資料6-2 防災教育支援に関する懇談会(第5回)における主な意見(第5回懇談会の資料に対する委員の委員等の意見を事務局で整理したもの)

1.第4回懇談会の主な意見について

  • 担い手については、防災士以外の人を排除しないためにも、防災に関する研修を受けた人達は、のような表現にした方がよい。
  • 「子ども達に任せきりになっている」とあるが、一時そういう面があった、指導と支援の両方が必要であるという意味である。
  • 立派なコーディネーターがいれば産学連携も進む。組織間の連携よりはまずは担い手の育成、確保を図るべきではないか。

2.中間とりまとめ(素案)1~3について

(1)1.はじめに

  • 目指すものが書かれていない。例えば社会の防災力を高める等のゴールを設定し、それ目指すためのツールとして考えないといけない。
  • 「社会」の防災力の向上を目的とすると通り一辺倒で、自分と関係ないものと捉えられがちなので、それぞれの地域で災害の地域性を入れておきたい。
  • 何が防災教育で、何のために支援が必要なのかが分かりにくい。何のための懇談会で何をまとめようとしているのかを、書く必要がある。
  • 川本委員の4つのまるを上手くまとめ、純粋な科学だけを追っているわけではなく、どこまで防災科学技術が貢献できる可能性を持っているかを表現してはどうか。

(2)2.検討の背景

  • 災害が多いという背景は書かれているが、外力だけに触れても、それは災害の話にならない。
  • 中央防災会議や文部科学省の取組で何かできたのか。様々な施策を実施してきたが、広まっていないことを押さえるべきである。
  • 防災教育が広まっているのは過去に災害が多発した地域だけではない。阪神・淡路大震災等のように、最近痛い思いをした地域を押さえなければならない。
  • 社会的要因も含め、防災教育をきちんと考え学んでいれば防げる災害、減らせる災害があることを明示すると、防災教育を支援する必要性が分かりやすくなる。
  • 6、7の伏線として、防災科学技術の今の知見を活用するだけでなく、まだ足りない知見や、開発しなければならないこともあるという災害・防災の捉え方がほしい。

(3)3.防災教育支援の基本的考え方

  • 防災教育と防災教育支援の定義は必要である。支援とは何かということを明確にしなければならない。
  • 防災教育そのものが目指すことが中心的に書かれている。そこに足りない支援措置、こうあるべきである、ということが十分に書かれていない。
  • (1)について、災害の捉え方がはっきりしていない。1から4に入れるべき科学的・技術的な思考が明文化されていない。
  • 科学技術だけではなく、枠組み的な問題、制度的な問題が抜け落ちては、防災教育支援として不十分なものにならないか。
  • 「自然災害に対する正しい理解を進めるため、大学や研究機関が有する研究成果など」では、自然科学的な、理学的なものしか思い浮かべられない。
  • 防災科学技術が対象とする防災には、社会的な側面、個人の生きる力、文化的に背負っているもの、物理的に人間が作り上げた工学的な人工物、理学が対象としているいわゆる自然、それら全てが含まれるべきである。
  • 防災に関する科学技術の現状に触れ、理科的な部分は蓄積もあるが、社会学的な部分はこれからもう少し研究を充実させる、だから今回は科学的な方に重点を置いて戦略としてやっていく、と整理してはどうか。
  • 伝習的に持っている文化等を科学技術のアプローチで再吟味・評価し、継承すべきものとそうでないものをふるい分ける過程は必要であるし、そういうマインドを持った子ども達を大人にしていくことの重要性は極めて大きい。
  • 社会科学的なものを分かっているレベルで捉えなおすことと、暗黙的なものを整理することで見えてくる、例えば日本として持っているアジア的災害文化のようなものが、世界に貢献できるものかも知れない。

(4)その他

  • 支援の必要性がどこに出てくるのかが見えにくい。本来それは、課題分析があって初めて分かるものなのではないか。
  • 「防災対応能力は災害大国日本に暮らす人々の必須能力」だけれども、「広まらず深まらない防災教育」という問題がある。
  • 社会的な要因として「繰り返す災害と大きく変化する社会の中での防災教育と防災体制のあり方」、「これからの防災教育を考える視点」として担い手やつなぎ手の重要性を整理した上で、防災教育支援を定義するのがいい。
  • 防災で目指すものと防災教育で目指すものは微妙に違う。防災教育でやったことが他でも色々使えるではないかという部分も目指すものなのではないか。
  • 生きる力を支える根幹に科学技術的な捉え方や物事を位置付け、それを防災という分野の中で具体化する例である、ということを提示してはどうか。

3.中間とりまとめ(素案)4~5について

(1)4.防災教育支援の現状

  • 全国、地域、学校の連携が取れていない、さらに、それぞれの周回軌道の人達がコーディネートの役割を果たしていないことを指摘してもいい。
  • 防災教育支援の現状と課題は、その必要性や広まらないことの切迫感がもっと明確に書かれていた方がよい。
  • 科学技術の知見があってそれを使ってどう支援するかという結論があるが、その割には防災教育の現状認識が浅い(進んでいない面はかなりある)。
  • 防災教育が進まない理由として、5種類の人がいることが挙げられる(以下は分類の例)。
    • 1.防災教育の必要性、面白さ等に気付いていない(内発的動機付けがない)人
    • 2.防災教育が必要だと思っていても、取りかかれない多忙な人
    • 3.防災教育が必要だと思っているが、やり方が分からない人
    • 4.防災教育を始めたが、どんな教材を使うべきか分からない、面白い教材が見つからない、担い手・つなぎ手が見つからない人
    • 5.防災教育にいきいきと取り組んで成果を上げている人
  • 3.から5.の人達を支援し、その人達が作り上げた成果が1.2.の人達に刺激を与えて、防災教育を実施するための気付きの提案となる、という形にならないと、広がりは生まれない。
  • 5.の人の成果をもっと発信できるように、あるいはつながる場を提供してやる、孤立している人達が仲間を持てるようになる。
  • 5種類の人をマイナスフレーズで書くのは面白いが、ここは内在的にはもう一歩進んでもらいたい人である。
  • 防災教育「支援」の現状となっているが、防災教育の現状があって課題、という流れではないか。後半に行けば行くほど防災教育の現状になっている。
  • どう支援し、何が戦略として必要かを考えるため、全国・地域・学校において、防災科学技術でできていることは何か、現状の中にあってもいい。
  • 全国、地域、学校という3つの場を作ってあるのなら、全国の中に防災科学技術の生産者の人達のコミュニティも入れてしまってもいい。
  • 学校でも地域でも、むしろ人がいないという問題を重視し、それを解決するには場が必要になるため、地域ではどういう人を、学校ではどういう人を作ればいいか、ということを考えた方がいい。
  • 全国規模というのは国だけではなく、学協会等も考えられる。さらに言えば、直接の教育の場を持たない、メディア等のある意味一方通行的な情報の発信をしている、という整理でもいい。
  • 現実には学校のウエイトが高いことは認めるが、全体のフレームワークから言えば、学校を一つの要素として取り上げる方がいいのではないか。

(2)5.防災教育支援で取り組むべき課題

  • 面白い、役に立つと思わせないと防災教育は進まない(内発的動機付け)。防災教育支援という立場では、学校は生涯学習や被災地教育の整備をする安定的な場であるが、唯一のものとして考えなくてもいい。
  • 内発的動機付けを生むのは能動的学習であって、ここではオプションの一つとして捉えているが、どちらかというと能動的学習こそが防災教育支援を進めていくために考えていくべきフレームではないか。
  • 地域だけではなく、全国でも担い手・つなぎ手があり、地域でも学校でもあることを考えると、場に規定されるものではなく、もっと大きな存在ではないか。
  • 5についてはタイトルを変えれば課題というものが非常にクリアになるのではないか。
  • インストラクショナルデザインとして、教えるべきことを整理するレビューは必要である。5(1)の2.の断片的な防災教育は、先ほどの、孤立している人というところに結びつけるといい。
  • 孤立した人は自分の得意なことしか教えず、それが防災教育だと言い切ってしまう。防災は学際融合的な分野であり、全部一人ではできないことをどうするか、ということが次へつながる。
  • 懇談会として、何を災害、防災と捉え、どこに抜けがあるという指摘をしてほしい。それは完璧ではないから、修正するために科学技術の手法を使うことによって、論理的・合理的に体系が改善する。
  • 体系化はこの懇談会で十分解決できることではなく、ただ気付いた課題としてある一定の共通認識は得たということである。

(3)その他

4と5の整理

  • 4と5を現状と課題の1項目にし、ネットワークやコーディネートの不在をまず掲げ、それから全国でも、地域でも学校でも取り組まれていないという並べ方にした方がクリアではないか。
  • 5と4を入れ替えてもいい。5を全部ネガティブに書き、一応放置されているわけではなくある程度の取組はある、でもこれで有効だろうかというニュアンスにすれば分かり易い。
  • 言葉の端々で読み込めなくはないが、何が必要かは知っていないと読み込めないので、なぜこの懇談会があるのかということも含め、全部ひっくり返すくらいのことが必要ではないか。
  • 4と5には、教育の場の議論と、教育のプロセスに関わる議論が混在している。4は明らかに場の議論が多い。5は4で使った場のフレームにこだわっているが、いざ教えるようになったらという教育のプロセスになっている。
  • 5は防災教育の中で生じる様々な問題点と、それをどう乗り越えるかに置き換えると、5種類の人で整理できる。いきいきとやっている人は今のベストプラクティスと位置付け、それを広める仕掛けも作らなければいけない。
  • 4は場として整理し、ある程度取り組まれているが連携がないということを結論として置き、4と5の現状と課題を踏まえれば先ほどの内発性とつなぎ手・担い手の整理、能動的学習といったある種の方向性を出せるのではないか。

6へのつなぎ

  • 単に例示するだけでなく、その例を支援の現状として、例えば能動的学習の成功例であるといった形で評価し、それをもっと広め、深めるためにやるべきことを6につなげる必要がある。
  • 6、7へのつながりが急転直下という気がする。科学技術の話と合わせ、そこに至るまでの教育改革的な捉え方も入っていい。
  • 6の戦略が事業のようになってしまっている。5種類の人に対して何をするかという戦略があり、それに対して具体的な方策として何をするかというつなぎがない。
  • 7の具体的方策はそれほど違和感がないが、7がどうしてそうなのかということがそれほど理由づけられていない。その前提の方が報告書としては大事である。

生涯学習・全人教育

  • 学習機会としてではなく、学習の手法を身に付け、将来ぶつかる課題を自分の力で解決する、課題解決学習に近い生涯学習の能力(生きる力)が必要である。
  • 大人にも、地域社会のようなまとまりにも生きていく力が必要であり、そこが、課題解決の糸口を得られるところである。
  • 社会が早い速度で変化する中で、たえず学ばないと自分達の適応パターンが使えなくなることを強調すると、生涯にわたり新しい能力を学習する要求は高い。
  • 防災教育には、あらゆる地域で防災教育が広がるというのが一つと、防災教育に対して教師が持っている狭い見方ではなく、もっと全人教育という部分もあるという意味での広がりもある。

フレームワーク

  • つなぎ手・担い手、内発的動機付け、積極的学習といった、繰り返し主張されてきた方向性が導入されていない。現在の問題を解くためのアプローチとして、能動的学習のフレームの中でこれらを整備しなければならない。

4.中間とりまとめ(素案)6~7について

(1)6.今後の防災教育支援に関する基本的戦略

  • 目的を「生きる力の向上」とすると、一人ひとりが強くなることと、それを取り巻く社会性でも、災害に強いものに移り、文化も合理性を踏まえながら豊かになり、物理的にも強くなり、その様々な局面での防災力の向上を図るためには生涯にわたって学習していく力が必要である。
  • 構想段階として、やるべきことをある程度具体的に書いた方がいい。理解増進活動の推進、ではなく、担い手・つなぎ手を育成、ネットワーク作りの支援、そういうものが戦略になるのではないか。
  • 科学技術で何ができるのかという視点からも、具体的な戦略が見えない。例えばフォーラムでも、先生がそこに立って講義してくれます、というだけでは、1や2の人には働きかけが難しい。
  • この報告書を初めて見た人は、科学的知見ってどんないいものを提供してくれるのだろう、という期待はするけれども、それがそもそも何なのかがあまり見えてこない。
  • 4、5からの流れで見た時に、人をグルーピングして掲げるのであれば、5種類の人それぞれに対する戦略を報告書の中で挙げる必要はないか。
  • 今までとは違う客層の人達を振り向かせるというのであれば、振り向きのキャラクターを並べて、ショッキングなイメージでやるというのも一つの手であるし、刑事もの・防犯ものに倣って防災ものを作るということもある。

(2)7.当面、推進すべき防災教育支援の具体的方策

  • 関心のない人から見ると、従来の施策との違いが分からない。
  • これまでの評価がなされないままの中間とりまとめになるので、これはいいこと、足りないことだと言えるのかの検討・議論が必要ではないか。
  • 従来のものと差異化を設けるために、内発性とつなぎ手・担い手と能動的学習がどう体系化されていくのかという像があればいい。
  • 防災教育週間のような、今の枠組みの中でも何らかの強制的な取組というのはここで書いてもいいのではないか。
  • 現状の施策が不十分であるという認識ならば、防災教育の実施状況を全国的に調査し、その結果を経て次に進めるような施策を提案しておくこともできる。
  • サイトはサイト、事業は事業、フォーラムはフォーラムと全部個別にやるのではなく、連携させることが必要である。
  • 防災教育支援の目標として、5年、10年で積み上げられそうなものを掲げれば、その達成のために大胆な施策をはっきりと打ち出せるのではないか。
  • 数値目標は長期的な意味で報告書の中に盛るべき内容なのかもしれない。現在の施策案は解決策の一つにしか過ぎず、数値目標のリストアップと、達成へのロードマップがあってもいい。

ポータルサイト

  • 担い手やつなぎ手に対象を絞り、その支援に特化した情報を詰め、そうした人が使え、話し合いができるサイトにしてはどうか。コンテンツについても、大学の先生方が、担い手の方が使いやすく、かつ学習者も分かり易いように思案してほしい。
  • 状況に応じて問題解決できる、非常に高い学習能力を一人ひとりに期待されているが、それを公的な教育機関だけで担うことは無理で、生涯の学習機会を使って学んでいくことを可能にしているものがインターネットである。
  • 防災教育支援オンラインのような、大事な情報は全てオンラインで取れるという共通のデータベースを考えてはどうか。
  • ただ単に情報を集めてくるようなポータルサイトではなく、本当に実践的なものにつながるというようなことは、今の文章からは読めない。
  • 素材はあるが、使える形になっていない。防災のポータルサイトは大学等にもあるが、手続上の煩雑さがある。また、今はネット上のフォーラム等はあると思うが、防災教育にはそういうものはない。
  • まだ気付いていない人に対する解決策は難しい。少しやっている人やたくさんやっている人を引っ張っていき、刺激する、気付きを与える人が増えれば、気付く人も増えてくる。
  • ウェブに掲載するときに、誰を対象に何を目的に作ってあるか明確にする必要がある。
  • オールジャパンで作ってみても得られないものがあるので、ローカル風にやるために、一方に地域リソースを整備しておいて結合させてはどうか。
  • 自分達で作るということも非常に重要な活動であり、地域はポータルサイトから自分で素材を引っ張ってもらって、地域で作った方がいいのではないか。
  • インターネットをコアにおきながら物事を考えると、教育工学の大きな変化を踏まえた教育観の変化を明示的に取り込み、反映するという書き方が必要である。
  • 教育課程に入るのは必要条件ではない。生涯にわたって学んでもらえる人達に、どこにいてもアクセスがあるように整備することを主にした方がいい。

モデル事業

  • データベースをどんどん豊かにするために、やりましょうと手を挙げてくれた人達を育てるのがモデル事業であり、ある程度極端なものをやってもらってもいい。
  • 東京の防災教育と兵庫の防災教育では全然銀河が違う。銀河の中のネットワークの話と、銀河と銀河をどうぶつけるかという宇宙全体のネットワーク、後者はほとんどないのではないか。それをどこかで提案することは大事である。
  • 研究者を核にすると得意技しか出てこないので、ユーザーオリエンテッドの形のものがモデル事業としてどうやって組み立てられるか。
  • 大学等のいろんなリソースを、場は小学校にして持ち込んで、相手は小学生でも地域でもいいが、地域のリソースを皆で集めて、そこで何かできるかというモデル事業として各地で実施すると面白いのではないか。

(3)その他

  • 環境教育が国際的な取組、モチベーションになっているように、日本発で、アジアなり世界なりに発信できるものはないだろうか。
  • 日本の人が国際貢献できると思っているものと、世界のオーディエンスが求めているものの乖離や、あるいは彼らのニーズをどうやって把握するか。
  • 国内で議論したことと同じようなことを国際に向けてからくりを回さないと使えるものにはならない。国内に閉じるつもりはないが、そういう回す仕掛けみたいなことの方を、むしろここでは大事にした方がいい。

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