長】
 そこはおそらく難しい問題なんでしょうね。議論すると、前の東海村長が言ったような議論もあるし、おそらく立法的には難しいのだと思う。だから実際上はある程度協力を、それもマニュアルレベルの話なんです。まじめにこの保険業法との関係を言うと会社そのものではできないので、実際、有識者として専門家として使わせていただくというようなことを実態上やる世界だと思います。

【谷川顧問】
 だけど、補償契約は法律に基づいて法律改正して、法律に基づいてそういう事務を引き受ける以上は、それは会社の業務としてやって、リターンをいただくというのが保険会社の立場だと思う。

【原委員】
 おっしゃるとおりです。

【谷川顧問】
 だから業務じゃないとは言わせない。

【野村座長】
 これは、基本的に保険会社の協力を得る必要があるということについてはよろしいということです。ただ、補償契約法に根拠規定を設けるということについては、保険会社の監督官庁もございますので、その辺今後なお、ちょっとすり合わせる必要はあるということで、ただ方向性としてはお認めいただくということでよろしいでしょうか。
 次に、3番目は「原子力損害賠償責任保険の引き受け能力について」ということで、これは、まず保険プールの検討結果について原委員のほうからご説明をいただいて、その後でご議論をお願いしたいと思います。

【原委員】
 資料5-3でご報告しているとおり、最大1,200億円までお引き受けすることができますということですが、ただし、前提としまして、従来からお話しさせていただいておりますが、保険の担保範囲が現在と変わらないということ。法改正、新しい法律になっても現行の補償範囲と変わらないというその1点です。それから、一般的に従来我々の中で議論されていたのは改正パリ条約の環境損害とかが考えられたわけです。そこは、もう議論の対象外という、この点についてはそれほど心配していないんです。
 2点目が、1,200億円ということになりますと、現実には日本の保険プールでは半分ほど消化しまして、半分海外から調達してくるというのが現実でございますので、当然ながら海外の調達に当たって、そこそこのレベルの保険料が必要になっていくと。ここは交渉事でございまして、海外の再保険プール、それから再保険会社との交渉事、それとあとは事業者との交渉事で決まっていくという流れでございますが、そこはそこそこのレベルの保険料をいただくということ。この2点を前提にして、1,200億円引き受けられますというお話でございます。
 以上でございます。

【野村座長】
 どうもありがとうございます。それでは、ただいまのご説明について、何かご質問とかございますでしょうか。
 はい、どうぞ。

【廣江委員】
 今、お話がございましたが、私どもも前回この件につきまして、まず保険プールさんがその金額について引き受けていただくことというのを申し上げたわけでありまして、それをまずはこういう形でおこたえいただきまして、感謝申し上げます。
 その上で、これまた先ほどと同じ前回申し上げましたように、基本的に合理的で透明性の高いものをということでございますので、まずここに書いていらっしゃいますように、海外の再保険者と十分に交渉していただきまして、その上でそれを踏まえて私どもと協議をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

【原委員】
 はい。もちろんでございます。

【野村座長】
 ほかにご発言ございますか。
 これはもう1,200億円と前から大体の数字としては出ていますけれども、一応1,200億円とするということを確認するということでよろしいでしょうか。

【下山顧問】
 少し内容を伺いたいんですけれども、例えばテロの問題ですね。これは海外の保険では引き受けていないところがあるんでしたっけ。そこらは再保険を出さずに、再保険ではなくて全部日本で留保する話ですか。

【原委員】
 いや、両方あります。

【下山顧問】
 両方ありますか。そうですか。

【谷川顧問】
 だって受けているところもあるから。

【下山顧問】
 受けているところがある。そうですか。
 それで料率が上がっちゃうと困るわね。自分のところで受けるだけだからなんていう話が出てくるとね。

【原委員】
 そうですね。

【下山顧問】
 だけど海外への出再分は逆に引きずられるんだろうな。国内で持っていたほうが楽なのかもね。

【野村座長】
 それでは、次の「主たる事業行為の終了後の損害賠償措置の合理化について」ということで、これも資料5-4に基づいてご説明を事務局からお願いいたします。

【山野原子力計画課長】
 はい。本件についても、従来から色々説明していたものをまとめたということでございます。非常にわかりやすく言うと、極端な事例で前も例示で言いましたように、むつのようにもう解体されて博物館に入っているのに今だに600億円かけているというような事例もあるということで、それらをやはり理屈がつく部分については、合理的にやっていったらいいのではないかということをきちんとロジックを立てて書いたということでございます。
 この1ページ目にありますように、原賠法の「原子炉の運転等」というのは、原子炉そのものの主たる事業行為に加えて、それに付随する行為としての放射性廃棄物の管理であるとか、そういうものも全て入っているということで、ここであります1と2をかけていて、実際上もう1はやっていなくて2だけ残っている事業者も、もう1のほうの上限で保険限度額が決まっているというような状況があるということでございます。それで、実際上そういう主たる事業が終わったというようなところもあって、そのような事業者について、いかに合理的なものを考えていくかというようなことでございます。
 それで具体的には、下のほうからいきますと、原子炉の場合ということなんですが、原子炉については既にかなりそういう廃炉措置が進んでいっているような炉がございます。ちなみに言うと、この資料では一番最後の資料にありますけれども、試験研究炉とか、実用炉でも東海1号炉みたいなところでかなり廃止措置が進んでいっているというところがあります。そういうことも念頭に置いて合理化することを考えられないかということでございます。
 それで合理化に当たっての基本的な考え方は、2ページに戻りますと、まず1つは原子炉を解体するときの事業形態を考えますと、まず炉心から使用済燃料を取り出すという行為があるわけです。そうすると「イ」なんですが、そういう使用済燃料を取り出した後の行為形態としては、ここにありますように使用済燃料の貯蔵というのと同程度であろうということが考えられるわけで、賠償措置額も使用済燃料の貯蔵と同額にすることが適当じゃないかということでございます。
 それで次の段階、解体がもっと進むとサイトから燃料とか使用済燃料というのはもう持ち出されるというような状況があるわけでございまして、そういう状況になれば、事業行為としては低レベルの放射性廃棄物の管理と同程度じゃないかということで、それと同等の賠償措置額にしたらいいんじゃないかということでございます。そういうことをシステマティックに考えていったらいいんじゃないかというのが原子炉でございます。
 じゃあ、それと同じようなところはないのかということで、一定量、5%以上の濃縮ウラン800グラムとかプルトニウム500グラム、そこで切り分けがあって、それ以上の核燃料物質の使用の現状で言うと、120億円の事業者と20億円の事業者というのが両方いるわけでございます。それで、120億円の事業者で、一定量を超える核燃料物質を実はもうサイト外に持ち出してもう持っていませんという場合があるわけでございますが、そういう事業者というのは、原子炉と同じような並びで言うと、もう既に事業行為としては低レベル放射性廃棄物の管理と同程度じゃないかということで、それと同額の制度を設けたらどうかというようなことでございます。
 ちなみに、今、こういう事業者はと言いますと、これも一番最後の資料にありますが、120億円の使用者というのはここにありますように6事業所あって、既に例えば核管理センターの東海の保障措置センターなんかは既にもう一定量未満の量しか持っていないというようなところがあると。それでサイト外に持ち出してしまえば低減できるというようになるということでございます。
 そういうことを考えたらどうかということで、あと3ページへ行きますと、そうなると、そういうものをきちんとチェックしないといけないだろうということで、3ページ目の(4)でございますが、じゃあ、当然安くする段階でちゃんと確認ができないと規制にならないということなんですが、こういうことをちゃんと確認するということが必須である。例えば使用済燃料を炉から取り出しましたと。だから安くしたいんですとなれば、ちゃんと確認しないといけないということなんですが、そこは今の制度でも、賠償措置額を切り替える場合には文科大臣の承認を受けなければならないという規定があります。そういう申請が行われた場合には、現行にありますそういう報告徴収とか立入検査なんかもやってきちんと役所として確認して、確かに使用済燃料はもうないですねということを確認して、そういう考え方で切り下げていけるというような運用をきちんとしないといけないだろうということでございます。それで、それにあわせてやはり色々な届出とか何とかというのは、一応所定の様式については、必要であれば省令改正してきちんとあらかじめ整備しておきたいということでございます。
 ということで、こういう考え方で、ここらは法律事項ではなくて政令・省令事項なんですが、こういう賠償措置の常識的な低減策というものをきちんと考えたいという提案でございます。
 以上でございます。

【野村座長】
 それでは、ただいまのご説明について、ご質問、ご意見がございましたら。

【谷川顧問】
 具体的なことはよくわかないから教えてほしいんだけれども、2ページのイの使用済燃料取り出し後の措置というのは、取り出してしまえば使用済燃料も貯蔵と同じ状態になると。そこに取り出し前の躯体がありますわな。入れ物が。

【山野原子力計画課長】
 はい。

【谷川顧問】
 それのことは考えなくていいということか。

【山野原子力計画課長】
 入れ物というか、原子炉の中から使用済燃料が全部外に出て、当然勝手に置かれるんじゃなくて臨界管理しながらサイトの中で管理されるわけです。

【谷川顧問】
 その部分は使用済燃料と全く同じ状態になるんだけれども、その取り出した入れ物、それが残っているわけだよな。放射化されている部分もあるわけだ。その部分については、これでいくともう考えなくていいじゃないかと、こういう話?

【山野原子力計画課長】
 いえ、考えなくていいというか、それも含めてトータルとして、そのサイトとしてはそういう使用済燃料の管理と同レベルの管理でいいんじゃないかと。原賠の世界での扱いとしてということ。

【谷川顧問】
 同じなのかな。じゃあ、そこは同じだと言い切れるかどうかというのがよくわからないものだから。

【下山顧問】
 もっと安くていいんじゃないか。

【山野原子力計画課長】
 いや、当然原子炉ですから、当然、燃焼炉といえばまず放射化はされていますけれども、もう燃料がないわけですから臨界はもう絶対起きないし、当然原賠ですから、いわば外との関係で言うと何もないわけですね。極端なことを言えばそこがボーンと爆発しましたとかいうのは別にして。それでも、それは使用済燃料の貯蔵と同じぐらいのことはやっているわけですから、当然ゼロになるわけじゃないですから。

【谷川顧問】
 いや、だから外したやつの処理の問題とか色々面倒な細かい理論があり得るんじゃないかと考えるものだから、僕はよくわからないから教えてくれと言ったので。炉の再建をするときの廃棄物の処理の問題というのは、また別な問題を一緒に含んでいるんじゃないかという、そこのところは仕分けしなくていいのかというあたりを。取り出しちゃって別に管理しているんだから、その管理をしているのと同じじゃないかって、そこだけに着目して済む話なんですかという、それがちょっとよくわからない。

【山野原子力計画課長】
 そこは、今日もう1人の野村さんがいれば言ってもらえればいいんですが、そういう状態になったら、燃料が取り出された後の炉心よりも、実際そのサイトとして一番気をつけて見ておかなければいけないのは、明らかに取り出された使用済燃料なんです。だからそこを中心に見ているものでいいんじゃないかということ。取り出された後の炉心のリスクもあるんですけれども、それよりも使用済燃料のリスクのほうが明らかに高い。それでその一番高いところで決まっているもので、もうサイト全体を見ればいいんじゃないかと。

【谷川顧問】
 この炉心から全ての使用済燃料を取り出した状態というのは、直後の状態というのはどういう状態で考えるわけ? 炉心から出した状態。

【廣江委員】
 燃料プールに入っている。

【谷川顧問】
 燃料プールに入っていれば、もうこれと同じでいいと。

【山野原子力計画課長】
 そうです。

【廣江委員】
 そうですね。

【谷川顧問】
 なるほど。その辺のところ、本当にリスクとして同等に評価できるのかどうかというの、その辺は技術的な問題だから、あまり「エイヤ」とやる前に慎重に考えてください。それだけです。

【野村座長】
 リスクの問題と、それからもとへ戻る可能性というんですか、その両方が多分ありますよね。それはこの報告徴収というというところでのコントロールということにはなっているわけですけれども。

【山野原子力計画課長】
 逆にまたもとに戻って入ればまた上がってきちゃう。このことは当然。

【谷川顧問】
 だから出してあるときは安くて、またプールから戻すと高くなるって、そういう仕組みにするわけじゃないんだろう。

【山野原子力計画課長】
 あまり想定されないですよが、当然概念としてはそういうことです。

【廣江委員】
 基本的には装荷される前の状態と同じということです。それから先生がおっしゃいましたように、一部放射化された部分があります。確かにそこは違いますけれども、やはり圧倒的に燃料の危険性が高いですから、こういう考え方だと思います。

【谷川顧問】
 うん。それはそうだ。

【下山顧問】
 だから、先生のおっしゃる考え方のどうしても気になるのは、おそらく、例えば使用済燃料貯蔵プールで新潟なんかで水が出たから、それであるということなのかもしれません。そうしたら、使用済燃料の貯蔵でも同じことなので、そっちが120億円なら120億円はこっちも同じことで、それ以上のものはないと思います。だからそのときに考えられるのは、要するに、それは額はそれと同じでなくたって、今度は保険が見てリスクがはるかに減ってしまうからこの金額。だからそれは結果的には負担は同じになるようにだってできると思う。

【野村座長】
 ほかにいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。それでは、この問題は、事業行為の終了後にサイト内で行われる付随行為について、当初の事業行為と一体的な取り扱いをやめて、合理的な額の賠償措置額を創設するということが妥当であるということでまとめると。ただ、新たに創設する賠償措置額が適用される要件、タイミング及びその確認方法については、先ほどちょっと若干議論はありましたけれども、一応事務局のご説明でご了解いただくということでよろしいでしょうか。
 では4番目は以上で、5番目は「加工・使用等に係る賠償措置額の少額特例の見直しについて」ということで、こちらは従来からある制度ですけれども、これについてもまず事務局からご説明をお願いします。

【山野原子力計画課長】
 これについてもずっと議論してきたもので、ある程度決めの段階に来たので、こういうことでどうかということでございます。もう皆さんご案内のとおり、現状において600億円と120億円、20億円という3段階あると。特例額としては2区分あるということでございます。それで、一番上の法定措置額である600億円を1,200億円と倍にするというときに、じゃあ、小さいほうをどうしましょうかということでございます。ここについては、当然ながら相対的なリスクであるとか、あとやはり考慮すべきとしたらJCOのときの被害規模とか、あと諸外国の少額特例に関する動向なんかを踏まえて見直しを行うことが適切であろうということでございます。
 それで結論から言いますと、今までやっていたことは正しいという大前提があるんですが、そういうことであれば2区分の特例額を設定するということは、維持するということはかなりリーズナブルであるし、相対的なリスクに変化が生じたわけでもないことを考えると、一番上が2倍になるということなら、下のほうもそれぞれ2倍にするということが適当じゃないかということにしたらどうかということでございます。
 そのための立論として、何点か考慮すべき点として、相対的なリスクということなんですが、現行の2区分というのは、それぞれ相対リスクに応じて設定されたものであって、今回一番上が2倍になるということなんですが、そこらの相対的な関係というのは現行においても変更はないということでございます。そういうことから、ここらの考え方を維持していくことは合理的であるというようなこととか、今までとの関係との公平性とかそういうことを考えると、法定措置額の引き上げと同じ割合で引き上げることが非常にリーズナブルではないかということでございます。それは、なお書きでありますが、前回も同じようなことをしていますということです。
 あとJCOのときの関係で言うと、当時の150億円ということなんですが、JCO当時は具体的にはJCOのような事業者は10億円しかかかっていなかったんですが、その後、そういう高濃縮ウランを持っている事業者については、政令を変えていまして措置額が引き上げられたということでございまして、今だと、JCOがもしも存在しているとすると120億円かかっているということです。その事業者を今後は倍にしたらどうかということですから、240億円ということになるわけですが、もしもそうであれば、JCOの時と同程度のことがあったとしたら、すべて保険で払えるかどうかは別にして、当時の補償総額150億円は内数に入って、240億円ぐらいの措置額をやっておけば大体対応できるのではないかということでございます。
 3番目の諸外国の動向との関係では、色々調べてみましたけれども、やはり国によってかなり差があってそれぞれの国の事情によってかなり違うということでございます。
 それで、じゃあ、国際条約はどうかということなんですけれども、国際条約のほうを見ると、そういう少額の特例措置というのはそれぞれ認められているんですが、ここにありますように、今後引き上げをして240億円と40億円にしたということになると、改正パリ条約では少額の場合というのは7,000万ユーロということですから、ちょっとその基準を満たさない部分が一部出てくるということなんですが、現実的には今後考えるのはCSCだということで検討していきましょうとなっているわけですから、少なくともCSCのほうは満たすので問題ないんじゃないかというふうに考えられます。ということで、国際的な観点から見ても240億円と40億円にするということで、あまり問題はないのではないかということです。
 なお書きでちょっと※印みたいなのを書いていますけれども、そのかわりCSCに本当に入ろうとすれば、今後の検討ということになるんですが、法定措置額というか、CSCでいう3億SDR、約500億円なんですが、そことの差額の穴埋めをどうするかというのは別途検討しなくてはいけないということなんですが、そこも今後CSCについての検討の中で検討していくということしかないのではないかなと思います。
 従って、今回の措置としては、非常に単純ですけれども、一番上も2倍にして、下2つも2倍にするということがリーズナブルではないかという提案でございます。
 以上でございます。

【野村座長】
 それではこれについて、ご発言。

【谷川顧問】
 最後の※マークまでついているからこれでいい。

【下山顧問】
 これが一番大事だ。※印がある。

【谷川顧問】
 障害はこれだけなんです。

【野村座長】
 他にご発言はいかがでしょうか。
 特によろしいですか。それでは、少額特例額についても、賠償措置額の引き上げの割合にあわせて2倍に引き上げるということで、お認めいただいたということにいたします。
 そうしますと、今日予定していた議題、大分まだ時間があるんですけれども。

【山野原子力計画課長】
 そうですね。ちょっと資料は用意はできていないんですが、またもう1つ政令事項として、従来から言われております補償料率の話があるので、補償料率の額についても、昭和30年代から一遍も変えていないということですから、やはり変えるべきではないかということで、財務省にもとりあえず話を開始しました。ただ、相手がある話でどうかというのもあるし、古い話ですからちょっとあれですけれども、若干ばらすと、30年当時の設定のときの考え方というのがあるんですが、「えっ」というところも若干あったりして。
 ただ、基本的にはやはり役人の世界で政令で決めている話なので、とりあえず当時の考え方を置いた上で、やはり今様に違うところがあるわけですね。非常にわかりやすく言ったら、地震が起きる確率というのを100年に1回とかそういうファクターがあったりするわけで、やはりそういうものを今の最新の知見でやるとそれぞれどうなのかというところです。アウトプットも、極端なことを言うと1万分の5だったわけが、また極端な数字になってもまた誰も信用してくれないですから、上手にならないといけませんが。今、関係者とも議論しているところでございます。
 少なくとも財務省も担当者レベルだと、確かにちゃんと説明できれば変えることというのはおかしい話ではないなということなんですが、小さいながらも国の収入が減る話だから、おそらく色々なハードルはあるんじゃないかとまだ思いますけれども、そこらはまじめに詰めていますので、今日は資料を用意できませんでしたけれども。

【谷川顧問】
 そこでね、コンマ5が大きいとか小さいとかいう話をしていくと、じゃあ、数字を下げたといって、それでリニアにずっと行ったのでは意味がないんだよね。 それで変更して、パーセンテージが下がっただけで真っすぐなんですというのでは。

【野村座長】
 真っすぐというのは、例えば2分の1にすれば今と同じ金額になるわけですよね。それは。

【下山顧問】
 そこが依然難しいでしょうな。少なくとも、ここは2通りしかないんで、1つはリニアで料率が下がるか、もしくは別の線をかくか、この2通りじゃないかと思うんだけれども。両方あわせて600億円。

【野村座長】
 谷川先生が言っているのは、600億までは今と例えば同じで、1万分の5なら1万分の5で行って、その先は低くなるとかそういうことですか。

【谷川顧問】
 固定してしまうと、率を下げても、率は下がるんだけれども、金額がリニアに行ってしまうのでは、本来こういうものについての料率というのはエクセス・ロスについては下がってくるはずであるという……。

【野村座長】
 保険的なあれですね。

【谷川顧問】
 保険的な発想からすると、それは全然問題の解決になっていないねと、こういう話だよ。

【山野原子力計画課長】
 リニアというか、今まではだから完璧にリニアになっていたわけです。だから、カーブがこう緩くなる。

【谷川顧問】
 そう、そう。

【山野原子力計画課長】
 だから、それを一遍きちんとやっておけば、別に今回こっきりではなくて、わかりませんけれども、また例えば10年後でも何か考えを入れるとか、やはりそういう意味で、ベースのところはきちんと作っておいたほうがいいんじゃないかと思う。そこは。

【谷川顧問】
 そう、そう。

【山野原子力計画課長】
 ただ、確かに30年代に作ったところからやはり出発すると、若干舌をかむようなところはあるんですよね。少し「えっ」というようなのがあるんですが、まあそこは仕方ないなと思うんですけれどもね。当時のあまり知見がないときの考え方でこうやって、それを今の最新知見でいくとここの係数はこの数字を使うのが一番適当じゃないかということで、結果的にそれを上手に足したり掛け算とかしていくと、大体常識的になるといいんですが、なかなか。

【谷川顧問】
 それは率でいくのか、額でいくのかという話だな。

【下山顧問】
 保険がこういうカーブをかいて、さりとて保険会社はカーブの数式はどうなんだというわけにはいかないでしょう。それはね。

【谷川顧問】
 いやそれの答えは唯一なんだよ。プロフェッショナル・ゲスだって。それしかない。

【下山顧問】
 でしょうね。だからそれはだめなんだな。そうなると、自分で独自に、それじゃあ計算式からやれるかといったら、それは至難の業だ。
 そこへ議論が行ってしまうと、賠償する金額だって同じ事になるじゃない。そういう議論になってしまうとこれはどうにも収拾がつかなくなるから、そこが問題じゃないかな。どっちかしかないので、やはり。
 それともう1つあそこの中に、いや、正直言って40年前か何か知らないけれども……。

【谷川顧問】
 責任あるよ。

【下山顧問】
 賠償法のほうに夢中になっていて、補償契約の仕組みを考えていない。いつの間にかこんな式が立って、間近になっちゃって。それは別として、あそこに政策的な考慮という文字がどこかになかった? 何かそこに逃げがあったんじゃないかという感じがする。それを利用すれば何とかうまく下げる理由が出ないかなと思っているんですが。

【山野原子力計画課長】
 そこはおそらく、今の議論とベクトルは同じだと思うんです。ただ、やはりアウトプットもある程度、大体常識的な幅があるじゃないですか。やはりそこは常識的にアウトプットが出るようにしないといけないということをちょっと頭を悩ましています。

【谷川顧問】
 いや、だからね、仮想的支出との関係での割合があまり変わると困ると言われると困るんだけれども、具体的インカムとしての年間収入は変わらないんですというところでおさめられれば、結果的には2分の1になるよな。

【山野原子力計画課長】
 まあ、そうです。

【谷川顧問】
 それをどういうカーブでかくかは、それは別のテクニカルな問題。

【廣江委員】
 色々財務省との難しい交渉もあると思いますので、従来からお願いしていることがあります。今年は特に日本の電力会社、10社中8社が赤字の決算で、30年ぶりにそういうことに陥りそうでございます。ぜひよろしくお願いいたします。

【野村座長】
 それでは、この問題は色々理論的な問題というよりもうちょっと難しい問題もありますので、事務局のほうでもうちょっと詰めていただいて、次回ですか。

【山野原子力計画課長】
 そうですね。

【野村座長】
 次回にはお示ししたいと思います。
 それではちょっと早いんですけれども、一応、本日予定の議論は大体できましたので、今日の議論を踏まえて、次回までに事務局でワーディング等を整理していただくということにしたいと思いますけれども、事務局のほうから連絡事項がございましたらお願いします。

【山野原子力計画課長】
 そうですね。ちょっと今日の議論で少なくとも法律とか政・省令事項というのがある程度出てきたので、それはもう、そんな日本語をものすごく気にするようなレポートを作る気もないんですが、機能としてはファースト・レポートとしてまとめたいなと思っています。それで、別にこれだけを書くのではなくて、あと2つあるそのマニュアルの話とCSCの検討の話も今後こういうことでちゃんと検討していきますと、そこまで含めたような1つのファースト・レポートを作って、それを次回ご議論していただいて、レポートについてはパブコメします。その手続を踏まえながら、並行して条文の役人的な詰めをきちんとやっていきます。
 また、マニュアルづくりとCSCの議論というのは、やはりワーキンググループを作って、そこでちょっとそろそろスタートダッシュを始めるようにしていきたいと思っています。それでそっちのほうは、第2弾ロケットなのか、第3ロケットとか、まとまった段階できちんとまとめていくということで、それもあまりたらたら2年も3年も議論しても大変なので、なるべく短期決戦にしたいなと思っていますが、そういう感じでやりたいなと思っています。

【下山顧問】
 ちょっと最後のところがあるでしょう。最後のところでおっしゃったこと。

【山野原子力計画課長】
 最後のところというか、そういうこともなるべく短期決戦でできるように、もう2年も3年も、いずれにしてもマニュアルはこの勢いの中でちゃんと作ってしまおうと思っています。ただCSCはおそらく、この場でイエス・ノーの結論ではなくて、今後、こういう感じでこういう観点から検討すべきだとか、あとここの専門家のグループで言うと、国内の原賠法との関係だとやはりこういう論点があるよとか、そこはまとめ切れると思うのでそういう感じでやって、それで次に違う場に移していくとか、少なくともそういうまとめ方になるのかなと思っています。

【下山顧問】
 それは、10年前の専門部会の報告書でもそれはちゃんと書いてあるわけね。この場はそういう議論をするところではないが、しかしこういう点だけはしっかりやっておけというのが書いてある。それを題材にして部会長さんが言うわけですよ。

【谷川顧問】
 もうお願いだから不発弾だけはやめて。

【下山顧問】
 だから、今度、山野さんの決意を聞いて、色々安心した。

【山野原子力計画課長】
 いや、いや。僕は不発弾をちょっと地上に出すぐらいまでは少なくともします。それが不発なのかどうかわかりませんが、誰が踏むのか知りませんけれども。

【下山顧問】
 でもちゃんと引き継いでいるから。

【野村座長】
 それでは、これで第5回の検討会を終わりたいと思います。
 どうもありがとうございました。

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研究開発局原子力計画課